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89 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:45:47 ID:uoQSJDlE0
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(推奨BGM:prologue)
https://www.youtube.com/watch?v=6zfNTThhwag&index=4&list=RDAvl3A--8xYU
眠ろうとしていた身体に、夜の山中は一層冷たく突き刺さる。
家屋も消えたまばらな木々の隙間。
……見つけることはそれほど難しくなかった。
幾度と空を走る雄叫びに吸い寄せられるように走った先で、
膝を立てて踞り、地面に自らの頭を叩きつけるデルタの姿を見つけた。
「……おい、こんなところで一体…」 川;゚ -゚)
(;"ゞ) 「ゥ寄らな、いでくれえ……っ!」
川;゚ -゚)" 「?!」
(;"ゞ) 「ィまは……ダメ、だぁ……、家に居ろォ…!」
クーの前進を手で制し、もがき苦しそうに彼は叫ぶ。
必死に願うデルタはなおも激しく頭を叩きつける。
(∩"ゝ゚;)) 「ォ゙ォア… アアァア゙ーー、ゥ……ヴゥ…ッ!!」
ii川 ;゚ -゚)i ゾクッ
狂乱の慟哭─。
それはさっき耳にした叫びと同質。 デルタが放つ、苦悶の声。
(∩"ゝ゚;)) 「グゴアァア゙ァァ!!! ヴグルルルゥッ!!」
……そもそも人間がこのような声を出せるのか?
まるで獣が乗り移ったかの如く、本能からくる咆哮を思わせた。
ゴリッ、ゴリッ、…と、額が土を抉ってもまだ足りぬと言わんばかりに腕を振り上げ、彼は自らの後頭部を殴り続けている。
クーの身体が極限まで強張る。 おかげで逃げることも、近寄ることも出来なかった。
グランドスタッフでは見ること叶わぬ、"感情の暴走" 。
彼女のこれまで得た日常を引き裂かんと、喉を枯らす咆哮が夜の帳に木霊する。
(∩"ゝ゚;)) 「ウゥゥがあァ…アア゙ ア゙ ア゙ ア゙ぁ…!!」
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90 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:46:44 ID:uoQSJDlE0
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このとき…クーは見てしまった。
彼の口許にぬらぬらとまとわりついているものを。
瞳の奥に隠された赤黒い瞳孔を。
まるで生きた血肉を貪り啜って溢れた鮮血を思わせる。
《ぐきゅり》と喉をならすデルタ。
その足元に転がったモノは果たして────
(;"ゞ) 「………ぁアァ、ダメだ、やめぇろお…」
言葉とは裏腹に。
「女みたいだ」と形容した病的な細身が、月を背にして飛び掛かってきた。
──クーの肩を弾く衝撃。
反射的に突き出していた鉄の棒が、クーと、そしてデルタの距離を稼ぐ。
とはいえそれも、デルタの身体を一瞬押し返したに過ぎない。
たいしたダメージを与えることは出来なかった。
ガランゴロンと音をたて、一度きりの護身の役目を果たして落ちる。
"ゝ゚ 「グガアァァア゙ァォオァ!!」
剥き出しの殺意を優先するデルタは止まらなかった。
恐らくは…いや、確信。
クーを食むるため、再び跳びかかる。
川;> -<) 「……っ!!」
網膜へと焼きついた鬼の形相。
クーの知るデルタとは似ても似つかない声。
その身が押し倒されるまでに自覚できたのは、牙を露にする彼の顔から反射的に目をそらした、己の意気地の無さだけ。
間近で放たれる咆哮は威嚇となり、暴力と化して耳をつんざく。
視界が闇に染まってなお浮き彫りになる牙が、思考を切り裂いた。
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91 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:47:43 ID:uoQSJDlE0
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『──素直、待て』
川 ゚ -゚)"
『先ほど我々があえて言わなかった事があるのだが』
川 ゚ -゚) 『貴殿方の作戦のために、これからを相談しに鬱田のところに向かうんだ。
時間も限られている…是非手短にお願いしても?』
『ならば話が早い、その鬱田のことだよ』
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
死の直前…、人は記憶のネガフィルムを形成し、射影する。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
从#゚∀从 『どうしてだよ! アタシはクーが言った通りにやってるじゃんか!』
川# ゚ -゚) 『足の運びが違うんだ、そんな乱暴に膝を上げたら意味が変わってしまう』
从#゚∀从 『意味ってのは感情をどう表すかで決まるんだって教えたのもクーだよ!』
川# ゚ -゚) 『…………、私が言いたいのはそうじゃなくて』
(^ω^;)『…なにやってるんだお、二人は』
ξ゚听)ξ 『ダンス、ですって。 クーの家系に昔からあるとか何とか』
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
……死を認めたものが創り出す、諦めのエンドロール。
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92 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:48:45 ID:uoQSJDlE0
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∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
川 ´ -`) 『なに読んでるの?』
( 'A`) 『…クーか。 別に、単なるひまつぶしだよ』
つ□⊂
('A`) 『シャキンに、アーカイブから写してもってきた』
o□o
川 ´ -`) 『……"ハンナの旅立ち" …童話?』
"('A` ) 『ケホッ ゲホッ──……のぞくなよ』
o□o
川 ´ -`) 『…どんなお話なの?』
('A`) 『…病気の妖精ハンナと、死なない人間の話』
o□o
川 ´ -`) 『妖精と…不死……』
( 'A`) 『ハンナは病弱で、自分の家から出たことがない。
しかも、とおくない未来に死ぬことが決まってる」
( 'A`) 「その代わり目の前にあるものが、誰よりも楽しく感じられる。
だから、旅をしてきた不死の人間に、いろんな話をさせてくれってせがむんだよ』
( 'A`) 『人間は、ずっと人の悪い部分を見てきた。
でも、ハンナといるときだけは心がやすらいで…なるべく善い事だけを話して聞かせる。
……そんな話』
川 ´ -`) 『…よくわかんないけど、死なないって、なんか不思議だね。 人間は、ハンナが好きなの?』
( 'A`) 『……。 なんとなく、たぶんだけど』
( 'A`) 『ハンナのことが、うらやましかったんじゃないかっておもう』
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
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93 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:49:35 ID:uoQSJDlE0
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∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
( "ゞ) 『…〜〜♪ 〜〜♪』
川 ゚ -゚) 『この前からいつもいじくってるのは何だ?』
( "ゞ) 『んん〜? 何にぃ見えるかね』
川 ゚ -゚) 『鉄の棒』
( "ゞ) 『おおむね当たってるねぇ』
( "ゞ) 『…といってもココを見てみぃなよ、先端をこういじくっておけば……』
川 ゚ -゚) 『…』
( "ゞ) 『おぅっと、まだお楽しみだあ。 答えはちゃんと出来上がってぇからな』
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
順不同の過去が、クーの脳裏を横切っていく。
正気ではない。
今のデルタも、自分も。
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94 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:50:59 ID:uoQSJDlE0
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この世界にくるとき心に決めていたこと。
自分で求めて、自分で何者かになりたいと決意した行動。
ここで目を逸らすのが今の役目か?
過去を想い起こすのが今やることか?
川 > -<)
──そんなはずはない。 もしここでデルタが自分を殺せば、元の世界で死んでいたのと同じだ。
死ぬことが自分の求めた役割か?
なぜデルタは狂った?
なぜこんなことになった?
川 - )
それみたことか。 なに一つ、解らないではないか。
結局は理不尽に踊らされている。
そんな死を納得して受け入れることなど、グランドスタッフ倒壊のあの時ですら出来なかったくせに。
川 - )
今の自分はどういうことだ?
デルタのおかげで様々なことを学んだ。
……しかしまた、ただ生きていただけ。 何者にもなっていないじゃないか。
川 ゚ - )
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95 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:52:01 ID:uoQSJDlE0
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省みる思考は刹那。
頬をくすぐる布の感触が、まだ生を逃していないことを伝えている。
デルタは道葉で不意に腕を切らぬようにと、いつも緩めの長袖を着用していた。
彼の性格をそのまま表したようなダボダボの振り袖。
…暴れている間にかきむしりでもしたのか、破れ破れの服の隙間までも、返り血によって深紅に染まっている。
鎖骨まで露になった、傷跡ひとつすらない首元…。
からからに干からび、血塗られた腕。
いつかアーカイブで知ったお伽噺の、地獄の亡者が振るうものと遜色ない醜悪さを醸し出していた。
(;"ゝ゚) 「…………」
川 ゚ - )
かち合う瞳は揺れている。
デルタは痙攣し、その腕のなかにいることでクーにも伝わってきた。
……彼も、自らの衝動に必死で抵抗しているのだ。
(;"ゝ゚) 「……逃ゲテクレ」
川 ゚ -゚)
(;"ゝ゚) 「…誰カヲ傷付けルノはァ……モ゙ウ嫌だァよ」
相変わらず、その牙はクーの首筋を狙っている。
先程よりも、その赤黒い瞳はどんよりと濃度を増している。
川 ゚ -゚) 「…………だったら…どうして…」
(;"ゝ゚) 「…俺ぇは、"フゥ" 一族の出、身ダ」
(;"ゝ゚) 「は、ハハはハ、そんなもの分かランよなぁ…、すまなイぃなぁ」
川 ゚ -゚)
フゥとクー。
どこか響きのよく似た単語──印象深いその名は、しかと脳裏に刻まれた。
(;"ゝ゚) 「間違エて、ソレデモ驕り続けル、履き違エタ人間達のコトダヨォ」
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96 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:52:50 ID:uoQSJDlE0
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なんの変哲もない人間…特殊な力を持たぬ者が大多数を占めるその裏に。
極僅か…人間が持ち得ない力を持つ、フゥ一族と呼ばれる者たちの影がある。
デルタはその末裔。
古より、東方を統べては大陸をも牛耳る長命の種族。
────彼らは永く生きるため、生物の臓物を食す。
(;"ゞ) 「長イ…歴史ダぁよ、……ソの時間が一族の…誇リニ置き変ワッた。
歳ヲ取るホド偉い…知識ぃをモツホど、偉イ…ってナァ」
(;"ゞ) 「俺はァ……そんナノガ、嫌ニナッて逃げテキタんだ」
時の流れは、平等で、残酷だ。
いつからかは分からない。
自然を調律し、"風" の向くままに生きる民。
人の行く末を陰ながら見守り、突出して自然を破壊するような者が現れれば "封" する民。
それが、フゥの一族と呼ばれし者たち。
……呪いという概念がまだ生まれていない、はるか過去の評価、遺産、その骸。
彼ら一族は、ある世代を境にガラリと性質を変える。
(;"ゞ) 「"マスター" はぁ、…次…世代以降の、俺タチ、に……楔ヲ、打ち込んダんだ……グ、
((;"ゝ゚)) …グ……ァアガァ……!」
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97 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:53:48 ID:uoQSJDlE0
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今にも触れそうな二人の身体を、狂気の風が呑み込んでいく。
"ゝ゚ 「ゴアァ゙アルゥゥゥゥォォオ!!!」
デルタは数年前に村の犠牲者を出し、その人物に成り済ますことでここまで生きていた。
巧妙に騙しながら、村人と……そしてクーと共に過ごしてきた。
聴く者にとってその叫びは同じく、しかし訊いた者によって内実を大きく変えることだろう。
遠くにある村の者には相も変わらず、聞き慣れぬ獣の声として、小屋の戸締まりを厳重にしているかもしれない。
クーにとって……彼の咆哮は、嘆きを含んでいる。
,"ゝ゚ 「グガアァァア゙ァォオァ!!」
彼は泣いていた。
罪悪感に囚われようと、デルタは一族から逃げるために擬態し、生き延びてきた。
第一に守るべき自らを庇い、ようやく他者への余裕と優しさを得ることが出来た。
…それがいかに不完全で未熟な生き方であるかなど、彼にも解っている。
それでも抗えない。
薄氷を踏むほど頼りないデルタの意識が、クーに伝えている。
言葉にならない言葉を形作る。
,"ゝ; 「ガォアァァア゙ァォアァ!!」
『…楽しかったよぉ』
──そう聴こえた次の瞬間。
デルタの牙は、質素な布の服を貫き、クーの肩肉を喰い破った。
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98 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:54:38 ID:uoQSJDlE0
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《ゴキ、ゴキ…ッ》
骨を砕く音が響き渡る。
《ゴキリ》
…それが自分自身から発されている振動なのだと理解するには、心がどこか遠くにあるような気がした。
まるで誰かの咀嚼を俯瞰して眺めている…そんな感覚を覚える。
《…グギギュッ》
「ずまネェ……、スマねぇなあ、クーよ゙ォォオ」
《ギチギチ──》
朧気な意識の向こう側からはデルタの沈んだ声が、ノイズを避けてよく通る。
「やっぱり、やっぱりぃよ……」
「遅かれ早かれ俺は…、俺たちってのはあ、こうなっちまうのかよォお……」
「好きなのに、…傷付けたくなぃいのに、余計に腹が減るのはナンでだよぉ」
「悔しいよォお。 美味に感ジルのが、悔しいンダ……っ────」
────《ズブュッ》
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99 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:56:39 ID:uoQSJDlE0
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骨を断つ音は肉を裂く音へと変わる。
感覚はない。 どうやら麻痺している。
頭をあげることも出来ない。
たとえ、もがく指先が硬い感触を得ていても、それをそうだと認識するにはもはや足りない。
( ↑ゝ)
クーを傍らに、デルタは深紅の涙を流す。
…謝罪の言葉を口にして。
自らと、忌まわしき一族に怨みを呟いて。
( ↑ゝ) クーよぉ…
川 - )
( ↑ゝ) ……なにか、言いたいことはアルかぃい?
川 - )
川 - )
川 - ) 「……謝るくらいなら、最初からこんなことするな」
( ↑ゝ) …… はハ、そうだよなあ
声は音波となり、振動によって伝わるように出来ている。
音なき振動。
腕の先から微弱に伝わるのは──断末魔。
クーが手離してしまったはずの鉄の棒が、デルタのこめかみを易々と貫いていた。
苛立ちを抑えられないクーの感情が手伝い、小刻みに震えている。
まるで止めを刺すかの如く、グリグリとそれを押し込んでいく。
……デルタの声が、する。
それでも、ごめんなあ。
川 - )
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100 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:57:34 ID:uoQSJDlE0
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…そう言い終わると同時、デルタの身体はクーに覆い被さった。
軽くて重い圧力が、空の高さを錯覚させる。
ジュクジュクと疼き、走る激痛がクーを蝕んでいく。
川 - )
クーの瞳は虚空を仰ぐ。
姿を隠したままの月は浮かぶことなく、いつしか夜の鳥も居なくなった。
代わりに朝焼けが登り始めた頃、その痛みもやがてどこかへと消える。
川 - )
唇を咬む。 血色の良くなった薄白い頬を血が伝う。
それでも歯を喰いしばったのは、一時の痛みよりも堪え難い、所在なき怒りのやり場が無かったからだ。
あの時、デルタと別れていれば……。
あの日、外に出なければ……。
そんな "もしも" を繰り返して、悲劇を避けられたかもしれない今日を想う。
だがもう何も話すことはない。
心の通わない、虚しい抱擁を済ませるとクーは立ち上がる。
川 ゚ -゚) 「…」
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101 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:58:34 ID:uoQSJDlE0
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骨まで達していたはずの肩の傷は塞がり、小さな痕だけが皮膚の再生を告げていた。
間違いなく…デルタの牙は彼女の身体を肉として喰らったはずだったのに、それでもクーは生きている。
(( 川 ゚ -゚)
死ななかった女は、記憶という名の人生の旅路でもう一度男と出会い、幻想を共に過ごすことができる。
憶えている限りは永遠に。
だが、死んだ者からはその権利すら剥奪される。
デルタはそのまま朽ちていく。 二度と起き上がることは無い。
それでいいのだ。
彼は立派な村人として、此処で骨を埋めるのだから。
(推奨BGMおわり)
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102 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2016/06/07(火) 23:59:58 ID:uoQSJDlE0
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〜now roading〜
( "ゞ)
HP / C
strength / D
vitality / A
agility / D
MP / C
magic power / F
magic speed / H
magic registence / E
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