ξ゚听)ξ人間オナホールのようです

1 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:14:16 ID:muDfrfuA0
( ^ω^)ハートフルオナホールストーリーなのでエロとグロとリョナがあるおwww

2 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:19:41 ID:muDfrfuA0


〜キャンパス内の学食〜


( ^ω^)「ドクちん、実は頼みがあるんだお」

('A`)「だが断る」

( ^ω^)「話ぐらい聞けお」

('A`)「金なら貸さん。 金の切れ目が縁の切れ目」

( ^ω^)「金じゃねーお」

('A`)「女の紹介なら断る。 俺には何一つツテがない」

( ^ω^)「んなもん知ってるお。 一ミリも期待してねーお」

('A`)「じゃあなんだよ」

( ^ω^)「ちょっとペットを数日預かってほしいんだお」

('A`)「ペットだぁ? お前ペットなんて飼ってたのか」

( ^ω^)「三ヶ月ほど前から」

('A`)「いくら彼女出来ないからってペットに逃げるとは」

( ^ω^)「ドクちんもいねーお」

('A`)「まぁな」

( ^ω^)「それは置いといて、来週なんだけど数日家を開けなきゃいけないんだお」

('A`)「あー、前言ってたバイト仲間の旅行?」

3 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:23:52 ID:muDfrfuA0
( ^ω^)「そうだお、二泊三日だお。 夏のムシムシする暑い東京から脱出! 涼しい北海道で二泊三日」

('A`)「おっ話題の北海道新幹線?」

( ^ω^)「いや飛行機だお」

('A`)「いいなぁ、お土産はロイズのチョコでいいぞ」

( ^ω^)「東京は暑いからチョコ溶けるお」

('A`)「じゃあマルセイバターサンド」

( ^ω^)「分かったお。 で、その間にペットの面倒を見てほしいんだお」

('A`)「え、でも俺のアパートはペット禁止だぞ」

( ^ω^)「いや、僕の部屋で面倒見てもらいたいんだお。 ちょっと外には連れ出せなくて」

('A`)「じゃああれか、お前が旅行に行ってる間に俺がお前の部屋でペットの面倒を見ろと?」

( ^ω^)「そうだお、ドクちんは冴えない顔のくせに飲み込みが早いお」

('A`)「それが人にものを頼む態度かねブーン君」

( ^ω^)「正直すまんかった」

('A`)「分かればいいんだ」

( ^ω^)「報酬は用意するお。 きっと気に入るお」

('A`)「しっかしお前が二泊三日で旅行に行ってる間に俺はお前の部屋で二泊三日か、ちと虚しいな」

( ^ω^)「そこをなんとか」

('A`)「じゃあついでにお前の秘蔵AVコレクションを網羅してやる」

4 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:26:49 ID:muDfrfuA0
( ^ω^)「上原亜衣も有村千佳も揃ってるお」

('A`)「よろしい。 仕方ないからTENGA持参で行ってやるよ」

( ^ω^)「あ、それは不要だお」

('A`)「え?」

( ^ω^)「いいから」

('A`)「はぁ…つーか連れ出せないペットってなに飼ってんの? ヤバい系? ワシントン条約引っかかってる系?」

( ^ω^)「それはちょっとここでは言えないお」

('A`)「なんだよもったいぶんなよ」

( ^ω^)「いいから。 なんなら今日見に来るお」

('A`)「おう、ちょうどバイトのシフト入ってないし。 そういやお前んち行くの初めてだな」

( ^ω^)「楽しみにしておくといいお」


〜ブーンのアパート〜


('A`)「駅から近いのに静かなところだな」

( ^ω^)「そうだお、閑静な住宅街なんだお」

('A`)「あ、ここ? ちょっとオシャレじゃん」

5 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:28:49 ID:muDfrfuA0
( ^ω^)「そうだお。 結構新しめなんだお」

('A`)「お邪魔します」

( ^ω^)「どうぞ上がってくれお」

('A`)「なかなかいいところだな」

( ^ω^)「そうだお、なかなかいいところなんだお」

('A`)「しかしまぁあんまり片付いてない、予想通りだな」

( ^ω^)「それはどうも失礼したお」

('A`)「ジャンプ積みっぱなし、いつ片付けるんだい」

( ^ω^)「返す言葉もねーお。 ドクちん意外と細けーお」

('A`)「普通でしょうよ」

( ^ω^)「えードクちん見た目普通だけどたまにイカれてるお」

('A`)「そうか? どこが?」

( ^ω^)「なんかたまに訳分かんない事するというか、自分がしたいと思ったら構わずやっちゃうところ?」

('A`)「あるかもしれぬ」

( ^ω^)「まぁ普通にしてりゃ普通だから大丈夫だお」

('A`)「褒められているのか馬鹿にされているのか」

( ^ω^)「まぁまぁ」

6 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:30:56 ID:muDfrfuA0
('A`)「しかし面白い部屋だな。 ロフトがあんのな」

( ^ω^)「そうだお」

('A`)「つかペットいなくね? ゲージとかねーじゃん」

( ^ω^)「ロフトの上にいるお。 ついてくるお」

('A`)「おう。 なんかハシゴ登るのってワクワクするなぁ」

( ^ω^)「探検心がくすぐられるお。 ほらこいつが預かってほしいペットだお」

('A`)「どれどれ…」

ドクオは息を呑んだ。ロフトに寝かされていたのは女だった。
手足がなく胴体だけで裸のままだった。こちらに視線も寄こさず上を向いているばかりだった。
年齢は自分達とそれほど変わらないだろう、まだ若い。手足は共に根本から切断されている。
断面は焼かれて固められたのかひどい火傷の跡があった。ぶよぶよの皮膚が断面を覆っていた。
女は声を上げる事もなくこちらに関心を向ける事もない。ただ静かに寝かされていた。
秘部が剥き出しになってドクオの視線はそちらに向けられる。使い古され歪んでいた。
恐る恐るこれはなんなのだとドクオは訊く。ブーンは自慢気に答えた。人間オナホールであると。
生きているのか、本物なのかと再び訊くとブーンは本物の人間だと答える。手足がない以外は。

どうやら人格も精神も破壊されたようでこの女は何かを話すどころか意思疎通を図る事も出来ないのだという。
いつもただ虚空を眺めているだけだとブーンは言い、女の目の上で手をかざしたりしてみる。
ブーンの言った通り女は反応しない。試しにドクオが何度か呼び掛けてみたが返答はなかった。
そのためオナホールとして取り扱っているのだとブーンは語る。ドクオはオナホール、と復唱する。
この人間オナホールで毎日のように自慰行為をしているのだとブーンは説明した。
それはセックスではないのかとドクオが尋ねると女には意識もないし一方的なものなのでやはり自慰行為なのだと答えた。
自慰行為をする時もセックス・ローションを肉棒に塗布してから挿入するのだという。
いくら反応のない女とはいえ本物の膣であるから市販のオナホールより気持ちが良いとブーンは饒舌に語る。
更に通常の女では大きなリスクを伴う膣内での射精をいくらでも出来るのだ。女の妊娠する機能は取り払われているという。
それに本当のセックスがしたければ風俗に行けば良いのだ、これはあくまでも自慰行為なのだと続けた。

7 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:33:02 ID:muDfrfuA0
生きているが人格も精神もない。ただ生きているだけの人間オナホール。確かにこれではもはや人形だとドクオは納得する。
正直なところ薄気味悪いが好きな時に女の膣で自慰行為を出来るのは魅力的だ。しかも自慰行為でありながらセックスさながらの快感を得られる。
それにセックスに及ぶまでの面倒なやり取りも不要だ。終わった後はさっさと煙草を吸って眠る事だって許される。自由で良いではないか。
相手の機嫌取りをする必要もない。自分がしたい時にする。まさに自慰行為の良い点だけが残り、セックス並の快感を得る事が出来る。
どこでこれを入手したのだと続けて訊く。闇のルートでね、とブーンは勿体ぶってから話し始めた。昔の友人に話を持ちかけられたのだと。
この女は特殊な風俗店で毎日男の相手をさせられていたが経年劣化が進んできたので売りに出してしまおうと決められたらしい。
その友人は女を購入したがそのうちに置き場に困ってしまい、ブーンに格安で売ってやると持ちかけたそうだ。喜んでブーンは買い取ったのだ。
どうして売りに出されたのだろうとドクオが呟くと何十人と相手してきたのだから秘部の締まりが悪くなったのだろうとブーンは推測した。
もっとも自分の肉棒はアメリカン・サイズなのだからその問題は関係なかったぞという自慢はさらりと聞き流しておいた。
まぁその店はマニア向けに同じような手足のない女を置いていたそうだからもっと他に美人で良い女が入ったのだろうとブーンは真面目に答えた。
それにこの女は胸も小さいしあまり売り上げが良くなかったのではと付け加える。確かに女の胸の膨らみは乏しく女性らしさに欠けると思った。

ところで世話とはどうすれば良いのかと訊く。主に食事と排泄の面倒を見れば良いのだとブーンは答えた。
当たり前だが生きている以上は意識がなくとも食事と排泄という最低限のものは必要なのだなとドクオは感心する。
食事はこれだとパック詰めされたゼリー状のものとシリンジポンプに似た器具を引っ張ってきた。
これを少しずつ口内に流し込むのだという。あとは排泄に関してはおむつ替えだと説明を続ける。
分別なく勝手に排泄を行うので基本的におむつを着用させるのだ。まるで子供が出来たみたいだとブーンは笑う。
自慰行為の最中は排泄しない点が唯一助かっている事だそうだ。人間オナホールも維持が大変なのだとドクオは思う。

8 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:35:31 ID:muDfrfuA0
ついでに、とブーンは言った。この女の存在は知られてはいけないのだと。
この女に戸籍はなく探されている訳でもないのだが他の人間に見つかったら大変な事になる。
そもそもこの女の手足が切り落とされた経緯も含めてあの特殊な店も全くの非合法のものである。
こんな女を所持していると知られて警察にでも通報されたら自分の人生は完全に終わりだとブーンは大げさに肩をすくめた。
この女の存在を知らせたのも信頼できるドクオだけだと。ドクオは絶対に黙っているよと約束をした。
それにブーンの部屋を訪れる者などおらず女は声を上げる事もないので普通にしていればまず気づかれる事はない。
だから旅行に行っている間は安心してこの女で自慰行為をすると良いとブーンは言った。いいのか、とドクオは驚く。
それが報酬なのだとブーンは笑った。これが彼女だったら論外だが所詮はオナホールなのだと。
膣に放出しても良い、ただし自慰行為をした後は風呂で女の秘部をよく洗っておく事が大事だと締めくくった。


§  §  §


翌週ブーンはバイト仲間達と羽田から飛び立っていった。二泊三日の北海道旅行である。
ドクオはバックパックに荷物をまとめて住んでいる成増のアパートを出た。これからブーンの部屋で二泊三日である。
普段ブーンが生活している部屋で寝泊まりをするだけなので荷物は着替えや共有出来ない歯ブラシなどだ。
東上線で池袋、副都心線で新宿三丁目と大きな駅で乗り換えて丸ノ内線の天井の低いホームに出る。
ブーンのアパートのある中野新橋は丸ノ内線の駅であるが中野坂上から分岐する支線の方にある。
丸ノ内線は池袋から始まり御茶ノ水や東京大手町、霞ケ関と皇居をぐるりと半周する形で建設されている。
いつもブーンは中野新橋から中野坂上経由でキャンパスのある茗荷谷まで都心を半周しているらしかった。
その中野坂上で待っていたのは三両編成の地下鉄車両だった。都心部の路線としては可愛らしいものだ。
駅構内が綺麗に改装された事以外に特に特徴のない中野新橋でワンマン列車を降りる。
地上に出て神田川を渡りセブン・イレブンを過ぎて横断歩道のある交差点で狭い一方通行の道に入る。
一方通行の道は真っ直ぐ進み、奥には中野坂上の駅に直結するハーモニースクエアが見えた。
狭い道路に家ばかりが続きようやくブーンの住む二階建てのアパートが見えてくる。
限られた土地になんとか建てられており無駄なスペースが殆ど存在せずなんとか一台だけ自転車が置かれていた。
オートロックの集合玄関機で暗証番号を入力してアパートの中に入る。
部屋のドアをあらかじめブーンから手渡されていたスペアキーで解錠した。

9 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:37:54 ID:muDfrfuA0
('A`)「さて」

部屋に入ってバックパックを置く。あまり片付けるような性格とは思えないブーンの部屋はやはり汚い。
とりあえずは一息つこうとテレビの電源を投入して冷蔵庫から飲み物を調達する。冷蔵庫はやはり生活感の溢れるものだ。
ブーンが好んでいるコカ・コーラがあったが、ドクオは昔からあまり好きではないので隣で冷えていたミネラル・ウォーターをグラスに注いだ。
五百ミリリットルのペットボトルは少しだけ飲んで放置されていたようで、おおかた飲み会の後に気の利く者が買ってくれたのだろう。
冷蔵庫には他にもファンタ、スプライト、ルートビアと炭酸飲料のオンパレードだった。ブーンが小太り体形を維持している事も頷ける。
ドクオは炭酸飲料そのものが苦手という訳ではないが四六時中飲んでいては体内バランスがおかしくなってしまうと思う。
人の事は言えないだろうがブーンも実家を出て一人暮らしを始めて母親の口うるさい呪縛から解放された者なのだろう。

この部屋はロフトのある面白い物件だとドクオはあらためて思う。玄関から入るとそのまま洗面台と繋がったキッチンになっている。
ガスコンロのすぐ隣が洗面台でそこにはドアの区切りもないのだ。そして主な生活場所はドアで区切られた六帖の洋室になる。
そのフローリングの洋室の窓際からはしごで繋がっているのがロフトだ。そこに布団が敷かれ、隣に女が寝かされている。
はしごを登りロフトを眺める。やはり女は言葉も発さず視線も寄こさずただ黙って仰向けに寝かされている。
シリンジポンプに似た器具にはチューブが伸びてそれはゼリー状の食事が入ったパウチに繋がっている。
そのパウチからゼリー状の食事が少しずつ落ちて女の口に運ばれているのだ。まるで入院患者だと思った。
いつ排泄をするか分からないのでおむつが履かされている。独身大学生の分際でおむつを買うブーンの姿を想像すると少し面白い。
きっと近所のドラッグ・ストアで買っているのだろうがなかなか奇妙な光景だろう。替えは十分にあると言っていたので安心出来る。
おむつから本来両足が出ている部分は焼けただれた切断面が見えるのみでこれは滑稽にも思えた。

ブーンはこの布団で女を抱いているのだろうか。いや、セックスではなく自慰行為に分類されるのならば抱くという言葉も間違いだ。
そういえばブーンはよくテレビでアダルト・ビデオを再生しながら女で自慰行為をすると言っていたのでその都度洋室に降ろしているのだろう。
ドクオはその類のものはパソコンに全て保管してあるがブーンは未だにディスクで買い溜めているそうだ。
本人曰く大画面で見るからこそ臨場感があるのだという。見ればなるほど一人暮らしには不釣り合いな三十二インチのテレビだ。
せっかくなのでブーンのコレクションを物色してみようと考えた。彼女のいない暇な大学生がする事など自慰行為に限られる。
今回ブーンの代わりに部屋で暮らすに当たっての報酬は女を自由に扱って良い事に加えてコレクションの自由な再生も含まれる。
好きなアダルト女優で探したりパッケージを見て好みの作品を探ってみる。幾つか気になる作品をピック・アップして再生した。

10 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:39:43 ID:muDfrfuA0
ブーンの話だとゼリー状の食事と同じくパウチに入った水をセットし、おむつを履かせておけば一日中放っておいても大丈夫なのだそうだ。
それでもさすがに二泊三日で開けるのは無理であるためドクオを雇ったのだった。夕方手前になってドクオは買い物に出掛けた。
近くにあったローソンでいつも飲んでいる綾鷹とスーパードライと夕食を買って帰る。一人での食事には慣れているが人の部屋で一人というのは新鮮だ。
三十二インチのテレビでバラエティ番組を見ながらの食事となったが一人暮らしでも画面が大きいというのは良い事だ。
食事を終えて煙草を吸ってから、そろそろ自慰行為の時間にしようとドクオは決める。腹ごしらえが済めばやる事は一つだろう。
もう今日の主戦力となるアダルト・ビデオの選抜は三時間半かけて完了している。それでもまだブーンのコレクションの一部しか見ていない。
食事を片付けディスクをプレイヤーにセットしてティッシュ箱とゴミ箱、セックス・ローションを用意する。あとは人間オナホールだ。
ロフトで寝かされている女を慎重にフローリングの洋室へ降ろす。おむつを脱がしてシャワーを軽く当てて局部を洗う。
フローリングにタオルを敷いて女を置いた。ちょうどテレビが正面になる位置だ。ブーン一押しの高音質ヘッドホンを装着する。
ブーンから教えられた手順通りにセックス・ローションを肉棒に塗った。これで準備は万端である。

秘部を指で広げて、いざ挿入を試みる。たっぷりのセックス・ローションで滑りが良くなっている肉棒はゆっくり女の膣へ入っていく。
避妊具を介さず直接での接触はドクオにとって初めてだった。未知の快感がじわじわと広がっていく。
生でするのはこんなにも気持ちが良いのだとドクオは歓喜する。気がつけば夢中で腰を振っていた。
人工物のオナホールと違って本物の膣なのだ。使い古されているとはいえ気持ち良いに決っている。
ものの数分で絶頂が込み上げてきた。アダルト・ビデオはまだ序盤であった。
しかしドクオは調整する事なくそのまま突き続けて絶頂を迎えた。
あまりの快感に思わずうめき声が漏れる。女の膣の中で長い射精をした。
肉棒を引き抜いてから大きく息を吐く。人間オナホール、これはすごいものだ。
これで毎日のように自慰行為で膣内射精をしているブーンを羨ましくも思う。
膣内の射精ではセックスにおいて相当の覚悟が必要でありハードルも高い。
人間オナホールであるこの女には何の許可も覚悟も不要で中に射精が出来る。
維持費や最低限の世話の事を考えても魅力的だ。

11 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:42:40 ID:muDfrfuA0
女の後処理もあるのでそのまま風呂に入る。女を洗面台の脇に置いてまずシャワーを浴びた。
風呂に持ち込みあらためてドクオは女を見た。手足は根本で切断されて胴体だけだ。胸は小さく僅かに盛り上がっているのみである。
髪は緩やかにウェーブをしていた。売ってもらってからブーンは切っていないのだろう、女の髪は長く伸びている。
また秘部を中心に身体は洗っているのだろうが髪は特に洗ったりトリートメントをしておらず荒れ放題だった。
顔立ちは美人でもなく醜女でもなくごく普通だろう。常に無表情なので笑えばもっと良く見えるかもしれない。
秘部に指を突っ込んで精液を掻き出す。そしてボディソープをスポンジに染み込ませて身体を洗った。
ついでにと髪も洗う。まるで人形遊びだなとドクオは感じた。小さい女の子が遊ぶ赤ちゃんごっこだ。
風呂を出てテレビを見ながら髪を乾かし、傷まないように女の髪も乾かす。
ローソンで買っておいたスーパードライを開けて横に置いた女を再び見た。

ふと、気になったのである。この女はどういう経緯で今日この部屋に至ったのかを。
そもそもこの女には名前がない。正確にはあったはずだが途中で失われてしまったらしい。
ブーンが買い取った時には名前は分からないと言われたそうだ。女は喋らないので聞き出す事も出来ない。
とはいえオナホールに名前は不要なのでブーンも特に気にはしていないようだった。特に呼ぶ訳でもないのだ。
ブーンに売った男に買い取られるまでは風俗店で男達の相手をさせられていた。
その店はこの女と同じように手足のない者ばかりを集めて客もそれを好む者ばかりだったという。
手足のない女を好む者とはどんな男だろうか。絶対に逆らう事のない女を望む者だろうか。
身体的にも精神的にも女を屈服する事を好んでいる男だろうか。
言うまでもなく手足がなければ女達は何の行動を起こす事も出来ない。
何の自由も与えられていないのだ。自分一人では何も出来ないのだ。
自分の秘部に顔を埋める男を払いのける事も出来はしない。
そんな弱い女ばかりを集めた店に集うのも変わり者ばかりのはずだ。

手足を失ったのは事故だろうか、故意だろうか。断面を焼いて塞いでいるあたり後者の方だろう。
どんな人生だったのだろう。知り合いが急に手足をもがれて出てきたら驚いてしまう。
知る手段もないしオナホールの来歴などブーンは特に興味も示さないだろう。
ドクオとしても自慰行為が出来れば良かったはずなのに、それが終わった今ではそんな事を考えてしまう。
いわゆる賢者モードという時間を迎えている訳なのだし、センチメンタルになっているのかもしれない。

12 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:44:45 ID:muDfrfuA0
ブーンの部屋には鋼の錬金術師全巻が揃っていていたので小学生の頃に読んだなと懐かしみながら手に取った。
過去に読破しているはずなのに久しぶりに読み始めると止まらず、第五巻を読み終えたところでもう寝ようと決めた。
持参した歯ブラシをバックパックから取り出して歯を磨き寝る準備を整える。
明日は日曜日で予定を入れていない。この二泊三日の期間中はバイトもシフトを入れていない。
ブーンの話では一日に一度、食事をセットしておむつを変えるだけで構わないとの事なのでそこまで徹底しなくても良かったかもしれない。
ロフトに登ってブーンの布団に潜り込む。昼間に確認したところブーンのにおいが染み付いていたので消臭剤を振りまいておいて助かった。
無頓着なブーンならば布団を洗ったりはしていないのだろう。あまり片付いておらずごみが床に放置されている部屋を見ればそれは明白だ。
隣には女が定位置で寝かされている。そのままにするのもどうかと思いタオルケットをかけておいた。
いざロフトに敷いた布団で眠るとなると、隣で静かに佇んでいる女が急に不気味に思えてきた。
この女は眠るのだろうか。食事をして排泄をして生きているのだからやはり眠るのだろう。
しかし呼んでも応じずまるで意識のない人格が壊れてしまったこの女を生きていると言えるのだろうか。
とはいえやはり生きているのだ。こんな状態でも生きていると言えるのだ。他人に生かされているだけなのに。
他人に生かされている、そう表現するのならばそれは女が手足を失った時から持続してその状態だ。
自分の意志では食事を取る事も移動する事も出来ないのだからこの女は生かされ続けているのだ。
人格を失ってからは他人に好きなように使われているだけなのだ。

蛍光灯に繋がる紐を引っ張る前に横に寝かされている女を見る。
まるで人形のような胴体だけの女。この姿になってからも誰かに愛された事があったのかもしれない。
もしかするとどこかの男に愛され己の意志で動けずとも充実した生活を送っていた時代があったかもしれない。
どのような人生を歩んできたのだろう。またそれが気になってくる。それはごく純粋な興味だ。人間オナホールの来歴。
しかし女は喋らず語らない。紐を引っ張って灯りを落とした。自分にはそれを知る術はないのだ。


§  §  §


眠ってから、ドクオは夢を見た。いつもは夢なのかどうか迷ってしまうのに今日は不思議とすぐに夢だと分かった。
夢の中で微笑んでいたのは高校生の時に付き合っていた女子生徒だった。その顔に懐かしさを感じた。
同じクラスの女子で、目立たない地味なタイプだった。地味さを象徴するように気取らない実務的な眼鏡をかけていた。
彼女はドクオが初めて付き合った女子だった。それ以降いかなる女性も彼女が基準となった。
初めて手を繋いだのも、初めてキスをしたのも、初めてセックスしたのも彼女だった。
恋愛感情を意識し始めた頃の胸の高鳴り。付き合う事になった高揚感。
彼女が他の男子と親しくしている時の若い嫉妬心。後を引いた失恋の痛み。
この先の人生におけるドクオの恋愛で彼女は思い出の人となりながらも基準として生き続けている。

13 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:49:21 ID:muDfrfuA0
本当に目立たない地味な女子生徒だった。身長も体形も普通だったし、胸の大きさも恐らく普通ぐらいだった。
文庫本をいつも読んでいていかにも本好きといった人間だった。実際に小学生の頃から図書室に通っていたという。
当時のドクオは文庫本などたまに幾つか読む程度で週刊ジャンプや月刊少年ガンガンを読んでいる方が楽しかった。
何を読んでいたか明確には思い出せないものの話題になっていた時に綿矢りさの作品を二つ読んだというのは記憶していた。
中学生当時に読んだ、芥川賞受賞の『蹴りたい背中』は面白いと勧められたが理解出来ず終わり方もすっきりしないものだった。
もう一つ、図書館にあった『インストール』は女子高生がエッチなチャットをするというものでそれには興味を惹かれた。
年頃の男子が興味を抱くのはやはりそういう性的なものだとドクオは後々思う。大人になって読み返せば評価は変わるかもしれないがその機会もない。
対して彼女は村上春樹の作品を好んで読んでいた。どうやら有名な作者のようだったがドクオはその作者も作品もよく知らなかった。
『世界の中心で、愛をさけぶ』などテレビ・ドラマや映画化されたビッグタイトルしか知らなかった。その作者の作品はあまりテレビには出ていなかった。
あまりにも彼女がその作者の作品を溺愛しているので何度か借りて読ませてもらった事がある。彼女は快く、むしろ喜んで文庫本を貸してくれた。
綿矢りさも村上春樹作品を読んでいたんだよ、影響を受けたんだよと解説も付け足してくれた。ドクオは随分と時間をかけて借りた文庫本を読んだ。
なんとか読み終えて抱いた感想は苦行だったという事だ。正直なところ途中で投げ出してしまいそうになった。読み終えるには忍耐力が必要だった。
読み終えて文庫本を閉じる時には面白かったな、と思うのだ。しかし何作品も読んでいると強い癖のようなものが気になって仕方なくなってくるのだった。
主人公はどれも口数は少なくまるで生きている世界を俯瞰し知ったような言葉を吐くのだ。洒落た洋楽を聞いてウイスキーを舐めるように飲んでいる。
そうしていると主人公が特に大きな行動を起こさずとも女の方から寄ってくるのだ。そうして主人公と女は埋め合うように交じり合うのだ。
フェミニストの女性が読んだら一方的に男性に都合が良いと勝手に怒りそうだと思った。現実的ではないと批判する者もいそうだと感じた。
実際にドクオの周囲で人気者となり女子生徒から好かれる男子生徒はスポーツが出来て話す事が得意でリーダーシップのある人間だった。
それとは相反するように作品に出てくる主人公は暗く寡黙で自分は他とは違うとばかりに世界を俯瞰して街を歩いている者ばかりだった。
そんな根暗が女性から人気が出る訳がないじゃあないかとドクオは思った。またうんざりするぐらいにセックス・シーンが多かった。
この作者の作品が中学校や高校の図書館に置かれていないのはこれが原因なのだと納得したぐらいだ。そのぐらいに過激なのだ。
勿論当時のドクオは興味津々でそれらのシーンを読んだ。しかしそれはどの作品にも必ず男女関係を描くツールとして登場した。
確かに物語において性と暴力は切り離せないものだとは思った。それらが嫌ならば児童文学でも読んでいればいいのだ。
最後に読んだ『ノルウェイの森』は執拗なまでにそのシーンがあり辟易としてしまった。主人公とおばさんが交わるラストは苦痛だった。
それは自分が生まれた前に書かれ大ヒットとなった作品だった。『蹴りたい背中』同様に今の自分では理解しきれないのだとドクオは結論づけた。
借りていた文庫本を返すと彼女とどの作品はどうだったかと語り合った。彼女はやはりどの作品も溺愛しているようだった。
『ノルウェイの森』では衝撃的なクライマックスで胸が締め付けられた、読み終えてから第一章を読み返すとため息が出たと語った。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』では涙と共に読み終えたのだと語った。村上春樹は好き嫌いの別れる作者なのだろうと思った。
村上春樹の作品はどれも新しい世界を開くものなのだと彼女は物静かな普段の姿からは想像出来ないほど熱心に語ってみせた。
それよりも彼女のような地味な女子生徒がセックス・シーンをふんだんに盛り込んだ村上春樹作品を読むという事実の方がドクオは気になった。

14 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:51:46 ID:muDfrfuA0
彼女と初めて行為に及んだのは付き合ってから四ヶ月ほど経ったテスト期間中だった。午前中で学校が終わりドクオの家には誰もいなかった。
ドラッグ・ストアでコンドームを探すのには場所が分からず苦労した。いつも自分が眠っているベッドで彼女が脚を開いているのには興奮した。
まだ抱くなんて言葉も使わないぐらいに幼かった。どちらも経験はなく知識も中途半端だったため時間をかけて試行錯誤しながらセックスをした。
初めてセックスした日の暴発気味の射精をドクオはよく覚えている。中学一年生の時に初めて射精をした時と同じで忘れる事はないだろう。
普段は地味な彼女も脚を開いてドクオに身を委ねてセックスをしている時には一人の女性になった。読んでいた文庫本は何も干渉しなかった。
風俗を除けばドクオが付き合ってセックスをしたのはたった三人だ。今も一年以上女性と付き合ったりするのとは疎遠になっている。
元々人見知りする方であるし仲が良い者以外とではあまり楽しく話す事も出来ない。酒を飲んでも周囲のテンションに合わせていく事が出来ない。
貸してもらった作品の主人公のように付き合った女性は自分の元へやって来てやがて旅立っていく。そうしてまた自分だけ取り残される。

初めて付き合った彼女と夢の中でセックスをしていた。正確にはドクオはその記憶を映像として見ていた。
実家の自分の部屋で。彼女の部屋で。駅のトイレで。生理だった。コンドームを裏返しで当てて上手く装着出来なかった。
制服を着たまま。持ちだした包帯を巻いて目隠しをして。幾つも体勢を変えて色々試してみながら。

どうしてこのような夢を見るのだろう。ドクオは考えた。その女子生徒の事など普段はそれほど思い出さないのに。
ここ一年付き合っている女性もおらずセックスをする機会が少ないからだろうか。風俗も誘われて行く程度で金もかかるので頻繁には行かない。
そして今日、久しぶりにあの人間オナホールでセックスをした。ブーン曰くあれは自慰行為に当たるそうだが一応セックスと表現しても良いだろう。
そのために高校生の時の事など思い出したのだろう。確かにセックスをするたびに基準となる彼女の事を思い出すのだ。

やがて覚醒が近づく。ドクオは夢の終わりを感じ取った。彼女とのセックスが薄れていく。
彼女とは一年ほどで別れた。別の大学に進んだしドクオは上京してきている。
今何をしているのか、どんな大人に成長したのか何も知らない。普通の地味な大人になっているだろうか。
それとも眼鏡を外してコンタクト・レンズを装着して髪を明るく染めて大学デビューを果たしているのかもしれない。
それでもドクオの中で彼女は地味な高校生のままで生き続けるのだ。ドクオの中で服を脱いでベッドに横たわっている。


§  §  §


ドクオは目を覚ましてから天井が異様に近い事に少し驚いた。ここはブーンの部屋なのだ。当たり前だがロフトは天井が近い。
寝起きなのではしごを慎重に降りる。そういえば子供の頃に二段ベッドに憧れていた事を降りながら思い出す。
一人っ子だったため叶う事はなかったがこのロフトのはしごは憧れだった二段ベッドに通ずるものがある。
確かデジモンの映画で見ていいなぁと思ったのだ。ただ作中でも踏み外しそうになっていた気がする。
パンとインスタント・コーヒーで朝食を済ませる。ブーンにコーヒーを飲む習慣もなくこれも持参したものだ。
ふと気になって女の様子を見ると排泄をしたようだった。一日に一度で良いと言われているもののおむつを替えておく。
使い終わったおむつは臭いの漏れない完全密閉のポリバケツに捨てる。これもわざわざ購入したのだろう。
それからドクオは鋼の錬金術師を読む事に専念する。どうせ暇だしまた読み倒したいと思ったのだ。
昼の手前になってブーンから着信が入った。

15 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:53:43 ID:muDfrfuA0
『もしもしドクちん、どうだお様子は』

('A`)「部屋片付けろよ」

『そこかお』

とりあえずは率直な感想だ。

('A`)「ハガレン読んでるよ」

『あぁ、ゆっくり読破するといいお』

('A`)「北海道は涼しいかい」

『快適だお、じめじめした東京から脱出出来て何よりだお』

季節は夏を迎えている。ちょうど夏休みであるのだ。北海道を旅行するには心地良い時期だろう。

('A`)「北海道のどこ行ってるんだっけ?」

『昨日今日が札幌で明日が小樽だお』

('A`)「んだよ、二泊三日なのに旭川とか函館とかは行かねーの」

『ドクちんは北海道の広さを舐めすぎだお。 札幌から旭川は特急で一時間半、函館は三時間だお』

('A`)「なんと、試される大地」

『ドクちんどうせそれ言いたいだけだお』

('A`)「札幌で観光か」

『そうだお。 北海道初めてだし、まぁまず札幌かなって』

16 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 14:56:15 ID:muDfrfuA0
('A`)「夜の観光も」

『勿論だお』

自宅に人間オナホールを置いておきながらきちんと風俗店には足を運ぶのだ。
とはいえ一概に風俗店といっても様々な形態の店舗がありそれぞれの楽しみ方がある。
せっかくなのでそういう店に行く気持ちはドクオにも理解出来た。
それに札幌すすきのという街はあまりにも有名だ。

『おっぱい大きかったお』

('A`)「おっパブかよ」

『ドクちん知らないのかお、おっぱいは世界を救うんだお』

('A`)「気持ちは分かる」

『世界平和にはおっぱいが必要だお』

ブーンは胸の大きな女性が好きだ。アダルト・ビデオのコレクションにも好みが顕著に表れている。
巨乳の彼女が欲しいとよく言っているのだ。それに対して女は胸が小さい。
こればかりは仕方ないと割り切っているのだろうか。

('A`)「というか今どこなんだ、後ろ騒がしいけど」

『あ、スープ・カレー食べに来てるお。 なんだっけ、スアゲ?』

('A`)「あー北海道ってスープ・カレー有名なんだっけ」

『そうだお、一度行くといいお。 あ、ごめんトイレ行ってくるお』

ブーンが仲間に断って席を立つ。

『オナホどうだったお』

('A`)「すげえな、感動したわ」

堂々と喋っているあたり、ブーンはトイレに入ったのだろう。

('A`)「人生初のナマに人生初の中出し決めたわ」

『どうだお、ハンパないお。 いつでも中出し出来るんだお』

18 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 15:03:10 ID:muDfrfuA0
('A`)「お前本当にどんなルートで入手したんだよ」

『こればかりはドクちんにも企業秘密なんだお』

('A`)「そうかい、まぁあと今日入れて二日か、楽しんできてくれよ」

『楽しんでくるお、ドクちんもよろしく頼むお』

電話を切ると部屋には静寂が戻る。女は喋らないので同じ空間にいても当然会話はない。
なんとなくテレビの電源をつけてみるが日曜日の昼は恐ろしくつまらないバラエティ番組が肩を並べている。
チャンネルを数回変えただけでドクオは諦めテレビの電源を落とす。また部屋は静かになった。
読んでいた鋼の錬金術師に意識を戻す。しかしものの数分でドクオは集中出来なくなった。

喋らずとも他の人間が同じ部屋にいるのだ。息をして生きているのだ。それが不気味で仕方なくなってきた。
ブーンはこの三ヶ月ほど毎日この女と同じ空間で過ごしてきたのだ。しかし彼は平気そうだった。
恐らくブーンは女を人間として扱っていないのだろう。人間オナホールではあるが人間の扱いではない。
射精し放題の本物の膣を維持するために生かされているだけだ。人間として生かされているというよりはオナホールの維持だ。
女には人間としての尊厳も人権の確立も存在しない。分類上は人間でありながら人格もなくただ生かされているだけだ。
手足を切り取られ男の玩具として生きてきた女はこれまでも人間としての扱いを受けてこなかったであろう。
自由に扱えて決して反抗出来ない弱い存在なのだ。大切に扱われた事は少なかっただろう。
それを可哀想だと、僅かに思う。しかし悲しみに暮れるほど同情は出来ない。
ドクオはそこまで他人に感情を向ける事が出来る人間ではないのだ。
それにこの女は人間オナホールであるし、今日もドクオはそれで自慰行為をする。
可哀想だと思いながら自慰行為に及ぶようではあまり楽しめない。
ただ今はどうしてか不気味に思えてしまう。存在を無視して暮らすのは難しい。
ブーンほど割り切る事が出来て、胆力があれば良いのだろう。

結局ドクオは出掛ける事にした。元々一日中家にいる必要もない。
丸ノ内線で新宿に出た。中野坂上で乗り換えた池袋行きは混んでいた。
荻窪から来る列車は南阿佐ヶ谷や新高円寺、新中野など中央線のもう少し南寄りを走って客を拾ってくる。
青梅街道に沿っていかにも中央線が取りこぼしたような微妙な場所を走ってくる。こぞって新宿まで出るので席は埋まっている。
とりあえずは新宿に着いたものの別に行くあてもなく丸ノ内線の改札を出て地下広場から西口の方へ出た。
地方出身のドクオにとって新宿は大都心の象徴のようなものだ。漠然としたイメージがあって憧れすら抱いていた街だ。
ドクオの実家は静岡県の磐田市に組み込まれたかつての遠州豊田にある。今は成増で一人暮らしをして茗荷谷のキャンパスへ通う生活だ。
東上線は池袋が起点であるし茗荷谷に通うにも池袋で乗り換える必要があるので必然的に池袋の街を歩く事が多い。
新宿を訪れるのは飲み会だったり合コンの代打で呼ばれた時ぐらいだ。渋谷ほどではないがあまり縁がない方だろう。
西口のヨドバシカメラでカシオ製の腕時計を眺めて通りがかった新宿郵便局で思い出したように金を降ろした。
新宿駅の東西の行き来に便利な地下通路で東口に出てロータリーの入口にある喫煙所で煙草を吸った。
喫煙所は半透明のパネルで仕切られているだけで吐き出した煙は新宿の空に混じっていく。
深々と吐き出しながらスタジオアルタのビジョンを眺めた。信号が変わると小ぶりなスクランブル交差点を歩行者が行き交う。
煙草を吸い終わって新宿三丁目方面へ歩いた。小綺麗にしているものの雑然としているしよく見れば汚い街だ。池袋に似ている。
駅や列車内で拾われた比較的綺麗な雑誌が台に載せられて売られていた。伊勢丹の袋を手に下げた中国人観光客の団体とすれ違う。
レクサスやメルセデス・ベンツといった高級車が路肩に停まっている。それに挟まれるように中型トラックが積み下ろしをしていた。

19 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 15:07:02 ID:muDfrfuA0
なんとなく気になって紀伊國屋書店に入った。昨晩久しぶりに高校生の頃に付き合った本が好きな女子生徒の夢を見たからだろう。
店頭の新刊コーナーには彼女が好きだった村上春樹の新作が文庫本となってずらりと積まれていた。ひと作品で山を形成している。
発売当時には随分と話題となりテレビでも連日騒がれていたのを覚えていた。いつの間にか文庫本となって発売されたのだ。
彼女はまだ村上春樹作品を好んで読んでいるのだろうか。相変わらず彼の作品は新しい世界を切り開くものなのだと熱く誰かに語っているのだろうか。
二階に上がってみても村上春樹の作品は広いスペースを確保されているようだった。彼女と付き合っていた時以降に新たに世に出た作品も多かった。
対称的にドクオが中学生の頃に読んだ綿矢りさの作品は目を凝らして探してみる必要があった。当時あれほど騒いだのに世間の評価は辛辣だ。
ドクオは成人を迎えても特に本を読む習慣が身につくという事もなく、そういう類のものに対する知識は殆どなかった。マンガの方が楽しかった。
名前だけなら有川浩だとか東野圭吾だとかは知っていた。しかし面白いテレビ・ドラマなどを見ても原作小説を読もうとは思わなかった。
どうして自分のような本とは縁のない人間が彼女と付き合う事になったのだろうとドクオは考えた。地味な者同士ではるが妙な取り合わせだった。
ふと彼女の言葉を思い出す。どんな本を読めばいいのか分からないのだと彼女にアドバイスを求めた時の事だ。
彼女はそれほど難しい事ではないと言った。とにかく書店に出向いて陳列された本を見てみれば良いのだと。
流行りのテレビ・ドラマの原作小説を手に取っているのもいい。話題の作者の特集コーナーを見てみるのもいい。
新刊コーナーに立ち寄ってタイトルと表紙の好みで選んでみるのもいい。映像化コーナーでミーハー気分を味わうのもいい。
とにかく書店で実際に見て後はインスピレーションで決めてしまってもいいのだと彼女は語った。いつか衝撃的な出会いが来ると。
逆にすごいどんでん返しだとかそういう謳い文句の帯が巻かれているのは大体がしょうもないトリックで詰めの甘い作品だと忠告もした。
それでも暫く紀伊國屋書店で文庫本を眺めていたもののドクオの心を揺り動かすものはなかった。記憶の中の彼女のアドバイスは役に立たなかった。
ただせっかくなので店頭に平積みされていた村上春樹の新作の文庫本だけ手に取った。もう執拗なセックス・シーンを描いていない事を祈って買った。
高校生の頃にあれほど村上春樹が好きであったのだから、彼女は今でも好んで読んでいるような気がしてきた。きっとこの新作も読んでいるのだろう。
詳細は知らないがどこかの大学に進んだはずだ。遠州豊田を出て浜松か静岡、あるいは名古屋やはたまたこの東京に出てきているかもしれない。
しかし再び出会う事はないし彼女はドクオの記憶の中の領域から抜け出す事はこの先もないだろう。

その後も新宿をぶらぶらと歩いてみたりした。
そうする事で幾らか気分が紛れた気がした。
夕食を買ってブーンの部屋に帰る頃には日が暮れていた。
はしごを登ってロフトに寝かされている女の様子を見る。
仰向けに寝かされおむつを履いてタオルケットをかけられた状態で女はそこにいた。
全く変化はない。ただそこで生きていてそこで佇んでいる。
膣で自慰行為をするためだけに生かされている。
可哀想だというよりも哀れに感じるとドクオは気づいた。
自分の意思では身動きも出来ない女が哀れなのだ。
人格も失いただの生きる人形である女が哀れなのだ。
男の好きなように扱われるしかない女が哀れなのだ。

20 名前: ◆LV5aVPnNI2[sage] 投稿日:2016/03/30(水) 15:09:43 ID:muDfrfuA0
昨日まではまるで違うとドクオは感じていた。
この女を膣に射精出来る便利な生のオナホールとしか見ていなかった。
しかし今はその権利があるのに気分が高まらない。
人格も失いただ虚空を眺める、壊れてしまった人間でしかないのだ。
何も喋らずただ寝かされている女がとにかく不気味で仕方がない。
生きているはずなのにまるで生きていない。

今日は自慰行為をしようとは思えなかった。
引き受けなければ良かったと、ドクオは思い始めていた。
ため息混じりに風呂に入る。女の身体と髪もついでに洗う。
女の脇は無駄毛が生え放題で無頓着なブーンらしいと思った。
いくら人間オナホールとはいえ見苦しいので洗面台にあったブーンの電気シェイバーを拝借する事にした。
力加減が分からず手探り状態ではあったが少し押し当てるだけで無駄毛を十分に剃る事が出来た。
女の身体を拭いてから剃った脇に保湿クリームを塗って髪を乾かしてやった。
まさしく世話をしているという気分になる。

女にタオルケットをかけてドクオは布団を被った。
この留守番仕事も明日の夜までだ。ブーンは明日の夜の便で帰ってくる。
新千歳空港を十九時台に発つスカイマーク便で二十一時頃に羽田に着くのだ。
そこからリムジンバスで新宿に出て丸ノ内線で帰ってくるのだという。
アパートへの到着は二十二時半ぐらいだと伝えられていた。
そこまでがドクオが女を担当する時間だ。
あと一日、それが残された時間である。


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