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239 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/20(土) 02:55:03 ID:/gdch9Lc0
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【非線形時間】
夕暮れの帰り道。
( ^ω^)<お?
幼馴染みと二人で帰っていた少年は、足元に転がっていた『それ』に気がついた。
ξ゚听)ξ<何それ
後ろから聞いてくる幼馴染みに、少年は背を向けたまま答える。
( ^ω^)<紙きれ、みたいだお
少年の手にあるのは、どこにでもあるようなコピー用紙の切れはし。
その表面には活字でこう書かれていた。
( ^ω^)(なんだおこれ、【非線形時間】……?)
書かれている単語の意味がよく分からなかったので、彼は後ろに振り向いた。
( ^ω^)<デレ、これどういう意味だお?
ζ(゚、゚*ζ<ん? なにそれ「ひせんけー」?
聞いてみたはいいものの、自分と成績どっこいどっこいの幼馴染みが、この言葉の意味を知っているはずもなく。
( ^ω^)(お……?)
―――いや、そもそも自分はなんで、このことを幼馴染みに聞こうと思っていたのだったか。
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240 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/20(土) 02:56:55 ID:/gdch9Lc0
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ζ(゚、゚*ζ<ん? ブーン。どうかしたの?
目の前で、首をかしげている幼馴染み。
彼女の頭のできは、自分と同じか、それよりも下のはずだ。
しかし、自分が質問をしようとしたのは、自分よりもずいぶん頭のいい、”誰か”だったような……
ζ(゚、゚*ζ<ブーン?
(;^ω^)ヽ<お? いや、ぼく今日デレと一緒に帰ってたっけって
ζ(゚ー゚;ζ<はい……? なにそれ。
さっき校門で待ち合わせして、ここまでずっと二人で帰ってきたじゃん
言われて彼も、確かにそうだと思った。
記憶の上でもそうなっているようだし、これは気のせいに違いない。
そう彼は思い直した。
( ^ω^)<おっお、ちょっとボケちゃったみたいだお。
どうでもいいけど、これ、一体なんだと思うお?
自分が変な感じにしてしまった空気を取り繕うために、少年は改めて話を戻した。
('、`*川<うーん……『非』線形ってことはさ、線の形をしてないってことなんじゃない?
( ^ω^)<おー? 時間って線なのかお?
('、`*川<や、そうなんじゃない? よく知らないけどさ
( ^ω^)<線じゃない形って……つまり、【非線形時間】ってどんな形なんだお?
('、`*川<線じゃないってことは、点なんじゃない? たぶん
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241 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/20(土) 02:58:28 ID:/gdch9Lc0
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言われて少年は考える。
線の時間が点になるということは、つまりどうなるんだろうか、と。
( ^ω^)(ええと、時間って過去とか未来とかだお?
線ってことはそれが繋がってるってことだから)
(;^ω^)ヽ(点になっちゃうと、それが繋がらなくなるわけで、繋がってない時間……?)
(;∩ω^)ペチ(おー? 繋がってないってことは、そういう時間が一杯あるってことで)
(;∩ω∩)ウーム(それの中で生きてる人、ってのを想像すればわかりやすいのかお)
(;∩ω∩)(ええと、点みたいに散らばってる時間をずっと体験し続けるわけだから)
(;∩ω∩)(点みたいに散らばってる過去や、未来……あ、ひょっとすると現在も一杯あるのかお)
(;∩ω∩)(そういうのが絶え間なく続くのが、非線形時間で生きてる人ってことなのかお?)
(;∩ω∩)(なんだか現在が一杯あるって、自分が誰なのか、分からなくなりそうだお)
しかし、と彼は考える。
そもそも自分が線系の時間に生きているという保証は、どこにあるのだろうか?
(;∩ω∩)(もしも、ぼくが気付かずに、非線形の時間に生きていたとして)
(;∩ω∩)(だとしたら、自分だって一貫性があるとは限らなくて)
(;∩ω∩)(つまり―――)
(;∩ω∩)(吾輩は)
(;∩ωΦ)
(;ΦωΦ)(誰であるか?)
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242 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/20(土) 02:59:49 ID:/gdch9Lc0
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ぺちり、と頭を叩かれた。
(;ΦωΦ)<<痛いであるっ
lw´‐ _‐ノv<顔両手で抱えて、一人でうんうん唸ってるからだよ、ばかもの
顔を上げれば、そこには呆れた顔で笑う幼馴染みの姿があった。
(´ΦωΦ)<む……すまないである。つい物思いにふけってしまって
lw´‐ _‐ノv<何年幼馴染みやってると思ってんのさ、もう慣れっこだよ
「キミは今までに炊いた米粒の数を覚えているのかい?」とか、よく分からないことをいう幼馴染みに、
彼はくすくすと笑う。
lw´‐ _‐ノv<なにさ、コクゾウムシの正面からのショットでも思い出したのかい?
( ΦωΦ)<いや、いつも通りだな、と思って
何を怖がっていたのだろう、と彼は笑う。
自分はここにいるし、彼女もここにいる。
今まで生きてきた『過去』も、これから生きていく『未来』も、
こうやって線で繋がっているし、だから心配する必要なんてなにもないではないか。
そのとき、風が吹いた。
( ΦωΦ)<あ
手に持っていた紙が、風に攫われて飛んでいく。
広がる夕焼け空に舞う、白い紙。
風の中、回転しながら進むそれは、赤い光の中で消えたり現れたりを繰り返し。
やがて、完全に見えなくなった。
+( ω ) 凵@)ξおしまいζ( 、 *ζ( 、 *川+