( ^ω^)アロマキャンドル屋さんのようです

『ミロのヴィーナス』

1 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/08/15(土) 03:47:55 ID:0kBuvM6M0
2015年 百物語参加作品

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 (i,)
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2 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:50:56 ID:0kBuvM6M0
事の発端は、締め切りまであとわずかだと言うのに原稿が真っ白で、二進も三進も行かなくなってしまったことから始まる。
…ともかくネタが無かったのである。
物書きとして飯を食っているのだから、何か書かなくてはいかない。だからと言って、あんまりにも低俗なものは書くわけにはいかない。

息抜きに、歳は離れているが仲の良い彫刻家に電話をかけ、なんでも良いからネタになりそうなことはないかと聞くと
「それならいい店がありますよ」
と紹介され、急いで教えてもらった店に訪れた。

3 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:51:36 ID:0kBuvM6M0
店の外見は西洋チックで、なるほどオシャレなお店である。蔦を一面に纏わせた家はそれだけで絵になる、もし一軒家を建てることがあったら是非とも我が家も蔦を纏わせたいものである。もっとも、一人暮らしの自分には今の築40年のアパートでも十分なのだが…

チリンチリーン…

( ;^ω^)「…あのー、お客様でしょうかお?外は暑いし中に入ったらいかがですかお?」

中から真っ赤なシルクハットを被った色白で、真っ白なスリーピースのスーツを着た青年がベル付きのドアを開けて現れた。

その容貌はまるで、燃えているろうそくの様であった。

4 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:52:54 ID:0kBuvM6M0



( ^ω^)アロマキャンドル屋さんのようです


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5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:53:54 ID:0kBuvM6M0

恐らく店主であろうこの青年に招き入れられて、私は店内に入ることになった。店内には色々な雑貨が置いてあったが、特にアロマキャンドルは多く置かれていた。オススメのキャンドルを焚いているのか、店内は甘ったるい匂いが充満していた。しかし、不思議と嫌な匂いでは無かった。

( ^ω^)「お客様、今日は何をお求めでしょうか?」

私は自分が物書きで、ネタを探して親しい彫刻家からこのお店をオススメされたことを話した。

( *^ω^)「おー、物書きさんですかお!僕にお手伝いできることがあるなら手伝いますお」

気持ちはありがたいが、特に変わった物が売ってるわけでもなく、一番変わっていたのは店主本人であった。
…この店主をモデルに話を書くのは有りかもしれない。そうとなれば、ネタが湧きそうな内に早々に切り上げて帰るのが妥当だろう。
取り敢えず手ブラで帰るのもあれなので、今店内で焚いているアロマキャンドルを売ってくれと店主に告げた。すると店主は一瞬表情を変え、またニコニコした笑顔に戻り、

( ^ω^)「…おっおっおっ、流石、お目が高いですお」

と言いながら私を店の二階へと通した。
一階のオシャレで明るい雰囲気とはガラッとかわり、何か薄暗く不思議な雰囲気が漂っていた。オカルトチック、というのが当てはまるような部屋であった。

6 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:54:51 ID:0kBuvM6M0

( ^ω^)「お客様は、この作品の彫刻家さんに僕のお店を紹介されたんですおね?」

店主が手に持っていたのは間違いなく、彼の作品であった。彼の独特な作品はこの部屋にマッチしていた。

( ^ω^)「小説のネタが欲しいというご要望でしたので、まずはこの彫刻家さんのお話をさせて頂きますお」

彼の話を…?

( ^ω^)「あ、そういえば自己紹介がまだでしたおね。僕はこの店の店主、皆からブーンと呼ばれてますお」

そういえば私も職業だけ告げて、名前はまだ名乗っていなかった。いい歳をしてるのに我ながら非常識な大人である。

7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:55:32 ID:0kBuvM6M0

(´・_ゝ・`)「私の名前は盛岡デミタス、デミタスと呼んでくれ」

( ^ω^)「はい、デミタスさん、よろしくお願いしますお」

(´・_ゝ・`)「ところで僕にどうして彼の話を…?」

( ^ω^)「きっとネタになりますおっおっおっ」

ネタになると言われたら聞かない訳には行かない。

( ^ω^)「普通に話すのはつまらないですから、アロマキャンドルの匂いを嗅ぎながら聞いてくださいお」

そう言って彼は紫色のアロマキャンドルに火を灯した。
この匂いは…

( ^ω^)「ではお話を始めますお」

8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:56:13 ID:0kBuvM6M0


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『ミロのヴィーナス』


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9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:57:00 ID:0kBuvM6M0

( *^ω^)「あなたが彫刻家のヒッキーさんですかお!お待ちしてましたお!」

(-_-)「今回はお仕事を依頼して頂きありがとうございます」

( *^ω^)「個展で見たヒッキーさんの人魚像、すごく可愛かったですお。僕は可愛物に目が無いんですお」

(-_-)「まぁ、ファンタジーな彫刻を依頼されることが多いので…」

( *^ω^)「期待の天才彫刻家って言われてますおね、そんな人が僕のお店に飾る彫刻の依頼を受けてくれるなんて…感激ですお」

10 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:57:46 ID:0kBuvM6M0

(-_-)「僕、アロマキャンドルに興味があるから良いかなぁと」

( ^ω^)「アロマキャンドルが好きなんですかお?それは嬉しいですお、良かったらオススメのアロマキャンドルを持ってきましょうかお?」

(-_-)「それも良いけど、今店内で焚いてるアロマキャンドルを売っていただけませんか?ラベンダーの香りですかね。でも、普通のラベンダーとは違うな…」

( ^ω^)「……流石ですお、お目が高いですおー。これは特別な、僕にしか作れないアロマキャンドルなんですお」

(-_-)「へぇ、店主さんが作ったアロマキャンドルなんですか、凄いですね。是非とも売って頂きたいです」

( ;^ω^)「売るのは構わないのですが、実物を見た後でもヒッキーさんが買いたいと思うかどうか…」

(-_-)「見た目なんて気にしませんよ、そんなこと」

( ^ω^)「まぁ、実物を見てから決めてくださいお。ぬか喜びさせるのは可哀想だし…」

(;-_-)「ぬか喜び…?」

( ^ω^)「取り敢えず二階に来てくださいお」

11 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:58:28 ID:0kBuvM6M0

(;-_-)「なんだか一階とは雰囲気が全く違うんですね」

( ^ω^)「オカルトチックでしょ?実はオカルトショップも二階でやってるんですお、知る人ぞ知る店ですお」

(-_-)「なるほど…」

('A`)

(*-_-)「このレジの隣に置いてある生首の像なんて凄いですね、まるで本物みたいで…」

12 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:59:16 ID:0kBuvM6M0

('A`)「そりゃあどうも」

(-_-)「」

( ;^ω^)「あ、お前急に喋るなお!」

('A`)「いやぁ、褒められることなんて中々無いからな、つい…」

(-_-)

('A`)「えーと、なんだ、すまないな、先生」

( ^ω^)「…失神しちゃってるじゃないかお」

(;'A`)「…いや、本当ごめんなさい」

13 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 03:59:58 ID:0kBuvM6M0

(;-_-)「仕事のし過ぎで僕は疲れているんでしょうか…幻覚が見えた気が…」

( ^ω^)「残念ながら現実ですお」

('A`)「まぁまぁ、今お茶でも持って来るからさ、ゆっくりして行ってくれよ」ゴロゴロ…

(;-_-)「生首がゴロゴロしながら移動してる…」

( ^ω^)「まぁ、手足が無いですから」

(;-_-)「そりゃそうでしょうけど…」

( ^ω^)「おっおっ、買う気失せたでしょ?」

(-_-)「えっ?」

( ^ω^)「僕の作るアロマキャンドルは、アイツ見たいに全部生首型なんですお」

('A`)「お茶もってきたぞー」ゴロゴロ…

14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:00:42 ID:0kBuvM6M0

(;-_-)「…な」

( ;^ω^)「可愛いもの好きなヒッキー先生にはやっぱり…」

(*-_-)「なんて素敵なんだ!」

( ;^ω^)「お?」

(*-_-)「是非とも売ってください!生首型の、しかもしゃべるアロマキャンドルなんて見たことも聞いたこともない!」

('A`)「こんなアロマキャンドルが世の中に沢山あってたまるかよ」

( ;^ω^)「ドクオを見たら買いたくなくなるかと思ったんだけど、意外だったお…」

('A`)「俺を基準に使うんじゃねぇ」

( ^ω^)「だってちゃんと大事にしてくれる人じゃないと僕の作品売りたくないし…」

15 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:01:24 ID:0kBuvM6M0
(-_-)「是非売って欲しいですが、彼からはラベンダーの香りがしませんね…」

( ^ω^)「その通りですお、ラベンダーの香りは違う生首アロマキャンドルの匂いですお」

('A`)「ラベンダー…ってことは、アイツか」

(*-_-)「連れて来てください!」

( ^ω^)「良いですけど…大人しい奴というか、ドクオみたいに活発ではないですお?」

(-_-)「構いませんよ」

( ^ω^)「じゃあ連れて来ますお」

16 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:02:06 ID:0kBuvM6M0

(*-_-)「しかし、こんな不思議なアロマキャンドルが世の中にあったとは…あー、久々に外でて良かった」

('A`)「なんだ?先生、ヒキコモリなのか?」

(*-_-)「ご飯とか、仕事で外に出る時以外は家から出ないかなー。だから、喋るアロマキャンドルなんて、嬉しいな。一人で寂しいと思うことも無くなるし!」

('A`)「あの女もヒキコモリっぽいし、お似合いっちゃお似合いだな」

(;-_-)「え、女…?」

( ^ω^)「連れて来ましたおー」

(;-_-)「あの、ちょっと、僕、女の人は苦手…!」

17 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:02:50 ID:0kBuvM6M0

川д川

( ;^ω^)「えーと、器量はあんまりいい方ではない作品ですが、性格と香りはとてもいい子なんですお!」

('A`)「匂いが良いのはアロマキャンドルとして当たり前だろうが」

川д川「…ドクオ君、呪うよ?」

(;'A`)「おー、怖い!アロマキャンドルより百物語用のロウソクの方がお似合いだぜ」

( ;^ω^)「やっぱり、ヒッキー先生の美的センスに叶う様な子では…」


(-_-)「なんて、美しいんだ…」


( ^ω^)「え」

(;'A`)「は!?」

川;д川「!?」

18 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:03:48 ID:0kBuvM6M0
(-_-)「僕が持ってみても良いですか?」

( ;^ω^)「え、えぇ、そりゃ、いくらでも…」

(-_-)「素晴らしい…なんて精巧な作り、髪もロウで作られているとは思えないような、まるで本物の人間の髪の様…。それにこのラベンダーの香り、今まで嗅いだ中で一番の香りだ」

川//д//川「顔近いです…」

(;*-_-)「え、あ!ご、ごめん」

(;'A`)「貞子が美しいって、先生の美的センスはどうかしちまってるんじゃねーのか…」

( ^ω^)「僕が作った作品の中でも、器量が悪い方なんだけど…まぁ、その分香りは確かにレベル高いけど」

19 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:04:57 ID:0kBuvM6M0

(-_-)「僕の名前はヒッキー、君の名前は?」

川д川「私の名前はBOON生首アロマキャンドルシリーズNo.2、貞子です」

('A`)「初期シリーズで売れてないのはこいつだけだ、いわゆる売れ残り」

川д川「ドクオ君…」

(-_-)「きっと僕が買うために売れていなかったんだよ」

川//д川「え、えぇ…きっと…」

( ;^ω^)「では、お買い上げと言うことでよろしいですかお?」

(-_-)「はい!いくらでも払います!」

( ^ω^)「…じゃあ依頼してる彫刻代と交換とかできたり?」

(-_-)「それでいいんですか?お安い御用ですよ!」

( ^ω^)「よっしゃ」

('A`)「毎度ありー」

川*д川「やっと売れた…」

20 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:05:39 ID:0kBuvM6M0

(-_-)「さぁて、君を何処に置こうかな…」

川д川「立派なお家ですね」

(-_-)「これでも少し名が知れた彫刻家なんだよ」

川д川「そうなんですか。ヒッキーさんの作品、見てみたいです」

(-_-)「いいよ、じゃあアトリエに行こうか」

21 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:06:28 ID:0kBuvM6M0
川*д川「うわぁ、可愛い彫刻が沢山ありますね」

(-_-)「…」

川д川「ヒッキーさん?」

(-_-)「これは全部依頼されたデザインを彫っただけの作品さ、僕の魂は何一つこもっていない…」

川д川「…」

(-_-)「僕は彫刻を掘る才能はあるけど、僕の美的センスは一般受けしないんだ。お陰で彫りたくも無いファンタジーめいた童話のキャラクターを毎日彫ってるのさ」

川д川「そうですか…。それはヒッキーさんも、彫られた作品の両方とも可哀想ですね」

(;-_-)「え?」

22 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:07:09 ID:0kBuvM6M0

川д川「私は見ての通り器量があまり良くありません。それは私の前に作られた子…No.1が関係してます。だから私が作られた時の感情は決して私のための物ではなく、No.1に対する愛情だけです。だから愛情を込めてもらえで作られた作品の辛さっていうか、切なさが分かるんです、私」

(;-_-)「…そんな、君はとても美しいよ!」

川ー川「ありがとうございます、そんなこと言ってもらえるなんて、作られてから一度も思ったことはありませんでした」

(-_-)「…僕はこれからどんな作品でも、愛を込めて彫るよ」

川д川「えぇ、そうしてあげてください」

23 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:07:50 ID:0kBuvM6M0
('A`)「貞子の奴、上手くやれてんのかなぁ」

( ^ω^)「なんだかんだ悪口吐きながらも心配してるんじゃないかお」

('A`)「一番付き合い古いし…それにあんなブスが売れるなんて思いもしなかった」

( ^ω^)「お前は人のこと言えるような器量じゃないお」

チリンチリーン…

( ^ω^)「お、お客様だお。行ってくるお」

24 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:08:42 ID:0kBuvM6M0

(-_-)「ブーンさん、こんにちは」

( ^ω^)「お、ヒッキー先生、いらっしゃいですお」

(-_-)「依頼されてた彫刻の件ですが、デザインはどうしましょうか?」

( ^ω^)「ヒッキー先生にお任せしますお」

(-_-)「え?」

( ^ω^)「ヒッキー先生の好きな彫刻を彫ってくださいおっおっ」

(*-_-)「は、はい!」

25 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:09:23 ID:0kBuvM6M0
(*-_-)「ただいまー!やったよ、貞子くん!好きな様に彫刻を彫っていいっていわれたよ」

川*д川「それはそれは、今日はお祝いしなきゃですね。私、料理しますよ」

(;-_-)「ダメだよ、料理なんて。火でロウが溶けちゃったら大変じゃ無いか」

川д川「大丈夫ですよ、私は普通の火では溶けませんから」

(-_-)「それでも万が一があるだろ?僕は君がいなくなってしまったら生きていけないんだから危ない真似はしないでくれ」

川ー川「…はい」

26 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:10:09 ID:0kBuvM6M0
川д川「ヒッキーさん、彫りたいデザインは決まってるんですか?」

(-_-)「あぁ、決まってるよ」

川д川「出来上がったらみせてくださいね」

(-_-)「もちろんじゃないか」

川д川「…ところで、いつも抱きしめて寝てますけど硬くないんですか?私、一応アロマキャンドルだし」

(-_-)「貞子くんのラベンダーの香りで安眠できてるよ」

川д川「ならいいですけど…」

(-_-)「そういえば明日は記者の人がインタビューに家に来るけど、喋っちゃだめだよ」

川д川「それなら私、箱とかに入れて貰っていいですよ?」

(-_-)「大切な人にそんなこと出来ないよ。それに明日の記者は女の人みたいで君が居てくれたら緊張しないですみそうだからさ」

川;д川「そういうことなら…。でも、私は人じゃないんですけど…」

(-_-)「いいから!おやすみー」

川д川「はい…」

27 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:10:53 ID:0kBuvM6M0
(* ゚ー゚)「おじゃましまーす」

(-_-)「はい、どうぞ」

(* ゚ー゚)「うわぁ、彫刻沢山ありますね!アトリエって感じ」

(-_-)「アトリエですので…」

(* ゚ー゚)「あれ、この作品すごいですね!ヒッキー先生にしては珍しく色がついてるじゃないですか」

川д川

(-_-)「これは私の作った作品ではないです。大切な物なので、触らないでくださいね」

(* ゚ー゚)「了解ですー。では、早速インタビューさせていただきますね」

(-_-)「はい」

28 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:11:34 ID:0kBuvM6M0

(* ゚ー゚)「最近、ますます作品が魅力的になっていますが何か心情の変化などがあったんですか?」

(-_-)「はい。素敵な人と出会い、作品に対する考え方が変わりましたね」

(* ゚ー゚)「素敵な人…とは、もしや女性ですか?」

(-_-)「そうですね、心も見た目も美しい女性ですよ」

(;* ゚ー゚)「もしや結婚を前提にお付き合いしているとか…?」

(-_-)「あぁ、それも良いですね」

(* ゚ー゚)「大スクープですね、それは!結婚したら是非、お祝いさせてくださいね!」

(-_-)「それはどうも」

川д川「…」

29 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:12:40 ID:0kBuvM6M0


(-_-)「あー、肩凝った…」

川д川「お疲れ様でした、ヒッキーさん」

(-_-)「ありがと」

川д川「…私のラベンダーの香り、箱に入っててもちゃんと香りますから、今度から箱に入れて貰って構いませんよ」

(-_-)「え、なんで?」

川д川「だって、ヒッキーさん結婚するかもなんですよね?だとしたら私を抱っこしながら生活は辞めた方が良いですし」

(-_-)「結婚相手を箱に入れる理由がよくわからない」

川д川「…はい?」

30 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:13:33 ID:0kBuvM6M0

(-_-)「だって僕が結婚したいのは君だけだし」

川;д川「あのですねぇ、何言ってるんですか?私は生首アロマキャンドルですよ?人間じゃなければ手足もないんですよ」

(-_-)「じゃあ、君は手足があったら結婚してくれるというのかい?」

川д川「…まぁ、そうですね。私が人間だったらヒッキーさんと結婚したかったですよ」

(-_-)「ミロのヴィーナスって知ってるかい?」

川д川「ミロのヴィーナス?」

(-_-)「両腕がない美しい彫刻だよ、僕はその彫刻に惚れて彫刻家になったんだ」

川д川「そうなんですか」

(-_-)「…君は僕だけのミロのヴィーナスだ」

川;*д川「え」

31 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:15:20 ID:0kBuvM6M0

(-_-)「ミロのヴィーナスは両腕がないからこそ美しい、君は首から下が無いからこそ美しい…」

川;*д川「それは…ありがとうございます」

(-_-)「…よし、決めた!これからは君に捧げる作品を作るよ」

川д川「へ?」

(-_-)「君はブーンさんに愛情を込めて作ってもらえなかったって言ってたよね、だから僕は君だけのために作品を作り続けるよ」

川*д川「…ヒッキーさん」

(-_-)「だからずっと僕のそばにいてね、貞子くん」

川ー川「はい」

32 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:16:04 ID:0kBuvM6M0

('A`)「ブーン、このニュース見てみ」

( ^ω^)「お?」

□『スクープ!天才彫刻家、精神病か?生首の女性の作品しか作らなくなる』

□『ヒッキー先生に彫刻のモデルについてインタビューしたところ、「僕の女神です」としか言わないらしいですね』

□『今では全く家から出ないとか…?』

□『以前、結婚相手がいる疑惑があったのにこれは一体…』

□『もしかしたらお相手は死んでしまったとかなのでしょうか?』

□『それにしても、あんなに童話のキャラクターとかを手がけていた彫刻家が精神を病んでしまうとこんな作品を作るようになるんですね…』

□『ですねぇ。まぁ、これらの作品もマニアの一部では人気が出てきているようですが…』

33 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:18:16 ID:0kBuvM6M0


( *^ω^)「ヒッキー先生のSシリーズだおね。僕は良いと思うけどなぁ、貞子そっくりで」

('A`)「…でも、一階のお店には飾れなくなったよな。これ」

( ^ω^)「まぁね…」



川ー川

.

34 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:19:05 ID:0kBuvM6M0

  (
   )
  i  フッ
  |_|


( ^ω^)「…以上が、彫刻家ヒッキー先生のお話ですお」

(´・_ゝ・`)「彼がファンタジー彫刻家から、不気味な生首の女性、通称Sシリーズに路線変更した理由は前々から不思議に思っていたが…」

( ^ω^)「おっおっ、好きな女性のために彫刻を作り続けるなんて、ヒッキー先生の献身的な愛がこの作品には詰まってますお」

川ー川

そう言って店主はSシリーズであろう彼の作品を撫でた。

35 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:19:45 ID:0kBuvM6M0

(´・_ゝ・`)「しかし、君、しゃべる生首のアロマキャンドルだなんてそんなの信じられるわけないだろう」

( ^ω^)「おー、そうですかお?」

(´・_ゝ・`)「もしかして、ヒッキー君と組んで、僕をからかおうとしているのかい?」

( ^ω^)「いや、そんなことは…」

チリンチリーン!
ドタドタドタドタ…!

ミセ*゚ー゚)リ「店長ー!ただいまー!」

36 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:21:03 ID:0kBuvM6M0

( ;^ω^)「ミセリちゃん、もう少しお淑やかにしてくれお…」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、お客さん来てたんだ。すいませーん!」

(´・_ゝ・`)「えーと、君は…」

( ^ω^)「彼女は住み込みでバイトしている女子高校生ですお」

ミセ*゚ー゚)リ「飲み物なくなってるじゃ無いですか、今新しいの持って来ますね!」

( ^ω^)「ありがとうだお」

ドタドタドタドタ…

( ;^ω^)「だからお淑やかにって言ってるのに…」

(´・_ゝ・`)「可愛い子じゃないか」

( ^ω^)「そうですかお?じゃあ次は彼女の話でもしましょうかお」

(´・_ゝ・`)「あぁ、彼女が新しい飲み物を持って来た後、是非とも」

37 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/15(土) 04:22:25 ID:0kBuvM6M0

一本目、ラベンダーのアロマキャンドル
『ミロのヴィーナス』
おわり。

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