(*^ω^)<20minutes challenge!

【肉球祭り】

63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/03(日) 01:27:51 ID:S/FTiyPc0
【肉球祭り】

気がつくと、ボクはその空間に浮かんでいた。

( ・∀・)

真っ白で重力のない場所に、たった一人。
ふよふよ、ふよふよ、漂っている。

( -∀-)

ここに来る前の記憶は無い。
というより、”ここに来る前”なんてあったかどうかも分からないのだ。
それが”自分にとって”なのかも、”自分以外にとって”なのかもわからない。

( ・∀・)(いや、それって違いがあるのかな)

自分がいなければ、自分以外も見えないわけで。
じゃあ、そもそも自分がいなければ自分以外もそこに存在してないのと同じじゃなかろうか。

あまりの退屈さゆえにか、ボクがなんだかわけのわからないことを考えていると、
ふいに”それ”はやってきた。

64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/03(日) 01:29:06 ID:S/FTiyPc0

( ・∀・)(あれは、なんだろう)

真っ白な空間のかなたから、こちらに来るものがあった。
それは丸くて、ピンクだったり、緑だったり、水色だったり……
みんな、そんなやわらかい色をしている。

( ・∀・)(あ、こっちにきた)

近くによってきたそれを、ボクはおそるおそる触ってみた、すると

( ・∀・)<あ、やわらかい

ボクはこのとき初めて”声”というものの実在を知った。

( ・∀・)<キミたちは、なんだろうな……うーん、わからない

ボクのまわりでふよふよしている、いろんな色の”まる”。
それについて考えてもよくわからなかったので、ボクはそれに名前をつけることにした。

( ・∀・)<丸くて、ボクの肉みたいにやわらかい……よし、キミたちは『肉球』だ!

その声を聞いて、まわりの肉球たちが様々な形で動きをみせた。
いろんな色の光を放ちながら、上下左右に動きまわる『肉球』たち。

それを見ていて、ボクは胸の奥がそわそわするような、不思議な感覚を覚えた。
ボクは、それを『楽しい』と名付けた。

65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/03(日) 01:30:22 ID:S/FTiyPc0
それが案外『楽しかった』ので、ボクはもっといろんなものを『名付ける』ことにした。

( ・∀・)<みんなが集まって『楽しい』と思うことは……そうだな、『お祭り』と名付けよう

こんな感じで、ボクは次々と様々なものに名前を付けていった。
『肉球』たちはそれに対し、いちいち動きで反応してくれた。

( ・∀・)<その動きは『喜ぶ』だ、キミの今の動きは『怒る』としよう

『肉球』たちは、自らの行動に『名前』をつけてもらうことをよろこんでいるようだった。
ボクは『肉球』たちが『可愛く』なった。
彼らのためになにかがしたい、と思った。

( ・∀・)<よし、キミたちがもっとすごしやすいように”それ以外”を作ることにしよう。
           ボクがキミたちの行動に『名前』を作ったように。

両手を広げて、ボクは『肉球』たちの中心で踊りはじめた。
踊る『肉球』たちの真ん中で踊るボク。
それはみんなが集まって『楽しい』と思うこと、つまりはまさに『お祭り』だった。

( ・∀・)<”それ以外”のことは『世界』と呼ぶことにしよう。
           さあ、みんな、『世界』を創るよ。そのために―――踊ろう!

―――世界の始まりはこんな『肉球』たちの『お祭り』だった。
      これは、今もVIP地方に伝わっている、創世神話の一部である。

     +おしまい+

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