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77 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/04(月) 00:43:21 ID:tySstdow0
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【考古学者】
春風の渡る草原を、マントに身を包んだ一人の旅人が歩いていた。
(*^ω^)<今日は風が気持ちいいおー
名前は内藤ホライゾン、仲間内ではブーンと呼ばれている。
茶色いマントをはためかせ、旅人が歩いていると、目の前に大きな柱のような建造物が現れた。
( ^ω^)<お……これかお、噂に聞いた「人の住める墓石」
草原の中にどんと鎮座しているのは、ブーンの何倍もの大きさを誇る石の柱。
ずっと昔からここにあるらしいが、
しかしいつ頃からあるのか、なんのために建てられたのかは分かっていない。
( ^ω^)<誰が、なんのために、うーん……見れば見るほどよく分からんお
爪'ー`) <興味があるのかい?
( ^ω^)<お?
不意に石柱に開けられていた”穴”―――おそらくは入口だろう。
から、一人の男が姿を現した。
( ^ω^)<おっお、こんにちは、墓荒らしですかお?
にこやかに話しかけるブーンに、男はこまったように笑った。
爪'ー`) <いや、おれはただの物好きさ。ここで『コウコガクシャ』の真似ごとをしてる。
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78 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/04(月) 00:44:27 ID:tySstdow0
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( ^ω^)<お? 『こーこがくしゃ』?
耳慣れない単語に、ブーンは首を傾げた。
爪'ー`)<ああ、おれもその言葉の意味はよく分かっていないんだ
でも、その言葉の意味が知りたくて、俺はこの「人の住める墓石」について調べているんだ
( ^ω^)<”これ”について調べるのが、コウコーガクシェなんですかお?
ブーンはそういって墓石を見上げる。
こんな無機質で、食べられもしなさそうなものについて調べるなんて、
コウコーなんちゃらとは随分と暇なやつらの集団なのかもしれない。
爪'ー`) <どうかな? ほんとはもっと、”これ”に類するものについて調べたりしていたのかもしれない。
まあ、随分昔にそんなのがいたって聞いて、
真似さえしてれば、おれも『コウコガクシャ』がなんなのか分かるかもしれないと思ってな
( ^ω^)<おー、もの好きな人ですお。それで、なんか分かったのかお?
爪'ー`) <『コウコガクシャ』についてはよくわからんが、この墓石の名前らしきものの名前はわかった
( ^ω^)<ほんとですかお、すごいじゃないですかお!
手を叩いて褒めるブーンに、男は照れたように笑った。
爪'ー`) <これの名前は『ビル』っていうんだと。……でもわかったのはそれだけさ
(*^ω^)<それだけでもすごいですおー
再び褒めるブーンに、しかし男はすこし寂しげな顔をして『ビル』を見上げた。
爪'ー`) <いや、まだまださ。これじゃ、まだおれは『コウコガクシャ』になれない。
( ^ω^)<お?
爪'ー`) <まだ、たくさん知らなきゃならないことがある。そんな気がするんだ
「それがなんなのかは、まだ分からないけど」そう言って男は『ビル』の中に入っていった。
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79 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/04(月) 00:45:30 ID:tySstdow0
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――
―――
しばらくして、旅人は後方の草原で小さくなっている『ビル』をながめた。
( ^ω^)
あの男は、これからさきもずっとあの建物について調べ続けるのだろうか。
調べて、調べて……それには終わりがあるのだろうか?
( ^ω^)
もし、ないのだとすれば。あの男はずっとあの建物の中で暮らし続けるのではないだろうか、
―――それこそ、死ぬまで。
( ^ω^)
(^ω^ )
そこまで考えて、旅人はまた歩きだした。
あの『ビル』というものの正体は、案外本当に『人の住める墓石』なのかもしれない。
そんなことを思いながら。
+おわり+