ブーン系ゴールドラッシュ2013〜突発! タイトル祭り〜
瓜゚∀゚)シックスセンス・ギフトのようです
  中編



61 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:38:11 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
(´・ω・`)「ほんとうに、今までは、サボったことはないんだね?」
 
( ;´∀`)「そりゃあもう……」
 
(´・ω・`)「怪しいな。目が泳いでるぞ」
 
( ;´∀`)「ショボン先生は、代理出席を禁じている」
 
( ;´∀`)「そしてこのたびぼくは代理出席を頼んだ」
 
( ;´∀`)「だから、ばれた」
 
(´・ω・`)「…」
 
( ;´∀`)「ばれたってことが、いい証拠です!
.      もし今までに代理出席をしていたら、そのときにばれてしまってます!モナ!」
 
(´・ω・`)「…」
 
( ;´∀`)「…」
 
(´・ω・`)「…」
 
 
(´・ω・`)「……まあ、いいよ。今回だけなら、ね」
 
( ´∀`)「モナ!」
 
 
.

62 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:39:24 ID:65DzQnYk0
 
 
 
(´・ω・`)「けど、きみも論理学を学ぶ一学生なら、知っておくといい」
 
( ´∀`)「はい?」
 
(´・ω・`)「いまのは、結果論っていうんだ」 パラ
 
( ´∀`)
 
( ´∀`)「…えっと、先生。なんですか、その用紙」
 
(´^ω^`)「ん? ああ、これ。よく気づいたね」
 
( ´∀`)「その。束になってるなーって……」
 
(´・ω・`)「罰として、二十枚。レポートを書いてもらうよ」
 
( ´∀`)
 
( ´Д`)「モナァァ!?」
 
(´^ω^`)「マ、きみにとっての論理学についてでも熱弁してもらおうか!」
 
( ´Д`)「ぼく、論理学なんてさっぱりですモナ!」
 
(´・ω・`)「あれ? いままでの僕の講義には出てたんだよね? じゃあある程度は書けるだろ?」
 
( ´Д`)「あっ…」
 
(´^ω^`)「論理ってのはね、こうするものなんだよ。じゃ、せいぜい頑張ってくれたまえ」
 
( ´Д`)「…………モナ」
 
 
.

63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:40:09 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
( ^ω^)「おいすーwww未来のチャンピオンwwww」
 
( ´Д`)「……」
 
瓜゚∀゚)「言ったろ、『やめといたほうがいいと思う』って」
 
( ´∀`)「あっ…」
 
 
 教授の部屋から、ぼくたち三人はてくてくと歩いて、帰路に着こうとしていた。
 内藤から一報をもらったぼくは、すぐさま大学に戻ってきたのだ。
 共犯者の内藤も当然捕まったのだが、どういうわけか、罰らしき罰をもらったのはぼくだけなんだと言う。
 
 しかも、本来ならばぼくと一緒にブルーな気持ちに浸るべきであるはずの内藤が、
 なぜかここぞとばかりに、さぞかし嬉しそうな顔を浮かべるのだ。
 それが鬱陶しいから、脇腹をつついた。
 
( ^ω^)「あん」
 
瓜゚∀゚)「で、なにについて書けって言われたんだ?」
 
( ´∀`)「……論理学」
 
瓜゚∀゚)「なーんだ、適当にでまかせ書けばいけるじゃん!」
 
( ´Д`)「づーはショボンのめんどくささを知らないモナ……」
 
( ^ω^)「つついといて無視はないと思う」
 
 
.

64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:40:55 ID:65DzQnYk0
 
 
 
( ´Д`)「もう論理学単位落とそうかな……」
 
瓜゚∀゚)「やめとけって。言っといてやる、『やめといたほうがいいと思う』」
 
( ´Д`)「不吉なことは言わないでくれ……」
 
 
( ^ω^)「まーがんばれ。それより、これからどうするお?」
 
瓜゚∀゚)「あたしはー、モナーと酒盛り」
 
( *^ω^)「さ、酒盛り? ってことは、その勢いで……」
 
( ´Д`)「場合によっちゃ、殴る」
 
( ^ω^)「だったら僕も混ぜやがれ」
 
瓜゚∀゚)「ブーンはいや」
 
( ´ω`)「な、なんで……」
 
瓜゚∀゚)「泣き上戸はな、嫌いなんだ」
 
( ;´ω`)「ぼ、僕って泣き上戸なの……?」
 
( ´∀`)
 
(´∀` )
 
( ;´ω`)「こっち向いてお! 答えてお!!」
 
 
.

65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:41:35 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「やっぱりあんだけじゃ足んないって。なんか買おうよ」
 
( ´∀`)「カネ」
 
瓜゚∀゚)「えー。じゃあブーンもきていいぞ、酒盛り」
 
( ^ω^)「え、まじ?」
 
瓜゚∀゚)「ツマミ」
 
( ´ω`)「もう二人でやってろ」
 
瓜゚∀゚)「お金があればなー」
 
( ´∀`)「モナ」
 
( ^ω^)「なんでい、モナーキンケツかお」
 
( ´∀`)「下宿生の宿命だし」
 
( ^ω^)「ふんふん。じゃあ、いいものを見せてやろう」
 
( ´∀`)「?」
 
 
.

66 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:42:17 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 もったいぶってナニを言うかと思えば、内藤はそのまま、尻ポケットから長財布を取り出した。
 もしかして、金を貸してくれるのか。
 そうとなれば、今すぐこいつの機嫌をとっておかなければならない。
 
( ´∀`)「最近やせた?」
 
( ^ω^)「貸さんからな」
 
( ´∀`)「デブ」
 
( ^ω^)「あってめ」
 
 
 なんてやり取りをはさみつつも、内藤は「いいもの」を手に取る。
 それがあらわになったとき、先に、づーが反応した。
 
瓜゚∀゚)「……? え、それって…」
 
( ´∀`)「……っ!」
 
( ^ω^)「よし、これを目に焼き付けるのだ」
 
 
 
 内藤は、諭吉さんを七枚、扇状に広げては見せびらかしてきた。
 
 
 
( ´∀`)
 
( ´∀`)「やっぱ、最近やせたっしょ」
 
( ^ω^)「だから貸さんって」
 
 
.

67 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:43:10 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「すげえー! ブーンお金持ち!」
 
( ´∀`)「塾講?」
 
( ^ω^)「働いたら負けっしょ」
 
( ´∀`)「…!」
 
( ´∀`)「そのカネをつくるのに、てめえのカーチャンがどれだけ苦労したと――」
 
(  ゚ω゚)「やめて! 違うけどやめて!」
 
瓜゚∀゚)「あれー?」
 
 
 バイトの給料でもなければ、親からのお情けでもない、と。
 だとすると、この金の出所はいったい。
 
 聞かずとも、それが顔にあわられていたのだろう。
 内藤はフフンと鼻を鳴らし、上から目線を浴びせてきた。
 
 
( ^ω^)「モナー。僕たちも、もうオトナなんだお」
 
( ´∀`)「……! ま、まさか……」
 
( ^ω^)「そうだお。実は――」
 
 
 
( ´∀`)「―――汁男優?」
 
( ^ω^)「ごめん、違う!」
 
 
.

68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:44:04 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「汁男優?」
 
( ´∀`)「あなたは知らなくていい言葉です」
 
( ^ω^)「あのな、もっと健全なものだっての」
 
( ´∀`)「健全……コンビニの深夜バイト」
 
( ^ω^)「不健康じゃねーか」
 
( ´∀`)「ちゃっちゃと言え」
 
( ^ω^)「パチンコ」
 
( ´∀`)「死ね」
 
瓜゚∀゚)「パチンコねー」
 
 
( ^ω^)「え、なんで?」
 
( ´∀`)「どこか健全モナ。むしろ深夜バイトのほうがぬるいわ」
 
( ^ω^)「働かずして稼ぐ! これぞ最高の仕事だお」
 
( ´∀`)「……パチンカス」 ボソッ
 
( ^ω^)「なんだって?」
 
( ´∀`)「チンカス野郎め」
 
( ^ω^)「もっとオブラートに!!」
 
 
.

69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:44:44 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「パチンコって、面白い?」
 
( *^ω^)「スリルを味わいつつお金をもらうんだお! 最高だお」
 
( ´∀`)「ただし視力低下、聴力低下、人間性低下等のおそれがございます」
 
瓜゚∀゚)「人間性?」
 
( ´∀`)「つまり、低俗な輩になるって話」
 
瓜゚∀゚)「じゃあ、ブーンはだめ人間なんだ」
 
( ^ω^)「あ、もっと罵って」
 
瓜゚∀゚)「?」
 
 
 (((^ω^ >と( ´∀`) ズリズリ
 
 
 
( ´∀`)「おまえ、本気で殴るぞ」
 
( ´ω`)「ず、ずるいおモナーばっかり……」
 
 
.

70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:45:24 ID:65DzQnYk0
 
 
 
( ´ω`)「僕だって、女の子とイチャイチャしたり――」
 
瓜゚∀゚)「でも、お金もらえるのかー」
 
( ´∀`)「あ、だめだめ。こんなやつの言うこと聞いちゃ」
 
( `ω´)「もういいお! こうなったら風俗行くお! カネならある!」
 
( ´∀`)「……ほら。こんなこと言うやつだぞ」
 
瓜゚∀゚)「うーん」
 
 
( ^ω^)「てなわけで僕は行ってくるわ」
 
( ´∀`)「行ってくるって、」
 
( ^ω^)「………初…風俗……っ」
 
( ´∀`)「よし、明日からはビコーズと二人で音鳴らすわ」
 
( ´ω`)「リズム隊がどう音を鳴らすと……」
 
 
.

71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:46:04 ID:65DzQnYk0
 
 
 
( ´∀`)「まあ、程ほどにしとけよ」
 
( ^ω^)「そうするお。じゃ」
 
( ´∀`)「モナ」
 
瓜゚∀゚)ノシ「ばいぶー!」
 
(  ゚ω゚)「!」
 
( ´∀`)「言っちゃいけません!」
 
瓜゚∀゚)「え、なんで」
 
(  ゚ω゚)「も、も一度! も一度だけ言っ――」
 
瓜゚∀゚)「?」
 
 
                 ズリズリ
  ((ヾ(゚ω゚  >と( ´∀`)
     「づーさん、ばいぶー! ばいぶー!!」
 
 
.

72 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:46:45 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
 内藤は、妙に女垂らしなところがある。
 というよりは、中高と一貫して男子校だったというのを踏まえると、女性経験が浅いから、
 このキャンパスライフでなんとか経験を積もう、という考え方になっているだけなのだろうが。
 
 とにかく、自分という男に対して友好的に接してくれるづーに、
 なにかと自分のなかのピンクな妄想を実現させようとたくらんでいる節が見られるのは事実だ。
 内藤自身は悪いやつでないのも事実だが、そこはなんとか自重してもらいたい。
 
 づーは、純粋な女子なのだ。
 少なくとも、自分の持っているであろう「奇跡」を、悪用するという発想がないほどには。
 
 
 
瓜゚∀゚)「なー、モナー」
 
( ´∀`)「うぃ」
 
 
 
 でも。
 
 
.

73 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:47:27 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 
 
 
 
 
瓜゚∀゚)「あたしの勘のよさ、ギャンブルにも通じるのかな?」
 
 
( ´∀`)
 
 
 
 
 今回に限っては、かなり余計なことをしでかしてしまったようだ、内藤は。
 
 
 
 
 
 
.

74 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:48:09 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 むろん、ギャンブルが絶対悪だ、とは言わない。
 ただ、いままでの倫理教育において、だいたいタバコとギャンブルに白羽の矢がたっただけであって
 一つの趣味としては、タバコだろうがパチンコだろうが、別に問題ないと思っている。
 それらを趣味として嗜んでいる人に、マナーの悪い人だとか、頭のゆるい人が多いというだけで。
 
 内藤の言うような、スリルを感じられたり、それであわよくば金を稼げたりと、
 そういった面に面白さを見出しては趣味として楽しむ人もいることには違いない。
 ぼくだって、興味こそないが、確かにそんな調子で楽しめるのなら、悪くない、とは思っている。
 
 だが、たとえそうだとしても、やはり人間性には悪影響を与えると思うのだ。
 パチンコの場合、儲かる確率は、常識的に考えて、損をする確率以上に低い。
 パチンコが、そういう一つのビジネスとして成立している以上は。
 
 しかし、パチンコを楽しむ人の大半は――というか、九分九厘、金稼ぎを目当てにしている。
 そうでなければ、一回遊ぶのに万単位で金が飛ぶなど、考えられないだろう。
 その分の金を、たとえば内藤なら、新しいギターだったり音のきれいなアンプだったりを買うほうが建設的だ。
 
 そんななか、ビジネスであるパチンコは、そういった人たちから、金を搾り取っていく。
 で、たまに、還元と言わんばかりにある程度の金をそういった人たちに与える。
 つまり、気がつけば、稼ぐことにのみ意識がいって、しかし徐々に搾り取られていく金を見て、そのうち、気がおかしくなるのだ。
 
 パチンコにはまりすぎて借金、そして破産。
 パチンコにはまりすぎて家の金を使い果たし、家族崩壊。
 パチンコにはまりすぎて暴力的になり、逮捕、実刑判決。
 
 パチンコが、絶対ではないにしても、遊ぶ人に少なからず
 悪い影響を与えかねないものであろうというのは自明の理のはずだ。
 そしてぼくは、づーに、そんなパチンコ――もとい、ギャンブルを、させたくない。
 
 
.

75 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:49:05 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「…? モナー?」
 
( ´∀`)「……」
 
 もし、づーが、自分の奇跡の力に気がついたとしよう。
 今ならば問題ないにしても、もし、同時に、彼女が、ギャンブルで金を稼ぐ快感を得ていたら。
 
 
 
 間違いなく、彼女も、ギャンブル中毒になる。
 
 
 
 ギャンブル中毒の人が果たして、
 正常とされる思考を持ち、
 正常とされる倫理観念を持ち、
 正常とされる生活を送ることができるのだろうか。
 
 運がいいだけの一般人なら、あるいは、ありうるかもしれない。
 しかし、づーは、ぼくの勝手な見解でいえば、「一般人」の枠には入らないのだ。
 むしろ、ばかみたいに稼げるのを見て、自分のことを神かなにかと勘違いする段階にまで達するかもしれない。
 
 今のづーという人からは、とてもそのような未来は考えられない。
 しかし、だからといって、起こり得ないとは、これまた断言できない。
 
 ぼくとしては、彼女がギャンブルの道に走るのを、止めなければならない。
 ならここで、「さすがにギャンブルには通じないと思う」と言えばいいのだろうか。
 
 
.

76 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:49:50 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 ――ぼくがもしづーの立場だったら。
 ここで相手がやめたほうがいいと言ってきても、だ。
 好奇心に駆られ、なんとなしにギャンブルをしにいくだろう。
 
 
瓜゚∀゚)「せっかくオトナになったんだし、一回くらいやってみる?」
 
( ´∀`)「……」
 
瓜゚∀゚)「モーナーァー…」
 
( ´∀`)「…」
 
瓜゚∀゚)「どうした? おかしいぞ、最近」
 
( ´∀`)「…」
 
 
 
( ´∀`)「……やってみる?」
 
瓜゚∀゚)「おー! 楽しみになってきた」
 
( ´∀`)「モナモナ」
 
 
 
( ´∀`)
 
( ´∀`)「…。」
 
 
.

77 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:50:30 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「やっぱ、パチンコかな? ブーンもお金もらってたし」
 
( ´∀`)「(『もらう』……か)」
 
 
瓜゚∀゚)「あー、でもパチンコはだめだ」
 
( ´∀`)「? なんで?」
 
瓜゚∀゚)「あたしのせっかくの勘が、生かされない」
 
( ´∀`)「…? あ、ああ」
 
( ´∀`)「でも、釘のアマさとかがわかるんじゃあ」
 
瓜゚∀゚)「クギ?」
 
( ´∀`)「あ、いや……なんでもないモナ。そうだな、じゃあ……――」
 
 
 
 
.

78 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:51:10 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
瓜゚∀゚)「馬! おい、あんなのテレビでしか見たことがないぞ!」
 
( ´∀`)「ぼくも」
 
 
 ――行き着いた先は、競馬場だった。
 競馬とは、パチンコやスロットなんかより人気はない、など思っていたのだが
 こうしてみると、競馬は競馬でなかなかの人気を誇っており、
 平日の昼だというのに、競馬場は、多くの客でにぎわっていた。
 
 ぼくは競馬については詳しくない。
 とりあえず入ってみては、円形状の広場を馬が歩いているのを眺めているだけだ。
 プロレスラーのようなマスクをつけた馬が、観客にコンディションでも
 確認させようとしているのか、ただその場でぐるぐる回っている。
 
 赤い鉛筆を耳に挟んだ親父や、競馬新聞を二つに折り曲げて尻ポケットにさしている親父。
 仲間内である馬に指をさしては耳打ちをしたり、新聞と馬とを見ては頭をわしゃわしゃと掻いたり。
 そこはまさに、テレビや漫画の世界でしか見たことのない光景であった。
 
 それがいま、目の前で広げられている。
 競馬、もといギャンブルが好きになった、というわけではないが、これはこれでまた楽しそうなものであった。
 
 
.

79 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:51:57 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「買おう、はやく買おう」
 
( ´∀`)「馬は見なくていいモナ?」
 
瓜゚∀゚)「見たところでなんか変わるってか?」
 
( ´∀`)「そうだな。そうだ」
 
 
 ぼくとづーは足早にその場を去って、スタジアムのなかに足を踏み入れた。
 壁や廊下は如何にもコンクリート、みたいな感じがして、古ぼけた印象を持った。
 
 とりあえず馬券売り場の前、電光掲示板に目を通す。
 しかし、表示される意味の大半がわからない。
 そもそも、いくらづーの奇跡が適応されそうだからといって、
 まったく内面を知らない競馬で試してみる必要はあったのだろうか。
 それなら、ポーカーでもブラックジャックでもするほうがよっぽど有益であるような気がする。
 
 売り場のおばちゃんに買い方を簡単に聞いて、づーに目配せする。
 づーは「うーん」と少しうなってから、馬やオッズを全く見ずに番号を言った。
 おばちゃんはいろいろな賭け方を教えてくれたが、無能なぼくの頭には単勝がどうこうということしか入ってこなかった。
 そのため、ボックスだの、連枠だのという賭け方は無視して、ひとまずその単勝とやらで賭けてみることにした。
 
 馬券を買うとき、づーは、実に好奇心を感じさせるような表情を浮かべていた。
 その好奇心に裏はなく、それを見てぼくも、どこか癒された気持ちになった。
 
 そう、づーは、無邪気なのだ。
 無邪気であるづーにぼくは、進んでギャンブルをさせているのだ。
 
 
.

80 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:52:39 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 レース開始が思いのほか近く、ジュースでも飲んで一息つこうかと思っていたのも束の間
 気がつけば、ぼくとづーは会場に赴いていた。
 野球場でも聞くことはそうそうないであろうほどの熱狂、熱気、歓声が、場内に広がっている。
 ぼくとづーは適当に空いている席に座り、なんとなしにコースを見ていた。
 
 馬の顔、なんて知らない。
 ただづーが適当に選んだ番号のみを頼りに、目当ての馬を探す。
 二番目のレーン、紫色のマスクをした馬が、目当ての九番だった。
 ぼくもづーも、ほかに見るものがなくなってから、その馬をじっと見つめていた。
 
 レースがはじまる。
 はじまったばかりで到底一着の見当もつかないのに、早速観客席は盛り上がりを見せている。
 各々が、自分の目当ての馬のスタートダッシュがどうだったか、について早速反応を見せていたようだ。
 づーが選んだ三番は、後ろから三番目のスタートを切った。
 
 しかしどうしてか、ぼくもづーも、がっかりだとか、そんな感情は持ち合わせていなかった。
 そりゃあ、二人とも彼女の勘のよさを信じている、というのもあるのだろうが、
 なにより、競馬というゲームそのものをよく理解していないから、ということのほうが大きかったと思う。
 
 コーナーを曲がる。
 このとき、面白いことが起こった。
 コーナーに至るまで一位だった七番が体勢を崩したのだ。
 それにつられたのか、二位、三位と、前方を駆け抜けていた馬が次々調子を落としていく。
 
 やがて、そんな彼らをごぼう抜きした馬がいた。
 三番、紫色の馬だ。
 それはコーナーを抜けると、そのまま勢いを落とさず、それどころか更なる加速を見せて、
 堂々の一着でゴールし、二着以降の馬に大きな差をつけてはその実力を誇った。
 
 
.

81 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:53:22 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 会場から、どよめきが感じ取れる。
 当たった人はこの上ない喜びをかみしめ、はずした人は失意とわずかばかりの蟠りを身体で表現する。
 
 ぼくとづーは、ただ唖然とした様子で、いた。
 文字通り、口をぽかんと開けた状態でいたし、どちらも、声を発そうとはしなかった。
 目当てが当たったことは本来ならば喜ぶべきなのであろうが、しかし、それをしようともしなかった。
 
 ただ、ほんとうに当たったということが、むしろ予想外であったかのような心境だった。
 
 
 
瓜゚∀゚)「……」
 
( ´∀`)「……」
 
 
瓜゚∀゚)「当たった、ね」
 
( ´∀`)「モナ」
 
 
瓜゚∀゚)「じゃあ、これ、どうすればいいのかな」
 
( ´∀`)「換金所があるらしいモナ。行こう」
 
 
 ぎこちなかった。
 
 
.

82 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:54:03 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
 換金した結果、百円だけ払ったものが八百六十円になった。
 別になにか不吉なものを感じさせてくるほどの大した金額では、ない。
 だが、つい先ほどまでのよりも増えた金額を握っている、ということが、にわかには信じられなかった。
 
 増えた金で、づーは缶ジュースを二つ買った。
 一つは自分で飲んで、一つはぼくにくれた。
 いつもなら冗談を言ったりするのだが、このときに限っては、ぼくは黙ってそれを受け取った。
 
 炭酸は無理と日頃言っているづーが、コーラを一口飲んでから、ようやく口を開いた。
 
 
瓜゚∀゚)「……痛い」
 
( ´∀`)「コーラが?」
 
瓜゚∀゚)「炭酸、きついよ」
 
( ´∀`)「交換する?」
 
瓜゚∀゚)「オレンジジュースは、甘い」
 
( ´∀`)「果汁二十パーセントだしね」
 
瓜゚∀゚)「あは。そうそう」
 
 
( ´∀`)「…」
 
瓜゚∀゚)「…」
 
 
.

83 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:54:53 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 再び、ぼくたちは黙る。
 この、胸中の奥底に生まれた、形状の掴めないもの。
 それが限りなく不吉なものであることを、本能的に察知していたようだ。
 
 どうして、当たったのに、またそれで金も「もらえ」たのに、どんよりとした空気になるのだろうか。
 づーのほうは、わからない。
 だが、ぼくがそんな風になったのは、半ば当然とも言えた。
 
 自分が競馬場に来る前までに抱いていた不吉な予感が、はやくも的中してしまいそうだ、と思ったのだ。
 いや、今のづーの様子を見れば、むしろその予感は的外れにも程がある、とは思えるだろう。
 だが、それでも、やっぱり。
 どこまでも、消極的にならずにはいられなかった。
 
 
瓜゚∀゚)「………あの、さ」
 
( ´∀`)「モナ」
 
瓜゚∀゚)「ちょっとあたし、挑戦してみたいんだ」
 
( ´∀`)「挑戦?」
 
 
瓜゚∀゚)「あたしの勘だけで、どこまで当たるかなっての」
 
( ´∀`)「…!」
 
 
.

84 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:55:33 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「当たってもらえたお金を、全部次のに使う」
 
瓜゚∀゚)「そうすれば、もしはずしたとしても、高々百円だし」
 
瓜゚∀゚)「……自分で自分の勘のよさを検証してみるって、今までしたことがないしね」
 
( ;´∀`)「え、えっと…。」
 
( ´∀`)「……別に、競馬じゃなくてもいいんじゃあ…?」
 
瓜゚∀゚)「なんとなく。」
 
( ´∀`)「?」
 
 
 
瓜゚∀゚)「『競馬だからこそ』」
 
瓜゚∀゚)「なんか、いい予感がするんだ」
 
瓜゚∀゚)「これで検証すれば、いいことが起こる、みたいな……」
 
 
( ´∀`)「……」
 
( ´∀`)「………そ、そうなの。」
 
 
.

85 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:56:22 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「決まり?」
 
( ´∀`)「ぼくはどっちでもいいよ。するのはづーなんだから」
 
瓜゚∀゚)「じゃあ、次のレースの分、買うか。えっと、六百二十円」
 
( ´∀`)「馬券は百円以上の単位でしか買えなかったはず」
 
瓜゚∀゚)「あ、じゃあそうしよう」
 
 
 そうと決まって、軽い気持ちでぼくとづーは、馬券売り場に向かった。
 ジュースを払った分、残りの六百円を、ためらいなく次のレースの分に突っ込んだ。
 
 次も、単勝。一番単純で、づーの勘のよさが生かされると思ったからだ。
 オッズを見ると、づーがなんとなくで選んだ馬には千円以上ついていることがわかった。
 もしこれが的中すれば、六千円だ。さすがに六千円を手にとって、冷静でいられるはずがない。
 しかし、もし外れると、づーの奇跡の能力はただの思い過ごしだった、ということになる。
 
 当たろうとも、外れようとも、ぼくの思う最善には遠く及ばなかった。
 
 
 そしてそれは、エンドレスで競馬に挑戦し続けて、より一層強まった。
 
 
.

86 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:57:27 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
 結論から言おう。
 この試みは、是が非でも拒んでおくべきだった。
 
 
( ;´∀`)「……」
 
瓜;゚∀゚)「……」
 
 
 さげた紙袋を見て、そう後悔した。
 後悔するには、あまりにも遅すぎた。
 
 あれから、づーの「勘の限界」への挑戦がはじまった。
 まず、先ほど選んだ、千円以上ついている、あまり人気のなかった馬。
 出だしから好スタートを切り、そのまま他の追随を許さずゴール。
 結果、好ましくない六千円が、ぼくたちのもとに返ってきた。
 
 次も、づーは、ほんとうに勘だけを頼りに、一着予想の馬を選んだ。
 配当は、先ほどまでよりは落ち着いている。三番人気で、オッズも五百円足らずだ。
 しかし、配当が少なかろうと、「当たれば増える」のだ。
 
 ゼロの数が、また増えた。
 しかも今度は、万単位となった。
 千単位の時点で抵抗が生まれるのに、その更に上なのだ。
 おそらく、高校生が軽くバイトをして月に得られる給料に匹敵する。
 
 
.

87 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 10:58:41 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 そのまた次も、づーは単勝で馬を、勘どころか「適当」が似合う調子で選んだ。
 このとき、づーは、どちらかというと「外れてほしい」という心積もりで馬を選んでいたように見えた。
 
 しかし、第六感が選んだのは、一番人気。
 これでは、たとえ勘がただの当てずっぽうだったとしても当たりそうなものである。
 そして当然、当たった。
 金は、更に増えた。
 
 次は、づーは、単勝を狙うのをやめた。
 もっと複雑な賭け方なら、おそらく外れるだろう、と考えた上でのシフトだったようだ。
 言い換えると、づーは、負けたかったのだ。この、第六感との、果ての無い勝負に。
 
 負けたかった、というのは、二通りの見解ができた。
 一つは、自分の勘――いや、奇跡の能力のことに薄々気づいてきて、
 それに畏怖を感じ、投げ出したく思えてきたのだろうということ。
 
 もう一つは、奇跡の能力とは関係のないところにある。
 彼女は、とにかく、
 
 
瓜;゚∀゚)「こ、このお金全部、で。」
 
(゜д゜@「あらやだ! 冒険するのねェ」
 
 
 手元にある金を、消してみせたかった。
 おそらく、そうに違いなかったのだ。
 
 
.

88 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:00:09 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 おばちゃんのアドバイスに従って、次は二連勝単式と呼ばれるものにした。
 一着と二着を同時に当てにいく投票法である。
 単純に考えて、単勝を一度に二回当てるようなものだ。
 その分だけ、当てやすさはグンと落ちるだろう。
 
 確かに、稼ぐことをもう放棄したづーならば、選びかねないものだ。
 馬やオッズをちらりとも見ずにこの方式をとるなど、ふつうなら金をどぶに捨てることに等しい行為となるだろう。
 ただし、もはやこれは「ふつう」ではないのだ。
 
 このとき、ぼくは、気づいていなかった。
 当てやすさがグンと落ちる、ということは、
 それだけ、払戻金がグンと上がる、ということに。
 
 
瓜;゚∀゚)「…」
 
( ;´∀`)「…」
 
 
 七番から三番。
 最初は三番から七番とレースが進められていたが、
 最後の直線で七番がノビを利かせ、ゴール手前ではついに先頭の三番を抜き、ゴール。
 
 づーの勘は、またしても競馬に勝利した。
 その報酬として、手元には、およそ学生が持つべきとは思えない額の金が舞い込んできた。
 
 
瓜;゚∀゚)「……!」
 
( ;´∀`)「なら、三連勝単式で……」
 
 
.

89 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:01:32 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 三連勝単式。要は、二連勝単式から一つ増えただけ。
 その当てることの難しさは、それより格段に跳ね上がることとなる。
 さすがにこれには――と、手に入れた、数えてすらいない札束を、馬券売り場のおばちゃんに渡す。
 おばちゃんの目が点になっていたが、しかしそんなことなど、どうでもよかった。
 
 そして、次は、先ほどまで使っていた自動払い戻し機を使うことは、なかった。
 しかし、それは外れた、という意味ではない。
 「払戻金が高額すぎるから、専用の窓口でないと金をもらえなくなった」ということだ。
 
 高額払い戻し専用窓口、と書かれているのに目を遣る。
 この前に立ったとき、ぼくもづーも、恐怖に近いものを感じていた。
 書類を渡されたので、なにやらいろいろな項目を、づーは埋めていく。
 そして手に入ったのは、紙袋に収まった、「ふつう」ならばだいたいの人が見たこともないような程の量の金。
 
 
 その紙袋をさげて、ぼくとづーは、ただ立ち尽くしていた。
 このときは、払戻金でジュースを買おう、なんてことは思えなかった。
 競馬場内にある売店でごはん――など、思いつきすらしなかった。
 
 
瓜;゚∀゚)「…………」
 
( ;´∀`)「と、とにかく、帰ろう」
 
瓜;゚∀゚)「………」
 
 
 づーが、ちいさくうなずく。
 彼女も、気づいていたのだ。
 この、周囲からの視線に。
 
 自分の奇跡の能力に対する、畏怖。
 高額すぎる金を持つことに対する、背徳感。
 周囲からの視線に対する、恐怖心。
 
 およそ跳ね除けることのできなさそうなそれらを、
 紙袋に入った金と一緒に、持ち帰ることとなった。
 
 
.

90 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:02:25 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 

 
 
 
 ぼくのアパートに戻ったときも、それは一緒だった。
 紙袋から、ミニテーブルに札束の数々を取り出し、乱雑に並べてみる。
 
 札束だ。
 質感といい、重さといい、オーラといい。
 確かに、紛うことなき、札束だ。
 その札束が、いくつも、卓上でぼくたちの視線を引っ張ってくる。
 
 すっかり、づーは寡黙になっていた。
 づーほどの明るい性格を持つ人ならあるいは、なんてことのない様子で
 札束を持って遊んだり、それで頬を叩いてみたりとするのかもしれない。
 
 だが、たとえづーが本来はそんな人だったとしても、今回は、特別だった。
 いや、今回は――ではなく、づーが、特別だった。
 そしてづーは、間違いなく、確信した。
 
 自分の勘のよさが――
 シックスセンスが、本物である、ということに。
 
 
 
瓜 ∀ )「………モナー」
 
( ´∀`)「な、なに?」
 
 
.

91 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:03:12 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「人って、大金を持ったら、変わるらしいな」
 
( ´∀`)「み、みたいだね」
 
瓜゚∀゚)「モナーは……」
 
( ´∀`)「モナ?」
 
 
 
瓜゚∀゚)「変わらない……よな?」
 
瓜゚∀゚)「この大金を見て、人が……」
 
( ´∀`)「………。」
 
 
 
 変わる変わらないは、実際にそれを見てみないと、わからないというのが本音だ。
 しかし、ぼくはもう、実際にそれを見ている。
 そして今、ぼくはおそらく、平生を保てている。
 とすると、ぼくは「変わらない」のかもしれない。
 
 急に、今までの生活を大きく崩すようなものが手に入ったり、
 そんなことが起こったりすると、確かに人は変わるだろう。
 だけどぼくは、少なくとも金に買われるほどの安い人間ではなかったようだ。
 その点は、助かった。
 
 その点、は。
 
 
.

92 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:03:53 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「モナー…」
 
( ´∀`)「は、はい」
 
 
 づーが、顔をうつむける。
 
 
瓜 ∀ )「あ、あたし、怖いよ。」
 
瓜 ∀ )「な、なんなの。」
 
瓜 ∀ )「どうして、一度も、はずれないわけ?」
 
( ´∀`)「……」
 
 
瓜; ∀ )「おッ、おかしいじゃん、こんなのって!」
 
瓜; ∀ )「勘だよ? ただの勘なんだよ!?」
 
瓜; ∀ )「ふつー、途中で一回くらいは、外れるじゃん!」
 
瓜; ∀ )「三つの馬を選ぶやつなんか、当たったら奇跡ってレベルじゃんか!」
 
( ´∀`)「……うん。」
 
 
.

93 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:04:59 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜; ∀ )「あ、あたし、おかしい! おかしいよ!」
 
瓜; ∀ )「モナー! あ、あたし、どうすれば……」
 
( ´∀`)「……」
 
 
 意見を、求められる。
 話のポイントは、要約すると、づーの「奇跡」。その一点のみだ。
 づーはこれに、この上ない畏怖を抱いている。
 
 当然だ。いわば、人外の力なのだ、この奇跡は。
 自分の勘が、百発百中となる、なんて。
 
 づーの勘が未来を導くのか、未来がづーの勘を導くのか。
 そんなことはわからないが、どの道、それが「異常」であることには変わりない。
 
 確かに、ここにきて、まだ「ただの思い過ごしだった」と捉えることもできる。
 一度でも勘が外れれば、それで万事解決なのだから。
 でも、競馬で三つの馬を同時に予想する、なんてものにさえづーは勝った。
 これ以上勘を検証するのも、およそ無駄というものだろう。
 
 たとえば、サイコロを十個、づーには見えないように順番に投げたとする。
 その十個の出た目を、順番にづーに当てさせる。
 こうすれば、先ほどの競馬の例よりも格段に難しい検証となるだろう。
 
 でも。
 どうせ、当たるだろう。
 そして、当たったとすると、それは検証など関係なく、
 ただいたずらに、づーに追い討ちをしていることになる。
 
 ならば、割り切るべきだ。
 づーの能力は、本物に違いない、と。
 そうしないと、次のステップには進めそうにもないのだし。
 
 
.

94 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:05:57 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 
 次の、ステップ。
 
 
 
瓜; ∀ )「………こわい。」
 
( ;´∀`)「……」
 
 
 
 づーを、慰める。
 
 
 
.

95 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:06:49 ID:65DzQnYk0
 
 
 
( ;´∀`)「そ、そんなに深く考えなくても――」
 
瓜; ∀ )「考えるよ!」
 
 
 づーが、叫ぶ。
 
 
瓜; ∀ )「モナーも見てたでしょ! あ、あたしの、あの、……っ」
 
( ;´∀`)「……」
 
瓜; ∀ )「な、なにからなにまで当たって、……。」
 
( ;´∀`)「……」
 
( ;´∀`)「でも、宝くじも一緒モナ」
 
瓜;゚∀゚)「くじ…?」
 
( ;´∀`)「宝くじで一等が当たるってのは、隕石が地球に降ってくるよりも低い確率らしい」
 
瓜;゚∀゚)「隕石……」
 
( ´∀`)「でも、一等を当てた人は、多くないにせよ、何人もいる」
 
( ´∀`)「つまり、それだけの奇跡が、この世にははびこってるってことだモナ」
 
瓜;゚∀゚)「………、」
 
 
.

96 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:07:31 ID:65DzQnYk0
 
 
 
( ´∀`)「だから、もっと軽く考えるモナ」
 
( ´∀`)「今の間だけ、自分は、この上ないラッキーガールだ、って」
 
瓜゚∀゚)「……。」
 
 
( ;´∀`)「ほ、ほら、ナントカって言葉があるモナ」
 
瓜゚∀゚)「?」
 
( ;´∀`)「あの、第六感って、英語……あれ。さっきまで覚えてたのに……」
 
瓜゚∀゚)「んー?」
 
( ;´∀`)「えっと……うん、あ!」
 
 
 
( ´∀`)「ほら、あれだって。」
 
( ´∀`)「セックスシンス」
 
 
.

97 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:08:13 ID:65DzQnYk0
 
 
 
( ´∀`)「…あれ?」
 
瓜゚∀゚)「ぶっ」
 
(;*´∀`)「あ、違う! シックスセンス! 第六感! モナ!」
 
瓜゚∀゚)「あっはは! なんだそれー」
 
(;*´∀`)「忘れろ。今すぐに」
 
瓜゚∀゚)「よし、明日ブーンに言いふらすか!」
 
( ´Д`)
 
瓜゚∀゚)「う、嘘だって。」
 
( ´∀`)
 
瓜゚∀゚)「あは」
 
 
瓜゚∀゚)「……」
 
( ;´∀`)「……」
 
 
.

98 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:09:00 ID:65DzQnYk0
 
 
 
瓜゚∀゚)「……んー」
 
( ´∀`)「なに?」
 
瓜゚∀゚)「いやあ」
 
 
 
 
瓜゚∀゚)「……モナーも、やっぱりそういうの、興味あるのかなーって」
 
( ´∀`)
 
瓜゚∀゚)
 
( ´∀`)
 
 
 
(;*´Д`)「も…モナァァ!?」
 
瓜;゚∀゚)「な、なになに」
 
(;*´Д`)「ぼ、ぼくを内藤みたいなのと一緒にしないでほしいモナ!」
 
瓜゚∀゚)「えー」
 
( ;´∀`)「いやいや、ほんとほんと。うん」
 
瓜゚∀゚)「まじ?」
 
( ´∀`)「まじまじ」
 
 
.

99 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:09:48 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 
瓜゚∀゚)「…」
 
( ´∀`)「…」
 
 
 
瓜゚∀゚)「……」 ジー
 
( ;´∀`)「……」
 
 
 
(( 瓜゚∀゚)「………」 ソロソロ
 
( ;´Д`)「………」
 
 
 
瓜゚∀゚) ピタ
 
(´∀`; )
 
 
.

100 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:10:39 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 
瓜゚∀゚)「モナー」
 
(´∀`; )「なに」
 
瓜゚∀゚)「こっち向いてよ」
 
(´∀`; )「あとに引けなくなるから、断る」
 
瓜゚∀゚)「えー」
 
(´∀`; )「えーじゃない」
 
瓜゚∀゚)「うーん」
 
(´∀`; )「……、」
 
 
瓜゚∀゚)「モナー」
 
(´∀`; )「なに」
 
瓜゚∀゚)「……あたしじゃ、だめかな?」
 
(´∀`; )「…………、」
 
 
.

101 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:11:25 ID:65DzQnYk0
 
 
 
 
(´∀`; )「……」
 
 
(´∀`; )「…」
 
 
(‐∀‐; )
 
 
(´∀`; )
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   「………そんなこと、は………。」
 
 
 
 
 
.

102 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/05/05(日) 11:12:05 ID:65DzQnYk0
 
 
                   *・゜゚・ *:.。..。.:*・゜
 
 
      シックスセンス・ギフトのようです
 
                         つづく
 
  *:.。..。.:*・゜゚・ *:
 
.



<<<前編後編>>>

トップブーン系ゴールドラッシュ2013投下作品一覧瓜゚∀゚)シックスセンス・ギフトのようです中編
元スレ
inserted by FC2 system