夢想:あの光は揺蕩う。それは脆弱で、砂を握るように儚い。それでも

32 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:16:09 ID:4564RFO20

 崩れた木材の山を掻き分けて、戦闘機のハッチのような重々しい金属製の扉を見つけた。
引き手は分厚く、見るからに重々しい。
だがそんな見た目に反して、その扉が容易く持ち上げられるということをぼくは知っている。

( ^ω^)「よっと……」

 ぎりぎりと音を立てて持ち上がった扉を、ハインに委ねる。
地下へと続く階段が、深い闇へと続いていた。
舞い散る埃が陽光を帯びて闇を彩ると、懐かしい気持ちになった。

从 ゚∀从「こけんなよ」

( ^ω^)「大丈夫、身体が覚えてるお」

 身を少し屈めて、階段を降りる。
一段一段踏み締める音が反響し、ぼくの耳元に届く。
ここ以外に、どこかで聞いたことのある音だなと思った。

33 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:16:45 ID:4564RFO20

(´・ω・`)「やぁ、久しぶりだね」

 五年前と同じ、頼りない照明に当てられてショボンの顔が浮かび上がる。
少し草臥れているように見えた。

( ^ω^)「久しぶりだおね。モラさんから聞いたお。仕事、辞めたり始めたりなんだって?」

(´・ω・`)「よせよ、久しぶりに会ったっていうのに小言なんて聞きたくない」

 力無く木製のスツールにへたり込んでいるショボンは、片手に栓を開けていないビール瓶を持っている。

( ^ω^)「酒、まだやめてなかったのかお?」

(´・ω・`)「だから小言は聞きたくないって言ってるだろう。もう昔みたいにめちゃくちゃな飲み方はしないさ。折角君が帰ってきたっていうんだ。一杯も飲まないなんて、そりゃ野暮ってものだろう?」

 ぼくはそれ以上ショボンを窘めるのをやめた。

 こうしてよく見てみると、彼の一挙手一投足は、どこか五年前よりも落ち着いて見えた。
何も変わっていないと早計な決め付けをして、昔と同じように接するのはどうやら間違っていたらしい。

34 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:17:23 ID:4564RFO20

 ぼくは、二時間前の自分の考えを、早計だったと否定した。

(´・ω・`)「うっぷ……」

 確かに多少成長したのかもしれない。
だらしなく吐瀉物を撒き散らすことはしないが、それでもショボンの顔は青褪めていて、頭を掴んで二、三度振ってやれば内臓まで一緒に吐き散らしてしまいそうだ。

( ^ω^)「酒、やめろお」

(;´・ω・`)「うるさいな」

 聞く耳なんて持ちやしない。
尤も、アルコールが入った以上ぼくもまともな意思疎通を図る気などさらさら無かったのだけれど。

( ^ω^)「ハイン、知ってたんなら止めろお」

从 ゚∀从「知るかよ、俺はこいつの保護者じゃねぇっての」

 ぶっきらぼうに突き放し、ハインは何本目かの瓶ビールをラッパ飲みで一気に飲み干した。
思えば、当時ぼくらの中で一番酒が強かったのはハインだった。

91 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 23:12:19 ID:4564RFO20

(´・ω・`)「どいつもこいつも、上から目線でものを言いやがって」

 その一言で、ぼくら三人の間に流れる空気が一変したのを、肌で感じることが出来た。

(´・ω・`)「巫山戯るなよ。五年も碌に連絡も寄越さずに……ふらっと帰ってきたかと思ったら、偉そうにものを言いやがって」

 酩酊状態特有の、焦点が合っていない目。
まごついた話し口調ではあるが、その一語一語は、不思議と聞き取りにくいとは思わなかった。

( ^ω^)「すまんかったお」

(´・ω・`)「すまんで済むか。僕は、僕はなぁ」

( ^ω^)「もういいお。ほら、ハイン。こいつに水を……」

(#´・ω・`)「ハインを顎で使うんじゃねぇ!!」

 怒鳴り散らすと同時に、ショボンはテーブルを横倒しに払いのけた。
グラスが、空き瓶が、盛大な音を立てて床の上で割れる。

35 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:18:59 ID:4564RFO20

(#´・ω・`)「お前はハインのなんなんだよ! 何の権利があって……お前は……」

( ^ω^)「落ち着けお」

(#´・ω・`)「黙れよ!! 五年前も……! いや……もっと昔から! お前は……お前ってやつは!!」

( ^ω^)「…………」

(´;ω;`)「僕はさ……こんな風になるつもりなんて無かった。でもハインはいつもお前の方に……お前のことばかり……僕は、僕はそれでも……それでもいいって、それでも自分なりに頑張ってさ……」

( ^ω^)「もう喋るなお。もういいから」

(´;ω;`)「何がいいってんだ……僕はもう、自分がみっともなくて……お前が羨ましくて……」

(´;ω;`)「ハインのことがさぁ、好きだったんだよ……僕は……僕は……」

36 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:19:49 ID:4564RFO20

( ^ω^)「お前がハインのことを好いていても、ぼくはどうすることも出来ないお」

(´;ω;`)「お前がそんなことを言うから、誰も報われないんだよ!」

( ^ω^)「だとしてもどうしようもないお。ぼくがこの場でおまえに平謝りすればそれで済むのかお?」

(´;ω;`)「お前はなんにも分かってないんだよ! ハインは、ハインはなぁ!」

 ずっとお前のことが好きだったんだよ――

 それがあの時ショボンが零しかけた言葉の続きだと、ぼくはすぐに理解した。

 脳裏にこびりついた光景。不意にぼくの中で反芻するかつての言葉。
それらが、目まぐるしく駆け巡る。駆け巡る――

 情報の処理が追いつかないがゆえの混乱と、言ってしまえばそれだけのこと。

 だけれど、そんな理屈の及ばないところにある、ぼくの中の後ろ向きな感性が、呻き声を上げている。

37 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:20:28 ID:4564RFO20

 堪らず、ぼくはハインの方を見た。

从 -∀从

 どうして、どうしてそんな顔をするんだ。
と、八つ当たりのように喚き散らすことが出来ない。

(´;ω;`)

 泣き咽ぶショボンが、なぜだかぼくには遠い存在のように思えた。
ショボンは言った。ぼくが羨ましかったと。

 けれど、それでも――ぼくは、ショボンと同じように、ショボンのことが羨ましかった。

 それは混乱した自分の脳が、蕩けてしまうのを防ぐ為の、後付けのようなものなのかもしれない。

 ぼくはそんな欺瞞を自分の中で解消出来るほど理知的な思考回路を持ち合わせていないし、かといってそれがどうしたと開き直るほどのふてぶてしさもない。

 だからそんな欺瞞と共に、受け入れたくない何かが一粒の雫となって、目一杯に泥を湛えた器に落ちた。

38 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:21:14 ID:4564RFO20

( ^ω^)「ぼくはお前が羨ましかったお」

(´うω;`)「……羨ましいだと?」

( ^ω^)「ハインが好きだ。辛い。気に入らない。あれがしたい。これがしたい……」

( ^ω^)「どんな言葉にも、責任が付き纏うことを、お前は知らない」

 酒に身を任せて、子供のように振る舞えるその愚かさを、尊さを、少なくとも今のぼくは知っている。

( ^ω^)「なぁ、ショボン。お前がハインのことを好いているなら、その好意に責任を持てるっていうんなら、お前がやるべきことは、振り向いてもらえるように努力することじゃなかったんだと思うお」

(´うω∩`)「…………」

( ^ω^)「戦争がさ……もうどうにもならないくらいに激しくなってるんだお。軍人じゃない人は毎日毎日尻を引っ叩かれながら、何の役に立ってるのかも分からないような仕事に丸一日縋り付いて、ようやっと煙草とビール一杯と、申し訳程度の麦飯にありつける……外は、もうそんな状態なんだお」

39 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:21:55 ID:4564RFO20

(´うω∩`)「…………」

(´ ω `)「それくらい、僕だって知ってるさ……」

( ^ω^)「いいや、お前はなんにも分かってないんだお。ずっと、ずっと目を背けて、こうやって身の丈に合わない酒を毎夜毎晩かっくらって、もうとっくにそんな猶予期間は終わってるって気付いてるのに、見ないふりをしてるんだお」

( ^ω^)「お前がハインのことを好きだと言うなら、ハインのことを想ってるなら、手を引いて外に出てやるべきだったんだお。生きてるだけで、自然と溜息が漏れるような、不意に泣きたくなるような、そんな現実に連れ出してやるべきだったんだ」

( ^ω^)「それでも頑張って生きていくんだ。このままじゃ駄目なんだ。もし万が一この街が十年先に残ってたとしても、その時にやっと気付くよ。なんて馬鹿なことをしてたんだって」

( ^ω^)「お前がどうしようもないろくでなしだって言ってるんじゃないよ。でも、でもぼくはどうしたらいいのか分からないんだ。お前に、お前達にどんな言葉をかけていいのか分からないんだ」

( ^ω^)「しゃんとしろってお前の頬を引っ叩いてやりたい。このまま朝まで馬鹿騒ぎしようって、気休めの言葉をかけてやりたい。すまんかったと謝りたい」

( ^ω^)「 なぁ、どれが正解なんだ? ぼくはお前たちにどうしたらいい?」

40 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:23:03 ID:4564RFO20

(´ ω `)「そんなこと僕に聞くなよ!!」

 丁度テーブル一つ分の空間を挟んで、小さく丸まっていたショボンの上体が、迫る。

 血走った目。振りかぶった拳。その挙動。一つ一つが、手に取るように見えた。

 ぼくは思い切り奥歯を噛み締めて、一秒後に自分の頬に広がるであろう痛みに備え――――

 ぼくは、ぼくは――――


 やけに心地の良い音が、広がる波紋のように脳を揺さぶる。
直後、顎が揺れ、鉛を打ち込まれたような痛みを、熱という形で訴える左の頬。

 痛みが、耳を劈くようなショボンの慟哭が、悲しい。

 ぼくはやはりショボンが羨ましい。
それと同時に、終わってしまった猶予期間を、見て見ぬ振りという邪法をもって引き伸ばしている彼が恨めしいのだ。

 濁った泥を、呑み下す。
そんなぼくを、"彼"は羨ましいと思うのだろうか――

41 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:23:38 ID:4564RFO20

( ^ω^)「ほら、自分の拳を見てみろよ。お前はそれに責任を持てるのか?」

 口の中に溜まった塩気と鉄の匂いを吐き出す。
血混じりの唾と一緒に、奥歯が一本取れた。

(´ ω `)「…………」

( ^ω^)「だんまりを決め込んだって、誰も代わりに答えてはくれないんだ。ぼくは――」

从 ゚∀从「ブーン、こっち向け」

 言われて、ハインの方に向き直るのとほぼ同時に、右頬に鋭い痛みが走った。
左頬の痛みを塗り替えるようなその痛みは、胸の奥底に残るような、そんな傷を、落とす。

从 ゚∀从「俺さ、馬鹿だしまだガキだからよ」

 表情は強張っていた。
無理に平静を取り繕って零れ落ちたものが、顔の筋肉を引きつらせている。
少なくともぼくには、彼女の今の表情が、そのように見えた。

从 ゚∀从「自分の言葉に責任なんか持てないんだ」

42 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:24:38 ID:4564RFO20

从 ゚∀从「悪いか?」

 ぼくの中で静かに、そしてふつふつと煮え滾っていたものが、静かに冷めてゆくのが分かった。

(´ ω `)「ブーン……」

 ショボンは項垂れた状態で、ぼくの方を見ようともせず静かに口を開く。

(´ ω `)「ごめん……」

 ぼくは居心地が悪くなって、アルコールを求めた。
ショボンがひっくり返したテーブルの下敷きになる形で、瓶は粉々のガラス片となって散らばっている。

 頼りない照明の光を浴びて、液体はてらてらと輝く。
床を這うそれを一つに纏めて、一息に飲み干せたらいいのにと思った。

 深く息を吸い込むと、気化したアルコールがぼくの鼻腔を突いて、沈むように微睡みかけたぼくの後ろめたさを揺さぶった。

( ^ω^)「ぼくは、お前が羨ましいお」

 そしてぼくは、ポケットの巾着袋に手をかける。
その中の一粒を掴み、そっとショボンの足元に置いた。琥珀色のビー玉を。

43 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:25:10 ID:4564RFO20

 ショボンを置いて地上に出ると、空は茜色に染まっていた。
初夏の風はシャツの中に入り込み、ぼくの身体を舐める。心地の良い風だ。

 遅れて、アジトの入り口から顔を出したハインの手を掴んで引き上げてやる。
ほぼ同時に強く吹いた風が、ぼくらの身体を一層激しく舐めた。
薄着のハインは寒そうに身震いした。

( ^ω^)「夏とはいえ、風が強いとまだ冷えるお」

从 ゚∀从「……羽織るもの持ってきとけばよかったな」

 Tシャツの袖から伸びた、ハインの細く白い腕を見る。
注意深く見てみると、うっすらと鳥肌が立っているのが分かった。
しかしだからといってどうするということもなく、ぼく達は、ばつが悪くなった子供が落ち着きなく頻りに動き回るように、意味もなくうろうろと歩き始めた。

从 ゚∀从「ブーン」

 ハインが口を開くから、ぼくはうんざりした。
今の心境で、彼女の口から紡がれる言葉に、正面から向き合う気になれなかったからだ。

44 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:25:56 ID:4564RFO20

从 ゚∀从「ショボンが言ったこと、本当だから」

 だからどうしろと言うのか。
この際はっきりと言ってくれたほうが、まだ気が楽だ。

 お前のことがずっと前から好きだったから、お前が自分のことをどう思っているのか聞かせろ、と。

 しかしそれを強要することなど、ナンセンスの一言に尽きる暴挙であって、中途半端な責任を覚えてしまったぼくに、それをするふてぶてしさは無い。

 或いは、それを保身と言うのだろう。

( ^ω^)「うん」

 結局のところ、ぼくもハインやショボンと何も違わないらしい。
責任などと宣って、凡ゆる事柄と真摯に向き合うことを放棄してしまったぼくは、二人よりも醜いのかもしれない。
或いは、そんな自分に気付いていながら目を背け続けてきた結果、ぼくは今、全てを投げ出して此処にいるのかもしれない。

45 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:26:34 ID:4564RFO20

从 ゚∀从「ごめんな」

( ^ω^)「いいんだお。ぼくが悪かった」

 道を外れて、おもむろに草木が生え散らかった藪の中に入る。
背の高い草っぱを踏み分けるぼくの足音にやや遅れて、もう一人分の足音が後ろから聞こえた。
ぼくは振り返らなかった。

( ^ω^)「そんな格好じゃ怪我するお」

 ハインは何も答えない。

( ^ω^)「下がってろお」

从 ゚∀从「お前が出るなら俺も出る」

( ^ω^)「ほうっておいてくれお。今はこうしてたい気分なんだお」

从 ゚∀从「じゃあ俺だってそうだ」


 ぼくが何を言っても聞く気は無いのだろう。
仕方ないので、ぼくはなにも言わず、特に目的も持たず、出鱈目に藪の草木を踏み鳴らしてゆく。

 こういう時、ぼくは自分がどうするべきなのか、どんな言葉をかけてやるべきなのか、ちいとも解らない。

46 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:27:19 ID:4564RFO20

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 目が見えないぼくは何も無い部屋の中心で、立っていた。

 壁と床と天井、そしてその無機質な空間の中でぽつりと浮いている豪奢な装飾が施された扉。

 ぼくがどうしてこんなところにいるのか。考えたところでどうしようもないので、その扉を開いた。

 真っ先に、ぼくの役立たずな視覚を刺激したのは光だった。

 光の正体は、ぼくが知らない言語をもって繰り広げられている喜劇、その演者を照らす照明だ。

 目が見えないぼくには、物語の演者の一挙一動が手に取るように分かった。

 鎖に繋がれている、木で出来た演者は、ぎこちない動きで、しかしそれでいて大胆に、身体全体を使って喜びを表現している。

 演者達に顔は描かれていないけれど、ぼくには彼等が笑っているように見えた。

 やがて喜劇はフィナーレを迎えた。

 調子外れな音楽が鳴り出すと共に、舞台が燃え上がる。
踊り狂う火が、舞台の上で並ぶ鎖に繋がれた演者達の身体を舐め、焼き尽くしてゆく。

 演者達は静かに笑っていた。

 そして、客がいないホールに、どこからともなく疎らな拍手が降り注いだ。

 ――――――

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47 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:28:19 ID:4564RFO20
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48 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:28:58 ID:4564RFO20

 視界に広がる満天の星空に吸い込まれそうになりながら、ぼくは全身の痛みを静かに受け入れていた。

 身体中が熱を持っている。
脇腹が鉛の塊で打たれたように痛む。
肩が歪な音を立てて軋む。
頬が、頭が熱を持って痛みを訴えている。
尻がじんじんと痛む。

('A`)「危なかったな。俺が気付かなかったらお前、今頃列車に轢かれて挽肉になってたぜ」

( ^ω^)「……お」

 最早声を出すのも億劫だったが、このまま微睡んでしまえばぼくという存在そのものが溶けて無くなってしまいそうな気がして、無理矢理絞り出すようにドクオの声に応じる。

( ^ω^)「いってぇ……」

 腹がとにかく痛む。
もしかしたら骨が折れているのかもしれない。

( ^ω^)「ギコのやつ……容赦ないお」

 きっかけは些細なことだった。
どうということもない言葉のやり取りの中で、互いが語弊を生むような発言をしてしまい口論となり、やがて取っ組み合いになった。

 その結果、ぼくはギコに完膚無きまでにぶちのめされ、よりにもよって貨物列車が走る線路の上でのびていたのだ。

49 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:29:38 ID:4564RFO20

('A`)「よくやるぜ。喧嘩なんてあほくさくてよ。俺には絶対出来ねぇや」

( ^ω^)「あほくさいあほくさくないなんて理屈でやるもんじゃないお。まぁ……ぼくが馬鹿だったお」

 と、気付く為の代償にしては、些か重過ぎる痛みだ。
風は冷たい。夏が終わりを迎えようとしている。
この痛みを癒すには、お誂え向きな、良い風だった。

( ^ω^)「はぁ……こりゃ絶対後で熱が出るお。ちょっと肩貸してくれお」

 見下ろしてくるドクオに向けて腕を伸ばす。
右腕は自分のものではないと錯覚するほどに重たかった。
しかしその腕を引き上げられる時の、肩に走る激痛は、そんな気怠い感覚すら消し飛ばすほどの痛みだった。

 堪らず呻き声を漏らしてしまうと、ドクオはからからと笑った。
思えばドクオがこんな風に、感情的な笑いを漏らすところは、あまり見たことがない。

50 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:30:38 ID:4564RFO20

 暫く歩いた。
とにかく身体が重く、その道のりは果てしなく長く思えた。
ドクオが借りているアパートの一室に続く少しばかり長い坂道を、肩で息をしながら歩く。

('A`)「お前さ」

( ^ω^)「うん」

('A`)「五年後、自分がなにしてるか想像出来るか?」

( ^ω^)「なんだおそれ」

('A`)「いいから」

( ^ω^)「はぁ……」

 痛みで鈍った思考回路なりに、夢想してみる。

 五年後の自分は、そこらの工場にでも勤めて、毎日毎日よく分からない作業を繰り返し、安酒を片手に夜な夜な馬鹿なことをしている。

 ドクオにも、ハインにも、ギコにも、ショボンにも、それぞれの仕事があって、今のように毎日顔を合わせて馬鹿騒ぎなどは出来ないのかもしれない。
それでも、たまの休みには集まって、酒でも飲みながらどこの女とおまんこしただとか、そんなくだらない話に笑い転げているのだろう。

51 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:31:18 ID:4564RFO20

 それは今の延長線上でしかなくて、とてもリアリティが無くて、希望的観測でしかないのだと思う。

 そんな夢想の切れ目から顔を覗かせる、よく解らない何かを正しく見つめることが出来なかった。

 つらつらとそのようなことを語った。
言葉を吐き出す毎に、それは泡のようにぼくの頭から消え失せて、曖昧な記憶しか残らない。
痛みに悶えている時にする話でもないだろうと、ぼくはドクオを窘めた。

('A`)「わりぃわりぃ」

 そんな平謝りから、ドクオは口を開かなかった。

( ^ω^)「どうしてまたそんな話を?」

 坂道を登り終えた辺りで、ぼくは気になって尋ねてみた。

('A`)「別に、気になっただけだよ」

( ^ω^)「なんだおそれ」

('A`)「今の生活、いつまで続くのかなぁってよ」

( ^ω^)「どうだろうね」

('A`)「わかんねぇよな」

52 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:40:58 ID:4564RFO20

('A`)「何かしなきゃなって、思うんだ」

 風が吹きつける。
ぼくは、自分の耳元でたどたどしく口を開くドクオを、直視しなかった。

('A`)「でも何も出来てないんだ。やろうともしないんだ。それってよ、怠け者だと思うか?」

( ^ω^)「さぁ……それについてとやかく言えるほど大層な生き方してないし」

('A`)「戦争、してんだよな。この国って」

( ^ω^)「してるおね」

('A`)「海の向こうじゃ俺たちと同じ肌の色をした軍人がさ、片腕を吹っ飛ばされて、血反吐に塗れながらよ……自分の頭がテッポウで吹っ飛ばされるまで突き進んでんだよ」

( ^ω^)「兵隊さんが死ぬのが悲しいのかお?」

('A`)「まさか」

( ^ω^)「だおね」

 自然と、何かが抜けるような笑みが漏れた。
心なしか身体が軽くなったような気持ちになったが、ドクオが、何かを伝えようとしていて、その熱意のようなものに絆されて、ぼくは思うように言葉を紡げずにいた。

53 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:41:36 ID:4564RFO20

('A`)「お前、新聞とか読むか?」

( ^ω^)「今お前が言うまで、新聞が読むものだってことすら忘れてたお」

('∀`)「はっは、尻を拭くには固すぎるぜ」

 ドクオは笑った。笑って、いるのだろうか。
表情筋が、笑顔のようなものを形作る刹那を、ぼくは脳に焼き付けるように、注視している。

('A`)「海の向こうで繰り広げられてるドンパチは、俺たちにはとんとわからねぇ。でもさ、この国はもう孤立無援なんだよ。だぁれも助けてくれないんだ。いずれ色んな国の戦車が、我が物顔でこの国を踏み荒らすんだろうよ」

( ^ω^)「考え過ぎじゃないかお?」

('A`)「そうかもな、そうなんだろうな。でも、お前は気にならないのか?」

( ^ω^)「この国に負けてほしいとは思わないけど……だからってぼくが軍人になったって出来ることなんてたかが知れてるしね。それに、痛いのは嫌だし死にたくないお」

54 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:42:10 ID:4564RFO20

('A`)「俺だってそうさ。痛いのは嫌だし、軍人になんか絶対になりたくねぇ」

( ^ω^)「だから、お前は何が言いたいんだお?」

 きっと、ここにぼくら以外の誰かがいたら、ぼくはこの取り留めのない話にはやくピリオドを打ちたいがために、この言葉を吐き出すのだろう。

 けれど今は、違った。
ドクオが何を憂い、何を見据えて、何を為そうとしているのか、その答えを早く聞きたかった。

 ドクオが夜空を仰ぐ。
ぼくもそれに倣い、彼が見ている星を、見る。

('A`)「俺たちさ、もう選ばなきゃいけないんだ。何も知らないでやり過ごせる時間なんて、もうとっくに無いんだよ」

 疎らな星々の光は、ぼく達を、ぼく達の道を照らすにはか細い。
でも、それでもいいと思えるくらい――――

('A`)「だから――――」

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55 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:42:46 ID:4564RFO20
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56 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:43:18 ID:4564RFO20

 藪から出たぼく達は、手頃な木の幹に背を預け、夜が訪れるのを静かに待っていた。

 地平線と重なって滲む夕陽は、ぼくの意識を極限まで引き延ばし、吸い込もうとする。

 このまま静かに息を立てるハインの手を何も言わず握り、深く目を閉じることが出来れば、それは素敵なことなのだろうなと思った。

( ^ω^)「ハイン」

 五年前のあの日、言えなかったことを伝えるのに、今は適当とまでは言わずとも、悪くないタイミングなのだろう。

( ^ω^)「行きたいところがあるんだお」

 ハインは深く頷いた。

 その時、傍らから何かを引き摺るような、不可解な足音が聞こえてきて、ぼくは咄嗟に立ち上がった。

( ^ω^)「お前……」

 足音の主の姿を目視して、ぼくは自分の身体が少し強張る感覚に気付いた。

(,,゚Д゚)「ブーン……? ブーンなのか?」

57 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:43:52 ID:4564RFO20

从; ゚∀从「お前、こんなところほっつき歩いてなにしてんだ? 今日も仕事だって言ってたじゃねぇかよ……」

(,,゚Д゚)「だから、仕事中だよ」

 ハインがぼくと彼の間に割って入るように躍り出る。
ぼくからは彼女の背中しか見えないが、その背中からは、妙な焦燥感のようなものを感じた。

( ^ω^)「お前、ギコなのかお……?」

 ぼくは目の前にいる男がギコであるということを受け入れられなかった。

 ぼくが知っているギコは腕っぷしが強く、深く物事を考えるのが苦手で、口よりもまず手が出るような男だ。
それでいてぼくのように妙なところで捻くれたりはしていないので、竹を割ったような無頼漢といった印象を与える。

 ぼくより背丈が頭一つ分ほど高く、ぼくらより年も一つ上で、かつてのぼくは、色んな意味で彼を見上げていた。

58 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:44:27 ID:4564RFO20

(,,゚Д゚)「よぉ……ブーン……久しぶりだな。へへ……へへへ…………」

 今ぼくに卑屈な笑みを見せるこの男に、かつてのような印象は微塵も無い。

 頬はこけて、あれだけ逞しかった丸太のような腕もすっかり細くなってしまっていた。
目の周りが窪んでいて、そこから零れ落ちそうな眼球から落ちる視線が、ぼくの身体をなぞっている。

 なまじっか背が高いせいで、彼のシルエットがマッチ棒のようにか細く見えた。

( ^ω^)「お前、ちゃんと飯食ってるのかお?」

(,,゚Д゚)「ああ。ああ? メシ!? なんだ、飯食わせてくれるのか? ありがてぇ……」

 浅い呼吸を繰り返し、肩で息をしている。
その姿を見て、ぼくはただごとではないなと思い、ハインの横をすり抜けようとする。
が、ハインは腕を伸ばしてぼくを制してきた。

59 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:45:03 ID:4564RFO20

( ^ω^)「どけお」

从 ゚∀从「行こう、ブーン」

( ^ω^)「どけって言ってんだお。どうしたんだお」

从 ∀从「行こうっつってんだろ!!」

 悲鳴に近い怒号だった。
強引にぼくの手首を引き、そのまま引き摺ろうとしてくる。
それを無理矢理振り払い、ぼくはギコの方に向き直った。

从# ゚∀从「おいギコ! お前ブーンと話すんじゃねぇぞ!」

(# ^ω^)「何言ってんだお! いいから少し黙れお!」

 一喝し、ぼくは後ろから聞こえる金切り声のようなものの一切を聞き流す?

60 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:45:38 ID:4564RFO20

(,,゚Д゚)「なんだなんだい、二人とも仲が悪いなぁ。ほら、仲良くしないとだめだよ……へへ……」

 その目はよく見ると虚ろで、焦点が合ってない。
不意に漂ってきた異臭に、ぼくは思わず眉を顰めた。
ぼろきれ同然の衣類は黴臭く、それに小便を放置したような悪臭が入り混じって、胃の中のものがぐっと込み上げてくる。

( ^ω^)「お前、その腕……」

 すっかり細くなった手首を掴み、服の袖を捲る。
ちらついていた痕を始め、それに連なるように無数の注射痕をそこに確認し、ぼくは確信した。

( ^ω^)「馬鹿野郎……」

 外でもそういった手合いは何度か見かけたことがある。
重度の薬物中毒者だ。
最早そこに当人の自我と呼べるものなど無くて、毒に蝕まれた脳は正しく機能していないから、ギコのように指先を震わせる。
麻痺した左足を引き摺るこの歩き方が異常であることすらも、今のギコには解らないのだろう。

61 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:46:10 ID:4564RFO20

(,,゚Д゚)「ほら、ブーン。ハインとおまんこして仲直りしな?」

从# ゚∀从「てめぇ、ぶん殴ってやる!」

 背後からひしひしと伝わる怒気に、ぼくは思わず背筋を震わせた。
しかしだからといってこのままハインに彼を殴らせて、それを黙って見つめるつもりも無かった。

( ^ω^)「ギコ」

 先ほどハインがしたのと同じように腕を真横に伸ばし、彼女の動きを制する。

( ^ω^)「元気かお?」

 ぼくがギコを見上げていた頃、ぼくはどんな風に、彼と話していただろうか。
夢想し、その答えに繋がる糸を手繰り寄せても、あの時の再現など出来はしない。
それでも、せめて、毒に犯された彼の脳くらいは騙せるように、なんでもないような顔をして、ぼくは尋ねる。

62 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:46:52 ID:4564RFO20

(,,゚Д゚)「おお、おお! 元気だよ俺! 元気だぜ。うん、うん」

 ギコは口の端から涎を垂らしながら、譫言のようにそう言って、何度も何度も頷いた。

 視覚を遮ってしまいたかった。
深く瞼を閉じて、そっと両耳に手を当てて、動脈血が流れるだけを聞いていたい。
或いは、ハインの代わりにその痩けた頬を思い切り打ち、口が腐ってしまいそうな罵詈雑言を浴びせたい。

 だがそれをしてしまうことは、自分の中の色んなものを否定することになりそうな気がして――

 だからぼくは、全てを飲み込んで、笑顔のようなものを作る。

 それは液体を自分の両手のみで型に嵌めるような行為で、そのようにして頼りない型枠から零れ落ちたものが、自覚し得るほどに、ぼくの顔面の筋肉を引きつらせる。

( ^ω^)「そうかお」

(,,゚Д゚)「ふへ……嬉しいなぁブーン……ゆっくり話したいけど俺、仕事中だから! ほら、仕事は寄り道しちゃいけないんだ」

 ぼろ雑巾のようななりで、そんな風に誇らしげに胸を張るものだから、ぼくは眉間に集まる熱いものを堰き止めるように指で押さえ、俯いた。

63 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:47:24 ID:4564RFO20

(,,゚Д゚)「どうした? ブーン? 身体が悪いのか? ごめんな……俺今自分で使えるクスリ持ってなくてさ……」

 大丈夫だと返すと、ギコは虚ろなりにぼくを労っているようで、目頭を押さえたぼくの手を、震える手で握ってきた。

(,,゚Д゚)「今持ってるのはお客さんに渡さなきゃいけないんだ。だから、な。ごめんな。ほら」

 ぼくの手を掴んで自分の胸元に手繰り寄せ、ギコは、ポケットから何かを取り出し、それを握り隠したままぼくの掌に置いた。

 ギコの手が離れる。
ひび割れた一口大のビスケットが、裸のままぼくの手の中にある。

(,,゚Д゚)「ほら、お前、これ、好きだっただろ? だろ?」

 いくつの時の話だよ、と、ぼくは茶化したりしなかった。

 ぼくらが十歳かそこらの時だった。
当時街の近くにあった軍の駐屯地(今は戦況の変化によって跡地となっている)にコンテナで物資が運ばれていた。
幼さゆえ怖いもの知らずだったぼく達は、その中の甘味や煙草といった嗜好品をくすねて、売り捌いては小金を得たり、自分達で飲み食いしていた。

64 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:47:54 ID:4564RFO20

 その中で、ぼくはこの味気ないビスケットを当時好んでよく食べていた。
十代半ばともなれば互いに対等である認識を持っていたと思うが、それより以前となると、歳が一つ上のギコは、よく世話を焼いてくれていた。

 お前、これ好きだろ?

( ^ω^)「ギコ、ありがとう」

 当時のぼくが返したであろう礼が、頭の中で反芻する。
焦げ付いた脳内のフィルムの再現。その続き――

 ぼくは、ギコと同じようにして、彼の掌に宝の一粒を置いた。

( ^ω^)「あげるお」

 萌葱色のビー玉が、薄汚れたギコの手の中で、静かに光る。
ギコは、やつれた顔をくしゃくしゃにして笑った。

(,,゚Д゚)「ああ、ありがとうな」

 大事そうにそれを握り締め、ポケットに手を突っ込み、ギコは更に破顔する。
深く刻まれた笑い皺が、かつての面影を薄める。

 けれど、ギコは、何も変わっていなかった。

65 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:48:28 ID:4564RFO20

 足を引きずりながら懸命に歩くギコの、小さな後ろ姿を見送った。
彼の姿が見えなくなる頃、陽はすっかり沈んでいて、夜がぼくらを包み込んだ。

( ^ω^)「あいつの仕事って何なんだお?」

从 ゚∀从「クスリの運び屋」

( ^ω^)「そうかお」

 敢えて誰が見ても明らかな薬物中毒者である彼を抜擢する理由とは、つまりそういうことなのだろう。

 失ったところで痛くも痒くもない捨て駒。
ただでさえ自警団すらも怠慢が蔓延るこの街で、不必要に会話すらろくすっぽ成り立たない彼に近付く者などそうはいない。

 そのようにして、彼は生きながらにして死ぬ。

 停滞したこの街で、終わりという朧げな刃が首筋に突き付けられ、静かに肉が裂かれてゆくのを、まるで他人事を見るように見下ろしながら、死ぬ。

 それでいいのか?

 ハインに向けて言いたかったその言葉が、何故か自分の中に染み入るように、頭の中の小部屋で反芻する。

( ^ω^)「ハイン」

 夜空を仰ぐ視線をハインに落とし、ぼくは、石のように重い自分の口を、静かに開いた。

66 名前: ◆THPOzTMYUA[] 投稿日:2016/04/03(日) 22:49:01 ID:4564RFO20







( ^ω^)「行きたいところが、あるんだお」








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