( ^ω^)アロマキャンドル屋さんのようです

『目覚まし時計』

41 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:29:04 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「お待たせしましたー!ミセリ特製、ミントティーです」

(´・_ゝ・`)「ほう、ミントティーか」

( ^ω^)「ミセリちゃんのミントティーは世界一ですおー」

(´・_ゝ・`)「早速いただこうかな」

ゴクリ、と飲むと爽やかな香りと味が僕の体を駆け巡った。コーヒーしか飲まないが、このハーブティーが毎日飲めるならコーヒーから鞍替えしても良いと思えるような美味しさであった。

(´・_ゝ・`)「これは…凄く美味しいね」

ミセ*゚ー゚)リ「えへへ、ありがとうございまーす!」

( ^ω^)「ミセリちゃん。僕はデミタスさんとまだお話があるから一階の店番頼めるかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「了解でーす!ゆっくりしていってくださいね!」

(´・_ゝ・`)「あぁ、ありがとう」

ミセ*゚ー゚)リ「では、店番いってきまーす!」

42 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:30:43 ID:VLOeWGnA0

ドタドタドタドタ…

( ^ω^)「もう何も言うまい…」

(´・_ゝ・`)「若い子が元気なのはいい事さ。それにしても、彼女の作ったミントティーは素晴らしい香りだね」

( ^ω^)「おっおっ、では、ミントの香りをお気に召していただけたようなので、次のアロマキャンドルはコレにいたしましょう」

彼がアロマキャンドルに火を灯すと、部屋中ミントの香りに包まれた。

そのアロマキャンドルの色は綺麗な緑色で、まるで彼女の髪色のようであった。

43 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:31:35 ID:VLOeWGnA0



  .,、
 (i,)
  |_|

『目覚まし時計』


.

44 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:32:37 ID:VLOeWGnA0

チリンチリーン…

( ^ω^)「いらっしゃいませ…、お。今日も来てくれたのかお」

ミセ*゚ー゚)リ「だってこんな可愛い雑貨屋さん、他に無いですもん」

( ^ω^)「華の女子高生にそう言って貰えると嬉しいお」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁ、いつも眺めて帰るだけで申し訳ないけど…」

( ^ω^)「おっおっ、来てくれるだけで嬉しいお」

ミセ*゚ー゚)リ「ふふふ、聞いて驚くなかれ、ブーンさん!今日はちゃんと買い物に来たんですよ!」

( ^ω^)「おー!一体何をご所望ですかお?ミセリちゃん」

45 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:33:20 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「変わった目覚まし時計が欲しいです」

( ^ω^)「ふむ、変わった目覚まし時計…」

ミセ*゚ー゚)リ「爽快な目覚めが迎えられるような目覚まし時計ってありません?」

( ^ω^)「そんな目覚まし時計あったら是非僕が欲しいところだお」

ミセ*゚ー゚)リ「ちぇっ、それもそうですよね」

( ^ω^)「ごめんだお、今度仕入れの時に可愛い目覚まし時計も探しておくお」

ミセ*゚ー゚)リ「やった!楽しみにしてます」

( ^ω^)「初のお買い上げは是非その時にでも…」

46 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:34:01 ID:VLOeWGnA0

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ今日は前々から気になってたアロマキャンドル買おっかな」

( ^ω^)「お?気になってた奴なんてあったのかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「この香り、ブーンさんのオススメなんでしょ?いつも店内で焚いてるくらいなんだし」

( ^ω^)「……それは、どんな匂いがするか言えるかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「いやだなぁ、それくらい分かりますよ!ミントでしょ?」

( ^ω^)「…ミセリちゃん。世にも奇妙なアロマキャンドルが有るんだけど、見るだけ見てみる?」

ミセ*゚ー゚)リ「え?」

47 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:34:44 ID:VLOeWGnA0

ミセ*゚ー゚)リ「お店の二階ってこうなってたんだー、全然雰囲気違いますね」

( ^ω^)「オカルトショップ的なのもやってるんだお」

ミセ*゚ー゚)リ「なるほどー、だからレジの隣に生首なんか置いてあるんですね」

('A`)

( ^ω^)「そういうことだお。あ、今からアロマキャンドル持って来るからソファに座って待っててくれお」

ミセ*゚ー゚)リ「はーい」

48 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:35:25 ID:VLOeWGnA0

ミセ*゚ー゚)リ「…」

('A`)

ミセ*゚ー゚)リ「それにしても、あの生首。本物みたい、今にも動きだしそうね」

「女の子なんて、俺無理ですよ!」

「大丈夫だって、相手もお前をみたら断るはずだお」

ミセ*゚ー゚)リ「ん?ブーンさんと誰かの声…それにミントの匂いがかなり強くなってる気が…」

49 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:36:25 ID:VLOeWGnA0
( ^ω^)「ミセリちゃん、君が欲しがった香りのアロマキャンドルはこいつだお」

ミセ*゚ー゚)リ「え」

(; ゚д゚ )「……」

ミセ*゚ー゚)リ「やたら眼力の凄い生首ですね」

( ^ω^)「凄いのは眼力と生首なところだけじゃないお。ほれ、自己紹介しろお」

( ゚д゚ )「…」

( ;^ω^)「この野郎…ただの生首の振りをするつもりかお」

ミセ*゚ー゚)リ「ただの生首っていうのも凄いことなんですけど…」

50 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:37:06 ID:VLOeWGnA0

( ^ω^)「…仕方ない、ドクオ、こっちに来てお前代わりに紹介してやってくれお」

ミセ*゚ー゚)リ「へー、ブーンさんの他にもお店で働いてる人いたんですね」

( ^ω^)「人っていうか…」

ゴトン…!
ゴロゴロ…

('A`)「君がミセリちゃんか、可愛い子だな」

ミセ*゚ー゚)リ「うわー、転がりながら話す生首初めて見ました」

('A`)「なんだよ、全然驚かねぇのな」

ミセ*゚ー゚)リ「ホラー映画とか小説好きだからかな?」

( ^ω^)「この非現実的出来事をそれで済ませちゃうミセリちゃん凄いお…」

('A`)「最近の女子高生怖ぇ…」

51 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:38:00 ID:VLOeWGnA0

ミセ*゚ー゚)リ「えーと、この転がる生首君が喋るってことは、ブーンさんが抱っこしてるその子も喋るんですか?」

(; ゚д゚ )「…」

( ^ω^)「喋るお。でもコイツ、シャイだから今だんまりを決め込んでるんだお」

('A`)「ちなみに、そいつの名前はBOON生首アロマキャンドルシリーズNo.37、ミルナだ」

ミセ*゚ー゚)リ「ふぅん。君、ミルナって言うんだ」

(; ゚д゚ )「……どうせ買わない奴に名乗る必要なんてないのに、ドクオのバカ」

ミセ*゚ー゚)リ「おぉ、本当に喋った!」

( ;^ω^)「…とまぁ、こんな癖のあるアロマキャンドルなんだお」

ミセ*゚ー゚)リ「へぇ」

52 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:38:45 ID:VLOeWGnA0
( ゚д゚ )「マスター!俺を箱に戻してくださいよ、どうせ俺は誰にも売れないんだから」

ミセ*゚ー゚)リ「そうですね、箱に入れてあげてください」

( ;^ω^)「…おー、了解だお」

ミセ*゚ー゚)リ「可愛いラッピングしてくださいね。初めてのお買い物なんだし」

( ;^ω^)「お?」

ミセ*゚ー゚)リ「この子買います」

( ゚д゚; )「はぁ!?」

(;'A`)「お嬢ちゃん、そりゃまたなんで…」

ミセ*゚ー゚)リ「ミントの香りが凄い好きだし、それに良い目覚まし時計になるなぁって」

( ゚д゚ )「…は?」

53 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:39:31 ID:VLOeWGnA0

( ;^ω^)「え、もしかして目覚まし時計としてご購入?」

ミセ*゚ー゚)リ「だって喋れるし、転がって動けるんですよね?リビングとかで寝過ごしても起こしに来てくれるじゃないですか。それにこのミントの香りで毎朝爽快な気持ちになれるだろうし、私の求めてた変わった目覚まし時計にピッタリですよー」

( ^ω^)「確かに…」

(; ゚д゚ )「ちょっと、マスター!?納得しないでくださいよ!」

('A`)「まぁ、どういう用途で使うかはお客様の自由だしな」

(; ゚д゚ )「嫌だぞ、俺は絶対!」

ミセ*゚ー゚)リ「おいくらですか?」

( ^ω^)「ミセリちゃんが目覚まし時計買おうとしてたお金でいいお」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、これでお願いしますー」

('A`)「毎度ありー」

(; ゚д゚ )「そんなぁ…」

54 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:40:18 ID:VLOeWGnA0

ミセ*゚ー゚)リ「はい、我が家到着ー」

( ゚д゚ )「…はぁ」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、そういえば自己紹介してなかったね。私の名前はミセリ、今日からよろしくねミルナ!」

( ゚д゚ )「…」

ミセ*゚ー゚)リ「えーと、このベッドの上のスペースがミルナの領地ね。朝になったら起こしてね」

( ゚д゚ )「目覚まし時計って…、俺はアロマキャンドルなのに…」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなの分かってるよ。ミルナのミントの香りが好きでブーンさんのお店通ってたんだし」

( ゚д゚ )「…ミントの香りが好きなのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、凄く!私が淹れるミントティーは凄く美味しいんだよ、お父さんも褒めてくれるの!」

( ゚д゚ )「そうか」

ミセ*゚ー゚)リ「アロマキャンドルでもミントティーは飲めるの?」

( ゚д゚ )「俺はマスターに作られた特別なアロマキャンドルだからな、飲めるぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ淹れてきてあげるね!」

ドタドタドタドタ…

( ゚д゚ )「…騒がしい奴」

55 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:41:03 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「手がないから飲みづらいと思ってストローも持ってきたよ」

( ゚д゚ )「あぁ、助かる」

ミセ*゚ー゚)リ「飲んで飲んで!」

( ゚д゚ ) ゴクゴク…

(; ゚д゚ )「こ、これは…!」

ミセ*゚ー゚)リ「ねぇねぇ、どう?どう!?」

(;* ゚д゚ )「凄く美味い…」

ミセ*゚ー゚)リ「でしょー?私、ミントティーを淹れるのだけは上手いんだよねぇ」

( ゚д゚ )「お店開けるレベルだぞ、これは」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなに言われると照れるよー。…それにしてもよかった」

( ゚д゚ )「何がだ?」

ミセ*゚ー゚)リ「ミルナ、緊張解けたみたいで」

( ゚д゚ )「あ…」

ミセ*゚ー゚)リ「改めて、これからよろしくね。ミルナ」

56 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:41:44 ID:VLOeWGnA0
( ゚д゚ )「……時間は」

ミセ*゚ー゚)リ「え?今は夜の9時だけど…」

( ゚д゚ )「違う。…お前を起こすべき時間だ」

ミセ*゚ー゚)リ「わぁ、目覚まし時計やってくれるんだね!ありがとう、ミルナ!」

( ゚д゚ )「俺は与えられた仕事をこなすだけだ」

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ明日から早速宜しくね!」

( ゚д゚ )「あぁ」

57 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:42:36 ID:VLOeWGnA0

(# ゚д゚ )「おい、いい加減起きんか!!!!」

ミセ*-ー-)リ スピー…スピー…

(# ゚д゚ )「こうなったら…どりゃ!!」

ドスン!

ミセ;*゚ー゚)リ「ぐっはぁ!!??」

(# ゚д゚ )「やっと起きたか、馬鹿者め」

ミセ;*゚ー゚)リ「お腹に落ちて来るなんて酷いよ…いてて」

(# ゚д゚ )「お前がいくら起こしても起きないからだ。ほら、さっさと準備しろ、学校に遅刻するぞ」

58 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:43:19 ID:VLOeWGnA0
ミセ*^ー^)リ「…えへへ」

( ゚д゚ )「何をにやけているんだ、お前は」

ミセ*゚ー゚)リ「何でもないよ!ミルナは朝ご飯なに食べる?」

( ゚д゚ )「俺はアロマキャンドルだから飯は食わなくていい」

ミセ*゚ー゚)リ「えー…一緒に朝ごはん食べようよ」

( ゚д゚ )「娘が生首を食卓に持ってきたら両親が心配するぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「金曜日以外はこの家は私一人だから大丈夫だよ」

( ゚д゚ )「そうなのか。そういえば昨日もお前だけだったもんな」

ミセ*゚ー゚)リ「だから一緒にご飯食べよう、ね?」

( ゚д゚ )「…俺はミントティーだけでいい」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、わかった!」

59 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:44:00 ID:VLOeWGnA0
( ゚д゚ )「今日は金曜日だな、ミセリ」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだねー」

( ゚д゚ )「俺のことどっかに隠した方が良いんじゃないか?両親が見たら度肝抜かすぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫だよー、私の部屋には入ってこないと思うし」

( ゚д゚ )「ならいいが…」

ガチャ

「ミセリ、ただいまー」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、お父さん帰ってきた」

( ゚д゚ )「ほら、家族団欒してこい」

ミセ*゚ー゚)リ「わかったー」

ドタドタドタドタ…

( ゚д゚ )「一週間に一回しか帰ってこないなんて、よほど忙しい仕事でもしてるんだろうか…」

60 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:44:43 ID:VLOeWGnA0

( ゚д゚ )「…まぁ、久々に父親と飯食えて良かったな。ミセリ…」


ガシャアアアアアン!!!!

(; ゚д゚ )「!?」

「だから………!!!!」

「お前と言う娘は……いい加減に……!」

ドカッ!!!

「どうしてお父さんの言うことを……!!」

バキッ!!!

「……また一週間後にくる」

ガチャン

61 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:45:23 ID:VLOeWGnA0

(; ゚д゚ )「……」

(; ゚д゚ )「み、ミセリの奴、食器でも割ったんだろうな。ドジだし」

(; ゚д゚ )「きっとそれに怒った父親が壁か何かを殴って、そう、そうだ、そうに違いない…」

(; ゚д゚ )「…」


ゴトン…

ゴロゴロ ゴロゴロ…


(; ゚д゚ )「おい、なんかあったのか、ミセ…」

(; ゚д゚ )「!!」

62 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:46:23 ID:VLOeWGnA0

ミセ#%ー゚)リ「…お、その声はミルナだねー?」

(; ゚д゚ )「お、お前顔凄い腫れて…それに鼻血も出てるし!」

ミセ#%ー゚)リ「そうだねー、良かったよ、今日は何時もより機嫌良かった見たいで」

( ゚д゚ )「は…?」

ミセ#%ー゚)リ「今日は服脱がされて変なことされなくて良かったー、あれ疲れるし痛いから一番嫌いなんだよね」

( ゚д゚ )「……俺可笑しいのかな」

ミセ#%ー゚)リ「何が?」

( ゚д゚ )「無いはずの心臓が、締め付けられるような気分だ。俺に心臓があったら今の動悸はかなりの速さだ」

ミセ#%ー゚)リ「…それはミルナが優しい証拠だね。でも大丈夫だよ、私、慣れっこだから」

(; ゚д゚ )「慣れっこって、お前一体何年前からこんな生活を…!」

ミセ#%ー゚)リ「…あ、そうだミルナにお願いが有るんだけど」

( ゚д゚ )「なんだ?何でもいってみろ」

63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:47:03 ID:VLOeWGnA0

ミセ#%ー゚)リ「明日友達と遊ぶから11時には起こしてくれる?」

(; ゚д゚ )「は?」

ミセ#%ー゚)リ「やっぱり動ける目覚まし時計っていいね、普通の目覚まし時計だったら廊下で寝ちゃう時とか起こしてくれないし…」

( ゚д゚ )「…俺は目覚まし時計じゃないぞ」

ミセ#%ー゚)リ「分かってるよ、ミルナは最高のアロマキャンドルだよ。…眠いからもう寝るね、ちゃんと明日起こしてね」

( ゚д゚ )「…あぁ、ちゃんと起こすさ」


( ゚д゚ )「お前がどこで寝ようとも、俺が必ず…」

64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:47:44 ID:VLOeWGnA0

('A`)「ミルナの奴、いいよなー。あんな可愛い子に買われるなんて」

( ^ω^)「僕だったらミセリちゃんには買われたくないお」

('A`)「何で?」

( ^ω^)「…きっと、自分の無力さ故に、彼女を見るのが辛くなると思うから」

('A`)「なんじゃそりゃ」

( ^ω^)「とにかく、人一倍思いやりなミルナには酷な所に行かせてしまったお」

('A`)「ふーん…?」

65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:48:37 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「あー、勉強分かんないなぁ」

( ゚д゚ )「そんなのも分からんのか」

ミセ*゚ー゚)リ「む。じゃあミルナは分かるの?」

( ゚д゚ )「言っとくけど、俺はマスターの作った作品の中でも随一の頭の良さだぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「へぇー、じゃあこの問題教えて」

( ゚д゚ )「これはだな……ということだ」

ミセ;*゚ー゚)リ「おお、すごい!本当に頭いいんだね!」

( ゚д゚ )「まぁな」

66 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:49:31 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「ミルナに勉強教えて貰えれば次のテストは良い点取れるかもだね!」

( ゚д゚ )「目覚まし時計よりも俺に相応しい頭脳的な仕事だな、任せろ。明日からバシバシ叩き込んでやる」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、じゃあ、明後日からお願いしよっかな」

( ゚д゚ )「なんだ?やる気が出た時からやらないとダメだぞ、ミセリ」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、そうしたいんだけど、明日は金曜日だからさ」

( ゚д゚ )「……金曜日か」

ミセ*゚ー゚)リ「やだなぁ、ミルナったら。そんな落ち込まないでよ」

(; ゚д゚ )「金曜日だけ誰かの家に泊めて貰うとか出来ないのか?なんだったら、俺がマスターに頼んでやる」

ミセ*゚ー゚)リ「一時的には逃げられても、ずっとは逃げられないよ、ミルナ」

67 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:51:07 ID:VLOeWGnA0

( ゚д゚ )「…俺は金曜日が大嫌いだ」

ミセ*゚ー゚)リ「私も前までは金曜日大嫌いだったよ」

( ゚д゚ )「今は違うのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、だって目を覚ましたらミルナが側に居てくれるもの。傷だらけで身体中痛いけど、ミルナのミントの香りに包まれると痛くなくなるんだよー」

( ゚д゚ )「俺の匂いでお前が癒されるなら、俺はこの身がいくら溶けたって良いぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「ダメだよ、そんなの。溶けちゃダメだからね!」

( ゚д゚ )「しばらくは溶ける予定はない」

ミセ*゚ー゚)リ「私に許可なく溶けたら許さないんだから!」

(; ゚д゚ )「無茶苦茶な…」

ミセ*゚ー゚)リ「あー、でもいいな。私もミルナみたいな存在に生まれたかったなぁ」

( ゚д゚ )「生首だぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「良いじゃない、生首。可愛いし」

( ゚д゚ )「お前の美的センスはわからん…」

ミセ*゚ー゚)リ「生首に生まれたい人生だったなー」

( ゚д゚ )「俺は人間に生まれたかったけどな」

ミセ*゚ー゚)リ「なんで?」

( ゚д゚ )「…秘密だ秘密。ほら、さっさと寝ないと明日遅刻するぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「ちぇっ、仕方ないなぁ。おやすみ、ミルナ」

( ゚д゚ )「おやすみ、ミセリ」

68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:51:56 ID:VLOeWGnA0
('A`)「ブーン、これなんて読むんだ?」

( ^ω^)「お?ブーンにも分からんお、ミルナに聞いてくれお」

('A`)「馬鹿、ミルナはもういないだろ」

( ;^ω^)「あー、そうだったおね」

('A`)「…やっぱり、ミルナが居ないと寂しいな」

( ^ω^)「そうだおねー、数少ない男アロマキャンドルだったし」

('A`)「ミルナ返品されないかなー」

( ^ω^)「それは絶対ないお」

('A`)「ミセリちゃん飽きそうじゃない?」

( ^ω^)「例えミセリちゃんが飽きたとしても、ミルナが離れないと思うお」

('A`)「そんな熱い男だっけか?あいつ…」

69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:52:50 ID:VLOeWGnA0

ミセ*゚ー゚)リ「この英文が分かんないんだよねぇ…」

( ゚д゚ )「だからこれは決まり文句で…」

ガチャ

「ミセリ、ただいま」

( ゚д゚ )「…」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、お父さん帰ってきた。勉強は明日ね、ミルナ」

( ゚д゚; )「…ミセリ、行くな」

ミセ*゚ー゚)リ「行かないともっと痛い目に合わされちゃうよ」

( ゚д゚; )「俺と逃げよう、マスターに頼んでなんとかして貰うさ」

ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう、ミルナ。本当にミルナは優しいね、気持ちだけもらっておくよ」

( ゚д゚ ;)「あ、ミセ…」

ドタドタドタドタ…

70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:53:30 ID:VLOeWGnA0



( ゚д゚ )「…俺が人間なら、ミセリを守れたのに」

( ゚д゚ )「俺に、手足があればミセリの父親を殺せたのに」

( ゚д゚ )「俺はミセリの願い事を何も叶えられない無力な存在なのか…?」


( ゚д゚ )「…いや、あるじゃないか。俺でもミセリの願い事を一つだけ叶えることが…!!」

71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:54:15 ID:VLOeWGnA0

「おかえり、お父さん」

「ミセリは本当に可愛いなー」

「ありがとう」

「あぁ、本当に亡くなった母さんにそっくりで……」

「…」

「ああああああ!!!!お前が、お前が産まれさえしなければアイツは、アイツは死ななかったのに!!」

バキッ!!

「ごめ、ごめんなさい…お父さん」

「せめて似てなければ、良かったのに!そしたらアイツのことも時間と共に忘れられたのに!」

ドカッ!!!!

「カハッ…!」

「ミセリ、俺はお前を愛してるよ!ミセリ!あぁ、そうだ、そうだとも、俺はお前を愛してる!」

「やめ、お父さん、服脱がさないで…」

「うるさい、口答えするんじゃ…」

72 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:54:55 ID:VLOeWGnA0
ゴロゴロ ゴロゴロ…

「…な、なんだ。この生首は!?」

「え、ミル…」



グチャッ!!!!




「…な、うわああああああああ!!!!!!」

.

73 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:56:08 ID:VLOeWGnA0


( ^ω^)「…」

□『昨夜、vip町で父親が娘の首を噛み切ろうとする事件が起きました』

□『恐ろしい事件ですね』

□『なお、娘さんは偶然悲鳴を聞いた近所の方によって一命を取り留めたようです』

□『容疑者は「俺じゃない。生首が娘の喉元に食らいついて食い殺そうとしたんだ」などと供述しているようです』

□『前々から暴力を振るってた見たいですね』

□『なんともまぁ、恐ろしい事件ですよ』

74 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:57:06 ID:VLOeWGnA0

( ^ω^)「……何か、いうことは?」

(; ゚д゚ )「すいませんでした」

( ^ω^)「この馬鹿たれが」

(;'A`)「お前…ミセリちゃん守るなら分かるけど、なんで首を落とそうとしたんだよ」

(; ゚д゚ )「…ミセリが、俺みたいに生首になりたいって言ってたから」

( ;^ω^)「そんな言葉を真に受けるんじゃないお!お前、僕がたまたまミセリちゃん家の近くを散歩してたから良かったものの、普通だったら死んでたお!?」

('A`)「ぶっちゃけどれくらい首と身体離れちゃってたわけ?」

( ^ω^)「ほぼ取れてたお」

(;'A`)「こえー!」

75 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:57:50 ID:VLOeWGnA0
( ゚д゚ )「痛い思いさせたく無かったから、一発で仕留めようと思って…」

(;'A`)「そんなところに思いやりの気持ち発揮させてんじゃねーよ」

( ゚д゚ )「マスターはお見舞い行ったんですよね?…ミセリは俺のこと返品するとか言ってましたか?」

( ^ω^)「それで済めば良かったけど、そうも行かないんだお」

('A`)「まぁ、殺人未遂だしな」

( ゚д゚ )「じゃあ何と…?」

( ^ω^)「一ヶ月後にわかるお」

( ゚д゚ )「一ヶ月後…?」

76 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:58:32 ID:VLOeWGnA0


('A`)「今日で一ヶ月たったな、ミルナ」

( ゚д゚ )「あぁ、どんな処分が下されるんだろうか…」

チリンチリーン!

ドタドタドタドタ…!

「こら、お淑やかにするおー」

('A`)「ん?なんだ、騒がしいな…」

( ゚д゚ )「この足音は…!」

77 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 03:59:35 ID:VLOeWGnA0




ミセ*゚ー゚)リ「ただいま、ミルナ!無事生きて帰って来たよ。これからまた仲良くしようね!」


( ゚д゚ )「…おかえり、ミセリ。もちろんさ、一生一緒だ」

78 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 04:00:55 ID:VLOeWGnA0


   )
  i  フッ
  |_|


( ^ω^)「…というわけで、僕はミセリちゃんを引き取ってアルバイトしてもらってるんですお」

(´・_ゝ・`)「確かに娘の首を噛み切ろうとした事件がvip町で起きたのは覚えているが…」

( ^ω^)「いやはや、あの時ばかりは焦りましたお」

(´・_ゝ・`)「しかし、だとしたらミセリちゃんは死人なのかい?」

( ^ω^)「いやいや、ちゃんと息のあるうちにくっ付けましたから人間ですお、傷が少し残ってしまいましたけど…」

79 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 04:01:45 ID:VLOeWGnA0
ドタドタドタドタ…!

ミセ*゚ー゚)リ「お茶菓子もってきましたよー!」

(´・_ゝ・`)「ありがとう、ミセリちゃん」

( ^ω^)「お客様来たかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「来てないよ」

( ^ω^)「まぁ、ですおねー…」

チラリと彼女の首元を見る、こんなに暑いというのに第一ボタンまでワイシャツをしめていた。まさか傷を隠すために…?

(´・_ゝ・`)「…そんなわけないか」

全てフィクションに決まってる、そもそも生首アロマキャンドルの時点からこの話には現実味がない。

80 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 04:03:07 ID:VLOeWGnA0
ミセ*゚ー゚)リ「ねー、疲れたから自分の部屋帰って元気回復して来て良い?」

( ^ω^)「おっおっ、いいお」

(´・_ゝ・`)「自室にもどって何をするんだい?」

ミセ*^ー^)リ「ミントの香りがする目覚まし時計を抱き締めながら、かけがえのない時間を過ごして来るだけですよ」

(´・_ゝ・`)「ミントの香りがする目覚まし時計…それって、もしかして」

( ^ω^)「デミタスさん、お茶菓子食べましょうお?」

(´・_ゝ・`)「それもいいんですが…」

( ^ω^)「…食べ終わったら、次のお話をしますお」

(´・_ゝ・`)「じゃあ、いただきます」

何故だろうか、店主の顔色が暗くなった。声のトーンもワントーン下がったような気もする。


…次の話は、どんな話なのだろうか?

81 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/16(日) 04:04:56 ID:VLOeWGnA0
二本目、ミントのアロマキャンドル
『目覚まし時計』
おわり。

inserted by FC2 system