■( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
└第14話「正」
- 285 名前: ◆MH/VTCEj3A[] 投稿日:2013/03/29(金) 18:56:46 ID:7c6KjhuE0
-
目を合わせて、息を吸って。
第14話「正」
- 286 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 18:57:53 ID:7c6KjhuE0
- (´<_` )「起きてるか、兄者」
( ´_ゝ`)「ん」
部屋の扉をノックすると、中で立ち上がるような音が聞こえた後に扉が向こうから開かれた。
開けたまま部屋の奥に入っていく兄者を見て、どうやら招いてくれるらしいと弟者は足を踏み入れる。
ふと、部屋に入って扉を閉めたところでモララーの言葉を思い出した。
弟者はその思い出した言葉に眉を顰めて、大きく溜息を吐いた。
- 289 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:28:49 ID:7c6KjhuE0
- (´<_` )「兄者」
( ´_ゝ`)「なに」
(´<_` )「ごめん」
( ;´_ゝ`)「……はっ!?」
兄者は弟者を振り返って――瞠目した。
弟者は床に正座している。
そして両手を膝の前の床に付け、肘を折るのにつられるように背を曲げて頭も下げている。
つまるところ、土下座だった。
- 290 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:30:21 ID:7c6KjhuE0
- ( ;´_ゝ`)「え、ちょ、弟者!? 一体何やって」
(´<_` )「悪かった」
頭を下げたまま、弟者はそう言った。
その言葉の意味に、兄者は慌てていた様子をぴたりと落ち着かせる。
(´<_` )「悪かった」
弟者は念を押すようにもう一度、繰り返した。
訳も話さずに謝るという行為に納得がいかず、いつの間にか兄者の表情は不機嫌そうに眉を顰めたものになっていた。
- 291 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:32:43 ID:7c6KjhuE0
- ( ´_ゝ`)「それは、何に対しての謝罪だ?」
兄者がそう問いかけて、弟者は初めて頭を上げた。
座っているせいで普段と視線の高さが逆転している。
それでもそんなことを感じさせないような真っ直ぐとした視線で、弟者は兄者を見上げた。
同じ茶の瞳が交錯する。
(´<_` )「俺が、武器を扱うこと」
( ´_ゝ`)「!」
(´<_` )「俺、言ったよな。兄者が銃を使うことに対して、色んなこと。でも、俺は心配だった」
- 292 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:34:19 ID:7c6KjhuE0
- 弟者は一度兄者から視線を外すと、自分の掌を見つめた。
(´<_` )「俺のせいで兄者は自分の人生を犠牲にしてる。本当は行きたかった学校も、年相応の自由も」
( ´_ゝ`)「ちが、」
(´<_` )「違わない!!」
弟者の大声に兄者はびくりと肩を震わせた。
(´<_` )「だから、まただって思ったんだ」
- 293 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:36:01 ID:7c6KjhuE0
- (´<_` )「また、俺のせいで兄者が傷付くって」
( #´_ゝ`)「違う!」
また、大声。
顔は同じでも声は違うものなんだ、とどこか他人事のように弟者はそう思った。
兄者が怒りで顔を赤くしている。
怒ると顔を赤くするのは、余程怒っている時だけだ。
( #´_ゝ`)「ずっと思ってたのか、お前。自分のせいで俺が犠牲になってるって」
- 294 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:37:41 ID:7c6KjhuE0
- (´<_` )「ああ」
( #´_ゝ`)「馬鹿野郎が」
兄者の言葉に弟者がむっと眉を顰めた。
( ´_ゝ`)「俺は一度も犠牲になってるなんて思ったことないし、なった覚えもない」
(´<_`# )「自覚してないだけでなってんだよ!」
( #´_ゝ`)「どこが!」
(´<_`# )「全部だ!」
- 295 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:39:11 ID:7c6KjhuE0
-
( ・∀・)「おーおー、やってるねえ」
('A`)「なんかシュールだな、あの図」
( ^ω^)「兄弟喧嘩うらやましいお」
兄者の部屋の前には守護者全員が集結している。
- 296 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:40:37 ID:7c6KjhuE0
- 何故全員いるのかといえば。
弟者を焚き付けたモララーが「面白いことになりそう」と勝手に予想して、全員を(時には引きずって)連れてきたからだった。
結果、予想は的中していたわけだが。
ξ ゚听)ξ「これぞ正真正銘の兄弟喧嘩、って感じね」
(*゚ー゚)「デレさんとはしなかったの?」
ξ ゚听)ξ「……んー」
しぃの問いかけに、ツンは少し唸ってから後ろ頭を掻いた。
- 297 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:42:36 ID:7c6KjhuE0
- ξ ゚听)ξ「……あんまり話をしなかった、かな」
(*゚ー゚)「そっか」
(´<_` )「自分が年上だからって、自分だけやって俺に家事をさせなかった」
( ;´_ゝ`)「っ、」
(´<_` )「俺を進学させるために、自分は高校に行かずに働いた!」
ぐ、と兄者が唇を噛んだ。
返す言葉が何も無かった。
- 298 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:44:29 ID:7c6KjhuE0
- (´<_` )「兄者は――兄者は、否定するかもしれない。それでも、俺は絶対に」
(´<_` )「これ以上、兄者を犠牲にさせない。その為の力だ。あいつらを殺すんじゃない、あいつらから兄者を守る」
( ´_ゝ`)「……」
ばか、と。兄者は小さく呟いた。
立っていた兄者がその場に膝をついた。
視線の高低差が縮まり、少し顔を上げるだけで視線が合うようになった。
兄者は、泣きそうな顔で笑っていた。
- 299 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:46:30 ID:7c6KjhuE0
- (´<_` )「兄者、」
( ´_ゝ`)「……馬鹿だなあ、弟者は」
( ФωФ)「ふむ、確かに人は愚かであるな」
( ;´_ゝ`)「ッ!!!」(´<_`; )
兄者の背後に現れた男――ロマネスクの姿に、弟者は棒を具現化させた。
緑の光を纏った棒を両手で持ち、先端を兄者の頭の上を通って叩き付ける。
- 300 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:48:43 ID:7c6KjhuE0
- ( ;´_ゝ`)「あ゛っ!」
ロマネスクは迫ってきた棒を上体を逸らすことで避け、兄者の体を突き飛ばした。
突き飛ばされた衝撃でよろけた兄者の体を受け止めた弟者は――手に付いたぬるりという感触に、目を見開いた。
感触がしたのは、背中に触れた手だった。
兄者の右肩から背骨にかけて、斜めに切り傷があった。
目の前を見れば、血濡れの大振りのナイフを持ったロマネスクがいる。
(´<_` )「ッお前」
- 301 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:50:43 ID:7c6KjhuE0
- ('A`)「伏せろ主っ」
ドクオの声に反応して弟者は兄者を抱えたままその場で伏せた。
背後の扉が大きく開け放たれて、クロスボウが射出される。
射出された三本の矢を目で追って――弟者は「な」と声を漏らした。
( ФωФ)「ふむ。痛いな」
ドクオの狙いは正確だった。
矢は眉間に一本、首に二本。確かに刺さっている。
- 302 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:52:14 ID:7c6KjhuE0
- だが、その刺さった傷口からは一筋血が流れただけ。
ロマネスクは平然として、笑って見せた。
( ;,゚Д゚)「化け物め……!」
( ・∀・)「弟くん、ご主人を離さないで!」
モララーの言葉にハッとして見渡せば、弟者の肩に触れたモララーが青い石の破片を持っているのが見えた。
その背後にはモララーの背に触れたギコを始め、守護者全員が体のどこかしらに触れている。
- 303 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:53:36 ID:7c6KjhuE0
- モララーの持った石が青い光を放って、全員の姿を包み込む。
飛空艇には、ロマネスクだけが残された。
(´<_`; )「ッ兄者!」
( ・∀・)「弟くん、落ち着いて。力を使えば治るから」
石で移動したのは流石兄弟の家だった。
内藤とツンは用心深く辺りを警戒している。
- 304 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:55:41 ID:7c6KjhuE0
- ( ・∀・)「いつか襲撃してくるだろうとは思ってたよ」
('A`)「飛空艇を取られたのは痛いな」
( ,,゚Д゚)「……これから、どうする」
( _ゝ )「正さないと」
(´<_` )「兄者?」
力で緑の光に包まれた兄者が、そう呟いた。
- 305 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/29(金) 19:57:14 ID:7c6KjhuE0
- ( _ゝ )「俺達が、やらないと。もう、終わりにしよう」
( ´_ゝ`)「ロマネスクを、正そう」
第14話「正」・終
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