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121 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:03:16 ID:pIVeN7EU
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o川*゚ー゚)o「ねえ、モララー。もうすぐ一学期が終わるね」
( ・∀・)「……ああ」
o川*゚ー゚)o「いろんなことがあったよね」
( -∀-)「……ああ」
o川*゚ー゚)o「……これからもわたしのこと、助けてくれる?」
( -∀-)「……」
o川* - )o「……なんで、黙るの?」
( -∀-)「……仕方ないだろ」
o川* - )o「……言ってよぉ」
( ∀ )「……言えない」
o川*;д;)o「キューちゃんに期末試験の勉強教えてあげるって言ってよぉ!!!」
(#・∀・)「シリアスな感じで頼んでもダメに決まってんだろおおおおおお!」
梅雨も過ぎて、もうすぐ夏休み。
それは、期末試験の一週間前ということでもあった。
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122 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:06:08 ID:pIVeN7EU
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―
第四話 第六感でときめいて
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123 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:09:35 ID:pIVeN7EU
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o川*;д;)o「なんでぇ!? こんなに真面目に頼んでるのに!」
(#・∀・)「普段から勉強してないのが悪いんだろうが!」
涙目になりながら、キュートはすがるように制服の袖にしがみついてくる。
せっかくの昼休みなのに、休むことすらままならない。
(#・∀・)「だいたい、僕に頼んでる暇があるならさっさと勉強しろよ!」
o川#;д;)o「それができたらとっくにやってるもんっ!
モララーはキューちゃんの頭の悪さナメてるの!?」
(;・∀・)「なんてひどい逆ギレ……」
この数日間、僕はキュートにこうして付きまとわれっぱなしだった。
だけど、断られ続けて、ついにキュートの中でなにかがはじけたのだろう。
キレ気味に勉強を教えてくれと頼んできたのが、ついさっきのことだ。
( ・∀・)「ていうか、中間試験のときに言ったこと、覚えてるか?」
o川*;д;)o「……え?」
-
124 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:12:14 ID:pIVeN7EU
-
――――――
o川*゚д゚)o『ふはははは! もうすぐ中間試験だ!』
(;・∀・)『……なんだよそのキャラ』
o川*゚д゚)o『テストで勝負だ、モララー!』
(;・∀・)『……ああ、そういうこと』
o川*゚д゚)o『いまからテストが終わるまでは敵同士だよ!
だから、いままでのような仲良しこよしはナシ!』
( -∀-)『あー、はいはい。じゃあ、勉強も教えてやらないからな』
o川*゚д゚)o『そのセリフ、そのまま返させてもらおうから!
モララーが泣いて頼んでも教えてあげないっ!』
( -∀-)『僕も泣いて頼まれたって教えません。これでいい?』
o川*゚д゚)o『そんなどうでもよさそうな態度でいられるのもいまだけだよ!
テストが終わったころにはキューちゃんに土下座してるんだからっ!』
( ・∀・)『はいはい、そうですね。さーて、予習予習』
o川*゚ー゚)o『さーて、まずは授業に備えて仮眠でも取ろっと』
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125 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:15:00 ID:pIVeN7EU
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〜〜〜〜〜〜
(゚、゚トソン『えー、それではテストの返却をします。
今回の平均点は56点、最高点は88点、最低点は21点でした。
名前を呼ばれた人から取りに来てください』
o川*゚ー゚)o『ふふふ……ついにこのときが来ましたよ、奥さん!』
(;・∀・)『いつから僕は人妻になったんだよ……』
o川*゚ー゚)o『そんなこと言ってられるのもいまだけなんだから!
土下座の練習はしてき……はーい』
(;・∀・)『やけに自信満々で怖いな……』
o川*^ー^)o『ただいまー。むふふふふふ、ふふっ、ふっふふふふふふ』
(;・∀・)『なんだよその気持ち悪い笑い方……あ、はーい』
o川*゚ー゚)o『地獄への片道切符をもらってきちゃったね。
それじゃあいっせーのせ、で見せ合いっこね』
( ・∀・)『分かった、んじゃ……』
o川*゚д゚)o『いっせーのせ!』(・∀・ )
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126 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:18:03 ID:pIVeN7EU
-
o川*゚д゚)o『ふははははは! キューちゃん見事に平均超えの64点!
対するモララーは……』
( ・∀・)『……』
o川;゚д゚)o『』
o川;゚д゚)o『は……88、点……だと……?』
( ・∀・)『……で、誰 が 土 下 座 だ っ て?』
o川;゚ー゚)o『ま、まだ勝負はついてないもん! 五教科の合計で勝負だもん!』
(;・∀・)『あ、汚いぞ!』
o川;゚д゚)o『き、キューちゃんオールラウンダーだし!?
マリオ顔負けだし!? これぐらい痛くもかゆくもないし!?』
( ・∀・)『仕方ないな……名誉挽回の機会くらいは与えてやるよ』
o川*゚ー゚)o『言ったね!? 五回勝負認めたね!?
もちろんこれでキューちゃんが勝ったら土下座だからね!?』
(;・∀・)『人が情けをかけてやったら調子に乗りやがって……
まあいい、決着はテストで付けようじゃないか』
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127 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:21:11 ID:pIVeN7EU
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――数学――
o川*゚ー゚)o『難問揃いで平均49点の中、キューちゃんはなんと60点!
どうだー! まいったかー!』
( ・∀・)『ところが、僕はなんと72点でしたとさ』
o川;゚ー゚)o『……つまり、どういうこと?』
( ・∀・)『キュートが僕に負けて、僕の二勝目ってことです。
これで僕が次も勝ったら、勝ち越しで終わりだろ?』
o川;゚д゚)o『ちちち、違うよ! 五教科の合計得点で勝負だもん!
勝ち越したって終わらないよ! 終わらせないよ!』
(;・∀・)『こう言えばああ言って、ああ言えばこう言うな……』
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128 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:23:59 ID:pIVeN7EU
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――英語――
o川*゚ー゚)o『見たか! 最高点の80点だ!
キューちゃんの得意教科に勝てるとでも思って……』
( ・∀・)『最高点がひとりだけなんて、誰も言ってないぞ?』
o川;゚д゚)o『モララーも80点……だと……?』
( ・∀・)『さて、あと社会と理科を残して僕の36点リードなわけだけど……』
o川;゚ー゚)o『まだキューちゃんが高得点取れていれば……
いや、モララーがミスをたくさんしていれば……』
(;・∀・)『だんだん発言が弱気になってきたな……』
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129 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:27:27 ID:pIVeN7EU
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――社会――
o川;゚ー゚)o『よ……46点……』
(;・∀・)『勝つには勝ったけど……54点か』
o川;>д<)o『うう……せっかくチャンスだったのに……』
(;・∀・)『いや……正直、今回は難しすぎたと思う……』
o川;゚ー゚)o『シュー先生ったら容赦無さすぎだよぉ……』
(;・∀・)『最後の一問の配点が30点って……
しかもコシヒカリが出来るまでの歴史って……』
o川;゚ー゚)o『いや、それはできたんだけど他が全然……』
(;・∀・)『そっち!? ていうか70点中16点って!?』
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130 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:30:07 ID:pIVeN7EU
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――理科――
o川*゚ー゚)o『はーい、50点でーす。モララーが6点以下とかありえませーん。
どう見てもキューちゃんの負けですよねー』
(;・∀・)『急に投げやりになったな!? 75点だけどさ!』
o川#>д<)o『だいたいさ、モララーずるいよ! 普段から勉強なんかしちゃってさ!
この卑怯者! インテリ! クラス順位3位! 学年19位!」
(;・∀・)『そっちから勝負ふっかけてきたんだろ!
ていうか最初以外悪口になってないぞ!?』
o川#>д<)o「知らない知らない! もうモララーなんてずっと敵だもん!
二度と口聞いてあげない! ぜぇぇぇぇったいずぇぇぇったい聞いてあげないっ!』
(;・∀・)『おい、どこ行くんだよ!』
(-@∀@)『キュートさーん、授業中ですよー……先生の存在忘れないでくださーい……』
――――――
-
131 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:33:18 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「と、いうことがありました」
o川;゚ー゚)o「えー……あったっけな……」
僕が話し終わると、頭を抱えてキュートは唸りだした。
口を開けば、自問自答の言葉ばかりが漏れ出してくる。
o川;゚ー゚)o「そんなこと覚えてないよー……
それと勉強教えてくれないことのどこに関係が……」
考えに考え抜いた末に、キュートはギブアップ宣言をした。
汗をかいたのか、手で前髪をほんの少しいじってから僕に問いかける。
( ・∀・)「次の日にはなにもなかったかのような顔で、
『おっはよー! キューちゃん今日も可愛いでしょ?』
なんて挨拶してきたからな……覚えてないと思ったよ」
o川*゚ー゚)o「あ、それは覚えてる!」
(;・∀・)「えええ……」
どうやら、相変わらず素敵な思考回路をしているようだ。
いったん仕切り直して、話を続ける。
( ・∀・)「キュートはこう言ったんだ。『ずっと敵だもん!』ってね」
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132 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:36:10 ID:pIVeN7EU
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o川;゚д゚)o「はっ!!!」
大きく目を見開いて、両手で口元を押さえる。
気付いちゃいました、とでも言わんばかりの反応だ。
( ・∀・)「もう分かったよな? 言ってみろよ」
o川;゚ー゚)o「わ、わかんない! キューちゃん可愛いけど頭残念だし!」
そう言いながらも、視線は定まらずに宙を泳いでいる。
不自然な笑顔を浮かべたまま、乾いた笑い声を漏らす姿は実に不気味だ。
( ・∀・)「分からなくても、とりあえず言ってみな?」
o川;゚д゚)o「えーと……あのー……」
普段なら素っ頓狂な答えが飛び出すはずなのに、言い淀む。
これは完全に分かっている。分かっているからこそ、言えない。
o川;゚ー゚)o「……まだ敵対関係って感じ?」
( ・∀・)「正解。だから勉強を教える義理もありません」
o川*;д;)o「うわぁぁぁぁぁん!! 待ってぇぇぇぇ!!」
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133 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:39:14 ID:pIVeN7EU
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( -∀-)(ま、本当はこじつけで言ってるだけなんだけどさ)
僕との対決では完敗だったけど、キュートの成績も決して悪くはなかった。
期末で多少点数が落ちたとしても、進級に関わるほどでもないだろう。
それに、今回は自業自得だ。キュートにお灸をすえてやるいい機会だ。
o川*;д;)o「モララーごめんなさい! 謝るから勉強教えてぇ!」
(;・∀・)「だからさぁ……」
o川*;д;)o「ちゃんと言うこと聞くからぁ!」
「キューちゃんが言うことを聞く……?」
「なん……だと?」
( ・∀・)「ん?」
もはやキュートは、僕をしがみついてでも引き止めようとしてくる。
あまりに必死さに、キュートの騒がしさにも慣れたはずのクラスメイトもざわつき始めた。
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134 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:42:10 ID:pIVeN7EU
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o川*;д;)o「お願い、キューちゃんにいろいろ教えてよぉ!」
「い、いろいろ……ハアハア」
「キューちゃんにいろいろ……まさかモララーの野郎……」
(;・∀・)(あれ、これなんかまずくないか?)
いまや廊下にいた人まで含めた周りの視線は、僕たちに集中していた。
それに、内容がなぜかまずい方向に歪んで伝わっているようだ。
o川*;д;)o「こんなこと頼める人、モララーしか知らないのぉ!」
「……俺ちょっとトイレ」
「……ふう……ふう」
「実技ってか!? 実技でいろいろ教えましたってか!?」
(;・∀・)「キュート、なんか周りがアレだからやめよう……」
o川*;д;)o「やだっ! いいって言ってくれるまでやめないっ!」
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135 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:45:01 ID:pIVeN7EU
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「おーい。こないだの黒魔術、俺も手伝っていい?」
「ああ、ちょうどいいや。大人数でやると呪いが強くなるんだ」
「俺だってキューちゃんに保健体育を実技で教えてえよおおおおおおおお!!」
気付けば、僕とキュートを中心とした大きな人ごみが作られていた。
そして、その中では様々な感情が渦巻いていた。主に、僕への怨みや妬みが。
(;・∀・)「分かった分かった! 教えてやるから離せ!」
o川*;д;)o「ありがどぉおおおお!! もららぁああありがどおおお!!」
早くここから逃げ出したい一心で、つい了承してしまった。
キュートは鼻水を垂らしながらなにか言っているのだけど、さっぱり聞き取れない。
たぶん、お礼の言葉だと思うのだけれど。
o川*;д;)o「あどで、ぎゅーぢゃんね」
(;・∀・)「あとで聞くから! だからいまはここから逃げるぞ!」
o川*;д;)o「よぐわがんないけどわがったぁぁ!」
キュートの手を引いて、行くあては無いけど教室を飛び出した。
背中に氷柱のように刺さる視線と、怨念のこもった声が痛かった。
〜〜〜〜〜〜
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136 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:48:26 ID:pIVeN7EU
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あのあと、僕は殺気に晒されながら一日を過ごした。
日が延びて明るくなった夕暮れどきの現在まで、襲われなかったのは奇跡だったと思う。
そして、平穏を取り戻した放課後、僕はキュートといっしょに下校していた。
( ・∀・)「……ひとつ質問していいか?」
o川*゚ー゚)o「なになに? キューちゃんが気になっちゃってる系?」
陽の光に当たってきらめく色素の薄い髪をたなびかせて、キュートは答える。
自転車に乗ってさえいなければ、思わず魅入ってしまうほどに綺麗だ。
( ・∀・)「なんで付いてきてるんだ?」
o川*゚ー゚)o「え? 今日から勉強教えてくれるんじゃないの?」
いつも別れる道を通り過ぎても、キュートは僕の隣から離れなかった。
さらに言うなら僕は、坂を自転車で下っている真っ最中だ。
要するに、キュートは僕の横を、平然と同じスピードで走っている。
(;・∀・)「僕がいつそんなこと言ったんだよ!?」
o川*゚ー゚)o「言ってないけど?」
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137 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:51:05 ID:pIVeN7EU
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どうやら、キュートの正常な部分は耳だけらしい。
まさか、このまま僕の家まで付いてくるつもりだろうか。
(;・∀・)「なあ……どこで勉強するつもりだ?」
o川*゚ー゚)o「モララーの家だけど?」
そのまさかだった。漏れたため息が、景色とともに後方へと流れていった。
いまになって帰れと言っても、そうする気なんてさらさらないだろう。
(;・∀・)「ちょっと待て、家に連絡とかしないでいいのか?」
坂を下りきって、自転車を止めてから尋ねる。
変質者に出会ったとしても逃げ切れるだろうけど、キュートだって女の子だ。
帰りが遅くなれば、両親だって心配するに違いない。
o川*゚ー゚)o「ふふふ……忘れてた!」
そう言ってキュートは、なぜか自慢気に胸を張ってみせた。
(;・∀・)「さっさと連絡しろおおおおおおおおおお!!」
o川*゚ー゚)o「りょーかいりょーかい。コール!!!」
そして、悪魔でも呼び出しそうな感じで電話をかける。
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138 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:54:13 ID:pIVeN7EU
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o川*゚ー゚)o「もしもしー、お母さーん?」
数瞬の沈黙のあと会話が始まる。電話の相手は母親のようだ。
この距離からでは当たり前だけど、キュートの声しか聞こえてこない。
o川*゚ー゚)o「今日ね、モララーの家で勉強するから遅くなるね。
うん、そうだよ。モララーだよ。お母さんに話したことあるでしょ。
え? うん、わかった。ちょっと待ってて」
そう言うと、キュートは自分の携帯を僕の前に差し出した。
o川*゚ー゚)o「お母さんがモララーと話したいんだって」
(;・∀・)「え……ああ、分かった」
突然の申し出に、緊張しながらも携帯を受け取った。
耳にあてがってこんばんは、と挨拶すると声が聞こえてくる。
「こんばんは。そして、初めまして。モララー君」
(;・∀・)「は、初めまして」
「ふふふ、そんなに緊張しなくてもいい。結婚の挨拶でもあるまい」
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139 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 20:57:16 ID:pIVeN7EU
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キュートの母親の声は、想像よりずっと若々しく、とても落ち着いた声色だった。
横で聞き耳を立てているキュートの声とは、似ても似つかない。
実はお姉ちゃんでしたー、なんて言われても納得してしまいそうだ。
「あんな子だからなにかと迷惑をかけるかもしれないが、よろしく頼むよ」
(;・∀・)「い、いえ……そんなことは……」
「私が母親だからって、遠慮しなくても別にいい。
家でキュートは君のことばかり話しているんだ。実に楽しそうにね。
あの子が楽しんでるときは、たいてい周りの人は振り回されている。君もそうだろう?」
o川* д )o「ちょっ、お母さん!!!」
キュートが耳を赤くして割り込もうとしてくるのを制して、話を続ける。
家での様子を暴露されたのが、よっぽど恥ずかしかったんだろう。
(;・∀・)「まあ、振り回されてますけど……僕もなんだかんだ楽しいんで」
「そうか……それじゃあ、これからもあの子を頼むよ。
仕事もあって、なかなかあの子に構ってやれないからね」
そのひと言が、やけに寂しげに響いて聞こえた。
家の手伝い、というのに関係があるのかもしれない。
聞いてみたかったけど、むやみに触れない方がいいような気がして思いとどまる。
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140 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:00:09 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「分かりました。あ、なるべく早く帰らせますね」
「気を使わせてすまないね、モララー君。
仕事があるから、悪いけどそろそろ切らせてもらうよ。
ああ、そうだ。素敵な彼氏じゃないか、キュート。今度はうちに来てもらいなさい」
(* ∀ )「あっ、いや、べっべべっ別にそういう関係では」
o川* д )o「おおぉ、おっおっお母さんったら、んななななにを」
「ふふふ、冗談だよ。それじゃあ失礼」
その言葉を最後に、電話は切れた。
僕たちの間に、なんともいえない空気を残して。
o川* д )o「ご、ごめんね、お母さん人をからかうの好きなんだ!」
(* ∀ )「あ、ああ……そうだな……からかってるに決まってる」
僕から携帯を取り上げたあとで、キュートはそう謝ってきた。
そんな風に言われたら、もうキュートに合わせるしか選択肢がない。
(* ∀ )「さっさと家に行こうか……」
o川* д )o「そうしよう! うん、それがいい!」
いつの間にか、淡い橙色だった空は、赤く燃え始めていた。
〜〜〜〜〜〜
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141 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:04:21 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「はい、到着」
o川*゚ー゚)o「おじゃましまーす……あれ、開かない」
(;・∀・)「当たり前だろ! 自分の家じゃないんだぞ!!」
家に着くなり、早々と入っていこうとするキュート。
無理やりドアを開けようと、ドアノブをガチャガチャと動かしている。
(;・∀・)「とりあえず、親に友達が来るって話してくるから。
それが終わるまで絶対入ってくるなよ!? 絶対だぞ!?」
o川*゚ー゚)o「ハチ公並みに待ってる! ま、犬よりキューちゃんの方が可愛いけどねっ!」
ドアの鍵を開けて中に入り、リビングへと向かう。
いつもなら、すでに母さんが夕飯の支度を始めているころだ。
( ・∀・)「ただいまー」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、おかえりなさいモララー。
誰かと話してたみたいだけど……お友達?」
リビングに入ると、キッチンから出てきた母さんが出迎えてくれた。
声が大きかったのか、外での会話も聞こえていたらしい。
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142 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:08:15 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「ああ、それなんだけど……」
母さんにキュートのことを伝えようとしたとき、トイレから水音が聞こえた。
( ^ω^)「おっお、おかえりだおモララー」
そして、いつもは会社にいるはずの父さんが出てきた。
( ・∀・)「あれ、なんで父さん家にいるの?」
( ^ω^)「いやあ、今日はちょうど母さんとの二百四十ヶ月目の記念日なんだお。
だから有給取って蜜月の時間を過ごそうと思って」
( ・∀・)「ああ……なるほど」
息子の僕が言うのもなんだけど、父さんと母さんはいまでも仲がいい。
夫婦というよりはバカップルに近いものを感じる。 悪いことではないけど、結構恥ずかしい。
( ・∀・)「でもすごいじゃん、二十年目だよ。 父さん、母さん、おめでとう」
( ^ω^)「ありがとうだお、こうして息子に祝ってもらえるなんて幸せものだお」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですね……感慨深いものがありますよね……」
o川*゚ー゚)o「おふたりったらラブラブじゃないですか、このこのー!」
( ・∀・)「」
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143 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:12:13 ID:pIVeN7EU
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o川*゚ー゚)o「よっ! 日本一の幸せもの!」
(#・∀・)「い つ は い っ て き た」
o川;゚д゚)o「うぇぇっ!!」
いつの間にか会話に加わっていたキュートの両頬をつねって問いただす。
o川;゚д゚)o「らっふぇふぃまだからひょっほげんかんにはいっへみふぁの。
ほひたら、おでべふぁいふぁらいがきこえふぇきふぇ……ふい」
(#・∀・)「『だって暇だからちょっと玄関に入ってみたの。
そしたら、おめでたい話題が聞こえてきて……つい』
で、済んだら警察いらないんだよおおおおおおおおおお!!」
o川;゚д゚)o「んむぅえぇぇぇ!!」
追撃にそのまま頬をこねくり回す。
おかげでキュートはさっきからまともに言葉を発せてない。
ζ(゚ー゚*ζ「あら……その子が外にいたお友達?
うちに来るのはじめてかしら?」
その状況を打破したのは、母さんのひと言だった。
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144 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:16:02 ID:pIVeN7EU
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(;・∀・)「あ、えーとこいつは……あっ」
o川;゚ー゚)o「やっと抜けれた! はじめまして、わたし素直キュートっていいます!
モララーとは同じクラスで、今日は勉強教えてもらいに来ました!」
一瞬の隙をついて、キュートが僕の手を振り払う。
そして、いつもの様子からは想像もつかない、丁寧な自己紹介をした。
( ^ω^)「……母さん」
ζ(゚ー゚*ζ「……ええ」
(;・∀・)「なにこの空気……」
さっきまでの賑やかさが嘘のように、静まり返る。
父さんも母さんも、神妙な顔つきになっていた。
( ^ω^)「「モララー……」」ζ(゚ー゚*ζ
僕の方へ向き直って、ゆっくりと語りかけてくる父さんと母さん。
生唾を飲み込んで、ふたりの口から語られる言葉を待ち構える。
(;・∀・)「な、なに?」
( ;ω;)「「ようやく家に彼女を連れてきた(おね)のね……」」ζ(;ー;*ζ
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145 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:20:25 ID:pIVeN7EU
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(;・∀・)「え、えええええええええ!?」
( ;ω;)「いつ連れてくるかと待ち続けて十五年……」
ζ(;ー;*ζ「女の子に興味がないのかと思ったときもあったけど……待っててよかったわ」
大粒の涙を流しながら、しみじみとふたりは語る。
親からしたらそこまでのイベントなんだろうか。
(;・∀・)「ち、違うって! ただの同級生だよ!」
o川;゚ー゚)o「そうですよ! 友達っていうか味方っていうか……」
キュートと分担してふたりの誤解を解きにかかる。
本日二回目ともなれば、成功するかともかく、いくらか冷静に対処できる。
( ;ω;)「こんな可愛い女の子連れてきて、ひどい冗談だお」
ζ(;ー;*ζ「いいのよ、いつか本当のことを話してくれれば、それで」
(;・∀・)「駄目だこりゃ……聞く耳持たないや。
まあいいや、このあといっしょに勉強したいんだけど、いい?」
こんな調子では本当のことなんて分かってくれそうもない。
とりあえずこの問題は置いておいて、用件を先に済ませることにした。
-
146 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:24:06 ID:pIVeN7EU
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ζ(゚ー゚*ζ「愛する息子が連れてきた子を追い払ったりなんてしないわよ。
ましてやそれが彼女ならなおさら、ね」
( ^ω^)「そうだお、こんな可愛くておっぱいの大きい子を……」
ζ(゚ー゚#ζ「なんでキュートちゃんを見たあとに私を見たのかしら?」
(;゜ω゜)「いや、つい出来心で……ちょっかあさnアッー!」
誤解したままだけど了承してくれて、勝手に夫婦喧嘩を始めるふたり。
うちはよそから見れば、かなりおかしい家庭なんだろうと思う。
( ・∀・)「よし、許可も出たし部屋行くか」
o川;゚д゚)o「ちょっ、あれ放っておいていいの!?」
キュートが見つめる先では、母さんが包丁を持って父さんに迫っていた。
部屋の隅に追い込まれた父さんは、なす術もなく震えている。
( ・∀・)「母さんのヤキモチはいつもあんなんだよ。
でも、いつもすぐに仲直りするんだ。日常茶飯事さ」
o川;゚ー゚)o「なんかすごいお母さんだね……」
それは常々思っていたけど、キュートですらそう思うということは、相当なんだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら、階段を上がって自分の部屋へと向かう。
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147 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:28:26 ID:pIVeN7EU
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o川*゚д゚)o「うおー、男の子の部屋だー!」
(;・∀・)「盛り上がる要素がどこにあるんだよ……」
部屋に入るなり、キュートははしゃぎながらベッドに座り込んだ。
きょろきょろと室内を見渡しながら、目を輝かせている。
( ・∀・)「なんか飲み物持ってくるから、適当に待っててくれ」
o川*゚ー゚)o「わかった、こないだ見た映画の外国人の主人をずっと待ってる犬並みに待ってる!」
それもハチ公だよ、と心の中でツッコミながら一階へと戻っていく。
( ・∀・)「かあさーん、なんか飲み物ない?」
ζ(^ー^*ζ「この間おいしいオレンジジュースもらったのよ。
あれ持ってっていいわ、うふふふふ」
リビングに入ると、母さんがいつもより上機嫌で迎えてくれた。
どうやら、さっきの喧嘩は無事に仲直りしたらしい。
( ^ω^)「やっぱりデレが一番可愛いお。さっきはごめんだお」
ζ(^ー^*ζ「やぁん、ブーンったらもう」
その証拠に、母さんを膝に乗せた父さんとお互いを名前で呼び合っている。
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148 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:32:02 ID:pIVeN7EU
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(;・∀・)「僕も大人になったらああなるのかな……」
オレンジジュースをコップに注ぎながら呟く。
まだ見ぬ最愛の人と自分が、あんな風に愛を囁く光景を想像してみた。
そして、僕は両親とは違う愛し方をしようと決意した。
ζ(^ー^*ζ「モララー、棚のクッキーもいいわよ。
なんてったって彼女なんだから、うふふ」
リビングを出ようとして、母さんに呼び止められる。
机にコップの乗ったお盆を置いて、クッキーを取ってくる。
(;・∀・)「彼女じゃないってば……言っても分かってくれないだろうけど」
ζ(^ー^*ζ「あら、あのとき母さんたちはなんて言ってるかわからなかったのよ?
それを難なく聞き取れるほど通じ合ってるのに……彼女じゃないの?」
相変わらずにこにこしながら、母さんは僕に尋ねてくる。
あのとき、というのは僕がキュートの頬をつねっていたときだろう。
(;-∀-)「通じ合ってたら彼女じゃないといけないの……?
はあ……キュートのお母さんからも誤解されてるし大変だよ……」
ζ(゚ー゚*ζ「あらあら、もう向こうのご両親に紹介されてるの?」
( ・∀・)「……電話越しだけどね」
クッキーをいくつか適当に選んでお盆に乗せた。
暇にしているであろうハチ公の元へ向かうため、今度こそリビングを出た。
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149 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:36:11 ID:pIVeN7EU
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ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、モララー」
(;・∀・)「今度はなに?」
階段を上がろうとして、また呼び止められた。
上げかけていた足を下ろして、母さんの方を向く。
ζ(゚ー゚*ζ「……孫はちゃんと養えるようになってからね?」
( ・∀・)「」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、聞いてる? ちょっとー、モララー?」
母さんの声を無視して、僕は階段を上がっていった。
(;・∀・)「まったく、なに考えてるんだか……」
ぼやいている間に部屋の前までやってくる。
お盆を片手に持って、慎重にドアを開けた。
o川;゚ー゚)o「あっれー、おかしいなー。
ベッドの下ならえっちな本あると思ったのにー。
本棚にも無いし……はっ、まさか……キューちゃんで……?」
目に飛び込んできたのは、ベッドの下を漁っているキュートの姿だった。
〜〜〜〜〜〜
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150 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:42:44 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「さて、気を取り直して勉強するか」
o川;゚ー゚)o「もう真面目にやるから首根っこ掴むのやめてぇ……」
( ・∀・)「本当に?」
o川;゚д゚)o「ほんとほんと! 本気と書いてマジで!」
あのあと、キュートの首根っこを捕まえて部屋を片付けさせた。
好き勝手荒らしてくれたおかげで、思ったより時間がかかってしまった。
( ・∀・)「じゃあ……はい」
o川*>ー<)o「はー、首周りすっきり! よーし、やるぞー!」
掴んでいた手を離すと、キュートは自分の鞄を漁りだした。
中から出てきたのは、パンパンに膨らんだ筆箱と淡いピンクのノート。
それと、水色のガラス珠が付いたヘアゴム。
o川*゚д゚)o「キューちゃん本気モード!」
そう言いながらまっすぐ下ろしていた髪を結っていく。
首の後ろにかかっていた髪をすべて脇に持ってきて、ふたつ結びにまとめる。
普段は隠れている白いうなじが、顔を覗かせた。
o川*゚ー゚)o「準備おっけーい!」
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151 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:46:34 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)(なんか……いつもと雰囲気違うな)
中身はともかく、キュートは美少女と言っても差し支えない容姿だ。
なんでも似合うんだろうけど、このヘアゴムは特によく似合っていると思う。
そして、いつもは見えないうなじがなんとも艶っぽい。
o川*゚ー゚)o「どーしたの? 早く勉強教えてよー」
(;・∀・)「ん、ああ……じゃあ社会から」
キュートの呼びかけてくる声に、はっと我に帰る。
どうしたの、と言われても答えられるわけがない。
o川;゚ー゚)o「えー、キューちゃん社会苦手……」
(;・∀・)「苦手だからやるんだろ……」
今日ばかりは、勉強という逃げ道を用意してくれたキュートに感謝しよう。
そう思いながら教科書のテスト範囲を開いたとき、ふと思い出す。
( ・∀・)「そういえば、中間の点数そんなに悪くなかったよな?
なのに、なんで今回はこんなに必死なんだ?」
o川*゚ー゚)o「いやー、実はモララーに負けて以来やる気を無くしちゃって……
真面目に授業受けないでいたらこうなっちゃった」
(;-∀-)「……やっぱ断ればよかったかな」
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152 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:50:22 ID:pIVeN7EU
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〜〜期末試験当日〜〜
o川*@ー@)o「空気中の電子を波でも粒子でもない曖昧な状態に固定する事で、
「壁」として固定された電子は動かす事により圧倒的な破壊力を有する。
これは正式な分類上は流機波形高速砲と称され……」
_
( ゚∀゚)「……キューちゃんに何があったんだ、モララー」
(;・∀・)「最初は自分の家でも少しずつ勉強しろって言ったんだ。
だけど、どんどんテスト範囲を超えたところまで勉強し始めて……
ついにはどこから持ってきたのか分からない眼鏡までかけだして……」
o川*@ー@)o「違うよモララー、これは視力の補正や遮光を目的としない眼鏡。
一般的に装身具としてかけられている伊達眼鏡だよ。
「伊達」の語源は「立つ」で、これは「引き立つ」という意味で……」
そう言うと、キュートはくいっと眼鏡を指で持ち上げた。
さながら漫画やアニメに出てくる天才美少女のようだ。
違うとすれば、知識がかなり付け焼き刃なあたりだろう。
_
( ゚∀゚)「そのうち白衣とか着たりしそうだな……」
(;・∀・)「これ以上おかしくなるのは、死んでも阻止したいね……」
いままでがいままでだっただけに、違和感が半端じゃない。
とりあえずテストが終わったら元に戻ってくれるんだろうか。
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153 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:54:16 ID:pIVeN7EU
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〜〜〜〜〜〜
o川*゚ー゚)o「見て見てー、平均70点!」
そう言ってキュートは成績の書かれた紙を僕の机に広げる。
苦手だと言っていた社会も、平均点くらいにはなっていた。
( ・∀・)「おっ、よかったよかった。教えた甲斐があったよ」
o川*゚ー゚)o「これ勝っちゃったんじゃない? モララーに勝っちゃったんじゃない?」
( -∀-)「キュートに勉強を教えることによって、僕も勉強になりましたとさ」
キュートはいつかに見せた自慢気な顔で僕ににじり寄ってくる。
負けじと僕もキュートの紙の上に、自分の紙を置いてみせた。
o川;゚д゚)o「クラス順位のところにきらきら光って見える1という文字はなにっ!?」
(*・∀・)「ふっふっふ、今回ばかりはキュートに感謝しないとな」
o川;゚ー゚)o「うぬぬ……じゃあ感謝のしるしとして今回は引き分けに……」
( -∀-)「それはそれ、これはこれ、勝負は勝負。僕の完勝だ」
o川;゚ー゚)o「くそう……草食系な顔のくせに……」
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154 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 21:58:36 ID:pIVeN7EU
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一時はどうなることかと思われたキュートの様子は、テスト終了と同時に元に戻った。
詰め込み過ぎた反動だろうか、知識が一気に頭から流れ出たようだ。
まだ伊達眼鏡は持っていて、クラスメイトからのリクエストがあると、ときどきかけている。
o川*゚ー゚)o「あ、そうだ。今日モララーの家行ってもいい?」
( ・∀・)「いいけど……なんで?」
僕の問いかけを聞くと、キュートは鞄から紙袋を取り出した。
o川*゚ー゚)o「お母さんがお礼にこれ持っていけ、って」
(;・∀・)「そんな……わざわざいいのに」
o川;゚ー゚)o「ちゃんと家まで行って渡してこいって言ってるんだよね。
お願い、これ持って帰ったら……わたしがお母さんになにされるか……」
困ったように語るキュートの額に、暑さが原因ではなさそうな汗がつたう。
(;・∀・)「なんか大変そうだな……分かった、それじゃあ受け取らせてもらうよ」
o川*^ー^)o「ほんとっ!? ありがとうモララー!!!
キューちゃんいまなら質量を持った残像とか出せそうな気がする!!」
よく分からない例え方だけど、たぶんすごい嬉しいんだろう。
はしゃく動きに合わせて、あの日以来ヘアゴムでまとめられたふたつ結びの髪が揺れる。
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155 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:02:01 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「僕はてっきり、そういうのも出せるんだと思ってたんだけど」
o川*゚ー゚)o「えー、そんな漫画やゲームじゃあるまいし」
(;・∀・)「お前が言うなって誰もが思うだろうよ……」
他愛ない会話をしながら時間は過ぎていく。
僕も、キュートも、いつもと変わらないまま時間は過ぎていく。
それだけのことが、いまは無性に楽しくて仕方なかった。
〜〜〜〜〜〜
o川*゚ー゚)o「あの、これ、母がこの間のお礼にと」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ、ありがとう。あら……サプリメントや健康食品がたくさん。
こんなに高そうなもの、もらってもいいの?」
o川*゚ー゚)o「いえ、母の仕事の関係でこういうのは余るくらいあって……」
リビングのソファーに座りながら、ふたりのやり取りをぼんやりと眺める。
父さんが最近不摂生気味だから、母さんは内心大喜びだろう。
しかしながら、礼儀正しいキュートは眼鏡のときほどではないけど、違和感しかない。
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156 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:06:04 ID:pIVeN7EU
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ζ(゚ー゚*ζ「せっかくだし、モララーと遊んでいったらどうかしら」
o川;゚ー゚)o「いえ、今日はこれを持ってきただけなんで……」
ζ(゚ー゚*ζ「いいじゃない、遅くなったら送らせるわ」
o川;゚ー゚)o「あー……それではお邪魔させて頂きます」
自然すぎて気付かなかったけど、僕を差し置いて話が進んでいっている。
それに気付いたときには、もう結論が出されてしまっていた。
(;・∀・)「ちょっ……ってもう手遅れか」
o川*゚ー゚)o「手遅れでーす! ていうわけでお邪魔しまーす!」
(#・∀・)「だったらもうちょい遠慮してる態度を見せろおおおお!」
一瞬で普段通りに戻ったキュートが、さっさと階段を上がっていく。
僕もキュートを追いかけて階段へと向かう。
視界の端に親指を突き立てる母さんの姿が見えたけど、見なかったことにした。
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157 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:10:08 ID:pIVeN7EU
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o川;゚д゚)o「えいっ! えいっ!」
(;・∀・)「……なにしてるんだ?」
ドアを開けて飛び込んできたのは、キュートがタンスに向かってジャンプしている光景だった。
そのたびに、スカートの裾がひらり、と揺れている。
o川;゚д゚)o「あの段ボールにっ、えっちなっ、本がっ、入ってるとっ、思ってっ!」
(;・∀・)「入ってないって……卒業アルバムだよ」
o川;´д`)o「えー……」
途端にジャンプをやめて、ふてくされるキュート。
そんな彼女を尻目に、学習机のそばから椅子を持ってくる。
( ・∀・)「ちゃんと椅子押さえてろよ、危ないからな」
o川*゚ー゚)o「え?」
( ・∀・)「せっかくだし、見てみようかなってね」
o川*゚ー゚)o「うーん……じゃあキューちゃんもモララーの黒歴史を見る!」
そう言うと、キュートは椅子の背をがっちりと抱え込む。
夜の海のように黒い瞳に、満月が浮かんだような輝きが灯る。
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158 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:14:19 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「……よっと」
段ボールをタンスから下ろして、慎重に椅子から降りる。
キュートが支えてくれているとはいえ、車輪の付いた椅子は不安定だ。
o川;゚ー゚)o「うえっ、ホコリが……」
(;・∀・)「もらってから少し見たっきりだからな……」
段ボールを覆う大量の埃を払って、封を開く。
床に落ちた埃の塊を見て、ほんの少しだけ自分の行動を後悔した。
掃除のことは忘れて、中に入っている卒業アルバムを取り出す。
o川*゚ー゚)o「おお、これがうわさの卒業アルバム!」
(;・∀・)「どこで噂になってるんだよ……」
o川*゚ー゚)o「んー、キューちゃんの脳内限定で!」
(;・∀・)「野球中継が延長されない地域より限定的だな……」
ぼやきながらベッドに腰かけてアルバムを開く。
僕を追うようにキュートも左隣にちょこん、と座った。
アルバムをふたりで半分ずつ持つ格好になる。
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159 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:18:07 ID:pIVeN7EU
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( ・∀・)「えーっと……僕のクラスは……」
o川*゚д゚)o「ストップストップ! せっかくだし最初から見てこうよ!」
( ・∀・)「でも先生とか校舎とか知ってるし……」
o川*゚ー゚)o「モララーは知っててもキューちゃんは知らないの!
おお、なんてきれいな校舎! モララーにはもったいない!」
僕の言い分をさえぎって、キュートは食い入るようにアルバムを覗きこむ。
まるで初めて見たんじゃないかと思えるほどに、興味津々だった。
〜〜〜〜〜〜
o川*^ー^)o『ぷぷっ、この先生の頭頂部まずくない!?』
( ・∀・)『よく怒る先生だったんだけどさ、すごい怒るとそこが噴火するって噂があったよ』
o川*;д;)o『あははははははっは! お腹痛い……』
o川*゚ー゚)o『おー、黒髪だけどジョルくんイケメーン!』
( ・∀・)『あいつ髪染めたいからVIP高校にしたって言ってたしなあ……』
o川*゚ー゚)o『おっ……モララー……変わってない。なんだつまんない』
(;・∀・)「たかだか数ヶ月じゃ変わらないって……」
〜〜〜〜〜〜
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160 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:22:15 ID:pIVeN7EU
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o川*>ー<)o「あー! 楽しかったぁー!」
大きく伸びをしてから、キュートはベッドに倒れこんだ。
それを見届けて、僕はアルバムをぱたん、と閉じる。
窓の外から射す夕日が、裏表紙を照らしていた。
( ・∀・)「それじゃあもうすぐ暗くなるし……帰るか?」
o川*゚ー゚)o「別に送ってもらわなくても大丈夫だけど……」
( ・∀・)「いいよ、夜道に女の子がひとりってのはいろいろ危険だし」
段ボールにアルバムをしまって、キュートの方へ振り返って答える。
本当に大丈夫なんだろうけど、僕も一応は男だ。
こういうときは送っていくのがエチケットというやつだろう。
o川*゚ー゚)o「おうおう、モララーにしてはかっこいいこと言っちゃってー!
でもせっかくだし……お言葉に甘えさせてもらおうかな」
茶化しながらもキュートは僕の提案を受け入れてくれた。
色素の薄い髪は夕日に透けてきらきらと光っている。
( ・∀・)「よし、これさっさと片付けるか」
中身を戻した段ボールを胸に抱えて、椅子へと向かう。
その間に、キュートは椅子の背を持って僕を待っていた。
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161 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:27:26 ID:pIVeN7EU
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o川*゚ー゚)o「支える班、準備万端です!」
( ・∀・)「ごくろうさまです、っと」
椅子に立ってタンスの上に段ボールを戻す。
置き終わったとき、なにかに気付いたようなキュートの声がした。
その直後、なぜか足元がぐらつき始める。
o川*゚ー゚)o「危ない危ない、一冊入れ忘れてるよ」
揺れる視界に飛び込んできたのは、手を離してアルバムを取りに行くキュートの背中だった。
(;・∀・)「ちょっ、馬鹿……」
o川;゚д゚)o「ん……? あああっ!」
僕の声に反応したキュートが、慌てて椅子を支えに戻ってくる。
(;・∀・)「うわああああ!!」
o川;>д<)o「きゃあっ!!!」
しかし、時すでに遅し。僕はバランスを崩し、キュートめがけて倒れこんだ。
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162 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:32:25 ID:pIVeN7EU
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(;-∀・)「いって……だ、大丈夫か……?」
床にぶつけた肘は少し痛むが、それほどでもない。
それより、自分の下になってしまったキュートの方が心配だ。
一瞬でその思考に至って問いかけるが、返事はなかった。
(;-∀・)「……キュート?」
キュートの髪がなびくときに、かすかに香る匂いがして。
首筋にかかる、吐息のぬるさに気付いて。
そこでようやく、状況に頭が追いついた。
o川* д )o「……」
目を丸くして僕を見つめる、真っ赤に染まったキュートの顔が、目の前にあった。
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163 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:36:04 ID:pIVeN7EU
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(*・∀・)「……」
o川* д )o「……」
いつまでも無音の時間が流れていく。
早くどかないといけないのに、体が一向に動いてくれない。
だけど、キュートはそんな僕をはねのけるようなことはしなかった。
(*・∀・)「……」
o川* д )o「……」
お互いの吐息が顔にかかる。絡み合う視線が離せない。
キュートにも聞こえているんじゃないかと思えるほど、鼓動が大きく、早くなっていく。
o川* - )o「……っ」
唇を真一文字に結び、目を伏せたキュートの両手が、僕のシャツの裾を掴んだ。
その手がゆっくりと僕の体を押しのける。動かなかったことが嘘みたいに、すんなりと離れる。
シャツ越しに触れられた部分だけが、じんわりと熱い。
o川* - )o「……っ!!」
まだ赤い顔のまま、キュートが勢いよく立ちあがる。
窓を閉めていたはずの部屋に、かすかな風が吹いた、次の瞬間。
キュートの手には僕の背後にあったはず鞄が握られていた。
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164 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:40:14 ID:pIVeN7EU
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「ざ、残念! 質量を持った残像でしたー!!!」
「……ああ、うん」
「そそ、そういうことだからっ! じゃあねっ!」
「あ、送り迎え……」
「大丈夫! ぜんっぜん大丈夫だから!」
「あ……」
「お邪魔しましたー!!!」
「……」
「……」
「やばい、顔が熱い……」
「……思ってたよりずっと体小さかったな」
「……やっぱキュートも女の子なんだな」
「……はあ」
「……なんか、可愛かった、な」
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165 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/08/09(火) 22:43:58 ID:pIVeN7EU
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―
第四話 第六感でときめいて
おわり
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