■ブーン系ゴールドラッシュ2013〜突発! タイトル祭り〜
└瓜゚∀゚)シックスセンス・ギフトのようです
└前編
- 2 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:00:48 ID:N/Zuu8uw0
-
(*゚ー゚)「あそぼー」
( ´∀`)「いま、パパはお仕事してるモナ」
(*゚ー゚)「あーそーぼー」
( ´∀`)「あと五分だけ、待ってほしいモナ」
(*゚−゚)「あーーそーーぼーー!!」
( ;´∀`)「わ、わかったから……落ちつきなさい」
(*゚ー゚)「あそぶ! あそぶ!」
( ´∀`)「はいはい、遊ぶから……」
(*゚ー゚)「あそぶーー!!」
( ´∀`)「(企画は……まあ、遊びながら考えるか)」
( ´∀`)「(どうせ、ずっとパソコンに向かってても浮かばないんだし)」
.
- 3 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:01:33 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「なにして遊ぶ?」
(*゚ー゚)「これ!」
( ´∀`)「トランプ……どこにあったモナ」
(*゚ー゚)「ギコくんにもらった!」
( ;´∀`)「もらった、って……明日返すんだよ」
(*゚ー゚)「うん! だから遊ぼう!」
( ´∀`)「トランプで、なにするモナ? ババ抜きはできないよ?」
(*゚ー゚)「しんけんすいじゃく」
( ´∀`)「シンケイ衰弱、ね。ジュースいれたげるモナ」
(*゚ー゚)「しんけんすいじゃく! ジュース!!」
( ´∀`)「(確か、カルピスがまだあったはず……)」
.
- 4 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:02:15 ID:N/Zuu8uw0
-
グラスに氷を二、三入れる。
このときの氷同士がかち合う音が、初夏の訪れを知らせてくれているような気がした。
デスクワークに励んでいても、首筋や額の辺りから汗がにじみ出てくる。
もうそんな季節なのか――と思うほどには、ここ数年、時が流れるのがはやくなったように思える。
しぃは、もらったと言うトランプをカーペットの上に裏向きでぐちゃぐちゃに混ぜている。
その姿が無邪気で、純粋に遊ぶことに対する喜びを感じさせられた。
カルピスの入ったジュースと麦茶をそれぞれ手に持って、ぼくは居間に戻った。
( ´∀`)「じゃあ、じゃんけんね」
(*゚ー゚)「じゃーんけーん、ぽん!」
( ´∀`)「負けちゃった」
(*゚ー゚)「しぃから! しぃから!」
( ´∀`)「モナモナ」
( ´∀`)「……。」
.
- 5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:03:23 ID:N/Zuu8uw0
-
どのカードをめくろうか、と五十二枚のトランプをきょろきょろ見渡す様を見て、
ぼくは、どこかおだやかな気持ちになれた。
無邪気なまでに目の前の遊びに没頭する様。
その天真爛漫な様を見るとやはり、しぃに彼女の面影が見える。
彼女、とは、かつてこの世で唯一ぼくに愛情を注がせさせていた女性だ。
いまは亡き、ぼくの奥さん――となっていた人である。
彼女は、不思議な力を持っていた。
不思議な力を持っていたから、死んでしまった。
でも、不思議な力を持っていたからこそ―――こうして、ここにしぃがいる。
もう、終わった話なのだ。
過ぎ去っては、二度と元に戻らない話なのだ。
だと言うのに――
(*゚ー゚)「あ! 見て、当たったよ!」
( ´∀`)「すごいモナー」
しぃの笑顔を見ると、思い出してしまう。
「奇跡の力」を手に入れてしまった、あの子のことを。
.
- 6 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:11:24 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)シックスセンス・ギフトのようです
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- 7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:12:21 ID:N/Zuu8uw0
-
◆
( ^ω^)「こんな感じでどうだお」
( ´∀`)「うーん」
( ^ω^)「Dをダブドミにして明るい感じにしたんだけど……」
( ´∀`)「………ボツ」
( ^ω^)
( ´ω`)
( ´∀`)「モナの感性には響かなかったモナ」
( ´ω`)「いいからいい加減テンポ一定にしてくれお」
( ´∀`)「無理」
.
- 8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:13:06 ID:N/Zuu8uw0
-
( `ω´)「モナーがテンポとらないから、こっちがどれだけ苦労してると思ってんだお!」
( ´∀`)「ほら、モナは縛られないタイプの男だから」
( `ω´)「ビコーズもなんか言ってやれお!」
( ∵)
( `ω´)
( ∵)
( ^ω^)
( ∵)
( ´ω`)
( ´∀`)「……ビコーズに意見をあおぐほうが間違ってるモナ」
.
- 9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:14:29 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´ω`)「なんでもいいから、リードギターが欲しいお。僕一人じゃあ……」
( ´∀`)「モナは今のままで……」
「もなああああっ!!」
( ´∀`)「…?」
( ^ω^)「あ、この声」
瓜゚∀゚)「見つけたぞおおおおっ!!」
( ´∀`)
( ´∀`) !?
.
- 11 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:15:15 ID:N/Zuu8uw0
-
( ^ω^)「またきたのかお。おいすー」
瓜゚∀゚)「オッス! じぃに聞いたら、ここにいる、って!」
( ´∀`)「頼むから帰ってくれ」
瓜゚∀゚)「あたしとモナーの仲じゃねーか」 グリグリ
( ;´∀`)「い、痛い! それ痛いから!」
瓜゚∀゚)「ほら、なにして遊ぶ?」
( ;´∀`)「い、いまは、モナはほら、バンド……」
瓜゚∀゚)「バンドはいつでもできるけど、あたしとのこの一瞬一瞬は今しかできないぞ!」
( ;´∀`)「バンドとのこの一瞬一瞬も今しかできないモナ!」
瓜゚∀゚)「そうだっけ?」
( ;´∀`)「そうだって」
.
- 12 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:16:10 ID:N/Zuu8uw0
-
( ;´∀`)「あと……えっと、何分?」
( ´ω`)「三十分弱」
( ;´∀`)「――だから、それだけ待っててほしいモナ」
瓜゚∀゚)「その頃はあたし授業でてるぞ」
( ;´∀`)「ぼくは空いてるモナ」
瓜゚∀゚)「よし、じゃあ一緒に受けるぞ」
( ;´∀`)「勘弁」
瓜゚∀゚)「だめ」
( ;´∀`)「……そろそろ降りてほしいモナ」
瓜゚∀゚)「えー?」
( ;´∀`)「重い」
瓜゚∀゚)「もー……しかたないなあ」
.
- 13 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:16:53 ID:N/Zuu8uw0
-
ぼくの背面から、づーは全体重をおろした。
文字通り肩の荷がおりたような錯覚に見舞われる。
背が低いだけあって、言うほど重くはないのだけど、それでも四十キロはあるだろう。
米袋が、四つ分だ。
いくらなんでも、そんなものをいつまでも背中に置いておくわけにはいかない。
づーはおりてから「やれやれ」と言った。
小突きたい。
瓜゚∀゚)「今日は五限で終わりだっけ?」
( ´∀`)「うぃ」
瓜゚∀゚)「じゃあ一緒に帰れるな。あたしは四限で終わりだし」
( ´∀`)「…………お先にどうぞ」
瓜゚∀゚)「なーに言ってんだよ」
( ´∀`)「そろそろ帰ってくれ。ブーンの視線が怖い」
瓜゚∀゚)「えー?」
( ゜ω゜)
瓜゚∀゚)
瓜゚∀゚)「し…しかたないなあ。授業終わったらメールしろよ!」
( ;´∀`)「わ、わかったから早く」
.
- 14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:18:30 ID:N/Zuu8uw0
-
づーは、ノブを握ったかと思うと、こちらに振り返って、大きく手を振ってきた。
別れの挨拶のつもりなのだろう、ぼくは苦笑いを浮かべて応対した。
とてもではないが、背中に冷たい視線を感じる今、同じく手を振ろうとは思えなかった。
づーがスタジオから出て行く。
そしてはじめて、ぼくは重圧から解き放たれたような気に見舞われた。
( ´∀`)「……はぁ」
( ´ω`)
( ´∀`)「どうしたんだ内藤」
( ´ω`)「どうして僕がモテなくてモナーがモテるんだお」
( ´∀`)「あ、いますげえ腹立った」
( ´ω`)「やっぱドラムのほうがモテるのかお……?」
( ´∀`)「づーにモテてもしかたないモナ」
( ´ω`)「嘘つけ」
( ´∀`)「まじ」
.
- 15 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:19:31 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´ω`)「いいなづーさん……明るい」
( ´∀`)「明るすぎて、逆に」
( ´ω`)「なんなん? モナーはづーさん嫌いなん? 死ね」
( ´∀`)「嫌いとかじゃあ……おまえが死ね」
( ´∀`)「嫌いっていうか……なんであそこまでぼくに絡んでくるかが謎モナ」
( ´ω`)「いくら払ったんだ」
( ´∀`)「殺すぞ」
( ∵) ベベン
( ´∀`)「……まだ二十分あるんだし、何回かあわせるモナ」
( `ω´)「待て! だったら僕にしょ――」
( ´∀`)「ワントゥースリーフォー!!」
.
- 16 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:20:18 ID:N/Zuu8uw0
-
◆
ぼくたちが所属している軽音サークルは、大学構内にスタジオをいくつか備えている。
いま使っていたスタジオはそのうちの一つで、予約をとってはこうしてセッションをしたりするのだ。
そして、制限時間ぎりぎりに迫ったのを見て、ぼくたちは片付けをしていた。
といっても、ぼくはバスドラムに使うペダルしか持参していないので、それを付け替えれば片付けは終わる。
内藤とビコーズが、今回の音あわせの感想を語らいながら、のんびり片づけをする。
それを眺めながら、ぼくはぼうっとしていた。
( ´∀`)「…」
( ^ω^)「あ、そういや僕、Dをダブドミにしてみたんだお! どうだったお?」
( ∵)
(´∵)
( ´ω`)「すなおに弾くお……」
.
- 17 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:21:36 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「……」 ドンドン
( ´ω`)「頭に響くからやめて」
( ´∀`)「…!」
( ´∀`)「……」 ドンドン ドドコン シャーン
( ´ω`)「死ね」
( ´∀`)「死ねって言われたからもっとするモナ」 ダダダダシャーンシャーンシャシャーン
( ´ω`)「生きろ」
( ´∀`)「わかった」 ドコドコドン
( ´ω`)「……」
( ´∀`)「……」
( ´ω`)「……帰るか」
( ´∀`)「うぃ」
.
- 18 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:22:25 ID:N/Zuu8uw0
-
◆
( ^ω^)「じゃ、僕は次あるから」
( ´∀`)「せいぜい飲みサーで粘ってみるモナ」
( ゚ω゚)「あ! そういやてめ、結局づーさんのことは、」
((( ´∀`) 〜♪ テクテク
( ゚ω゚)「待て! モナーが嫌なら僕がアタックするお!? いいのかお!?」
((( ´∀`) 〜♪ テクテク
≡( ゚ω゚)「そうか、ならメアド! メアド教えろ!」
( ∵)っ( ゚ω゚) ガシッ
( ゚ω゚)「モナアアアア!」
( ´∀`)「(おもしれ)」
.
- 19 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:23:07 ID:N/Zuu8uw0
-
◆
( ´∀`)「……」
適当にカフェオレを買って、傍らの空いている席に腰を下ろす。
二コマ連続で空くと、こういうときに手持ち無沙汰を感じて困るのだ。
特段喉が渇いているでもないが、何気なく一口飲む。
飲みなれた、大しておいしくも、しかしまずくもない味。
だが、慣れているからこその安堵を感じられるのはよかった。
周囲を見渡すと、同じく空きコマを持て余している学生たちが、にぎやかに談笑をしたり軽食をとったりしている。
ぼくも平生ならば内藤やビコーズ、あと同じ学部の仲間と一緒にいるのだが、この日のこの時間帯だけは別だ。
孤独が辛いわけでもないが、しかし嬉しいわけでもない。
なにより、手持ち無沙汰を感じるのが嫌なのだ。
そこでふと思うのは、づーのこと。
内藤が取り乱すほどには、ぼくとづーは仲がいい。
しかし、ぼくたちの仲は、内藤が思うようなそれとは違う。
ただ、一方的にづーがスキンシップをとってくるだけなのだ。
いつからそうなったかは、わからない。
最初の出会いも覚えてないし、別段好かれるようなことをした覚えもない。
どちらかといえば冷たく接しているつもりなのだが、まるで効き目は現れていない。
最初はモテ期到来か、などと浮いたことを考えていたが、いまとなってはなんとも思わなくなっている。
.
- 20 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:24:00 ID:N/Zuu8uw0
-
づー。身長は目測百五十、体重は推測四十。
成長のピークを迎え、平均身長が百七十から八十前後となる大学生男子のなかで、
彼女のこの体格は、平生にもまして子供っぽさを感じさせるものとなっている。
声は、可愛いとか低いとかじゃなくて、とにかく、元気。
大きいし、透き通っているし、よく通る声だしで、づーがどこにいても、
ちょっと本気を出されてしまえば、ぼくは嫌でもその声を聞いてしまうことになる。
天真爛漫で、淑やかさがまるでなくて、でもたまにドライ。
体格のことをさて置いても「こどもっぽい」と言わざるを得ない中身だ。
常に調子がいいので、ぼくのようにハイテンションになることが少ない人にとっては彼女との付き合いは難しいだろう。
それでもなぜか、ぼくは彼女とよく関わる。
先ほどのように不意に飛び掛ってくることもあるし、ぼくがなんとなく話しかけることもあるし。
気がつけば、男女間で持つべき感情よりも、友人間で持つべき感情のほうが先行するようになっていた。
畢竟、ぼくは彼女に恋愛感情は持ち合わせていない。友だち以上、恋人未満だ。
ちょうど今、目の前にあるカフェオレのように。
苦くも、甘くもない、その中間の、中途半端なそれにぼくたちの関係は似ていた。
なんて詩的なことを考えてみるが、そんなことを考えても手持ち無沙汰は解消されない。
ここでいたずらに時間をつぶすよりは、図書室でなにか本でも読んでみるほうがよっぽど有意義だろう。
カフェオレを飲みきったら、足早にここを去って―――
( ´∀`)
( ´∀`)「カラ」
.
- 21 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:24:40 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「あれ? もう飲みきっ――」
瓜゚∀゚)「独り言はボケの前兆だぜ」
( ´∀`)「あ、づー」
空席だったはずの右隣から、声がした。
顔をあげつつそちらを見ると、暗い茶色の髪のづーが座っていた。
ノーメイクだそうだが、こうして間近でよく見ると、可愛くないとも言えない――
( ´∀`)「――おい、授業は」
瓜゚∀゚)「サボった」
( ´∀`)「おい」
瓜゚∀゚)「だってー、あのオッサン話クドいし」
( ´∀`)「知らないぞ」
瓜゚∀゚)「どーせ暇だろ? ありがたく思えよ」
( ´∀`)「………、……まあ、暇っちゃ暇だけど……。」
瓜゚∀゚)「きまり!」
.
- 22 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:25:21 ID:N/Zuu8uw0
-
づーが顔一面に笑みを浮かべ、向かいの席に座った。
そこでぼくはあることを思い出した。
( ´∀`)「待て、じゃあそのオレは」
瓜゚∀゚)「飲んだ」
( ´∀`)「あのなあ。一応、ぼくが飲んでたんだぞ」
瓜゚∀゚)「間接キッス! よかったな、モナー」
( ´∀`)「づーがしたことになるモナよそれ」
瓜゚∀゚)「え?」
瓜゚∀゚)「……、……あ!」
なんだか、恥ずかしいな。
瓜゚∀゚)「ま、細かいことはナシだ!」
( ´∀`)「細かいんだ……」
.
- 23 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:26:06 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「とりまなんか食うか!」
( ´∀`)「それはいいとして……その……、」
瓜゚∀゚)「?」
席を立とうとしたづーを抑制するかのように、言葉を濁らせる。
案の定、づーは振り向いて、首を傾げた。
ぼくはここで、今まで幾度となく吹っかけてきた質問を、もはやお約束と言わんばかりにもう一度吹っかける。
( ´∀`)「どうして、ぼくと一緒にいたがるモナ?」
瓜゚∀゚)「なんだ、いちゃあ悪いのか?」
( ´∀`)「そ、そういうわけじゃないけど……」
瓜゚∀゚)「………。」
づーが、肉眼ではわからない程度に頬を膨らませる。
も、すぐにその顔をゆがめ、無邪気に笑ってみせてきた。
.
- 24 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:26:53 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「なんつーか」
瓜゚∀゚)「あたしの第六感が、な」
瓜゚∀゚)「モナーと一緒にいたら、なんかいいことが起こりそうって言うんだ」
ぼくのいつもの質問に対して、彼女は決まって、こう返してくる。
.
- 25 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:27:48 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「……つまり、なんとなくでぼくは振り回されるのか……」
瓜゚∀゚)「納得したか? じゃあなんか食おうぜ! モスな」
( ´∀`)「いや、納得してな……、……あ、ぼくはてりやきバーガーで」
瓜゚∀゚)「じゃ、あと百八十円」
( ´∀`)「……?」
瓜゚∀゚)「ほら、アレ」
( ´∀`)「???」
づーが指差す方向にあるのは、コルクボード。
いつもなら、ここには、本日のメニューだとか値段だとか、そんなものが掲載されている。
しかし今日に限っては、違うものが貼り出されていたようだ。
でかでかと、なにやら面白そうなキャンペーンのお知らせが貼られていた。
目がいいぼくは、着席したままで、そこに書かれているものが読めた。
つまり、五百円の買い物ごとに一度、くじが引けるというのだ。
当たりはバーガーセット無料券で、はずれてもドリンクS無料券がついてくる。
この店で軽食をとろうと思えば五百円は軽く飛ぶので、そう考えると悪くないキャンペーンだった。
.
- 26 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:28:29 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「あー……」
( ´∀`)「なんでもいいモナよ」
瓜゚∀゚)「じゃ、てりやきとポテトな。あたしはセット頼むから」
( ´∀`)「はいはい」
言われて、合計金額――がいくらかわからないので、ぼくは多めに六百円、彼女に渡した。
それを受け取ったづーは、そのまま、いつものように手を大きく振りながら、カフェの隣のバーガーショップに駆けていった。
内藤が取り乱すほどには、ぼくたちの仲は親密に見える。
そのためか、こうしてづーが派手な行動をとるときは、決まって周囲から視線を浴びることになる。
ぼくは、この視線が嫌いだった。
( ´∀`)「(第六感、ねえ……)」
ぼくはふと、聞きなれたその言葉を脳裏に浮かべる。
ぼくも同じ、若い世代を生きる人間であるためわかることだが、
最近の若い世代の人間は、わりと「第六感」に頼る節が多く見られる。
試験でわからない問題の答えを「なんとなく」で決めるのは当たり前として、
昼をコンビニで調達してくるさい、その場でその昼の内容を「なんとなく」で選んだり
じゃんけんで連勝したとしても、なにやら分析された結果でないのは言うまでもない。結局は「なんとなく」なのだ。
そしてづーは、人一倍、その「なんとなく」を重視する。
本能と第六感はリンクしている。
彼女は、より本能に忠実な人間ということなのだろう。
しかし、彼女の場合、それだけではなかった。
.
- 27 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:29:18 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「買ってきたぞ!」
( ´∀`)「モナ」
瓜゚∀゚)「はい、てりやきとポテト」
( ´∀`)「ありが………おい、なんか少ないぞ」
瓜゚∀゚)「ごっそさん!」
( ´∀`)「てめ」
瓜゚∀゚)「で、くじ! 二枚もらってきた。はい、モナー」
( ´∀`)「ちょ……、……まあ、いいか。もらうモナ」
瓜゚∀゚)「狙うはセット無料だぞ! 気合いれろよな」
( ´∀`)「ぼくに何をしろと」
赤い三角形の、くじ。
表記されている指示に従ってめくる。
そんななか、ぼくはふと、気になったことがあった。
これ、「づーが選んできた」くじ、なんだよな?
.
- 28 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:30:02 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「…!」
瓜゚∀゚)「お! きた、チーズバーガーセット!」
瓜゚∀゚)「モナーは……、おお! モナーもてりやきセット当たったじゃねーか!」
( ´∀`)「………」
ぼくは、その三角形に記されていたこの文字を見て、二つの感情を抱いた。
ひとつは、づーと同じ、「やった」と喜ぶ気持ち。
もうひとつは、胸の奥底に積もる、形状の保っていない、黒い霧のようなもの。
瓜゚∀゚)「くじなら、あたしに任せな! といっても、福引は当たったことがないけどさ」
( ´∀`)「そ、そうモナね。ありがとう」
瓜゚∀゚)「じゃ、これさっそく明日にでも使うか!」
( ´∀`)「期限があるのか。そうするモナ」
瓜゚∀゚)「じゃ、いっただっきまーす!」
( ´∀`) モグモグ
瓜゚∀゚)「あ、モナーもいただきますしろよ!」
( ;´∀`)「え? あ、じゃあ……もういただいておりまーす」
瓜゚∀゚)「なんだそれー」
( ;´∀`)「悪かったモナ」
.
- 29 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:30:56 ID:N/Zuu8uw0
-
――ぼくが、づーと出会って一週間したあたりから、胸に秘め続けてきた感情がある。
恋愛感情ではないし、性欲でもない。
まして、づーは、過去に生き別れた親族でもなければ、遠い昔に別れた親友でもない。
この大学ではじめて知り合った、ちょっと変わっているというだけの友人である。
だが、ぼくはそれでも、づーにただならぬ思いを感じていた。
いや、感じさせられていた。
瓜゚∀゚)『やりィ! 五連続正解だ!』
クイズ番組を見ていたときだったり
瓜゚∀゚)『どうだ、うまいだろ、あたしの初料理。レシピ見ないでつくったんだけどさ』
手作りの料理をふるまってくれたときだったり
瓜゚∀゚)『……ド? お、当たり? やったー!』
ギターを使ってなんの音かを当てるゲームをしていたときだったり。
.
- 30 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:31:38 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「……」
瓜゚∀゚)「でも、当たるならえびのがよかったなー」
( ´∀`)「……」
瓜゚∀゚)「? 腹減ってないのか? ……もらいっ!」 ヒョイ
( ;´∀`)「…あ! ちょ……」
瓜゚∀゚)「いいじゃんいいじゃん! その無料券の代わり!」
( ;´∀`)「いや、悪くはないけど……」
瓜゚∀゚)「……、…?」
( ;´∀`)「…?」
瓜゚∀゚)「……どうした? 疲れてるのか?」
( ;´∀`)「あ、いや……そうモナね。ちょっと眠い」
瓜゚∀゚)「そっか」
( ;´∀`)「……」
瓜゚∀゚) モグモグ
.
- 31 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:32:19 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「……ぼくも」
瓜゚∀゚)「?」
ぼくは、ぼくのわずかな異変を察知し少ししょんぼりとしたづーを見て、決めた。
ふと、小さな声を何気なく出す。
それに、ドリンクを飲んでいたづーが、反応を見せた。
( ´∀`)「ぼくも、五限目サボるモナ」
瓜゚∀゚)「えー? 出なくていいのか?」
( ´∀`)「内藤にカード出してもらう」
瓜゚∀゚)「あれ、バレたら即全ての出席無効だったよな」
( ´∀`)「ほら、先生はショボンだから。バレないバレない」
瓜゚∀゚)「やめといたほうがいいと思うけどなぁ」
( ´∀`)「そしてなにより、づーにだけは言われたくない」
瓜゚∀゚)「あは! それもそっか。って、あたしは出席はごまかしてないぞ」
.
- 32 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:33:04 ID:N/Zuu8uw0
-
づーが、いつもの明るさを取り戻す。
ちょっと、報われたような気がした。
瓜゚∀゚)「……じゃ、いまから一緒に帰るんだな!」
( ´∀`)「モナ」
瓜゚∀゚)「やったー! 帰れるぞ!」
( ;´∀`)「わかったから、もっと静かに……」
いつものようなやり取りを交わしながら、ぼくたちは席をたった。
くしゃっと握っていたくじはポケットにいれて、ゴミは近くのゴミ箱に放り込む。
いざ授業をサボろうと決心すると、罪悪感を覚える反面、いつもよりも大きな開放感を得られる。
これを感じられるのが、高校と大学の大きな違いなんだ、とぼくは思っている。
瓜゚∀゚)「どっか寄る?」
( ´∀`)「づーはどうするモナ」
瓜゚∀゚)「家いてもすることないから、モナーんチ行きたい」
( ´∀`)「酒もお菓子もないぞ」
瓜゚∀゚)「じゃあコンビニ寄るか!」
( ´∀`)「また金使うのか……」
.
- 33 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:34:00 ID:N/Zuu8uw0
-
◆
コンビニには、見ているだけでよだれの出てきそうなつまみが多数置かれている。
値段としては高く、味もやはりコンビニらしいものであるため、これのオトナ買いは本来避けるべきなのだ。
ただでさえ、からあげが五つで二百円をも超えるという店である。
決して、無駄遣いなどしないように。
(‘_L’)「二千二百五円ですね」
瓜゚∀゚)「あれー?」
( ´∀`)
決して、無駄遣いなどしないように――
.
- 34 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:34:42 ID:N/Zuu8uw0
-
( ;´∀`)「ちょっと、待ってください」
(;‘_L’)「え? あ、はい」
レジからつまみと酒の入った籠を引き、おにぎりの棚の前に移動する。
そしてぼくは今一度、籠のなかのつまみを確認していった。
づーはそれをきょとんとした様子で見るばかりである。
( ´∀`)「スモークサラミが、一点」
瓜゚∀゚)「一点」
( ´∀`)「割けるチーズが、二点」
瓜゚∀゚)「二点」
( ´∀`)「コーンサラダが、一点」
瓜゚∀゚)「一点」
( ´∀`)「その他、大量のつまみが、えっと、五点ほど」
瓜゚∀゚)「最後に、チューハイが四缶」
( ´∀`)「却下だ」
瓜゚∀゚)「なんでー?」
.
- 35 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:35:32 ID:N/Zuu8uw0
-
ぼくは先ほど、バーガーとポテトに五百円強もの金を、それも唐突に消費している。
一日三百円以内で済ませようと努力しているぼくにとって、これ以上の、それも四桁になる出費は、問題外だ。
確かに、ほいほい籠になにやら入れていくづーを警戒しなかったぼくも悪いのだが。
店内を歩き回り、明らかに余分となっているものを返していく。
づーはぼくの服を引っ張って、それを妨げてきた。
瓜;゚∀゚)「なんで、なんでさ!」
( ´∀`)「誰が払うねん」
瓜゚∀゚)「ワリカンでいーじゃん」
( ´∀`)「ぼくの予算はあと五百円モナ」
瓜゚∀゚)「えー」
( ´∀`)「えーじゃない」
そんなやり取りをしつつ、商品を減らしていく。
結果、チューハイが四本に軟骨揚げ、あとチーズが残った。
これをワリカンすれば、まあ、及第点だろう。
先ほど金を使った時点で及第もくそもないが。
.
- 36 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:36:45 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「すーくーなーいー」
( ´∀`)「ぼくんチにどんくらいいるつもりなんだ」
瓜゚∀゚)「じゃ、せめて、あとこれだけ」
( ´∀`)「?」
そう言うと、づーは慌てて、レジの列から飛び出した。
かと思えば、なにかを手にとって、帰ってきた。
づーが持ってきたものは、辛味の効いたポテトチップスだった。
瓜゚∀゚)「これだけ」
( ´∀`)「いくら?」
瓜゚∀゚)「百五」
( ´∀`)「………却下。」
瓜;゚∀゚)「なーんーでー!? キンケツー?」
( ´∀`)「払う金はあっても、予算を超過するモナ」
瓜゚∀゚)「あたしに嫌われてもいいのかー?」
( ´∀`)「どうぞどうぞ」
瓜;゚∀゚)「ケチ!」
( ´∀`)「買うなら、自分の金でだな」
瓜゚∀゚)「もったいない」
( ´∀`)「てめ」
.
- 37 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:37:49 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「じゃあ、じゃあさ」
( ´∀`)「?」
づーが、なにやらもったいぶった言い方をする。
そのため、ぼくは視線をづーのほうに遣った。
彼女は、右腕を差し出してきた。
瓜゚∀゚)「じゃんけん」
( ´∀`)「ハ」
瓜゚∀゚)「じゃんけんでモナーが勝ったら、これは我慢するよ」
( ´∀`)「ちょ」
( ´∀`)「え、ぼくにメリットがない」
瓜゚∀゚)「いーから! ほら、だっさもん負っけで――」
( ;´∀`)「わ! ちょ――」
.
- 38 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:39:11 ID:N/Zuu8uw0
-
咄嗟に、空いているほうの手を出す。
ぼくは、無意識にパーを出すくせがあるのだ。
そして、それはづーも知っている。
だから、こそ。
( ´∀`)「…。」
瓜゚∀゚)「あは! あたしの勝ちー」
瓜゚∀゚)「じゃ、ワリカンな」 ヒョイ
( ´∀`)
( ´∀`)「ずるい」
だからこそ、咄嗟にじゃんけんを申し込まれた場合、まず、負ける。
づーは、ぼくの癖を把握した上で、こうして、なにかをしでかしてくる。
憎いやつだ、としか言えない自分の肩身の狭さが、つらい。
.
- 39 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:39:54 ID:N/Zuu8uw0
-
(;‘_L’)「あ、あの」
( ´∀`)「え、ぼく?」
(;‘_L’)「あとのお客様がつかえてますので……」
( ´∀`)「え」
( ´∀`)
(´∀` )
以#`゚益゚以 イライラ
(´∀` )
( ´∀`)
≡( ;´∀`)「ごごごッごめ、ごめんなさい!!」
瓜゚∀゚)「あーあー」
.
- 40 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:41:01 ID:N/Zuu8uw0
-
◆
ぼくの住まうアパートに帰ってくる頃には、だんだんと日が傾きつつあるときだった。
結局、予定外の出費を、予定の倍以上も出してしまった。
づーが機嫌をよくしてか始終にこやかなのはいいことなのだが、しかしつりあわない。
下宿生にとっての五百円は、都会での千円以上に重いものとなるのだ。
それを帰路で散々説いたのだが、蛙の面になんとやらだったわけで。
やっぱり、づーはぼくを困らせて楽しむ節があるなあ、と思った。
別にそこまで気に障るものでもないので、いいわけなのだが。
瓜゚∀゚)「帰ってきたー!」
( ;´∀`)「人んチをなんだと思って……あ、鍵開けてないって」
ノブをわざとらしく引っ張るづーを制して、ぼくは扉を開けた。
疲れがどっと押し寄せてきたため、早速入ろう――
としたところで、づーがなぜかぼくを押して先に中に入っていった。
づーは乱暴に靴を脱ぎ捨てて、今の、座布団を積んであるところに飛び込む。
よけいに、疲れがどっと押し寄せてきた。
.
- 41 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:41:42 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「疲れたー」
( ´∀`)「ぼくはその三倍疲れたモナ」
瓜゚∀゚)「じゃあ、酒盛りのはじまりだな!」
( ´∀`)「時計見やがれ」
瓜 ゚∀) チラッ
瓜゚∀゚)「見た!」
( ´∀`)「表出ろ」
瓜ぅ∀t)「あーあー暗いーもうお酒の時間だー」
( ´∀`)「………はぁ。」
瓜゚∀゚)「あ、いま『めんどくせえなコイツ』って思っただろ」
( ´∀`)「わかったならおとなしくしなさい」
瓜゚∀゚)「わかったってば」
.
- 42 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:43:06 ID:N/Zuu8uw0
-
づーを宥めたところで、ぼくも畳の上に、どかっとうつぶせで寝転んだ。
この、古びれた感じのするい草の匂いが、またぼくを癒してくれる。
その癒しを、あろうことかづーは妨害してきた。
寝転がって畳のアロマを堪能しているぼくの背中に、飛び込んできたのだ。
二人がうつぶせで二段になっているような構図である。
づーも、体躯がちいさいとは言え、人間。重い。
図らずも「ぐえっ」と情けない声を出してしまった。
瓜゚∀゚) 〜♪
( ´∀`)「………降りろ」
瓜゚∀゚)「暇ー」
( ´∀`)「なんで来たモナ」
瓜゚∀゚)「え、モナーがいるから」
( ´∀`)「じゃあ暇じゃないんだよな」
瓜゚∀゚)「………ひまー」
( ´∀`)「くそったれ」
.
- 43 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:43:53 ID:N/Zuu8uw0
-
ぼくがそう吐き捨てると、気分をよくしたのか、づーは鼻歌をうたいながら、足を交互にぱたぱたと上下させてきた。
明らかな敗北感しか得られず、ぼくは、惨めなものを感じた。
ならばいっそ、づーを布団代わりとでも考えて、このまま寝るほうがいいだろう。
づーに気づかれないように、目を閉じて、体重を全て畳に載せた。
( ´∀`) Zzz
瓜゚∀゚)「モナーって躯あったかいな!」
( ´∀`) zz
瓜゚∀゚)「あれだろ、心が冷たい人は〜ってやつ」
( ´∀`)
瓜゚∀゚)「違う?」
( ´∀`)
瓜゚∀゚)「じゃあ、あたしに緊張して照れてるのか」
( ´∀`)「ぶっ」
瓜゚∀゚)「あ、起きた」
( ´∀`)「て、てめえ」
.
- 44 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:45:15 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「あたしとモナーの仲じゃんか。恥ずかしがるなって!」
( ´∀`)「ぼくはその仲を許可した覚えないモナよ」
瓜゚∀゚)「あーはいはい。とりあえず、なんかしよ」
( ´∀`)「……………寝る」
瓜゚∀゚)「だめ」
( ´∀`)「寝る」
瓜゚∀゚)「だめ」
( ´∀`)「寝る!」
瓜゚∀゚)「だめ!」
( ´∀`)「じゃあなにするんだっての」
瓜゚∀゚)「うーん……勉強?」
( ´∀`)「サボったやつの言うこととは思えないな」
.
- 45 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:45:55 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「あたしは大丈夫だけど、ほら、モナーは頭悪いじゃん」
( ´∀`)「それ、それ」
瓜゚∀゚)「ん?」
( ´∀`)「づーは、大して勉強してないよな」
瓜゚∀゚)「まーねー」
( ´∀`)「教えろ。どうやってカンニングしてるモナ」
瓜゚∀゚)「カンニングなんかしなくたって、あたしはほら、天才だから」
( ´∀`)「そのからくりを教えるモナ」
瓜゚∀゚)「えー」
( ´∀`)「えーじゃない」
瓜゚∀゚)「からくりと言ってもなあ」
( ´∀`)「…?」
瓜゚∀゚)「だって、ほら」
瓜゚∀゚)「勘で書けば、だいたい当たるから」
.
- 46 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:46:48 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「……っ!」
瓜゚∀゚)「記述とかレポートはどーしても無理なんだけど、さ」
瓜゚∀゚)「試験で、それも選択肢あるやつなら、だいたい当たる」
瓜゚∀゚)「……いや。だいたいっていうか、百発百中だな。タブン。すごいだろ」
( ´∀`)
( ´∀`)「………。」
そうだ。
づーには、「それ」があるんだ。
今まで、薄々感づいていたこと。
づーは、勘が、すこぶるいい。
いや、「いい」なんて言ってしまえば、それまでなのだ。
こんなことを、心の底から信じる、なんてできない。
だから、「もしかしたら」でいいのだ。
ひょっとしたら、希望的観測、あわよくば、あるいは―――
そんな、無責任な推測で、いい。
いいから、僕は、彼女の「勘」から、ある力を信じてみたい。
.
- 47 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:47:30 ID:N/Zuu8uw0
-
第六感が、
百発百中となる、だなんて奇跡。
.
- 48 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:48:11 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「……」
瓜゚∀゚)「…? モナー、変だぞ。どうかした?」
( ;´∀`)「え、あ、いや……うん。」
( ´∀`)「……ぼくも、勘で試験受けてみるかな」
瓜゚∀゚)「やめとけー。前もそう言って、見事に単位落としたじゃんか」
( ´∀`)「じゃあ勘のコツを教えろ」
瓜゚∀゚)「こつぅー? コツ、ねぇー」
僕の何気ない質問に、づーは思いのほか、首を大きく傾げた。
真剣に答えてくれる姿勢を見せてくれたという時点で、僕は逆説的に驚いた。
答えてくれるんだ―――
瓜゚∀゚)「なんか、それはまずい!って思ったら、おなかの底が、キュンってなるんだよ」
( ´∀`)「ごめん、無理」
その感覚がわかってたら、誰もがその第六感持ってるわ。
.
- 49 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:48:54 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)「じゃあ、とりあえず選択肢があるやつだけにしか勘は働かないモナね」
瓜゚∀゚)「いやー? そうじゃないぞ」
( ´∀`)「え?」
瓜゚∀゚)「なんつーか……記述問題とかも、働かないわけじゃあない」
瓜゚∀゚)「ただ、勘ってさ、ほら、漠然としてるじゃん。だから、勘で記述問題とかは無理」
( ´∀`)「へー」
瓜゚∀゚)「……まあ、誰も信じてくれないんだけど、さ」
( ´∀`)「ぼくは信じてるモナ」
瓜゚∀゚)「ほんとにー?」
( ´∀`)「ほんとほんと」
瓜゚∀゚)「クチが笑ってる」
( ´∀`)「これ素」
瓜゚∀゚)「あは! なんだそれー」
( ´∀`)「いや、でもづーの勘はほんとうに……、……あ」 ヴーヴー
.
- 50 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:49:34 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)「ん?」
( ´∀`)「ごめん、メール」
瓜゚∀゚)「んー」
( ´∀`) ピッ
( ´∀`)「……」
スマホをいじって、いま届いたメールに目を通す。
メルマガかな、親からかな。
なんてことを考えると、なんと、友人からだった。
友人からのメールは、なぜか、嬉しい。
――けど。なぜかこのときに限っては、そうはならなかった。
宛先が内藤、というのを見て、一瞬僕は、股間がキュンとしたのだ。
最初は「あ、内藤か」としか思っていなかったのだが、「あのこと」を思い出すやいなや、
目は開かれるし、身体中の汗腺が開かれるしで、もう、嫌な予感しかしなかった。
そして、僕の場合、「嫌な予感」というのはだいたい当たるのだ。
.
- 51 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:50:20 ID:N/Zuu8uw0
-
( ´∀`)
瓜゚∀゚)「んー? どうしたの」
( ´∀`)
( ´∀`)
( ´Д`)
瓜゚∀゚)「……モナー?」
( ´Д`)
瓜゚∀゚)「もー。メール見るぞ」 ヒョイ
瓜゚∀゚)「……」
瓜゚∀゚)
瓜゚∀゚)「あ」
「代理出席がばれたお! まじすまんこ><」
これが、内藤から僕に届けられた、一通の死刑宣告であった。
.
- 52 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/03(金) 10:51:55 ID:N/Zuu8uw0
-
瓜゚∀゚)シックスセンス・ギフトのようです
つ づく ;´∀`)
.
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