( ^ω^)千年の夢のようです

(´・ω・`):夢うつつのかがみ

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508 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 20:53:13 ID:RpgHiXcc0

代々の呪術師が踏み締め歩んだ大地に辿り沸き上がるは
森林を燃やす焔とは異なる、艶やかな丹赤。


「【フレアラー】!」


細く白い腕が鞭のようにしなやかに振られ、
魔導力の軌跡に沿った純紅の炎が扇状に撒き散らされる。


《ッゴアァ?!》
       《ゲキャ――》


炎幕に晒された蟻の群れ。
歪んだその身を怯ませ、
ショボンらに向けて踏み込まんと差し出していた足が止まる。

509 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 20:57:40 ID:RpgHiXcc0

三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
ヽヽヽヽヽヽ\\ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ
ヽヽヽヽヽヽ \\ ヽヽヽヽ ヽヽヽ ヽ
ヽヽヽヽヽヽヽ \\  ヽヽヽ  ヽヽ
ヽヽヽ ヽヽ   \\   ヽ    ヽ
ヽヽ ヽ  ヽ   \\ ズアッ !!
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

「サポートか、有り難いね」

               \\ ザシッ
         ̄ ̄ ̄`・ω・)   \\
            ∪    \\,,'
            ↑     \
             レ     ,゛`


有無を言わせぬ追撃の【切断】。

一振りで幾重も対象を斬り刻むショボンの技は、蟻の命を容赦なく屠っていく。

――さらに瞬刻、ショボンの後頭部を逆撫でる重力が発生した。


ミ#,,゚Д゚彡 「ふんっ…!」


ナナシを中心にして荒れる一陣の大旋風。
ショボンは振り向かず、額を土に擦り付けるほど低く屈む。

…騎兵槍そのものは空を割くに留まった。
だがその膂力が生む衝撃によって、
炎の壁は煽られ揺らぎ、蟻の宿り主である騎士の身体が浮き上がる。


まだ終わらない。
更にナナシが身体を一回転させ――


ξ゚听)ξつ 「【グランダ】!」

       ――《ブシュッ》
間髪いれず降り注ぐ岩石群。
《ブシュッ》――、肉と骨の狭間から空気をひと欠残さず押し出したような《ブシュッ》音が残響する。

510 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:00:07 ID:RpgHiXcc0
ミ;,,゚Д゚彡 「わっ…と!」


たたらを踏む。
力の矛先を失った騎兵槍が、周囲の熱によってとろけた土を抉った。


(`・ω・´) )) 「っと」


ショボンが一歩下がると同時、岩の墓標が音もなく突き刺さっていく。
地面を伝わる振動。
1つ…2つ……では足りない、場にいた全ての蟻の墓。


ξ゚听)ξ 「これなら生きていても、そうそうには動けないでしょう?」


…言って振り向いた姿は、この場に似つかわしくない華麗さを照らし魅せる。
一呼吸おき、表情を動かさずにツンは微笑んだ。


それはまるで西洋彫刻の像にも似て…。
ふたごじまで見たレリーフの女英雄が単身、
現実に脱け出してきたのではないかとショボンが思うほどだ。


―― ツン。
ブーンと行動を共にする不死者の女。
ショボンとはアサウルス絡みで、すでに面識がある。


ミ,,゚Д゚彡 「み、味方?」

(´・ω・`) 「敵ではないよ。 少なくとも、僕と君よりはね」

ξ゚听)ξ 「久し振りね、ショボン。
こんなところで逢うとは思ってもなかったけれど…」


二人の顔を交互に見るナナシを嘲るように、
再会を懐かしむ不死者の余韻を吹き飛ばすように。
…辺りは爆炎が一層盛り出した。

511 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:02:16 ID:RpgHiXcc0
ミ;,,゚Д゚彡 「あっ!」

ξ;゚听)ξ 「……ふぅ」

(・ω・`;) 「…ゆっくり話す時間も無くて残念だ」


もはや森の大半は焼け落ちて原型をとどめていない。
ショボンらが通ったわずかな道も、ツンの通った空の道も塞がれる。

死屍の転がる広場は今、ひときわ分厚い炎の檻の中と化した。


ξ゚听)ξ 「ただの炎じゃないんだわ…
アサウ…いえ、蟻の性質が本体に近付いているみたいな…」

(´・ω・`) 「同意見だ。 奴も時を経て成長するのかもしれない」


――もしくは、アサウルス本体が降臨しているのか?
ショボンはそんな言葉をひとり呑み込んだ。


(´・ω・`) 「ブーンもここにいるのかい?」

ξ゚听)ξ 「別行動……よっ!」

512 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:04:03 ID:RpgHiXcc0
発言が終わる前に、再び振るわれるツンの腕。

こんどは魔導力の軌跡が蒼く描かれ、淡い粒子を残したかと思えば…
水面に映る泡のように弾けて消えた。
だが、ツンの詠唱はそこで止まらない。


ミ,,゚Д゚彡 「…す、すごいから!」


感嘆の声。
入れ替わり発現したのは巨大な濁流の渦…
宙を起点に、竜巻を起こしながら巡る水槍だ。


(;´・ω・`) ( ここまでのものか、魔法とは )

ξ゚听)ξつ 「突き破るわよっ、【アクアデス】!!」
       ズ ァ ァ
            ァ ァ ァァァ
             
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
ァァァアアアアアアアアアアアアアアア
      アアアアアアアアアアアア

ミ;,,゚Д⊂彡
    「 「 …ぅおぉッ !?! 」 」
(;`・ω・⊂)

        アアアアアアアアアアアア
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三



【アクアデス】…死を冠する水の鉾。
焔を吸い込みながら術者の意思に従い突き進んでいく。

巨大な竜神が頭から檻を飛び出さんと暴れまわる。
着弾の余波が多量の蒸気となって破裂し続け、ショボンらの頬を焦がした。

「少し我慢してよね…!」
と、ツンの声が聴こえた気がした。
…蟻が産み出したであろう周囲の炎檻も、紅い毒を無遠慮に撒き散らす。

513 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:06:45 ID:RpgHiXcc0
    ――だが。


ξ;゚听)ξつ 「…だめだわ! 他の炎とは厚みが違いすぎる!」


術者であるツンには手応えがあり、しかしいま一歩足りないのだと警告する。


「ならば…!」      ̄ ̄`・ω・)

   ミ;,,゚Д゚彡 「ショボン!」


その呼応は素早かった。
止まぬ熱源に突入するショボン。


…しかしナナシが見たのは彼の背中だけではない。
炎との距離を詰めるほど、
無音の悲鳴をあげ、ばりばりとあからさまに捲れていくのは――ショボンの肉と皮膚だった。

514 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:09:40 ID:RpgHiXcc0

「こんなもの――     (`・ω;;


アサウルス本体の咆哮に比べればまだマシだ』

…ショボンが思い浮かべた言葉はただそれだけ。


身体の信号が途切れ、脳が感触を見失い、
目が潰れて何も見えなくなろうかというところで居合いの一撃を見舞う。


「これでどう…だッ」  (;`・ω::


不死の身に宿す風の魔導力をもって、炎の壁を【切


                  断】。



 

515 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:12:18 ID:RpgHiXcc0


ξ;゚听)ξつ 「――   」


……ツンの言葉は炎熱にかき消え、聴こえなかった。

熔けゆく目蓋でショボンがかすかに見たものは、    なおも立ち塞がる炎壁。


             (` ω;;


――まだ路は拓けていない。
こればかりはショボンにとっても想定外だ。


所詮は人の身。
【切断】のリーチが足りていない。
永年生きた驕りが彼の警戒を疎かにしたのか…

それほどに厚があり、圧を持った蟻の炎。


森中を焼く総てのフレアが今、この広場に集まっているとしか思えなかった。
アサウルスの咆哮と同性質を得た焔は、まだ幼いながらも不死者を苦しめる。

…だがあと一息のはずだ。


       (` ω;; ( …もう一撃を)


力尽きる前に放たねばならない。
意識なき得物が推進する。


 

516 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:13:21 ID:RpgHiXcc0


  三三 ミ#,,゚Д つ
       (; ω;; ( …あと一撃を )

 

517 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:14:26 ID:RpgHiXcc0
求める一撃。

それを加えようと迫っていたのは、不死ではない青年だった。

この光景を黙って眺めていられるナナシではない。
魔導力のない彼は、己のちからのみを率いてショボンの真後ろを追ったのだ。

…そして目の前で膝から崩れるショボンの頭上を飛び越える。


              ミ#,,゚Д

` ω;;       その槍…


金色の髪に灯火、身に付けていたプレートアーマーも融けて剥がれていく…。

なのに、その騎兵槍は…――



       #,,゚Д゚ 「ショボンは!


  ショボンは、しぃの元へ帰すから!!」



 

518 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:15:29 ID:RpgHiXcc0


《同胞の魔導力を感じる》


持ち主の意志に反して――


       《喰わせろ… 還してくれ》


       しかし呼応し――


    《ぉお…力が…戻ってくる》


     異なる目的を達成する――。

 

519 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:18:10 ID:RpgHiXcc0
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〜now roading〜


(  ∀ )

HP / B?
strength / C?
vitality / D?
agility / E?
MP / G?
magic power / D?
magic speed / D?
magic registence / E?


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520 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:21:50 ID:RpgHiXcc0
(推奨BGM:The Wanderer of Darkness)
https://www.youtube.com/watch?v=t1bzIOvNVO4

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どれだけ歩いたことだろう。


草花や生木が燃えた匂いに混ざって、人体の焼けた臭いが辺りに蔓延している。
硝煙混じりの暗雲が、狙って顔の高さにまで降りてきたかのような悪視界。

行く先見えない森は、体力も時間も…そして気力も奪っていく。


「だれか、誰かいるモナかーー??!!」


軍ともショボンともはぐれたモナーは、鎮火しつつある灰土を一人進む。
過ぎる時間と共に、足取りもひどく重くなった。
延々とした地化粧の空が、彼を見下ろしている。


「…」


川の流れが止まったかのように静かな森の跡で、ときおり届くのは枯れ木の鳴る音だろうか…。
あれほど盛っていた炎の海も、もう蛍のように残骸を灯すだけだ。
道中、断片的に耳にした誰かの声も、もう聴こえない。


「…はぁ……」


腕も足も限界がきた……。
ついぞ、その場で立ち尽くす。

521 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:22:56 ID:RpgHiXcc0
カサカサと、木っ端が主張するのは惨劇の残り火。
所属を示す黒い首輪が、煤だらけの軽鎧とよく似合った。
…まるで闇に紛れるように。


「なにをやってるモナ…自分は……」


赤い森はもはや荒野と化した。
鮮やかな彩りも、ひたすらな紅も、森の面影はなにもない。

何者にも邪魔されることなく、緩やかな風が吹いた。


「だれか…――

     ショボンどのー!

       ――もう、だれでもいい!
居るなら返事をしてくれモナーー!」

 

522 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:24:02 ID:RpgHiXcc0
虚しく天を抜けるモナーの野太い声。
星のない夜空を見上げれば闇の大地に成り変わり、
空転する意識はそのまま背中から倒れ込みかねない。

モナーの疲れはピークに達していた。

戦場における大声など、
敵に聴かれれば自軍の位置を知らせる愚行でしかないが、彼は叫び続けている。

その声が枯れるまで。


「だれかぁーーー!」


…モナーは名声など求めていなかった。
敵兵に見付かろうと、戦う意思も残っていない。
ショボンに追い付けさえすれば良い。


追い付いて、彼の態度に憤り、肩を掴み、
――『貴方は何を抱えているのか?』
そう問い質すつもりだった。
 

523 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:25:48 ID:RpgHiXcc0
ふと気付いたことがある。
奇しくもそれは、祖父からの伝言と異口同音なのだ。


「はぁ……はあ…はァ………」


感謝を口にしていたはずの好好爺が、
礼ではなく、なぜそんなことを言いたかったのか…
いまのモナーになら判る。


言葉少なげな者が誰しも、心になにかを抱えているわけではない。

他者への気が回らない。
人目が怖い。
そもそも興味がない。

理由は様々あれど
育つ環境と、自身の思い込みによって形成された性格というものも多分にあるだろう。


しかし、ことショボンにおいてはいずれも当てはまらない。
彼は充分に気が回り、他人を恐れなかった。
堂々とした振る舞いで、効率的な物言いをする。
かと思えば…どこか人をくった涼しげな言葉すら操る男だ。


「……疲れたモナね…」


だからこそ何故、あの瞬間だけ…
泣き出しそうな、幼い顔を見せたのだろう?

524 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:26:55 ID:RpgHiXcc0
まもなく夕焼けを喰らい尽くすであろう地平線。
沈む太陽にあやかり、その身を共に伏せてしまうほどに休息を欲した。

頬の触れた大地は、見た目より固く生ぬるい。
倒れ込んだ勢いから不意に口内を侵す泥を、唾液で濡らし乱暴に吐き出した。
何度も、何度も、異物感が拭えるまで。


「…」


脱力感。
モナーの両手両膝が深く土にめり込んでいく。
熱で熔けた土塊がその身を汚すのも厭わない。



横倒しの世界は、
モナーの意識に浮遊感をもたらす。

 

525 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:31:00 ID:RpgHiXcc0


       ――コトン コトン。

工房の扉に取り付けたノックハンドルが、来訪者を告げる音。





     『ごめんください、モナーさん』


(推奨BGM:Ruins of the east)
https://youtu.be/v9PRpIezoUY
 

526 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:32:27 ID:RpgHiXcc0


……いつかの夕暮れ時だった。
単身、謝罪に現れた老婦人を思い出す。


声の主は、モナーにアイテム製造を依頼した者の代わりに。
のちのち戦争へと、身勝手かつ想定外に利用した立場の代理として。


『きつねどの?
今日はまだ納めの日ではなかったはずモナ』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『王の命とは別件で来たの。
…償い足らずとも、せめて私からだけでも、貴方に謝りたくて』


きつねと呼ばれた老婦人は一礼し、工房の扉を後ろ手に閉める。
一体何かあったものかと…モナーは室内への移動を促した。
彼女に対して警戒心など抱くこともない。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『作業中なのにごめんなさいね』


なぜなら…開店して一年ほどの細工工房に彼女が現れるのは、これが初めてではなかったからだ。

527 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:33:37 ID:RpgHiXcc0
国からの依頼が徐々に増えたのは、大陸戦争のはじまる数ヵ月前。

…日に日に増える生産量。
出来上がり次第、納品しては入れかわり舞い込む依頼。
きつねは国からの使者として、モナーの元をたびたび訪ねていた。


普段ならお茶のひとつでも淹れるのだが、その日はきつねの方から謝辞された。
疑問符を浮かべるモナーにゆっくりと彼女は話し始める。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『貴方が製造した品々が悪用されているの…。
それを伝えたくて』

528 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:34:51 ID:RpgHiXcc0
『えっ…??』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『それとまもなく、城からの官がここを訪ねてくるでしょう』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『貴方を、戦場へと連れに』


"悪用" …… "戦場" ……。
どちらもすぐには脳に染み込まない単語。
呆けるモナーを前にしたきつねはうつむき、少し咳き込んで、すぐに顔を上げた。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『見てしまったの。
貴方の製造品を手にした騎士たちが、魔導師の集う訓練所で実験していたところを……』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『でも、それは――』


魔導力を回復させるマナカプセル。
そして凡庸武器の依頼も含まれてはいたが、その程度の依頼ならば日常茶飯の範疇に過ぎない。
大陸には野生のモンスターが生息し、
その生活テリトリーを破る際には誰しも必要とするものだ。

問題は、他の品の扱い方なのだと彼女は言う。


彼女を通じて城から注文されたのは、
…容器内の水体積を減らすケロロンポーチ。
 兵糧の一部を手軽に運ぶための生活雑貨。
…弱魔導力を乱反射するライトレンズ。
 耐久性にまだまだ改良点はあるが、使い捨ての夜光補助アイテム。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『私も先日まで気付けなかった。
ひとえに王を信用していたから。
もし、アイテムをあのように扱うつもりであるなどと最初から知っていれば…』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『貴方が庶民の生活に貢献してきたこと…しもじもの者たちほど、よく理解してる。
そして私もその一人でありながら、
故郷と家族かわいさに、上役に逆らうことができなかったの』


イ从,, ー ノi、 『……止められるかもしれない可能性を見捨てていたの』

529 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:36:58 ID:RpgHiXcc0
重力に逆らわず、両手両膝…額まで床に擦り付ける彼女は、幾度も謝罪を口にした。


イ从,, ー ノi、 『ごめんね…モナーさん…。
本当に…面目ない……』


年老いた彼女にも家族があり生活があることくらい、独り身のモナーにも理解はできる。

…しかしなぜこの老女が謝らなければならないのだろう。
頭の片隅で違和感を覚えたが――すぐにかき消した。

よほど職務に忠実なのだと思うことにした。
彼女の態度から多大なる罪悪感が伝わってきたのだから。


そうとも。
きつねは右から左へと、言伝と製品を運んでいたに過ぎない。
職務上やるべきことをしただけだ。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『いいのよ。
しがない国の下僕とはいえ、私も無関係ではないから。
それに…この戦争はきっともっと大きくなるわ』


庇う言葉をかけるモナーにも、彼女は首をたてには振らなかった。
――それどころか前髪に隠れて伏し目がちな瞳が、まるで東方の刀のように鋭く映る。
緩やかに歪曲し、しかし美しさを兼ね備える刃。


しかしそれも一瞬のこと。
袖口からチラリと見えた数珠がカラ…と哭いた時、そこにはいつものきつねが映っていた。

530 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:38:56 ID:RpgHiXcc0

きつねはモナーの知るどんな女性よりも不思議な人だった。


老女ではあるが、年月によって刻まれるべきシミやたるみはほとんど見当たらない。
首元のシワを見てはじめて、年齢を推測する材料のひとつに数えられる程に若々しい。


他の人々とは一線を画す雰囲気も特徴的だった。
老いて凛々しく柔らかなその物腰は、自然とモナーの口を緩ませる。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『孫は何人も…ええ、おかげさまで。
みんな良く出来た子達でねぇ、こんなお婆になっても元気を分けてもらえるんですから』

『孫かぁ…自分は子供すらできるかわからないモナ』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『子供を作るのは女の役目。
貴方みたいな人はどーんと構えて過ごしていればいいんですよ』

『でも…毎日仕事しているだけモナよ?』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『いいじゃないですか。
男なら人として、出来るだけ大きな証を遺してみせれば。
生来、女より出来ることがひとつ少ないのだからそれくらい頑張らないといけません』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『手の届くことだけでいい…
それだけで、自然と貴方の思い出は形を変えて、次の世代に必ず引き継がれるわ』

『だったらなるだけ長生きしないと。
モナには細工師の道を極める夢があるモナ!』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『そうね。
短く儚い命でも、たくさんの人たちに勇気を慈しみを与えたお話しだって世の中にはあるわ。
いつか死んでしまうからこそ、人は頑張れる。
それでいいの。 …それがいいのよ』


仕事中は誰とも時間を作らないモナーだが、彼女とならば不思議と世間話に花を咲かせた。
祖父母や両親が他界してからというもの、久しく無かった小言も心地好い。


だからこそ――何故、他人のために?

531 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:40:48 ID:RpgHiXcc0

モナーの職人としての憤りは胸中に秘められつつ、確かに権力者へと向けられる。

すなわち己から汗をかかず、欲と利権のみを貪る肥えた豚。
心を痛めるのはいつも仕える者たち…利用される側だ。


イ从,,゚ ー゚ノi、 『私は戦争がはじまる前に里に戻るつもり。
…もはやあの王を止められる者は、この国にいないでしょうから』

イ从,,゚ ー゚ノi、 『だからせめて。
乱心の片棒を担いだ "責任" を、老いた私なりに取らせていただこうと思うの』

532 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:42:31 ID:RpgHiXcc0

組織に属した者の世界は、ヒエラルキーによって支配される。

信仰だろうと、
  職業だろうと、
     血の繋がりであろうと。
       たとえ偽りにまみれようと、
天から下される命令を民意と称され、否が応にも従わなければならない。

臆面なくマイノリティという黒羊の皮を被って、人々の心に忍び寄り添ってくる偽善。
気付けば無垢すら色に染まるだろう…背向くものには容赦なく、そして無寛容だ。

きつねをそうしたように。



『きつね? …申し訳ない。
私は本日付けで製品の受け渡しを担当することになった、フサグという者だ。
…まだこちらに来たばかりでね、前任のことは特に知らされていないんだ』


翌日から老女の代わりに来た男は若かった。
礼儀正しく、決められた時間もよく守る。
大陸東の出身で、故郷の山には色とりどりの花が咲き乱れるのが自慢らしい。

…だが彼を知るため交わした会話はそれだけ。

その後、ショボンがモナーを迎えにくるまで、フサグが無駄口を叩くことはなかった。


きつねのように、
フサグとモナーが笑いかけ合うこともなかった。


 

533 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:44:12 ID:RpgHiXcc0
「……ぁ…」


遠ざかっていた意識を戻すと、もうすぐ夜が来ようとしている。
モナーはゆっくりと身体を起こし、大きなため息をついた。

大陸で生活を嗜み、感じてきたことを思い羅列する。


霊長類どころか、指先ほどの虫たちと変わりない管理社会。
共感を強いては個を認めない。
かと思えば一部の例外者の成功だけを模倣し、いつのまにやら我が物顔で共有を語りだす…。

もしも虫呼ばわりが無礼ならば。
獲物を無理矢理にでも地に組伏せるその様は、かの肉を喰い千切る獣と何が違うのだろうか。


『さようならモナーさん。 イ从,, ー ノi、
どうか貴方は自分に精一杯、忠実に生きて……』


……以来、きつねがモナーの元に現れることはなかったが、
彼女のことは今でも印象深く、モナーの確かな記憶に刻まれている。


だからこそ、あの日のきつねと先のショボンに、似た影が差していたことを気にかけた。
立ち上がり、乾きつつある泥も払わず、モナーはもう一度叫んだ。


「人がいるなら、早くこの森を出るモナよー!」


…喉の奥が痛んだ。
胸中は不自然なまでにざわついている。


「……誰か、誰でも、いい…。 もう、…」

534 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:46:38 ID:RpgHiXcc0
それきり暫し動くこともできないまま、
改めて自分が今、なにをしていたのかを俯瞰し、とうとう自覚してしまう。


「……最低モナ」


モナーが本当に捜していたのはショボンではない。
―― "森の民を連れて帰る" 。
そんな大義名分だ。


このまま独りおめおめと戻れば、
混乱に乗じて軍を離れた臆病者の称号とともに、
戸の立てられぬ噂の的になるのではないか…。

軍師として大陸戦争に貢献していたショボンとは違い、たかだか一介の細工師。
戦闘の実績もなく、提供した製造品も己の意の通りに使われた試しがない。

頭のなかではシルエットの群れがモナーを囲み、こぞって指をさしていた。


「自分以外を利用して…」


身震いする。
かつてのきつねの言葉が心を苛んでいく。
記憶を写した羊皮紙が虫喰われ、不規則な穴をあけるように。

535 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:48:20 ID:RpgHiXcc0
嘲笑は恐くない。

だが…祖父から受け継ぐ一族の信頼を、自分の代で失うことを彼は最も畏れた。
生きた証を遺すため、自身に忠実に行動した結果が "誰かを利用する" ことになろうとは。


……果たして、そんなモナーが遭遇する。


       「だれか、いるの?」


「!! 子供の声…どこにいるモナか?!」


       「……ここ」


跳び跳ねる心音を抑えつつ、消えそうな声を頼りに近寄るのは
焼け残った樹木、木炭、廃材の数々が崩れ重なったバリケードのような殻。

モナーには知り得ない、人為的に造られた天岩戸。


中からは出られないのだろうか。
モナーが瓦礫を取り崩す音だけが響く…軽く触れただけで、ガラガラと。


「あとすこし…っ、待ってるモナよ!」


(推奨BGMおわり)
 

536 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:49:45 ID:RpgHiXcc0

廃瓦礫の隙間から姿を見せたのは、
軍員には含まれるはずもない、まだ小さな男の子だった。


「君は…ひょっとして森の子、モナね?」

「……」


子は答えなかった…しかしそうなのだろう。
怯えているのか、眼球が落ち着きなく揺れている。

モナーは膝を抱えて震える子の手をとり立たせると、
少しでも安心させるように目線を同じくした。
全身煤だらけではあるが、穏和そうな顔つきの男の子だ。


「怪我はしてないモナか? 痛いところとか…」

「……」

「大丈夫、なにもしないから。
とはいえ森はこんな状況モナ…」

「…」

「またなにが起こるか分からない。
次に炎に囲まれたら、モナーだって逃げられるか判らない…だから――」

「もう……いやだよぉ」

「…ぁ」


みるみる表情が崩れていたかと思うと、子は膝を折って座り込んでしまった。
隠しもしない嗚咽が、モナーの耳に嫌でもこびりつく。


「ぅわあぁぁああん……あぁぁん………」

「モナ…」

537 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:51:50 ID:RpgHiXcc0

しばらく立ち尽くすも、泣き止まぬ幼な声は時間だけを食し続ける。
困り果てたモナーはやがて意を決するようにもう一度、子の腕を握りしめた。


「泣いてたって、なんにもならないモナよ」

「ぐすっ…ぐすん……」

「モナは人を追い掛けてたんだけど…
でももうここを出た方が絶対にいい。
君の親も、もしかしたら森の外で待ってるかもしれないモナよ?」

「……」


沈黙、


「    …嘘だ」


拒絶。


「モナ?」

「おとうさんも、おかあさんも……ぼくの目の前で殺された」

「――!!」


子の目付きが鋭くなる。
黒く、深く…。
まだ小さく未発達な瞳の奥で、
眉をひそめるモナーを映した瞳孔だけが明らかに大きくなった。

538 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:52:57 ID:RpgHiXcc0
「……その首輪、おんなじだ。

おしさんたちが……お前たちが…!

お前たちが!! おとうさんとおかあさんを!!」

「…ちょっ…ちょっと落ち着くモナよ!
モナはただ――」

「ゆるさない…!」


立ち上がり、我を忘れ、怒りを "増幅" させられた、
生き残りである呪術師の子が右腕を大きく振りかぶる。


    「 赦 さ な い ! 」

 

539 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:55:11 ID:RpgHiXcc0
森に蔓延していたのは蟻の炎だけではない。
紅蓮を失してなお、この時点においては
"人の心を先走らせるなにか" が充満していた。


呪術師の子には "恐怖" と "恨み" 。
モナーには "焦燥" と "諦観" 。


    「「 うわあああ!! 」」


重なる叫喚。
危害を加えるべく降ろされ、それを防ぐべく振り上げられた…大きさの異なる手と手の狭間。

赤子の頭を潰すかの如く、ひしゃげた人形が嗤い歪んだ。


それは呪術師が造りあげた、子供たちへの儀式のための人形。
泥を詰め、髪を添え、生まれた使命を果すために……



練り込められた魔導力――【ドレイン】。

540 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:56:33 ID:RpgHiXcc0
生起せし呪術のトルネイド。
二人の目に映る景色は闇に染まり、血に埋まった。
赤黒い魔導力が煙となって蒙蒙と噴きあがる。

最後にモナーが知覚出来たのは、食い込んだ指先に当たる泥の感触。


「ぐああぁぁああ…ッッ!!」
「うわぁあーーー!!」


異なるオクターブによって彩られる悲鳴。
発動した【ドレイン】から逃れようにも、指が人形から離れない。

二人の身体を行き来する魔導力が、二色の勾玉となって巡り廻る。
ぐるぐる…ぐるぐるぐるぐる…と。
息をするように吸い込まれ、頭を垂れては吐き出される輪転の波動。
二人の身体が意思とは裏腹に、ゆらりがくりと揺れ動く。

    吐血するモナー。


「モナ…ァあが…が…――」


…呪術師の人形。
天の恵みである雨水。
赤い森で採れる恵みの土。
それが混ざった時に出来る "泥" ……。

その泥に練り込まれる呪術【カース】と、
人形の穴を塞ぐ際に使われる、髪と糸に編み込まれた呪術【プーラ】によって、
はじめて儀式のための準備が出来るのだ。

    皮膚を突き破らんと盛り上がる管。
    行き場を失いかけた血が、
    ここぞと爪先から噴き出し始める。


( まさか…このまま死ぬ……モナか…?? )

541 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:57:18 ID:RpgHiXcc0
    呪術師の血をひかないモナーには
    禍害にしかならぬ、赤黒い魔導力。


【プーラ】とは身代わりの呪術。
一族を想う気持ちが強ければ強いほど、その効力も大きくなる。
護られる対象は、一定量のダメージならノーリスクでやり過ごすことができる。


「痛いよぉ…おと…さん、おかあ、さ……」

( 死にた…くない……モナ、… )


    モナーの腕がだらりと下がり、
    そのいかり肩を、子におぶした。
    魔導力が往来の速度を増す。

542 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:58:35 ID:RpgHiXcc0

【ドレイン】の波動は群を抜いて異質だ。

【プーラ】に護られているはずの子供たちですら、例外なく哭き叫び、気を失う。
宿す魔導力をかき回され、精魂尽き果ててしまうのだ。

…モナーを巻き添えにし、意図せず儀式を開始したこの子も同じく。
いまは歯を食いしばって目の前の仇に意識を向けるので精一杯だった。


呪術師たちはなぜ儀式に人形を使うのか?
それは【ドレイン】の循環によって失われる生気を少しでも還元するためだ。
命なき人形が得られないエネルギーは、元あった子供の身体へと帰還する。


( …――ぁ   う  )


それなのに、今はモナーという存在が加わっている。
【ドレイン】によって二つの魂は、悪戯に混ざろうとしていた。
適正もなく、身代わりの呪術もないモナーでは、そもそも【ドレイン】に堪えられない。


…弱っていた彼の魂が、やがて呪術師の子へと片寄り始める。


( ――たく…ない、死にたくな――…ま、だ、やりたい  こと …が          )


 

543 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 21:59:33 ID:RpgHiXcc0


モナーの記憶から、



             《工房》…

《祖父》…

       《故郷( ルーツ )》…

 

544 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:00:33 ID:RpgHiXcc0

消えていく、




   《(´・ω・`)》…



             《隕鉄の刀》…

 

545 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:01:45 ID:RpgHiXcc0

流れ出ていく、





       《イ从,,゚ ー゚ノi、》



生きた証。


 

546 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:03:42 ID:RpgHiXcc0


 

547 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:05:17 ID:RpgHiXcc0


…やがて。
赤い森の片隅で、静寂はその力を取り戻す。
赤黒い渦は粒子となりて、
闇中をか弱く羽ばたく蛍のように空に散った。


細かな魔導力が飛び立ったであろう大地。
そこには独りぼっちの生命が、所在なさげに膝をついていた。

傍らでは植物の画が施された黒い首輪をはめる青年が静かに横たわる。
青年が伸ばした腕…その先で、なにかを掴まんとする掌はもう動かない。


彼の魂は途上ながらにして
もうひとつの可能性に満ちた男子に献上された。

記憶…そして存在意義も。




       【ドレイン】




人生はしばしば川の流れに例えられる。
大海に出る路もあれば、いつかは尽きる路もあるだろう。


モナーという人間はこの日、この赤い森で、その路をたしかに閉じた。
 

548 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:06:22 ID:RpgHiXcc0



       ( ´∀`)



モナーの死を眺めるのは、
同世代である仲間たちの儀式を横目に脅え、なにもできなかった小さな独り。


人形ではなくモナーという青年を通して、今しがた【ドレイン】の儀式を終えた男子。


呪術師の一族として後継されし真実なる生き残り…
その彼に、生きた証の総てを託してモナーは絶息した。



   ( ´∀`)



『死にたくない』――。
渇望してなお、願いは叶わなかった。

しかしまだ呆けている生命の中で、モナーという路が新奇に創られようとしている。




( ´∀`)「……この人のこと、頭に流れ込んできた…」


(  ∀ )
 

549 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:08:03 ID:RpgHiXcc0

( ;∀;)「ごめ、ごめんな…さい」


屍に向けてはじめて口にしたのは、贖罪の言霊。


( ;∀;)「この人は…もっと生きたかったって…。
ぼくと、おんなじ……もな」


( ;∀;)「…?… 一族を大切にして、でも、こわくて、お母さんがぼくを隠してくれて」


"結魂" した記憶はまだ結合しきらない。
しかし、それも時間の問題だ。


( ;∀;)「ごめんなさい、ごめんモナ、ごめんなさいモナ…――」


モナーという青年の抱いていた夢と願望に惑わされながら、
自らの名もまもなく思い出せなくなる呪術師の一族。

やがて慟哭止まぬまま歩きだす。


「…うぅ〜〜…――」::( つ∀ )::



「ぅぁあァあん……っ――!」 ::( ;∀ )::




その足は無意識に森の出口を目指す。


小さな後ろ姿。

一度…二度、大きく深く呼吸して、
彼は地平線の彼方へと消えていった…。



 

550 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/06/24(水) 22:08:54 ID:RpgHiXcc0

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ξ゚听)ξ

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