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113 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:21:24 ID:zPxNFcQo0
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( ゚∀゚) 『目の前にある湖は危険なんだってさ。
なんたって湖の中の藻が足に絡み、そのまま溺れて…ってな!』
『うわぁあ!怖い!!』
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(* ゚∀゚) 『あっははは』
あるひと夏の合宿中、生徒全体で集まる肝試しの前に
注意事項担当である長岡先生が楽しそうにみんなの前で怪談話を語る。
注意事項の件については軽くすましてあるだけだった。
長岡先生は行事ごとで気が浮かれていたのか、
合宿中では口を開けば怪談話ばかりだ。
行きのバスの中でも、高速道路で事故を引き起こすおばあさんの話…
『高速道路ばばあ』という話を聞かされた。
タイミングも悪く、その話の後僕たちのクラスのバスはパンクをして
宿でお昼ご飯をたべることができなかった。
それは先生の責任だとは断定はできないけれど、
なんとなく小学生の僕にはそう思ってしまった。
周りの友達もそう思っていた。
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114 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:23:14 ID:zPxNFcQo0
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そんな思い出話を当時から付き合いのあるモララーと話していた。
( ・∀・) 「だって長岡先生が『高速道路ばばあ』の話をしたすぐ後だったし、
そう思っちゃうだろ」
(-@∀@) 「あの先生、あんなにこわい話好きだったなんて知らなかったよ」
モララーは僕が注いだ麦茶をごくごく飲んでいく。
( ・∀・)「理科の先生って要素も不気味だぜ」
今思うとただの偶然だ。
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115 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:23:55 ID:zPxNFcQo0
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湖の藻の話が終わっても悠々と長岡先生は語っていた。
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( ゚∀゚) 『それから、ある夜の小道の話だ。昔その道では
バラバラ殺人があってだな。
人が通るとたまに女のひとに話しかけられるんだ。
「わたしの指は…どこなの…?」
そうすると話しかけられたひとは手がちぎれて』
( ;∀;)『う、うわあああああん!わあああん!』
(;><) 『せんせー!モララーくんが泣いちゃったんです!』
ζ(゚ー゚*ζ 『まったく長岡先生ったら!お喋りしすぎですよ。
はやく肝試しに移しましょう』
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( ゚∀゚)『えー、もう少し話したかったが…
そうですね。じゃあ肝試しを開始しましょうか!』
ζ(゚ー゚*ζ『モララー君はわたしと一緒にいようね』
うん、とモララーは小さく頷いた。
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116 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:24:42 ID:zPxNFcQo0
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(-@∀@) 「お前こそ、あんなにこわい話が苦手だとは!笑えるねぇ」
( ・∀・)「ふん…ほんとに怖かったんだぞ」
(-@∀@)「おばけが?じゃあこわい話してあげるよ、ははは!」
( ・∀・)「そうじゃなくて、先生の不気味さが」
おばけも苦手だけどな!と付け足すモララーの顔は
いつものヘラヘラとした笑顔だった。
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117 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:25:30 ID:zPxNFcQo0
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( ゚∀゚) 『学校で決めた二人一組を組めー。
1組から順に開始していくぞ。片手でスズランテープを辿ってってな!』
一組ずつ、林の中へと入っていった。
*(‘‘)* 『朝日くん…こわいよ…』
(;@∀@)『ぼ、ぼくの手、ほ、ほら握っていーからさ』
僕だって怖かったけど、終わった人たちを見ると楽しかった!と
笑っているひとたちばかりだったので安心した。
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118 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:26:25 ID:zPxNFcQo0
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そうして僕たちの番がやってきた。
ライトもなしに真っ暗闇へと進んでいく。
僕たちが不安にしていたおばけは、先生たちがお面を被ったものだった。
てのは後々に知ったのだ。
*( ;;)*『ウッうぅぅぅっ…』
(;@∀@)『大丈夫だから、ほらぁ泣かないでよ』
ヘリカルちゃんはずっと下をむいたまま。僕が手を握り誘導した。
もう一方の手でスズランテープを辿って行った。が。
(;@∀@)『ぬぉっ…こわ…!』
涙のせいでよく見えないけれど、顔半分が真っ赤な女のひとが
こちらをじっと見ている。
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119 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:27:06 ID:zPxNFcQo0
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…脅かしてこないのが逆に怖いなあ。なんて考えていると
【+ 】ゞ゚) 『ばあああー!!!』
後ろから吸血鬼の顔をしたお面が脅かしてきた。
(;@∀@)『ぴ、ぴぃぃいいい!』
*( ;;)*『きゃああああ』
(;@∀@)『ふ、ふたりで同時に脅かしてくるだなんて!』
もう一回じっとしていたおばけのひとに目をやると、
いなくなっていた。
ヘリカルちゃんが握る手を強くしてきた。
ちょっと痛い。
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120 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:27:48 ID:zPxNFcQo0
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*(‘‘)*『朝日くん…指……』
(-@∀@)『指?あっごめんね。爪が当たってるかな』
*( )*『違う…違うの…』
(-@∀@)『ヘリカルちゃん?』
*( )*『朝日くん…わたしのゆ、指は……ど』
ばしゃり!
目の前でフラッシュが放たれた。
カメラを構えていた長岡先生が笑っている。
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121 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:28:28 ID:zPxNFcQo0
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( ゚∀゚)『おっつかれ〜い!ほらヘリカルー、もう平気だぞ』
*(;‘‘)*『あ、朝日くん、迷惑かけちゃったね』
(* @∀@)『えっ…いやあもうそりゃぼくは平気だよ!でへへ』
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( ゚∀゚)『お前が今涙目なのもシッカリ撮ってあるからな!
ほら、終わったら各自部屋に戻るんだぞ!』
その言葉の後、部屋に戻ろうとした長岡先生とのすれ違いざまに
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( ゚∀゚)『どうだ、血濡れの女は。こわかったろ』
(-@∀@)『……え?』
長岡先生は、とても楽しそうに僕のことを見ていた。
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122 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:29:24 ID:zPxNFcQo0
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(-@∀@)「確かに長岡先生は不気味だけどさあ」
( ・∀・)「だろ!?あの先生が怖い話をした後やけに話に関連したことが
起こるもん。
肝試し翌日の長岡先生引率での朝の湖周りの散歩だって
ドクオが湖でぬかるんだ土で滑って湖に落ちただろ。
足には藻だってひっついてたし」
(-@∀@)「…たまたまでしょー」
あの先生の楽しそうな顔を思い出したら、今までの不気味さが一層増してきた。
(-@∀@)「そうだ、あの写真まだ持ってるんだ」
(*・∀・)「肝試しの写真?」
合宿の写真で僕が写っていた写真は一式母が買ってくれていた。
ほら、と差し出すとモララーにぱっと素早く取られてしまった。
(*・∀・)「どぉれ……わっ、アサピー涙目じゃんwwww」
(-@∀@)「えー、メガネで隠れてそんなに見えないと思うけど…ん?」
(*・∀・)「どした?」
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123 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:30:09 ID:zPxNFcQo0
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(-@∀@)「ヘリカルちゃん…」
( ・∀・)「ヘリカル?」
(-@∀@)「いや、ヘリカルちゃん髪長かったっけ」
( ・∀・)「はー?ヘリカルは短めのツインテだろうが!
それがあいつのアイデンティティだっつのに」
(-@∀@)「じゃあ、僕の手を握ってるこのひと…ヘリカルちゃんじゃない」
まさか。 まさか。
長岡先生のあの言葉は。
(-@∀@)「血…濡れ…バラバラ…」
写真の顔はうつむいてて見えないけれど。
( ・∀・)「ア、アサピー…?」
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124 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/08/08(土) 18:31:04 ID:zPxNFcQo0
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わずかにうつむいてる顔から滴って見える赤い糸が
あのおばけを連想させた。
お面を被った先生じゃない。
僕と手をつないでいた時ヘリカルちゃんは
*( )*『朝日くん…わたしのゆ、指は……どこ…?』
僕が気づいた瞬間
ギュっと手を捻られた感覚がした。
(-@∀@)忘れられなかった夏のようです
(
)
i フッ
|_|
終