清夏のようです

銷夏のようです

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228 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:47:26 ID:btbomhEE0



 みんみん、じゃわじゃわ。
 みんみん、じゃわじゃわ。

 じーわじーわ、つくつく。
 じーわじーわ、つくつく。


 時刻は昼前。
 夏休みが始まって一週間ほどが過ぎた頃。

 エアコンの冷気にある程度冷やされたリビングで、扇風機を回しながら机の前に座る。

 机の上に広げられているのは、夏休みの宿題と汗をかいた麦茶のコップ。

 右手にペンを握ったまま、左手の携帯をじっと見つめている。


 画面には、二週間ほど前に彼女から届いたメッセージ。


 もう終えたやり取りを何度も見ては、次のメッセージが来ないか、自分から送るべきか。

 他愛のない会話をしただけで、結局まだ謝れていない。

 何か俺、謝ろうとして謝れないのをしょっちゅうしてる気がする。

229 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:48:12 ID:btbomhEE0

 『宛先はギコくんですか?』
  『はい』

 『わーい、送れたよ』
  『良かったな』

 『この文字打つのむずかしいね』
  『慣れだろ』

 『スナイプ入力だっけ?』
  『スワイプだし入力はフリックだ』

 『はずかしい』
  『そうだな』

 『ばか』
  『お前だよ』


 なんて、下らない会話だ。

 そんな下らない会話が、たまらなく心地好いんだ。


 二年間、もやもやしたまま、もやもやして過ごしてきた。
 そんな中で、彼女が再び日常に戻ってきたみたいで。

 正直、困惑する。

230 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:48:41 ID:btbomhEE0

 イトウヤの帰りに会って、少し話した。
 謝る事は出来なかったが、胸の内を互いに伝え合えた気がする。

 でも、まだ気まずさが強い。
 彼女から言葉を選んで話してくれると、会話は驚くほどスムーズに進む。

 しかし自分からだと、そうはいかない。
 コミュニケーション能力が低い自覚は無いのだが、彼女に対してだけは難しい。


 自分の気持ちは、ちゃんと理解している。

 俺は小さい頃から、しぃが好きなんだ。
 でもほんの少しだけ、胸にしこりが残ってる。

 このしこりを取り除きたい。
 この気持ちを伝えたい。

 あの時の約束は、まだ有効なのだろうか。
 もう、この二年で無効になってしまったのだろうか。

 有効なのだとしたら。
 無効なのだとしたら。

 ああもう、頭の中が捏ね回されるみたいだ。

231 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:49:03 ID:btbomhEE0

(,,゚Д゚)「はー……」

( ・∀・)「見ろ長岡、これが人を呼んでおいて宿題をしない大学進学予定の人間だ」
  _
( ゚∀゚)「つまり宿題を捨てて遊べば良いんだな」

( ・∀・)「良いわけねーだろひっぱたくぞ」
  _
( ゚∀゚)「モラって俺に厳しくない?」

( ・∀・)「厳しくさせる奴が悪くない?」
  _
( ゚∀゚)「ギッコー何みてんだよー」

( ・∀・)「逃げるなこら」

(,,゚Д゚)「あー……しぃのメッセ……」
  _
( ゚∀゚)「嫁と仲直りしたんギッコ」

( ・∀・)゙ ゴスッ
  _
( ゚∀゚)「いたい! 机の下から蹴るなよ!?」

232 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:49:31 ID:btbomhEE0

( ・∀・)「オレ オマエノ デリカシー ナイトコ キライ」
  _
( ゚∀゚)「えぇ……ごめん……」

( ・∀・)「それはさておき、しぃちゃんと仲直りしたんかギッコ」
  _
( ゚∀゚)(聞くのか)

(,,゚Д゚)「まだしてない……」
  _
( ゚∀゚)(答えるのか)

( ・∀・)「でもアドレス交換したんだろ? メッセもやり取りしてるのに」

(,,゚Д゚)「…………なぁモラ」

( ・∀・)「うん?」

(,,゚Д゚)「俺、心狭いよな」

( ・∀・)「うん」

(,,゚Д゚)

( ・∀・)
  _
( ゚∀゚)(えぐい)

233 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:50:01 ID:btbomhEE0

( ・∀・)「ギッコしぃちゃんが女子高行って怒ってたじゃん」

(,,゚Д゚)「はい」

( ・∀・)「まぁ一言欲しかったのはわかるけどさ」

(,,゚Д゚)「はい」

( ・∀・)「二年引きずるのは女々しい」

(,,゚Д゚)「ハイ」
  _
( ゚∀゚)(ひどい)

( ・∀・)「そんだけ一緒の学校行きたかったんだろ」

(,,゚Д゚)「…………うん」

( ・∀・)「しぃちゃんもそれ分かってたから言えなかったんだろうよ」

(,,゚Д゚)「…………」

( ・∀・)「言えなくさせたのも、お前のせいでもある」

(,,゚Д゚)「……はい」
  _
( ゚∀゚)(きつい)

234 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:50:24 ID:btbomhEE0

( ・∀・)「でも、もう怒ってないのな」

(,,゚Д゚)「だってさ、……しぃがうちみたいな底辺来る必要無いだろ」

( ・∀・)「   そうだな」
  _
( ゚∀゚)(こらえた……本来は進学校に行きたかったモラがこらえた……)

(,,゚Д゚)「あいつには、あいつの進路があるんだし」

( ・∀・)「  そうだな」
  _
( ゚∀゚)(モラ……大人だなぁ……)

(,,゚Д゚)「だからさ……何か……俺がわがまま言って怒るの、カッコ悪いなって……」

( ・∀・)「そうだな!」
  _
( ゚∀゚)(ここぞとばかりに生き生きと……)

(,,゚Д゚)「だからあの、寂しいけど、怒ってない」

( ・∀・)「ふむ」

(,,゚Д゚)「つか、勝手にしろって怒鳴ったからさ、謝りたい」

( ・∀・)「ギッコ最低だよな」
  _
( ゚∀゚)(鬼か)

235 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:51:07 ID:btbomhEE0

( ・∀・)「ふーん、急に成長したじゃん」

(,,゚Д゚)「伊藤の姉ちゃんにも言われたから」

( ・∀・)「俺がどんなに言っても聞かなかったくせに」
  _
( ゚∀゚)「女じゃないとダメなんだな」

(,,゚Д゚)「人聞きが悪い」

( ・∀・)「見損なったぞギッコ!」
  _
( ゚∀゚)「推定Fカップがそんなに好きか!」

( ・∀・)「その観察眼は気持ち悪い」
  _
( ゚∀゚)「えっ」

( ・∀・)「つかイトウヤ復活すごいよな、長続きすると良いんだけど」

(,,゚Д゚)「あの姉ちゃんならいける気がする」
  _
( ゚∀゚)「おっぱいでっかいしな」

( ・∀・)「いつまでガキみたいなこと言ってんだお前は」
  _
( ゚∀゚)「ダメなのか……」

236 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:51:55 ID:btbomhEE0

(,,゚Д゚)「モラだってガキだろ」

( ・∀・)「俺は医大目指してるエリート志望だから」
  _
( ゚∀゚)「底辺高だけどな!」

( ・∀・)「俺じゃない、突っ込んできた自転車が悪い」

(,,゚Д゚)「しかも逃げたしな」

( ・∀・)「まぁ……悪いことばかりじゃないけどな」

( -∀-)゙「そりゃ進学校行きたかったけど……」

( ・∀・)゙「……前らと一緒の高校行けたから」

"(・∀・ )「勉強以外の大事なものを色々知れて」
  _
( ゚∀゚)「ギッコ見て、消ゴム七段重ね」

(,,゚Д゚)「何で七つも持ってんだ」

(・∀・ )

237 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:52:56 ID:btbomhEE0
  _
( ゚∀゚)「モラが怒った」

(,,゚Д゚)「真面目に宿題しないからだな」
  _
( ゚∀゚)「見てギッコ、ノート端のとこをこうすると動く」

(,,゚Д゚)「パラパラ漫画作るな」
  _
( ゚∀゚)「モラって大人っぽいけどガキだよな」

(,,゚Д゚)「高2で蝉取りに誘ってくるお前もどうかしてるけどな」
  _
( ゚∀゚)「モラめっちゃ楽しそうだったぞ」

(,,゚Д゚)「ガキだからな」
  _
( ゚∀゚)「ギッコも遊んでたじゃん」

(,,゚Д゚)「ガキだからな」
  _
( ゚∀゚)「なんだみんなガキか」

(,,゚Д゚)「そうなるな」

( ・∀・)「おまえらきらい」

238 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:53:18 ID:btbomhEE0

 ああ、友人とのバカなやり取りは楽しい。

 どちらも、何だかんだで自分の事を案じてくれているのは分かってる。

 無駄にお節介な秀才は、呆れて怒って、それでも面倒見が良い。
 バカでマイペースな天才は、何も考えずに喋って怒られるが、あれで意外に鋭い。


 このバカ共と、親友で良かったな。
 一人だったら、きっと煮詰まって駄目になっていた。

 それは三人全員に言える事なのだが、誰も口に出しはしない。
 みんながみんな、それを察しているのだから、口に出す必要は無かった。

 この察しの良さが、彼女には向けられないのだが。


 ふと時計を見上げると、時刻は昼食に良い時間。

 宿題はさして進まなかったが、少しだけ胸のつかえが取れて、少しだけ腹が減った。
 人間は案外簡単だ、胸が詰まって食欲が無くても、少しほっとしたら食欲がわいてくる。

 さて、昼飯はどうしようか。

239 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:54:04 ID:btbomhEE0

(,,゚Д゚)「そういやうち親居ないからさ、今日泊まってけよ」

( ・∀・)「夫婦で旅行だっけ」
  _
( ゚∀゚)「ギッコんちのとーちゃんかーちゃん仲良いよな」

( ・∀・)「晩飯とかは? あんの?」

(,,゚Д゚)「近所に頼んであるって、カップ麺とかで良いのにな」
  _
( ゚∀゚)「ピザとか注文しようぜ」

( ・∀・)「何で親居ないとピザ食いたくなるんだろうな」

(,,゚Д゚)「カップ焼きそばとかな」

( ・∀・)「わかるわ」
  _
( ゚∀゚)「お菓子食いまくったりな」

(,,゚Д゚)「コンビニチキン食いまくったりな」

( ・∀・)「わーかるわー」

240 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:54:45 ID:btbomhEE0

( ・∀・)「んじゃ昼飯は? 何かあんの?」

(,,゚Д゚)「それも近所に頼んであるって」
  _
( ゚∀゚)「羽目を外せそうにねーな!」

(,,゚Д゚)「作ってもらったら食うよなぁ……」

( ・∀・)「器洗って返すよなぁ……」
  _
( ゚∀゚)(優等生かよ)

( ・∀・)「あ、じゃあそろそろ届くか取りに行くのかな」

(,,゚Д゚)「あー届くみたいだから準備しとくか」

( ・∀・)「じゃあ長岡、イトウヤまで俺らの昼飯買いに行こうか」
  _
( ゚∀゚)「焼きそば食べたい」

( ・∀・)「普通のヌードルで良いかなー」

(,,゚Д゚)「行ってらー」

( ・∀・)「宿題しとけよー」

241 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:55:16 ID:btbomhEE0

 友人二名が財布を片手に席を立ち、玄関へと向かう。

 宿題をしろと言った次の瞬間には机の上を片付けていて、友人は笑いながらギコの頭をはたいた。

 イトウヤまではさして距離は無い、十分やそこらで戻ってこられるだろう。
 戻ってきたら昼食にして、食べ終わったら宿題を。

 まあ、ろくに宿題なんてしないのだろうけど。
 長岡が入るとろくに勉強にならない。
 あれで成績が良いのだから腹が立つ。


 ぴんぽん。
 友人が玄関でサンダルに足を入れると、チャイムが鳴った。

  ついでに応対をしようとドアを開けると、むわ、と熱気が涼しい屋内へと流れ込む。
 そのまま押し開けて、目を焼くような日差しと照り返しに眉を寄せて。


(*゚ー゚)「あ、モララーくんだ」

( ・∀・)「あっ」
  _
( ゚∀゚)「お、ギッコの嫁」
  _
( ゚∀(⊂三( ・∀・)「しぃちゃん、どしたの?」メリィ

242 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:55:55 ID:btbomhEE0

(*゚ー゚)「えっとね、お昼ご飯持ってきたんだよ」

( ・∀・)「あぁー」

(*゚ー゚)「二人が居るのは考えてなかったや……お昼ご飯二人分しかない……」

( ・∀・)「二人分」

(*゚ー゚)「待ってて、すぐ作り足してくるから!」

( ・∀・)「いやいやいやいやー俺らもう帰るとこだからさー長岡が昼奢ってくれるってー」
  _
( ゚∀(#)「えっ? そんな話したっけ?」

( ・∀・)三⊃「だからまた明日来るわーああーっと荷物忘れてたぞー」ヅムゥ
  _
(#)∀(#)「いたい」

(・∀・ )「おおーいギッコー昼飯が届いたぞー」

<おー?

(・∀・ )「あと俺ら帰るわー荷物取ってー」

,,(,,゚Д゚)「おーう?」

(*゚ー゚)ノシ「ギコくーん」

(;,゚Д゚)そ「ファアォ!?」

243 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:56:22 ID:btbomhEE0

( ・∀・)「じゃあなーまた明日なー」
  _
( ゚∀゚)「モラー、俺まだギッコとドカポンやってないんだけどー」

( ・∀・)「宿題しろよ」
  _
( ゚∀゚)「集まってやる事なんて遊びに決まってるじゃん」

(;,゚Д゚)「おい待て、待てお前ら」

(・∀・ )「明日また来るわー」

(;,゚Д゚)「状況がわからん、待て」
  _
( ゚∀゚)「遊びたいのにモラが帰ろうとする」

(;,゚Д゚)「宿題しろよ」

( ・∀・)「俺は長岡が昼飯奢ってくれるって言うから二人で帰ります」
  _
( ゚∀゚)「言ってない」

( ・∀・)「お前はしぃちゃんが持ってきた昼飯を食べて宿題しなさい」

(;,゚Д゚)「えぇぇぇぇ……」

(*゚ー゚)(やっぱりギコくん達と居ると楽しいなぁ)

244 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:57:06 ID:btbomhEE0
  _
( ゚∀゚)「モラー、俺財布に2万円しか無いんだけどー」

( ・∀・)「意外とあるじゃねーか……」
  _
( ゚∀゚)「あ、食うなら四人のが楽しくない?」

( ・∀・)「長岡」
  _
( ゚∀゚)「へい?」

( ・∀・)「空気読め」ドスッ
  _
( ゚∀゚)「ふぐぅ」

( ・∀・)(あのな、しぃちゃんとギッコ二人にしたいの、わかる? 意味わかる?)
  _
( ゚∀゚)(…………あっ)

( ・∀・)「全然鋭くないよなお前……じゃ、行くぞー」
  _
( ゚∀゚)「あ、待って待って、これこれ」ゴソゴソ

( ・∀・)?

245 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:57:56 ID:btbomhEE0
  _
( ゚∀゚)「ギッコはいこれ! ちょっと暑さでわいてるかもしんないけどやるよ!!」

(;,゚Д゚)「お、おう? ありがとう?」

( ・∀・)「アッ」

( ・∀・)

( ・∀・)「ヨシイクゾー」
  _
( ゚∀゚)「ワー」

( ・∀・)(どしたんあれ)
  _
( ゚∀゚)(薬局の試供品もろた)

(;,゚Д゚)「…………アホ共ぉ……」

(*゚ー゚)「二人とも、また今度ねー」

<マタネー
<バイバーイ

(;,゚Д゚)「……何なのあいつら……」

(*゚ー゚)(たのしい)

246 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:58:18 ID:btbomhEE0

(,,゚Д゚)「……取り敢えず上がれよ」

(*゚ー゚)「うん、お邪魔しまーす」

(,,゚Д゚)「何渡したんだあいつ……」ガサガサ

(*゚ー゚)「ギコくーん、お台所借りるねー」

(゚Д゚,,)「お、おーう」

(,,゚Д゚)

(,,゚Д゚)(後で良いや、置いとこ……)

(*゚ー゚)「ギコくーん、これ麦茶とめんつゆどっちー?」

(゚Д゚,,)「ピンクがめんつゆー」

(*゚ー゚)「はーい」

(,,゚Д゚)「……手伝うかー」

(*゚ー゚)「大丈夫だよー、盛り付けだけだからー」

(,,゚Д゚)「んー」

247 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 21:58:57 ID:btbomhEE0

 何やら慌ただしく家を出ていった友人と入れ違いに訪れたのは、件の彼女。

 腕に下げたビニール袋と、両手で持ったガラスの器。
 ビニール袋にはおかずが、ガラスの器には茹でられたそうめんが入っている。

 両手が塞がった状態で、よくインターホンが押せたな。
 しかしあの喧しい友人二人を眺める時も、何やら嬉しそうな顔をしていた。


(,,゚Д゚)(……友達居るんだよな……?)


 彼女の人柄なら問題なく居るだろうが、少しだけ要らない心配をしてしまう。
 自分よりも、ずっと人付き合いも上手いだろうに。

 かちゃかちゃ。
 とぽとぽ。

 台所から届く音。
 カウンターの向こうの背中は、懐かしくも見覚えの無い人のよう。

 短くなった髪がさらさらと揺れる。
 小学生の頃は、背中まで伸ばしていたのにな。

 似合ってはいるが、何か心境の変化でもあったのだろうか。
 後で、それとなく触れてみるか。

248 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 22:00:27 ID:btbomhEE0

(*゚ー゚)「おまたせー」

(,,゚Д゚)「お、おう、ありがとな」

(*゚ー゚)「おそうめんとー、お茄子とー、豚の天ぷらでーす」

(,,゚Д゚)(うまそう)

(*゚ー゚)「じゃん、薬味も持参だよ」

(,,゚Д゚)「おお」

(*゚ー゚)「生姜とー大葉とー茗荷ー、おネギもあるよー」

(,,゚Д゚)「色々持ってきたな……」

(*゚ー゚)「お母さんがあれもこれもーって、置いて帰っても良い? 使う?」

(,,゚Д゚)「あー、使う使う」

(*゚ー゚)「わーい、じゃあ手を合わせて下さい」

(,,゚Д゚)「……お前も食うの?」

(*゚ー゚)「ダメ?」

(,,゚Д゚)「良いけど……」

249 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/07/10(日) 22:01:25 ID:btbomhEE0

(,,゚Д゚)「……あれ、割り箸?」

(*゚ー゚)「うん、私のお箸は持ってこなかったから」

(゚Д゚,,),,「ちょっと待ってろ」

(*゚ー゚)?

,,(,,゚Д゚)っ「ほら」

(*゚ー゚)「…………小学生の時に使ってたお箸だぁ……」

(,,゚Д゚)「母ちゃん捨ててなかったから」

(*^ー^)「……えへへ、ちっちゃいねぇ」

(,,゚Д゚)「そりゃそうだな」

(*゚ー゚)「……いただきます!」

(,,゚Д゚)「いただきまー」

(*゚ -゚)「あー、ちゃんと言わなきゃダメなんだよー」

(,,゚Д゚)「いただきまーすー」

(*゚ー゚)「んもー」

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