※『秋のブン芸祭〜ラノベ祭り』参加作品です 秋のブン芸祭まとめ
- 2 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:13:20
-
キィィィィィンコーンカーンコーン
ミセ*゚ー゚)リ「あ、シャー芯の予備無くなっちゃった……」
彼女はミセリ、数少ない私の友人
(゚、゚トソン「……またですか、私もねり消し作ってたら消しゴム無くなりました。」
私はトソン、地の文を担当します。
ミセ*゚ー゚)リ「明日一限目なんだっけ」
(゚、゚トソン「急な変更が無いなら英語ですね」
ミセ*゚ー゚)リ「……絶対シャー芯無くなるじゃん、お金あんま無いんだけどなぁ」
(゚、゚トソン「安いの優先なら、帰りにあそこ寄ってみませんか」
ミセ*゚ー゚)リ「あー、うん、何年振りだろ。ていうか開いてるかな?」
(゚、゚;トソン「うーん、ダメ元で行ってみましょう」
文房具店に行くことになった。
- 3 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:13:41
-
文房具店に行くようです(゚、゚トソン
.
- 4 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:41:26
-
『ブンボーグ・店』
近所に小さな頃から構える意味不明な中黒(・←コレ)が気になる文具専門店。
廃れ始めているが、店主のお爺さんがなんか100年ぐらい生きてるとか、商品が入荷している所を見た事無いとか、実はお店が無いとか、ソウサク町の七不思議に入ってるとか入ってないとかで有名。
年に数度ぐらいの頻度で、安値目当てに買いに向かってみるが大体閉まってる。
しかし評判の尾ひれは壮大で、ここで文房具を買うと「この店で用意したサイコロ鉛筆で100点が取れた」とか「無くなる頃に増えるシャー芯を買った」「ケシカスくんを見た」とかまた七不思議みたいな話が出てくる。
ミセ*゚ー゚)リ「うわ、電気点いてる」
(゚、゚トソン「まさか本当に開いてるとは」
偶然にもお店のシャッターは開いていた、いやまだ分からない、店主が居なければそれはダメなのと同じ……
( ФωФ)スピー スピー
ミセ;゚ー゚)リ(゚、゚;トソン((いる!))
すごく白髪の綺麗なお爺ちゃんが……あれは目を瞑っているのでしょうか?いや、瞑っているんでしょう。
お爺さんは頭をこくりこくりと揺らしながらも深い睡眠に浸っている、恐らく、きっと、多分。
- 5 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:43:21
-
(゚、゚トソン「まぁ、取り合えず入ってみましょう」
ミセ;゚ー゚)リ「……え、うん、そだね」
トソンは消しゴム、私はシャー芯。ふらふらと店内をうろつく。
お店は木造が基本のようで、古きと共に歴史を感じさせる、木の香りが心地良い……これが風情という物なのだろう。
あからさまに最新の文具と物凄く古い文具が隣同士に並んでいる光景は時代の移り方を表す様で面白い。
(゚、゚トソン「シャー芯ありましたか?」
ミセ;゚ー゚)リ「いやまだ、道が狭くて低い位置の商品が見づらい……」
商品棚同士の位置関係からか、高校生の私達からすると多少屈み辛い。
お爺さんの腰が心配になりつつお目当ての商品を探す私は、不思議な雰囲気をこのお店から感じ始めていた。
(゚、゚トソン(最新の文房具と古い文房具、よくある光景でもありますが)
(゚、゚トソン(なんでしょう、この……)
- 6 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:44:00
-
……小さな違和感。
普通に陳列された商品を見渡す、そう例えば……
(゚、゚トソン(……このふたつの鉛筆削り)
20代前半の大人も一度は使った覚えがあるだろう、鉛筆を削る部分に固定し、持ち手を時計周りに回して芯と木を削るタイプ。
今人前で使うと大人同士で会話が弾みそうだ。
(゚、゚トソン(そしてこっちの比較的新しめな電動タイプ)
この電動タイプの鉛筆削りも、シャープペンシルが低年齢層でも流行り始めて日の目を見る事が少なくなりつつある鉛筆削り。
まだまだ現役だが、こちらも少し懐かしみを覚える。
(゚、゚トソン「ふむ」
やはり『懐かしさ』を感じている、確かに商品自体を懐かしいとは思うけれど、それとは違う。
ジィッと、二つの鉛筆削りを見つめt―――
ミセ*゚ー゚)リ「あったよトソン!ほらこっちのコーナーにシャー芯!シャー芯!」
(゚、゚トソン「はいはい」
……まずは消しゴムを買いましょう。
- 7 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:45:05
-
ミセ*゚ー゚)リ「こっちこっち、消しゴムもあったよ。」
(゚、゚トソン「はいはいはい」
ミセ*゚ー゚)リ「ハイは一回ですよトソンさん」
(゚、゚トソン「はい」
(゚、゚トソン「……おや」
これまでよりもひと際、懐かしさを感じるお目当ての物。消しゴム
世間一般で普及しきっているタイプの商品に見えて実はパチもん商品。
消しゴムには製造過程で可塑剤(かそざい)が使われている。
可塑剤は、他のプラスチック製品と長時間密接させると化学反応を引き起こし引っ付いてしまうという雑学があるが。
このパチモンは可塑剤が通常より早く溶けてしまい苦情が殺到した後、自主回収となってしまった。
消しゴムカバーには明らかに例のm○m○と似せて作ったデザイン、表面にはBOONという品名と社名であろう「Naitow」の文字。
PLASTIC ERASER、消しゴム。
(゚、゚トソン「なんとまぁ懐かしいものが……」
ミセ*゚ー゚)リ「シャー芯買うときいつも思うけど種類いっぱいでいつもの探すの萎えない?」
しかし、私にはよく分からないがこの消しゴムはねり消しが凄く作りやすかったのだ。
理由分からず仕舞いだが、小学生の時いちばん上手く作れたねり消しはこの消しゴムから生まれたのだ。
- 8 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:46:34
-
ミセ*゚ー゚)リ「あった!他の所より100円もやすい!」
うーん、あの最高のねり消し、どうしたんでしたっけ。
ミセ*゚ー゚)リ「あ、前にボールペン折れたんだった、買い直さなきゃ。」
【76】
ミセ*゚ー゚)リ「トソン、ボールペンお試しコーナーあるよ。ほら、トソンってば」
(゚、゚トソン「あっ、はい、先に行っててください」ピシャリ
ミセ*゚ー゚)リ「つめたい」
というか、おかしいですよね。自主回収されはずの消しゴムが売られてるの。
あの頃から一度も見ずに育ったはずですが、こう……ここ法律とか大丈夫なんでしょうか?
- 9 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:48:13
-
(゚、゚トソン「……まぁ、これにしましょうか」
考えていても答えは出ず、出ないなら買ってしまおう。と懐古する事をやめ―――汝―――
―――汝…応えよ……―――
(゚、゚トソン「……?」
しん、と静まっている店内。聞こえる物音と言えばミセリが起こす筆音とお爺さんの掻くいびき。
そんな中で、声を掛けられ―――汝、我が声に応えよ―――
(゚、゚トソン「???」
ふと、周りを見渡せど、他のお客は私達以外に居らず……ああそうです、なるほど―――汝―――
(゚、゚トソン「ミセリ、ミセリ」
- 10 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:49:02
-
―――汝、我が声に応えよ――うるさいですね。
(゚、゚トソン「ミセリ、ちょっといいですか?」
―――汝は我が身をどうしたか覚えている(゚、゚#トソン(言いたい事があるなら直接話掛けてきて下さい!)
ミセ*゚ー゚)リ「待って今ボールペンお試しコーナーの相合傘を般若心境で埋めるので忙しいの」
(゚、゚トソン「私の頭の中で囁かないでくれます?」
ミセ;゚ー゚)リ「囁いてないよ!?」
―――あの―――
(゚、゚トソン「いや、さっきから声は聞こえても周りにミセリしか居ないのでついにテレパシーでも覚えたのかと」
ミセ;゚ー゚)リ「出来ないよ!?」
―――あの、無視しないでくれます?―――
ミセ;゚ー゚)リ「ねぇ大丈夫?頭痛い?よしよしする?」
(゚、゚トソン「すみません今ちょっと忙しいので後にして下さい」
ミセ;゚ー゚)リ「えぇっ!話掛けてきたのに!?」
(゚、゚トソン「ああ、いえそういう意味ではなく――おや?」
……おかしいですね、さっきから頭の中と会話出来てます?
- 11 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:51:45
-
(゚、゚トソン「誰ですか、どこにいるんですか、透明人間ですか」
―――やっと我が声に応えたか、我が身を覚えているだ(゚、゚トソン(ですから誰だと聞いているじゃないですか)
(゚、゚トソン「人の頭の中で好き勝手に騒いで……」
―――いや話聞いてくれませんか――(゚、゚トソン(うるさいので出て行って下さい)――えぇ……―――
ミセ*゚ー゚)リ「落ち着け……落ち着け私……」
(゚、゚トソン「あ、いや用件を聞けば帰ってくれるんですか?じゃあ聞きます」
―――え、あ、はい聞くんですね。はいはい言います言います―――
ミセ;゚ー゚)リ「トソーン!お、おーい!?」
(゚、゚トソン「お茶」
ミセ*゚ー゚)リ「良かった、いつものトソンだ。」
この子は先程から何を言っているんでしょうか。
- 12 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:53:07
-
―――フフ、やっと我が声に―――
(゚、゚トソン「あの、話がややこしいのでこの隣の女の子にも話掛けてくれます?」
ミセ*゚ー゚)リ「え、何?私?隣の女の子って私?」
―――……もしもーし、聞こえますか?―――
ミセ*゚ー゚)リ「あ、なんか聞こえたすごい、パネェ」
(゚、゚トソン「ね?」
―――あの、もういいですか―――
ミセ*゚ー゚)リ「届け、トソンにテレパシー届け!」
(゚、゚トソン「残念ですが貴方がアホであるという事実しか届きません」ピシャリ
ミセ*゚ー゚)リ「ひどい」
―――聞くって言っただろうが!!!!!!!!!!―――
ミセ;゚ー゚)リ「なんか怒った!」
(゚、゚トソン「ミセリがアホだから……」
ミセ*゚ー゚)リ「私のせいなの……?」
- 13 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:55:16
-
(゚、゚トソン「それでどちら様ですか、何の用事で人の脳内犯してるんでしょう」
―――新手の特殊性癖みたいに扱うな!!!!!!!!!―――
ミセ*゚ー゚)リっ―――チッ……聞いて驚け、俺様は―――
「なにこれ、そうめん?」
―――ちょっ、触んないで!せっかくキャラ付けしたのに!―――
(゚、゚トソン「もう一回聞きますけど貴方はどちら様ですか」
―――あ〜〜〜〜〜!も〜〜〜〜〜!!!―――
―――てめぇが左手に持ってる消しゴムだよ!!!!!!!!!!!!!―――
(゚、゚トソン「……」
[ ^ω^]
(゚、゚トソン「?」
ミセ*゚ー゚)リ「?」
(゚、゚トソン「こちら様?」
[ ^ω^]「俺様」
!
ミセ*゚ヮ゚)リ「!?」(゚、゚トソン
- 14 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 00:57:26
-
(゚、゚トソン「……お、おお?」
ミセ*゚ヮ゚)リ「ケシ○スくんだ!!!」
[♯^ω^]「誰がスベリ芸文房具漫画だ!!!!!!!!!!」
(゚、゚トソン「小学館に謝ってください」
[ ^ω^]「うるせぇ死ねクソガキ共、俺のキャラ付けを台無しにしやがって……」
(゚、゚トソン「うちのミセリがすみません」
ミセ*゚ー゚)リ「ごペンなさい」
[ ^ω^]「小学館とサッカーのベッカムにも謝れ……」
(゚、゚トソン「最近の消しゴムは意思疎通が出来るんですね」
[ ^ω^]「ああ、うん、そうだね」
ミセ*゚ー゚)リ「なんかすっごいテンション落ちてるね、元気出して」
(゚、゚トソン「消しゴムにもいつか良い事ありますよファイト!」
ミセ*゚ー゚)リ「消しゴムに良い事?」
(゚、゚トソン「練り消し転生するんですよ」
[ ^ω^]「お前ら」
- 15 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:00:10
-
[ ^ω^]「特にクソガキ、お前」
ミセ*゚ー゚)リ「呼ばれてるよトソン」
(゚、゚トソン「貴方ですよミセリ」
[;^ω^]「ああクソが刺す角もねぇ、お前だよトソン」
(゚、゚トソン「はい」
[ ^ω^]「お前俺の事覚えてるだろ」
(゚、゚トソン「私が小学生の頃に他社の商品パクった上で発売したの不良品が判明し自主回収された悲しい消しゴムですよね」
ミセ*゚ ‐゚)リ「かわいそう」
[♯^ω^]「やめろ消し殺すぞ」
(゚、゚トソン「消しゴムに殺人予告されても……」
確かに彼?のことは商品として覚えている、しかし、それ以外にも心当たりがあるにはある
(゚、゚トソン「私、もしかして貴方のこと使ってましたか?」
私はこの商品を買って、そして使った覚えがあるのだ。
[ ^ω^]「……そうだよ」
―
――
―――
- 16 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:02:31
-
色褪せた記憶
( 、 トソン『すみません、返してくれますか?』
(; ∀ )『…っ、うるせぇ!こんなもんこうだ!』
( 、 トソン『あっ』
彼が腕を振りかぶり、教室の窓へと握っていた物を投げる。
それは太陽の輝きをさんさんと浴びながらも、緑色に濁った水面へと吸い込まれ、流されていった。
( 、 トソン『……ふぅむ』
(; ∀ )『バーカ!バーカ』
そう格好の悪い捨て台詞を、男の子は教室から逃げるように走り去る。
( 、 トソン『廊下は走っちゃいけません!!!』
( 、 。トソン『……』
ホロリ
誰にでもある、ありふれた光景。
―――
――
―
- 17 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:03:56
-
(゚、゚トソン「あっ」
[ ^ω^]「思い出したか?」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、なに?私にもトソンの脳内見せて」
(゚、゚トソン「あー、はい」
(゚、゚トソン「最高傑作が消しゴムになって帰ってきた」
[ ^ω^]「本来の姿だろうが」
合点がいく、ここまでヒントを貰えれば頭の良い私は理解出来ました。
(゚、゚トソン「つまり、つまりですよ?」
過去に使った消しゴムが喋れるようになって帰ってきた。
このお店の商品に不思議な感情を抱く。
練り消し。
導き出される結論は……
(゚、゚トソン「ここは過去自分が使っていた最高と想う文房具と出会える未来のタイムマシン文房具店……っ!」
[ ^ω^]「……」
ミセ;゚ー゚)リ「ゴクリ」
(゚、゚トソン「……」
- 18 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:04:34
-
[;^ω^]「えっ、ああ、うん」
[;^ω^]「違うけど……」
ミセ*゚ー゚)リ「ズコー」
(゚、゚トソン「おかしい……そんなはずは……」
「いや、彼女達の目線で見れば大体あっているぞ」
[ ^ω^]「長老」
( ФωФ)「すまん、寝てた」
お店の奥で寝ていた白髪の綺麗なお爺ちゃんは杖を突きながらもゆっくりとこちらに歩いてくる。
そして最初にミセリを見つめすぐに消しゴムを持つ私の方へと向き直った。
- 19 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:07:26
-
( ФωФ)「ここはな、過去悲しい思いをした文房具がもう一度持ち主に会えるように機会を与えるお店だよ」
そうだ、
ミセ*゚ヮ゚)リ「すごーい!」
[ ^ω^]「別に悲しくなんかねぇよ……」
( ФωФ)「お?そうなのか、じゃあ持ち主にもう一度会いたいと願った文房具。と訂正しよう」
ミセ*゚ー゚)リ「私は!?私と会いたい文房具はいるの!?」
( ФωФ)「お嬢ちゃんは……小さな頃から筆圧が強くて困っていただろう?」
ミセ*゚ー゚)リ「えっ、その……」
(゚、゚トソン「大丈夫ですか、ミセリ」
ミセ;゚ー゚)リ「うん、大丈夫……凄いね……そんな事も分かるんだ」
彼女の、昔からのコンプレックス。バカに出来る事ではない。
過去勉強しようとしても筆圧を強くいれ過ぎ、勉強に疲れてしまい成績が落ちる悪循環に陥いる子供は少なくはない。
小さな頃の私もそのときは理解出来ず、勉強してすぐ疲れると言った彼女を「怠け者」と心無い一言を放った事がある。
大分コントロールできるようになっているが、その片鱗は今でも見せる。
- 20 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:09:41
-
( ФωФ)「小学生の時、集中すると、緊張すると、鉛筆の先がすぐに折れてしまったりして大変だったね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん」
( ФωФ)「でも、鉛筆は最後の最後まで使ってくれていたよね」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、私の家ってちょっと貧乏で勿体無くて、それに短くなった鉛筆って可愛いし、使われなくなった短い鉛筆が可愛そうでみんなから貰って最後まで使ったり……」
( ФωФ)「その事に鉛筆たちは凄く感謝しているよ」
ミセ;*゚ー゚)リ「そ、そうなの?怒ってない?」
( ФωФ)「君は気付かなかったかもしれないけれど、ここには君の使ってた鉛筆削りさんも居るからね、彼ら伝いに聞いたんだ」
(゚、゚トソン「あ」
そうだ、あの鉛筆削りを懐かしく感じたのはミセリが自宅で愛用していた鉛筆削りだからだ。
どうしても閃かない訳だ、私自身の記憶とは直結しないのだから。
( ФωФ)「大丈夫、ここで買おうとしてるシャープペンシルの芯も大事にしてあげてね」
消しゴムの彼に長老と呼ばれるお爺さんは静かに、子供に諭すように優しげな声でミセリにそう告げた。
私は今まで気にも留めないことだった、でもお爺さんの言葉で、ミセリの表情が明るくなったよう見えた。
ミセ*゚ー゚)リ「うん、大事にする」
(゚、゚トソン(ほっ)
( ФωФ)「ふぅ……」
なら私は、消しゴムの彼は私に何故会いたいと思ったのか。
……心当たりはある。
- 21 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:11:09
-
[ ^ω^]「おい長老、長い」
( ФωФ)「すまないね」
消しゴムの彼は、確かに私を見ていた。
(゚、゚トソン「……」
[ ^ω^]「俺は、消しゴムだ」
(゚、゚トソン「はい、そうです」
[ ^ω^]「練り消しじゃねえ」
(゚、゚トソン「その通りです」
[ ^ω^]「だけどな、俺が練り消しになって生まれ変わった時、悪い気はしなかった」
(゚、゚トソン「大好きですから、練り消し作り」
[ ^ω^]「お前は角の立った俺を完全に練り消しに作り変えやがったな」
(゚、゚トソン「貴方は練り消し作りに置いて完璧な素材でした、練り消しに必要な伸縮性と柔らかさが『まとめるくん』を凌駕していたんです」
[ ^ω^]「特別性だからな」
(゚、゚トソン「不良品とも言えます……ですがそれでいて私にとっては最高傑作でもあります」
- 22 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:12:25
-
[ ^ω^]「俺があのクソガキに投げ捨てられた時」
(゚、゚トソン「練り消し作りが下手くそなまたんき君ですね、覚えています。」
ミセ*゚ー゚)リ「誰だっけ」
(゚、゚トソン「ほら、私があの時拗ねてたのに気付いたミセリが仕返しに行った……」
ミセ*゚ー゚)リ「思い出した潰したトマトね」
あの時は私は筆圧が強いというより握力が強いと認識していました。
たまにミセリが馬鹿力なのではと思うことも……コホン、彼は元気でしょうか。
[ ^ω^]「残念だった、最高の練り消しとして新しい生涯が始まった瞬間俺は死んだ」
( ФωФ)「我輩が助けたけどね」
[ ^ω^]「はいはい感謝してます感謝感謝」
ミセ*゚ー゚)リ(あれ?お爺ちゃんって何者……?)
[ ^ω^]「まぁ、なんだ、なんでここに居るかって言うと……」
[ ^ω^]「……うん」
(゚、゚トソン「……はい」
- 23 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:13:58
-
( ФωФ)=3
( ФωФ)「どうだね、こいつを買ってはくれんかね?」
(゚、゚トソン「勿論です」
[♯^ω^]「てめっ、このクソジジイ!」
(*ФωФ)「我輩最近耳が遠くて困るのぉ〜〜〜」
[;^ω^]「邪魔すんなよ、ちゃんと自分で言うから……」
[;^ω^]「あぁ……というか、その、なんだ」
[;^ω^]「ちゃんと俺を使い切ってくれ、いや!頼む!」
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン「ごめんなさい、あの時助けてあげられなくて」
[ ^ω^]「は?」
(゚、゚トソン「私だって、嫌でしたよ、あのまま最高傑作を使わずに別れるなんて、長い時間探したんです。でも流されてしまって……」
[ ^ω^]「そんな……」
(゚、゚トソン「でも、もう一度チャンスがあるなら、使って欲しいと言ってくれるなら……」
(ー、ートソン「こちらこそ、よろしくお願いします」
[;^ω^]「……お、おう?」
ミセ*゚ー゚)リ「ハッピー???」
(*ФωФ)「ハッピーハッピー」
- 24 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:31:38
-
―――
――
―
ガチャリーン
( ФωФ)「お会計?ああ、二人とも百円でいいよ」
チョリン
ミセ*゚ー゚)リ「軽い」
チョリン
(゚、゚トソン「安い」
[ ^ω^]「おい俺の元値300円だぞふざけんな」
チャリン
(゚、゚トソン「あ、きえるよくんもひとつ下さい」
( ФωФ)「はいはいどうぞ」
[ ^ω^]「おい俺が居るだろ、消しゴムを前にして良い度胸だなオイコラ」
( ФωФ)「二人とも、文房具に限らず物は大切にしないさいね」
(゚、゚トソン「はい」
ミセ*゚ー゚)リ「勿論!」
( ФωФ)「じゃ、BOON君!お前は店出たらもう喋れんからな!物として大切に扱われるんだぞ!」
[ ^ω^]「えっマジで?俺第二のケシカスくんとして生きると思ってたんだけど」
( ФωФ)「そんな簡単に無機物に命宿ってたらたまらん、こちとら千年生きてやっと得た命だぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「あれ?千年?」
( ФωФ)「じゃ、また機会があれば買いに来てね」
(゚、゚トソン「はい、必ずまた来ます」
[;^ω^]「ちょ待て!ちゃんと俺使えよ!?分かったか!トソ―――
- 25 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:32:34
-
気付けば私達二人は、シャッターの閉まったお店の前に居た。
しかし、お店には『ブンボーグ・店』の看板は消え。窓から見える店内も空になっていた。
私達は不思議な体験をしたのかもしれない、人に話せば夢でも見たのだと笑われるかもしれない。
それでも
ミセ*゚ー゚)リ「!」
(゚、゚トソン「!」
っ[ ^ω^]
- 26 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:33:12
-
―――
――
―
ソウサク町の七不思議に、こんなお話がある。
ある時は、ノートを大事にしてきたお客に祝福を
ある時は、鉛筆を大事にしなかったお客に呪いを
そして文房具が願えば、過去愛用していたお客と再開の機会を
そんな文房具を大事にするお店が、ソウサク町にあるらしい。
もしも貴方が、過去に愛用した文房具と出会いたいなら―――
ミセ*゚ー゚)リ「良い買い物したね」
+(゚、゚トソン「はい!この消しゴムを使い切った後、その消しかすでまた素晴らしい練り消しに昇華にしてみせます!」
[ ^ω^](頼むから普通に使いきってくれねーかな……)
- 27 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:33:41
-
文房具店に行くようです(゚、゚トソン
終わり、
- 28 名前:以下、名無しにかわりまして( ^ω^)がお送りします[sage] 投稿日:2016/11/24(木) 01:34:16
-
(゚、゚トソン「そういえばミセリ、『ゴクリ』『ズコー』と口で言うのは恥ずかしいのでやめましょうね」ピシャリ
ミセ*゚ー゚)リ「わすれててほしかった」
終わり。