もう何も考えられないようです
1、始まりから時間(t)を奪えば星が見える



1 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:14:55 ID:dGBJHDM60

1、始まりから時間(t)を奪えば星が見える


もう何も考えられないときのために、私たちには空白がある。

もう何も考えられないときには、クランからクランへと渡り歩いてもいい。
もう何も考えられないときには、ペットボトルをへこへこしててもいい。

コンビニで買ったおでんは、ここでは異質で、すぐに冷たくなるのだろう。
もう何も考えられにぁいときには、そういうものに話しかけるのも悪くにぁい。

2 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:15:36 ID:dGBJHDM60

('A`)

('A`)

('A`) ヒッ

('A`) 「空き缶の中を覗くと」

('A`) 「キレイな女の子が踊ってるんだ」

('A`) 「僕はもう嬉しくなって」

('A`) 「ここに遅滞する」

('A`) 「……」

('A`) 「……ありますか?」

3 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:16:29 ID:dGBJHDM60

ζ(゚ー゚*ζ「こんばんは」

ζ(゚ー゚*ζ「今日はひどく寒い一日」

ζ(゚ー゚*ζ「手が冷たくなっちゃって」

ζ(゚ー゚*ζ「広場に向かうのも大変」

ζ(゚ー゚*ζ「太陽も風邪をひいているのかな」

ζ(゚ー゚*ζ「なーんて」

4 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:17:13 ID:dGBJHDM60

('A`)「……」

('A`)「誰もいない公園なんだから」

('A`)「わざわざベンチに座らなくてもいいんだ」

('A`)「ブランコだって空いてるし、すべり台の上だっていい」

('A`)「……」

('A`) シリガ ツメタイ…

('A`)「それでもベンチに座ってしまう」

('A`)「……」

('A`)「右の奥にすべり台、その手前にブランコ」

('A`)「真ん中には幅の広いすべり台と砂場」

('A`)「ここから見える、この暗闇の風景が一番落ち着く」

('A`)「……おでん食べよう」

5 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:18:18 ID:dGBJHDM60

ζ(゚ー゚*ζ「もう太陽はとっくに隠れ、見上げれば月が見える」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「どうして大きな声で吠えるのかしら」

ζ(゚ー゚*ζ「よく分からないわ」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「あの子たちは月と話しをしようとする」

ζ(゚ー゚*ζ「月はただ聞いているだけなのに」

6 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:19:03 ID:dGBJHDM60

('A`)「この割り箸には竹を使用しています」

('A`)「……」

('A`)「お姫様を見つけようと、大量に伐採された竹」

('A`)「……図らずも今日は満月だ」

('A`) オデン マダ アッタカイ……

('A`)「……」

('A`)「もうすぐ雪が降る季節の真夜中に」

('A`)「おでんと、コートに包まれた体だけがあたたかい」

('A`)「この夜に異質なのは」

('A`)「……はんぺん、玉子、こんにゃくに大根」

7 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:19:48 ID:dGBJHDM60

ζ(゚ー゚*ζ「広場の隅の草むらに隠したものは」

ζ(゚ー゚*ζ「私以外にはなんの価値もないものだけれど」

ζ(゚ー゚*ζ「きっと別の子が見つけてしまって」

ζ(゚ー゚*ζ「もうそこにはないのね……」

ζ(゚ー゚*ζ「期待なんてしてないけれど」

ζ(゚ー゚*ζ「広場はすぐそこ」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

ζ(゚ー゚;ζ「あっ」

8 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:20:25 ID:dGBJHDM60


('A`) アッ

ζ(゚ー゚;ζ

ζ(゚ー゚;ζ「こんな時間に人がいるなんて……」

9 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:21:07 ID:dGBJHDM60

('A`)「……」

ζ(゚ー゚;ζ「……」

('A`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

('A`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

('A`)「おでん……、玉子食べます?」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、黄身だけ」

10 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:22:17 ID:dGBJHDM60

('A`)「黄身だけね……」

ζ(゚ー゚*ζ「はい」

('A`)「おでんの容器のフタに置きますから」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう」

('A`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ ハグハグ……

('A`)「……白身もちゃんと火が通ってますよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「好みの問題なんです」

('A`)「それなら仕方にぁい」

ζ(゚ー゚*ζ「えっ?」

11 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:23:13 ID:dGBJHDM60

('A`)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

('A`)「玉子美味しかったですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「それはもう」

('A`)「なら」

('A`) 「にゃんって言ってみてください」

ζ(゚ー゚*ζ「はい?」

('A`) 「にゃんって言ってみてください」

ζ(゚ー゚;ζ「な、なにいってるの……、この変態!」

('A`)「そういうのいいですから……」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと……」

('A`) 「いいから、にゃんって言うんだにゃん!」

12 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:24:01 ID:dGBJHDM60

ζ(゚ー゚;ζ「……」

ζ(゚ー゚;ζ「にゃ、にゃん……」

('A`)「いいぞ、その調子」

ζ(゚ー゚;ζ「そ、そうですか、にゃん」

('A`)「君、すごくかわいいね……」

ζ(゚ー゚*ζ「よく言われますにゃん」

('A`)「こんな時間にどうしたの?」

ζ(゚ー゚*ζ「それは秘密ですにゃん」

('A`)「そう……」

ζ(゚ー゚;ζ「……」

13 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:24:38 ID:dGBJHDM60

('A`)「そうだ」

('A`)「頭を撫でてもいいかな?」

ζ(゚ー゚;ζ「イヤです! ……私もう行きますから!」

('A`)「すーっと撫でるだけ、すーっと」

ζ(゚ー゚#ζ「さようなら!」

('A`)「……」

('A`)「あぁ……」

('A`)「……」

('A`)「……あたたかいか、確かめたかっただけなのに」

14 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:25:35 ID:dGBJHDM60

('A`)「……」

('A`)「おでんを食べたら、煙草を吸おうと思ったのに」

('A`)「ライターは台所の近くに置いたまま……」

('A`)「換気扇の下で吸ったのが悪かった」

('A`)「出かける前に」

('A`)「……」

('A`)「マグマのように灼熱に輝いて燃える灰皿の吸殻を」

('A`)「まだ覚えている」

15 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:26:18 ID:dGBJHDM60

('A`)「水道から流れる水は」

('A`)「ようやく戻ってきた自分にようこそと囁き」

('A`)「僕はもう何も考えられない」

('A`)「……」

('A`)「時間はアパートに置いたまま」

('A`)「だから、何もかもが星に見える」

('A`) 「……」

('A`) 「そういうものが、ありますか」


おわり

16 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/17(日) 03:27:43 ID:dGBJHDM60

<次回予告>



lw´‐ _‐ノvの日記

コンビニでチョコなどを買った。
明日の私は、軽くなったお財布に悲しんでいるかもしれない。
ちょっと気持ちが分かるので、ポッキーは残して置きます。

そうそう帰り道に公園の前を通ったら、ベンチに人が座っていた。こんな時間なのに。
よく見たら彼の足もとには猫がいて、何やら話しているみたいだった。

その気になれば、何であろうとお話しできるのかもしれない。
私も、目の前のいちご味ポッキーと話しをしてみたい。



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