■もう何も考えられないようです
└2、認識の霧のなか、39や40の破片
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20 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:33:05 ID:66.ifPWQ0
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2、認識の霧のなか、39や40の破片
伝達手段としての言葉から、その要素を削ってゆく。
するとこんなにも軽々と、言葉は自由に飛び交う。
私たちがある種の笑いに包まれていた時、まるで車内は楽園のように思えた。
私たちが……、包まれていた……、楽園……。
伝わる言葉と、ただの言葉。
私はどちらも、悲しいくらいに好きだった。
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21 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:34:35 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「ただいま帰りました」
o川*゚ー゚)o「あっ。おかえり」
lw´‐ _‐ノv「太陽も風邪をひく寒さ……」
o川*゚ー゚)o「ふふっ、おかしいの。雪だるまみたいな厚着しているのに」
lw´‐ _‐ノv「マフラーどこにしまったかな。あとで探そう」
o川*゚ー゚)o「今年は寒くなるの早いね」
lw´‐ _‐ノv「うん、早い……」
o川*゚ー゚)o「ところで何買ってきたの?」
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22 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:35:26 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「麦チョコとポッキーにゃん」
lw´‐ _‐ノv「グミもあるにゃん」
o川*゚ー゚)o「……どしたの、語尾?」
lw´‐ _‐ノv「さっき猫見かけた」
lw´‐ _‐ノv「遠くてよく分からなかったけど……」
o川*゚ー゚)o「にゃん、は付けないの?」
lw´‐ _‐ノv「いや、ええっと」
lw´‐ _‐ノv「……予想よりも恥ずかしかった」
o川*゚ー゚)o「そうだったのかにゃん」
lw´‐ _‐ノv「……」
o川*゚ー゚)o「……あ、ほんとだ」
lw´*‐ _‐ノv「ハハハ」
o川*゚ー゚)o「ふふっ」
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23 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:36:02 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「パタパタパタパタ……」
o川*゚ー゚)o「シュー鳩が大空に飛んでいく」
lw´‐ _‐ノv「二階だよ」
o川*゚ー゚)o「うん」
lw´‐ _‐ノv「お母さんは?」
o川*゚ー゚)o「もう寝てるよ。シューも寒いから部屋、暖房つけなよ」
lw´‐ _‐ノv「そうする」
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24 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:36:32 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv メエー
lw´‐ _‐ノv「ただいま、クマさん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「そうだね、すぐ暖房をつけよう」
lw´‐ _‐ノv「だけど風がない分、部屋の中の方が快適なんだよ」
lw´‐ _‐ノv「クマさんも今度外出てみる?」
lw´‐ _‐ノv「なんてね」
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25 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:37:12 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「姉は居間で本を……」
lw´‐ _‐ノv「私はこんな夜更けにふらふらと……」
lw´‐ _‐ノv「それでもなんとかやっていける、世界の寛大さ」
lw´‐ _‐ノv「ありがとう」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「マフラーは……」
lw´‐ _‐ノv「あとでいいか」
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26 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:37:53 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「幼い頃に貰ったパンダのぬいぐるみは」
lw´‐ _‐ノv「今では擦り切れてやせ細って、パンダの布に」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「パンダちゃんからパンダさん」
lw´‐ _‐ノv「それで何故だかクマちゃんになって、最近はクマさん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「時を経て、変わっていったぬいぐるみの愛称は」
lw´‐ _‐ノv「そんな彼へのリスペクトだと、私は思う」
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27 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:38:29 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「胴と頭をつなぐ、細い糸が切れないかが心配な近頃」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「いつのまにか布地がほつれ」
lw´‐ _‐ノv「中のワタは知らずに減って」
lw´‐ _‐ノv「何度も縫い直して縫い直したけれど……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「形あるものはいつか壊れる、は本当だ」
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28 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:39:08 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「だけど、それは」
lw´‐ _‐ノv「霧になって消えてしまったりはしない」
lw´‐ _‐ノv「ガラクタや破片、あるいは布切れになって残るんだ……」
lw´‐ _‐ノv「いつまでも」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「麦チョコ食べよ、……あっ」
lw´‐ _‐ノv「……帰ってきて、手を洗うのを忘れてた」
lw´‐ _‐ノv「洗いに行こう……」
lw´‐ _‐ノv メエエ……
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29 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:39:48 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv メエー
o川*゚ー゚)o「ん、シューだったか」
lw´‐ _‐ノv メエエ
o川*゚ー゚)o「いつも羊の声を真似してるけど」
lw´‐ _‐ノv メエエエ
o川*゚ー゚)o「これは恥ずかしくないの?」
lw´‐ _‐ノv「……」
o川*゚ー゚)o「……」
lw´‐ _‐ノv「あんまり。これは趣味だから」
o川*゚ー゚)o「趣味だったのか」
lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃんもどうですか」
o川*゚ー゚)o「間に合ってます」
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30 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:40:19 ID:66.ifPWQ0
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lw´‐ _‐ノv「ところで何を読んでるの?」
o川*゚ー゚)o「見てるんだよ」
lw´‐ _‐ノv「そっか、つい……」
o川*゚ー゚)o「ううん」
lw´‐ _‐ノv「……」
o川*゚ー゚)o「……」
lw´‐ _‐ノv「……面白い?」
o川*゚ー゚)o「ちょっと待って」
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31 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:40:58 ID:66.ifPWQ0
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o川*゚ー゚)o「ほら、このページ」
o川*゚ー゚)o「事、って文字がたくさん。おかしいよねぇ」
lw´‐ _‐ノv「どれどれ」
o川*゚ー゚)o「……の事を彼は? ……出来事が? ……事によると?」
lw´‐ _‐ノv「……の事を彼は、……出来事が、……事によると」
o川*゚ー゚)o「ふふっ」
lw´‐ _‐ノv「うん」
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32 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:41:42 ID:66.ifPWQ0
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o川*゚ー゚)o「よいしょっと、ちょっとトイレ」
lw´‐ _‐ノv「うん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「39や40の破片は、消えたりしない」
lw´‐ _‐ノv「いつかまた、きっと……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「伝わる言葉も、自由な言葉も」
lw´‐ _‐ノv「どっちだって私は好きだよ」
lw´‐ _‐ノv「……お姉ちゃん」
おわり
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33 名前:同志名無しさん[] 投稿日:2013/11/19(火) 19:42:21 ID:66.ifPWQ0
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<次回予告>
( ^ω^)のトイレでの呻き
トイレに入って、もう20分は経ったかお
お腹に違和感あるけど、何も出ないお……
<<<1、始まりから時間(t)を奪えば星が見える ◆ 3、ぼやけた隙間に一瞬だけ浮かぶ明かり>>>
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