2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
( ゚_ゝ`)作るようです 从∀゚ 从



595 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:49:12 ID:97nhJ5R.0

从 ゚∀从「あーにーじゃっ!あれは完成したか!?」

( ゚_ゝ`)「俺を誰だと思ってる!」

从 ゚∀从「ハイン様の作品」

( ゚_ゝ`)「HAHAHA」从∀゚ 从

从 ゚∀从「で、出来たのか?」

( ゚_ゝ`)「当然!」

ホラコレ( ゚_ゝ`)つ( ∵)ゴエエエ

596 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:49:55 ID:97nhJ5R.0
( ∵)ゴエエエ

从 ゚∀从「…なにこれきもい」

( ∵)そ

( ゚_ゝ`)「そう言ってやるな。ペットが欲しかったんだろ?」

从 ゚∀从「おれは可愛いペットって言ったんだけど。つか、これなんの生き物だよ」

( ゚_ゝ`)「可愛いじゃん。ちなみに猫のつもりで作ってみました☆」

从 ゚∀从

从 ゚∀从(こいつのメモリー、誰が作ったんだよ
     あ、おれか)


( ゚_ゝ`)作るようです 从∀゚ 从


599 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:52:02 ID:97nhJ5R.0

汚染された森の奥深く、人が立ち入ることのない場所に高岡研究所はある。

所長の名はハインリッヒ高岡
一時は天才と持てはやされ、学会を大きく賑わせていた。
だが、彼女は天才すぎた。
彼女の専攻は遺伝子学。
遺伝子を解析し、そのアミノ酸配列の意味を理解してしまった。
そして彼女がたどり着いた先。
それが命の生成だった。
人工で遺伝子を組み、合成させる。
クローン技術よりも禁忌、一からの人体生成に成功してしまった。
世界は彼女を危険人物とみなし、軟禁を試みた。
しかしそこは天才。
いち早く身の危険を察知し住んでいた土地を離れた。
場所を転々とし、行きついた先がこの森だった。

そしてもう一人。
歪な片目を持つ男の名は兄者。
ハインが初めて作った人間。
今はハインの恋人兼助手として過ごしている。

600 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:53:06 ID:97nhJ5R.0

( ゚_ゝ`)「せーっかく作ったのにー」

(;∵)ゴエエ…

从;゚∀从「そ、そんな目で見んなよ」

(;∵)ゴエ、ゴエ、ゴエエ

从;゚∀从「ば、ばか!捨てたりしねぇって!作った命は責任もって面倒みんのがおれの信条なんだから!」

( ゚_ゝ`)(え、会話出来んの?)

从 -∀从 ハア…

从 ゚∀从「つーわけで、しっかり面倒みろよ!」

(;゚_ゝ`)そ「俺!?」

从 ゚∀从「当たり前だろ、作ったのお前じゃん」

(;゚_ゝ`)「ハインが作れって言ったんじゃないか」

从 ゚∀从「そんな言い訳は聞きませ〜ん」

(;゚_ゝ`)「お前まさか…
      もとから俺に面倒みせるつもりで俺に作らせたな!」

从 ゚∀从「なんのことやら、分からんな!」

(;゚_ゝ`)「くそっ、やられた…」

602 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:54:47 ID:97nhJ5R.0
―――夜

ぎしり。
安物のベットは軽く体重をかけるだけで軋む。

( ゚_ゝ`)「なぁ、ハインよ。突然ペットが欲しいってどういう風の吹きまわしだ?
      しかも動物なら森にいくらでもいるだろ?今更、作る必要があったのか?」

从 -∀从「そう…だな。子供が・・・欲しかったのかもしれん」

向かいのベッドに腰掛けるハインがゆっくりと答える。
ハインの膝の上にはバスケットが抱えられている。
中には兄者の作ったなんとも形容しがたい生き物が寝息を立てている。

( ゚_ゝ`)「…そうか」

从 ゚∀从「咎めないんだな」

( ゚_ゝ`)「咎めてほしいのか?」

从 ゚∀从「そーいうんじゃないが…」

( ゚_ゝ`)「咎めやしないさ。作ったのは動物。人間じゃない。寿命だって人間より短い」

从 ゚∀从「…そうだな(動物ですらないような気がするが雰囲気的に黙っておこう)」

603 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:56:37 ID:97nhJ5R.0

ハインと兄者が生まれた国は頻繁に戦争を行っていた。
そのため男には、一年間戦地へ赴かねばならない徴兵制度が課せられていた。

兄者も当然戦地へ出兵していく。
ハインと兄者は恋仲であり、一年離れるというのは中々心苦しいものだった。
そこで兄者は月に一度ハインへ手紙を送ることを約束し、毎月その約束を果たしていた。

あと一月で帰還できるという時に悲劇は起きた。
どこからか作戦が敵側へと漏れ、兄者の所属していた部隊は全滅してしまった。
兄者の遺体は戦地で葬られ、遺族の元に帰ってきたのは薄汚れた手帳と写真が二枚だけだった。

恋人を亡くしたハインは現実を受け止めきれなかった。
そして彼女は人体生成の研究に手を出すことになる。

605 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 22:57:55 ID:97nhJ5R.0

戦場から届いていた手紙の切手から兄者のDNAを採取し、細胞を生成。
幾度も幾度も失敗を重ね、ついにハインの研究は実を結んだ。

生きていた頃の行動パターンや二人の思い出をデータとして脳に書き込み、兄者は蘇った。

607 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 23:01:09 ID:97nhJ5R.0

戦争で家族を失い、自分たちも命からがら逃げてきたことにし、新しい生活を始めた。

初めのころはなんの障害もなく生活できたが、暫く経つと兄者の記憶に歪が出始めた。

( ´_ゝ`)「どうしても子供の頃が思い出せないんだ。
       家族のことも、名前は覚えているのに顔がさっぱり思い出せない」

当然と言えば当然のこと。
今の兄者の記憶はハインが知りえる範囲のことしかインプットされていない。
兄者が疑問に思うたびにハインは懸命に誤魔化した。
しかし元来隠しごとが下手なハインは、隠しきれなくなってしまった。

( ;_ゝ;)「本当のことを教えてくれ。このままだと俺が俺でない気がして恐いんだ」

从 ゚∀从

从 -∀从

从 ゚∀从「・・・分かった」

608 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 23:02:07 ID:97nhJ5R.0

ハインは今まで隠してきたことを教えた。
兄者は戦場で亡くなったこと。
今の兄者は自分が作ったこと。
記憶も自分が植え付けたこと。

从 ;∀从「死んだことを認めたくなかった!おれのエゴだとは分かってる。
     それでもお前と生きたかった!」

( -_ゝ-)「ハイン」

从 ;∀从「おれは…おれは…!」

( ´_ゝ`)「ハイン、もう泣くな」

从 ;∀从「自分が間違ってることは分かってんだ!でも…!」

( ´_ゝ`)「うん、分かってる。お前が反省してることも、後悔してることも」

( ´_ゝ`)「だから言っておく」

( ´_ゝ`)「俺は本物の兄者じゃない」

( ´_ゝ`)「ハインに好意を抱いているこの気持ちも偽物だ」

( ´_ゝ;)「でも…この気持ちが偽物だなんて思いたくない」

( ;_ゝ;)「俺は確かに幸せを感じているんだ。俺は偽物で、作られた存在だとしても!
       ハインと生きていることが幸せだと感じている、この心は偽物なんかじゃない!」

从 ;∀从「ごめん、ごめん…」

( ;_ゝ;)「俺こそ、一人で死んでごめん」

兄者は自分の存在に涙を流し、先に死んでしまったことを悔やんでまた涙を流す。
ハインは兄者が涙を流すたびに謝罪の言葉を口にした。
泣いて泣いて謝って謝って。
二人の気持ちが落ちついたのは、二時間後だった。

609 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 23:03:09 ID:97nhJ5R.0

( ´_ゝ`)「俺決めた。せっかくもらった命だから楽しむことにするわ」

从 ゚∀从「いやいやいや、二時間って早すぎんだろ」

( ´_ゝ`)「こんな湿っぽい雰囲気、俺たちらしくないじゃん」

从 ゚∀从「それに落ち着いたっつーか、吹っ切れただけじゃね?」

( ´_ゝ`)「いいんだよ、それでも。人生なんか楽しんだもん勝ちだって。
       だからさ。お前も吹っ切れちまえよ」

从 ゚∀从「…」

从 ゚∀从「はは…はははは!」

从 ゚∀从「そうだな、そうだよな。じめじめしてんのなんて、おれらしくもねぇ!」

从 ゚∀从「・・・・ありがとな、兄者」

610 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 23:04:49 ID:97nhJ5R.0

泣いたせいで目を真っ赤にした二人は、これからの取り決めをした。

どちらかが死んでも相手を蘇らせないこと
隠しごとをしなこと
ハインの研究を後世に残さないよう、死ぬ前にこの研究所を破壊すること
そして、二人で子供は成さないこと

子供は欲しかったが、二人が死ぬ時に研究所を破壊するため子供は作らないことにした。
近くに人が住んでいないこの森で、一人にするには可哀想すぎるから。
たとえ森を出たとしても、森から来た人間をこの森を恐れている人々が歓迎してくれるとは到底思えない。
だから二人は子供を作らないことを決めたのだ。

611 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 23:05:47 ID:97nhJ5R.0
―――――――――
―――――――
――――

( ゚_ゝ`)「おーい、この辺でいいか?」

从 ゚∀从「おー、シート敷いててくれ」

(*∵)ゴエエ

翌日、二人と一匹は研究所裏手の広場に来ていた。

空気汚染と水汚染で壊滅的だった、この森を人が住める程度まで復元出来たのもハインの研究の賜物だった。
空気を綺麗にしてくれる植物や水を濾過できる魚など、この森にはハインの作った生き物たちで溢れている。
しかし外の人間にはそれらの生き物が汚染による奇形にしか見えず、更に人々は森を恐れ近寄らなくなった。

(*∵)ゴエッゴエッ

从 ゚∀从「あ、その紫の馬鹿デカイ花には注意しろよー。
     兄者みたいになっちまうぞ」

( ゚_ゝ`)「そうだぞ、そいつすっごい毒もってるから」

从 ゚∀从「空気綺麗にしてる分、空気中の毒素溜め込んじまうんだよなぁ」

( ゚_ゝ`)「しかも引き抜こうとしたら毒吐きやがるし」

从 ゚∀从「お前が無理矢理引っこ抜こうとするからだろ」

( ゚_ゝ`)「あんな花に意識持たせたお前が悪い」

612 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 23:07:15 ID:97nhJ5R.0

(*∵)ゴエエ、ゴエ

从 ゚∀从「おお、そうだったな。何しに来たか忘れかけてたぜ」

二人と一匹は兄者が準備したシートの上に座り、持ってきたバスケットの中からお弁当を取り出す。
並べられた弁当には、色どり豊かなおかずに俵型に握られたおにぎりが詰められていた。

(*∵)ゴエエエ!

从*゚∀从「おう!たんと食えよ!うまいから!」

(*゚_ゝ`)「今日は腕によりをかけて作ったからな」



二人と一匹は笑い合いながら、おにぎりを頬張る。
それはまるで家族のように見えた。



終わり



支援イラスト 専用スレ2>>662より


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