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120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:26:20.12 ID:oUxuTfUO0
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川 ゚ -゚)「(とりあえず……だ)」
川 ゚ -゚)「(いきなり完全無罪を立証するのは、ムリ。うん)」
川 ゚ -゚)「(一方で、ハンパなことをいちいち言ってたら、今度こそ遅延行為とみなされる)」
川;゚ -゚)「(……チエンが目的だってのにこれがケネンされちゃあ、本末転倒だな)」
川 ゚ -゚)「(それはいいとして……)」
(=゚ω゚)ノ「はやくするよぅ」
川;゚ -゚)「い、いま言う! 言うから!」
(=゚ω゚)ノ「……」
川 ゚ -゚)「(……そうだ!)」
川 ゚ -゚)「( “被告人にこの犯行はムリがあった”……とりあえず、コレでいこう )」
川 ゚ -゚)「(……考えながら)」
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122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:28:28.52 ID:oUxuTfUO0
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川;゚ -゚)「犯行において重要となるのは、やはりその “弾丸の軌跡” だ」
(=゚ω゚)ノ「被害者がベランダに向かって逃げようとしたのを、弾丸は追いかけているよぅ」
川;゚ -゚)「しかし、よく考えてほしい」
(=゚ω゚)ノ「なにがだよぅ?」
川;゚ -゚)「これは、廊下からリビングに入ると同時に撃たれた、と見ていいのだな?」
(=゚ω゚)ノ「そうしないと、花瓶が割れたことに説明がつかないよぅ」
川 ゚ -゚)「…?」
言われて、クールはもう一度 『上画面』 を見た。
確かに、この「玄関前の廊下へ」とある矢印からでは、
この花瓶は冷蔵庫が障害物となって弾丸の軌跡にあわせることができない。
そのため、検察側は「リビングに入ろうとしたとき発砲した」と主張したのだろう。
リビングに差し掛かるところからなら、花瓶はぎりぎりではあるが撃つことができる。
それをクールもようやく理解することができた
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124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:30:23.57 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「犯行場所がいささか特殊な気もするけど、
. 被告人はとにかく殺意に急かされていた、と考えればありえないことでもないよぅ」
(=゚ω゚)ノ「ほんとうはリビングに入ってから殺そうと思っていたけど、
. そこに至るまでの会話で殺意に満ち、リビングに入るところで射殺……
. なにもモンダイはないよぅ?」
川 ゚ -゚)「ああ」
(=゚ω゚)ノ「じゃあ、もうおしまい、でいいかよぅ?」
川 ゚ -゚)「え? あ……」
川;゚ -゚)「――待て! 違う!」
(=゚ω゚)ノ「? しかし、この弾痕はモンダイない、と弁護側は認めたよぅ?」
川;゚ -゚)「あ、ああ……(くそ! クチが滑ってしまった!)」
川;゚ -゚)「……た、…確かにモンダイないさ」
川;゚ -゚)「 “その弾痕は” ……な」
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126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:33:15.98 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「? じゃあ、ソファーのほうの弾痕にモンダイがある、と言うのかよぅ?」
川;゚ -゚)「(言わないよ!)」
川 ゚ -゚)「そうだ! よく考えてみろ、伊予いよう検事!」
クールは真っ白な脳を一生懸命回転させつつも、机をバンと両手で叩いた。
ここに、クールの意識は介されていなかった。
川 ゚ -゚)「この、第二の弾痕!」
川 ゚ -゚)「それが、ソファーの位置に残るのはおかしい!」
――大きな声を発しつつ、クールは指をいように突きつけた。
しかし、当のいようはきょとんとしただけだった。
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127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:35:15.72 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「…え?」
川 ゚ -゚)「この弾痕は、被害者――猫乃ギコの後頭部を貫いた上でできたのだな?」
(=゚ω゚)ノ「そ、そりゃそうだけど……」
(;=゚ω゚)ノ「―――あッ!!」
( ;><)「あ、あれ!?」
川;゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「……え?」
(*゚ー゚)「……まさか、いまの、全部ハッタリですか?」
川 ゚ -゚)「むろん」
(;*゚ー゚)「……」
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131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:36:42.14 ID:oUxuTfUO0
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とたんに顔色を変えたいようとワカンナインデスを見て、今度はクールがきょとんとした。
それを察知したのか、しぃは呆れたような顔を浮かべる。
いっそう、クールはわけがわからなくなった。
( ´∀`)「ど、どういうことですかな?」
(;=゚ω゚)ノ「……ソファーの弾痕の位置は、足元から四、五十センチもないところに発見されたよぅ」
(;=゚ω゚)ノ「一方の被害者の身長は、百七十センチはあるよぅ。弾痕は、その…… “後頭部” !」
川 ゚ -゚)「?」
川 ゚ -゚)
川;゚ -゚)「―――あッ! 確かに!」
(=゚ω゚)ノ「え?」
( ><)「え?」
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132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:40:09.27 ID:oUxuTfUO0
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川;゚ -゚)
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「――、確かに、被告人は背が低い」
川 ゚ -゚)「だからこそ―――」
川 ゚ -゚)「この弾丸の軌跡を作り出すのは、“不可能” なのだよ!!」
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134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:41:48.41 ID:oUxuTfUO0
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( ;´∀`)「! ほんとうです! これはどういうことですかっ!」
川 ゚ -゚)「困るのだよ、常に犯行当時の動きを頭に入れてもらわないと」
(;=゚ω゚)ノ「き、気づかなかったよぅ……」
川 ゚ -゚)「フン」
(*゚ー゚)「……罪悪感、ありますか?」
川 ゚ -゚)「少しは」
そう言って、クールはもう一度、『上画面』 を見た。
いや、それが『上画面』だからこそこのことに気づかなかったのだ、とクールはたった今わかった。
ギコがいようほどの――百六十ほどの背丈だったとしても、この弾痕はおかしかった。
ソファーの着弾点とギコの銃創をつなぐことでできる直線、これの直線上にしぃの手がなければならないのだ。
まして、しぃの身長は百五十と少しである。
とても、この弾丸の軌跡を自然につくりだせるとは思えなかった。
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136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:43:22.14 ID:oUxuTfUO0
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川 ゚ -゚)「……つまり」
川 ゚ -゚)「犯人は、被告人ではありえな――」
(=゚ω゚)ノ「――いことは、なかったよぅ」
川;゚ -゚)「…え?」
クールが、露骨に動揺する。
(=゚ω゚)ノ「まず、問題となるのは “被害者の銃創と凶器との距離” だよぅ」
(=゚ω゚)ノ「離れていれば離れているほど、拳銃の打点は高くないとだめだよぅ」
川;゚ -゚)「そ、そうだ。だから、背の低い被告人には――」
(=゚ω゚)ノ「でも、拳銃を高くかかげて撃てば、問題ないんだよぅ」
川;゚ -゚)「い、異議あり! それでも、ソファーの弾痕と銃創の高低差からすると、
. 被告人の場合、手を伸ばすどころか背伸びをしても届かないと思われる!」
(*゚−゚)「……身長、気にしてるのに」
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143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 21:56:02.77 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「それは、被害者と加害者との間にキョリがあったら、だよぅ?」
川;゚ -゚)「どういう意味だ?」
(=゚ω゚)ノ「実を言うと、“被害者と加害者のキョリが近かった” ことを証明するデータがあるんだよぅ」
川;゚ -゚)「……なに?」
クールは嫌な予感がした。
とても、いようのこの口ぶりは、自分が先ほどしてみせた
「ハッタリ」とは違い、ちゃんと根拠を備えた者の見せるものであるように見えたのだ。
つまり、確かにあるのだ、その「データ」とやらが。
裁判長もそう思って、「ほう」と関心を示すような声を発した。
( ´∀`)「それは話が早い。提出してもらいましょう」
(=゚ω゚)ノ「 『解剖記録』 の、追加だよぅ」
川;゚ -゚)「 『解剖記録』 ……だと?」
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146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:00:30.25 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「そうだよぅ。今朝になっていきなり、VIP県警から届いたんだよぅ」
(=゚ω゚)ノ「最初は『どうしてこんなデータがいるのだ』と思ってたけど……
. ひょっとすると、彼はこれを予測して送ってくれたのかもしれないよぅ」
川;゚ -゚)「どんなデータだ!」
中途に焦らされ、クールはその「データ」に食いついた。
いようは相変わらずの様子で、その「データ」を提示した。
(=゚ω゚)ノ「簡単だよぅ。被害者の頭部と服の襟元から、硝煙反応が確認されたんだよぅ」
川;゚ -゚)「硝煙反応……」
( ´∀`)「受理します」
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149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:04:09.93 ID:oUxuTfUO0
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『解剖記録』 に新たなデータが、追加された。
それを見て、しぃは不思議そうな顔をした。
(*゚ー゚)「ショーエン反応?」
川 ゚ -゚)「……発砲したときに、近くにその痕跡が残るんだ。
これが見つかった、ということは、その近くで発砲がされた、という証明につながる」
(=゚ω゚)ノ「そうだよぅ。それから、次のようなことがわかったんだよぅ」
(=゚ω゚)ノ「 “加害者は被害者のすぐ近くから発砲した” 、と」
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152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:07:04.25 ID:oUxuTfUO0
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( ´∀`)「しかし……これがわかったところで、いったいなにが……」
(=゚ω゚)ノ「裁判長、弁護側の主張をまとめると、こうだよぅ」
(=゚ω゚)ノ「 “銃創とソファーの弾痕から、
. 被告人の身長ではこの弾丸の軌道を生むことはできなかった” 」
( ´∀`)「……!」
(=゚ω゚)ノ「でも、このデータがあるから、“別に不可能ではなかった” ということが新たにわかったんだよぅ」
(=゚ω゚)ノ「手を上に伸ばせば、被告人ほどの背丈でも充分犯行が可能だったと思われるよぅ」
( ´∀`)「確かに。それもそうですな」
裁判長の心証が、検察側に傾く。
クールの焦燥はいっそう強まった。
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155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:09:59.12 ID:oUxuTfUO0
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川;゚ -゚)「異議あり! 可能不可能以前に、おかしいではないか、この状況だと!」
(=゚ω゚)ノ「なにがだよぅ?」
川;゚ -゚)「どうして、いちいち被告人が手をあげて発砲しなければならなかったのだ!」
(=゚ω゚)ノ「そのことだけど、よく考えてみるよぅ」
川;゚ -゚)「…?」
いようが神妙な口ぶりで言う。
(=゚ω゚)ノ「もしふつうの――二人ともが立っていた状況で発砲をしてみるとよぅ?」
(=゚ω゚)ノ「窓が割れて、周囲の人に殺害がすぐにばれてしまう危険性が生まれるよぅ」
川 ゚ -゚)「…」
川;゚ -゚)「……!」
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156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:11:53.60 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「窓がいきなり割れた……それだけで、充分異常な出来事だよぅ。
. 野次馬が一人でも来てしまえば、逃げることすらできずに終わってしまうよぅ」
(=゚ω゚)ノ「だから被告人は、わざと高いところから撃つことで、
. 着弾点を室内にとどめておく必要があったんだよぅ」
川;゚ -゚)「………ッ」
( ´∀`)「弁護人、いかがですかな。
確かに、腕を掲げて発砲――とは珍しいことのようですが、
現状を考えるとむしろこちらのほうが合理的、とも捉えられますよ」
川;゚ -゚)「……」
――現状では、それは可能だった。
また一方で、そうしなければならない理由も提示された。
――これは、「モンダイなし」でいいのだろうか。
クールは一瞬、その点で悩んだ。
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157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:14:04.07 ID:oUxuTfUO0
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しかし。
川;゚ -゚)「……モンダイあり、だ」
なにがどうであれ、彼女はとにかく認めるわけにはいかないのだ。
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160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:15:45.19 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「なにがだよぅ」
川;゚ -゚)「(……冷静になって考えてみれば、だ)」
川;゚ -゚)「(突き詰めると、疑問は “どうしてそんなことを” になるんだ)」
川;゚ -゚)「そもそも、そこまで後頭部に執着する理由がないのだよ」
(=゚ω゚)ノ「……?」
川;゚ -゚)「一度、足でも撃って動きを止める」
川;゚ -゚)「そうしてから撃つほうが “合理的” ではないのかな?」
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162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:17:23.42 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「……被害者は、ベランダから逃げ出そうとしていた。
. だから、速く動かされる足を狙うのは難しいと咄嗟に判断したんだと思うよぅ」
(=゚ω゚)ノ「それに、検察側は “合理性” にはいっさい触れてないよぅ。
. 裁判長が勝手に言い出したことだよぅ」
( ;´∀`)「ほ!」
(=゚ω゚)ノ「非合理であろうが不条理であろうが
. “起こりえた” し “起こさざるを得なかった” し、そして “実際に起きた” んだよぅ。
. また、現状ではそうするしか方法がなかった、となっているよぅ」
(=゚ω゚)ノ「これが可能で理由付けもできた以上、
. それを否定するのに “合理性” を用いるのはいささか勉強不足だよぅ、弁護人」
川;゚ -゚)「……くッ…」
――そのとき、クールは、伊予いよう検事の本質をかいま見たような気がした。
たとえひょろひょろとした男性であっても、検事として働いて、ある程度のキャリアは積んでいるのだ。
新米ごときの自分が、しかも無根拠のハッタリで――と、あらためて、自らの劣勢をクールは感じた。
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165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:19:07.70 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「……以上だよぅ」
(=゚ω゚)ノ「もう、“検討” はおしまいかよぅ?」
川 ゚ -゚)「……検討?」
(;=゚ω゚)ノ「自分で言ったじゃないかよぅ!」
川 ゚ -゚)「……んー…、……あ、そうだな」
(=゚ω゚)ノ「頼むよぅ…ったく」
川 ゚ -゚)「……」
川;゚ -゚)「(ほかに、“情報が足りていない証拠” ……か)」
いようが寛大である今のうちに、とクールはもう一度証拠品のリストを見やった。
先ほどと何ら変わらぬ、やはり依然しぃの有罪を立証するかのようなものばかりだ。
――しかし、「まだ充分に審議が交わされていない証拠」があれば、
クールは、いようの言葉をヒントにそう考えた。
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166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:20:46.28 ID:oUxuTfUO0
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川 ゚ -゚)「(審議……)」
川 ゚ -゚)「(なにかないだろうか……)」
川 ゚ -゚)「…あ!」
(=゚ω゚)ノ「なんだよぅ? 降参かよぅ?」
川 ゚ -゚)「まだ、充分な審議を交わされていない証拠品があるではないか!」
(=゚ω゚)ノ「なんだよぅ、聞かせてほしいよぅ。こっちとしても、万全を期しておきたいよぅ」
いようの言葉を聞いて、クールは、びしっと指を突きつけた。
わざわざそんな所作を挟む必要は皆無に近いのだが、
この場に、それを注意する人は誰一人としていなかった。
川 ゚ -゚)「簡単だ」
川 ゚ -゚)「 『解剖記録』 だよ」
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168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:22:44.38 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「? さっきの硝煙反応について、かよぅ? さっき説明したよぅ。
. 被告人が弾丸を室内にとどまらせるために――」
川 ゚ -゚)「違う。 “打撲” だ」
(=゚ω゚)ノ「打撲……」
( ´∀`)「そういえば、私も先ほどから気になっておりましたぞ。
なんですかな、この “打撲” とは」
(=゚ω゚)ノ「刑事」
( ><)「やっとしゃべらせてもらえるんです……」
悲しげな顔を浮かべているワカンナインデスに、いようは説明を促した。
これは検事よりも実際に捜査した刑事のほうが証言に信憑性を持てるためだ。
( ><)「その打撲ですが、事件と関係あるかは不明なんです。
ただ、大きなたんこぶと痕が残るほど患部を強く打っており、
またそれはできてまもない打撲だろう、と検死官も言ってたんです」
( ><)「だから、ひょっとするとどこかで転んで――って可能性も、否めないです」
川 ゚ -゚)「(これは……来たか?)」
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170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:24:46.52 ID:oUxuTfUO0
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川 ゚ -゚)「異議あり! そんな『転んだかもしれない』などと憶測で語られては、 困 る ッ ! ! 」
( ;><)「こ、困るだけで異議を申し立てないでください!」
川;゚ -゚)「う……すまない」
(=゚ω゚)ノ「しかし、その考えは正しいよぅ」
( ´∀`)「ということは、検察側にはそれを証明するすべがある、と?」
( ´∀`)「 “この打撲は事件と関係ない” ……そう言える、証拠でもある、とか」
(=゚ω゚)ノ「そのことなんだけどよぅ」
( ´∀`)「?」
(=゚ω゚)ノ「実は、事件当日、被害者に会ったのは被告人だけではないんだよぅ」
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176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:34:46.57 ID:oUxuTfUO0
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( ´∀`)「な、なんと!」
川;゚ -゚)「なに!?」
(;*゚ー゚)「えっ…?」
いようの、突然の言葉を聞いて、法廷内はざわめいた。
パン、パン、と裁判長が手を叩く。
しかし、騒ぎたくなる気持ちは裁判長も同じだった。
( ´∀`)「して、その人を、どうするつもりで」
(=゚ω゚)ノ「その証人に、額のことを話してもらうよぅ」
(=゚ω゚)ノ「もしそれが事件と無関係なら、最初からこの打撲はあった、ってことになるよぅ」
(=゚ω゚)ノ「それでもし、この打撲が事件と無関係――とわかれば、弁護側は尋問を終える。
. ……それで、弁護側は異議なし、かよぅ?」
川;゚ -゚)「……くッ……。(いい具合に、選択を強いてこられた……!)」
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177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:35:29.99 ID:oUxuTfUO0
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いようはあたかも、クールにチャンスをあげているように思える。
しかし、それは実際は逆であった。
これは、ここで弁護側に無理やり追究を諦めさせる計画を検察側が持ってきた、ということなのだ。
打撲が事件と関係があったところで、被告人が無実になる、というわけでもなさそうである以上
「打撲の追究を許す代わりに、その他の尋問は終わらせる」という条件を提示されたことになる。
クールは、この条件を呑むわけにはいかない。
そうすると、まんまといようの策略にはまったことになるからだ。
だが、それでも
川;゚ -゚)「………」
川;゚ -゚)「……い、……異議なし、…だ」
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179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:36:52.87 ID:oUxuTfUO0
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(=゚ω゚)ノ「そうかよぅ。じゃあ、証人召喚の準備をしたいよぅ」
( ´∀`)「わかりました。じゃあ、情報が多くなってきたことだし、
本法廷はここで、十分の休廷を挟みたいと思います。
弁護側、並びに検察側は今でた情報をまとめ、後半の審理に備えるように」
川;゚ -゚)
それでも、クールはこの条件を、呑むしかなかった。
打撲以外に、彼女が追究できそうなことはなかったから、だ。
もとより、絶望的なしぃの弁護。
だめでもともと、の精神で、クールはその条件を呑むことにしたのだった。
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180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/25(月) 22:37:52.77 ID:oUxuTfUO0
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◆第一話 「逆転のバレンタイン」
つづく
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