( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
第6話「頼」



114 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:40:59 ID:9LWum32c0
( <_ ;)「……は、あっ」

吐き出した息が、じくりと折れた腕に痛みを残す。
こうして真っ暗な部屋に閉じ込められて何日経ったのか、もうわからない。
寝ても起きても真っ暗で、時間の感覚などなくなっていた。

定期的に水音が聞こえるのももう聞き飽きた。
閉じ込められてから飲まず食わずで、最初の頃は水音の方向を必死で探っていたものだが、今ではもうそんな気力もない。

( <_ ;)「……あに、じゃ」

お願いだから、と思う。

115 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:42:40 ID:9LWum32c0
(´<_`;)「来る、な、兄者」

狙いはあんただ。

音にならずに、言葉は消えた。
 
 
 
 
 
君を探す。
 
 
 
第6話「頼」

116 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:44:13 ID:9LWum32c0

( ・∀・)「さて。ご主人には、力の練習と応用、あとできれば護身術を身に付けてほしいんだけどさ」

( ´_ゝ`)「応用」

( ・∀・)「そう、応用」

うへえ、と兄者は顔を顰めた。それにモララーはけらけらと笑う。

( ・∀・)「そんな真面目に勉強するってわけじゃないよ。実践の方が多いと思うし」

( ´_ゝ`)「その方が助かる」

うん、とモララーは頷いた。

117 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:45:29 ID:9LWum32c0

( ・∀・)「君がツンを治したのは、正確に言えば『治した』んじゃない。『なかったことにした』んだ」

( ´_ゝ`)「なかったことにした?」

( ・∀・)「そう。君の力はあくまで『過去』を操る力だ。君がやったのは、デレだっけ?
ツンが彼女から『攻撃を受けて負傷した』という事実を『なかったことにした』んだよ」

その言葉に、以前モララーが冗談で言っていたことを思い出した。織田信長をどうの、というものだ。

( ・∀・)「君は過去を改変できる。だから、それを理解して使えばもっと応用が効くはずだ」

118 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:47:04 ID:9LWum32c0
( ´_ゝ`)「あのさ、質問なんだけど。過去って、どっからの範囲なんだ?」

( ・∀・)「1秒過ぎればもう過去だ」

(;´_ゝ`)「マジか」

兄者は実感の湧かないまま自分の掌を見つめた。
特におかしいところも見当たらない、普通の掌。
それでもこの掌を伝って、ツンに力を使ったのだと考えると不思議な感じがした。

けれど、弱点もある。そう切り出したモララーに兄者は顔を上げた。

( ・∀・)「自分には使えない。これは原理がよく分かってないけどね。でも、未来の受継者には使えるから大丈夫だよ」

119 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:48:32 ID:9LWum32c0

( ´_ゝ`)「……なあ、モララー」

( ・∀・)「うん?」

( ´_ゝ`)「一回試してみたいことがあるんだけど」
 
 
 
 
 
どこから話そうか、とドクオは全員の顔を見渡した。

病室にはギコと兄者を除く過去の守護者が集っている。
ドクオが「受継者と守護者達に起こったことを話す」と言ったからだった。

('A`)「まあ、最初からの方がいいか」

120 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:50:14 ID:9LWum32c0
ドクオははあ、と自分を落ち着かせるように息を深く吐いて、話し出した。
 
 
 
 
 
未来の受継者は流石弟者だって知った時点で、前々から監視というか、影から見守ってたんだ。
お前らと違って、こっちは顔も分かって確証もあったから。

最初に異変に気付いたのはやっぱりクーだった。そこはやっぱりリーダーだからこそって思う。

川 ゚ -゚)『同じ男が最近、主の周りをうろついてる』

クーがそいつのことを調べても、全然情報が出てこなかった。
辛うじて出てきたのは個人店のバーのマスターだったってことくらいだ。

121 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:52:10 ID:9LWum32c0
オレ達はそいつが怪しいと踏んで、警戒するようになった。
そいつはこっちに気付いてるのか気付いてないのかわからないが、相変わらず主の周りに居続けた。

前兆は本当にそれくらいしかなかった。
急すぎて、どうしてそうなったのか今でもわからない。

主の家の窓ガラスが割れて侵入者が入ったって、最初にわかって飛び出したのはジョルジュだった。
オレ達はジョルジュに着いてくような感じで、主の部屋に侵入者を追って入った。
主は、寝てたところを男に襲われて首を絞められてた。

123 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:53:58 ID:9LWum32c0
  _
(;゚∀゚)『主ィッ!!』

ジョルジュがそう言って、男にナイフ投げ付けた。でも、男の方が上手だった。

男は、ジョルジュが投げたナイフを銃で全部撃ち落とした。その上、ジョルジュの腹と首を撃った。
腹はど真ん中、首は掠ったくらいか。

从 ゚∀从『ジョルジュ!!』

ハインは叫んだ割には、まだ冷静だったな。ちゃんと銃弾を弾いてから男と戦いに行った。

124 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:55:35 ID:9LWum32c0
部屋にあった血溜まり、あれはほぼジョルジュのものだ。
もうわかると思うが、ジョルジュはその時点で瀕死だった。
治療役のモナーがその場に残って、ハインは主を男から解放しようと奮闘してた。
クーが加勢しようとした時、窓から衝撃波出してきたのはお前の妹だったか? ツン。

とにかく、クーはそいつと、ハインは主を連れた男と、オレは二人を援護しながら主の家を出た。
モナーに治癒してもらったジョルジュも後から着いて来た。それでもやっぱり血が足りなくてふらふらしてたから、みんなジョルジュに無理はさせられないってわかってたな。

125 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:57:06 ID:9LWum32c0
使い捨ての石の破片で場所移動して――未来に自分達が行くであろう場所だから全く知らなかったが――そこで戦ってた。
ブーン、多分お前が守護者達の死体を見たのはそこだろうよ。

主は主で抵抗してた。でも、男に腕撃ち抜かれてからはなかなか抵抗は難しかったみたいだけど。
その後、腕だけじゃなくて胸撃ち抜かれそうになった主を――また、ジョルジュが庇った。

眉間に一発。致命傷だ。
死んだらもう治療はできない。ジョルジュがそこで死んだ。

126 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:58:10 ID:9LWum32c0
それを見て激昂したのはハインだ。
とにかく斧振りかぶってて、あれはもう我を忘れてたな。
クーはツンの妹の衝撃波を叩き斬って、あの二人の戦いに関しちゃクーの方が勝ってたと思うよ。
モナーもオレも遠距離援護系だったから、オレがクーを、モナーがハインを援護してた。
でも、そう長くも続かなかった。

ハインの悲鳴が始まりだ。
そこで振り向いたオレは――今思うと馬鹿だったと思うが、男から腹に一発銃弾貰っちまった。
幸い貫通してたから、鉛毒でやられることもなく今この通りだ。

127 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 22:59:58 ID:9LWum32c0
ハインが胸を撃たれてた。見なくてもわかったんだろうな、クーがオレに言ったんだ。

川;゚ -゚)『ドクオ、ここは私とモナーに任せろ! お前は過去の守護者に応援を頼みに行け!』

そう言ったクーに賛同するみたいに、モナーはオレの腹の穴を塞ぐだけ塞いだ。
もうその時点で動けるのはオレだけだって思ったんだろうな。

川;゚ -゚)『行ってくれ、守護者の役目を果たせ』

(;´∀`)『ドクオ!』

128 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 23:01:40 ID:9LWum32c0
戦いながら言うなんてほど危ないものはない。
オレはクーの言う通り、お前らに応援を頼みにその場を離れた。

川;゚ ー゚)『頼んだぞ、ドクオ』
 
 
 
 
 
('A`)「……あの時のクーの声が、今でも耳から離れない」

( ,,゚Д゚)「……大体わかった。その銃を持った男ってのは、こっちが遭遇した奴と同じ奴だろう」

129 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 23:03:19 ID:9LWum32c0
ギコは腕を組んで「だが、」と唸った。ツンの視線がちらりとギコに向く。

( ,,゚Д゚)「モナーは一体どこに行った? 死体は無かったんだろ、内藤」

( ^ω^)「そうだお。あの辺りは念入りに探したから、見逃しは無かったはずだお」

ξ ゚听)ξ「未来の受継者と一緒に捕まってる可能性もあるわね。治療担当だから利用されてるとか」

しぃが「ドクオ」と声をかけた。
ベッドで上体を起こしたドクオはその声に「なんだ」と返事して視線を向ける。

130 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 23:04:32 ID:9LWum32c0
(*゚ー゚)「ここまで生きて来てくれてありがとう。おかげで私達もこうやって対策をとることができる」

('A`)「……それは、全部終わってからにしよう、しぃ」

(*゚ー゚)「うん、でもお礼が言いたくて」

しぃはふわりと笑うと、手を伸ばしてドクオの頭を撫でた。
傷に障らないようにと気を付けながらだったが、それでも彼女の手つきは優しく暖かさがあった。

131 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 23:07:02 ID:9LWum32c0
それを見つめていたツンがギコの脇腹を突く。
う、と小さく呻きを漏らしたギコは突いてきたツンを見る。ギコの瞳は雄弁だった。

ξ ゚听)ξ「嫉妬してんじゃないわよ馬鹿」

( ,,゚Д゚)「ッしてねえよゴルァ!」

(;^ω^)「おっおー、喧嘩はよくないおー」

どうどう、と宥めていた内藤は「とにかく!」と手を打った。

( ^ω^)「モララーに話して具体的な対策、あと弟者の行方を調べるお!」

( ,,゚Д゚)「ああ」

132 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/11(月) 23:08:27 ID:9LWum32c0

( ・∀・)「その必要はないよ」

モララーの声が響く。音がしそうなほどの勢いをつけて全員が振り返った先には。
扉を開いたモララーと、能力を使った余韻で未だ青い瞳のままの兄者がいた。

( ・∀・)「未来の受継者の居場所がわかった」
 
 
 
 
 
第6話「頼」・終



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