■( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
└第9話「解」
- 181 名前: ◆MH/VTCEj3A[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:20:51 ID:4.OVJpBs0
-
虚偽を信じるつもりはない。
第9話「解」
- 182 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:22:01 ID:4.OVJpBs0
- ぱち、と目を覚ました。
目の前には白い天井が広がっている。
時折揺れる部屋に、びくりと驚きで肩を震わせた。
(´<_` )(……どこだ、ここ)
ぐ、と起き上がろうとしたが体の節々がぎしぎしと痛む。
せめて周りを見るだけでも、と首を動かそうとして。
自分の腹に寄りかかる重みに気が付いた。
(´<_` )「……兄者」
- 183 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:22:48 ID:4.OVJpBs0
- 椅子に座っていたのだろうが、眠ってしまったらしい。
そのまま倒れ込んだ、といった感じでベッドに横になっている弟者の腹に兄者の肩がある。地味に腹に刺さって痛い。だが、倒れ込んだのが自分の方でよかったと安心した。
後ろに行けば椅子からも落ちて床に頭をぶつけることになりそうだからだ。
(´<_` )(……気持ちよさそうな顔してるなー)
そう思いながら、弟者はさてどうしようか、と思考を始めた。
このままもう一眠りしてしまおうか。それとも起きているか。
- 184 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:23:56 ID:4.OVJpBs0
- ちなみに起きてしまうと、ずっと体勢を変えないままという縛りが付く。兄者を起こしたくはないという気持ちからだった。
それにしても、気を遣うなどどちらがこの部屋にお世話になっているのか分からない。
けれど妙にそれが自分たちにとってはお似合いのような気がして、弟者は微笑んだ。
( ・∀・)「おや、目が覚めたかい」
ふと、意識を失う前に聞いた声が聞こえた。
視線だけ動かすと、扉から男が覗いてきているのが見える。
男は弟者と目が合うと、にっこりと笑った。
それがふと作り物染みていた気がして、弟者は眉を顰める。
( ・∀・)「初めまして、弟者くん。僕はモララー、君のお兄さんの守護者だ」
- 185 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:25:04 ID:4.OVJpBs0
- (´<_` )「守護者」
( ・∀・)「そう。君は自分が囚われた理由は知っているかな」
(´<_` )「いや、」
全く。
そう続けた弟者は、真っ直ぐとした瞳をモララーに向けている。
固い警戒に包まれた好奇心を映すその瞳に、モララーはヒュウと口笛を吹く。
( ・∀・)「それは悪かったね、じゃあ教えよう! 君たちが持つ力のことを」
二人の声が聞こえる。
片方は楽しむような、もう一人は怒りを隠しきれないのか低い声になっている。
- 187 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:26:24 ID:4.OVJpBs0
- 後者の人物の、低くない時の声を知っている。
それだけじゃなく、笑った声も、呆れたような声も。
( ´_ゝ`)(あれ?)
今会話してるこの二人は、誰だ?
光に照らされて眩しいと感じる瞼を押し開けて、光を視界に取り入れる。
その直後、自分の体が大きく動いて兄者は「うわ!?」と思わず声を上げた。
(´<_`;)「……あ」
- 188 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:27:54 ID:4.OVJpBs0
- ( ・∀・)「おはよう、ご主人。よく眠れたかい?」
( ´_ゝ`)「あ、おはよう」
布団に手を着いて起き上がる。
体が動いたのは、どうやら自分が体を預けていた弟者が上体を起こしたせいらしい。
弟者は自分が起こしたと思っているのか、罰が悪そうな顔をしながら囁くような小ささで「おはよう」と言った。
( ´_ゝ`)「弟者、急に起き上がって大丈夫か? どっか痛くないか?」
(´<_` )「強いて言うなら兄者が下敷きにしてた腹が痛い」
(;´_ゝ`)「すまん」
- 189 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:29:26 ID:4.OVJpBs0
- 会話こそいつも通り。だが、声に棘がある。
何かあったのか、とモララーに視線を投げかけても肩を竦めて笑うだけだった。
( ´_ゝ`)「あ、弟者、右腕の具合はどうだ? 多分綺麗に治ったと思うんだけど」
(´<_` )「……兄者」
( ´_ゝ`)「うん?」
(´<_` )「兄者、何を考えてるんだ」
( ;´_ゝ`)「は?」
- 190 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:31:28 ID:4.OVJpBs0
- ほおら始まった、モララーが楽しげにそう言った。
(´<_` )「兄者、よくもまあこんな胡散臭そうな奴に着いて行ったな。もしこいつが向こう側の奴だったらどうするんだ。下手したら二人とも行方不明だぞ」
( ;´_ゝ`)「う、いや、胡散臭いのはモララーだけだから。ギコとか普通だから」
( ・∀・)「え、僕の扱い酷くない?」
ぎっ、と弟者はモララーを睨み付けた。
状況を飲み込めていない兄者はきょろきょろと弟者とモララーを交互に見る。
(´<_` )「俺がその未来の受継者ってことは分かった。とにかくさっさと終わらせてくれ、こんなこと」
( ・∀・)「うん、まあ僕らもそうしたいんだけどねえ」
- 191 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:32:42 ID:4.OVJpBs0
- ( ;´_ゝ`)「え? ちょっと待って、俺が寝てる間に一体何があったの」
( ・∀・)「ただの事情説明と状況報告だよ」
( ´_ゝ`)「モララーが言うと嘘にしか聞こえなくなるのがたまに悲しくなる」
( ・∀・)「ねえだから僕の扱い酷くない? ねえってば」
とにかく、と弟者が声を荒げた。
弟者は厳しい目のまま兄者を見つめた。
声に出さずとも伝わってくるような、責め立てるような瞳に兄者はたじろいだ。
- 192 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:34:11 ID:4.OVJpBs0
- (´<_` )「そんなことに巻き込まれて、しかも乗るんじゃない。銃の扱いなんて覚えてどうするんだ」
( ;´_ゝ`)「ちょっ」
「あんまりだ!」兄者のその言葉にも、弟者は兄者を一瞥しただけだった。
その態度が頭にカチンとくる。
気が付けば言葉は勝手に出てきた。
( ;´_ゝ`)「俺はお前を助けたくて、」
(´<_` )「だからってそこに至るまでの警戒が無さすぎる。もっと人を疑うことを覚えろ」
( ´_ゝ`)「さっきからなんだよその態度!」
- 193 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:35:53 ID:4.OVJpBs0
- 兄者は怒りを露わに椅子から立ちあがった。
( #´_ゝ`)「今こうやって助かったんだからいいだろ!?」
(´<_` )「厳密に言えば助かってない。これから危険な目に遭うかもしれない」
( #´_ゝ`)「あのままだったら今頃死んでた! 今こうやって生きてる、それだけで十分だろうが!」
叩き付けるような叫びだった。
兄者と弟者は暫く睨み合った。
似たような顔が互いに同じような表情をして向き合っている。
( ・∀・)(こうして見ると兄弟だなあ)
モララーが全く別のことを考える中、ずっと続いていた沈黙は兄者が目を逸らしたことから破れた。
- 194 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:37:08 ID:4.OVJpBs0
- ( ´_ゝ`)「弟者の馬鹿ッ!!」
そう吐き捨てると、兄者は足音をずんずんと立ててモララーが入って開け放しにしていた扉のドアノブを引っ掴んだ。
バタン! 勢いよく扉を閉めた大きな音を残して兄者は部屋から出て行った。
( ・∀・)「弟想いだねえ」
(´<_` )「……」
兄者が起きる前の空気に戻った、とでも言えばいいのか。
部屋は怒りの空気で満ちていた。
- 195 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:38:41 ID:4.OVJpBs0
- ( ・∀・)「それにしても、君も随分言うねえ。確かに行動は良くなかったけど、それぐらい君を大切に想ってるってことじゃないか」
(´<_` )「……駄目なんだ」
駄目、という言葉が理解できなくてモララーは首を傾げた。
うまく言葉が噛み合わない、とでも言うべきか。
( ・∀・)「駄目って、一体何が?」
素直に尋ねてみる。
モララーの言葉に弟者は首を振って「駄目なんだ」と自分に言い聞かせるように繰り返した。
(´<_` )「俺がこうして助けられたら、駄目なんだ……きっと一緒に居ると予想して向こうは喜ぶ」
( ・∀・)「何を言って、」
(´<_` )「あいつらの狙いは兄者なのに」
- 196 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:39:49 ID:4.OVJpBs0
- ( ・∀・)「……聞き捨てならないね、今の言葉は」
詳しく聞かせてもらおうか?
モララーが、兄者が座っていた椅子に座る。そのモララーに、弟者は鋭い視線をモララーに向けた。
( #´_ゝ`)「馬鹿馬鹿ばぁあああか!」
特に行先は決めていなかった。
兄者は一つ覚えのようにそう繰り返し呟きながら、飛空艇の中を歩いていた。
- 197 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:40:48 ID:4.OVJpBs0
- どこかに向かうか、ふと考えてみる。
あまり暇が無かったからできていなかった内部の探検でもしようか、そう考えていた時。
だん、と壁を拳で殴った音が聞こえた。
( ´_ゝ`)「……?」
自分のすぐ隣にある壁だから、驚くのも無理はない。
兄者はその部屋の扉をひょいと見て、「あ」と声を漏らした。
少し躊躇うが、ドアノブに触れてみる。
( ´_ゝ`)「……」
がちゃり、ドアノブを捻って扉を押した。
- 198 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/17(日) 23:42:33 ID:4.OVJpBs0
- ( A )「ちくしょう……ちくしょう……」
部屋の、声の主は誰だかわかっていた。
('A`)「どうして……どうしてだよ、モナー」
( ´_ゝ`)「……ドクオ」
第9話「解」・終
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