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146 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:46:35 ID:SoEOAtLY0
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从 ゚∀从 「おいおい、いつまで寝てやがる」
まだ日がでるか出ないかの頃、特対課の扉を開ける男がいた。
白髪銀目で乱雑に制服を着た男は、真っ直ぐと正面の机に向かう。
(´・_ゝ・`) 「……誰だ」
从 ゚∀从 「もう朝日が昇ってんのかと思ったぜ。ったく、勘違いさせるような頭しやがってよ。
高岡葉音。捜査一課から荒巻のじいさんに呼ばれてきた」
(´・_ゝ・`) 「捜査一課……?」
从 ゚∀从 「おいおいおい、警察庁捜査一課の鬼高岡を知らないってか。モグリかよ」
( ´_ゝ`) 「っと、先客がいたようだな」
(´<_` ) 「よう、手伝いに来てやったぜ、感謝しな」
从 ゚∀从 「流石兄弟か……」
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147 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:47:29 ID:SoEOAtLY0
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( ´_ゝ`) 「龍じいに言われちゃあ仕方ねぇ」
(´<_` ) 「ハゲタカに恩を売っとくのも有りだ」
二人は台車に乗せて巨大なデスクトップを持ってきていた。
勝手に机の上に置き、コンセントをさして電源を入れる。
(´・_ゝ・`) 「次から次へと……うるさい奴らだ」
( <●><●>) 「遅れました。交通課の若田桝です」
(´・_ゝ・`) 「若田さんまで・……」
持ってきていた紙の束を広げて画鋲で止めていく。
それらは警察庁を中心としたヴィップ国の中心部の地図。
既にゲ=ハが関係すると思われる幾つかの事件が赤で印されていた。
( <●><●>) 「おや、高岡じゃないですか」
从;゚∀从 「若田さん!? どうしてここに……」
( <●><●>) 「龍から手助けするように言われてね」
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148 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:48:39 ID:SoEOAtLY0
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齢六十を迎えた小柄な老人。
優しそうな瞳の中には芯の強い光が潜んでいた。
(#´・ω・`) 「ったく、人が寝てんのにギャアギャアうるせぇ!」
( ´_ゝ`) 「おっと、死体かと思ったぜ」
(´<_` ) 「あれだけの事故でよくその程度の怪我で済んだな」
(´・_ゝ・`) 「お前ら、いったん座れ。とにかく時間が無い。すぐにでもゲ=ハが仕掛けた爆弾を見つけなきゃいけない。
若田さん、わざわざご足労いただきありがとうございます」
( <●><●>) 「いやはや、ここにいると昔を思い出します」
かつて特対課に所属していた若田が交通課に移動した理由は、警察庁の誰もが知っていた。
荒巻龍が沈静化させたゲ=ハ戦争で失われた警察官の数は、公式に発表されているだけでも三十五人。
それとは別に事件を解決するために命を懸けた六人の男達がいた。
あまりに凄惨な死にかたをしたために発表されていない、当時の特対課に所属していたメンバー。
生き残ったのは荒巻と若田のたった二人だけ。
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149 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:49:33 ID:SoEOAtLY0
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事件が解決した後、荒巻は特対課を再結成し、若田は捜査の一線を退いた。
その若田が助太刀に来たことが、出実にとって何よりも心の支えになる物であった。
集まったのは錚々たるメンバー。
捜査一課所属。
犯罪をスピード解決へと導く天才。高岡 葉音。
サイバー犯罪対策課所属。
電子の魔術師こと流石 兄者と流石 弟者。
元特対課、現交通課所属。
ヴィップのありとあらゆる事件、地名と建築物を頭の中に詰め込んでる生き字引、若田 桝。
それに加えて特対課の出実と諸本。
もはや警察庁の総力と言っても過言ではない。
(´・_ゝ・`) 「指揮は若田さんに……」
( <●><●>) 「いえ、私は既に現場を退いた身。
咄嗟の判断や事件に対する嗅覚はあなたたちの方が優れているでしょう。
私はただ、責任を取るためにここに来たのです。それこそが老いたる将の役目ですから」
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150 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:50:52 ID:SoEOAtLY0
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(´<_` ) 「若田さんはまだまだ現役でしょう」
( <●><●>) 「残念ながら……。それにしても兄者君も弟者君も、随分年を取りましたねぇ」
( ´_ゝ`) 「俺たちがここまでやってこれたのも若田さんのおかげです」
( <●><●>) 「今はその気持ちを胸にしまっておきなさい。指揮は出実君が執るように」
(´・_ゝ・`) 「わかりました。さて、今この瞬間からこの特対課室をゲ=ハ対策本部とする。
とにかく時間が惜しい。各々が調べて分かっていることを教えてくれ」
( ´_ゝ`) 「計算上、爆風だけでチャンネル国を更地にしようと思ったら、百発以上の核が必要になる。
なんにしろ、それだけの火薬を用意できるとは思えない」
(´<_` ) 「昨日の特対課の映像は見せてもらった。
VXガスは強力だが、揮発性が低く広範囲にばら撒くのは難しい」
兄者と弟者はそれぞれのデータをパソコンに表示して示した。
それを見ながら、高岡は一つの机の上に資料を投げる。
从 ゚∀从 「そうだろうな。っつーことは、狙うのはヴィップに存在するチャンネル国の頭だ。
政治、経済、保安、流通、情報」
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151 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:51:43 ID:SoEOAtLY0
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( <●><●>) 「ここ警察庁を含めて、ヴィップでの最重要機関は既に調べています。
国会議事堂、ヴィップセントラル駅、国立図書館」
ワカッテマスは特対課の壁に貼り付けられた地図に書き加えていく。
当然、ほとんどの重要建築物は近い地域に密集している。
( ´_ゝ`) 「加えて、あらゆるデータが保管されているスタンドアローンのデータバンクもだ」
(´<_` ) 「アーカーシャか。地下にあるから、狙いにくいとは思うがな」
从 ゚∀从 「昨日の事からゲ=ハはフォーエバースタイルっていう会社名を使っていたことが分かっている。
それの事務所のピックアップは出来てるか?」
( ´_ゝ`) 「当然だ」
(´<_` ) 「資料はここに用意してある。しかも、関係が無さそうなものは削除しておいた」
双子が配った髪はわずか三枚。
そこには、毒男と茂羅が向かったホテルのほかに、二つのビルが書き込まれていた。
(´・_ゝ・`) 「だが流石にもぬけの殻だろう」
从 ゚∀从 「位置関係から爆発物を搬入できるポイントは狭められる」
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152 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:52:35 ID:SoEOAtLY0
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大都市である中心部は、寝静まることはない。
不審物を安全に、かつ大量に輸送できる場所は限られている。
从 ゚∀从 「その、あーかーしゃ? データバンクか、国立図書館が爆破ポイントの可能性が高い」
( <●><●>) 「いい推理ですね」
从 ゚∀从 「有難うございます」
( <●><●>) 「ですが、もう一歩欲しいですね。
地下データベースのセキュリティキーを作ったセキュリティ会社の名前はご存知ですか?」
(; ´_ゝ`)(´<_` ;) 「そうか!! キジョロック!!!」
( <●><●>) 「正解です」
皺を寄せてにっこりと笑う若田。
从 ゚∀从 「もしもし、テレビ? ああ、わかった」
電話中だった高岡が手で催促する。
出実は机の上に放置されていたリモコンのボタンを押した。
映し出されたのは、もう何回目かわからない犯行予告。
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153 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:53:56 ID:SoEOAtLY0
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≪我々はゲ=ハ。どうやら、この国は滅びを望んでいるようです。
我々としても甚だ残念であることは皆さんに伝えておきたい。今、私の後ろにあるのがこの国を終わらせる爆弾です。
どこに逃げようと無駄ですよ。国そのものがなくなりますから。
政府の懸命な対応を期待します。タイムリミットまで残り18時間です。それでは≫
無数の細長い光が輝き続ける薄暗い部屋。
男の背後の爆弾を執拗に映し、映像は終わった。
从 ゚∀从 「わざわざ尻尾を出してくれるとはね」
(´<_` ) 「ゲ=ハもそれだけ焦っているのだろう。すぐに突入部隊を編成するか?」
( ´_ゝ`) 「冷静になれ。これも罠かもしれない」
(´・_ゝ・`) 「……若田さんはどう思いますか」
( <●><●>) 「焦っているというのはほんとでしょう。
ですが、これ以上交渉のラインを引き下げてくることはないと思います。
時間が来れば躊躇わずに爆弾のスイッチを入れるでしょうね」
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154 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:54:29 ID:SoEOAtLY0
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(´・ω・`) 「俺の出番か?」
( ´_ゝ`) 「お前の頭は飾りか? これだけ用意周到に計画していた奴らだ」
(´<_` ) 「二の矢、三の矢を構えている可能性が高い。アーカーシャからどうやってヴィップを崩壊させる」
(#´・ω・`) 「馬鹿にしやがって……ぶっ殺してやる」
拳を握り締めた諸本が、流石の兄者の顔を吹き飛ばさんと振りぬいた。
風が唸るほどの剛腕が血を浴びることはなかった。
(;´・_ゝ・`) 「っ!」
大きな音を立ててひっくり返っていたのは諸本。
兄者との間にはいつの間にか若田が立っていた。
( <●><●>) 「昔と変わらないですね諸本君。イライラしているとすぐに手が出るところは」
(;´・ω・`) 「っ……」
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155 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:56:09 ID:SoEOAtLY0
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何が起きたのかわからなかったのショボンも同じだったようで、
ひっくり返ったまま若田を見上げている。
( <●><●>) 「拳を振るう相手が違うでしょう。行ってきなさい」
(´・ω・`) 「……アーカーシャですか?」
( <●><●>) 「そう言ってるつもりですよ。二の矢三の矢を潰すのは私たちの仕事です。ね、出実君」
(´・_ゝ・`) 「はい。諸本、誰か寄越すか?」
(´・ω・`) 「いや、俺一人で十分だ。行ってくる」
諸本が出発したのを確認し、出実はパソコンから一通だけメールを送った。
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156 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 22:58:03 ID:SoEOAtLY0
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【姓名】 高岡 葉音
【読み】 タカオカ ハイン
【年齢】 36
【役職】 警部補
【付記】 捜査一課で活躍している。
特定の数人を除き、誰にでもため口で話すため上司からはかなり嫌われている。
しかしその能力は高く、数々の事件をスピード解決しており、局内ではわりと有名。
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