■( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
└第13話「嫌」
- 266 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:10:23 ID:wWcqPus60
-
そう決めたならば。
第13話「嫌」
- 267 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:12:17 ID:wWcqPus60
- ('A`)「……驚いた」
ドクオはそう零した。
('A`)「主、本当に初心者かよ」
(´<_` )「まあ、一応一般人」
('A`)「一般人でそんだけ使えるってどういうことだよふざけんな」
知らないっての。
ぼやきながら弟者は持っていた耳切棒を肩に担いだ。
- 268 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:14:14 ID:wWcqPus60
- 飛空艇の一室、訓練場で自衛手段を身に付ける為の訓練をやっていた、はずだった。
邪魔にならないようにと、訓練場の隅で体育座りをしてその光景を見ていた兄者はいつからかぽかんと口を開けていた。
ドクオが驚くのも無理はない。
弟者は準備された武器の中から迷いなく棒を選ぶと――守護者のドクオを相手に、見事に立ち回って見せたのだ。
( ・∀・)「……弟くんは化け物か何かかい?」
( ´_ゝ`)「いや、俺が半分育てた人間だと思うんだけど」
( ・∀・)「なんだいその半分ってのは」
( ´_ゝ`)「半分は弟者が自分で勝手に育った分」
- 269 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:15:04 ID:wWcqPus60
- 隣に立つモララーの言葉に答えながら、兄者は本当に弟が人間なのかを疑い始めていた。
そんな兄の心情など知らずに、弟者は担いでいた棒をくるくると弄んでいた。
ふと、兄者と弟者の視線が合う。
途端厳しい色を帯びる弟者の視線から、逃れるように兄者は目を逸らした。
勢いよく逸らされた視線に、弟者は何か物言いたげな表情をする。
が、ドクオに呼びかけられて視線はドクオへと向いた。
その一連の様子を見ていたモララーが首を傾げた。
( ・∀・)「どうしたんだい、ご主人。なんか喧嘩してるみたいだね」
- 270 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:16:16 ID:wWcqPus60
- ( ´_ゝ`)「みたいじゃなくてしてるんだ、実際に」
( ・∀・)「おやおや」
ロマネスクの襲撃から目的を突き止めたところまで、いろいろと紛れてしまったが、実は流石兄弟の喧嘩は続いたままだった。
(´<_` )『銃の扱いなんて覚えてどうするんだ』
弟者はそう言った。
きっとあれは、兄者が人を傷付ける方法を知ってしまったということに対する非難だっただろう。
- 271 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:17:40 ID:wWcqPus60
- けれど今こうして弟者も――しかも兄者よりも容易に――人を傷付ける方法を身に付けている。
そこに関して、兄者は弟者を許していなかった。
( ´_ゝ`)「弟者が跪いて許しを乞う姿を見せない限り許さない」
( ・∀・)「セフィロスかい君は」
恨めしそうに、ドクオを手合せする弟者を見つめたままそう言う兄者にモララーは溜息を吐いた。
( ・∀・)(面倒くさい兄弟だなあ。やたらと頑なだし)
- 272 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:19:05 ID:wWcqPus60
- そういうところが似ている、とは口には出せなかった。
訓練をしている弟者が、兄者達を振り返った。
(´<_` )「……」
弟者が投げかけた視線は、ぷいっと無視されてしまう。
それに眉を顰めながら、弟者もドクオに向き直った。
- 273 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:20:36 ID:wWcqPus60
- ('A`)「心配か? 兄が」
(´<_` )「……別に」
('A`)「嘘言わなくていいさ。素直に気になるって言えばいい」
笑いながらのドクオの言葉にどこか子供扱いされたような気がして、弟者はムッとしてドクオに強く打ち込んだ。
突然の打撃をまともに食らったドクオは「うおっと!」と声を漏らしながらも、打ち込んできた棒を押し返すことは忘れない。
不意打ちが失敗したことに小さく舌打ちをすると、ドクオは「びっくりするわ!」と冷や汗を流したまま言った。
- 274 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:22:10 ID:wWcqPus60
- (´<_` )「うざったかったから」
('A`)「酷い、なっ」
言葉と共にぐっと弟者の棒が弾かれた。
弟者よりも小柄なドクオの体が、ふっと弟者の視界から消える。
姿が消えたことに気付いた弟者が棒を構えて周りを見渡した直後、
弟者の背後から、着地する音と、首に棒を突き付けられた感触がしたのは同時だった。
('A`)「ほら、油断は大敵だぞ」
(´<_`; )「……」
- 275 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:23:54 ID:wWcqPus60
- ( ´_ゝ`)「ドクオすげえ」
( ・∀・)「あれでも未来の守護者達の中で副リーダーみたいなもんだったからねえ」
ドクオは小柄な体を生かした軽やかな動きが多い。
棒を弾かれた弟者がよろけた瞬間にドクオは勢いをつけ、その場から跳躍して弟者を飛び越えた。
頭上を飛び越えていた内から棒を構え、弟者の背後を取った着地と同時に急所へと獲物を突き付ける。
それだけの動きをしておきながら、ドクオは遠距離援護のクロスボウを得意としているのだから驚きだ。
( ^ω^)「おー、やってるおねー」
- 276 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:28:45 ID:wWcqPus60
- ( ・∀・)「内藤?」
扉から顔を覗かせたのは内藤だった。
どうかしたのかと尋ねようとしたモララーの横で、「あ゛ーっ!」という大声が響いてモララーと内藤は肩をびくりと震わせた。
( ´_ゝ`)「見てるだけじゃだめだ! 俺も銃練習する!」
( ^ω^)「あ、今それを言いに来たんだお。しぃが銃の練習しないかって」
( ´_ゝ`)「行く!」
- 277 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:30:25 ID:wWcqPus60
- 兄者は立ち上がるとモララーの背を押して巻き込みながら訓練場を後にした。
扉を閉める間際、一度だけ兄者は弟者に視線を向けた。
兄者に気が付かない弟者に軽く微笑んで、すぐに痛みを堪えるように眉を寄せて唇を噛んだ。
( ´_ゝ`)「ごめん」
消えそうな声で呟いて、兄者は扉を閉めた。
(´<_` )「……?」
(´<_` )(何か、聞こえたような)
('A`)「主?」
(´<_` )「なんでもない」
- 278 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:31:45 ID:wWcqPus60
-
( ・∀・)「おやおや、弟くんじゃないか」
(´<_` )「……うわっ」
( ・∀・)「そんなあからさまに嫌なもの見たって顔しなくても」
窓の外がすっかり暗くなった頃、廊下を歩いていた弟者はモララーと遭遇した。
嫌悪で目を細めた弟者の前でモララーは酷い酷いと泣き真似をする。
その様子も弟者は冷めた目で見つめていた。
- 279 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:33:07 ID:wWcqPus60
- ( ・∀・)「ご主人、相当お怒りみたいだよ」
(´<_` )(相手にしないからって立ち直り早すぎだろ)
早々に泣き真似を止めたモララーはそう切り出した。
( ・∀・)「跪いて許しを乞う姿を見せるまで許さないってさ」
(´<_` )「セフィロスか」
( ・∀・)「だよねえ」
- 280 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:34:22 ID:wWcqPus60
- (´<_` )「……話したところで何かしら言われるってのはもうわかってる」
そうぼそりと言った弟者に、モララーは「へえ?」と笑んだ。
( ・∀・)「何も言わずにそう決め付けるなんて愚かだね」
(´<_` )「……分かってる」
( ・∀・)「いーや、分かってないね」
モララーの言葉に反論できないのは事実だった。
弟者が黙り込む横を、モララーは笑いながら通り過ぎる。
- 281 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/27(水) 20:35:59 ID:wWcqPus60
- ( ・∀・)「とにかく、話さないと何も始まらないさ。それは君が一番よく分かってるだろう?」
(´<_` )「……ああ」
( ・∀・)「今から話しに行きなよ。ご主人ならさっき部屋に帰したところだから起きてるだろう。
それとも、着いて行ってあげようか」
(´<_` )「いらない」
即答した弟者にくつくつと喉を震わせて、じゃあねと手を振ってモララーは笑いながら去って行った。
その後ろ姿を見送って、弟者は深い溜息を吐く。
そして前に向き直ると、兄者の部屋へ向かう為に歩き出した。
第13話「嫌」・終
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