- 67 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:16:28 ID:KLDpC5Tc0
-
(;^ω^)「やっぱりやめようお」
(´・ω・`)「ヤギやヒツジの名前がでた途端にこれだよ、弱虫」
( <●>)「いい加減荷台がうるさい。どうにかならないんです?」
(;^ω^)「ごめんお。デレ、おいで」ヒョイッ
ζ(- -*ζ「……ん」
( <●>)「邪魔するなら部屋の外で待ってて下さい、その植物どもと一緒にね、ホライゾンくん」
(;^ω^)「ううう」
(´・ω・`)「やなやつ!」
カチャ...
( <●>)「中に誰かいますか?」
( ´_ゝ`)「ベッドになんかいるぞ」
(´<_` )「まだ眠ってるみたいだ」
( ´_ゝ`)「珍しいものだ、いつもなら一等はやく起きて」
(´<_` )「俺らにごはんを持ってきてくれるというのに」
- 68 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:20:43 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「まるで死んでるみたいに眠ってますね」
(´<_` )「そんなこと言うな」
( ´_ゝ`)「弟者、相手にするな」
( <●>)「おや手になにか」スルッ
( ´_ゝ`)「ヒツジのやつ、手真っ黒だな」
(´<_` )「水がなくて洗えないんだ。可哀想に」
( <●>)「絵、ですか」
( ´_ゝ`)「描いてあるのはヤギとヒツジと」
(´<_` )「ヒツジが抱いてるのは小人だな」
( <●>)「裏になにか書いてあるんです」
( ´_ゝ`)「弟者、読めるか?」
(´<_` )「兄者が読めないのに?」
( <●>)「私は読めます」
( <●>)「愛、……る、……が、子……」
- 69 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:23:20 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「ホ、ラ、イ、…………」
( <●>)
( <●>)「読めませんね。行きましょう」スタスタ
( ´_ゝ`)「なんだ、やはり読めないじゃないか」
(´<_` )「全く読めない俺らよりもマシだろう」
( ´_ゝ`)「弟者お前、あいつの肩を持つのか?」
(´<_` )「何故ケンカ腰なんだ?置いてかれるぞ、兄者」スタスタ
( ´_ゝ`)「こんなハエだらけの部屋に置き去りはごめんだ」スタスタ
(´・ω・`)「ヤギの部屋に行ったみんなはどうなってるだろ」
( ^ω^)「おっ!戻ってきた!」
(´・ω・`)「おかえり。どうだった?」
(;^ω^)「ど、どうだったお?」
( <●>)
- 70 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:25:15 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「……なんにも分かんないんです」スタスタ
(´・ω・`)「ちょっと待ってよ、それだけ?」
( ´_ゝ`)「だから弟者、お前はそうやって」スタスタ
(´<_` )「なんだ兄者、さっきからお前が」スタスタ
(´・ω・`)「ああ、ちょっとちょっと」
(´・ω・`)「なんにもなかったみたい。残念。僕らも戻ろう」
( ^ω^)「おん!」
( ^ω)
( ^ω^) クルッ
カチャ...
( ^ω^)
( ^ω^)「おやすみお、ヒツジ」
パタン...
- 71 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:28:19 ID:KLDpC5Tc0
-
(*゚∀゚)「ヤギの部屋なんにもいなかった!」
_
( ゚∀゚)「うめー!」モグモグ
(´・ω・`)「どこで拾ったの、その瓶」
('A`)「いきもの?」
_
( ゚∀゚)「いっぱいいた!よく分かんないけど!ドクオもいる?」
('A`) コクコク
_
( ゚∀゚)っ「はい!」
('A`)っ
_
( ゚∀゚)「めちゃくちゃ血吸うから気をつけてその虫!」
('A`)「!?」
- 72 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:29:54 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「もしかしたら、ヤギは街に行ってるかもしれないんです」
( <●>)「ときどき飲み物と食べ物を買いに出かけてるのを私は知ってるんです」
_
( ゚∀゚)「へー!」モグモグ
( ^ω^)「ジョルジュとでぃ、口が汚れてるお」
(*゚∀゚)「ブーンの部屋にね、ブーンとショボンの部屋にね、行ったからだよ!」
_
( ゚∀゚)「カラスまっずいぜ!!」
(#゚;;-゚)「血と草の味」
(´・ω・`)「まさか、ほんとにかじったの?」
(*゚∀゚)「つーちゃんはやってないよ!だってさ!だってさ!罪人ばっちぃもん!」
(#゚;;-゚)「死んだらみんな肉の塊」
_
( ゚∀゚)ノ「はいはい!」
( <●>)「はいジョルジュくん」
_
( ゚∀゚)「カラスかじったら、ヤギとデレの匂いがしました!」
- 73 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:30:56 ID:KLDpC5Tc0
-
( ^ω^)「どういうことだお?」
_
( ゚∀゚)「カラスがヤギを食べちゃった、じゃないかなー」
(;^ω^)「!!」
(ノ*゚∀゚)ノ「ショクモツレンサ!バンザーイ!デレ!デレデレ!もう安心していいぞー!いじめっこは裁かれたー!」
(ノ#゚;;-゚)ノ「葬儀万歳」
( ´_ゝ`)「しかし何故デレの匂いが?」
(´<_` )「両手両足を食べたからか?」
( <●>)「貴方の鼻おかしいんじゃないです?」
_
( ゚∀゚)「ええええええええ!?オレぇぇぇぇぇえええ!?」
(#゚;;-゚)「間違いない。ハーブの匂い」
(#゚;;-゚)「疑うなら確かめたらいい」
( <●>)「分かりました。そのように」
- 74 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:32:16 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「なにしてるんです?ホライゾンくんの部屋に行きますよ」
( ´_ゝ`)「何故俺らまで」(´<_` )
( <●>)「みんな、ですよ。はやくなさい」
(´<_` )「引っ張るな」
( ´_ゝ`)「弟に触るな」
(*゚∀゚)「ブーンの部屋まで競争だぞ!負けたら罰ゲームこれ決定!よーい、どん!!」
_
( ゚∀゚)「一番はもらったー!」
('A`)「えっ おれも?」
(#゚;;-゚)「先に行ってるから。あとから二人もきてちょうだい」
( ^ω^)「分かったお。デレ、ぼくらも行こうお」
ζ(- -*ζ
( ^ω^)「デレ?」
- 75 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:34:03 ID:KLDpC5Tc0
-
ζ(゚ー゚*ζ「ん、けほっ」
( ^ω^)「さっきからずっと眠そうだお。辛いんなら、寝てていいお?」
ζ(゚ー゚*ζ「ブーン、ねぇ、ブーン」
( ^ω^)「なんだお?」
ζ(゚ー゚*ζ「私……咲く、かな?」
( ^ω^)「もちろんだお!」
( ^ω^)「みんなも一緒に探してくれてるお。初めてのことだお。だからきっと、全部全部うまくいくお」
ζ(゚ー゚*ζ「ほ、んと、?」
( ^ω^)「ヒツジとデレに約束するお」
ζ(゚ー゚*ζ「けほけほっ。……きれ、……か、なぁ?」
( ^ω^)「綺麗で可愛い、黄色いお花だお」
( ^ω^)「きっとみんな大好きになるお!」
- 76 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:35:42 ID:KLDpC5Tc0
-
ζ(゚ー゚*ζ「……でれ……よい、こ……だった?」
( ^ω^)「デレはよい子だお。よい子はお外に出られるお」
( ^ω^)「もう喋らないで。いまはゆっくりおやすみお」
ζ(゚ー゚*ζ「うん……うん……」
ζ( ー *ζ「よ、かっ……」
ζ(- -*ζ
( ^ω^)
( ^ω^)「よしよし。ぼくがぎゅってしててあげるからね」
- 77 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:37:24 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「遅いんです、ホライゾンくん。貴方の部屋でしょうに」
( ^ω^)「なんでヤギとおんなじ呼び方するんだおー」
(´・ω・`)「はぁあ。きっとひどい悪口に違いないね」
(*゚∀゚)ノシ「デレ寝ちゃったの?やだよつまんないよ、起きてよ遊ぼうよ」ヘ°チヘ°チ
(´・ω・`)「あっ!こら!」
( ^ω^)「しーっ」
ζ(- -*ζ
(#゚;;-゚)「デレ?」
( ^ω^)「寝ちゃったんだお。起こさないであげてお」
(*゚∀゚)「ぶー!」
(#゚;;-゚)「綺麗な寝顔」
( <●>)「どうやら、このカラスがヤギとデレの手足を食べたのは間違いないみたいなんです」
( <●>)「全身からヤギとデレの、特に、このクチバシからデレのハーブの匂いがするんです」
( <●>)「さて、これからどうしましょうね?」
- 78 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:39:33 ID:KLDpC5Tc0
-
(*゚∀゚)「いっぱい夜ふかししちゃうぞー!もうはやく寝ろって怒られることもないんだー!好きなことしかやらないぞー!」
(#゚;;-゚)「ずっと黒い服でいられるの」
_
( ゚∀゚)「お腹すいたー。ごはんはまだかいね?」
( <●>)「ヒツジなら寝てましたよ。食堂には食べ物も飲み物もありませんでしたし、しばらくおあずけなんです」
( ´_ゝ`)「俺らはヤギの部屋をもらうか。あそこには本がたくさんある」
(´<_` )「文字なんて読めないだろうに。だが目のつけどころは流石だな」
('A`)「Mr.D ずっと いっしょ」
(´・ω・`)「やりたいこといっぱいありすぎて迷っちゃうね。おうち中にパズルを散りばめてさ、宝さがしごっこなんていいかもねー。って、聞いてるのブーン?」
( ^ω^)「ぼくはおうちの外にいくお」
(´・ω・`)「えっ」
- 79 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:41:39 ID:KLDpC5Tc0
-
(´・ω・`)「ブーン?」
( ^ω^)「おうちに綺麗なお水がないなら、おうちの外に探しにいくお」
(´・ω・`)「ちょっと待ってよ、なにを」
_
( ゚∀゚)「街にいこうよ!」
_
( ゚∀゚)「街ってなんだってあるんだ!一回いったことあるから知ってる!」
_
( ゚∀゚)「なんせ人がいっぱいいるからね!」
(*゚∀゚)「罪人いっぱいいる?処刑いっぱいできる?」
(#゚;;-゚)「いっぱい死ぬ?」
_
( ゚∀゚)「あっはー!もっちろーん!」
(*゚∀゚)「でぃちゃん行こう!つーちゃんと行こう!」
(#゚;;-゚)「夢のようね」
- 80 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:43:11 ID:KLDpC5Tc0
-
( ´_ゝ`)「弟者、戻るぞ」
(´<_` )「兄者、街だと」
( ´_ゝ`)「馬鹿な考え起こすんじゃない。最近おかしいぞお前」
(´<_` )「おかしいのはお前だろう。何故内にこもろうとする」
( ´_ゝ`)「お前こそ何故外に目を向けるんだ」
_
( ゚∀゚)「二つを正しく一つに戻す薬もあるかもしれない!街にはいろーんな薬があるんだ!」
( ´_ゝ`)「なんと」(´<_` )
_
( ゚∀゚)「えっとねー、オレが食べるの止める薬もあったでしょー、元気になる薬もあったでしょー、お腹が痛いの治る薬もあったでしょー」
('A`)「げんき」
('A`)「ねずみ でも きく?」
_
( ゚∀゚)「街にはネズミがいっぱいいたから、元気になるんじゃないかな!食べ物だっていっぱいあって、好きなときに好きなだけ食べていいんだ!」
('A`)「おれ いく」
_
( ゚∀゚)「ビロード教をいろんな人に知ってもらう機会だよ!教会?聖堂?よく分かんないけど、建てちゃったりなんかして!」
( <●>)「王に教会はいらないんです」
- 81 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:44:43 ID:KLDpC5Tc0
-
(*゚∀゚)「なんかさ、なんかさ!街っていいことばっかりだね!みんなで行こうー街に行こうー!」
_
( ゚∀゚)「あはーみんなずっと一緒にいられるね!」
(´・ω・`)「バカじゃないの!?おうちの外に出るなんて!正気!?」
( ^ω^)「もうヤギもいないし、ヒツジも眠ってるお」
(´・ω・`)「ダメだよ!そんなの絶対ダメ!」
( ^ω^)「ショボン、いま外に出なかったら、デレは枯れちゃうんだお」
(´・ω・`)「外は危ないんだよ?カラスとかヤギとか、ブーンたちをいじめる生き物がいっぱいいるんだよ?」
(´・ω・`)「僕は行かないよ!絶っ対!おうちから出ないんだから!」
( ^ω^)「ショボン」
( ^ω^)「きみはここに残ってもいいお。でもぼくらはいかなくっちゃ」
(´・ω・`)「えっ」
(´・ω・`)「なんで。いうとおりにしてくれないの。だって僕のこと、一番の友達だって。それなのに、僕よりみんなを選ぶの?」
( ^ω^)「……ごめんね」
(´・ω・`)「待ってよ、置いていかないでよ、ブーン、ねぇ、ブーン」グイッ
- 82 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:46:06 ID:KLDpC5Tc0
-
(´・ω・`)「えっ」
_
( ゚∀゚) パクンッ
(;^ω^)「ショボ」
_
( ゚∀゚) モグモグゴクンッ
_
( ゚∀゚)「やっぱりまっずいね!泥と草の味がする!」
(;^ω^)「っっ!!」
(♯^ω^)「ジョルジュなんで!?なんで!?またショボン食べて!?バカ!!もうやめろって!!言ってた!言ったんだ!!」
_
( ゚∀゚)「ブーンって怒れるんだ」
「あーん!あーん!」
(;^ω^)「ショボン?ショボン??ジョルジュのお腹の中にいるのかお?」
「こんなのってひどいや!助けておくれよブーン!」
(;^ω^)「ジョルジュ、ぼく、怒ってるよ。お、怒ってるんだぞ、すごく。ショボンがいないから、ぼくが怒ってる」
_
( ゚∀゚)「ごめんなさい。ショボンなんか言ってる?でもこれでみんな一緒に街にいけると思って」
(;^ω^)「うっ」
_
( ゚∀゚)「責任とってショボンの新しい体オレが見つけるから!前とおんなじかんじの石でいいかなぁ、その金魚鉢に突っ込んでおけばショボン生えてくる?」
- 83 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:47:14 ID:KLDpC5Tc0
-
( ^ω^)「そうだけど。あとでショボンにごめんなさいしてよね」
_
( ゚∀゚)「はいっ!!」
( ^ω^)「ショボンごめんよ、ごめんよ。街についたら絶対元に戻すから、しばらく待っててよ」
( <●>)「コケの生えた石に賛同するわけではありませんが、私もここから出られるとは思えないんです」
( <●>)「ここは檻で囲まれてるおうちなんです。扉も窓も。探しても探しても、出口なんてなかったんです」
( <●>)「出られないんです、私たちは、このおうちからは」
( ^ω^)「ぼくらはみんなよい子だよ?」
( <●>)「は」
( ^ω^)「よい子はお外にでていいんだよ」
( <●>)「そういうことではないんです」
( ^ω^)「流石兄弟は大切なものをちゃんと大切にできるよい子で」
( ^ω^)「つーとでぃは好きなものを好きって言えるよい子で」
( ^ω^)「ドクオは友達想いの優しいよい子で」
( ^ω^)「ジョルジュは命をいたただくと命をもてあそぶの違いを知ってるよい子で」
( ^ω^)「ワカッテマスは他人を信じることができるよい子だよ」
( ^ω^)「悪い子なんてだーれもいない。みんなお外にでられるんだよ」
- 84 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:48:03 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「ずっと気になっていたんですが」
( <●>)「君は?」
( ^ω^)
( <●>)「君はどうなんです?よい子なんです?」
( ^ω^)「ぼく?ぼくは」
( <●>)「ホライゾン」
( <●>)「思えば、貴方は私たちをよい子と褒めるばかりでした。誰かが貴方をよい子と褒めてくれましたか?」
( ^ω^)「……あれ?」
( ^ω^)
( ^ω^)「……ショボン」
「ブーンはよい子だよ」
( ^ω^)「……!ショ、」
- 85 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:52:26 ID:KLDpC5Tc0
-
ζ(- -*ζ「ブーンはよい子だよ」
ζ(- -*ζ「わたしがここにいるの、ぜんぶぜんぶ、ブーンのおかげなんだよ」
( ^ω^)「……デレ?」
ζ(- -*ζ「あなたは知らないだろうけど」
ζ(- -*ζ「あなたは『だれかのために一生懸命になれるよい子』なんだよ」
( ^ω^)「……だれかの、ために、一生懸命、」
(*゚∀゚)「ブーン!!」
( ^ω^)「っ!?つー?な、なに?」
(*゚∀゚)「よい子だぞブーンは!つーちゃんが抱きついちゃうくらいよい子だぞ!いつもワガママきいてくれる!怒らないできいてくれる!」
(#゚;;-゚)「ブーンよい子。でぃ知ってる」
_
( ゚∀゚)「オレ、いいこいいこするのうまいよ!」
( ´_ゝ`)「今度は俺らがブーンに返す番だな」
(´<_` )「何度でも言ってやるぞ、ブーン」
('A`)" コクコク
( ^ω^)「おっ……」
( <●>)「貴方たちには聞いてないんですが。……そうですね、そうかもしれませんね」
- 86 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:54:53 ID:KLDpC5Tc0
-
( ^ω^)「あの、みんなには聞こえたお?」
( <●>)「なにがです?」
( ^ω^)「声……デレの」
( <●>)「いえ」
( ´_ゝ`)「俺らにはなにも」(´<_` )
('A`))) フルフル
( ^ω^)「そっか、デレ。……ほんとに、植物になったんだおね」
ζ(- -*ζ
( ^ω^)「もうこれまでみたいに、動いたりみんなとお話ししたり、できなくなっちゃったんだおね」
- 87 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:56:54 ID:KLDpC5Tc0
-
(*゚∀゚)「なにそれ!?やだやだ!もうお話しできないなんて!ブーンばっかりずるいぞ!ふこーへーだぞ!!」
(#゚;;-゚)「このまま止まってしまったのね。美しいわ、嬉しいわ」
_
( ゚∀゚)「おめでとうデレ!おめでとう!おめでとう!」パチパチ
( <●>)「まさか本当に、植物の声が聞こえてただなんて。ショボンの件で、てっきりただの空想かと」
( <●>)「……私が間違っていたのですね。謝らなくてはいけませんね、貴方に」
( ^ω^)「いいんだお」
('A`)「ひつじのうたは?」
( ^ω^)「もうぼくにしか聞こえないと思うお」
('A`)
('A`)「そう」
- 88 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 01:58:06 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「さて、では、よい子の皆さん?どうやってこの檻から抜け出すんです?」
( ´_ゝ`)「あそこならいけるかもしれん」
(´<_` )「あそこは人が通れないだろう」
( ´_ゝ`)「えっ……?」
「……えっ?」(´<_` )
( ´_ゝ`)「どこのことを言ってる?」(´<_` )
( ´_ゝ`)「ヤギとヒツジだけが使ってる、秘密の出入口のことだぞ。しかし鍵がかかっているようでな」
(´<_` )「おい俺は知らない、知らないぞ。どういうことだ。俺が知らないことをお前は知ってるのか?」
( ´_ゝ`)「お前にだけは知られるわけにいかなかった。死ぬまで言うつもりはなかったんだが」
( ´_ゝ`)「すまんかった」
(´<_` )「いや。よかった」
( ´_ゝ`)「よくあるものか」
(´<_` )「よかったんだよ」
(´<_` )「分からず屋め」( ´_ゝ`)
- 89 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:01:18 ID:KLDpC5Tc0
-
( ´_ゝ`)「バカ者はとにかく、出入口は見つけた。鍵はどうにかしてくれ」
_
( ゚∀゚)「鍵?開けるの得意だよ!檻じゃないなら叩けば壊れる!問題ないない!」
_
( ゚∀゚)「ごめん嘘ついた!あるある問題大ある!街どっち!?」
( <●>)「やれやれ。私がみんなを連れていってあげましょう。街への方角は分かってます」
( ^ω^)「みんなってすごいお。みんなで力を合わせればなんだってできるんだお」
( ^ω^)「こんなことなら、もっとはやくお外にでれば」
( <●>)「いいえ、全てはBのお導きです。言ったでしょう、このおうちに革命が起こると。新しい王はすぐ不在になりますがね」
(*゚∀゚)「ねーねーでぃちゃん、外に出たらまずどこいく?なにする??」
(#゚;;-゚)「お庭の木の下に穴を掘るの」
- 90 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:03:03 ID:KLDpC5Tc0
-
おしまい日目
みんなでカラスのお葬式をやりました。
お葬式では笑ってはいけないそうです。
真っ黒い服で、下を向いて、泣きながらやるんだって。
「さようなら」「あいしてる」って言いながら、花をそえるんだって。
いっちばんお葬式を知ってるでぃが言ってた。
ジョルジュがカラスの死体を見つけてかじって。
流石兄弟がカラスの血をお皿で受け止めて。
ドクオがシサイ?をセイショ?でやって。
ワカッテマスが「イキョウトめ」とにらんで。
つーがカラスのために鐘を鳴らして。
でぃがカラスの額に口を押し付けて。
デレが「おやすみなさい」とやさしく笑って。
ぼくはそれらをじっと見てた。
みんなで穴をほって、みんなでカラスを運んで、みんなで木の下にうめた。
ヤギみたいにおっきくって、すっごく重くって、みんな一緒じゃないと運べなかった。
- 91 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:04:01 ID:KLDpC5Tc0
-
お葬式のあと、みんなの手には緑がべったりとついてた。
みんな真っ黒い服になったから分からないけど、たぶん、体中べたべたなんだと思う。
ジョルジュが「まっずいね!」と言いながら手をぺろぺろ舐めてた。
「よせ」と止めるオトジャを、アニジャが「よせ」と止めた。
このカラスも植物になったのかもしれない。
黒くてよく分からなかったけど、カラスの体全部はデレとおんなじで、うっすら緑だったから。
緑のなにかをぬったくったみたいに。
「はやく手を洗いたい」、みんなが口ぐちに言う。
だからぼくは「じゃあ、きれいなお水がいるおね!」と言った。
デレの観察日記はこれでおしまいです。
見つからないようにベッドの下の床に書いてたけど、ヤギいないし今日でおしまいなので、おっきく壁に書きます。
デレはどんどん植物っぽくなってる。いいことです。
これを見てるヒツジへ。
ぼくたちはおうちをでて街にいきます。
ばいばいお。
- 92 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:05:16 ID:KLDpC5Tc0
-
( <●>)「あの門を出て、この道を真っ直ぐ」
( <●>)「暗くなる前には街につけるんです」
( <●>)「……と、ビロード様のお告げです」
( ´_ゝ`)「俺らのおうち、思ってたより小さいな」
(´<_` )「ああ、もっと城に住んでると思ってた」
( ´_ゝ`)「街に戻ったら、正しい形に戻ろうな」
(´<_` )「ああ、やっと元の俺らに戻れるんだ」
('A`)<チュ-チュ-
(*゚∀゚)「ドクオの荷物チューチューいってる!なんで?ねぇねぇなんで?あっ!袋いっぱいネズミだ!」
( ^ω^)「まさかデレが乗ってた荷台にある袋も全部?街に連れていくのかお?つく頃には袋食い破られちゃいそう」
_
( ゚∀゚)「ひじょーしょく!」
(#゚;;-゚)「何匹か死んでるよ」
('A`)「……たべる?」
_
( ゚∀゚)「食べるー!いただきまーす!!」
- 93 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:06:55 ID:KLDpC5Tc0
-
(#゚;;-゚)「いいの?」
('A`)「うん」
('A`)「みんなが たいせつ だから」
('A`)「それに」
('A`)「おれには Mr.Dが いるから」
('A`)「ね、Mr.D」
(*゚∀゚)「あっ!いまミスターディー返事した!チューって言った!ドクオ話せるんだ!すごいなー!」
('A`)「みんな しんだみんなを たべて」
('A`)「きっと いっぱい あるくから」
( ^ω^)「おっ?その指どうしたんだお?」
('A`)「?」
( ^ω^)「真っ黒に汚れてるお」
- 94 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:07:46 ID:KLDpC5Tc0
-
('A`)「どそうの つちかな」
(#゚;;-゚)っ「でぃとお揃いね。お揃いの握手」
(*゚∀゚)「ネズミだってでぃちゃん!初めてだね!初めてのネズミごはんだね!」
(#゚;;-゚)「街についたら葬儀ね。……けほけほっ」
_
( ゚∀゚)「おかわり!!!」
( <●>)「口からしっぽ出てますよ、はしたない」
( ^ω^)「ねぇデレ、街についたらなにしたいお?」
ζ(- -*ζ「んっとね、ショボンに会いたいな。いまならきっと、お話しできるよね」
( ^ω^)「あいつ喜ぶおー。デレが元気になったって知ったら、もっと喜ぶおー」
ζ(- -*ζ「へへっ」
- 95 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:09:00 ID:KLDpC5Tc0
-
ζ(- -*ζ「あのねブーン、わたし考えたの」
ζ(- -*ζ「もしもいつか花が咲いて、枯れてしまったとしても」
ζ(- -*ζ「タネは風に乗って、どこまでも飛んでいって、それでね」
ζ(- -*ζ「街中にわたしの花が咲くのよ」
ζ(- -*ζ「これって、とっても、幸せなことだね」
( ^ω^)「うん、幸せだおね」
「ブーン、デレー、そろそろ行くぞー」
「おっ!」
- 96 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:09:50 ID:KLDpC5Tc0
-
みんなで門の前に立った。
すっごくわくわくしてる。いますぐ駆け出したいくらい。
でもなんだか、ちょっぴり怖い。
なにかが始まるときはいつもこうだ。
ぎゅうっとデレを抱っこしてる手に力がこもる。
だれかが僕の服の裾を掴んだのは、ほとんど同時だった。
いつの間にかみんながみんな、手を握ったり服を掴んだり。
緑色になりながらつながっていく。
こんなに広いところに出たのに、一か所に小さく固まってるなんて。
きっとみんな、おんなじことを考えてたんだね。
目の前にはどこまでも続く道と、それに覆いかぶさる自分の影。
足元から伸びた黒い塊を目でなぞると、影はみんなとひとつに重なっていて。
思わず笑ってしまったら、みんなもつられて笑いだした。
だってまるで、化け物みたいだ!
- 97 名前:名無しさん 投稿日:2016/04/03(日) 02:11:20 ID:KLDpC5Tc0
-
顔を見合わせて、小さく頷いて、声を合わせて。
「せーの!」
遠くで、カラスがないた気がした。
( ^ω^)ダンス・マカブルの子供達のようです 終
支援イラスト