ξ゚听)ξ幽霊裁判が開廷するようです

case6:道連れ罪、及び故意的犯罪協力の罪/前編

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81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:35:23.87 ID:7j8YtH9GO
 

l从・∀・*ノ!リ人「兄者兄者、かき氷イチゴ味にしたのじゃ!」

(*´_ゝ`)「赤い浴衣に赤いかき氷が最高に似合ってるぞ妹者! 姉者に写メ送ってやるか」

l从・∀・*ノ!リ人「デジカメでも撮ってほしいのじゃ!
        妹者の可愛さを記録するには、なるべくいい画質でないといかん」

 翌日、夜。
 内藤達は、丹生素祭の会場に来ていた。

 並ぶ屋台に提灯、ソースの香りに甘い匂い、老若男女の様々な声。
 何度か人にぶつかってしまったほど混雑している。

 内藤など既に若干うんざりしているのだが、
 妹者は、レンタルしてきた赤い花柄の浴衣を着て大はしゃぎだった。

( ^ω^)「思った以上に人がいるお」

(´<_` )「だなあ」

 隣を歩きながら、弟者が串に刺さったステーキを頬張る。
 内藤が携帯電話のカメラを向けると、それを横目に見て、弟者は空いた手で控えめにピースサインをしてみせた。
 その自然な仕草に笑いつつ、撮影する。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:37:34.37 ID:7j8YtH9GO
 
(´<_` )「姉者にでも送るのか?」

( ^ω^)「それは兄者さんがやるだろうから。僕は、モララーとかヒッキーに」

(´<_` )「モララーの奴、あからさまに羨ましがりそうだな。
       ──俺の写真送るくらいなら、とびきり美味そうなもん買って、
       メールで自慢してやろうじゃないか」

 2人は顔を見合わせて笑う。

 内藤もそれに乗った。
 姉者から、祭の軍資金にと昨夜の内に小遣い(弟者の分も含めて)をもらっている。
 お姉さんぶらせてよと微笑まれてしまうと、断れなかった。

 めぼしい屋台を探す。
 そのせいで意識が散漫になったのだろうか、眼前に現れた人間に、真正面からまともにぶつかってしまった。

( ^ω^)「あっ」

 内藤は弟者が支えてくれたが、相手の方はそのまま尻餅をついた。
 買ったばかりのたこ焼きを弟者に持たせ、内藤は屈み込み、
 申し訳なさそうな顔と声を作る。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[さるったった] 投稿日:2013/10/25(金) 21:40:16.15 ID:TuLwUPoa0
 
(;^ω^)「ごめんなさいお! ちゃんと前見てなくて! 怪我はありませんかお!?」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫です、私も余所見してて……、ごめんなさい」

 20代半ば──ツンや姉者と似た年代の女性が、手を振り微笑む。
 内藤が助け起こすと、彼女は服に付いた砂埃を払った。

ζ(゚ー゚*ζ「お互い気を付けて歩きましょうね」

 屋台の電飾の明かりで、その顔がはっきり見えた。
 言葉を発した拍子に、口の端に牙のような──犬歯が覗いた気がする。

 女性は内藤にも怪我がないか確認すると、はっとしたように辺りを見渡し、
 進行方向へ小走りで去っていった。

ζ(゚、゚;ζ「置いてかないでニュッさん!」

 すぐに、その背は人混みに紛れる。

 内藤は息をつき、前方に向き直った。
 携帯電話を開く。午後8時の5分前。
 残念、時間だ。

 背伸びをして兄者を探す。
 彼は背が高いので、雑踏の中にいても見付けやすい。大して離れていない場所にいた。
 あれなら弟者もすぐに分かるだろう。

 ゆっくりと振り返る。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:42:10.78 ID:TuLwUPoa0
 
( ^ω^)「……弟者。僕、なんだか気分が優れないお」

 額に手を当て、辛そうに言った。
 無論、仮病である。

( ^ω^)「先に旅館に戻ってるから、弟者は兄者さん達と──」

(´<_`*) ボケー

( ^ω^)「……弟者?」

(´<_`*)「……かわいい……」

 かわいいって。何が。

 惚ける弟者の視線を辿ると、先程の女性が消えていった方向を見ていた。

(´<_`*)「今のひと綺麗だったなあ、ブーン」

( ^ω^)「……まあ、割と」

(´<_`*)「優しげだし……ああいう人いいなあ」

( ^ω^)(年上好きか……)

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:44:12.14 ID:TuLwUPoa0
 
(´<_`*)「あ、さっき何か言ってたか?」

( ^ω^)「え? ──ああ、僕ちょっと疲れたから、先に旅館に帰っとくお。
       だから弟者は妹者ちゃん達と一緒にいるといいお」

(´<_`*)「ああ、分かった……気を付けてな」

( ^ω^)「……兄者さん、あっちにいるから」

 ふらふら、弟者が歩いていく。
 逆に内藤の方が弟者を心配してしまったが、無事に兄者と合流出来たようなので、
 溜め息を吐き出して踵を返した。

 カラフルな出店の切れ間を見付ける。
 ちょうど屋台の後ろの店舗と、ビルに挟まれた路地にもなっていた。
 そこから道路へ出られるようだ。ちらりとコンビニの看板が見える。

 そちらへ抜ける。
 そのとき、後ろから声が掛かった。

('A`)「少年」

( ^ω^)「あ……どうでしたかお、ドクオさん」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:46:02.77 ID:TuLwUPoa0
 
('A`)「見て回ったが、カーチャンはここには来てないみたいだ。
    多分、旅館にいるんじゃねえかな……。そろそろ山車が回る頃だし」

 祭のメインである山車は、先程この会場を通り、温泉街へ向かっていった。

 何でも──温泉街の宿や店舗から、温泉の湯水、あるいは普通のお湯を少しずつ集めていって
 それらが入った樽を丹生素の土地神に捧げる、というのが
 この祭の本筋なのだという。

 故に、山車目当てに旅館に残る者も多い。

( ^ω^)「お母さんが泊まってる旅館は分かってるんですかお?」

('A`)「ああ。昨日見かけたとき、宿の名前が入った浴衣を着てた」

( ^ω^)「じゃあ、行きますかお」

('A`)「……うん」

 ドクオを連れて、道筋を思い浮かべながら歩く。

 そうして間もなく、温泉街の入口へ到着した。
 近道を通ってきたので、山車が来るのはもう少し後だろう。遠くでお囃子が聞こえる。

 古めかしい旅館などは、板塀に赤い提灯を等間隔に飾っていて、どこか幻想的ですらあった。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:48:02.42 ID:TuLwUPoa0
 
 内藤は宿泊している旅館へ駆けた。足は速い。
 急いで部屋に戻り、自分の鞄からペンを取り出した。
 適当な紙を探す。床の間にメモ帳を発見したので、それを取った。

( ^ω^)(……ええと)

 都村トソンの裁判を思い出す。
 合意の上で憑依させる場合、それを示す書類を残さねばならない。

( ^ω^)(私、は、本日……20時15分から、……21時まで、体を貸し、ます、……と)

 必要なのは日付と時間、霊と人間の直筆の名前、それと実印。
 慣れない左手で書いたので、ひどく乱れた字になってしまった。

 さすがに印鑑は持ってきていない。
 内藤はペンとメモ用紙を持って、部屋を出た。
 1階に下りて、帳場に立つ従業員に声をかける。

( ^ω^)「朱肉ありませんかお?」

 借りた朱肉に親指を付け、メモ用紙に拇印を捺した。
 これでもいいだろう。

 旅館を出て、待機していたドクオを呼んだ。
 板塀の陰に隠れる。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:50:14.40 ID:TuLwUPoa0
 
( ^ω^)「ドクオさん、ペン持てますかお?」

('A`)「意識すれば」

 ドクオの筋張った手がペンを持つのを確認して、内藤は塀にメモ用紙を押し当てた。
 そこに、一文字一文字、丁寧に名前が書かれていく。

 書き終えたドクオが息をつくと、ペンがぽとりと落ちた。気が抜けたのだろう。

('A`)「……こんな正規の手続きを通して憑依出来るなんて思わなかった。
    最悪の場合は、誰かにむりやり憑依するしかねえだろうと……」

 拾い上げたペンを差し出すドクオ。
 内藤がそれを受け取るや否や、左手を握りしめられた。

( A )「ありがとう……ありがとう、少年……」

( ^ω^)「……いいから、憑依するならするで、早くしてくださいお。
       お母さんと話す時間がなくなりますお」

('A`)「ああ。……じゃあ、ちょっと失礼して」

 ドクオが内藤の後ろに回る。

 直後、体の中に生暖かさが染み入り、内藤の意識は黒く塗りつぶされた。

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:52:38.46 ID:TuLwUPoa0
 


 ──どれほど経った頃か。
 ほんの一瞬。視界が開け、赤い提灯が目に入った、気がする。
 時間が分からない。

 背中に温もり。
 また、暗転。



*****

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:53:39.43 ID:TuLwUPoa0
 

 ──感覚としては、眠った直後に目が覚めたようでいて、
 それなのに長い夢を見ていたかのような余韻があった。

( ‐ω^)「……」

 とにかく内藤は目を覚ましたし、
 「ドクオさんは無事に母親と話せただろうか」──そんな思考が浮かぶほど
 頭もはっきりしていた。

 だから、視界に入る天井が真っ白なタイルで、
 自分がベッドに寝かされているのに気付いたときは驚いた。

( ^ω^)「──」

 何かを言おうとした。
 けれど──怠い。
 体中に疲労を覚え、口を動かすのすら億劫だった。

ζ(゚、゚*ζ「起きました?」

 ベッドの脇から女性が覗き込んできた。
 ほんのりと懐かしさを覚える。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:55:15.99 ID:TuLwUPoa0
 
( ^ω^)「……さっきの……」

 祭りで内藤とぶつかった人だ。

 彼女は書類か何かを見ながら、内藤に質問した。

ζ(゚、゚*ζ「お名前は分かります? ご自身の」

( ^ω^)「内藤、ホライゾン……」

ζ(゚、゚*ζ「年齢と、通っている学校は?」

( ^ω^)「A県のヴィップ中学の2年生──14歳ですお」

ζ(゚、゚*ζ「ニューソク市には何をしに?」

( ^ω^)「旅行……友達のお母さんが旅館で働いてて、そこに泊まりに」

vζ(゚、゚*ζ「指は何本に見えます?」

( ^ω^)「2本」

ζ(゚、゚*ζ「大丈夫そうですね」

 何とか上半身を起こす。
 辛いところはあるかと女性が訊ねてきたので、全身の倦怠感を伝えた。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:57:08.02 ID:TuLwUPoa0
 
ζ(゚、゚*ζ「まあ疲れましたよね……。
      ──この紙と小瓶に見覚えは?」

 言って、彼女はメモ用紙が入った袋を右手に、茶色い小瓶が入った袋を左手に掲げた。
 紙は内藤とドクオの契約書だ。

 内藤は頷きもせず、彼女から用紙が入っている方の袋を奪った。
 何も知らない人からすれば、意味の分からない文面だろう。

 女性は小首を傾げる。

ζ(゚、゚*ζ「──おばけ法をご存知で?」

( ^ω^)「……え……」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、自己紹介が遅れまして。
      私、警察の者です! おばけ課。知ってます?」

 女性が、黒い手帳を差し出した。
 ドラマなどで見る警察手帳に似ていた。というか。警察手帳だ。

 照屋デレ。彼女の名前らしい。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 21:59:20.14 ID:TuLwUPoa0
( ^ω^)「……知ってますお」

ζ(゚ー゚*ζ「あら珍しい。
      それで、こちらの瓶は?」

( ^ω^)「さあ。僕の持ち物ではありませんお」

ζ(゚ー゚*ζ「あなたのズボンのポケットに入ってたんですが……」

 何故そんなものが?
 訝る内藤の顔を観察してから、照屋デレは小瓶をしまった。
 契約書を寄越せと言われたので、無言で返す。

( ^ω^)「ここ、どこですかお。僕はどうして警察の人と一緒にいるんですかお。
       ──ドクオさんは?」

 いっぺんに質問する内藤に、デレは一つずつ、ゆっくりと答えた。

ζ(゚ー゚*ζ「ここはニューソク病院です。
      あなたが事件現場に倒れていたので、とりあえずこちらに運んだんですよ」

( ^ω^)「事件現場?」

ζ(゚、゚*ζ「ええ。お祭会場で、死体が見付かりました。殺人と思われます」

 現在地、ニューソク病院。昨日の昼に、手の怪我を診てもらった病院だった。
 ここにいる理由、倒れていたから。まあ倒れていたら病院に運ばれてもおかしくはない。

 はあ、と頷き、再考して、内藤は首を傾げた。
 祭の会場が殺人現場だというのなら、なぜ自分はそんな場所に倒れていたのだろう。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:01:02.91 ID:TuLwUPoa0
ζ(゚、゚*ζ「それから、鬱田ドクオさんについてですが──」

( ^ν^)「おう。起きたか」

 ドアが開き、1人の男が入室した。
 見た目、30歳になるかならないかといったところ。

 グレーのワイシャツを着て、首元にループタイを通している。
 右手と左手には豆乳の紙パックを一つずつ持っていた。

 男が、デレの隣の椅子にどっかと座る。
 そして左手の方、未開封の豆乳を内藤へ投げて寄越した。

 喉が渇いている。飲んでもいいのだろうか。内藤が悩んでいると、男が口を開いた。

( ^ν^)「何歳だっけ?」

ζ(゚、゚*ζ「14歳です」

( ^ν^)「じゅうよん。なら起訴出来るな」

 内藤の頭の中で、今までのデレの発言と、たった今の男の言葉が混ざり合う。
 そうして生まれるのは、これから自分の身に降りかかるであろう難儀の予感。

 逃げなくてはならないと思った。
 しかし逃げてしまっては、ますます厄介なことになるとも直感していた。

(;^ω^)「……何なんですかお……」

( ^ν^)「あ?」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:03:46.57 ID:TuLwUPoa0
 
(;^ω^)「何が起きてるんですかお!
       気付いたらこんなところにいて──僕、もう──何が何だか──」

 存外、内藤は落ち着いている。
 それでも「混乱しきった演技」をした。

 何か考えがあったわけではない。
 ただ、彼にとって、自分の身を守る方法といえばこれしかなかったのだ。

 顔を覆って俯く。
 内藤の背に、デレのものであろう手が触れて、優しく撫でた。

ζ(゚、゚*ζ「君には、さっき話した殺人事件に、犯人側として関わった疑いが掛かってます」

(  ω )「……犯人側」

( ^ν^)「容疑者ってこったな」

 予感した通りの答え。
 見当がついていたとは言っても、実際にそれを突きつけられると
 頭が真っ白になってしまった。

 力が抜けて、両手が顔から離れる。
 内藤がゆっくりと顔を上げると、いつの間にか、デレが片手に細長い紙を持っていた。
 散りばめられた文字。御札だ。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:05:16.31 ID:TuLwUPoa0
 
ζ(゚、゚*ζ「改めまして。
      鬱田ドクオさんなら、こちらにいますよ」

 軽く紙を振る。
 すると、その中からドクオが現れた。
 札から伸びた白い光の糸が、首元や両手、腰の辺りに緩く巻きついている。

 まるで──いや、明らかに、拘束されているようだった。

 ドクオの顔は茫然自失といった感じで、どこを見ているかも分からない。
 定まらない視線が、内藤を捉えて停止した。

(;'A`)「……少年……」

 デレが咳払いをする。
 困惑と動揺が満ちる室内には場違いな微笑を浮かべ、彼女は言った。

ζ(゚ー゚*ζ「鬱田ドクオさん。内藤ホライゾン君。あなた方は、逮捕されました。
      どうぞ取り調べにご協力ください」

(;'A`)「……すまねえ、少年」

 ドクオは、何を謝っているのだろうか。
 分からない。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:07:02.78 ID:TuLwUPoa0
 
ζ(゚ー゚*ζ「内藤君。内藤君? 大丈夫ですか?」

( ^ω^)「僕達は……何の罪で捕まるんですかお」

 ドクオが逮捕されたからには、幽霊裁判が行われる筈だ。
 生きている人間でも、まれに幽霊裁判にかけられることがあるとツンが言っていたから、
 内藤もそれに加わらなければならないのだろう。

 笑みを深くするデレ。
 彼女の唇の動きが、やけにゆっくりに見えた。

ζ(゚ー゚*ζ「『道連れの罪』。主犯はドクオさん。内藤君は、その共犯者です」

 ドクオが力なく首を振る。
 ループタイの男は豆乳を飲みながらドクオを睨んだ。

 道連れ。
 その言葉の意味は分かっても、罪の内容までは理解出来ない。

( ^ν^)「実の母親を殺すとは業が深いな、鬱田ドクオ。
       ろくな死に方しねえぞ──って、もう死んでるか」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:09:15.55 ID:TuLwUPoa0
 
(#'A`)「この野郎……!!」

 くつくつ笑う男に向かって、ドクオが吼える。
 瞬間、光の糸の拘束がきつくなった。

(;'A`)「ぐっ、」

ζ(゚、゚*ζ「騒いだら駄目ですよう。
      手錠符を忘れちゃって、強めの拘束札しか手元になかったんで……。
      乱暴な言動をとったら、身動きとれなくなりますからね。苦しいでしょう」


      「──あんなことを言われたら、怒るに決まってるじゃないですか」


ζ(゚ー゚*ζ「あっ」

 咎める声。
 一瞬、デレの顔に嬉々とした色が広がった。
 ぴょんと跳ねるように立ち上がり、一礼する。

(;´・_ゝ・`)「どうも。
        ……駄目ですよニュッさん、まだ彼がやったと決まったわけではないんですから」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:10:35.51 ID:TuLwUPoa0
 
( ^ν^)「何だ、早かったですね、随分と」

(´・_ゝ・`)「近くの旅館に泊まっていたもので」

( ^ν^)「温泉好きめ」

 黒いスーツ姿の中年男性。
 目測40代ほど。顔にはフレームの細い眼鏡。
 背が高く、優しげな──

( ^ω^)「あ」

(;´・_ゝ・`)「──って、あ、あれ? 君が内藤ホライゾン君?
        これはまた、妙な縁だな」

ζ(゚ー゚*ζ「お知り合いで?」

(´・_ゝ・`)「同じ旅館に泊まっていまして、少し話したんです」

 昨夜、自動販売機の前でハンカチを貸してくれた男性だった。
 あらまあ、と驚くデレ。
 そこへ更に新たな人物──人間ではないが──が加わった。

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:14:31.21 ID:TuLwUPoa0
 
<_フ*゚ー゚)フ「俺らもいるぞ!」

/*゚、。 /「私らもいるぞ!」

( ^ω^)(で、今度はこっちかお……)

 男性の後ろから飛び出す人魂と一反木綿。
 彼らもまた、昨日、旅館の前で見たもの達で間違いない。
 奇妙な再会をしてばかりだ。

ζ(゚ー゚*ζ「エクストさんにダイオードさん! 今日もお元気で」

<_フ*゚ー゚)フ「デミタス様いるところに我ら有りー」

( ^ν^)「相変わらず腹立つ程うっせえな」

/#゚、。 /「ええい黙れこの横暴検事! ばーかばーか」

(;´・_ゝ・`)「こらっ、おとなしくしてなさい」

<_フ*゚ー゚)フ/*゚、。 /「デミタス様が言うならばー」

 2体のおばけは男性の後ろへ引っ込んだ。
 右肩から人魂、左肩から一反木綿が顔を覗かせる。

 ドクオと内藤が怪訝な目を向けると、
 男性は、しなやかな動作で懐から何かを取り出してみせた。
 小さな紙──名刺。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:16:21.97 ID:TuLwUPoa0
 

(´・_ゝ・`)「私は盛岡デミタスといいます。
        ──おばけ法の弁護士です。
        今回は鬱田ドクオさんと、内藤ホライゾン君の弁護を任されてやって来ました」



 そうして内藤は思うのだ。

 同じ弁護士なのに、どうしてツンの胡散臭さが彼には無いのだろうかと。


 

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/25(金) 22:18:02.92 ID:TuLwUPoa0
 


ξ>д<)ξ「へえーっぶちゅっ! ぶゎっしゃしゃしゃっ!」

(;,゚Д゚)「んまー信じらんない! きったない! 鼻水ぶちまけすぎよ!」



case6:続く

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