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98 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:22:50 ID:cCEFz26g0
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友人であるドクオの家へ向かう途中、僕は道に落ちていたそれを見つけた。
まるでメッキ加工をしたように輝く、銀色のそれが妙に気になった僕は、
かがんで拾い上げた。
( ^ω^)「なんだおこれ……?」
手のひらにすっぽり収まるぐらいのサイズで、
表面はツルツルとした感触でやけに軽く、どう考えても自然物ではないようだ。
しばらく手の中で転がしているうち、突如ストロボのように激しくそれが光った。
(;^ω^)「うわぁ!」
驚いて思わず放り投げると、それは側溝に転がり落ちて見えなくなった。
( ^ω^)「なんなんだお……」
訳が分からなかったが、その場にずっと突っ立っているわけにもいかず、
やがて僕は歩き出し、ドクオの家へ向かった。
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99 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:23:31 ID:cCEFz26g0
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ピンポーン
( ^ω^)「ドクオー」
('A`)「おぉ、ブーンか。今開けるぜ」
ドクオ宅へ到着後、インターホンを押すとドアが開いて
中から陰気そうなツラが出てきた。
('A`)「お前また太ったんじゃないか?」
( ^ω^)「昨日会ったばかりじゃないかお」
('A`)「そういえばそうだな。中入れよ、こたつ出したぜこたつ」
( ^ω^)「おぉ、ありがてえお」
その後はドクオの部屋で、こたつに二人でもぐりながら、
他愛ない話をしつつゲームなどをして時間を過ごした。
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100 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:24:42 ID:cCEFz26g0
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('A`)「デリケートゾーンのかゆみって言うけど
デリケートゾーンってどこだよって話だよな」
( ^ω^)「分かるお、その辺はっきりして欲しいお……
あ、ごめん、僕ちょっとトイレ」
('A`)「先生はトイレじゃありません!」
( ^ω^)「うるせえお、とにかくトイレ借りるお」
尿意を催したのでトイレを借りて用を足したあと、僕はドクオのいる部屋へ戻る。
( ^ω^)「うーさみー」ガチャ
('A`)「おかえりー」
( ^ω^)「ただいまー、そういえばドクオ、昨日やってたアメトークだけど……」
こたつに足を入れながら、昨日見たテレビ番組の話題を出そうとした
その瞬間だった。
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101 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:25:40 ID:cCEFz26g0
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カチリ
どこかで、スイッチの切り替わるような音がしたかと思うと、
ドクオの顔が急に俯いた。
( A )「……」
そして、ゆっくりと口を開く。
('A`)「……刑事さん」
( ^ω^)「……ドクオ?」
何を言い出したのか分からなかった。
(;^ω^)「えっ、刑事さんってなんだお……?」
('A`)「刑事さん、今日のところは帰ってくれませんか?」
(;^ω^)「え?ドクオ?どうしたんだお」
また変な冗談を言い出したのかと思ったが、ドクオの様子を見る限り
そういった雰囲気ではなく、やけに真に迫っている。
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102 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:26:34 ID:cCEFz26g0
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('A`)「ちょっと気分が悪くなったみたいですので……
悪いけど帰ってもらえませんか」
(;^ω^)「だ、大丈夫かお?」
ドクオは昔から腹が弱いので、また痛み出したのかと背中を
さすってあげようと手を伸ばした瞬間、ものすごい剣幕で怒りだし、
(#'A`)「帰ってください、刑事さん、お願いですから帰ってください!」
(;^ω^)「え、ちょ、なに!?痛っ!何するんだお!」
そこらにあるクッションやら本やらを僕に向かって
手当たり次第投げつけてきたではないか。
(#'A`)「帰って、帰ってよ!帰れ!帰れ!」
(#'A`)「出てけ!出てけえええええええええええ!!」
(;^ω^)「わ、分かったお!出てくから!出てくから落ち着けお!」
(#'A`)「出てってよおおおお!!!!」
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103 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:27:50 ID:cCEFz26g0
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( ^ω^)「どうしたんだおドクオ……」
ドクオをなだめる術も思いつかず、僕は外に出るほか無かった。
今までの会話の流れの一体どこに彼の逆鱗に触れる要素があったのか……。
考えてみるもさっぱり分からず立ち尽くす。
(,,゚Д゚)「どう思いますブンさん?鬱田ドクオのあの様子」
( ^ω^)「え?誰だおアンタ」
急に見知らぬオッサンが横からけてきた。
(,,゚Д゚)「あの取り乱しよう……あいつ何か隠してますよ」
(;^ω^)「だから誰なんだおアンタ」
(,,゚Д゚)「俺、しばらくアイツ張ってみます。
ブンさんは捜査本部に報告お願いします、それじゃ」
そう言うとオッサンは僕に敬礼し、走り去っていった。
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104 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:29:23 ID:cCEFz26g0
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(;^ω^)「なんなんだお……おかしいおどいつもこいつも」
ふと、ポケットになにか入っている感触がしたので
探ってみると、硬いツルツルとした物体が指に触れた。
そっとそれを取り出してみると、
(;^ω^)「なんで……?」
あの時失ったはずの、銀色の石であった。
(;^ω^)「気持ち悪いお……確かに失くしたはずなのに
なんでポケットに入ってるんだお……?」
気味が悪くなった僕はそれをまた側溝へ放り投げた。
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105 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:31:03 ID:cCEFz26g0
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どこかに寄るような気分にもなれなかった僕は、
その後まっすぐ帰宅した。
( ^ω^)「カーチャン、ただいま」
玄関を開けて挨拶すると、エプロン姿の母が出迎えてくれた。
J( 'ー`)し「おかえりブーン、夕飯もうすぐだから着替えてらっしゃい」
( ^ω^)「分かったお」
サラダがどっさり盛られたボウルをダイニングテーブルに置こうとする
母の隣を通りすぎようとしたその時、またどこかで
カチッ
と、例のスイッチが切り替わるような音がした。
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106 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:34:11 ID:cCEFz26g0
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J( 'ー`)し「ところで今日は随分早かったのね」
( ^ω^)「うん、ちょっとね」
J( 'ー`)し「アンタずいぶん疲れて見えるわよ、大丈夫?」
( ^ω^)「え?そうかお」
J( 'ー`)し「だから母さん反対だったのよ、体の弱いアンタが小学校の先生だなんて」
(;^ω^)(えっ……!?)
(;^ω^)(な、何言ってるんだお?僕が先生?)
当然僕は学校の先生などではない、ただの高校生だから、むしろ教えられる側だ。
自分の息子の職業を忘れるんじゃないと抗議しようとするも、
(;^ω^)(あれ……!?、声が、声が出ないお!!)
口を動かそうとしても全く動かず、そればかりか
( ^ω^)「大丈夫だって、僕が好きで始めたことなんだから」
(;^ω^)(僕の思ってることとは違う言葉が出ちゃうお!なんだおこれ!?)
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107 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:35:10 ID:cCEFz26g0
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J( 'ー`)し「とはいってもアンタがそうやって毎日疲れきった顔で
帰ってくると母さん心配なのよ」
( ^ω^)「大丈夫だって、子供は可愛いし……毎日楽しいんだから」
J( 'ー`)し「そう、それならいいけど……。
あぁそうだ、今日はアンタの好きなもの作ってあげるわ、何がいい?」
( ^ω^)「それなら肉じゃががいいな」
(;^ω^)(違うお!僕は鳥の唐揚げが好きなのに!)
J( 'ー`)し「アンタ肉じゃが好きねぇ、よっし!母さん張り切っちゃうかな!」
( ^ω^)「楽しみにしとく」
(;^ω^)(カーチャンまで!僕の好物は肉じゃがじゃないのに!)
やがて僕は自分の意志とは関係なく、居間を出て階段を登り、
2階の自分の部屋へと足を進めた。
(;^ω^)(身体まで勝手に動くなんて……)
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108 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:36:00 ID:cCEFz26g0
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部屋に入り、ベッドに寝っ転がると急に身体が軽くなったような気がした。
ゆっくりと息を吐きながら喉を震わせると、声が出る。
( ^ω^)「あー、あー」
(;^ω^)「よかった……もう声は出せるようだお……」
両手を交互にグーとパーの形に変える。
( ^ω^)「うん、体も自分で動かせるお……」
(;^ω^)「一体なんなんだお、さっきから……
ドクオといいかーちゃんといい……絶対おかしいお」
次々自分に起こる奇妙な出来事に首を傾げていると
階下から母の呼ぶ声が聞こえた。
「ごはんよー!」
( ^ω^)「はーい!今降りるお!」
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109 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:38:26 ID:cCEFz26g0
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1階に下りて居間に足を踏み入れると、
ダイニングテーブルに並んでいたのは豚のしょうが焼きであった。
(;^ω^)「肉じゃがじゃないお……」
J( 'ー`)し「え?肉じゃが?何のこと?」
ぼそりと呟いた僕の言葉に母は不思議そうに聞き返した。
(;^ω^)「いや、なんでもないお」
( ^ω^)(さっきの出来事が全く無かったことになってる……?)
その時、玄関の方で鍵を開ける音がした。
「ただいまー」
J( 'ー`)し「あ、お父さん帰ってきたわ」
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110 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:39:49 ID:cCEFz26g0
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ネクタイを緩めながら父は疲れた表情で居間に入ってくる。
J( 'ー`)し「おかえりお父さん」
( ФωФ)「うん、ただいま。ブーンも帰ってきてるのか」
そう言って椅子を引き腰を下ろそうとしたその瞬間、またあの
カチッ
という音が鳴り、そして
・,.,'・,
ブフッ ・,.,'・, ,'・:,.、 ,'・,
( ФωФ), ',∴ ・;:¨・,.,'・, ,、・,,'・, .∴
父は思い切り吐血した。
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111 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:41:03 ID:cCEFz26g0
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(;ФωФ)「ゴホッ!ガハッ!グヘェ!」
(;^ω^)「トーチャン!?」
J(;'ー`)し「ちょっとお父さん大丈夫!?」
( ФωФ)「心配するな、いつもの発作だ」
(;^ω^)(いつもの発作!?聞いてないお!トーチャンいつの間に変な病気に!?)
(;^ω^)(で、また僕の声が出なくなってるお!)
( ФωФ)「少し寝てれば治る、大げさなんだよお前らは」
J( 'ー`)し「本当に大丈夫なの?お父さんももう年なんだし……」
( ФωФ)「自分の体のことは自分が一番分かってるよ」
( ФωФ)「……ちょっと横になる、メシは後でいい」
父はハンカチで口の周りの血を拭いながら、居間を出て行った。
(;^ω^)(とーちゃん……)
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112 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:42:08 ID:cCEFz26g0
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J( 'ー`)し「本当にあの人はいつもそう、あれだけ苦しそうなのにぜんぜん病院に行かないんだから」
(;^ω^)(嘘だお!ちょっとでも具合が悪くなったらすぐ病院に行くはずだおトーチャンは!)
( ^ω^)「えぇ?そうなの?」
J( 'ー`)し「何度か無理矢理連れていこうとしたんだけどねぇ……ガンとして動かないんだから」
J( 'ー`)し「まったく、明治生まれってのは本当に頑固なんだから」
(;^ω^)(明治生まれ!?んな訳ないお!!)
( ^ω^)「まったく本当だよな」
「おーい、聞こえてるぞ」
J( 'ー`)し「あら、ごめんなさい」
外の部屋から聞こえてきた父の不満気な声に母は軽く笑いつつ返した。
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113 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:45:27 ID:cCEFz26g0
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そのとき、部屋着のポケットが膨らんでいたので探ってみると……。
(;^ω^)「げっ」
なんとまたあの時の銀色の石が入っていた。
(;^ω^)「なんでまたこれがあるんだお……!?」
また捨てても戻ってくるような気がして、僕は捨てずにポケットに仕舞いこんだ。
( ^ω^)(今日はなんか変なことが起こりっぱなしだお……
明日はきっとまともな日常に戻っていることを祈るお……)
そう思いながらも、願ってるような日常は帰ってこないような、
そんな胸騒ぎがどうにも収まらなかった。
( ^ω^)「もう寝るかお……」
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114 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:47:22 ID:cCEFz26g0
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次の日。
朝食を食べるために居間にやってきた父に、それとなく聞いてみる。
( ^ω^)「トーチャン、なんか体が悪いとかないのかお……?」
( ФωФ)「ん?別にいたって健康だが……どうした?」
(;^ω^)「いや、最近風邪が流行ってるから気をつけてほしいと思って」
( ФωФ)「ふーん、まぁ気をつけるよ」
(;^ω^)(やっぱり昨晩のことは無かったことになってるみたいだお……
なんか、ドッキリでも仕掛けられてる気分だお……)
(;^ω^)彡 (まさか本当にドッキリ!?)ガバッ
思わず振り返ると、そこにはコーヒーカップを持った母が立っていた。
J( 'ー`)し「どうしたのよ、びっくりするじゃない」
( ^ω^)(……そんなわけないかお)
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115 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:49:25 ID:cCEFz26g0
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昨日の胸騒ぎ通り、その後も僕の周りで奇妙な出来事は頻発した。
カチッ
ξ゚听)ξ「ブーンくん、話があるの」
( ^ω^)「ツンさん?」
高嶺の花であったクラスのマドンナであるツンさんから呼び出され、
ウキウキしながら校舎裏へ来ると、彼女は紅潮した顔で僕を壁際に押しやり、
ξ゚听)ξ「目を閉じて、顔を近づけて……」
( ^ω^)「ひゃ、ひゃい……」
目を閉じると、あぁ、ツンさんの甘い吐息がすぐそこまで……。
カチッ
ξ゚听)ξ「ごめんね、ブーンくん」ドスッ
( ^ω^)「えっ」
突然の、内蔵が破れるような激痛に目を見開くと、
ツンさんの硬い拳が僕の腹に突き刺さっていた。
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116 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:51:04 ID:cCEFz26g0
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(;^ω^)「な、なんで……ツン……さん」ガクッ
崩れ落ち、朦朧とする意識の中でツンさんを見上げると、
彼女は悲しげな表情で呟いた。
ξ゚听)ξ「あなたを巻き込むわけにはいかないの……」
(;-ω^)「ツ、ツンさん……!?」
カチッ
(;-ω-)(まただお、またこの音……)
僕の意識は完全にブラックアウトし、
そして目覚めると、天井の照明が眩しく差し込んできた。
( ^ω^)(ここは……?)
(,,゚Д゚)「それではオペを開始する」
手術着に身を包んだ医師たちが、僕を取り囲んでいた。
(;^ω^)(な、なんで手術されてんだお!?)
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117 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:52:25 ID:cCEFz26g0
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(,,゚Д゚)「メス」
(*゚ー゚)「はい」
(;^ω^)(ちょっ、待って、なんも悪くないのに腹裂かんといて!!)
カチッ
(,,゚Д゚)「お主、余の顔を見忘れたか!」
(#^ω^)「上様がこのような所に来られるはずがない!」
(#´∀`)「上様の名を騙る不届き者め、であえであえ!」
カチッ
( ´∀`)「それでは弁護人は要旨を述べて下さい」
( ^ω^)「はい、原告は事件当日の8月32日午前9時頃……」
カチッ
( ^ω^)「おいおいどうしたんだいマイケル、暖炉に捨てたスニーカーみたいな顔して?」
\ドッ/
カチッ……カチッ……カチッ……
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118 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:54:11 ID:cCEFz26g0
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何十、何百かの場面展開をめまぐるしく繰り返したのち、
やがて目の前に銀色のタイツに身を包んだ男が現れた。
( ・∀・)「やぁ、ブーン君だね」
( ^ω^)「は、はい」
突然、僕の名前を呼ばれて驚きながらも答える。
すると彼は、とんでもないことを言い始めた。
( ・∀・)「僕は……君たちのいるこの時代の遙か未来からやってきた」
(;^ω^)「み、未来人!?」
( ・∀・)「君、丸くて手のひらに収まるぐらいの銀色のものを持っているだろう?」
そう言われて思い返すのは、何度捨てても僕のもとに戻ってきた
あの銀色の石。
思えば、あれを拾ってからおかしくなった気がする。
( ^ω^)「ええ、どうしてそれを?」
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119 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:57:00 ID:cCEFz26g0
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( ・∀・)「実は、それは僕たちの時代のテレビなんだ」
(;^ω^)「テレビ!?」
( ・∀・)「未来のテレビは迫力と臨場感を追求し続けた結果、
自分がドラマの登場人物となって、物語の展開を体験することが
出来るようになったんだ」
( ・∀・)「僕は時間旅行のお供にと、そのテレビを持ってきたんだが……
マヌケなことに、この時代のどこかに落としてしまった」
( ・∀・)「本来なら持ち主の元に戻ってくるという紛失防止機能も付いているんだけど、
落とした拍子に壊れたらしい」
( ・∀・)「それでこの時代をくまなく探してみたところ、君が拾っていたことが分かった。
すまないが返してもらえないか」
普段なら信じないようなことであるが、
あいにく信じられないようなことが立て続けに起こる僕に疑っている余裕はなかった、
僕はポケットからあの石を取り出し、彼に突きつける。
( ^ω^)「はい」
僕の手にあるそれを見た彼は、急に顔を青ざめさせた。
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120 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/18(木) 23:58:29 ID:cCEFz26g0
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(;・∀・)「た、大変だこれは……」
( ^ω^)「どうしたんですかお?」
(;・∀・)「チャンネルボタンがイカれて、押されっぱなしになっている!
これでは次々別のドラマに出演することになってしまうぞ!」
(;^ω^)「それで僕の周りが次々ドラマみたいに場面転換していったのかお!」
(;・∀・)「早く僕に渡してくれ、じゃないとまた別のドラマに……」
僕は急いで彼の手に石を渡そうとしたが、遅かった。
またあの音が響いたのだ。
カチッ
( ^ω^)「「 あ 」」(・∀・ )
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121 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/19(金) 00:01:18 ID:dKNuLU3E0
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( ・∀・)「警察だ!悪いが君、この自転車借りてくよ!事件なんだ」
( ^ω^)「えっ、ちょ」
( ・∀・)「後で必ず返すから、京都県警の茂羅に連絡してくれ!じゃあ!」
そう言うと彼はいつの間に僕のそばに置いてあった自転車にまたがると、
あっという間にはるか向こうへ走っていた。
すっかり彼の姿が見えなくなった頃、僕は思った。
( ^ω^)(京都県警ってどこにあるんだお……)
僕の手に残ってしまった未来のテレビを指で撫でつつ、僕はため息を付いた。
(;^ω^)「これどうやって戻すんだお……。どこかに捨てても何故か戻ってくるし……」
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122 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/19(金) 00:04:27 ID:dKNuLU3E0
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( ^ω^)「ん?戻ってくる?」
その時僕は、あの未来人の言っていたことを思い出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)「本来なら持ち主の元に戻ってくるという紛失防止機能も付いているんだけど、
落とした拍子に壊れたらしい」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ^ω^)「あの紛失防止機能、もしかして壊れたんじゃなくて登録者が僕になっちゃってるのかお?」
なるほどそれなら合点がいく。
まったく、確かに紛失しないことは良いことだが、捨てられないのも困ったものだ。
( ^ω^)「全く迷惑だお、ドラマなんて……ドラマ……」
と、そこで僕は更に恐ろしい考えに至った。
(;^ω^)「もしかしてあの未来人との会話も……単なるドラマの一つだったりしないかお……?」
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124 名前:【人生は筋書きのあるドラマ】[] 投稿日:2014/12/19(金) 00:08:11 ID:dKNuLU3E0
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カチッ
( ^ω^)「みんな!あの太陽に向ってダッシュだ!」
カチッ
( ^ω^)「お嬢さん……あっしは不器用な人間なもんで……お天道様に背ェ向けて歩けねえんでさぁ」
カチッ
( ^ω^)「最後に質問よろしいでしょうか?」
カチッ……カチッ……カチッ……
それからも僕は、ドラマからドラマを渡り歩き続けている。
僕自身の物語を進められるのは、一体いつになるだろうか。
もしかすれば、あの未来人のドラマにまたチャンネルが合えばチャンスはあるかもしれないが、
ドラマというものは打ち切りになることもありえる。そうなれば僕は……
かつてはドラマのような経験をしてみたいと何度か憧れたが、やはりドラマは見るに限るな、と僕は思い知った。
〜FIN〜