('A`)人生は選択だ!のようです
第7話



202 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:18:07 ID:l65l8oyQ0
【0】

(;^ω^)「クール様……」


ドクオの家に帰って来て早々、ブーンが切迫とした表情で居間に居座っている。
私は彼にただならぬものを感じ、すぐに彼のもとへと歩み寄る。


川;゚ -゚)「……どうした?」

(;^ω^)「……お話が、ございます……それも、大事なお話です」


暫しの、沈黙。
心なしか空気は熱気を帯び、彼の口から発せられる言葉を急いているような、
そんな気配が辺りに漂う。


川; - )「まず、待て……」


しかし、何事にも心の準備というものが必要だ。
私はブーンが急ぎ言わんとしているのを抑える様に手で遮り、大きく深呼吸をする。

そして、一言。


川 ゚ -゚)「そういうのは、パスタを食べてからにしようぜ!」

( ^ω^)「はいですお!クール様!」

('A`)「……」

203 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:18:56 ID:l65l8oyQ0

「たらこパスタ……お待ちどうさま……」


∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵



        ('A`)人生は選択だ!のようです 第7話



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204 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:19:43 ID:l65l8oyQ0
【1】

川*゚ -゚)「うむ!茹ですぎだが不味くはないな!!」ズゾゾー!

(*^ω^)「流石市販品のパスタソースは格が違うお!!」ハムッ!ハフッ!

('A`)「お前ら……少しは自重ってものをだな……」


金を下ろした帰りにスーパーに寄り、これ以上食費を削ら(れ)ないようにと
自炊のための食材を買ってきたのだが、まさかのそれが裏目に出た
よりにもよってブーンが不法侵入していた挙句、ウチのメシをかっ食らうハメになるとは

汚い食い方をする二人に呆れて食欲が急激に落ちていく俺
つーかクール、パスタはすする食べ物じゃないってお前の親から教わらなかったのか?


(;'A`)「……こいつら、マンドクセ」ハァ


俺は自分の分のパスタをラップで包み、冷蔵庫の中へと放り込むように入れる
自炊が久々とはいえ、引からびたレモンしかなかった庫内が食材で潤ってるのは懐かしむものがある
そういえばこの都会に来た当初は、いろいろ頑張って自炊とかしてたっけな


('A`)「あの頃の俺、どこ行ったんだろうなー……」


あれから3年以上が経過して、生活に慣れてくると何もかもが面倒になって、今の自堕落的な俺がいる
一人暮らしに憧れていたあの頃の気持ちに戻れるなら戻りたいところだ、と思いつつ冷蔵庫を閉める

205 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:20:24 ID:l65l8oyQ0

川 ゚ -゚)「ご馳走様〜」

(;^ω^)「ご、ご馳走様でしたお、ドクオ」


居間に戻ると、せっせとテーブルを片づけるブーンの姿と横になるクールの姿があった
普通客人がくつろぐ方だよな?と首を傾げつつ、ブーンがまとめた食器を俺に渡してきたので受け取る


(;^ω^)「すまんお、なんかノリで無礼を働いて」

('A`)「まぁ、うんノリでも謝るなら許すよ……食器もありがとう」

(*^ω^)「おっお!あ、ついでにそこにあったカップラーメン食べてごめんお」

('A`)「訂正、やっぱ許さねぇわ」


食器はとりあえずシンクの上に置き、ブーンがさっき言っていた『大事なお話』とやらを聞きに戻る
居間ではやけにしょんぼりとしたブーンの背中が見えたが、自業自得なので無視して座る

206 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:21:14 ID:l65l8oyQ0

川 ゚ -゚)「それで?さっき言っていた『大事なお話』とはなんだ?ブーンよ」


クールもそれが気になっていたのか、起き上がって俺よりも先にブーンに聞く
今までしょんぼりしてたブーンも思い直したように顔色を変え、どこか落ち着かない様子で話し始める


(;^ω^)「そ、それが……最近、ソーサク血戦に使われるカードが、クール様の部屋から盗まれたんですお」
  _,
川 ゚ -゚)「……何?」


途端に、クールが眉をひそめて真剣な表情になる
クールはそのままブーンに「続けろ」とだけ返す、こんな顔をする彼女は初めてだ


(;^ω^)「盗まれたカードの数は現在調査中ですけど、恐らく相当数盗まれたはずですお」

川 ゚ -゚)「ロマネスクはどうした?」

(;^ω^)「なんでも『とぅえんてぃーふぉー』とかいうドラマを見ているそうで……」
  _,
川 ゚ -゚)「チッ、あの猫ジジイ……こういう時ばかり使えない奴だ」

川 ゚ -゚)「仕方ない、私は一度天界に帰るぞ」

(;^ω^)「あ、待って下さいお!」

207 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:21:55 ID:l65l8oyQ0

クールは立ち上がり、何の準備もせずに俺の部屋を出ていく
ブーンも慌ててそれについて行こうとしていたが、俺はそれをなんとか手で引き留めた


('A`)「ちょっと待てよブーン、一体全体どうなってるんだよ?」

(;^ω^)「クール様!……行っちゃったお……もう」

('A`)「すまないな、でもこっちも説明してもらわないと訳が分からないんだ」

( ^ω^)「……それもそうだおね、どうせクール様はすぐここに戻ってくるだろうし、説明するお」


俺は手を離し、ブーンは座りなおすと、今天界で起こっていることを順番に説明を始めた

どうやら、天界で盗みが起こったらしい
どんなに些細でも悪い行為は天界の奴らの中では御法度らしく、見つかると『人間』になるか、地獄に堕ちるようだ

で、そういうのを見つける役目を担っているのが探索の神様である『ロマネスク』という神様だが、
人間界の刑事や探偵モノのドラマが大好きらしく、一度見始めると早々には動こうとしないし部屋にも通さないらしい


('A`)「つーか、なんで探索の神様がそんなドラマ好きなんだよ、犯人すぐ分かるだろーに」

( ^ω^)「何でもテレビの中じゃ理不尽な理屈が通ってることが多くて、犯人が早々に分からないそうだお」

('A`)「……『24』は何時から見てるんだ?」

( ^ω^)「お?最近シーズン1見終わったらしいお?」

(;'A`)「全シリーズ見終わるまで最低1週間以上必要じゃねぇか、そりゃ動かねぇわ……」ハァ

208 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:22:45 ID:l65l8oyQ0

('A`)「で、どうしてクールが天界に帰ったんだ?」

( ^ω^)「クール様はロマネスク様を動かせる唯一の神様だからじゃないかお?」

('A`)「……どうやって動かすんだよ」

(*^ω^)「……おっぱい見せるんだお」ボソ

(;'A`)「エロジジイじゃねぇか!!」


なんという自由奔放な天界事情、つーかそれこそ罰せられるべきだろ
どうやらエロはどの世界でも偉大で寛大というわけだ
俺はため息を一つしてから、服を着替えなおす


('A`)「……たく、天界ってのは良いんだか悪いんだかわかったもんじゃないな」ハァ

( ^ω^)「お?どこか出かけるのかお?」

('A`)「ん、ちょっと散歩にな……」

209 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:23:39 ID:l65l8oyQ0

俺はカードの影響が極力大きいものにならない様に外に出かけることにした
それに今クールは乳房を見せることに忙しいだろうし、
もしかしたら自分で選択できるんじゃないかという思いがあったからだ

外は日が沈み始めて暗くなってきているし、
何かしらイベントが起こった後に帰って来て寝るのもアリだろう

服を着替え、小さな財布をポッケに突っ込んで準備完了だ


('A`)「ブーン、あんたは来るか?」

( ^ω^)「お、頼まれた以上僕もついて行くお!」

('A`)「頼まれたって、誰にだよ」

( ^ω^)「こっちの話だお」


変なことを呟くブーンに首を傾げながら、俺たちは家を後にした

210 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:24:20 ID:l65l8oyQ0
【2】


('A`)「さてと、どこに行くかな〜」

手をブラブラさせながらどこに行こうか考える
今までの感じだと人とのトラブルが多いから、
人がそこそこいる場所に行けばさっさとフラグ回収できるだろう


('A`)「今の時間ならゲーセンかな……」


ゲーセンなら暇も潰せてトラブル待ててまさに一石二鳥だ、
『トラブルを待つ』のが果たして良いことなのかは分からないが、とにかくゲーセンに向かおう


( ^ω^)「おっお、ゲーセンに着いたらブーンとスポWするお」

('A`)「お、言ったな?俺はこの地域の中じゃ上位に食い込む実力だぜ?」

( ^ω^)「ふっふっふ、『天界の貴公子』と言われたブーンを舐めんじゃねぇお」

('A`)「ん?……天界にもスポWってあるのか?」

( ^ω^)「あるお?ネットワークも繋がってるお」

(;'A`)「マンドクセ、もうツッコまねぇぞ……」


『天界の貴公子』?はて、どこかで聞いたことがあるような
ちょっとしたシコリのような疑問はゲーセンに着くまで消えなかったが、このあと強烈に思い出すことになる

211 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:25:05 ID:l65l8oyQ0

(*^ω^)「さぁ、着いたおドクオ!スポWするお!」

(;'A`)「お、おい良い年したオッサンが走るなって」


ゲーセンに着くなりスポWのある場所まで一直線に駆けるブーン
道中ぶつかりそうになったカップルや高校生に軽く謝りつつ、俺もスポWに座る


('A`)「さて、行くぞブーン……ん?」

(;゚A゚)「……ンん!?」


コインの投入口に100円を入れようとした矢先、デモ画面に釘づけになる俺
いつもは流してみるだけだったランキングボードの中に、その名前が刻まれていた


『天界の貴公子』

…………世界ランキング、第3位の、称号が


「……?ドクオー、早くキャラを決めるおー!」

(゚A゚)「ア、アア、イマキメルヨー」

212 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:26:40 ID:l65l8oyQ0
・・・・・・


……完敗だ

ブーンがノリに乗って10回ほど対戦をしているが、完全試合がその内6割を占めていた
対戦キャラと相性が良いと言われている俺のマイキャラは、常に画面端に追い込まれていた


(*^ω^)「いやぁwwwまた勝っちゃったおwwwww」


   ワー! ワー!
                            「すげぇぇぇまたパーフェクトだああぁぁ!!」

「流石『天界の貴公子』!格が違うぜ!」               キャー! キャー!

             「おい頑張れ『這い寄る漆黒』wwwwww」

『おーっとここで『天界の貴公子』、またまたパーフェクトだー!』

(゚A゚)「モウカンベンチテ……」 \ゲームオーバー/


そして今もなお継続して戦い、栄えある11連敗目を獲得した
外はもうすっかり暗くなっているというのに、スポWの周りだけが真昼のように賑やかだ
いつの間にか店員が実況を交えており、トークが上手いこともあってかなり白熱していた

213 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:27:33 ID:l65l8oyQ0

(*^ω^)「おっお、まさかドクオが全国ランク58位の『這い寄る漆黒』だとは思わなかったお!」

(;'A`)「皮肉か?皮肉と捉えて良いんだな?」


強すぎる、強すぎて手も足も出ない
いつもならこういう相手に当たった時、もう諦めていただろう


「おい、もうお前下りて他のプレイヤーに代われよwww」

( A ) ピクッ


誰かは分からないが、交代の合図を俺に指図してくる


「そうだ、俺に代わってくれよ!俺も『天界の貴公子』と戦いたいんだってwwww」

「俺も俺もwwww全国どころか県外レベルだけどwwww」


状況が状況だからかもしれない
だけど俺は、多分久々に、カードの選択もなく、


( A )「……るよ……」

「あ?」

214 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/08/25(日) 04:28:13 ID:l65l8oyQ0

その時の俺は。





(#゚A゚)「『天界の貴公子』!!てめぇぶっ飛ばしてやるよ!!」





心の底から、【怒り】と【悔しさ】が湧き上がってきたんだ。



第7話 「格ゲーラプソディー 前編」 続く



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