-
1 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:53:23 ID:kYas4tNw0
-
(;‘_L’)『荒巻殿、どうしましょう……』
/ ,' 3『なんだ、騒々しい』
(;‘_L’)『ここ最近、日照りが続いています。このままでは、作物が全滅してしまいます。
ただでさえ今年の夏は暑いのに、甚大な被害を受けてしまいます』
(;-_L-)『ああ、どうしてこんなことに……』
/ ,' 3『……神様が、モララー様がお怒りなのだ』
(;‘_L’)『な、なんてことだ! 一刻も早くモララー様の怒りを鎮めなくては……。
一体どうすれば……』
/ ,' 3『簡単なことだ』
『モララー様は生贄を欲している。生贄を捧げれば、モララー様は機嫌を直してくださることだろう』
.
-
2 名前: ◆MiP3CC60hw[sage] 投稿日:2017/08/25(金) 20:54:38 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)
(;・∀・)「いや、いらないよ!? 勘弁して!?」
(;・∀・)「別に僕怒ってないし、そもそも僕に天気を司る力無いし」
(;・∀・)「この声は村長の荒巻だな? 何考えてんの……」
(;‘_L’)『生贄……ですか』
/ ,' 3『ああ、もはやそれしか手段はない』
(;・∀・)「いやなんでだよ。もっとなんかあるだろ」
(;‘_L’)『それしかない……ですか。
して、誰を生贄として捧げるんですか?』
/ ,' 3『うちのでぃで充分だ』
(;‘_L’)『で……でぃ殿をですか!?』
/ ,' 3『アレは儂の奴隷だ。いなくなったところで誰も困りはしない』
(;・∀・)「えー、荒巻ったら奴隷なんていたの……? マジで……?」
(;‘_L’)『しかし、でぃ殿はまだ幼く……』
/ ,' 3『儂の言うことに文句があるのか? それとも、貴様が生贄になるか?』
(;‘_L’)『い、いえ……それは……』
/ ,' 3『早速儀式を行う。いいか、村人たちには内密にしろ』
(;‘_L’)『は、はい……』
(;・∀・)「わぁ、随分と話が急だ……決定事項? 覆らないの? ねぇ?」
-
3 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:55:22 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)
( ・∀・)「覆らなかった……」
( ・∀・)「神社の敷地内で生贄と称した殺人はやめてくれよ……」
( ・∀・)「しかもさ、なんで生贄を僕に捧げた瞬間に雨が降るの? 何の奇跡? 生贄効果で僕が雨を降らせたって思われるじゃん?」
( ・∀・)「ていうか、うん」
(#゚;;-゚)
( ・∀・)「いるんだよなぁ……そこに」
-
4 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:56:03 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)神様と(#゚;;-゚)生贄のようです
其の壱
.
-
5 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:56:57 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「生贄として捧げられた子が本殿の前にいるんだよなぁ……」
(;・∀・)「ていうかまだ小さいじゃん。十歳くらい? 荒巻色々とエグすぎない?」
(;・∀・)「顔も手も傷だらけだし……女の子なのに……」
(;・∀・)「……どうしようか。そもそもこの子、どういう状態なんだろ。幽霊でいいのかな……」
(;・∀・)「とりあえず本殿に入れてあげようか。放っとけないし……」
-
6 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:57:29 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「ねぇ、君」
(#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「そこにいたら雨で体が冷えちゃうよ。中にお入り」
(#゚;;-゚)「……いいです」
( ・∀・)「どうして?」
(#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「……」
(#゚;;-゚)「……」
(;・∀・)(困ったなー……)
-
7 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:58:03 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「黙ってちゃ何にも分かんないよ」
(#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「……もしかして、いじめられるとか思ってる?」
(#゚;;-゚)"「……っ」ピクッ
( ・∀・)「大丈夫だよ。いじめたりなんかしないから」
(#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「疑ってる?」
(#゚;;-゚)「……だって、信じていいのかわかんない」
( ・∀・)「信じていいよ。あのね、僕は神なんだ」
_,
(#゚;;-゚)
( ・∀・)(あっ、頭おかしい奴だと思われてる)
-
8 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:58:59 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「聞いたことない? モララー様って」
(#゚;;-゚)「……ある」
( ・∀・)「僕がそのモララーだよ」
_,
(#゚;;-゚)
( ・∀・)「疑ってるね?」
_,
(#゚;;-゚)「……疑ってない」
( ・∀・)「まあ何でもいいや。とりあえず本殿に入りなよ。体冷えちゃうから」
(#゚;;-゚)「……本殿は神様の場所だから、鍵がかかって入れないようになってるって……」
壁|・∀・)))「すり抜ければ大丈夫だよ。ほらほら」スーッ
(;#゚;;-゚)そ「!!!?」
( ・∀・)「なんてったって神だからね。このくらい余裕よ」
(;#゚;;-゚)「……神様っていうより幽霊みたい……」
( ・∀・)「あー、近いっちゃ近いね。でも僕は神なんだなぁ」
(;#゚;;-゚)「……本物の神様?」
( ・∀・)「本物本物」
(#゚;;-゚)「サインください」
( ・∀・)「意外とノリいいぞこの子」
-
9 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 20:59:50 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「多分、君もできるよ」
(;#゚;;-゚)「えっ」
( ・∀・)「やってみて、ほらほら」
(( (;#゚;;-゚)っ オソルオソル
Σ(;#゚;;-゚|壁 スーッ
( ・∀・)「できたできた。やっぱり幽霊なのかな、君は」
(;#゚;;-゚)「神様と同じことができた……」
(#゚;;-゚)「わたしって神様だったのか……」
( ・∀・)「そうじゃない」
-
10 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:00:42 ID:kYas4tNw0
-
(#゚;;-゚)「本殿の中って初めて入った……」
( ・∀・)「まあ、宮司以外は入れないからね」
(#゚;;-゚)「……あ、刀がある」
( ・∀・)「それは僕の神体だよ」
(#゚;;-゚)「……神体?」
( ・∀・)「神が宿るとされるものだよ。刀以外だと例えば鏡とか山が神体の神もいるよ」
(#゚;;-゚)「……モララー様は刀に宿ってるの?」
( ・∀・)「そういうことになるかな」
(#゚;;-゚)「刀が本体……?」
( ・∀・)「そんな眼鏡キャラの本体が眼鏡みたいな。まあ、僕が神として姿を保つために必要なものだね」
( ・∀・)「神体と神社、そして信仰があれば神は存在できるんだ」
(#゚;;-゚)「……ひとつでも無くなると消えちゃう?」
( ・∀・)「信仰が無くなると消えちゃうね。神体と神社は無くてもギリいける」
(#゚;;-゚)「信仰って大事なんだ……」
( ・∀・)「割合で言うと神体1:神社1:信仰8くらい」
(#゚;;-゚)「割合で表せちゃうんだ……」
-
11 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:01:30 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「とりあえず、君はおそらく幽霊だから成仏できるまでここにいるといいよ」
(#゚;;-゚)「……いいの?」
( ・∀・)「僕に捧げられたわけだし、責任は取らなきゃ」
(#゚;;-゚)「……ありがとう」
(;・∀・)「お礼なんて言わなくていいよ。僕のせいで君が死んじゃったとも言えるんだし」
(#゚;;-゚)「そんなことない」
(;・∀・)「そんなことあるんだよ。とりあえず改めて自己紹介でもしようか。
僕はモララー。ここ設楽葉村で信仰されている神だよ」
(#゚;;-゚)「……わたしは、でぃ。よろしく、モララー様」
(;・∀・)「そんなかしこまった呼び方じゃなくてもいいんだけどね……」
(#゚;;-゚)「じゃあ、モララー」
( ・∀・)「呼び捨てかぁ。別にいいんだけど呼び捨てかぁ」
-
12 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:02:16 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「そうだ、君の着物を用意しなくちゃ。ずっと死装束を着たままってわけにはいかないし」
(#゚;;-゚)「……いいの?」
( ・∀・)「もちろん。じゃあ早速出かけようか」
(#゚;;-゚)「……また壁すり抜ける?」
壁|(・∀・ )「うん。さっきみたいにすり抜けて……」
「遊びに来たわよ、モララー」ニュッ 壁|*゚ー゚)” Σ(・∀・;)「うおっ!!!?」ビクッ
(*゚ー゚)「誰が魚よ」
(;・∀・)「微妙に分かりづらいボケやめて。何しに来たの、しぃ」
(*゚ー゚)「暇だったから遊びに来たのよ」
(;・∀・)「仮にも神様が暇とか言わないでよ……」
(*゚ー゚)「大抵の神なんて暇よ。モナーさんみたいなすごい神様だって暇とか言ってここに遊びに来るじゃない」
(;・∀・)「それはそうだけど……」
(*゚ー゚)「あと、ギコくんも暇とか言ってよく来るし」
( ・∀・)「ギコはまあ……ギコだし……」
(*゚ー゚)「まあギコくんだしね」
(#゚;;-゚)(……この入り込めない空気つらい……)
-
13 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:02:53 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「そうそう、紹介するね」
(*゚ー゚)「あら、先客がいたの……」
(#゚;;-゚)←幼女
(*゚ー゚)
(*゚ー゚)「……ロリコン?」
(;・∀・)「ちげえよ!!!!」
(#゚;;-゚)「……ろりこんって何?」
(;・∀・)「訊くな!!!!」
(*゚ー゚)「しかも死装束着せるとかどんな性癖よモララー……」
(;・∀・)「ちげえってば!!!!」
-
14 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:03:54 ID:kYas4tNw0
-
(;・∀・)「この子は、僕に生贄として捧げられた子だよ」
(*゚ー゚)「は? 生贄? 生贄の幼女? やっぱりロリコン?」
(;・∀・)「誤解だってば!!!!」
(*゚ー゚)「なんでアンタ、生贄なんか求めたの?」
(;・∀・)「求めたわけじゃないよ。村長が勝手に……」
(*゚ー゚)「……勝手に?」
(;・∀・)「日照り続きなのは僕が怒ってるせいだとかなんとかって……」
(*゚ー゚)「天気とアンタなんの関係もないじゃない」
(;・∀・)「勝手にこじつけられたみたいで……」
(*゚ー゚)「人間干渉モードで上手いことやって変なこじつけされないようにしなさいよ」
(;#゚;;-゚)(に、人間干渉モード? 何その名前……)
(;・∀・)「簡単に言うなよ……。
そもそも僕は人間干渉モードは使わない主義なんだ。人間と神の間には境界線を引くべきだよ」
(;#゚;;-゚)(別に名前にツッコミはしないんだ……)
(*゚ー゚)「いつまでも不干渉を貫くとどんどん都合のいい扱いを受けるわよ。
今でさえ都合よく扱われてるのに」
(;・∀・)「うっ」
(*゚ー゚)「モララー様は優しいから怒らないーとか言いながらお供え物持って行かれたり」
(*゚ー゚)「優しいから怒らないとか言われてたくせに今回は怒ってるから生贄を捧げようなんて話になってるし」
(;・∀・)「べ、別に純粋に信仰してくれる人もいるもん……」
-
15 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:04:52 ID:kYas4tNw0
-
(#゚;;-゚)「ねえ、モララー……この神様は……?」
( ・∀・)「ああ、僕の友達の神様だよ」
(*゚ー゚)「はじめまして。私は隣の美府村の神、しぃよ。あなたは?」
(#゚;;-゚)「わたしは、でぃ……」
(*゚ー゚)「でぃちゃんね、よろしく」
(#゚;;-゚)「は、はい……」
(#゚;;-゚)「……」ジッ
(*゚ー゚)「? どうしたの、ジッと見て」
(#゚;;-゚)「……綺麗……」
(*゚ー゚)「ちょっとちょっとモララー、でぃちゃん超絶いい子じゃないの」
( ・∀・)「綺麗ってのはしぃが着てる十二単のことじゃない?」
(*゚ー゚)「十二単込みの私のことに決まってんだろ」
(#゚;;-゚)「着物も、しぃさんも、どっちも綺麗……」
(*゚ー゚)「ほれ見なさい、モララー」
( ・∀・)「でも先に言ったのは着物だよね」
(*゚ー゚)「いちいち揚げ足取るんじゃないわよ」
( ・∀・)「僕はあくまで事実を言っているだけで」
(*゚ー゚)「ひたすらに鬱陶しいわ」
(#゚;;-゚)(仲良し……)
-
16 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:06:17 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「前から思ってたんだけど、しぃってなんで十二単着てるの?」
(*゚ー゚)「だって、綺麗じゃないの」
( ・∀・)「お洒落のために20kgを纏う意識の高さ半端じゃねぇな」
(*゚ー゚)「おかげで鍛えられたわー」
( ・∀・)「十二単着て普通に動き回ってるもんね……」
(*゚ー゚)「このまま戦えって言われても余裕よ。戦ってみる?」
(;・∀・)「嫌だ。前にしぃと喧嘩したギコがぼろ雑巾みたいになってたから嫌だ」
-
17 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:07:00 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「そうそう、本題に戻るけどさ」
(*゚ー゚)「モララーのロリコン疑惑について?」
(;・∀・)「ロリコンじゃないってば!! そうじゃなくて本題は……」
(#゚;;-゚)「……人間干渉モードとは何か」
(;・∀・)「それも違う!! ていうか地味に気になってたんだね!?」
(*゚ー゚)「人間干渉モードってのは、名前の通り人間に干渉するモードよ。
普通にしてるときは人間が神を見ることはできないけど、このモードを使えば人間に干渉できるようになるわ」
(;・∀・)「ちなみに命名はモナーで……じゃなくて、本題!! でぃの着物!!」
(*゚ー゚)「モララーの趣味の死装束?」
(;・∀・)「趣味じゃないから!
でぃの新しい着物を用意しに行こうとしたタイミングでしぃが来たんだよ」
(*゚ー゚)「あら、そうだったの。じゃあ、これから行くの?」
( ・∀・)「そうだね。良かったらしぃも一緒に来てよ」
(*゚ー゚)「いいの? 行くわ」
-
18 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:07:43 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「さーて、出発だー」
(*゚ー゚)9"「おー!」
(#゚;;-゚)9"「おー」
( ・∀・)「でぃはどんな着物がいい?」
(#゚;;-゚)「……かわいいの」
(*゚ー゚)「十二単はどう?」
( ・∀・)「十二単は重いでしょ。でぃはしぃみたいにマッチョじゃないんだから」
(*゚ー゚)「マッチョって言うのやめなさい」
(#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「ん? どしたの、でぃ」
(#゚;;-゚)「……なんか、お母さんとお父さんみたいだなって」
(*゚ー゚)「えぇー……モララーが相手は無いわー……」
( ・∀・)「酷くない?」
(*゚ー゚)「そもそも私、ギコくんと付き合ってるし」
(#゚;;-゚)「……神様って意外と俗っぽいんだね」
( ・∀・)(ロリコンは知らないわりに『俗っぽい』なんて言葉は知ってるのか……)
-
19 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:09:16 ID:kYas4tNw0
-
(*゚ー゚)「あ、ねえ」
( ・∀・)「ん?」
(*゚ー゚)σ「あれ、例の村長じゃない?」
/ ,' 3
(;#゚;;-゚)" ビクッ
( ・∀・)「本当だ。散歩でもしてるのかな?」
(*゚ー゚)「雨の中ご苦労ね」
(;# ;;- )o"「……」ギュッ
( ・∀・)「でぃ、そんなに引っ張ったら僕の着物の裾が伸びちゃ……」
:(;# ;;- )o: ガタガタ
(;・∀・)「……でぃ!?」
(;*゚−゚)「でぃちゃん!? 大丈夫!?」
:(;# ;;- ):「……だ、大丈夫……」
(;*゚−゚)「どう見ても大丈夫じゃないわよ」
(;・∀・)(そうだった、でぃは荒巻に奴隷にされてたんだった……)
(;・∀・)(それに、でぃに直接手をかけたのは荒巻だ……!)
(;*゚−゚)「ど、どうするの、モララー」
( ・∀・)「しぃはでぃと一緒に僕の本殿に戻って待ってて。着物は僕が用意してくる」
(;*゚−゚)「分かったわ。行きましょう、でぃちゃん」
:(;# ;;- ):「は、はい……」
-
20 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:10:03 ID:kYas4tNw0
-
(;*゚−゚)「でぃちゃん、大丈夫?」
(;# ;;- )「大丈夫……です」
(;*゚−゚)「ここにいれば安心だから。すぐにモララーが帰ってくるわ」
(;# ;;- )「はい……」
(;*゚−゚)「……」
(;# ;;- )「……」
(;*゚−゚)(何かもっと……気の利いた話題……)
(*゚ー゚)「……ねえ、モララーについてどう思う?」
(;#゚;;-゚)「……モララー?」
(*゚ー゚)「そう、モララー」
(#゚;;-゚)「……優しい……」
(*゚ー゚)「そうね、とっても優しいわ。甘すぎるとも言えるけど」
(*゚ー゚)「ちょっと頼りないとこあるけど、モララーはいい奴よね」
(#゚;;-゚)「……はい、わたしもそう思います」
(*゚ー゚)「モララーは頼りない、と?」
(;#゚;;-゚)「そっちじゃないです……」
(*゚ー゚)「じゃあ、頼りがいがあるって思う?」
(#゚;;-゚)「……」
(*゚ー゚)「正直ね」
(;#゚;;-゚)「何も言ってないです……」
-
21 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:10:32 ID:kYas4tNw0
-
壁|;・∀・)"「ただいま! でぃ大丈夫!?」ニュッ
(#゚;;-゚)「うん。もう平気」
(*゚ー゚)「着物は用意できたの?」
( ・∀・)「うん、用意してきたよ」
(*゚ー゚)ノシ「じゃあ私が着付けを手伝うわ。男は出ていきなさい。シッシッ」
壁|;・∀・)))「言い方……出ていくけどさ」
-
22 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:11:08 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「まだかなまだかなー」
壁| < モララー、いいわよー
壁|・∀・)"「はいはーい」ニュッ
(#゚;;-゚)
(*・∀・)「あっ、でぃ似合ってる!」
(*゚ー゚)「……モララー」
(*・∀・)「うん?」
(*゚ー゚)「アンタやっぱりロリコン?」
(;・∀・)「え、なんで!?」
(*゚ー゚)「これ、ミニ丈の浴衣じゃないの。幼女の生脚目当て?」
(;・∀・)「このくらいの年頃の女の子なら、短い丈が好みだと思ったんだけど……」
(*゚ー゚)「……馬鹿ね、モララー」
(*゚ー゚)「でぃちゃんの脚、傷や痣だらけじゃない」
(;・∀・)「……!」
-
23 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:11:43 ID:kYas4tNw0
-
(*゚ー゚)「気付かなかったの?」
(;・∀・)「気付かなかった……」
(*゚ー゚)「いくら脚が死装束で見えなかったとしても、顔や手に怪我があるんだから想像できたはずよ」
(;・∀・)「ごもっともです……」
(*゚ー゚)「だからアンタはダメなのよ」
(;・∀・)「返す言葉もございません……」
-
24 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:12:29 ID:kYas4tNw0
-
(#゚;;-゚)(短い着物……)
(#゚;;-゚)(お花の柄……)
(*#゚;;-゚)「かわいい……」ポソッ
(*#´;;-`)「こんなにかわいい着物初めて……」
(;・∀・)σ「! しぃ! でぃ本人が気に入ってるぞ!!」
(;*゚Д゚)そ「え、嘘!?」
(;・∀・)「そんなに驚く?」
(;*゚−゚)「えー……私だったらミニ丈なんて絶対着ないし……」
( ・∀・)「しぃの脚ムッキムキだもんね」
(*゚ー゚)「うるせえよ」
-
25 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:13:02 ID:kYas4tNw0
-
(*゚ー゚)「でぃちゃんが気に入ってるなら、私には何も言えないわね。
じゃあ、私そろそろ帰るわ」
( ・∀・)「あれ、帰っちゃうの?」
(*゚ー゚)「ええ。また遊びに来るわ」
( ・∀・)「はーい」
(#゚;;-゚)ノシ
(*゚ー゚)「……モララー、もう村人が生贄を捧げたりなんてこと無いようにちゃんとやりなさいよ」
(;・∀・)「はい……」
壁|*゚ー゚)ノシ ))「じゃあね」
壁|「……なんかあったらちゃんと頼りなさい。力になるから」
( ・∀・)「……!」
-
26 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:13:45 ID:kYas4tNw0
-
( ・∀・)「……しぃはちょっと口が悪いけど、優しくていい奴だよね」
(#゚;;-゚)「わたしもそう思う」
( ・∀・)「不器用なんだよねー」
壁|*゚ー゚)「……うるさいわよ」
( ・∀・)「帰ってなかったんかい」
壁|*゚ー゚)ノシ「うるさいうるさいうるさい」ペチペチ
(;・∀・)「痛い痛い!! 音の割に一撃一撃が重い!!」
(#゚;;-゚)(しぃさん照れてる……?)
壁|*゚ー゚)ノシ ペチペチペチペチ
(;・∀・)「痛い! 痛い! ぼろ雑巾になる!!」
-
27 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:14:45 ID:kYas4tNw0
-
*
ξ゚听)ξ「ねぇ、アンタ」
( ^ω^)「どうしたお?」
ξ゚听)ξ「こんなところに祠なんてあったかしら?」
( ^ω^)「お? 見覚えはないおね……」
ξ゚听)ξ「誰かが勝手に作ったのかしら?」
( ^ω^)「ここ、神社の敷地内だお。そんなことしたらモララー様が怒っちゃうかもしれないお」
ξ゚听)ξ「そうよね……。じゃあ前からあったのかしら……」
( ^ω^)「僕たちが気づかなかっただけで前からあったのかもしれないお」
ξ゚听)ξ「そうね。……それにしても、酷く不恰好な祠ね。なんだか気味が悪いわ」
( ^ω^)「だおね……。もう行こうお」
ξ゚听)ξ「ええ」
-
28 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:15:19 ID:kYas4tNw0
-
「……行ったか」
二人の男女の背中を見送る。
周囲に誰もいないことを入念に確認し、村人──フィレンクトはそっと茂みから抜け出した。
(‘_L’)「さて……」
フィレンクトは歪な祠へと目を向け、歩き出す。
その目に恐怖と憐憫を滲ませて。
.
-
29 名前: ◆MiP3CC60hw[] 投稿日:2017/08/25(金) 21:16:20 ID:kYas4tNw0
-
*
( ^ω^)人「モララー様、おはようございますお」
ξ゚听)ξ人「今日も一日、お守りください」
/ ,' 3「……」
この若い夫婦は、毎朝神社前を掃除し、拝んでいる。
毎日欠かさずにお供え物を持ってくることもあり、信心深いことで有名な二人だった。
/ ,' 3(……馬鹿らしい)
フッ、と鼻で笑う。
何が神様だ。何がモララー様だ。
信じる者は救われるだなんて、どこの頭がおめでたい馬鹿が言い出したのだろうか。
モララー様だなんだと言って神社まで足を運ぶ村人たちは騙されているのだ。
実体のない偶像を盲信する馬鹿共だらけだ。
/ ,' 3(神なんて、存在しない)
/ ,' 3(神がいるなら、信じる者は救われるのなら……)
/ 3(救われるの、なら……)
存在もしない神などに村人が毒されている現状が許せない。
儂が目を覚まさせてやらなければ。
何よりも、あいつのために。
其の壱 了