川 ゚ -゚)クールに決める逆転裁判のようです

第一話「逆転のバレンタイン」

Part2

Page2

286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:21:38.15 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「……裁判長。どうやら、弁護側に反証は――」
 
川 ゚ -゚)「異議あり! 証人の言葉にひとつ、“明らかにおかしい点” を見つけた!」
 
(=゚ω゚)ノ「なんだって?」
 
( ´∀`)「それは面白い。言ってみなさい」
 
爪゚ー゚)「……」
 
 
(;*゚ー゚)「ほ、ホントですか!? いったい、どこに……」
 
川 ゚ -゚)「ホントなわけがなかろう」
 
(*゚−゚)
 
川 ゚ -゚)「でも……難癖をつけられる箇所は、あった」
 
 
 そう言うと、クールはある証拠品を提示した。
 何度か本法廷にてお目にかかっている、『解剖記録』である。
 
 それを向かい、いように向けて突きつけた。
 
 
.

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:24:16.72 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「証言によれば、被害者が額に打撲を負ったのは “17時30分” よりも、前!」
 
川 ゚ -゚)「しかし、『解剖記録』 によれば “できてまもない” とある」
 
川 ゚ -゚)「死亡推定時刻が “18時半以降” となっている以上、
     この二つの間には “一時間以上” もの差があるではないか」
 
 
 
川 ゚ -゚)「  こ れ は 、 お か し い ッ ! 」
 
 
 
(;*゚ー゚)「だから……毎回毎回、強調するところおかしくないですか…?」
 
川;゚ -゚)「……そうかな」
 
 
.

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:26:30.81 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 弁護側の二人は冷や汗を浮かべていたが、
 その間の周りの様子は、そんな彼女たちとは違っていた。
 
 最初に声をあげたのは、裁判長だった。
 
 
( ´∀`)「確かに! 一時間の誤差を “できてまもない” と表記するとは、思えませんぞ!」
 
(;=゚ω゚)ノ「言葉のアヤってヤツですよぅ! 一時間ほどならきっと、“できてまもない” の範疇に……」
 
 
川;゚ -゚)「(……お? ひょっとすると、いまがチャンスじゃ……)」
 
 
川 ゚ -゚)「異議あり! “できてまもない” とは、明確な時間を示さない、あいまいな表現だ。
     五、十分と僅かな時間だからこそ、こんなあいまいな表現が許されるのだろう」
 
川 ゚ -゚)「しかし、一時間ともなれば、そんなあいまいな表現は許されるべきではない。
     明確な時間を表さなかった以上、この打撲痕は事件一時間前にできたものとは考えられない!」
 
( ´∀`)「もっともです。いったいこの “できてまもない” とは、どれほどまでの誤差を表すのでしょうか」
 
(;=゚ω゚)ノ「け、刑事に証言してもらうよぅ」
 
川 ゚ -゚)「(アレ……いいカンジ…?)」
 
.

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:28:13.77 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 いようが言ってまもなく、法廷係官がワカンナインデスを連れてきた。
 彼も彼で、冷や汗を浮かべていた。
 クールは自分ひとりだけが周囲から置いていかれているように思って、少し浮遊感を覚えた。
 
 
( ;><)「……」
 
(=゚ω゚)ノ「刑事! 額の打撲は、いったいいつできたんだよぅ!」
 
( ;><)「検死官の言い分によると、“できてまもない” んだそうです!」
 
(;=゚ω゚)ノ「だいたい目安何分くらいかは――」
 
 
 検事と刑事のすれ違い、それを見てクールは「しめた」と思った。
 クールはやや大きめな声で、ワカンナインデスに声をかけた。
 
川 ゚ -゚)「聞き方を変えよう、刑事」
 
( ;><)「はい?」
 
 
 
川 ゚ -゚)「 《一時間前にできた可能性を認めるのか》 ……争点はいま、そこなんだ」
 
 
.

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:31:19.83 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 ずばり核心を、いきなり衝いた。
 場合によっては、この返答でいっそう弁護側が不利になるかもしれない。
 しかし、かといって訊かないわけにはいかない。
 
 大きな賭けにでたつもりで、クールは訊いてみた。
 するとワカンナインデスは、予想外に軽い様子になった。
 
 
 
 
 
 そして、決してその軽い様子から放たれるべきでない返事が返ってきた。
 
 
 
 
 
( ><)「一時間? そんなズレはないハズなんです」
 
 
BGM推奨
http://www.youtube.com/watch?v=gL-ZIbF6J6s
 
 
 
.

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:32:57.41 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 
川 ゚ -゚)「!」
 
(;=゚ω゚)ノ「!」
 
( ´∀`)「なんと! では……」
 
 
爪;゚ -゚)
 
 
 
 
( ´∀`)「どうして証言との間に “一時間” もの差があるのですか!」
 
 
 
.

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:33:50.80 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 すると今度は、ワカンナインデスが、
 先ほどまでのクールの感じていた浮遊感を覚えるようになった。
 
 
(;=゚ω゚)ノ「ひょ、ひょっとすると、ここで転んだけど
      そのときには大した打撲はできなかったんだと思われるよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「異議あり! 証人は “保冷剤を使って処置を施した” のだ!
     大きかれ小さかれ、なんらかの痕跡は残っている!」
 
(;=゚ω゚)ノ「…!」
 
 
 
(;*゚ー゚)「じゃ、じゃあ、“植木鉢に転んだときの打撲” は、いったいなんだったんですか!」
 
川 ゚ -゚)「……?」
 
 
.

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:35:44.80 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(;*゚ー゚)「確かに、ここには一時間のズレがある」
 
(;*゚ー゚)「けど、なら問題になるのは 《どうして一時間のズレがあるのか》 ですよ!」
 
 
川 ゚ -゚)「……一時間のズレ、か」
 
川 ゚ -゚)「考えられることは、ひとつ。
      “なにかが間違っていた” んだ」
 
(*゚ー゚)「 “なにか” ……って?」
 
 
 
 クールはうなずき、指折りしながら言った。
 
 
 ひとつ、打撲の原因。
 ふたつ、解剖記録。
 みっつ、証言。
 
 
 
 
.

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:39:29.87 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「異議ありィ! しかし、こんなこと、大した問題じゃあないよぅ!
      本件はあくまで、後頭部からの銃撃を問う裁判で……」
 
川 ゚ -゚)「この打撲は、犯行時刻にまつわるという点においてヒジョーに重要な意味を持つ!
     真相を究明するべきだ!」
 
( ´∀`)「検察側の異議を却下します。
       《どうして一時間のズレがあるのか》 ……
      判決を下す上で、確かに重要と呼べるポイントだと思いますからな」
 
川 ゚ -゚)「(ホッ)」
 
(;=゚ω゚)ノ「ぐ、ぐゥ……」
 
 
( ´∀`)「さて、素直さん。あなたには、わかりますか?」
 
( ´∀`)「 《どうして一時間のズレがあるのか》 ……その、理由を」
 
 
.

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:41:59.74 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「……言うまでも、ないだろう」
 
 
 
 
 
川 ゚ -゚)「裁判長!」
 
川 ゚ -゚)「証人は、ウソをついている!」
 
 
 
 
 
.

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:49:23.74 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
爪;゚ -゚)「ッ!」
 
( ´∀`)「ウソ……」
 
川 ゚ -゚)「そもそも、捜査陣の捜査の結果、この植木鉢以外に
     打撲の原因となるものの正体は明かされなかったのだ」
 
川 ゚ -゚)「だとすれば、“被害者は植木鉢につまずいて転んだ、だから打撲を負った” ……
     このことに関しては、現時点では……ギモンに思えることはない」
 
川 ゚ -゚)「ならば、考えられる “ズレ” の原因は、たったひとつ!」
 
 
 
川 ゚ -゚)「証人は、ウソをついた!
     彼女は、“もっと遅い時間” に被害者と会っていたのだ」
 
川 ゚ -゚)「答えろ、証人! 《いつ被害者と会っていた》 んだ!」
 
爪;゚ -゚)「……」
 
 
.

308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:50:18.99 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「…!」
 
(;=゚ω゚)ノ「異議ありィ! 証人がウソをつく理由がないよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「理由? あるではないか」
 
(;=゚ω゚)ノ「なんだって…?」
 
 
川 ゚ -゚)「……そもそも、この打撲痕ができたタイミングと
     銃創ができたタイミングが別であることがおかしいのだ」
 
川 ゚ -゚)「 『解剖記録』 にあるように、“できてまもない” タイミングで、被害者は殺されたのだから!」
 
 
( ´∀`)「だとすると……」
 
( ;´∀`)「ッ!」
 
 
川 ゚ -゚)「そう。額の打撲は、被害者が殺される “寸前” ――つまり、真犯人によってつくられたのだ!」
 
 
.

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:53:20.06 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「異議ありィ! まさか、弁護側は……」
 
 
 
爪;゚ -゚)
 
 
 
 
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「証人を、真犯人として告発するのかよぅ!?」
 
 
 
 
 
 
.

312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:55:37.80 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「………」
 
(;=゚ω゚)ノ「答えろよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
 
 
 
川 ゚ -゚)「(……実際……どうなのだ?)」
 
川 ゚ -゚)「(しぃさんが犯人でない、というのを信じるなら……
     犯行が可能だったのは、当日、被害者本人に会っていた……彼女しか考えられない)」
 
川 ゚ -゚)「(しかし、証拠は……ない。というより、打撲に関するナゾがあるだけで、
     それ以外の状況はすべてがしぃさんを指し示してるんだ)」
 
川 ゚ -゚)「(この打撲のナゾひとつだけで……告発するべきなのだろうか?)」
 
 
 
.

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 00:58:06.78 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「……もう一度聞くよぅ」
 
(;=゚ω゚)ノ「弁護側は……証人を、告発するのかよぅ?」
 
 
 
川 ゚ -゚)「……」
 
(;*゚ー゚)「弁護士さん…?」
 
川 ゚ -゚)「………」
 
 
 
.

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:01:37.25 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 
BGMここまで
 
 
 
川 ゚ -゚)「それを確かめるために、弁護側は証人に更なる証言を求める」
 
(=゚ω゚)ノ「!」
 
( ´∀`)「というと……なにを証言してもらうのですかな?」
 
川 ゚ -゚)「おそらく彼女は、時間帯についてウソをついた」
 
川 ゚ -゚)「だから、ほんとうに被害者と会っていた時間帯と……そのときの行動。
     この二つについて、証言してもらいたいと考えている」
 
(;=゚ω゚)ノ「……ということだよぅ。証人、頼まれてくれるかよぅ?」
 
爪゚ -゚)「……」
 
爪゚ー゚)「………わかりました」
 
 
.

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:03:19.73 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(;*゚ー゚)「イキオイとノリで告発しとけばよかったんじゃあ……」
 
川 ゚ -゚)「証拠もないのにそんなことをすれば、よけいに弁護側が不利になるだけだ」
 
(;*゚ー゚)「……法曹界って、面倒なんですね」
 
川;゚ -゚)「め、面倒って……」
 
 
 クールに「ウソ」を指摘されたとき、証人、じぃは少し動揺していた。
 それを見てクールはとっさに、「しぃが犯人でなければじぃが犯人だ」と思ったが
 しかし、それを心の底から信じることはできなかった。
 
 状況だけを見れば依然として、明らかに弁護側が不利なのである。
 そのなかの、せめて一つだけでも間違いだとされなければ、クールはとてもしぃの無罪を信じられないだろう。
 
 そう考えているうちに、じぃの新しい証言がはじまった。
  《どうしてウソをついたのか》 、そして 《ほんとうのこと》 に関する証言が。
 
 
.

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:06:20.46 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
爪゚ー゚)「……あの日、確かにわたしは16時から17時半までギコくんと会ってました」
 
爪゚ー゚)「でも、そのときには彼は転ばなかったんです」
 
爪゚ー゚)「ほんとうは……18時過ぎ。そのときに、ギコくんともう一度会いました」
 
爪゚ー゚)「17時半頃、ドラマの話になったもののサインをどこに置いたのか忘れたみたいで……
.     で、そのままわたしは帰ったんですが、少ししてサインの場所を思い出したんだそうです」
 
爪゚ー゚)「引き返すようにわたしはギコくんの家に行きました。
.     それが、18時過ぎです」
 
爪゚−゚)「……で、家に着いて早々にリビングに行って、
.     ………あとはさっき言ったように、植木鉢につまずいて転んだんです」
 
 
.

328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:09:15.55 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「ほう、わかりました」
 
川;゚ -゚)「…! しかし、ならどうしてウソをついたというんだ!」
 
(=゚ω゚)ノ「問題は “時間帯” だよぅ」
 
川;゚ -゚)「……?」
 
( ´∀`)「時間……18時過ぎ、とのことですが」
 
(=゚ω゚)ノ「死亡推定時刻はあくまで18時から19時だよぅ。
.     だから、自分の来訪の時間が死亡推定時刻とかぶっている、
.     というのが精神的に嫌だったんだと思うよぅ」
 
( ´∀`)「しかし、『留守電のメッセージ』 によって証明されてますが、
      18時36分までは被害者は生きていたのでしょう?」
 
(=゚ω゚)ノ「オンナゴコロ、ってやつですよぅ。証人、そうだよぅ?」
 
爪゚ー゚)「……はい」
 
 
.

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:10:54.52 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
爪゚ー゚)「刑事さんから、死亡推定時刻のことは聞いていましたから……
.     その、怖くて……とっさにウソをついちゃいました」
 
( ´∀`)「証言にウソをついたら偽証罪に問われるのですが……
      大目に見てあげますかな。オンナゴコロ、いいですねえ……」
 
(=゚ω゚)ノ「(大目に見ていいのかよぅ……)」
 
 
(;*゚ー゚)「……弁護士さん…?」
 
川;゚ -゚)「……さっき、告発しとけばよかったかな?」
 
(;*゚−゚)「弁護士さん!」
 
 
.

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:14:02.63 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「では、尋問を」
 
川 ゚ -゚)「……心得た」
 
 
 そう返してから、クールは腕を組んだ。
 証言のなかに気になる点があるならそれを訊く――それが尋問の基本である。
 
 しかし。
 先ほどとは違い、今度は、目立った点はなかった。
 
 
川 ゚ -゚)「………」
 
爪゚ー゚)「……」
 
川;゚ -゚)「………」
 
爪゚ー゚)「…?」
 
 
 じぃと見つめ合う。
 無垢な笑みを浮かべ、弁護側に目を遣る。
 クールは、じぃのその眼差しを直視することができなかった。
 
 
.

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:15:57.53 ID:fJTgQXGu0
 
 
川 ゚ -゚)「……証言を聞いていて一つ、気になったことがある」
 
爪゚ー゚)「?」
 
川 ゚ -゚)「二度目の来訪……訪れたのは、18時頃とのことだが」
 
川 ゚ -゚)「 “家を出た” のはいったい何時ごろなのだろうか」
 
爪゚ー゚)「そのこと、ですか」
 
 
川 ゚ -゚)「(彼女が犯人なら、きっとここにもウソを盛るハズ……
     そこを衝けば、ギワクの目を彼女にそらして、チャッカリ無罪なんてことが……)」
 
 
爪゚ー゚)「カレを氷で処置するのに時間をとられましたが……」
 
川 ゚ -゚)「とられましたが?」
 
爪゚ー゚)「確か、18時20分くらいだったと思います」
 
川 ゚ -゚)「! 待っ――」
 
(=゚ω゚)ノ「異議ありィ!」
 
川;゚ -゚)「…?」
 
.

338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:19:52.18 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 ――やはり!
 予想通りの返答がきたのでそこを更に追究しようとすると、
 それを見越していたのか、すぐに検察側が異議を唱えてきた。
 
 そのため、クールは出ばなをくじかれたような気になった。
 恨めしげな、しかし不安げな様子を顔一面に浮かべていように目を遣ると、彼は不敵な笑みを浮かべていた。
 
 
(=゚ω゚)ノ「さっき、弁護人が調子に乗って証人を告発したら提出しようと思ってたんだけど……」
 
川 ゚ -゚)「?」
 
(=゚ω゚)ノ「このさい、先に提出しておくよぅ。裁判長、新たな証拠品だよぅ」
 
( ´∀`)「なんですかな?」
 
 
(=゚ω゚)ノ「 『防犯カメラの映像』 だよぅ」
 
川 ゚ -゚)「防犯カメラ……?」
 
 
 このときクールは、嫌な予感を覚えた。
 
 
.

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:23:02.07 ID:fJTgQXGu0
 
 
( ´∀`)「しかし、それは先ほど……」
 
(=゚ω゚)ノ「違うよぅ。さっきのはお菓子屋さんのものだけど、
.     こっちは違う店のもので、映っているのも違うものなんだよぅ」
 
川 ゚ -゚)「な、何が映っているんだ」
 
(=゚ω゚)ノ「よく訊いてくれたよぅ。これは、現場からそう遠くないところにあるコンビニのものだよぅ」
 
( ´∀`)「コンビニ……」
 
川 ゚ -゚)「もったいぶらないで、さっさと言いたまえ」
 
(=゚ω゚)ノ「きっと、後悔するよぅ?」
 
川 ゚ -゚)「……?」
 
 
(=゚ω゚)ノ「これは 『コンビニの防犯カメラの映像』 」
 
(=゚ω゚)ノ「これには、証人――じぃさんが、映っているんだよぅ」
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「その時間帯は―――18時半から19時過ぎ!」
 
 
.

342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:25:22.95 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川;゚ -゚)「な…っ!」
 
(;*゚ー゚)「えッ!」
 
( ´∀`)「さ、再生しましょう」
 
 
 裁判長の言葉を皮切りに、その映像はすぐに再生された。
 コンビニ店内を映すカメラが撮ったもので、客もまばらなその様子を捉えていた。
 
 問題の18時30分――厳密に言えば29分――になると、店内に、ある人物が入ってきた。
 特徴的な深緑色の服装をしている。
 映像をズームするまでもなく、それがじぃであることがわかった。
 その瞬間、クールの胸の鼓動が速くなっていった。
 
 
.

344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:27:38.29 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 じぃは入ってうろちょろしたかと思えば、トイレに籠もった。
 出てきたのは、18時38分だ。
 そして、店内の品揃えなんかを確認している。
 
 46分頃、雑誌コーナーに目が留まる。
 そこから二十分ほどの間、彼女は雑誌を読みあさっていた。
 
 そして店を出たのが、19時少し経ったところ。
 じぃが店を出たところで、この映像は終わった。
 そして正式に、証拠品として受理されることになった。
 
 
  『コンビニの防犯カメラの映像』 。
 18時29分から19時過ぎまでじぃの姿が映されている。
 その間、店を出た様子は見られなかった。
 
 
.

346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:29:52.49 ID:fJTgQXGu0
 
 
川;゚ -゚)「これは……」
 
(=゚ω゚)ノ「そのときの店員にも話を聞いているよぅ。
.     証人はこのように女性にしては特徴的な服装だったから、印象も強かったみたいだよぅ」
 
爪゚ー゚)「コンビニには、いきました。間違いありません。
.     トイレにも行ったし、雑誌も読みました」
 
(=゚ω゚)ノ「裏づけのために証言を頼むと、当時のコンビニはどんな様子でしたかよぅ?」
 
爪゚ -゚)「……被告席にいらっしゃる人の、恋愛ソングが流れていました」
 
 
(* - )
 
 
(=゚ω゚)ノ「そして実際に、当時のコンビニでは『爆発しやがれ』という、
.     被告人のヒット曲が流されていましたよぅ」
 
( ´∀`)「だとすると、証人にアリバイはできた、ということですね」
 
(=゚ω゚)ノ「当然だよぅ。そして、一方で捜査班からこのようなデータをもらってるよぅ」
 
(=゚ω゚)ノ「 “被害者宅からこのコンビニまでは歩いて十分ほどである” ……と」
 
川;゚ -゚)「…!」
 
.

349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 01:32:25.19 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「だから、証人の言う “被害者と会っていたのは
.     18時20分までだ” という証言はただしいんだよぅ」
 
川;゚ -゚)「異議あり! 走れば、もっと短い時間で……」
 
(=゚ω゚)ノ「異議ありィ! どのみち、入店した時間が決定的な証拠だよぅ。
.     18時29分に入店している限り、歩こうが走ろうが証人はアリバイ成立だよぅ」
 
川;゚ -゚)「なんだと……?」
 
 
 クールは、しぃが犯人でないならじぃこそが犯人だ――
 そう思っていたのだが、しかし現実は違っていたようだ。
 
 しぃに関する証拠が彼女を事件と結びつけているのに対し、
 じぃに関する証拠は彼女を事件から遠ざけているのだから。
 
 クールはその証拠を見せられて、
 先ほどまで感じていた胸の昂揚感を、根こそぎ奪われたような気になった。
 
 
.


inserted by FC2 system