※『ブーン系紅白2017─夏の陣─』参加作品です ブーン系紅白2017まとめ - ブーン文丸新聞
- 1 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:27:36 ID:M1ZMnW7Y0
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※
学校の朝は校長先生の飛び降り自殺から始まる。
校舎の屋上から20メートル下のコンクリートへ華麗にダイブ！
水袋を手のひらで叩いたような大きな音が学校中に響き渡る。
毎日毎日赴任される校長先生はこうして日々お勤めを果たされていくのだ。
ちなみに死んだ校長先生の後処理を行うのはその日の掃除当番だ。
俺も何度が当番をしたが、大人ひとりを片付けるのはとても骨が折れる。
血と脳漿となんか黄色いやつでベトベトになった校長先生の顔を見て、ああ、俺はいったいどんな死に顔をするのだろうと、ついついいつも妄想してしまうのだ。
- 2 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:28:34 ID:M1ZMnW7Y0
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俺の名前はドクオ。
自殺が大好きな普通の17歳だ。
まあ勿論まだ一度も自殺をしたことは無いが、常にどう死ぬのがベストかを考えることが生き甲斐だ。
('∀`)「さあ、今日もいい天気だ！ 一日頑張っていこう！」
晴れやかな朝。吸い込む空気も美味しく感じる。
こんなに気持ちのいい日はどうにも自殺したくなる。しかしここは我慢。
やがて来る“卒業”の日まで、何としても耐えなければ。
俺たちが通うのは“早期登天推進学校”。通称“自殺学校”だ。
この学校では“理想的な自殺”をモットーとし、自殺に関するあらゆる知識を座学や実習を交えて身に付けていくことを目的にしている。
今の日本はまさに自殺大国。
世界に類を見ない割合で国民が能動的に死を望む。
日本政府はここに我が国の強みを見出だし、“世界を自殺でリードする日本”を産み出そうと考えた。
そのプロジェクトの一環として作られたのが、うちの学校というわけだ。
要するに自殺学校は“国立学校”な訳。
この学校を卒業すれば就職に便利だぞ！
まあ卒業時に100パーセントみんな自殺するので就活なんてしないんだけどね！HAHAHA！
- 3 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:29:09 ID:M1ZMnW7Y0
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('∀`)「今日もしっかり自殺の勉強していくか！」
さて、それではこの自殺学校がどのような授業を行っているのか。
とある一日を追って、紹介したいと思う。
0時間目 ホームルーム
('∀`)「まずは朝のホームルームからだな！」
時刻は朝の8時半。
俺は一番前、中央の席に座る。俺の指定席だ。
辺りを軽く見渡す。うん、今日は全員登校しているな。
1クラス30人。他のクラスは存在しない。
実は入学時の4月、クラスは3つあって全部で100人くらいの同級生がいた。
それが何でこんなに数が減っているのか。まあだいたい予想がつくと思うけど、これについては後で詳しく話そう。
- 4 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:29:50 ID:M1ZMnW7Y0
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（ ´∀｀）「お、今日はみんなちゃんと出席してるモナ。
それじゃ起立ー。はい、おはようございます」
('∀`)「おはようございまーす！」
（ ´∀｀）「着席。うんうん、いつも元気でよろしいモナ」
教壇に立っているのは俺達のクラスの担任、モナー先生だ。
いつも菩薩のように微笑んでいて、生徒からの質問には分かりやすく丁寧に教えてくれる、とてもいい先生だ！
ただ、いつも着ている全身紫色のスーツは、正直趣味悪いかなー……。
（ ´∀｀）「えーと今日は特に何もないモナ。いつも通り、各々自殺スキルアップに精を出すモナー」
('∀`)「はーい」
話すこと特に無し！
さ、次にいこう。
- 5 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:30:25 ID:M1ZMnW7Y0
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1時間目 社会
('∀`)「1時間目は社会だ！ 自殺の歴史を振り返ったり、現代の自殺の方法について学んだりするぞ！」
ところで“れきし”って聞くと、どうしても“轢死”をイメージしちゃうよな！
高速道路を爆走する巨大トラックに轢かれて一瞬にして肉の塊になる妄想は誰しも一度はするよね！
（ ´∀｀）「───と、そんな訳でクリスティーン・チュバックは29歳の人生に幕を閉じたモナ」
モナー先生の講義を受けて、俺はバラエティ豊かな自殺方法に感銘を覚える。
歴史に残る自殺というのは、それだけインパクトが強いから後世に語り継がれる。
先人の教えを学び、今の死に繋げていく。
人とはこうして進歩していったんだなあ。
('∀`)「俺も未来の有望な自殺志願者に笑われないような死に方をしないとな！」
- 6 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:30:58 ID:M1ZMnW7Y0
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2時間目 国語
国語では、最後に自殺を選んだ作家の作品を通して、どのように自殺への道を辿っていったのかを考察するぞ。
('∀`)「三島由紀夫なんかは分かりやすいけどなあ。太宰治とかは、本当に死ぬ気があったのかとか考えると楽しいよな」
（ ＾ω＾）「川端康成の高齢での自殺とかも、言い知れない哀愁なんかが感じられるおね」
唐突に出てきたが、こいつはブーン。
自殺の趣味が合う、俺の一番の親友だ。
('∀`)「文豪って、自殺して初めて一人前になる感あるのは何でだろうな？」
（ ＾ω＾）「やっぱり気迫が違うのかも。死ぬのも厭わないほどに熱意を込めた一文が、人の心を奮わさないはずが無いお！」
彼らは最高の文章を産み出すために死を選んだ。
でも俺らはちょっと違うかな。
俺らは最高の自殺をすることが目的だからな！
- 7 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:31:33 ID:M1ZMnW7Y0
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3時間目 理科
理科！ といえば実験！
実験といえば怪しげな薬！
そんな訳で理科では飲んだら死ぬ毒薬の作成なんかをするよ！
睡眠薬自殺なんかはメジャーだけど、どうせやるなら三日三晩苦しみ転げたあげくに衰弱死する感じの方が俺は好みだなあ。
('∀`)「つーことでそんな感じの毒薬よろしくアサピー！」
（-@∀@）「いや作れないけど」
このガリ勉メガネはアサピー。クラスの委員長だ。
見た目通り勉強が出来る！ ……と思わせといて実は微妙。詐欺だと思う。
('A`)「ううむ、メガネかけてる奴が出来ないんじゃどうしようもないな。誰も出来ない」
（ ＾ω＾）「諦めるしかないお。メガネが出来ないイコール人類の敗北と言っても過言じゃないお」
（-@∀@）「君らのそのメガネに対する絶対的な信頼なんなの？」
（-@∀@）「というかちゃんと真面目に実験しなよ。今やってるのって結構危険なやつ───」
と、委員長のありがたい忠告は、部屋の隅から突如鳴り響いた爆音によって虚しく消されることになった。
- 8 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:32:12 ID:M1ZMnW7Y0
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(;'∀`)「うっひゃあ！ マジびっくりした！ 耳すっごいキーンてする！！」
（；＾ω＾）「つーか臭い！ 何かババアの吐いた息にデスソースぶちまけたような臭いが教室中に！」
（；@∀@）「いったいなにが……」
俺らは教室を見回してみた。
すると。
( <〇>;;(;);;伽藍;;>)
（;;(;);＞;＜） ﾋｭｰ… ﾋｭｰ…
電子レンジで温めた卵のように頭を破裂させた二人の生徒が、机の上に倒れていた。
('∀`)「あー、ビロードと……、えー、ワカッテマス？ で、合ってるよな？ 顔がグチャグチャで分かりにくい」
（ ＾ω＾）「実験でミスったっぽいお。つーか、僕たちこんな危険なもの混ぜてたのかお？」
とりあえず近づいて様子を見てみよう。
- 9 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:33:01 ID:M1ZMnW7Y0
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( <〇;;(;);;伽藍;;>)
（;;(;);＞;＜） ﾋｭｰ… ﾋｭｰ…
ワカッテマス(推定)は、顔に小玉スイカくらいの穴が開いている。
一部焦げ付いた脳も見えるし、こっちは既に死んでいるだろう。
ビロードの方は肌が溶けたのか、凄くドロドロしたものが次から次へと顔から滴り落ちている。
が、かろうじて息はあるようだ。
('∀`)「ワカッテマスは手遅れ、と。ビロードはまだ助かりそうかな？」
（ ＾ω＾）「助けられるのかお、これ。どうやって？」
('∀`)「うー……。とにかく顔を冷やしてあげよう。モナー先生ー！」
（ ´∀｀）「はいモナ」
('∀`)「液体窒素ないですか？」
（；´∀｀）「え！？」
('∀`)「いやあ、理科室ならあるかなと思いまして。ありませんか？」
（；´∀｀）「あ、あったかなあ……？ えーと、えーと……。あ、コレだモナ！」
そう言ってモナー先生は1つのガラス瓶を渡してくれた。
- 10 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:33:46 ID:M1ZMnW7Y0
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('∀`)「よし、こいつを……！」
俺はビロードに駆け寄って、蓋を空けたガラス瓶をビロードの手に握らせた。
('∀`)「ビロード！ 聞こえるか！？ いま手に握ってるガラス瓶の中身を自分の顔にかけろ！
冷えててうまいっすよ！」
（ ＾ω＾）「水着のねーちゃんをナンパするときみたいに言うなお」
（;;(;);＞;＜） ﾋｭ、ﾋｭｰ…
ちゃんとこちらの意図を汲み取ってくれたビロードは、ガラス瓶の中身を残さず自分の顔をぶちまけた。
すると、あら不思議！
（;;__(;);;;__;;____）
('∀`)「あれ？ ビロードの顔の肉が溶けて無くなっていく？」
（ ＾ω＾）「顔の半分がもう骨だお。いや、骨も溶けてる？」
('∀`)「おっかしいなあ。俺の予想だとカチンコチンに固まるはずだったんだけど」
- 11 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:34:35 ID:M1ZMnW7Y0
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（-@∀@）「ドクオ。さっきのガラス瓶、“HSBF6”ってラベルが貼ってあるよ。これヘキサフルオロアンチモン酸だ」
('∀`)「ヘキサフルオロアンチモン酸ってあれか、たしか硫酸の2000京倍の強さとかいうドラゴンボールもびっくりの超インフレ酸じゃん。
先生ー！ これ液体窒素じゃなかったですよー！」
（；´∀｀）「ご、ごめんモナ！ 先生実は化学系とか苦手モナ！」
そんな訳で、クラスの人数が2人減って28人になりました。
みんな授業中にどんどん自殺していくから、入学当初と比べるとどうしても減っていっちゃうんだよね。
まあ、早いか遅いかの問題だから気にしなくてもよし！
（ ＾ω＾）「つーかこれって自殺？ 事故死じゃないのかお？」
('∀`)「ビロードは自分の手でヘキサフルオロアンチモン酸かけたし、
ワカッテマスも爆発することが分かってたんだよきっと！ だから自殺！ やったね！」
- 12 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:35:19 ID:M1ZMnW7Y0
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4時間目 芸術
長かった気がする3時間目の次は、芸術だ。
この授業では、“見たら死ぬ絵”とか“聞いたら地獄に落ちる音楽”など、いわくつきの芸術作品を堪能する。
('∀`)「うーん、これが見たら死ぬ絵かあ。本当にぃ？」
（ ＾ω＾）「流石に見ただけで死ぬなんて、ねえ？」
('∀`)「先生ー、これ効果あるんですかー？」
（ ´∀｀）「そうモナね……。この絵は毎年生徒に見せてる物モナ。
で、ウチの学校は生徒の自殺率100パーセントを毎年守っているから……。
なので、この絵を見た人は100パーセント死んでるモナ」
(;'∀`)「マジですか本物じゃないですかヤベエ！」
（；＾ω＾）「ままままさかそんなオカルトが実在したなんて……！」
（-@∀@）(絵を見なくてもたぶん全員自殺してるんだよなあ)
- 13 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:35:53 ID:M1ZMnW7Y0
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昼休み
('∀`)「昼だあ！ メシの時間が来たぞ！」
昼飯は食堂に行ってみんなで食べる。
メニューは日替わり。ちなみに今日はカレーだ。
おかわり自由なのにすべて無料という大盤振る舞い。
税金で食うメシは旨いのである。
（ ＾ω＾）「えっ！ 今日は全員カレーライス食っていいのか！」
('∀`)「ああ……、しっかり食え。おかわりもいいぞ」
（-@∀@）「このあと毒ガス放たれそうな会話やめて」
もちろんそのような訓練は行われないよ！
心地よいBGMがゆったりと流れる、まさに癒しの空間なのだ。
- 14 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:37:02 ID:M1ZMnW7Y0
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5時間目 体育
食事のあとは運動だ！
普段は首吊りの縄を木に固定する手順だとか、少量の水で溺死する方法なんかを学ぶのだけど、今日は何をするのかな？
（ ´∀｀）「今日は、野球をしましょう」
('∀`)「あれ？ すっごい普通！」
（ ´∀｀）「じゃあみんな金属バット持ってー」
（-@∀@）「？ 全員持つんですか？ ピッチャーとかは？」
（ ´∀｀）「……おっとボール忘れたモナ。ゴメンみんな、ちょっと先生ボールを職員室まで取りに行くから───」
（ ´∀｀）「───それまで“別のもの”をボールにしててモナ」
そう言ってモナー先生は走っていってしまった。
('∀`)「……あーはいはい。そういうことね」
（ ＾ω＾）「なるほど。それじゃ───」
「誰か、立候補したい人は居るかお？」
残り27人！
- 15 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:37:54 ID:M1ZMnW7Y0
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6時間目 数学
（-@∀@）(今日最後の授業は数学だ)
（-@∀@）(数学は、人体に充分な致命傷を与えるのに必要な乗用車の速度はどうだとか、
タワーマンションから飛び降りたらその衝撃はどれほどか、などを計算したりする)
（-@∀@）(で、僕は頑張って問題を解いているんだけど)
（@∀@-） ﾁﾗｯ
( A ) ｽｰ…… ｽｰ……
（ ーωー） Zzz……
（@∀@-）(……まあ、5時間目が体育だとねえ)
（-@∀@）(僕も正直言えば眠い。ちょっとバットをフルスイングしすぎた。でも僕は委員長。授業中居眠りなんて出来ないのだ───)
（-@∀@）(───というふうに考えていた時期が僕にもありました。無念)
アサピー陥落。
（ ´∀｀）「……………………ぐぅ」
モナー先生も陥落。
- 16 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:38:47 ID:M1ZMnW7Y0
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放課後
('∀`)「っしゃあー！ 本日の授業終了！」
（ ＾ω＾）「なんだお、この多幸感。この世のすべての感動が、いまこの場にあるといってもかごんではない」
（-@∀@）「かごんです」
('∀`)「で、今日はこのあとどうする？」
（ ＾ω＾）「あーちょっと本屋行きたいお。今日は“完全自殺マニュアル ラノベバージョン”が入荷されてるはずだお」
('∀`)「お前好きだよな完自シリーズ」
という訳で今日はブーンに付き合って本屋に行くぜ！
ちなみに本屋は学校の敷地内に建てられているんだ。
本屋だけじゃないぜ？ この学校には他にもコンビニ、ホームセンター、しま○ら、ダ○ソー、R○UND1などなど……。
ありとあらゆる施設が整えられているんだ！もうちょっとしたショッピングモールだな！
しかもこの施設を利用するにあたり、当然お金を払う必要があるんだが、なんとある程度は国が負担してくれるんだ！
具体的には1ヶ月で15,000円なり！ 充分な金額だろ？
これらも税金で賄われていると思うと流石に申し訳なくなってくるほどだぜ。まあありがたく使わせてもらってるけど！
ただし、これまた敷地内にある寮は門限が夜の7時だ。
この学校は全寮制だから、そこにまたクラス全員が集まることになるな。
もう本当に、この学校はなんでも揃ってるだろ？
だから俺も含めてみんな、入学してから敷地の外に出たことないんだよな〜。
ま、必要ないからそれでまったく問題ないけどな！
- 17 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:39:23 ID:M1ZMnW7Y0
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夜10時 消灯
('∀`)「そんじゃ、おやすみなさーい」
寮は個室。部屋もそこそこの広さで、ベッド、クローゼット、勉強机、一人用冷蔵庫、エアコンと揃っているぜ！
これであとはテレビもあれば完璧だったんだけどなー。
で、夜10時には完全消灯だ。
自動で明かりが消え、すべての部屋に備え付けられているスピーカーからは、まるで優しい子守唄のような音楽が微かに流れ始める。
この音がとても心地よくて、あっという間に眠りに落ちてしまうんだよなあ。
そうこう言っている間に意識が遠のいてきた。
明日も、いい自殺のために、がんばるぞー…………。
- 18 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:40:05 ID:M1ZMnW7Y0
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そして、時は流れて卒業の日。
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- 19 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:40:47 ID:M1ZMnW7Y0
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('∀`)「さあ、いよいよこの日がやってきた！
この学校に入学して1年。ついに卒業の日だ！
学校から、そして人生からも、今日俺は卒業するぞ！」
今日は卒業式。
そして、これまでに学んできたノウハウを生かし、自分の理想の自殺をする日でもある。
今日は俺の命日だ。
「卒業証書、授与！」
今年の卒業者、24人が体育館に集まっている。
証書を渡す人物は学校の先生ではない。国から派遣された職員の人だ。
普通は校長先生がするのかもしれないが、今日も朝に飛び降りちゃったしね。
クラスの代表として証書を受けとるのはもちろん、委員長のアサピーだ。
- 20 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:41:49 ID:M1ZMnW7Y0
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壇上には証書を渡す職員、アサピー、そしてもう一人。
( ﾟ∋ﾟ)
見るからに強そうな大柄の男の人が、微動だにせずに式を見守っている。
たぶんあの人も国から派遣されたんだろう。
（-@∀@）
さあ、ここからがアサピーの見せ場だ。
アサピーは俺たちの方を向き、壇上の手前側に置かれた畳に正座する。
( ﾟ∋ﾟ)
すると、今までピクリともしなかった大きい人がアサピーに歩み寄り、懐から何かを出した。
白鞘に入れられた短刀だった。
それをアサピーに手渡す。アサピーは鞘を抜き取った。
キラリ、と刀身が鈍く光ったように見えた。
- 21 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:42:23 ID:M1ZMnW7Y0
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アサピーは一度大きく息を吐くと、大きな声で最後の挨拶をした。
（-@∀@）「皆さん！ ご卒業おめでとうございます！
これから皆さんは一世一代の自殺を行おうとしています。
私は委員長として最後の務めを果たすことで、皆さんの門出を祝福したいと思います！」
それではよろしくお願いします、とアサピーは短刀を渡してくれた人に話しかける。
大きい人は何も言わずに頷くと、近くに立て掛けてあった日本刀の鞘を抜き、抜き身の刀を上段に構えた。
（-@∀@）「いざ！」
アサピーは気合いの言葉を放つと服を捲って腹を出し、両手で持った短刀をそこへ深く突き刺した。
（；@∀@）「うげっ」
小さく呻く。
刺したところからみるみるうちに赤い液体が流れ出る。
アサピーの顔は苦悶にまみれている。
- 22 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:43:02 ID:M1ZMnW7Y0
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('∀`)「アサピー！ お前ならいけるぜ！ 一気にいけ！」
だから俺は思わず声を上げていた。
大丈夫だ。アサピーなら、必ずやり遂げる！
（；@∀@） ﾆｶｯ
俺の声で覚悟が決まったようだ。
アサピーは薄ら笑いを浮かべると、短刀を一文字に薙ぎ切った。
（；@Д@） ｺﾞﾎﾟｯ
口から塊のような血が吐く。
大きく裂かれた腹からは、腸やら何やらがまるでゼリーのようにぷるんぷるんと外に出てくる。
( ﾟ∋ﾟ)「！」
それを見た大きい人は、上段の構えから一閃。
見事な腕前でアサピーの首を斬り落とした。
（ ＾ω＾）「やったおアサピー！」
('∀`)「やっぱりお前が俺たちの委員長だぜ！」
俺たちはそんなアサピーの勇姿を、やんややんやと褒め称えた。
（-@Д@）
転がったアサピーの首は、そんな俺たちの歓声を受けて、少し恥ずかしそうにしているように見えた。
- 23 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:43:46 ID:M1ZMnW7Y0
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卒業式は無事に終了。
あとは各々が希望する“自殺地点”へと向かうだけだ。
('∀`)「いやーしかしアサピーはよくやったよな！」
（ ＾ω＾）「おっおっ。感動したお」
('∀`)「ところで知ってる？ なんでウチの卒業式があんなスタイルになったのか」
（ ＾ω＾）「知らないお」
('∀`)「鬼才・後藤寿庵先生の快作である“卒業斬首式”にインスパイアされたかららしいぜ」
（ ＾ω＾）「エロ漫画家じゃねーかなにやってんだ国立学校」
と、その時。
学内放送のスイッチが入り、そこからいつものあの声が聞こえてきた。
「みんな〜！ 卒業おめでとうモナ〜！」
('∀`)「これは、モナー先生の声！」
（ ＾ω＾）「あっ！ ドクオ、あそこ見るお！」
ブーンが指差した方向。それは校舎の屋上。いつも校長先生が飛び降りをする場所に、全身紫色のスーツを着た人影が見えた。
ここからだとかなり遠いが、それでもスーツのお陰で一発でわかる。モナー先生に違いなかった。
- 24 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:44:47 ID:M1ZMnW7Y0
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「先生からも、みんなの自殺が上手くいくように、微力ながら後押ししてみるモナ！」
そう言うとモナー先生はなにやらポリタンクのようなものを持ち上げ、その中身を全身に浴びせていた。
「それじゃあいくモナ！ さん、にー、いち、ファイヤ！！」
掛け声と共に巻き起こったのは大爆発だった。
校舎の屋上が、まるでハリウッド映画のクライマックスシーンのような爆炎で包まれる。
おそらく、モナー先生が振り掛けていたのはガソリンだ。
そこに火をつけて、盛大な花火を打ち上げたのだ。
(；∀；)「モナー先生ぇー！ ありがとうございましたー！」
生徒の巣立ちを温かく見守ってくれたモナー先生。
先生の生徒で俺、本当に良かったです！
- 25 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:45:34 ID:M1ZMnW7Y0
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モナー先生にも見送ってもらった。
いよいよ学校から出るときが来たのだ。
('∀`)「ブーン、これでお別れだな」
（ ＾ω＾）「そうだおね」
俺は最後に、一番の親友に別れを告げる。
('∀`)「ところでブーンはどんな自殺をするんだ？」
（ ＾ω＾）「僕は、やっぱりオーソドックスに飛び降りだお。
───ただし究極の、だお」
('∀`)「究極？」
（ ＾ω＾）「日本で一番高い人工物───東京ス○イツリー最高点からのジャンプだお」
(;'∀`)「えっ！？ マジ！？ 許可下りたの！？」
（ ＾ω＾）「いや、流石に無理だったお。しょうがないから、あべのハル○スで妥協したお」
('∀`)「そっちもやべーけどな。なんで許可出したのハル○スさんは」
- 26 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:46:12 ID:M1ZMnW7Y0
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（ ＾ω＾）「まあこれでドクオとも一度別れるけど……。
でも、きっとまたすぐ会えるお！」
('∀`)「ブーン……。そうか、そうだよな！」
そして俺たちは笑って別れた。
寂しがる必要はない。
ブーンの言うとおり、俺たちはまたすぐ会えるのだから。
「次は、空の上で会おう！」
,
- 27 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:46:46 ID:M1ZMnW7Y0
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※
さあ、いよいよ待ちに待った自殺の時だ。
自殺学校卒業生は、自分の好きな自殺方法を自由に選ぶことができる。
それこそ、普通は個人で出来そうもないような盛大な自殺を行うこともできる。
('∀`)「それじゃ、お願いしまーす！」
(,,ﾟДﾟ)「……」
その際、希望する人には協力者をつけてもらうことができる。
俺の場合はこのお兄さんだ。この人もきっと国に勤めてる人なんだろう。
('∀`)「俺、ドクオっていいます！ お兄さんはなんて名前ですか？」
(,,ﾟДﾟ)「…………」
('∀`)「………………」
(,,ﾟДﾟ)「……………………」
(;'∀`)「…………………………えーと、」
(,,ﾟДﾟ)「……悪いな。名前は明かせない決まりなんだ」
('∀`)「あ、そうなんですね、サーセン」
お兄さんは、無口でちょっと怖そうな第一印象だ。
でも声はわりと柔らかい感じだ。根はいい人なのかも！
- 28 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:47:20 ID:M1ZMnW7Y0
-
('∀`)「で、やってきました太平洋！」
そんなこんなで俺は今、海の上にいる。
太平洋と言ったけど、正確には“日本海溝”にいる。東北地方の東側らへんだ。
ブーンは高いところへ向かったが、俺はその逆。海の底へと向かおうって魂胆だ。
本当は世界一の深さのマリアナ海溝に行きたかったが、流石に予算がかかりすぎということでこの場所になった。
でもここでも充分に深いから全然オッケーだね！
('∀`)「いやあ、もうすぐ自殺できるのか……。ワクワクするなあ」
今は諸々の準備をお兄さんにしてもらってる。
至れり尽くせりだなあ。
(,,ﾟДﾟ)「……準備できたぞ」
('∀`)「あ、もう出来たんですか？ あざーす！」
- 29 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:47:55 ID:M1ZMnW7Y0
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改めて目の前の装置を見る。
装置といっても、そんなに大がかりなものじゃない。
漁で網を巻き上げるときに使うようなアームと、太いワイヤーロープ、そしてそれに繋がっているのは───棺桶だ。
棺桶は特注品だ。
少し大きめに作られており、金属製で中は密封できる。
俺はこの棺桶に入り、そして日本海溝の底へと沈められるのだ。
('∀`)「もしかしたら数百年後に誰かが俺を引き揚げてくれるかも、とか考えるとロマンだよなあ」
「理想の自殺は？」と聞かれた時から練りに練ったプランだ。
母なる海に抱かれて死ぬ。これ以上の死に方は無いよね！
('∀`)「…………？」
なんだろう。今、一瞬だけ頭痛がしたような気がする。
船酔いでもしたのかな？
(,,ﾟДﾟ)「……もう、やるのか？」
('∀`)「あ、はい！ そんじゃいきまーす！」
まあいいか。
そんなことより、ここから先は一秒一秒を楽しむつもりでいくぜ！
- 30 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:48:30 ID:M1ZMnW7Y0
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('∀`)「よっ、と」
棺桶に乗り込む。
ああ、めっちゃドキドキしてきた。
本当に待ち望んでいた瞬間だな。
俺はお兄さんに感謝の言葉を述べる。
('∀`)「お兄さん！ わざわざ俺の自殺を手伝ってくれて、ありがとうございました！」
(,,ﾟДﾟ)「…………。いや、……」
('∀`)「それじゃ、棺桶のロック頼みます！」
棺桶は外側からしか鍵をかけられない。
俺は寝そべって棺桶が閉じられるのを待つ。
(,,ﾟДﾟ)「……………………なあ、お前」
すると、お兄さんの方から声がかかった。
('∀`)「はい？ あ、なにかトラブルがありました？」
(,,ﾟДﾟ)「いや、そうじゃない……。その、……お前、いまいくつだ？」
('∀`)「？ 17ですけど？」
(,,-Д-)「…………そうか……」
('∀`)「？」
(,,ﾟДﾟ)「……済まない、変なことを聞いた。それじゃ、閉めるぞ」
('∀`)「あ、はーい」
はて。
お兄さんの意図がいまいち掴めなかった。
少し気になったけど、棺桶は閉じられたので、もうお兄さんに話しかけることは出来なくなった。
- 31 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:49:04 ID:M1ZMnW7Y0
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ついに俺は棺桶に閉じ込められた。
内部は僅かばかりの照明がつけられている。
俺は備え付けの小型ボンベのパルプを回した。
ボンベから「プシュー」と音が鳴ってガスが出てくる。
これは酸素だ。密閉するから、こうしないとすぐに酸欠状態になってしまう。
せっかくの自殺だ。出来る限り長く楽しみたいと思うのは当然だろう。
「コンコンコン」と、外から三回ノックされる。潜水開始の合図だ。俺からも三回ノックを返す。
それから少しの間があって、棺桶がガタンと大きく揺れ出した。
('∀`)「おお……。これ入ってる？ もう入ってるよな？」
内側からはよく分からないが、おそらくいま棺桶はどんどん潜っていっている。
まだワイヤーに繋がっているだろうが、そのうち切り離されて、完全に独立してしまうだろう。
('∀`)「とうとう始まった……！ 俺は今、自殺をしている最中なんだ！」
全身から喜びが溢れ出しそうだ。
ちょいと小躍りでもしたくなるが、流石に棺桶の中だとあまり身動きできない。
- 32 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:49:38 ID:M1ZMnW7Y0
-
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どれくらいの時間が経っただろうか。
既にボンベの中は空っぽ。残り僅かの酸素を吸いきってしまえば、俺は“窒息死”することになるだろう。
(;'∀`)「ふう……、息苦しくなってきたかな？ ここからが真のスタートって感じだなー」
(;'∀`)「……今ごろ、ブーンはどうしてるかなあ。もう飛び降りたかな？」
(;'∀`)「他のクラスのみんなも、次々と死んでいってるんだろうなあ」
(;'∀`)「待ってろよみんな。俺もそろそろいくぜ……！」
(;'∀`)「外はどうなってんだろ？ たぶんまだ海の底には着いてないよな」
(;'∀`)「日本海溝は8000メートルあるらしいからなー。深海魚たちが俺の棺桶を見て驚くかもな」
(;'∀`)「ギョッ！ てね」
(;'∀`)「ふふふ」
(;'∀`)「…………」
(;'∀`)「……はー」
- 33 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:50:13 ID:M1ZMnW7Y0
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(;'∀`)「あー駄目だ。頭がガンガンしてきた。本格的にヤバくなってきたな」
(;'∀`)「あと数分も持ちそうにないかなあ」
(;'∀`)「死ぬ……もう死ぬんだな」
(;'∀`)「えーと、死ぬ直前って何したらいいかな？」
(;'∀`)「そうだ遺書だ。いやまあ紙もペンもないから書けないけど」
(;'∀`)「まあ声に出してみよう。えーと書き出しは……そうそう」
(;'∀`)「“お母さん”、先立つ不幸をお許しください、っと」
(;'∀`)
(;'∀`)
(;'∀`)「あれ……？」
(;'∀`)「“お母さん”……？」
- 34 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:50:47 ID:M1ZMnW7Y0
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(;'∀`)「そういえば、俺の母ちゃんって、どんな人だっけ？」
(;'∀`)「あれれ……？ 思い出せないとかってあるのか？ ふつう、自分の親を？」
(;'∀`)「えーと待って待って。あーもー駄目だ、頭が痛すぎて考えが纏まんない」
(;'∀`)「えーと、えーと、なんだっけ」
(;'∀`)「そもそも俺ってなんで“自殺学校”に通うことになったんだっけ？」
(;'∀`)
(;'∀`)
(;'∀`)
(;'∀`)
- 35 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:51:21 ID:M1ZMnW7Y0
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('A`)「あ、れ……？」
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- 36 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:51:55 ID:M1ZMnW7Y0
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('A`)
('A`)
('A`)
(;'A`)
(;ﾟAﾟ)
(;ﾟAﾟ)
- 37 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:52:38 ID:M1ZMnW7Y0
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(;ﾟAﾟ)「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」
.
- 38 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:53:11 ID:M1ZMnW7Y0
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(;ﾟAﾟ)「なんで！？ なんで！？ なんで！？ なんで！？ なんで！？ なんで！？」
(;ﾟAﾟ)「どうして！？ どうして俺……！ おれ、ぇええええええ！！？」
(;ﾟAﾟ)「イヤだ！ 死ぬ！ 死ぬ！ 死ぬ！ イヤだ！ 死にたくない！死にたくない！ 死にたくないよ！」
(;ﾟAﾟ)「イヤだあああああ！ 出して！ 出してくださいぃぃぃいいいい！！！」
(；A；)「誰かあああああ！ 誰かたすけてえええええええええ！！！」
(；A；)「たす、ゴホッ！！ たすけ、ゴホゴホッ！！ 死にたく……………………ゴホォッ！！！」
(；A；)「イ、ヤ、だああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………」
- 39 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:53:44 ID:M1ZMnW7Y0
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「母ちゃぁああああああああああああああああああん！！！！！！
助けてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！！！！」
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- 40 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:54:20 ID:M1ZMnW7Y0
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- 41 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:54:59 ID:M1ZMnW7Y0
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- 42 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:56:48 ID:M1ZMnW7Y0
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「ようこそ、いらっしゃいました。この“早期登天推進学校”へ」
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- 44 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:57:21 ID:M1ZMnW7Y0
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※
部屋の中に大きめのテーブルがある。
テーブルの上にはパンフレットのようなものが複数枚並べられている。
テーブルを挟んで二名が座っていた。
片方は四十代くらいの女性。視線はテーブルの上に向けられている。
しかし、パンフレットを熟読している、といった風には見えない。
そして、もう一人は。
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- 45 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:57:55 ID:M1ZMnW7Y0
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「既に事前の説明にてご理解いただけていると存じておりますが、今一度確認のためにお話しさせていただきますね」
「我が学校は、入学されたお子様を1年以内に100パーセント自殺させます」
「1年間、学校では様々な授業を行いますが、7〜8割の生徒はここで自殺します」
「中には事故に近い形になることがありますがね。まあ、とにかく命を落とします」
「そして最後まで残った生徒も、みんな自殺させます。
このとき確実な自殺が遂行されるよう、生徒ひとりひとりに監視役が着きます」
「万が一生徒が逃亡しようとしても、この監視役が捕まえて速やかに自殺を補助します。
ただし今までそのようなことが起こったことはありませんので、ご安心を」
- 46 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:58:29 ID:M1ZMnW7Y0
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「入学の手続きに関しまして、こちらは保護者様の同意があれば即入学できます」
「ただ、場合によってはお子様がこちらへの入学を拒否することもあるでしょう」
「そのようなケースでも我々は対応いたします。
ご自宅にいらっしゃるお子様を、私ども職員が数名体制で“送迎”いたします」
「まずはお子様には専用の施設に入居していただき、そこで我々が“説得”を行います。
自殺を前向きに、自主的にしようと考えていただけるような“説得”です」
「具体的な方法としては薬物投与が主になりますね。
あ、もちろん健康に被害はありませんよ？
あくまでも“説得”をスムーズに行うための薬物ですから」
「この施設で充分な“説得”をいたしますが、そのあと1年間学校生活を行っていく中で“心変わり”することもあるかもしれません」
「それを防ぐために、入学者は全員学校敷地内の寮で生活していただきます。
食事もすべて我々の方で準備いたします。
その食事を毎日摂取していれば、“心変わり”を起こすこともないでしょう」
「さらに念押しで、学校や寮内で特殊なBGMを流して感情を静め、
寮での就寝時には各部屋に備え付けられている通風口から“アロマテラピー”が定期的に実施されます。
これにより、みなさん穏やかな学校生活を送ることが出来るのですね」
- 47 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:59:04 ID:M1ZMnW7Y0
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「主な説明はこんなところです。
それではこちらの方にサインをどうぞ。
この手続きが終了すれば、晴れてお子様は我が学校の生徒になります」
「……おや、どうされました？」
「やはり、考え直したい？ おやおや……」
「無論、最終的な決断はそちらがなさってください。私どもの方で強制する訳にはいきませんから」
「でもね、お母様……。
その顔のアザ、お子様からつけられたものでしょう？
ああいえ、お隠しになる必要はありませんよ。こちらに入学されるご家庭ではよくあることです」
「お子様が不登校で部屋に引きこもり、外に出てくるようにお願いしても、返ってくるのは拳ばかり。
そのような生活を長年続けてきたのでしょう？
もはやお母様も心身ともに限界が近いはずです」
「ご自身の教育方法を恥じることはありません。
そんな事例が急増しているからこそ、国も動くことになったのですから。
どうしようもなくなったお子様たちを私どもが預り、教育していく。
お子様たちは死の間際、ご両親のことを思い浮かべながら息を引き取るでしょう。それが最後の親孝行となるのです」
「だから……ええ、安心して私どもにお任せください。
大丈夫。貴方は決して悪くないのです」
「ああ泣かないでお母様。
大丈夫です。ここまでお母様は充分な愛情を注がれましたよ。
その涙こそが証です」
「……はい！ これにて手続きは完了ですね！
非常に心労のかかるご決断でお疲れになったことでしょう。
その気持ちに答えるためにも、私ども誠心誠意を尽くしてお子様を導いていきます」
- 48 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/26(土) 23:59:38 ID:M1ZMnW7Y0
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「それではこれにて終了でございます。
あちらのドアからお帰りを───」
「───あ、あああっ！ し、しまった！
も、申し訳ございませんお母様！
私そういえば自己紹介をしておりませんでした！」
「え、えーと……。
すべての説明が終わったあとで大変恐縮なのですが……」
内ポケットから名刺を取り出し、女性へ両手で差し出す。
そして改めて自己紹介をした。
- 49 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/27(日) 00:00:14 ID:.X.SRKuw0
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（ ´∀｀）「私、“教頭”のモナーと申します。
お子様のことはお任せください……モナ！」
全身紫色のスーツの男は、そういって菩薩のような笑みを浮かべた。
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- 50 名前： ◆Xf2jDrJO/U[] 投稿日：2017/08/27(日) 00:00:47 ID:.X.SRKuw0
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(；A；)自殺学校のようです
了
.