从 ゚∀从魔法使いとハゲのようです

第十四話

214 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 20:53:43 ID:C38e.tqc0

('、`*川「では、私は姉の様子を見に行きますので」

(´・_ゝ・`)「あぁ、じゃあ僕は宿でも取ってきますね」

('、`*川「すみません。護衛、本当にありがとうございました」

(´・_ゝ・`)「いえいえ、ではこれで。また何かあったらすぐに行きますので」

('、`*川「ありがとうございます」

('、`*川 タッタッタッタ

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「さて、と」

(´・_ゝ・`)「宿でも探さないと」

( <●><●>)「私が町長なのはワカッテマス」

(´・_ゝ・`)「……」

( <●><●>)「私が町長なのはワカッテマス」

(´・_ゝ・`)「町長さん、この辺りに宿ってどこにありますかね?」

( <●><●>)「私が町長なのはワカッテマス」

(´・_ゝ・`)「……」

215 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 20:54:59 ID:C38e.tqc0

(´・_ゝ・`)「結局自分で探す破目になってしまった」

(´・_ゝ・`) テクテクテク

(´・_ゝ・`) テクテクテク

(´・_ゝ・`) テクテクテク

(´・_ゝ・`) テクテクテク

(´・_ゝ・`) テクテクテク

サナ*゚ー゚タン

(´・_ゝ・`) テクテクテク

サナ*゚ー゚タン

(´・_ゝ・`) テクテクテク

サナ*゚ー゚タン

(´・_ゝ・`) テクテクテク

サナ*゚ー゚タン

(´・_ゝ・`)「さっきから何かな、お嬢ちゃん」

サナ*゚ー゚タン「これ、買ってよ」

216 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 20:56:39 ID:C38e.tqc0

(´・_ゝ・`)「買ってって……何を売ってるのお嬢ちゃんは」

サナ*゚ー゚タン「ヅラ」

(´・_ゝ・`)「あ?」

サナ*゚ー゚タン「買ってよ、ねぇ」

(´・_ゝ・`)「いや僕には必要ないし。必要性が見出せないし」

サナ*゚ー゚タン「買ってよぉ」

(´・_ゝ・`)「は?ヅラとか僕いらないし。ヅラとか自分という存在を否定するようなものじゃん?」

(´・_ゝ・`)「そういうのって僕受け付けないんだよね」

サナ*゚ー゚タン「違うよ。本当の自分を取り戻すものだよヅラは」

(´・_ゝ・`)「本当の……自分……」

217 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 20:58:13 ID:C38e.tqc0

サナ*゚ー゚タン「目が悪い人はメガネをかける。これは視力を、本来の視力を取り戻す為」

サナ*゚ー゚タン「入れ歯は本来の歯を取り戻す為」

サナ*゚ー゚タン「勿論、それらは本当の歯でも視力でもない」

サナ*゚ー゚タン「けど、本人達にとっては本物を取り戻すことが出来る物なんだよ」

サナ*゚ー゚タン「失ってしまったのは仕方が無い。けれど、それを取り返すことがいけないことなの?」

サナ*゚ー゚タン「本物のように振舞いたいと思うのは、いけないことなの?」

サナ*゚ー゚タン「ヅラは、これは失ってしまった自分を取り戻す。そんな物なんだよ」

(´・_ゝ・`)「……」

サナ*゚ー゚タン「今日、これが売れないとご飯が食べられないんだよね」

(´・_ゝ・`)「いやぁ仕方無いなーこんな子が困ってるんだー大人の僕としては、買うしかないよなー」

(´・_ゝ・`)「じゃ、いつ買うのか」

(´・_ゝ・`)「今でしょ」

サナ*゚ー゚タン「お買い上げありがとうございます」

218 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 20:59:07 ID:C38e.tqc0

彡彡ミミ
(´・_ゝ・`)

彡彡ミミ
(´・_ゝ・`)「本当の自分、か……」

サナ*゚ー゚タン「ところでおじさん、この辺じゃ見かけないけどどこから来たの?」

(´・_ゝ・`)「シタラバニアだよ」

サナ*゚ー゚タン「へぇ、名前は?」

(´・_ゝ・`)「名前、か……」

(´・_ゝ・`)「盛岡デミタスという事になってるよ」

サナ*゚ー゚タン「?」

(´・_ゝ・`)「僕はね、自分の事が思い出せないんだ」

(´・_ゝ・`)「名前さえも分からない」

(´・_ゝ・`)「で、それだと不便だからってつけてもらったんだ」

サナ*゚ー゚タン「そっか。大変なんだな」

219 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 21:01:26 ID:C38e.tqc0

(´・_ゝ・`)「だから、僕はヅラを貰っても本当の自分を取り戻せはしないんだよね」

サナ*゚ー゚タン「そうかぁ……いつか元の記憶も取り戻せると良いな」

(´・_ゝ・`)「うん」

サナ*゚ー゚タン「でもさ」

(´・_ゝ・`)「?」

サナ*゚ー゚タン「その盛岡デミタスっていうのも、本当の自分だと思うよ」

サナ*゚ー゚タン「記憶を失っても、そこから積み上げたものは全部本物だろ」

サナ*゚ー゚タン「盛岡デミタスというのも、本物の自分の一つなんだよ」

サナ*゚ー゚タン「取り戻すのも良いけど」

サナ*゚ー゚タン「だからって今までの盛岡デミタスを否定するのはやめろよ、おじさん」

(´・_ゝ・`)「……」

(´・_ゝ・`)「お嬢ちゃん、名前は?」

サナ*゚ー゚タン「サンタナ」

220 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 21:02:09 ID:C38e.tqc0

(´・_ゝ・`)「サンタナ、ありがとう」

(´・_ゝ・`)「出来たらこれからも僕の事を、盛岡デミタスという男が居たことを覚えていてほしい」

(´・_ゝ・`)「盛岡デミタスという、本物が居たという事を」

サナ*゚ー゚タン「……ん、良いよ。覚えてあげる」

(´・_ゝ・`)「僕も、君の事をずっと覚えていよう」

(´・_ゝ・`)「シベリャのサンタナ」

(´・_ゝ・`)「メキシコに吹く熱風という意味の、サンタナを」

サナ*゚ー゚タン「いや私の名前の由来そんなんじゃないから」

221 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/23(土) 21:03:06 ID:C38e.tqc0

(´・_ゝ・`)「じゃ、そろそろ僕は行くとするよ」

サナ*゚ー゚タン「ん、じゃあな。盛岡デミタス」

(´・_ゝ・`)「じゃあね、サンタナ」

(´・_ゝ・`) テクテクテクテク

サナ*゚ー゚タン

サナ*゚ー゚タン「……」

サナ*゚ー゚タン「忘れないよ。忘れるわけが無い」

サナ*゚ー゚タン「こんな」

サナ*゚ー゚タン「こんなヅラなんか買っちゃったカモを、忘れるなんて」

サナ*゚ー゚タン「今日は久々に牛肉食べようっと! ぎゅうぎゅう〜♪」



第十四話『ヅラ売りの少女』『サンタナ』 完

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