ハゲタカのようです

229 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 23:38:45 ID:23xxBFUg0
>エピローグ


从 ゚∀从 「犯人……確保ッ!」

後ろに手を回されて押さえつけられている二人の男。
その両手に錠をかけ高岡は深く息をついた。

腕時計の針が指し示す時は、十二時を三十分ほど回っている。
悪態を吐き続けている男を見下ろし、出実の仕事の成果を知った。

从 ゚∀从 「室内にある物には触るなよ。後で専門のやつらが来る」

武装した警察官達は仕事の達成を確認して階下へ降りていく。
逮捕された男達は暴れることもなく連れていかれた。

从 ゚∀从 「捕まえました」

( <●><●>)  『お疲れ様です』

从 ゚∀从 「これで、全部終わったんですかね」

( <●><●>)  『いえ、ゲ=ハの残党はまだ残っているでしょう。
           これからもヴィップの平和を頼みますよ』

230 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 23:40:57 ID:23xxBFUg0

从 ゚∀从 「はい!」

ところ変わって、特対課室。
流石兄弟はパソコンをすでに運び出し、自分たちの場所へと戻っていった。

( <●><●>) 「さて、お疲れ様でした」

(´-_ゝ-`) 「はい……」

( <●><●>) 「とりあえず、今のところは他の騒ぎは起こっていないようです。
         諸本君もうまくやってくれたのでしょう」

(´-_ゝ-`) 「っあー……疲れた」

( <●><●>) 「後の始末は私がしておきましょう。少し休みなさい」

(´・_ゝ・`) 「ありがたいですが、そういうわけには」

( <●><●>) 「その代わり、一つの質問に答えてください」

232 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 23:44:35 ID:23xxBFUg0

(´・_ゝ・`) 「なんですか」

( <●><●>) 「ハゲタカ、まだ続けますか? 辛いことばかりで、楽しいことなんてない仕事です。
          命は常に危険と隣り合わせで、失う事ばかりでしょう。
          それでも、出実君はハゲタカを続けるんですか?」

(´・_ゝ・`) 「……当然ですよ」

少しばかり笑いながら答えた。

234 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 23:47:00 ID:23xxBFUg0

事件が収束してから三日後、特対課室で火のついた煙草を三本も銜えて寛いでいた出実。
地下のアーカーシャから戻ってきた茂羅と二人きり。
諸本は流石に重症で一ヶ月の入院を余儀なくされていた。
病院のリハビリセンターで暴れまわっているようで、じきに退院して来るだろう。

( ・∀・) 「ふぅー……」

(´・_ゝ・`) 「で、話ってなんだ」

( ・∀・) 「武雲さんの事です」

(´・_ゝ・`) 「……」

アーカーシャで起きていたことはすぐに緘口令が敷かれた。
茂羅は語る。諸本が出実と荒巻だけに話した事実の誤りを訂正するために。

235 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 23:48:01 ID:23xxBFUg0

( ・∀・) 「アーカーシャの地下で、諸本さんが武雲さんを殺しました。
       武雲さんの口から、裏切りが確信できる発言を聞いたからです」

(´・_ゝ・`) 「録音してた音声データは確認した。状況的には間違いないだろ」

( ・∀・) 「……武雲さんのそれが、芝居だったんだとしても?」

(´・_ゝ・`) 「どういう事だ」

( ・∀・) 「司法解剖するつもりないんですよね。……武雲さんの手首にあった仕掛け。
       タイマーと連動してたのは脈拍でした。俺が解体したんですけどね」

(´・_ゝ・`) 「ああ。だから諸本には殺して止めるしかなかった」

( ・∀・) 「違います。武雲さんがもしその連動を外したら、VXガスがあの部屋の中に充満する仕掛けがありました。
       武雲さんの体内に、です。
       それこそが武雲さんが裏切り者ではなく、裏切り者を演じていた、という証拠です。
       人質として、あの場に武雲さんはいたんですよ」

236 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 23:52:40 ID:23xxBFUg0

(´・_ゝ・`) 「人質……?」

( ・∀・) 「爆弾の解体を難しくするよりも、物理的に解除できないようにしてたんです。
       俺らが武雲さんを殺せなければ、爆発は防げない。それを分かっていたからこそ、武雲さんは……」

(´・_ゝ・`) 「…………」

( ・∀・) 「武雲さんは裏切り者ではないです。その事実を、せめて俺らの間だけでも共有できれば、と」

(´・_ゝ・`) 「お前、その話は諸本にしたのか」

( -∀-) 「いえ……」

茂羅が戻ってきてから一番悩んでいたことは、武雲の事実を諸本に伝えるかどうか。
責任を感じさせてしまうことを避けたいが、事実を知らないままにすることも躊躇われた。

(´・_ゝ・`) 「……絶対にするな。俺とお前の間だけだ」

( -∀-) 「はい……それじゃ、失礼します」

茂羅は緩慢な動作で部屋を出ていった。

(´・_ゝ・`) 「裏切り者は……最初っからただの脅しか……それとも……」

現場警官レベルでは存在してもおかしくはない。
しかし、管理側にいればそれは重大な問題である。
出実は煙草を灰皿に捨て、部屋を出ていった。

特対課室に満ちた煙は、ゆっくりと換気扇で吐き出されていく。
誰もいなくなった部屋の中で、からからと音を立てて回っていた。

237 名前:名無しさん[] 投稿日:2016/03/30(水) 23:53:55 ID:23xxBFUg0



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