- 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 10:16:36.35 ID:I2qWsDzm0
-
暴徒たちの怒鳴り声を背後に聞きながら、ようやく次の仕掛けへと辿り着くことが出来た
(; ・∀・) そうさ、バリケードは一つじゃない
徹夜で組み上げた2つ目のバリケード
暴徒の声はすぐそこまで迫っている。急いで隠れねば
(; ・∀・) 次も、上手くいくといいけど
(# ・∀・) いや、そんな弱気でどうする!?
(# ・∀・) 守り切るんだ! 僕らの田圃を!
「オラッ!逃げんじゃねーお!」
(; ・∀・) っ!?
暴徒の声がすぐ近くで聞こえた
息を潜めこっそりと様子をうかがうと、バリケードの前に数名の暴徒が立っていた
- 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 10:24:10.29 ID:I2qWsDzm0
-
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^) またバリケードかお!?
<ヽ;`∀´> あの野郎、用意が良すぎるニダ!
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^) どうするお? 乗り越えようとしたら焼き殺されるお!?
<ヽ;`∀´> ……
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^) ……
<ヽ`∀´> 閃いた!
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^) 何だお?
<ヽ`∀´> あいつがバリケードの裏にいるなら、こっちから火を点けてやればいいニダ!
(; ・∀・) ……!!
- 178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 10:29:22.97 ID:I2qWsDzm0
-
_
,ィ´ii
r' li ||
(*^ω^) おっwwwwwそれはいいおwwwwwwwwww
<ヽ*`∀´> ウェーハッハッハwwwwww丸焼きニダwwwwwwwwwww
_
,ィ´ii
r' li ||
(*^ω^) ライターに火を点けてwwwwwいっくおーwwwwwwwww
<ヽ*`∀´> GO!GO!ニダwwwwwwww
_
,ィ´ii
r' li ||
(*^ω^) せーので行くお! せーーー……
_
,ィ´ii
r' li 冫
(*^ω,:'、 nパグヘッ タ------ン!
<ヽ`∀´> ……え?
<ヽ`∀・:'ゞ ターーーーーン!
- 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 10:40:12.91 ID:I2qWsDzm0
-
(; ・∀・) 何度も同じ手を使うほど馬鹿じゃないからね! ターーーーーン!
冫。:ω゚´) プゲラッ!?
二つ目のバリケードは囮、僕は物陰に隠れて無防備に立ち止まった暴徒を射殺する
(;<●><●>) 奴が何処かに隠れているのはワカッテマス!
(;<●><●>) どこだ!? どこだ!? ……クソッ!!
( <○><,;'、 どkペラッ!? ターーーーーン!
( <○><,;'、 ドサッ
(; ・∀・) ……よし!
最後の男が倒れたのを確認してバリケードを崩し、火を放つ
こちらの戦略が向こうにバレないように
(; ・∀・) これで騙されてくれるといいけど……
「……向こうだ! 向こうにいるぞ!」
(; ・∀・) ッ、新手か!?
暴徒の死体に背を向けて、最後のポイントへと急ぐ
これで……全てが終わるはずだ
- 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 10:54:47.37 ID:I2qWsDzm0
-
最後のバリケードを構成するのは、うず高く積まれた藁の山
彼女が生み出した「綿のように軽い藁」だ
( ФωФ) ……これは、藁であるか?
周囲の部下の怯え様から考えて、藁の向こう側にいるあの男……あいつが恐らく奴等の首領、杉浦ロマネスクだろう
あいつを殺すことが出来れば、この戦いは終わる
( ФωФ) 藁、藁……はたして、何をするつもりなのか
( ФωФ) 藁の中から奇襲? ターン!ターン!
( ФωФ)
( ФωФ) 反応なし
( ФωФ) それとも藁は囮で……
(; ・∀・)
( ФωФ) 何処かに隠れていたりするのかな?
(; ・∀・)
- 186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:05:09.21 ID:I2qWsDzm0
-
(; ・∀・)
早く……早くしてくれ。もう限界だ
奴にそれを悟られると作戦が成り立たない。急げ、急いでくれ!
( ФωФ)
(ФωФ )
( ФωФ) ふむ、そのような様子もない
( ФωФ) ということは、つまり……
(; ∀ )
(ill ∀ )
駄目だ……緊張と疲労で意識が……
ここでバレたら……全部……終わ…………
- 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:08:51.02 ID:I2qWsDzm0
-
――――カラン
(# ФωФ) !!
(ill・∀・) っ!?
- 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:15:15.65 ID:I2qWsDzm0
-
(# ФωФ) そこか!
三(ill ∀ ) バッ!
(# ФωФ)見つけたぞ!
ターーーーーン.........
- 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:26:24.65 ID:I2qWsDzm0
-
( ФωФ)
( ФωФ) な……
(# ФωФ) 何だと……!?
(ill ∀ ) ニヤッ
ロマネスクが撃った物は、物陰に立てかけて接地点に着火しておいた薪
いわば時限式の物音発生装置
予想外の出来事に意表を突かれ、そのうえ藁の山から目を離したロマネスクは――
(# ・∀・) うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
(; ФωФ) ぬあっ!?
――藁の山を突き破って突進する大型トラックへの反応が、一瞬遅れることになる
(#・∀・) いっけえええええええええええええ!!!!!!!
(# ФωФ) く……そおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
ガソリンと丸太をいっぱいに詰め込んだトラックは、暴徒たちを巻き込みながら周囲の建物に激突し……
大きな大きな火柱を上げた
- 193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:39:48.63 ID:I2qWsDzm0
-
( ・∀・)
黒煙を上げながら激しく燃えるトラックをぼんやりと眺めながら、僕は服の埃を払った
激突の直前に運転席から飛び降りて事なきを得ることができた
( ・∀・) トラックのこと、どう説明しよう……
( ・∀・) 小説に使う木材も、全部使っちゃった……
( ・∀・) あ、帰りは歩きか……きついな……
( ・∀・) あーあ、もうなんか色々と駄目だ
( ・∀・) でも
( ・∀・) 生きてる
( ・∀・) 僕は生きてる
- 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:44:46.29 ID:I2qWsDzm0
-
トラックのことは、謝ろう。許してくれるまで、何度も何度も謝ろう
木材だって、もう一度取りに行けばいい
トラックがなくたって、まだ軽トラ……は、貸してくれるかわからないけど、最悪歩きで何とかしよう。数日掛かりで何とかしよう
その時のことを考えれば、今歩いて帰ることだって、大した問題じゃない
なんてったって、僕は生きているんだから
( ・∀・) 未来のみんなーきこえますかー
( ・∀・) 僕は今、生きてますよー
疲れはあれど、足取り軽く
さあ帰ろう。僕達の家へ、僕達の田圃へ
( ・∀・) さーて、今日の作業は追肥と防除だったかな
( ・∀・) うーん、忙しくなるぞー!
- 197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:48:07.57 ID:I2qWsDzm0
-
タ――――――ン
- 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 11:57:32.29 ID:I2qWsDzm0
-
右腕に、殴られたような衝撃
じんわりと広がる熱気と激しい痛み
それが何かを考えるのに、時間はかからなかった
( Фω;;;;)
(ill ∀ )
( Фω;;;;) やってくれたな、ゴミが
ロマネスクは、生きていた
いつ死んでもおかしくないような重傷で、それでもなお……
射殺すような敵意をこちらに向けて、そこに立っていた
( Фω;;;;) 吾輩ももう長くはない。しかし……
( Фω;;;;) 貴様を道連れにするだけの時間は、充分残されている
焼け爛れた四肢をぎこちなく動かしながら、ゆっくりと、しかし着実にロマネスクは近付いて来る
(ill ∀ ) 銃は……
猟銃を求めて周囲を見渡すが、見つからない
撃たれた衝撃でどこか遠くに行ってしまったのだろう
- 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 12:08:03.73 ID:I2qWsDzm0
-
( Фω;;;;) 起きろ
痛みの余り蹲っている僕の腹部を、ロマネスクは思い切り蹴りあげた
(ill ∀ )・:', ガフッ!
( Фω;;;;) その程度の傷でどうして蹲る必要がある? 我輩を見ろ
( Фω;;;;) こんな状態の我輩がしっかりと両の足で立っている。甘えるでない
( Фω;;;;) 立て
(ill ∀ )
(# Фω;;;;) 立たぬか無礼者!!
(ill ∀ ) ッ!?
(# Фω;;;;) いいか、立てぬほどの痛みという物はな! 例えばそう、右腕に出来た銃創を……
(# Фω;;;;) 踏まれて!
(ill ∀ ) ぐ、ぐあああああああああああああ!?
- 205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 12:25:00.65 ID:I2qWsDzm0
-
(# Фω;;;;) 踏まれて!!
(ill ∀ ) ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
(# Фω;;;;) そしてそこに、焼けた木の棒を捩じ込まれるような! ジュウウウウウウウウウウウ
(ill ∀ ) ―――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!?
(# Фω;;;;) そのような痛みのことを言うのだ!
(ill ∀ ) …… パクパク
(# Фω;;;;) ……ふん、叫ぶこともできんか
(# Фω;;;;) もういい、貴様にも飽きた
(# Фω;;;;) 一思いに脳味噌を撃ち抜いてやる。感謝するが良い
(# Фω;;;;) 先に地獄で待っていろ カチャ
(ill ∀ ) ……!
- 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 12:40:14.71 ID:I2qWsDzm0
-
タ――――――ン
- 209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 12:48:42.05 ID:I2qWsDzm0
-
( Фω;;;;)
( Фω;;;;)
( Фω;;;;) ……何故
( ω;; ;;) だ…… ドサッ
lw;´ _ ノv ハァ……ハァ……
- 211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 12:57:44.77 ID:I2qWsDzm0
-
予想外の方向からの銃声に、痛みを堪えて振り向くと……
硝煙を上げた猟銃を手にへたり込む彼女の姿がそこにあった
( ∀ ) ……どうして
どうして分かったのか。どうして来てしまったのか
彼女へ向けるべき質問が頭のなかでぐるぐると回り、言葉が出ない
lw;´ _ ノv 女は臭いに敏感なのさ
lw;´ _ ノv 火薬の臭いをプンプンさせたままレディーのところにやって来るなんて、マナー違反だと思わないかい?
(ill -∀・) はは、なるほどね。それは失礼
lw;´ _ ノv 歩ける?
(; -∀・) なんとかね。君は?
lw;´ _ ノv ……ごめん、きつい
(; -∀・) だろうね……ほら、背中に乗って
lw;´ _ ノv ……うん
(; -∀・) 乗り心地は悪いけど、我慢してね
lw;´ _ ノv ……うん
- 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 13:10:16.68 ID:I2qWsDzm0
-
その日僕たちは半日がかりで家に辿り着き、玄関で力尽きて、そのまま丸一日眠った
目が覚めて真っ先にトラックのことを謝ったら、「そこじゃね―だろ」と手痛い腹パンを頂戴した
その後のこと?
そうだね、僕は怪我の完治までに一ヶ月(幸い骨に異常はなかったようで、2週間の時点で農作業が出来る程度には回復していた)
彼女の体調は4日で元に戻った
農作業は4日間放置、その後10日間は彼女一人での作業ということになる
まあ、今度は分かってくれたのか、無理な労働はしないようになっていたよ
さて、楽しい時間は早く過ぎるというけれど、僕達のそれも例外ではなかった
最後の時は突然に……ではなく、充分すぎるほどの前振りを引き継いで、悠々と、堂々とやってきた
- 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 13:21:24.21 ID:I2qWsDzm0
-
『臨時ニュースです、ただ今入った情報によりますと、海面の急速な上昇が始まったとのことです』
『海抜27メートルの低地にある当ラジオ局も、間もなく水没することでしょう』
『水没まで残り僅かな時間ですが、皆様とご一緒することが出来れば幸いです』
聞き慣れたアナウンサーの声も、しばらくするとゴボゴボという音とともに聞こえなくなってしまった
僕達がいるこの田圃も、きっと間もなく……
lw´‐ _‐ノv いよいよ、世界が終わるようですよ
( ・∀・) なんとも、あっけないものですね
- 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 13:37:14.57 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv ……結局、書けなかったね、小説
( ・∀・) そうだね
( ・∀・)
( ・∀・) 結局、間に合わなかったね、収穫
lw´‐ _‐ノv そうだね
lw´‐ _‐ノv 収穫まで、あと2週間くらいかな
( ・∀・) 惜しかったね
lw´‐ _‐ノv そうだね
lw´‐ _‐ノv ねぇ
( ・∀・) ん?
lw´‐ _‐ノv 悔いはある?
( ・∀・) んー、無いかな
lw´‐ _‐ノv ……そう
( ・∀・) 嘘、いっぱいある
- 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 13:47:46.84 ID:I2qWsDzm0
-
( ・∀・) 食べたいものや行きたい場所がたくさんある
( ・∀・) 漫画だって読みたいし、好きなミュージシャンのライブにだって行ってみたい
( ・∀・) 小説も書きたい
( ・∀・) 育てた米を収穫してやりたい
( ・∀・) 君とだって、もっとずっと一緒にいたい
( ・∀・) ……はは、悔いだらけじゃないか
lw´‐ _‐ノv ねぇ
( ・∀・) ……何?
lw´‐ _‐ノv もういっこだけ、聞いていい?
- 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:01:38.26 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv 生きたい?
( ・∀・) え?
lw´‐ _‐ノv 豪華な食事も、風光明媚な観光地も、面白い漫画も、美しい音楽も無い
lw´‐ _‐ノv 私と、君と、米と小説しかない世界
lw´‐ _‐ノv もしかしたら、死ぬよりも苦しいことがあるかもしれない
lw´‐ _‐ノv そうまでしても、君は生きたいと思う?
( ・∀・)
( ・∀・) そんなの、答えなんて決まっているじゃないか
( ・∀・) ……生きたいよ
lw´‐ _‐ノv そう、ありがと
- 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:11:01.08 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv じゃあ、生きよっか
( ・∀・) え?
- 226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:16:48.98 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv 田圃の石をどかすの
( ・∀・) 石? 猪除けの?
lw´‐ _‐ノv うん、猪除けの
( ・∀・) どうしてそんなこと……
lw´‐ _‐ノv 急いで、時間がない
( ・∀・) え? ……うん、わかった!
( ・∀・) 何を考えているのかはわからないけれど、君の言うことだ。無碍にするようなことはない
lw´‐ _‐ノv ……ありがと
彼女と2人で協力し、田圃の石を取り除く
ここまで水がやって来る前に。息を切らして石を運んだ
( ・∀・) それで、次は何をすればいいの?
lw´‐ _‐ノv いい
( ・∀・) え?
lw´‐ _‐ノv これで、いい
- 232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:23:20.72 ID:I2qWsDzm0
-
彼女は大きなカバンを背負って、田圃の中心部へと歩いた
lw´‐ _‐ノv こっち、来て
( ・∀・) ……うん
lw´‐ _‐ノv あのさ
( ・∀・) なに?
lw´‐ _‐ノv インダー族って知ってる?
( ・∀・) 知らない
lw´‐ _‐ノv 例の発表があってから数週間で滅亡した少数民族なんだけどさ
( ・∀・) へぇ
lw´‐ _‐ノv 彼らがなんで滅んだかというと、彼らの持っていたあるもののせいなんだよね
( ・∀・) あるもの? なにそれ?
lw´‐ _‐ノv 木で作った筏の上に、土と腐敗した植物、水草などを混ぜあわせたものを乗せ、固める
lw´‐ _‐ノv 筏の上の混合物は豊富な栄養を持ち、野菜や果物の栽培を可能にする
lw´‐ _‐ノv 通称、”浮島”
- 233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:25:32.99 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv まあ、早い話がね
lw´‐ _‐ノv ……浮くよ? この田圃
(;・∀・) えっ!?
突然、足元が大きく揺れた
- 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:37:14.85 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv とうとう水がここまでやって来たね。結構ギリギリだったじゃないか
周囲の風景が水底に沈んで行く。家も、道路も、軽トラも、全部
その中で唯一、僕らの立つ田圃だけが、水面の上昇に合わせて天高く登っていく
( ・∀・) これが……浮島?
lw´‐ _‐ノv そうだよ。初めてにしては上手く作れたと思わないかい?
( ・∀・) ひとりで作ったの?
lw´‐ _‐ノv 見つかったら暴徒に壊されちゃうし、何より君の意思を尊重したくてね
lw´‐ _‐ノv 君が死んでもいいと言っていたら、私も一緒に死ぬつもりだった
( ・∀・) どうしてそこまで……だいたい、生きたいんだったら「方舟」に乗ればよかったじゃないか
lw´‐ _‐ノv あんな閉じた船の中で、あんな閉じた人間たちと生き延びるくらいなら、私は死を選ぶよ
lw´‐ _‐ノv 開いている君を見つけたから……君となら、生きていこうと思った
- 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:45:05.71 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv もっとも、これで生存が確定した訳じゃないんだけどね
( ・∀・) そうだね。水も、食料も、天候の変化も、どれかが悪く働けば……
lw´‐ _‐ノv 「死ぬより苦しいこと」が、起こるかもしれないね
lw´‐ _‐ノv まあ当面の目標は、収穫までの2週間を鞄の中の食料で食いつなぐことだね
( ・∀・) もしかしてカバンの中身って全部食料?
lw´‐ _‐ノv 私だって馬鹿じゃない。必要最低限の荷物は詰め込んださ
lw´‐ _‐ノv 防寒具、浄水器、刃物、植物の種、釣具、それに……
lw´‐ _‐ノv こんな物もね
( ・∀・) 僕のノート……
lw´‐ _‐ノv 水の上なら水没を恐れることもない。木や鏝が無くたって、紙とペンさえあれば小説は書けるだろう?
- 245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 14:56:08.25 ID:I2qWsDzm0
-
( ・∀・) ありがとう。でも、困ったな……
lw´‐ _‐ノv 何が?
( ・∀・) この数カ月の取材を元に記録を書いたって、誰が信じてくれるっていうのさ
lw´*‐ _‐ノv ……っはは! それはごもっともだ! 誰も信じちゃくれないさ!
( ・∀・) だよねぇ……
lw´*‐ _‐ノv まあ、いいんじゃない?
( ・∀・) 何が?
lw´*‐ _‐ノv 人々の記録って発想は悪くないけれど、地球には60億もの人類がいたんだ
lw´*‐ _‐ノv ひとりかふたりくらい、君と同じ事をやっていたかもしれないよ?
lw´*‐ _‐ノv おんなじものを書いたんじゃ、君の文章力では勝てっこない
( ・∀・) 結構傷つくんだけど
lw´*‐ _‐ノv まあまあ、そういうわけだから君は、誰も書けないような出来事を書いていくのがいいんじゃないかな
( ・∀・) ……誰にも書けないこと?
lw´*‐ _‐ノv そうさ、他の誰にも書けない……例えば、新たな世界のアダムとイヴの日記なんて、面白いと思わないかい?
- 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 15:16:27.11 ID:I2qWsDzm0
-
( ・∀・)φ
「前略、未来の人類へ――
(; ・∀・)φ
「未来の地球はどうですか? 相変わらず水でヒタヒタですか? きっと、そうなのでしょうね。
僕らの時代の偉い学者によると、向こう数千年はずっとヒタヒタらしいですね。
知っていますか? あなたの立っているその船の遙か下、海深く、かつてそこには人が住んでいました――
(; -∀・)φ
「ええとまあ、それはともかく、おかえりなさい。人類の故郷へようこそ
何故僕がこの手紙を書こうと思ったかというと、それは君たちにどうしても伝えたいことがあったからです――
(; ∀ )φ
「そもそも僕は手紙じゃなくて小説で君達に伝える予定でしたが、僕の妻が『君はこっちのほうが良いんじゃない』といったからで、
本来であれば小説に込められたメッセージ的なものとして伝える予定でしたが、まあこの際手紙でも構いません――
(ill ∀ )φ
「それでその伝えたいメッセージというのは、それを伝えるのが僕の人生の目標となるもので、この手紙を君達に読んでもらうことで
僕の人生の目標が達成されることになります.。ええとまあとにかく何が伝えたいのかというと――
- 262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 15:22:31.04 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノvφ Σ(・∀・ ill)
「私達は今この時、たしかにこの場所にいて、何物にも代え難い幸せを共有しているということなのです。
ざまーみろ、うらやましいか。ばーかばーか
草々」
lw´‐ _‐ノvφ(・∀・ ill)
lw´‐ _‐ノv (・∀・ )
lw´*‐ _‐ノv (・∀・*)
- 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 15:23:33.59 ID:I2qWsDzm0
-
lw´‐ _‐ノv「世界が終わるようですよ」( ・∀・)「なんと」
おしまい