忌談百刑

第5話 千眼瞳子≪センゲンドウジ≫

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105 名前:語り部 ◆B9UIodRsAE[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:14:25 ID:KyntKJDU0
【第5話 千眼瞳子≪センゲンドウジ≫】

"ξ゚听)ξ"













――始めるわ。

これはまだ私が小学校の頃のお話よ。

その頃の私には、仲のいい友達がいたの。


"伊藤ペニサス"


ブーンとドクオは知ってるわよね?



('A`) 「ああ、何となく覚えてる」



( ^ω^)「いつも先生に隠れてお菓子喰ってた子だおね?」






――まぁ、その子よ。


伊藤さん――当時は"ペニちゃん"って呼んでたから、こう言わせてもらうわね。

106 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:15:07 ID:KyntKJDU0

ペニちゃんは、その時恋をしていたの。

相手の男の子の名前は忘れちゃったけど、
とにかく、身を焦がすほどの恋ってやつを小学生にして体験していたわ。

彼女は、お昼休みになると必ず私の席にやってきて、
永遠に行われることのないであろう告白のシミュレィションに私を付き合わせるのが日課だった。

別にそれが嫌だった訳じゃなくて、むしろ目まぐるしく変わる彼女の表情に、
いつか自分もするであろう恋物語の片鱗を見ているような気がして、微笑ましかったわ。


でもね、さっきも言った様に、私はその"告白の時"が永遠に来ない事を知っていた。

それは、彼女のコンプレックスと密接に関係していたから。

107 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:15:52 ID:KyntKJDU0

彼女はね、眼が悪かったの。

それも、単に視力が悪いっていうレベルでは無くて、
牛乳瓶の底よりも分厚いレンズのメガネじゃないと、この世の全てにモザイクがかかったようになってしまう程の筋金入りの。

コンタクトレンズも、彼女の視力にあうものは作れないらしくて、
レーシックも――まぁ、当時はそんなものがあるなんてことも知らなかったんだけど――意味をなさないって。

私が座る窓際の席に近い窓から、南中高度まで上がった太陽が、彼女の重そうな眼鏡に反射して、キラキラ光る度に、

"あぁ、この子の恋は、叶う事は無いんだな"って、何故か私が罪悪感を感じるほどだった。






眼鏡って罪よね。


レンズを通すと、その奥の眼ってホントに小さく見えるの。



本来だったら人並み以上に大きなペニちゃんの瞳も、豆粒以下の大きさしかない様に見えた。
しかもそのせいで、両目の距離も開いちゃって、まるで深海魚みたいな顔に見えるのよ。

ペニちゃんはそれを自覚していて、眼鏡をかけている時の自分が凄く嫌いで
でも、眼鏡をかけないと、一歩も踏み出せないほど視力が弱かったから、
現実の一歩を踏みしめるために、恋の一歩を踏み出せないままでいたの。



私は、そんな彼女を、そうね、当時は自覚なかったけど、
きっと憐れに思ってて、だからずっと、彼女の絵空事のおままごとの、恋愛ごっこに付き合い続けたわ。

108 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:16:59 ID:KyntKJDU0

――ある日の放課後、彼女はいつも以上に息巻いて私の席に来たわ。


その表情は、今までにない位鬼気迫るもので、私は"ついに告白する事を決意したのか"と本当に心臓が飛び出るくらいドキドキしたの。
でも、すぐにそんなこと、今までの彼女からして、絶対あり得ないことに気が付いたわ。

じゃあ、何をそんなに嬉しそうな目をしているの?

眼鏡の底にこびり付いた様な小さな瞳が、太陽を飲み込んで爛々と輝いている。



『あのね、ツンちゃん、今から"お寺"いかない?』


「――え?」



あまりにも予測不可能な急展開に、私の頭はついていけなかったわ。


何でお寺? 恋愛成就ってこと? え、今から?


ぱちくりする私を尻目に、彼女はポケットから丁寧に折りたたまれたA4用紙を広げてみせたわ。
ネットのHPを印刷したものだったわ。タイトルは確か"僧朔市のパワースポット"。


('A`)「僧朔市か。確か拝成市の南の市だな」


そう。その僧朔にある霊験あらたかな場所をまとめた記事だったわ。



『ツンちゃん、ここ見て』


ペニちゃんの小さな指が、その記事の真ん中を指したわ。

その指は、震えていて、でも、それが歓喜の震えなのか、恐怖の震えなのか、分からなかった。

109 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:17:40 ID:KyntKJDU0

"【視力回復・眼病に効くッ! 宋豪寺の千眼瞳子の像】"


その頃は知らなかったけど、結構こういうお寺とかって多いみたいね。
難聴が治るとか、腰痛が治るとか、伝染病が治るとか、そういう効能をうたってるお寺。

私はその小さな指がなぞる文字列を見て、すぐにペニちゃんが何を考えているのか分かった。

きっと彼女は、藁にも縋る思いで、この"千眼瞳子"に、自らの視力を回復してもらおうと思っているに違いなかった。
それで恋が叶うなら――いいえ、叶わなくてもいい、一歩でも前に進めるのなら。



瓶底の瞳が、また光っているような気がしたわ。



宋豪寺は、拝成市を出てすぐにあるらしく、駅から出ているバスを使えば、20分くらいで行けるらしいの。

その日は水曜日で、四時間しか授業が無かったから、給食を食べて掃除をしたらすぐに帰れる日だったわ。

だから私たちは一旦家に帰って、リュックサックにお財布と、それからバスで食べようって幾つかのお菓子と、
あと、いくばくかの淡い期待を詰め込んで、駅前に集合することにしたわ。

バスの中で、私たちの恋バナは大いに盛り上がった。

ペニちゃんは、お気に入りだったミルクキャンディーをころころ言わせながら、
眼鏡をかけなくてもいい生活を夢想していたわ。



彼女の咥内から漂う、甘ったるい乳臭い、それでいて優しい匂いが、ずっと私を取り巻いていた。

110 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:18:22 ID:KyntKJDU0







――お寺に着くころには、少し日が傾いて、オレンジ色に変わっていたわ。

子供からしたら大きなお寺という印象だったわ。

古めかしい本堂が、門から真っ直ぐの位置にでんと居座っていて、そこまで石畳が続いているの。
その脇に手水場があって、ちょろちょろと水が零れ落ちる音がしてたのを覚えているわ。

お目当ての石像は、その手水場のすぐ横にあった。



不気味な像だったわ。



丁度西日を背にしていたせいもあるかもしれないけど、妙にくすんで暗く見えた。

普通のお地蔵さんの胴体に、カボチャくらいの大きさの頭がくっついててね。
昔の子供みたいなおかっぱで、切り揃えられた前髪の下には、人間の顔のパーツとしては不釣り合いな程の大きさの目があったわ。

"アニメ目"なんて言ったら伝わる? いわゆるああいう大きさ。
でもね、デフォルメされたデザインじゃなくて、本当に人の眼を精巧に模したように作られていたわ。













左目だけ。


右目はね、無かったの。

111 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:19:00 ID:KyntKJDU0
本来、右目があるはずの場所は、やすりで削られたようにのっぺりしていて、
むしろ少しへこんでさえいたわ。その割には石像らしくないほどピカピカしていて、
何人も、何年も、丁寧に、丁寧に、磨き続けた結果みたいにえぐれていたわ。


正直来たことを後悔した。


とても救いの石像には見えなかった。むしろ、その消失した瞳から、
あるはずのない目玉から、じくじくと見つめられているような不快感さえ感じていたの。




その石像の左には、鉄で出来た看板が立ててあって、この石像の由来が書かれていたわ。

112 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:19:46 ID:KyntKJDU0

その昔、この辺にあった池に、水神様が住んでいたんだって。
ある日、一人の童が、遊びに使っていた鋭い枝を、池に落としてしまったの。

すると、池は真っ赤に染まり、雷でも落ちたような、天まで届く咆哮が響いたそうよ。

その日から、赤い雨が村には降り続いたわ。
それだけじゃない、村人たちの眼が次々に腐り落ちて、みんな失明してしまったの。



その時宋豪寺の住職をしていた偉いお坊さんは、
"きっと子供が投げた枝が、水神様の目玉に刺さったに違いない。水神様はお怒りなのだ。"と悟ったそうよ。



住職は、まだ目が無事な何人かの雲水と共に池に行き、水神様に許しを乞うた。



"水神様、どうか怒りをお鎮め下さい。あれは子供のやったこと、どうかお許しください"



でも、その住職の言葉に応えることも無く、むしろ怒気を孕んだ無慈悲な咆哮だけが池の底から聞こえてきたわ。



また一人、また一人、村人は失明していく。
このままでは村は滅んでしまう。



降り止まない紅い雨と、滴る血のような雨だれを見つめながら、ついに住職は滅びを覚悟したそうよ。

113 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:20:31 ID:KyntKJDU0
その時、一人の童が寺を訪ねてきたの。

話を聞くと、自分がその枝を池に落とした子供だというの。



"和尚さん、私が怒らせた水神様です。今まで怯え、泣くばかりでございましたが、昨晩ついに心を決めました。
どうか、私を、池まで連れて行ってもらえませんか?"



その決意の表情に圧されて、住職は雨のせいで崩れた道を、その子を背負って池まで急いだわ。

池に着くと、自身の目玉の仇が来たことが分かったのか、水神様はその水面のすぐ真下までやってきた。
人間など一飲みにしてしまえるであろう程の巨大なうねりが、影となって池を黒く染め上げていく。

童は叫んだわ。



"水神様、どうかお許しください。貴方様の目玉を奪ったのは私にございます。どうか、私だけに罰を。村の皆をお救い下さい"



そういうと、いつの間にか持っていた木の枝を、自身の目玉の真下に突き刺して、
そのまま、丁度、巻貝の中身を爪楊枝でほじくるみたいに、グリンと視神経に絡ませて、一気に引き抜いたの。

自分の目玉が絡まった枝を、高々と掲げ、また童は叫んだわ。



"水神様ッ! これが私の目玉にございます。どうかこれをお納めください。どうかお許しください"



そういって、枝をゆっくりと池に沈めたわ。

すると、今までのような轟雷の方向ではなく、優しい、笛の音色のような音が響き、
空は晴れ、雨は上がり、紅く濁った田畑や川、池は、水色を取り戻し、村人にも視力が戻ったそうよ。

それからその童は、村人からも許されて、ゆくゆくは寺を継ぎ、立派な住職になったとさ。





('A`) 「見てきたように話すな」

114 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:21:19 ID:KyntKJDU0


――こほん。

私もちょっと力が入りすぎたと反省しているわ。




ともかく、そんな由来が、この石像にあるのだと書かれていたわ。

それと、最後に、この石像の"使い方"が。

普通こういう石像って、頭をなでるだとか、お供え物をするだとか
そんな感じだと思うのだけど、その千眼童子は違ったわ。







――右目を、舐めるんですって。






(´・ω・`)「おえ」





だから、今まで、何人もの人間が、この子の右目を舐めてきたから、
その幾人もの匿名の舌で、削り取られて、磨かれて、すべらかになったから、
だから、この子の右目は、つるつるにへこんでいるんだと。




吐き気がした。

115 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:22:28 ID:KyntKJDU0
私は石像と看板を交互に見つめるペニちゃんの肩を掴んで言ったわ。


「ねぇ、ペニちゃん、帰ろ。気持ち悪いよ」


でも、ペニちゃんは動かない。答えない。


「ねぇ」


もう一度私が声をかけるよりも早く、ペニちゃんは手水場にある柄杓を掴んで、
その石像の失われた右目にばしゃんとかけた。

そして、ポケットからピンク色のキティちゃんのハンカチを取り出すと、
ゴシゴシと磨き始めたの。

何がしたいのかはすぐに分かったわ。



彼女は、右目を舐める気なんだ。



でも、誰が舐めたかもわからないそれを舐めるには、まだ小学生の勇気は足りなくて。

だから、その代わりに、良く洗う事で、その生理的嫌悪感を薄めようとしているのだと。

希望と、恐怖と、おぞましさと、恋心と、そういうものを一切合切いっしょくたにした表情で
ゴシゴシ磨くのね。


「やめよ、ねぇ。ペニちゃん、やめよ」


そう声をかけて何度も肩をゆすったんだけど、全然聞こえてないみたいに。





ゴシゴシ、ゴシゴシ。

116 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:23:23 ID:KyntKJDU0

どれくらいそうしていたのかも分からないほど時間が経って、
本当に太陽が頭まで、家々の屋根に飲み込まれてしまったくらいで、
ペニちゃんはハンカチをポケットにしまったの。







――舐めるのだ。



そう思ったわ。

ペニちゃんは、愛おしそうに、石像の輪郭を撫でると、
自身の頬を、千眼瞳子の頬にぴったりと寄せた。

そして、ゆっくりと、その可愛らしい、ぷっくりした舌を
おそるおそる、でも精一杯伸ばして、その右目を、震える舌先で――





――ぺろり。





一舐めしたあと、少し間があって、風が吹いて、夕日が沈んで、
私はバスの時間が気になって、でもペニちゃんは動かなくて。





そこからは、もう、見ている事しか出来なかった。

117 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:25:29 ID:KyntKJDU0
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ
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118 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/12(水) 19:26:16 ID:KyntKJDU0

"一心不乱"ってこういう時に使うのね。

もう、ペニちゃんのかけてた眼鏡の縁が、何度も石像に当たって、時計の秒針みたいに正確に音を刻んでたわ。

ペニちゃんは、その小さな舌の表面で、側面で、裏側で、根元で、しゃぶるように、ねぶるように、こそぐように、
飽きるほど、悲しいほど、苦しいほど、怖いほど、舐め続けたの。




やがて、最後の一舐めが終わった。

名残惜しそうに、ペニちゃんが、石像の目玉から舌を離す。
目玉と、彼女の舌先に、唾液の橋がかかって、オレンジの街灯の光がその中に吸い込まれた。

ぴたん、その唾液の玉が地面に落ちると同時に、ペニちゃんはこっちを振り向いて、




『なーんちゃって』



って言ったの。



何が"なーんちゃって"なのか全く分からなかったけど、
私は上擦った声で、「冗談はやめてよねー」なんて、無理におどけてみせた。




その後は、あんなお寺なんて行かなかったみたいに、
明日の体育の持久走の話とか、持ってきたお菓子の食べ比べとか、そんな事をして家に帰ったわ。

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