(‘_L’)は命令が欲しいようです

Part15

664 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:40:41 ID:tnyXgnDM0




主は来ませり
road is  come


主は来ませり
road is  come



主は
road is


.

665 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:41:52 ID:tnyXgnDM0


川*゚ー゚)



草木のなかで、彼女が笑っている。


背の高い鋭い先端の葉が生い茂り、彼女と自分の姿を隠す。

緑が青々と濃い。草の匂いが強い。

それは決して嫌いなものではなかった。

ひたすらに高い天井からはさんに
さんと太陽の光が降って、緑色がきらきらと輝く。



遺伝子操作によって景観のために育てられた大樹の下、体いっぱいに日光を受けるために彼女が手を広げた。

.

666 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:42:37 ID:tnyXgnDM0

川*^ー^)



青い、碧い肌いっぱいに光を浴び、それは輪郭に沿って瞬いた。


鱗状のきめ細かな肌が美しい。

感嘆したつぶやきがこぼれる。

.

667 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:43:30 ID:tnyXgnDM0





「ねぇ、エヴァ……」



川*゚ー゚)「?それ、なあに」



「きみの名前」



川*゚ー゚)「あたし68だよ?」



「それは生体番号。正式ならthd068だよ。これはね、それとは別の名前」



「ぼくがでぃ、であるみたいに」



川*゚ー゚)「××××みたいな?」



「それは違う」



川*゚ー゚)「なんで?」



「きみはエヴァ。ちゃんと理由もある。ぼくみたいに変なのじゃない」


.

668 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:44:14 ID:tnyXgnDM0




川*゚ー゚)「えば?」



「エヴァ」



川*゚ー゚)「あたし、エヴァ?」



「そう。エヴァ、エヴァ。エヴァ」



川*゚ー゚)「なあに」



「とこしえの緑なんだって。きみにぴったりなのは、それしかないんだって思ったんだ」



Ever green 




だからその色が一番好き。




         
.

669 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:45:06 ID:tnyXgnDM0









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670 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:46:22 ID:tnyXgnDM0




“キャラバン”は停滞している。


銃器や食料、毛布や衣服。生活雑貨、歯ブラシと石鹸はどこに行っても需要がある。

それらをトラックの荷台に、人と同じように積めるだけ詰め込む。

それが現在の反抗勢力のアジト。

かつての遊牧民のように、移動をしながらその日を過ごす。


定住の地はない。

彼らはここで生まれ、どこにも行けなく、争うために生きている。

671 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:47:19 ID:tnyXgnDM0



国を離れたわけでないから、難民でもない。
与えられた土地を行き来していることが前提なので、国連の人為的差別の範囲にも入らない。

生まれながらのジプシー。

配給されるわずかな物品を待ち、しかしそれだけでは到底足りない。

ゆえに彼らは生きるため盗賊になる。ある側面で見ればテロリスト。

政府からは反抗勢力。国民たちからは愛すべき労働破綻者たち。

しかし彼らは、自分たちが何者であるかというこだわりがない。


ドクオにとって、それが最も奇妙であり、不気味で不可解なことだった。

迫害されている者たちは自己の潔白な主張をするものだ。


('A`)「倫理なく道徳もなく、しかし教育だけは浸透している。……バカなほうが管理しやすいだろうに……」

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672 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:48:11 ID:tnyXgnDM0

('A`)「先進国ゆえの怠慢か……いや、きっとそうじゃない」


('A`)「そのほうが都合がいいんだろう」


無知は染まる。簡単に。


しかし初めから色がついてさえいれば、後から上澄みを塗られても最初の染めが残っている。

苦々しい気分だ。

行こうと思えばどこにでもいけるはずなのに。それはドクオの信条でもあった。人が縛る自己意識というものは、人が作り上げた鎖である。
繋がれた意識もないままに。


('A`)「Joy to the world, the Lord is come!
Let earth receive her King♪
Let every heart prepare Him room,
And heaven and nature sing,
And heaven and nature sing,♪
And heaven, and heaven, and nature sing.





('A`)「road is  come♪……まさかもろびとこぞりてを知らない国があったとはね」


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673 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:49:06 ID:tnyXgnDM0




世界で一番知られているはずの讃美歌、また書物。宗教は贅沢品だった。


信じてさえいれば救われる
たとえ地獄に落とされても。

けれどその事さえ



('A`)「……誰も知らない」





祈りの概念がのない世界



nobody knows



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674 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:50:07 ID:tnyXgnDM0


トラックがいくつも渋滞し、扉を解放させて品物を運ぶ。

路駐すると、そのまま店構えとなった。

物品の少ない街では物売りが直接人々に売りにくる。その商品を補給するのがドクオたちだ。

だから顔役でもあり、どこに行くにも不便はない。
顔馴染みが警備と警戒を兼ねている。気軽にドクオはストリートに出た。


似たような人々が、列を作って買い物に励んでいる。

隙間を縫うようにしてそこを通る。

警備の一人に小柄な影をみつけ、その姿に思わず声をかけた。


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675 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:51:13 ID:tnyXgnDM0




('A`)「おい」


(´・ω・`)「あ、」



少年はぺこりと頭を下げた。
血に濡れた包帯は代えられてなく茶色い。

左肘から先がなかった。

反対の手でショルダーホルスターを持ち直し、ドクオに向かないように気をつけた。

張りつめるような雰囲気はないが、誤解があってはならない。


('A`)「……それ化膿してないか?」


(´・ω・`)「ううん。そんなことないよ。もう血も止まったんだ」


('A`)「だからって……もしかして止血した時のままかよ。それ」


(´・ω・`)「?」


('A`)「おま、ちょっとまってろ」



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676 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:52:43 ID:tnyXgnDM0

人混みをかきわけるように進み、列の最初に並ぶ。

売り子に詰まれた箱を開けさせ、中からミネラルウォーターを取り出させた。

受けとると、少年の怪訝そうな顔に困惑が混じる。

ふたをあけ、子供の腕に注ごうとすると彼は慌てた。



(´・ω・`)「!そんな、勿体ないよ、水がこぼれちゃう!」


('A`)「当たり前だろ。こぼれるもんなんだよ水ってのは」


(´・ω・`)「でも、あっ!」


掴みあげ、千切れかけた包帯をほどいてから患部に注いで固まった血の塊にかけてやる。

細い腕の先端は、切断面から盛り上がり、むき出しの皮膚が赤くテラテラと光る。


薬によって麻痺させているから、痛みを感じていないだけだ。

この分だと神経も取り除かれているだろう。

わめくこともないが、しかしそれでは義手を操ることもできない。

おざなりに処置された結果だ


むっつりした顔で、ドクオは一本まるまる注ぎきり、ボトルを降る。


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677 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:54:10 ID:tnyXgnDM0

(´・ω・`)「……怒ってる?」


('A`)「なにが」


(´・ω・`)「怒ってる顔してる……」


('A`)「おまえにじゃない」


(´・ω・`)「ごめんなさい」


('A`)「だからおまえにじゃないって」


(´・ω・`)「でも、お水……」


('A`)「医療セット使うより安い。それとも注射がいいか?」


(:´・ω・`)イヤイヤ


('A`)「じゃぁ黙ってろ」


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678 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:55:26 ID:tnyXgnDM0

新品のガーゼをポケットから取りだし慣れた手つきで巻いていく。

血の巡りを止めない程度のきつさで巻くと、洗いたての感触が気持ちいいのか、少年はない腕を動かしながら礼を言った。


(´・ω・`)「あのね……ちょっとすっきりした。ありがとう」


('A`)「……ああ。おまえいつ来たんだ?」


(´・ω・`)「朝からいるよ」


('A`)「じゃあちょっと来い。俺んとこにいまおまえの姉さんいるから」


(´・ω・`)「ほんと!行く!ちょっと待ってて」


いうと、飛び跳ねるようにして駆け出す。すぐ近くに駐屯している部隊長に許可をもらうためだ。

ドクオの名をだせば却下されるということはまずない。
彼は嬉しいそうに戻ってきた。


(´・ω・`)「いいって!」

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679 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:56:41 ID:tnyXgnDM0




この場所で女たちの仕事はひとつに限られる。

銃を持つのは男の仕事。

それを慰めるのは女の仕事。

かといって冷遇されるわけではない。むしろその優遇されていた。
守られ、貢がれ、あやされる。

逆に娼婦にさえなれない女たちは負け組だ。不器量と未発達な身体。

しかしそんな片鱗があるものは、生まれてすぐに棄てられる。




(´・ω・`)「お姉ちゃん!」


|゚ノ ^∀^)

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680 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:58:18 ID:tnyXgnDM0



ベッドに横たわった女。

ドクオの住みかに専属契約している娼婦だ。いまは薬でバッドドリップ中。

1日の大半を夢を見ながら過ごしている。だからとても機嫌がいい。

売り上げの少なさに弟に当たり散らすことも減った。


(´・ω・`)「なんだかちっちゃくなった?」

('A`)「飯食わねぇんだよ」


その分薬を欲しがる。

合成麻薬を血中に流し込んだからか、顔色は青白く、肌は荒れ美貌はゆっくりと衰えていく。

もう街中に立つこともできない。

それでも彼女は幸せだろう。

口元は笑んでいる。

薄く開いた目は弟を映さない。

なにか別の、なにかを見て、幸せそうに笑っている。

少年も笑った。


(´・ω・`)「お姉ちゃん、機嫌いいみたい。大人しいけどずっとこんなだったらいいな」


力の入らない、くったりとした姉の手を持ち上げ、少年は彼女の膝に頭を乗せた。

かれが甘えることができるのは、もうこの家族しか残っていない。

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681 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 10:59:51 ID:tnyXgnDM0


('A`)「……おまえさ、姉ちゃんいなくなったらどうすんだ?」


(´・ω・`)「……いなくなるの?」


('A`)「もしだ。いなくなったら、どうする」


(´・ω・`)「……どうしよう。一緒に行く」


('A`)「どこに」


(´・ω・`)「うーん。わかんない。でもおんなじとこ」


少年は一応の戦闘訓練は受けており、銃の扱いも知っている。

生きていくための知恵はある。

それでもやはり、彼にとって姉の存在は絶対立った。

薬を買うために、少年兵として売り渡されたとしても。

.

682 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:00:58 ID:tnyXgnDM0




('A`)「違うとこ行ってみるか?腕なかったらやりにくいだろう」


(´・ω・`)「うん。でも足じゃなかったからよかった。走れなくなるとこだったもん」

(´・ω・`)「違うところって?」


('A`)「例えば外とか」


(´・ω・`)「外?」


('A`)「この国の外。外国だ」

(´・ω・`)「外ってなにがあるの?」


('A`)「戦争があるけど、ここよりゃましだな。内乱のほうが救えねぇ。ただ死ぬのが減る」


('A`)「EU連合の境界線にまでいけば、少なくとも人権は保証される」


(´・ω・`)「じんけん……?」


('A`)「銃で撃たれる確率が少なくなるってことだ」


(´・ω・`)「ほんと?」


('A`)「ああ。」


(´・ω・`)「うーん」



.

683 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:01:58 ID:tnyXgnDM0

(´・ω・`)「お姉ちゃんは?」


('A`)「姉さんも一緒だ」


(´・ω・`)「……」


(´・ω・`)「うーん……でも、いいや」


('A`)「……なんでだ?」


(´・ω・`)「だって外って銃持っちゃいけないんでしょ?」


('A`)「規定はうるさいが、所持は認められてる。ただ審査は必要だな」


(´・ω・`)「しんさにはお金がかかるよね?」


('A`)「出してやるぞ、そんくらい」


(´・ω・`)「でも撃つのに理由が必要なんだよ」


('A`)「そうだな」

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684 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:03:25 ID:tnyXgnDM0

(´・ω・`)「なんだか窮屈だし。やっぱりいいや」


('A`)「銃は離せないか」

(´・ω・`)「うん。これないとなんにもできないもん」


('A`)「……そうか」


(´・ω・`)「でもさ、外の人たちってどうしてるの?」


('A`)「なにがだ」


(´・ω・`)「銃をあんまり使えないのって不便じゃないのかな」


('A`)「じゃないんだろ」


(´・ω・`)「どうやって殺すの?ナイフ?それってとっても面倒なのにね」


('A`)「…………」



('A`)「殺さないんだよ」



口にした言葉はとても白々く聞こえた。


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685 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:05:25 ID:tnyXgnDM0











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686 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:06:12 ID:tnyXgnDM0






(゚、゚トソン「アレクセイ」


女が体を寄せて密着した。甘えるような仕草だったが、恋人にやるよりも家族のそれに近い。

出会ってまだ三年に満たないが心のほうは互いに熟成していた。



(゚、゚トソン「いつになったら、あたしたちは家に住めるのかしら」


( ФωФ)「もうじきだ」


傭兵の生活に定住はない。

呼ばれると移動する。追いかけると、また敵は逃げる。

常に一ヶ所に留まることが難しい。


住む場所は時に貧相で、時に豪勢だが女の望むものにはかけ離れていた。



(゚、゚トソン「毎日、同じところで寝起きしたいわ」


(゚、゚トソン「ホテルなんかいいから」


( ФωФ)「仕事があらかた片付いてからだな」

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687 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:07:07 ID:tnyXgnDM0





( ФωФ)「でなければ落ち着くこともできん。提携がうまくいけば、じきに土地を取り戻せる」


太くささくれた肌の指が、柔らかいものに触れるようにして女の顔を包んだ。

暖かみに女が目を細くする。

けれども不安げな表情は浮かない。



(゚、゚トソン「……協力ってあの男でしょ。信用できるの?外の人間じゃない」


(゚、゚トソン「うす気味わるい顔してる」


( ФωФ)「……たしかに信用は難しいが、信頼にはおける」


(゚、゚トソン「なあにそれ」

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688 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:08:15 ID:tnyXgnDM0

( ФωФ)「奴の性根がどのようかなんてのは知らんがな、奴の能力だけは買っているんだ」


女の長い髪をかき分け耳に口を寄せるとロマネスコは囁いた。


( ФωФ)「あの男は棺桶乗りだ」


( ФωФ)「それも重度の」


(゚、゚トソン「……なんなのそれ」


( ФωФ)「知らなくてもいい。だがそれが、あの男と組むに決めたひとつでもあった」


( ФωФ)「空を行く奴らというのは、たいがいみんなまともじゃない」



(゚、゚トソン「……なんだかよくわからないけど、役に立つんならそれでもいいわ」


(゚、゚トソン「取った場所は、私たちで使ってもいいのよね?」


( ФωФ)「ああ。一瞬の隙間を狙って入り込み、そこからバリケードを立てていく」


( ФωФ)「そうすればおいそれと手は出せん。この数を相手に、狙撃で片付けられるとは思わんからな」


( ФωФ)「……そして最初の非人道的行為の非難を避けるためにも、和解案を持ち込んでくるだろう。」


( ФωФ)「うまく流れに乗せるつもりだが、つかみようがないのだけが気がかりだ」


(゚、゚トソン「そう、きっとうまくいくわ。これまでもそうだったんだもの」


( ФωФ)「ああ。」


.

689 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:11:34 ID:tnyXgnDM0



(゚、゚トソン「……そういえばアレクセイ」


(゚、゚トソン「近頃町中で変な工事が行われているの」


(゚、゚トソン「それも計画のうち?」



( ФωФ)「工事………?」


( ФωФ)「それは一体どのような」


(゚、゚トソン「壁よ」


(゚、゚トソン「生活している周辺を囲むようにして大きな壁があるの」


(゚、゚トソン「なんのためかは、わからないけ
ど」


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690 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:16:04 ID:2h5EJ0zM0








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691 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:17:16 ID:2h5EJ0zM0

バラバラと、鼓膜に響く轟音が聞こえる。


蜘蛛の子を散らすように、スラムの住民たちが姿を消した。

売り手たちは慌てて品物わ荷台に投げ込み避難しようと車内に戻る。

ドクオも空を仰いで警戒した。


偵察用のヘリでも、機関銃は備わっている。

撃ってきたらヘリに向かって走るつもりだった。




風圧の被弾する計算状、ヘリからの連射は遠くであるほど当たりやすい。

しかし真下は狙いがつけにくい。

人ほどの大きさならざ十分に見逃す。一つに固まって逃げる群衆と離れた遠い的。

生物的には孤立した獲物こそ狙われやすいが、この場合においては逆だった。
一度で、出来うる限り多くの獲物を。


それが人間の心理。

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692 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:18:06 ID:2h5EJ0zM0





('A`)「もう巡回してやがる」


('A`)「あー、いい。それは置いてけ」


('A`)「同じのはもういくつか集めたからな」



指示に従い、売り子たちは緩和板に仕舞われた荷を持ってかけだす。

本当に大事なものだけを。身ひとつでというわけにはいかない。
命と同じだけの価値がある。

いまここで狙撃されても、抱えた荷物を落とすわけにはいかない。



ドクオは反転し、立ち止まった。
頭上のヘリに敵意は感じられない。

狙いを定められている、ということも感じられない。

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693 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:19:00 ID:2h5EJ0zM0

('A`)(部品は集めた。あとは精製している燃料の質をあげるだけだ)


ヘリは攻撃の気配がない。

しかし警戒を解くことはなく、下位の10人たちは一様に息をひそめ、遮蔽物に隠れた。

ドクオだけが、撃たないと確証を持って顔を出し様子をうかがう。


やがて一つのヘリの後ろから、いくつもの運搬機がやってくるのが見えた。
それにあたりをつける。

最初の偵察はこれのためだろう。


('A`)「……なんだってんだ、ありゃ」


プロペラの音が空に響きわたる。

背後にはいくつものコンテナと、剥き出しの鉄板のようなものを運ぶ飛行機が連なっている。

手を出せば、偵察用から攻撃が来ることは明白だった。


('A`)「………」

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694 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:19:49 ID:2h5EJ0zM0

ここに来て、反抗勢力に挑発するような運航。

しかしこれはそのためのものではない。金属のような物体は、どこまでも黒く日光を受けても反射さえしない。

物を作るには理由があり、製品を使うのには目的がある。


('A`)「……なにをしでかしやがる気だ」


低い声でうなる
ロマネスコの言った嫌な予感が胸に湧いた。


戦争において新しい情報というのはみなすべからく、不幸である。



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695 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:20:32 ID:2h5EJ0zM0








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696 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:21:25 ID:2h5EJ0zM0




(A^ν^)「……少ない」



(A^ν^)「やっぱりだ。強奪にあったコンテナのほとんどは回収できてる」


(A^ν^)「ぶちこんで、かき回したような惨状なのに、七割以上盗まれていない…」



(A^ν^)「どうしてだ。そして一体何のために、奴らはちょっかいかけてくるんだろう」



(A^ν^)「あんなにも死人をだしてるのに……」

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697 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/11/22(日) 11:25:26 ID:2h5EJ0zM0




兄者は死傷者数をとるに足らないものと見ているが、それは彼が彼であり、製造元の立場だから言えることだ。


ピラミッドの上からの考えでしかない


しかし見上げるものたちからすれば、信頼のできない指導者など、首を代えればいいだけのこと。

数こそが力であり暴力。


誰も死にたくない。

統率はあれど、管理されているわけではない。生きることに貪欲でそのために幼くから銃を持たされている。

そんな彼らが、死人を出してまで襲撃を続けることが解せない。


(A^ν^)「あるはずだ、目的が。
ちゃんとしたメリットが」


(A^ν^)「それを見つけなきゃ終わらない」


(A^ν^)「一網打尽になんてできない」



(A^ν^)「子供まで使ったのに、虐殺という名目があるのに、世論に訴えかけることも最低限しかしかないんだ。話題が大きくなれば、やりにくいことでもあるんだろうか……?」

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