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93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 04:49:24.71 ID:I2qWsDzm0
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それから1時間ほど車に揺られ、とうとう支足場山に到着した
周囲には両手で抱えるほどの大きな石がゴロゴロと転がっていて、彼女はそれを見て目を輝かせた
lw´*‐ _‐ノv うむ、これならきっと足りるだろう
( ・∀・) それはよかった
lw´*‐ _‐ノv 5分ほど登れば大きな木が群生している。私はここで作業してるから、何かあったら戻ってくればいい
( ・∀・) うん、それじゃあ行ってくるよ
荷台からチェーンソーを下ろし、肩に掛ける
さあ行こうと一歩踏み出した所で彼女に呼び止められた
lw´‐ _‐ノv 念のために、これを持って行くといい
lw´‐ _‐ノv この辺りは熊が出るらしいからね、熊には悪いが、君だって食い殺されたくはないだろう?
そう言って彼女が差し出したのは長さ60センチほどの猟銃だった
lw´‐ _‐ノv 使い方はわかるかい?
( ・∀・) ……うん、大丈夫だよ
lw´‐ _‐ノv じゃ、行ってらっしゃい
( ・∀・) 行ってきます
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95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 05:06:21.42 ID:I2qWsDzm0
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支足場山の山道は、有名なハイキングコースだ
毎年数十万人の登山客が訪れるというこの山道も、もしかしたら僕が最後の来訪者となるのかもしれない
( ・∀・) しばらく人が通ってないのかな? 植物がだいぶ侵食してきてるな……
何かの植物の蔦を払い、木の根を踏み越えて山道を歩く
右肩に提げた猟銃が、一歩ごとにカチャカチャと音を立てる
( ・∀・) ……鉄砲は、嫌いだ
重いし、うるさいし、人を殺す
僕の両親は暴動に巻き込まれ、銃に殺された
親元を離れ一人暮らしをしていた僕だけが、運良く生き残ることが出来た
( ・∀・) ははっ、一人だと嫌なことばかり考えちゃうな
( ・∀・) ぱぱっと切って、終わらせちゃおう
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97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 05:22:29.40 ID:I2qWsDzm0
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荒れた山道をしばらく歩くと、拓けた場所にたどり着いた
恐らくここが彼女の言っていた群生地なのだろう。よく育った木々があちこちに生えている
( ・∀・) おいら、木を切るぜ。帰るときゃ丸ごと持ち運ぶぜ!
わかりにくいネタをひとつ挟んで、作業に移る
チョークを引いてエンジンをかけると、ドッ、ドッ、という小気味良い音が周囲に響く
( ・∀・) しかし彼女、よくこんなの持ってたな
( ・∀・) 米作りでチェーンソーが必要な場面ってあんまり思い浮かばないんだけど……まあいいか
程よく育った樹の幹に回転した刃を当てる。樹皮が爆ぜ、粉々になった破片が顔に当たる
為す術もなく切り倒される木々の、人間に対するせめてもの抵抗といったところだろうか
( ・∀・) ……ごめんね
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99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 05:35:19.51 ID:I2qWsDzm0
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1時間ほどかけて、丁度良い大きさの木を5本切り倒した
そのまま持ち運ぶことは出来そうもなかったので、1メートルほどの長さに切り分けて運ぶことにした
lw´‐ _‐ノv ああ、お帰り。収穫は?
( ・∀・) 良い感じだよ。後は積み込むだけだね
( ・∀・) そっちは?
lw´‐ _‐ノv 十分な量は確保できたよ
( ・∀・) それはよかった
lw´‐ _‐ノv さて、帰りの時間も考えると時間的な余裕も無くなってきた。私も手伝うから、急いで木を運んじゃおう
( ・∀・) ……なんか昨日から僕足引っ張ってるね
lw´‐ _‐ノv ……そうやって卑下するの、好きじゃないよ
( ・∀・) ああ、ごめんね。気をつけるよ
lw´‐ _‐ノv わかればよろしい
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102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 05:48:05.97 ID:I2qWsDzm0
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木と、石を積み終えて、田圃へと戻る
それなりに急いだつもりだったが、到着した頃には陽は傾き、周囲は薄暗くなっていた
lw´‐ _‐ノv とりあえず、石を降ろそう
( ・∀・) そうだね
lw´‐ _‐ノv 後は木を軽トラに移し替えて……
( ・∀・) ふむふむ
lw´‐ _‐ノv それが終わったら君は帰っていいよ
( ・∀・) えっ?
lw´‐ _‐ノv 後は石を設置するだけだし、君だってやることがあるだろう
( ・∀・) やること……?
lw´;‐ _‐ノv はぁ……小説、書かなくていいの?
( ・∀・) あっ
そういえば、彼女と出会って3日目になるが、その間一度も小説を書いていない
取材に没頭しすぎて肝心の執筆を忘れていたのだ
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103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 05:53:51.90 ID:I2qWsDzm0
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lw´‐ _‐ノv 原稿書かなきゃいけないし、木材だって加工しなきゃ。丸太のままじゃ駄目でしょ?
( ・∀・) はい
lw´‐ _‐ノv 軽トラは貸してあげるから、はやく帰って書きな?
( ・∀・) はい
lw´‐ _‐ノv じゃ、お疲れ。明日は10時にここね
( ・∀・) はい
lw´‐ _‐ノv それじゃ、また明日
( ・∀・) はい、また明t……あっ
lw´‐ _‐ノv 何?
( ・∀・) ……うち、木材を加工する機械なかった
lw´‐ _‐ノv
lw´‐д‐ノv はぁ〜……
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105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 06:00:55.65 ID:I2qWsDzm0
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_, ,_
lw´‐д‐ノv
( ・∀・)
_, ,_
lw´‐ д‐ノv
( ・∀・)
彼女が、今までに見たことがない顔で僕を睨みつけた
うん、まあ、ここまでしてもらってこれじゃあ確かに怒るよね、そうだよね
どうしよう、土下座でもすれば許してくれるかな? 許してくれなかったとしても、何もしないよりはマシだろう
よし、土下座するぞ、引くほどするぞ
( ・∀・) えー、この度はまことに申し訳あr lw´‐ _‐ノv もうさ、私の家に住んじゃえば?
( ・∀・) えっ
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106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 06:12:43.16 ID:I2qWsDzm0
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lw´‐ _‐ノv うちに来ればそういう機材は揃ってるし、ご飯だって出せるよ
lw´‐ _‐ノv 品種改良の失敗作達が向こう一年分くらい余ってるからね
( ・∀・) ……いいの?
lw´‐ _‐ノv 取材ってことはこれからしばらく手伝うつもりなんでしょ? 給料みたいなものだよ
lw´‐ _‐ノv きょうび金なんて無価値だからね、衣食住の保証が給料代わり
lw´‐ _‐ノv どう? 悪くない話だと思うけど
( ・∀・) ええと、さすがに悪い気がするというか……
lw´‐ _‐ノv 学生が遠慮なんてするもんじゃないよ。お姉さんの誘いには乗っておきなさい
( ・∀・) ……じゃあ、よろしくお願いします
lw´‐ _‐ノv よろしい
そうして、僕と彼女の共同生活が始まった
……もっとも、世の多くの男性が望むようなそういう出来事はなかったけれど
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109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 06:26:36.51 ID:I2qWsDzm0
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翌朝、8時起床
居間に行くと食卓の上に冷めたおにぎりと書き置きが残されていた
『おはよう 昨日は良く眠れたかな?
今日は田圃A(君と初めて会った方だょ☆)で作業だ
私は先に行ってるから、君も準備ができたら来てほしい
おにぎりを作っておいたから良ければ食べてくれ
海苔を巻いている方がインディカ米、そうじゃないのがジャポニカ米だ』
( ・∀・)ノ▲
( ・〜・)ヽ モグモグ
( ・∀・)ノ△
( ・〜・)ヽ モグモグ
( ・∀・)
( ・∀・) 結構違うな
結構違った
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112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 06:41:05.69 ID:I2qWsDzm0
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軽トラに乗って田圃に向かう
駐車場に大型トラックがなかったので、きっと彼女はそれに乗って行ったのだろう
それにしても、彼女はどうして大型免許などをもっていたのだろうか
それ以外にもチェーンソーや木材を加工するのに必要な諸々の機材、植物育種学の権威ということだが、それと関係があるのだろうか
( ・∀・) まあ、おかげで僕は助かってるんだけどね
さて、田圃に到着した僕を待っていたのは、なんとも奇妙な光景だった
奇妙な、それはもう奇妙な、田圃の随所に大きな石が配置され、どこぞの無縁墓地さながらという様子だった
(;・∀・) 猪対策って、そこまでするの?
lw´‐ _‐ノv まあ、稲の生育には支障がないから大丈夫だよ
(;・∀・) ……さいですか
lw´‐ _‐ノv さいですよ
lw´‐ _‐ノv さて、今日は雑草取り。張り切っていきまっしょい
lw´‐ _‐ノv ……あ、石にぶつからないように気をつけてね。怪我するから
( ・∀・) ……はーい
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114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 06:48:55.47 ID:I2qWsDzm0
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lw´‐ _‐ノv 水稲栽培ってなかなかうまいこと出来ててね
( ・∀・) ?
lw´‐ _‐ノv こう、田圃の中を人が歩くと泥が巻き上がるじゃん?
( ・∀・) そうだね
lw´‐ _‐ノv こいつが日光を遮断してくれるから、水中の雑草の成長が妨げられるんだって
( ・∀・) へぇ
lw´‐ _‐ノv だからこう、地面をしっかり踏みしめて、ちょっと大袈裟に泥を巻き上げると良いらしいよ
( ・∀・) なるほどね。こう、こうかな? ギュッギュッ
( ・∀・) ……あれ
lw´‐ _‐ノv どうしたの?
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115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 06:56:18.63 ID:I2qWsDzm0
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( ・∀・) いや、こうやっていろんな場所を踏んでるとさ…… ギュッ ギュッ
( ・∀・) 場所によって地面が硬かったり柔らかかったりするんだけど
lw´‐ _‐ノv ……ああ、女手ひとつじゃ十分に地面を耕すことができなくてね
lw´‐ _‐ノv ほら、私コンバインとか持ってないから
( ・∀・) ああ、確かに
lw´‐ _‐ノv 場所によっては硬い地盤がそのままになってるのかもね
( ・∀・) ふーん……あれ?
( ・∀・) 大型トラックとか持ってるのになんでコンバインはlw´‐ _‐ノv ほらほら、口より手を動かしたまえ!時間は無限じゃないんだよ!
(;・∀・) はーい
-
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 07:06:23.50 ID:I2qWsDzm0
-
…
……
………
lw´‐ _‐ノv ……さて、もう夜か
lw´‐ _‐ノv 私はもう少し作業して帰るから、君は先に帰りなさい
( ・∀・) 作業があるなら僕も手伝うよ
lw´‐ _‐ノv いいから、君はやることがあるだろう?
( ・∀・) ……はーい
彼女は毎日朝早く家を出て、深夜まで作業を続けた
稲作の知識が無い僕にはよくわからないが、何やら重要な工程らしい
その「重要な工程」に興味が無いわけではなかったが、僕は僕で小説を書く必要があるので深い詮索はしなかった
彼女から「そのうち話すよ」という言質を受け取っていたというのも大きな要因だろう
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118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 07:09:31.76 ID:I2qWsDzm0
-
8月、彼女と出会ってひと月が経った頃
彼女が倒れた
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121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 07:21:04.17 ID:I2qWsDzm0
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倒れる一週間ほど前から、彼女は目に見えて消耗していた。連日の疲れが溜まっていたのだろう
どうにかして引き留めようとする僕の言葉も聞かず、疲れを押して一心不乱で作業に没頭していた
倒れるのは時間の問題だった
( ・∀・) 具合はどう?
lw´ _ ノv 最高だよ。いい加減ここから出してほしいね
( ・∀・) だーめ
lw´ _ ノv ……君はひどいやつだ
( ・∀・) そうだね
彼女は現在、彼女の部屋で軟禁状態にある
放っておくとすぐに田圃に行こうとするので、部屋の外側からドアを物理的にロックしているのだ
( ・∀・) 君のためなら、ひどいやつにだってなるさ
lw´ _ ノv ……君はひきょうなやつだ
( ・∀・) そうだね
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124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 07:29:54.66 ID:I2qWsDzm0
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もともと体が強い方ではなかったのだろう。彼女の体は予想以上に衰弱していた
どうしてもっと早く気付いてあげられなかったのか、後悔ばかりが胸を責める
lw´ _ ノv 君が君を責める必要は無い。そんなことしてほしくない
( ・∀・) ……ごめん
lw´ _ ノv その謝罪も、してほしくない
( ・∀・) ……わかった
( ・∀・) 田圃は僕が頑張るから、君はゆっくり休んで、一日も早く回復してね
lw´ _ ノv ふふ……そうそう、そういう言葉が聞きたかったんだ
lw´ _ ノv 君は開いた人間だ。開いた人間は前向きじゃなきゃね
( ・∀・) ふふ、わかったよ
さて、悪いことは重なるとは良く言ったもので、もう一つの脅威が、その頃こちらに向かってきていた
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127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 07:45:43.08 ID:I2qWsDzm0
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『朝のニュースです』
『杉浦ロマネスクを首領とするテロ組織「ローシタ」は、破壊活動を繰り返しながら美府市へと移動中です』
『構成員は数十名から百数十名と見られ、その多くが銃器を所持しているとのことです』
( ・∀・)
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129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 07:53:10.31 ID:I2qWsDzm0
-
暴徒が、美府にやって来る。奴等の拠点は確か芝里合市だったはずだ
芝里合から美府……暴徒が僕らの田圃の付近を通過する可能性はゼロじゃない
( ・∀・) 彼女には……言わないでおこうか
そうさ、何も奴等が来ると決まったわけじゃない
伝えた所で何ができるというわけでもない。心配事が増えるだけだ
病床の彼女に無駄に気を使わせる必要なんて無い
( ・∀・) ……さあ、今日も楽しく農作業だ!
今日の作業は追肥と雑草取り
軽トラの荷台いっぱいに藁を積み込んで、田圃に向かう
田圃には、見慣れない人影が2つあった
-
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:08:50.52 ID:I2qWsDzm0
-
奇抜な髪型にトゲトゲの肩パッド
漫画の世界から飛び出してきたのかと錯覚するその風貌
説明も、推理も必要ない。奴らは間違いなく暴徒……恐らくはテロ集団「ローシタ」のメンバーだろう
_
,ィ´ii′
r' li ||
( ^ω^) ヒャッハー!田圃だァー!
___
\ /
('A`) こーんなもんまで作ってやがった! 今じゃ犬の餌にもなりゃしねぇのによー!
ゲラゲラと下卑た笑い声を上げながら、奴等は苗を踏み潰し、猪除けの石を蹴り飛ばした
_
,ィ´ii
r' li ||
( ^ω^) つーかこの時期に田圃ってwwwww田圃ってwwwwwwwww
___
\ /
('A`) どこの馬鹿野郎だろうなwwwwww頭おかしいんじゃねーのwwwwwwwwwwwwww
( ∀ )
(# ∀ ) プツッ
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139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:17:29.84 ID:I2qWsDzm0
-
怒りに我を忘れ、何かに乗り移られたように……なんてことは言わない
僕は僕の意思で行動したのだ
( #・∀・) お前らあああああああああああ!!!!!
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^)そ えっ!?
( #・∀・) 人の田圃でえええええええええええ!!!!!
___
\ /
(;'A`)そ ハァッ!?
( #・∀・) 何やってんだオラアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!
僕は軽トラの助手席に積んであった猟銃を取り出して――
――暴徒に向けて、引き金を引いた
-
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:25:11.98 ID:I2qWsDzm0
-
( # ∀ ) ハァ……ハァ……っく……
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^)
_
,ィ´ii
r' li ||
(T;^ω^)そ タラッ
___
\ /
(;'A`) ……う、撃ちやがったぞこいつ!?
( #・∀・) 謝れ
_
,ィ´ii
r' li ||
(T;^ω^) は……?
( #・∀・) 謝れ!
-
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:33:16.38 ID:I2qWsDzm0
-
___
\ /
(;'A`) てめぇ……俺らが誰だか知ってて言ってんのか!?
_
,ィ´ii
r' li ||
(T;^ω^) そうだお!ブーン達はローシタのメンバーで( #・∀・) 謝れ!
狼狽するモヒカン頭に銃口を突きつけ怒鳴りつける
男は「ヒッ!?」という叫びを飲み込んで、震える声で言葉を繋いだ
_
,ィ´ii
r' li ||
(T;^ω^) ……わ、悪かったお
( #・∀・) お前も!
___
\ /
(;'A`) ……す、すまねぇ
( #・∀・)
-
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:41:14.33 ID:I2qWsDzm0
-
( #・∀・) 帰れ!
奴等の尻を蹴り飛ばして罵声を浴びせると、奴らは何やら捨て台詞を吐いて帰っていった
曰く、「これで終わりと思うなよ」
曰く、「絶対にぶっ殺す」
なんとも予想を裏切らない奴等だった
( #・∀・)
( ・∀・)
(( ∀ ))
(ill ∀ ) やっちゃった……
-
147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:47:30.47 ID:I2qWsDzm0
-
……やってしまった
きっと明日には大勢の暴徒が報復のために押し寄せてくるのだろう
報復の対象が僕だけで済めばいい。しかし奴等はきっと、この田圃も――
――それだけは、絶対にさせない
彼女に負担をかけること無く、この田圃を守り切る
( ・∀・) この田圃には、誰も来なかった
孤独な戦いが始まった
-
149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 08:56:04.73 ID:I2qWsDzm0
-
( ・∀・) ねぇ
lw´ _ ノv ん?
( ・∀・) 大きいトラック、借りていい?
lw´ _ ノv 免許ないんでしょ? なんに使うの?
( ・∀・) 木が大量に必要になってね
( ・∀・) 運転方法はだいたいわかるし、今時検問も無いだろう?
lw´ _ ノv んー、まあ良いよ
( ・∀・) ありがと
lw´ _ ノv だからさ、そろそろここから出して?
( ・∀・) だーめ、ご飯作ったからそれ食べてしっかり寝てなさい
lw´ _ ノv んもう
( ・∀・) じゃ、行ってくるよ
lw´ _ ノv ……怪我に気をつけてね
( ・∀・) ……うん
-
151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:04:39.37 ID:I2qWsDzm0
-
午前10時 支足場山到着
午前10時5分 伐採開始
正午 材木の積み込み開始
午後1時 支足場山出発
午後1時30分 県道2号線沿いGSにて給油
午後3時 美府到着
午後3時1分 昼食
午後3時6分 完食
午後3時7分 作業開始
午前6時 作業終了
作業を終えたあと、軽い食事をとって3時間だけ眠った
悪党が早寝早起きというのは無いだろうという希望的観測だったが、どうやら思い通りにいったらしい
考えうる最高の状態で、奴等を迎え撃つことが出来た
今日僕は、人を殺す
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155 名前:野球部員のブーンとモヒカンの男は別の人間です[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:17:03.49 ID:I2qWsDzm0
-
芝里合と美府を結ぶ県道7号線
昨日の二人組の泥だらけの足跡を追跡した結果、奴等はここを通って来ることを知った
僕は一晩かけて、ここにバリケードを張った
( ・∀・) ……来たか
遠くから、バイクの轟音
それが近隣の市民を殺害して手に入れたものであることは、今朝のニュースで知った
犠牲となった市民とは恐らく面識はないが、奴等を殺すことへの躊躇いが少しだけ薄くなった
( ^Д^)
集団の先頭にいるのは、ニヤケ面の男
ゴテゴテと装飾をつけたバイクに跨る、ローシタの特攻隊長といったところだろうか
( ^Д^) ……あ? なんだありゃ?
男はバリケードに気付き、スピードを落とした
-
158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:26:43.72 ID:I2qWsDzm0
-
( ^Д^) おい、何だこりゃ?
(’e’) バリケード……ですかね
( #^Д^) そんなこたぁ分かってんだよ! どうしてこんな所にバリケードがあるのかって聞いてんだ!
(;’e’) は、はっ! 恐らく、例の話の男が作ったものかと
( #^Д^) ローシタに逆らった馬鹿野郎が……手間かけさせやがって
( #^Д^) 黙って死んどきゃいいのによォ! そう思わねーかおい!?
(;’e’) はい、その通りで!
( #^Д^) 糞、めんどくせぇ……ぶっ壊せ!
(;’e’) は、はい! よし、お前ら手伝え!
暴徒たちはバリケードを壊そうと、続々とこちらに向かって歩いてくる
バリケードの影に僕が隠れていることに気づいている者はいないようだ
-
160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:34:34.04 ID:I2qWsDzm0
-
(,,゚Д゚) あー、めんどくせ
ミ,,゚Д゚彡 どうせやられるのになんで無駄な抵抗するかねー?
___
\ /
('A`) 全くだ
暴徒たちの話し声が近付いて来る
……もっとだ、もっと引き付けるんだ。奴等が逃げられない距離まで
( #^Д^) チンタラ歩いてんじゃねぇ! さっさとやりやがれ!
(;’e’) はっ! ほら、お前らキリキリ歩け!隊長がお怒りだぞ!
(;,,゚Д゚) やっべ、急ぐぞ!
――もう少し
ミ;,,゚Д゚彡 プギャーさん怒らせると殺される!
――もう少し
___
\ /
(;'A`) お、おう!
――もう少し
-
161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:35:48.85 ID:I2qWsDzm0
-
(’e’) ……ん? なんか変な臭いが……
――今
-
165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:48:06.03 ID:I2qWsDzm0
-
( #・∀・) うおおおおおおおおおおおおお!!!!!
僕が作ったバリケード、その正体は不安定に積み上げられた丸太の山
ほんの少し押してやるだけでバランスが崩れ、勢い良く転げ落ちる
( ^Д^) ……は?
バリケードの解体に来ていた十名ほどの暴徒が丸太の下敷きになるのを、ニヤケ顔の男は呆然と眺めていた
(;,,゚Д゚) ぐっ……重てぇぞゴルァ!?
ミ;,,゚Д゚彡 ぜ、全然動けん!?
___
\ /
(;'A`) あの糞野郎、ふざけた真似しやがって!
( ・∀・) ……このバリケードにはもうひとつ秘密がある
(;’e’) 秘密!? ……ッ!? この臭いは!!
( ・∀・) 先に手を出したのは君たちだ
(;’e’) おい、やめろ! やめてくれぇっ!
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166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:51:27.17 ID:I2qWsDzm0
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ガソリンの染み込んだ丸太目掛けて、僕はライターを投げ込んだ
丸太も人も、勢い良く燃え上がった
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170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 09:59:41.22 ID:I2qWsDzm0
-
( ・∀・)
(∀・ ) クルッ
(; ^Д^) おい、テメェ逃げる気か!?
(# ^Д^) こんな事しておいて逃げきれると思うんじゃねーぞ
(# ^Д^) 聞いてんのか、おい!?
男の言葉に耳を貸さず、暴徒の群れに背を向けて走り出す
ここで戦っても勝ち目はない。一度距離をとる必要がある
(# ^Д^) 糞が……てめぇら、あの糞野郎を追え!
_
,ィ´ii
r' li ||
( ;^ω^) で、でも、バリケードが……
(# ^Д^) 馬鹿かテメェは!? 相手は徒歩だ!単車降りて追っかけろ!
_
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r' li ||
( ;^ω^) は、はいですお!
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172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/14(木) 10:07:06.24 ID:I2qWsDzm0
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(# ^Д^) どいつもこいつも使えねぇ……こんな所ロマネスク様に見られたら……
「見られたら、どうなるのだ?」
(; ^Д^) えっ!?
「見られたらどうなるのだと聞いておる」
(; ^Д^) い、いや、これは違うんです!
(; ^Д・:`, これはそnペッ!? ターン
( Д ・:`,
( ФωФ) 一般人ひとり殺すのに、どれだけ手間取っておるのだ