■( ^ω^)ナイトウスーツのようです
└前口上
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後口上
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2 名前: ◆qvQN8eIyTE[] 投稿日:2013/05/30(木) 17:17:54 ID:oRlV1SEE0
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〜前口上〜
ねぇ、人と動物の境界線ってどこだかわかる?
おっと、いきなりすぎたかな。
でもさ、これが意外とわからないものだったりするんだよね。
たぶん、君たちも首を捻っているだろうと思う。
ほら、君たちがいつも身に付けているものが答えだよ。そう、衣服だ。
動物から人へと進化した時、私たち人類は一つの区切りとして衣服を纏うようになった。
植物で秘所だけ隠す、つたない衣服の祖先だね。
人と人の繋がりによって社会が形成された時でも、私たちは様々な衣服によって、一目でわかるように位を分けていた。
西洋文化が次々と入ってきた明治維新においても、もちろん衣服文化だって大きな変化を迎えているのさ。
これから私はとある物語を記す。
その物語だって、これらの現象の一例にすぎないだろう。
過去形ではなく仮定形なのは、その物語が君たちにとって過去のものではなく、これから先の未来に起こるであろう物語だからさ。
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3 名前: ◆qvQN8eIyTE[] 投稿日:2013/05/30(木) 17:19:26 ID:oRlV1SEE0
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おっと、そんな顔はよせよ。
未来の話を記すとなると、やっぱり皆は私を笑い、罵り、
一通りの感情を発散してから、噴出した鼻水をティッシュでぬぐい、私にぶつけ、そして去っていくんだろうね。
仕方のないことだと思う。
来年の話をしただけで、この世の終わりをも連想させる恐怖をそのまま形容したような存在の鬼が、声を張り上げながら笑い転げるんだもの。
来年ですらこの有様なのに、私が今から記すのは五十年後の話だ。
鬼でもない人間が、笑い、怒り、嘆き悲しむのも、むしろ当然のことなんじゃないかな。
それでもこれから記す物語を読んでくれる物好きには覚えておいてもらいたい。
果てしない時間の中で私たちは必ず衣服と進化を共にしてきた。
もちろん、今現在も、何百、何千年前という気の遠くなるような過去も、遥か何百、何千年先の未来も、
そして、僅か五十年先の世界でさえも、その概念は崩れることのない確かな規律なんだ。
くれぐれも、このことを忘れることなく、五十年後の世界へと目を向けてくれ。
さぁ。まさに近未来の不思議な衣服が引き起こす、ちょっと滑稽な物語。
たった一つ、さっきの約束を守れば、どんな目で見ても良い。どんな思いで読んでも良い。
最後にどんな顔をするのだって自由。全ては君たち読者次第。
前口上はここいらでお終い。未来から過去へと向けた物語。はじまり、はじまり。
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