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43 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 22:57:24 ID:AzMR.20Y0
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───────────────
(´・ω・`)「ねぇ、店主さん」
lw´‐ _‐ノv「へい」
(´・ω・`)「店主さんは、何かを無くした事はありますか?」
lw´‐ _‐ノv「あるよ、たくさんね」
(´・ω・`)「そっかぁ……」
lw´‐ _‐ノv「つかお客さんしょっちゅううちに来ますね」
(´・ω・`)「デレのために色々買ってあげたくて」
lw´‐ _‐ノv「程々にねお客さん、のめり込みすぎないでおくれよ」
(´・ω・`)「ははは、そんな今さら」
lw´‐ _‐ノv「50万のトランクってマジで買ったの?」
(´・ω・`)「うん買った」
lw´‐ _‐ノv「こえー」
(´・ω・`)「えぇー」
-
44 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 22:59:42 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「今日は弟さん居ないんですね」
lw´‐ _‐ノv「え?」
(´・ω・`)「ほら、ガラスケースの」
lw´‐ _‐ノv「あー……まぁ、店に出る事のがまれだからね」
(´・ω・`)「どこが未完成なんですか?」
lw´‐ _‐ノv「んー」
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)(どこなんだろう)
lw´‐ _‐ノv「全部」
(´・ω・`)「全部かぁ……」
lw´‐ _‐ノv「まだまだ」
(´・ω・`)「まだまだかぁ……」
-
45 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:01:11 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「あ、これどうぞ」
lw´‐ _‐ノv「これは?」
(´・ω・`)「お昼ご飯、いつもお店で食べさせて貰ってますからお礼に」
lw´‐ _‐ノv「まぁ良いよ、お客さんはこぼしたり汚したりしないからね」
(´・ω・`)「なのでコーヒーとパンどうぞ、美味しいんですよこれ」
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv「コーヒー飲んだ事無い」
(´・ω・`)「マジで」
lw´‐ _‐ノv「だって苦いんでしょこれ」
(´・ω・`)「そんな小さい子みたいな」
lw´‐ _‐ノv「うるさい」
-
46 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:02:19 ID:AzMR.20Y0
-
lw´‐ _‐ノv「でもありがたく頂きます、ありがとうございます」
(´・ω・`)「あはは、初コーヒーですね」
lw´‐ _‐ノv「はは」
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)「食べないんですか?」
lw´‐ _‐ノv「今はいらない」
(´・ω・`)「なるほど」
lw´‐ _‐ノv「私の事は気にせずどうぞ」
(´・ω・`)「あ、はい、じゃあ失礼して」
lw´‐ _‐ノv「どうぞどうぞ」
(´・ω・`)「いただきます」
-
47 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:03:49 ID:AzMR.20Y0
-
lw´‐ _‐ノv
((´・ω・`)) モグモグ
lw´‐ _‐ノv
((´・ω・`)) モグモグ
lw´‐ _‐ノv グゥゥ
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)「食べないんですか……?」
lw´‐ _‐ノv「い、今は……」
((´・ω・`)) モグモグ
lw´‐ _‐ノv グキュルル
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv
-
48 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:05:25 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)(食べてるところ見られたくないタイプかな……)
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)(無理強いは出来ないし、うーん)
lw´‐ _‐ノv グゥゥゥ
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)「弟さんってどんな子なんですかね」
lw´‐ _‐ノv「えっ」
(´・ω・`)「ほら、寝姿じゃないですか弟さん」
lw´‐ _‐ノv「えっ?」
(´・ω・`)「えっ?」
lw´‐ _‐ノv「起きてますよ?」
(´・ω・`)「えっ」
-
49 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:07:48 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「え、でもあの顔は」
lw´‐ _‐ノv「起きてますよ?」
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv
(´・ω・`)「弟さんめっちゃ糸目?」
lw´‐ _‐ノv「うっさい」
(´・ω・`)「店主さんも糸目だから血かな」
lw´‐ _‐ノv「うっさいうっさい」
(´・ω・`)「そうか……寝てると思ったらあれ座ってるだけか……」
lw´‐ _‐ノv「クソ失礼な事思われてた……」
(´・ω・`)「すみません……」
lw´‐ _‐ノv「良いですけど……」
-
50 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:09:56 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「起きてたんだ……そっか……」
lw´‐ _‐ノv「もう常連なのに寝てるか起きてるかも理解されてなかった……」
(´・ω・`)「本当すみません……なんか含めた意味があって寝姿なのかと……」
lw´‐ _‐ノv「ねーよ……」
(´・ω・`)「もう亡くなってるから眠った姿なのかなって……」
lw´‐ _‐ノv「ねーよ……ねーよ……」
(´・ω・`)「えぇー……」
lw´‐ _‐ノv「弟生きてるよ……起きてるよ……」
(´・ω・`)「え、えぇー……勝手にメランコリックになって僕すごく馬鹿みたい……」
lw´‐ _‐ノv「何で勝手に落ち込んでるんですか……やめてくださいよ……」
(´・ω・`)「ご、ごめんなさい……?」
lw´‐ _‐ノv「はぁまじはぁ……」
-
51 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:11:39 ID:AzMR.20Y0
-
lw´‐ _‐ノv「と言うか店に来すぎですよお客さん、週一で来てますよね」
(´・ω・`)「うんまぁ」
lw´‐ _‐ノv「人形の服とか道具って安くないんですよ? 結構しますよ?」
(´・ω・`)「そうだねぇ」
lw´‐ _‐ノv「金銭感覚大丈夫ですか? 破綻してませんか?」
(´・ω・`)「まだ大丈夫、貯金も崩してないし」
lw´‐ _‐ノv「貯金崩したら出禁にしますけど」
(´・ω・`)「そんなー」
lw´‐ _‐ノv「そんなーじゃねーよ……」
(´・ω・`)「出禁だって、デレはどう思う?」
ζ(゚ー゚*ζ
lw´‐ _‐ノv「目の前で何か始まった……」
-
52 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:13:57 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「人形と会話しても良いじゃない、オーナーだもの」
lw´‐ _‐ノv「良いですけどね、そう言う人結構居ますし」
(´・ω・`)「えっ、怖っ」
lw´‐ _‐ノv「鏡見ろよ」
(´・ω・`)「怖いねーデレー」
ζ(゚ー゚*ζ
lw´‐ _‐ノv「ヤバいタイプかなこの人」
(´・ω・`)「うんうんそっかー」
ζ(゚ー゚*ζ
lw´‐ _‐ノv「デレ何ですって?」
(´・ω・`)「それは出禁も致し方ないって」
lw´‐ _‐ノv「クールだなデレ」
(´・ω・`)「あと端から見れば僕も怖いって」
lw´‐ _‐ノv「だろうなぁ」
-
53 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:15:48 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「まぁ最近思うんですよね、デレに似合うドレスが見付からないって」
lw´‐ _‐ノv「店のだいたい買ったからでは」
(´・ω・`)「ネットで買ったのも作りが甘かったり色が思ってたのと違ったり」
lw´‐ _‐ノv「ネット販売は良し悪しですからね」
(´・ω・`)「だから裁縫を始めたんだ」
lw´‐ _‐ノv「ホワイ」
(´・ω・`)「理想のドレスが無いなら作れば良いじゃないって」
lw´‐ _‐ノv「ワッツハプン」
(´・ω・`)「どうもしないです」
lw´‐ _‐ノv「お客さん本当に変な凝り方しますよね……」
(´・ω・`)「えー、でも手作りするのって最大の愛情表現かなーって」
lw´‐ _‐ノv「あー……まー……確かに……」
-
55 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:18:22 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「店主さんも弟さんを作ってるじゃないですか」
lw´‐ _‐ノv「うんまぁ」
(´・ω・`)「それは愛情表現の一種じゃ無いんですか?」
lw´‐ _‐ノv「…………」
(´・ω・`)
lw´‐ _‐ノv「私の場合、は」
(´・ω・`)「はい」
lw´‐ _‐ノv「記録、かな」
(´・ω・`)「記録……ですか?」
lw´‐ _‐ノv「思い出が、記憶が風化して消える前に、目に見える形で残したくて」
(´・ω・`)「…………」
lw´‐ _‐ノv「本当に居なくなってしまう前に、刻み付けたくて」
-
56 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:20:05 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「店主さん、やっぱり、」
lw´‐ _‐ノv「…………」
(´・ω・`)「やっぱり、もう」
lw´‐ _‐ノv「人形、減りましたよね」
(´・ω・`)「え?」
lw´‐ _‐ノv「店の人形、お客さんが初めて来た時より、減りましたよね」
(´・ω・`)「……うん、こっちの棚、随分すっきりした」
lw´‐ _‐ノv「売れたんですよ、みんな、迎えが来たんです」
(´・ω・`)「…………」
lw´‐ _‐ノv「本当はね、この店、人形がみんな売れたら閉めるつもりだったんですよ」
(´・ω・`)「えっ……新しく、並べないんですか?」
lw´‐ _‐ノv「もう、並べません」
(´・ω・`)「……どうしてですか?」
lw´‐ _‐ノv「この店を、もう閉めるからです」
-
57 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:21:25 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「……そっか」
lw´‐ _‐ノv「はい」
(´・ω・`)「どうして、閉めようと思ったんですか?」
lw´‐ _‐ノv「限界だからです」
(´・ω・`)「何が限界なんですか?」
lw´‐ _‐ノv「色々、かなぁ」
(´・ω・`)「……そっか」
lw´‐ _‐ノv「おかしいですよね」
(´・ω・`)「え?」
lw´‐ _‐ノv「人形が人形を売るなんて」
(´・ω・`)「…………ああ、なるほど」
lw´‐ _‐ノv「はは、一応バレてはなかったかぁ」
-
58 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:23:40 ID:AzMR.20Y0
-
lw´‐ _‐ノv「お客さん、鈍いですもんね」
(´・ω・`)「失敬だなぁ……それにしても店主さん、どんな構造なんですか?」
lw´‐ _‐ノv「そりゃあ」
(-_-)「よいしょ」
(´・ω・`)「あ」
(-_-)「どうも」
(´・ω・`)「あぁー……レジのすぐ後ろのカーテンってこう言う……」
(-_-)「あ、そこ?」
(´・ω・`)「ああごめんね、つい……と言うか弟さんだね?」
(-_-)「はい、弟です」
(´・ω・`)「人間?」
(-_-)「人間」
-
60 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:25:25 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「えー……えぇー……リアルな人形じゃなくて人間だったかぁ……」
(-_-)「こっちの姉さんは人形ですけどね」
(´・ω・`)「あぁー……逆だったかぁ……」
(-_-)「お客さん本当に鈍いですよね」
(´・ω・`)「やめて、少し傷付き始めた」
(-_-)「後ろからこう、こうやって動かしてたんですよ」
ヽlw´‐ _‐ノvノ ワキワキ
(´・ω・`)「えぇー……声も当ててたの?」
(-lw´‐ _‐ノvノシ「やぁお客さん、調子はどうだい」
(´・ω・`)「うわぁ店主さんだこれ……ゲンドウポーズは口許隠しだったのこれ……」
(-_-)「呼吸の動きはこうやって、ねじまきでも動いて」カリカリ
(´・ω・`)「ほぁー……凄い作りだなぁ……」
(-_-)(この人さっきから感想しか言ってないな……)
-
61 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:26:33 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「あれ、でもケースに居た時は?」
(-_-)「ケースに居る時は喋らなかったんですよね」
(´・ω・`)「マジか、…………マジだな……!?」
(-_-)「ねじ巻いておけば適当な動きはしますから」
(´・ω・`)「良いのかい適当で」
(-_-)「姉さん元々そう言う人だったんで」
(´・ω・`)「元が変わった人だったかぁ」
(-_-)「変わった人でしたね」
(´・ω・`)「と言うか何でケースに入ってたの?」
(-_-)「このケースこっち側にガラス入ってなくて」
(´・ω・`)「本当だ」
(-_-)「急な来客で裏に引っ込む暇がなかった時にここに入ってました」
(´・ω・`)「僕のせいだったかぁ……!」
-
62 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:28:14 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「はぇー、人だと思ったら人形で、人形だと思ったら人で……」
(-_-)「すみません、騙してて」
(´・ω・`)「いや、そりゃ良いけど、何でまたこんな事を?」
(-_-)「年の離れた姉だったんです」
(´・ω・`)「うん」
(-_-)「両親はぼくが小さい頃に亡くなって、姉がぼくを育ててくれてました」
(´・ω・`)「うんうん」
(-_-)「姉は人形とか古いものが好きで、このお店を始めて」
(´・ω・`)「ふむ」
(-_-)「店は順調だったんですけど、去年、姉が亡くなって」
(´・ω・`)「…………」
(-_-)「ぼくは何だか、姉が遺した人形を処分出来なくて……それで」
-
63 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:30:23 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「お姉さんの人形は?」
(-_-)「それは姉に人形の作り方を教わりながら、一緒に作ってたんです」
(´・ω・`)「自分の等身大人形を作るとかお姉さん勇気あるな……」
(-_-)「まぁほとんどぼくが作ってるんですけどね」
(´・ω・`)「それで、お姉さんの代わりにお店を続けてたんだ」
(-_-)「駄目な事ですよね、これ」
(´・ω・`)「んんー……個人的には、悪い事じゃ無いと思うよ」
(-_-)「でも、お客さんを騙してたんですよ」
(´・ω・`)「お姉さんの作った人形、幸せになってほしかったんでしょ?」
(-_-)「…………」
(´・ω・`)「僕は、悪いとは思わないなぁ……ねぇデレ、デレはどう思う?」
ζ(゚ー゚*ζ
(-_-)「なんて言ってます?」
(´・ω・`)「子供のした事だし法的にはノーカンで良いじゃないって」
(-_-)「デレ妙に現実的だな……」
-
64 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:32:01 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「それにしても、本当に不思議なところだなぁ」
(-_-)「そんなにですかね」
(´・ω・`)「不思議な…………ハッ……まさか、デレは特別な人形なのでは……!?」
(-_-)「はい?」
(´・ω・`)「人形には興味なんて無かった僕がここまでドハマリするなんて、魔術めいて!」
(-_-)「無いです」
(´・ω・`)「えっ」
(-_-)「お客さんがそう言う性癖に目覚めただけです」
(´・ω・`)「えっ……」
(-_-)「ただの人形です、不思議な力とかそう言うファンタジー無いです」
(´・ω・`)「えぇー……じゃあデレが笑いかけてくれたのは……」
(-_-)「えっ……何それ怖い……」
(´・ω・`)「え、えぇー……」
-
65 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:34:17 ID:AzMR.20Y0
-
(-_-)「お客さん本当……瞬時に目覚めましたよね……怖い……」
(´・ω・`)「客に向かって怖いとかひどい……」
(-_-)「なかなか居ませんよそう言う目覚め方する人……」
(´・ω・`)「そんな僕が特殊性癖みたいな」
(-_-)「そのとおりだと思いますけどね」
(´・ω・`)
(-_-)
(´・ω・`)「そういや店主さんが敬語になる時と声一緒だね」
(-_-)「素になってる時ですねそれ」
(´・ω・`)「さては弟さん、演技下手だね?」
(-_-)「うっさい」
(´・ω・`)「それも素だったか」
-
66 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:36:33 ID:AzMR.20Y0
-
(-_-)「ともあれ、これでここも店仕舞いです」
(´・ω・`)「本当に閉めちゃうのかい?」
(-_-)「はい」
(´・ω・`)「僕が暴いちゃったから?」
(-_-)「違いますよ、ぼくにはもう姉さんを演じる事が出来ない、声変わりが始まっちゃったんです」
(´・ω・`)「でも、まだ人形は残ってるよ」
(-_-)「ネットで売ります」
(´・ω・`)「便利な世の中だ……」
(-_-)「お陰で、ぼくも普通の生活に戻れます」
(´・ω・`)「そうか……このお店、継いだりはしないの?」
(-_-)「ここはあくまでも姉さんの店、ぼくの店じゃないんです」
(´・ω・`)「…………寂しくなるね」
(-_-)「はは、ありがとうございます」
-
67 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:39:06 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「人形のメンテナンスが出来る職人さん、探さなきゃな」
(-_-)「知人が人形修理の専門なので、連絡先を教えておきます、メンテナンスもしてくれますから」
(´・ω・`)「ああ、ありがとう……君には世話になりっぱなしだね」
(-_-)「本当に、困ったお客さんも居たもんです」
(´・ω・`)「あはは……」
(-_-)「目覚めたその日に人形の部屋作ろうとしたり……」
(´・ω・`)「本格的に作るためにインテリアについて学んでるよ」
(-_-)「何でそこまでするの……怖い……」
(´・ω・`)「えっ……だってデレの為だし……」
(-_-)「お客さんガチ過ぎて怖い……」
(´・ω・`)「小学生に怖がられまくってる……」
(-_-)「え?」
(´・ω・`)「え?」
-
68 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:40:22 ID:AzMR.20Y0
-
(-_-)「中学生ですけど……」
(´・ω・`)「あ、新一年生かな?」
(-_-)「二年ですけど……」
(´・ω・`)「あっ……」
(-_-)
(´・ω・`)
(-_-)「店閉めるから出てって下さい」
(´・ω・`)「あっあっ待って待ってごめんなさい」
(-_-)「はい閉店時間です蛍の光流します」
(´・ω・`)「閉店時の曲は厳密には蛍の光では無いから待って……!」
(-_-)「えっ、じゃあなにあれ」
(´・ω・`)「別れのワルツ」
-
69 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:41:44 ID:AzMR.20Y0
-
(-_-)
(´・ω・`)
(-_-)ペチペチ
(´・ω・`)(スマホ持ってた)
(-_-)「マジだ……」
(´・ω・`)「マジだよ……」
(-_-)「はぁ……もう良いや…………お客さん」
(´・ω・`)「はい」
(-_-)「ぼくにとって最後のお客さん、今までありがとうございました」
(´・ω・`)「いえ、こちらこそ」
(-_-)「姉さんの代わりに、お礼を言います」
(´・ω・`)「僕こそ、デレと出会わせてくれて有り難う」
-
70 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:43:16 ID:AzMR.20Y0
-
(-_-)「この店で一番のお客さんになったと思います」
(´・ω・`)「だいぶお金落としたからね」
(-_-)「デレの事、大事にして下さいね」
(´・ω・`)「そればっかりは言われるまでも無いよ、安心していて」
(-_-)「うん、うん…………お客さん、ありがとうございました、もう閉店時間です」
(´・ω・`)「ああ、うん、そうだね……それじゃあ、また来るよ」
(-_-)「ご来店、ありがとうございました、またのお越しをお待ちしてます」
お互いに頭を下げて、穏やかに笑いながら僕は店を出た。
背後で、かたん、と看板を裏返す音が聞こえた。
振り返らずに、デレを抱いたまま駅へと向かう。
今日は、タクシーに乗る気は起きなかった。
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71 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:44:22 ID:AzMR.20Y0
-
変わった場所の。
変わった店の。
変わった店主の。
変わった弟。
電車に乗り、バスに乗り、自宅に帰り、デレと向き合う。
僕は、あの秘密を暴いて良かったのだろうか。
店主と仲良く話していないで、さっさと帰るべきだったのではないか。
この手で、僕が、あの店を終わらせたのかもしれない。
そう思うと、やりきれない感情が込み上げてくる。
ねぇデレ、聞かせてよ。
君はどう思うかな。
僕は、いけない事をしたのかな。
(´・ω・`)「あの子の運命、僕が、歪めたりしてないかな」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫だよ」
(´・ω・`)「大丈夫かな」
ζ(゚ー゚*ζ「だってあの子、別れ際はとても優しい笑顔だったもの」
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72 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:45:42 ID:AzMR.20Y0
-
(´・ω・`)「大丈夫、かな」
ζ(^ー^*ζ「大丈夫、ね?」
不思議な雰囲気を纏う店主は、人間ではなかった。
その弟と呼ばれていた少年人形は、人形ではなかった。
客である僕は、一体の少女人形に心奪われた。
今では幻まで見るし幻聴も聞こえる。
だが病院にかかる気はない。
僕はそれから、デレとの生活を過ごした。
一度だけあの店を見に行ったが、閉店の張り紙が僕の胸をちくちくと刺すばかり。
だからもうあの店には足を向けず、人形関係の店は新しく探し、教えられた職人を頼った。
他の店を見たり、通販で注文する度に思う。
あの店は、本当に質が良かったのだと。
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73 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:46:20 ID:AzMR.20Y0
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人形も、服も小物も、全部あの店のオリジナル。
どれだけの手間と時間を費やして来たのか分からないくらい、高品質な物ばかり。
僕は余計に店売りの物には満足出来なくなり、自作の道を進む事となった。
最初はほんの少し縫うのにも戸惑ったが、今ではミシンさばきも良くなったと自負している。
手芸屋を回り、布を買い、服を縫い、デレに着せる。
それだけで満足していたが、自作品の質が上がるに連れてデレの魅力が引き出されるようになった。
そうなると可愛いデレを自慢したくなって、ブログを作った。
記録用に撮っていた写真を地道にアップしていると、じわじわ評判にもなった。
可能な限り僕の情報を伏せられた、コメント欄もないブログは様々な憶測が飛び交った。
一番面白かったのが「旦那に浮気された若妻が心の闇を打ち消すための趣味のブログ」説だった。
何だか楽しかった。
今までは無かった、生きていて楽しいと言う感覚が、新鮮で、心地よくて。
僕は、デレとの日々を心から幸せだと感じていた。
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74 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:47:44 ID:AzMR.20Y0
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デレの部屋を作った。
フリルがたっぷりあしらわれた、可愛らしい小さな天蓋付きベッド。
ドレッサーも、テーブルと椅子もソファも、何もかもデレに合わせた特注品だ。
さすがに貯金を崩す金額になるので、こつこつ専用貯金をして少しずつ揃えて行った。
そろそろ外車を買える金額を費やしてる。
箪笥にデレの服が収まりきらないので、部屋にあったウォークインクローゼットの改造をした。
壁紙に合わせた色にして、細かな小物も可愛らしく。
入り口にレースのカーテンもつけた。
ちなみに部屋の基本色は白だ。
デレが何色を着ていても似合うように。
最初はピンク一色にしようと思ったけどそれだと甘過ぎるから優しく綺麗なデレに相応しい白。
そのお陰で何色の服を着ていてもデレによく映える。
白い服を着せる際は別色のシーツなどを噛ませる事で埋もれずに済む。
しかし布が多いからなかなか埃が。
掃除は大変だが作って良かった本当に良かった。
だが今では新しいレイアウトや家具を試してみたくてデレの部屋2の構想もしている。
超楽しい。
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75 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:48:49 ID:AzMR.20Y0
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仕事も順調で。
趣味も順調で。
毎日が楽しい。
生きてて楽しい。
そんな充実した日々を、数年過ごしたある日。
僕の元に、一通の葉書が届いた。
(´・ω・`)「…………そっか」
葉書を裏表眺めて、机に置く。
窓の外を、遠くの空をぼんやりと見る。
ああ、そうか。
ついに来たか。
(´・ω・`)「……デレ、困ったね」
ζ(゚ー゚*ζ
(´・ω・`)「間に合いそうに、ないや」
ζ(^ー^*ζ「がんばって」
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76 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:49:59 ID:AzMR.20Y0
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(´・ω・`)「……うん、頑張るよ、デレ」
僕は席を立ち、デレの髪を優しく撫でる。
相変わらず、柔らかくて、心地好い。
この子の為にも、僕は頑張らなければいけない。
そして、デレを産み出した親御さんの為にも。
仕事机に向かい、頭と手を働かせた。
寝る間も惜しんで、僕は机に向かう。
何としてでも、終わらせなければいけない。
間に合わせなければ、時間が無いんだ。
急いで、急いで、それでも手は抜かず、完璧に。
僕は十年くらい振りに、徹夜をした。
体調がゴミみたいに悪くなったが、寝ている暇はなかった。
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77 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:50:49 ID:AzMR.20Y0
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デレを左腕に抱き、右手には革張りのトランク。
春物の薄いコートを着て、こつこつとコンクリートの地面を踏む。
風はまだ少し冷たく、頬を撫でる度に肌寒さを感じる。
しかし歩くごとにその肌寒さは減って行き、いつしか僕はコートを脱いで小脇に持っていた。
あれから何年経っただろう。
五年くらいかな。
恐らく五年の時を経て、僕は再び、ある場所に立っている。
真新しい木製のドア。
openの看板。
ぴかぴかのドアノブ。
息を深く吐いて、ゆっくりと吸って、ドアに向き直った。
真鍮のドアノブを掴み、捻り、押し開ける。
軋む音も無く軽やかに開いたドア。
暖かく、明るい照明の灯る店内。
正面には、小綺麗なカウンター。
すっきりとした棚に並ぶ、大小様々な人形達。
そして、カウンターの向こうには。
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78 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:51:31 ID:AzMR.20Y0
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(´・ω・`)「やあ、ここはドールショップかな?」
(-_-)「見れば分かるでしょうに、困ったお客さんだなぁ」
すっかり青年へと成長した、いつぞやの人形少年。
(´・ω・`)「ここの店主さんですか?」
(-_-)「ええ、先日オープンしたばかりの店の、新米店主ですよ」
(´・ω・`)「…………」
(-_-)「…………」
お互いに顔を見合わせて、ふは、と思わず互いに破顔した。
(´・ω・`)「あはは、大きくなったなあ君、前はこんな小さくて細かったのに」
(-_-)「16過ぎてから一気に伸びたんですよ、やめて下さい全くもう」
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79 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:53:39 ID:AzMR.20Y0
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(´・ω・`)「それにしても、同じ場所で君の店を開くなんてね」
(-_-)「言ったじゃないですか、またのお越しをお待ちしてますって」
(´・ω・`)「ああそうだったそうだった、あはは、あれをちゃんと守ったんだね」
(-_-)「姉さん以外の事で、嘘は吐きたくなかったんですよ」
(´・ω・`)「しかしまだ十代だろうに、よく店を出せたね」
(-_-)「だいぶ頑張りました」
(´・ω・`)「現実的な事は置いといて、後でお祝いでもしようか?」
(-_-)「え、良いですよそんな」
(´・ω・`)「ごめんね既にケータリング注文しておいた」
(-_-)「俺の予定も聞かずに……!?」
(´・ω・`)「てへぺろ」
(-_-)「……まぁ良いか、どうせ一人ですし」
(´・ω・`)「友達や保護者の方は?」
(-_-)
(´・ω・`)
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80 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:54:36 ID:AzMR.20Y0
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(-_-)「ところで、お客さんの方はどうですか?」
(´・ω・`)「デレならここに」
ζ(゚ー゚*ζ
(-_-)「見れば分かりますけど随分お洒落させて貰って」
(´・ω・`)「ハレの日だからフリル三倍」
(-_-)「なるほど……しかし、大事にされてるんですね」
(´・ω・`)「毎日会話してるよ」
(-_-)「病院行きましょうかお客さん」
(´・ω・`)「病院行かないですお客さん」
(-_-)「手入れも十分ですね」
(´・ω・`)「メンテに週一で行ってたらさすがに怒られた」
(-_-)「手を入れすぎるのも良くないですよ」
(´・ω・`)「ごめんなさい」
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81 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:55:09 ID:AzMR.20Y0
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(´・ω・`)「そうそう、これを見て欲しかったんだ」
(-_-)「ドール用のドレス?」
(´・ω・`)「どうかなこれ、僕は気に入ってるんだけど」
(-_-)「色もデザインもデレにぴったりだと思いますよ、オレンジめの彩度低めのピンク」
(´・ω・`)「そりゃそうだよデレ用なんだから」
(-_-)「へぇ、綺麗に縫い付けてありますね、フリルもレースも……丁寧な仕事で……」
(´・ω・`)「そうだろう、そうだろう」
(-_-)「デザインも良い……シンプルだけどシルエットはボリュームがあって飾りは控えめな印象……」
(´・ω・`)「うふふ」
(-_-)「どこで買いましたこれ」
(´・ω・`)「僕が縫いました」
(-_-)
(´・ω・`)「仕事辞めました」
(-_-)
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82 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:56:23 ID:AzMR.20Y0
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(-_-)「お客さん……引くわぁ……」
(´・ω・`)「ついに引かれた……」
(-_-)「何してるんですかマジで……マジで……」
(´・ω・`)「いや辞めたと言ってもアレだよ、ちゃんと貯金あるし次の職あるから」
(-_-)「何するんですか……」
(´・ω・`)「これ」
(-_-)「ドレス」
(´・ω・`)「いっぱいネット注文が来てる」
(-_-)
(´・ω・`)
(-_-)「真面目な話」
(´・ω・`)「はい」
(-_-)「うちに卸しませんか」
(´・ω・`)「ふふっ、喜んで」
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83 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:57:01 ID:AzMR.20Y0
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(´・ω・`)「このドレスあれだよ、今日のために頑張って縫い上げたんだから」
(-_-)「わざわざ今日のために?」
(´・ω・`)「だって『新装開店します』ってハガキ先週届くんだもの……」
(-_-)「急でしたよね、すみません」
(´・ω・`)「徹夜とかおじさんにはつらいよ……」
(-_-)「すみませんおじさん」
(´・ω・`)
(-_-)
(´・ω・`)
(-_-)「すみませんお客さん」
(´・ω・`)(言い間違えたな)
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84 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:57:40 ID:AzMR.20Y0
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(-_-)「ところでおj お客さんって元は何してたんですか?」
(´・ω・`)「おじさんはね、税理士してたんだよ」
(-_-)
(´・ω・`)
(-_-)「おじさん馬鹿なんですか?」
(´・ω・`)「ははははは、大学院まで出たのにね」
(-_-)「何でその輝かしい履歴書から人形用服飾職人になったの?」
(´・ω・`)「修士号もあるぞ」
(-_-)「おじさん元の仕事に戻ろう?」
(´・ω・`)「おじさんは天職を見つけたんだよ」
(-_-)「この人にデレを売って良かったんだろうか」
(´・ω・`)「僕いま最高に幸せ」
(-_-)「大変な変態を生み出してしまった……」
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85 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:58:18 ID:AzMR.20Y0
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(´・ω・`)「……それにしても」
(-_-)「はい」
(´・ω・`)「昔の人形も、置いてあるんだね」
(-_-)「はい、売り切れなかった分を」
(´・ω・`)「良かったね、また誰かに迎えられるチャンスが巡ってきたよ」
(-_-)「売り物の人形に話しかけるのやめてください」
(´・ω・`)「あ、はい」
(-_-)「……内装も、出来る限り新しくしたんですけどね」
(´・ω・`)「うん、見違えるみたいだよ」
(-_-)「でもやっぱり、古いものも並べたくて」
(´・ω・`)「良いんじゃない? だって、歴史がここに詰まってるんだから」
(-_-)「……そうですね」
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86 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:58:51 ID:AzMR.20Y0
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(-_-)「…………姉さんも、認めてくれるかな」
(´・ω・`)「大丈夫だよ、ねぇ、お姉さん」
(-_-)「話しかけないで下さいよ、俺もう姉さんの声出せないんですから」
(´・ω・`)「すっかり男の声になっちゃったからね」
(-_-)「……まぁ、姉さんなら祝福してくれそうですけどね」
(´・ω・`)「やるじゃん、って言いそう」
(-_-)「言いそう」
(´・ω・`)
(-_-)
(´・ω・`)「これからもよろしくね、店主さん」
(-_-)「こちらこそ、お客さん」
顔を見合わせて、僕らはまた笑い合った。
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87 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:59:23 ID:AzMR.20Y0
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広くは無いが、明るく柔らかな照明に包まれる店がある。
アンティーク調の物と、まだ真新しい物が同居する店がある。
大きなショーケースの中に座り、ほんのりとだけ微笑む女性の人形。
目を開けているのか閉じているのか分からない、まだ年若い青年店主。
店に人形の服を卸しに来る、気の弱そうな中年男性。
その男の腕に抱かれるのは、愛らしい少女人形。
客は滅多に来ないが、最近はちらほら口コミで人が増え始めた。
変わった店の、変わった関係者と、変わった人形達。
変わった客が来たとしても、店主は困ったように笑って受け入れる。
あーあ、姉さんの店とは全然違うな、と店主は笑う。
あはは、そりゃ君の店だからさ、と男も笑う。
そんな二人のやり取りを、人形達はガラスの眼で眺めて、僅かに微笑んだ気がした。
おしまい。
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88 名前: ◆CIJpPy7QJc[sage] 投稿日:2016/04/01(金) 23:59:54 ID:AzMR.20Y0
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(-_-)「そう言えばインテリアってどうなりました?」
(´・ω・`)「デレの部屋が完成して専用のウォークインクローゼットも作って今は別室作ってる」
(-_-)「あと何か随分立派になりましたよね、筋肉が」
(´・ω・`)「デレを片手で抱いて行動出来るように鍛えたらすごくマッチョになっちゃった……」
(-_-)
(´・ω・`)
(-_-)「お客さんってちょっと気持ち悪いとこありますよね」
(´・ω・`)「ひどいし今はお客さんではないよ」
(-_-)「お客さんですよ」
(´・ω・`)「今はっきりと僕は身内では無いと言う線引をされた気がする」
(-_-)「お客さん暇なら掃除して下さい」
(´・ω・`)「お客さんなのに……するけど……」
(-_-)「するんだ……」
おわり。
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ガラスの眼のようです
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ガラスの眼のようです
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ガラスの眼のようです
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ガラスの眼のようです
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ガラスの眼のようです