2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
川 ゚ -゚)退廃都市の占い師だったようです
  その2



25 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:19:19 ID:npACveK2O


視界の隅 カウンターの端に板状の小物型ネオンが置いてある

私は化学を勉強しなかったからその分野の知識はほとんどないが
そのネオンにも この都市にめぐる配管を通るものと同じような蒸気と魔法が 中に滞留していることは知っている

そしてその蒸気と魔法が書き込まれた術式――プログラムに従って反応し合い
様々な色,形の光を発して 見る人を楽しませる・・・


ネオンには仄暗い藍色が全体にぼんやりと漂っていた

26 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:19:51 ID:npACveK2O


( ・∀・)「‐‐‐」


何故あの男が気になるのか


川д川


少し考えてみて 私はあることに気が付いた

と同時に そのことに気が付いたせいで益々わからなくなってしまった


私は彼を一目見た時から


彼に対して『妬み』を持っている・・・


.

27 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:20:36 ID:npACveK2O


(´・ω・`)「そんなに恐い顔をしてどうかしたかい?」


川д川「え?」

川;д川「いや 何でもないんだ」


ふと我に返ると ショボンが私を心配そうに見つめていた

どうやら私は恐い顔をしていたらしい

自分の顔なのにわからないうちにそんな顔をしてしまうなんて
不思議だ

その原因であるこの『妬み』も不思議で堪らない・・・


ネオンには仄暗い藍色から 鮮やかな青色が中央に浮かび上がっている


.

28 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:21:36 ID:npACveK2O


川д川「あの、ショボン」

(´・ω・`)「何かな?」


グラスを磨いていたショボンは素早くグラスを置き私に顔を向けた

意外と話しやすい反応をしたことには少し驚いた


川д川「彼は一体・・・?客ではないのか?」


と視線を一瞬肩ごしに向けて知らせた
後方にいるのは彼ら二人だけだ

彼は含みの部分を理解したようで軽く頷く


(´・ω・`)「あぁ 彼かい 確かに気になるよね」


(´・ω・`)「あの荷物を見てわかると思うけど彼は旅人でね
      ここの出身なんだけど たまにこうやって帰ってくるのさ
      ジョルジュは同い年の幼なじみだから仲が良いんだ」

29 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:22:33 ID:npACveK2O


川д川「やはり旅人・・・」


以前 ジョルジュが自分の歳は28だ
と言っていたから私よりも五歳年上ということになる

・・・今更だがあんなやつが年上というのはあまり考えられないな


(´-ω-`)「かれこれ五年ぐらい帰ってなかったかな
      ジョルジュも久しぶりに会えて嬉しいんだろうね」

川д川「・・・」

(´・ω・`)「僕も久しぶりに彼の元気な顔を見られて 少し安心したよ」


ショボンはあまり心情を顔に表さない

だが今の彼には安堵感がはっきりと見て取れた

心配が少し解消されて安心したという感じ

先程気にしないようなそぶりをしていたのは仕事を優先したからであって
決して交流が薄いというわけではないようだ


.

30 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:23:07 ID:npACveK2O


川д川「そうだったのか・・・」


それにしても五年前だなんて奇遇だ

私がここに来た時と大体同じ時か・・・


( ・∀・)「〜〜〜?」


しかし相変わらずこの感情には納得がいかない

そもそも何故私があの男を妬まなければいけないのか

一目見ただけで何かを感じ取ったのだろうか

あの男にあって

私にないものを・・・


.

31 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:24:38 ID:npACveK2O


( ・∀・)「ショボン!久しぶり!」

川―川そ


気が付くとモララーはすぐ隣の席に座っていた
いつの間にかこちらに来ていたようだ
少しビックリしてしまった


ネオンの中では 先程灯った幽かな青色を覆うように赤色が中央に灯り
青色を押し退けるように円球を作り出している


(´・ω・`)「やぁ 久しぶりだね」

( ・∀・)「本当久しぶりに帰ってこれたよ!
      帰りたい気持ちもあったんだけど帰るに帰られない事情が重なっちゃってさ〜」

(´・ω・`)「手紙は読んだよ なかなか大変だったみたいだね」

( ・∀・)「そうそう!実はあの事件のあと・・・」


ハキハキと喋る男だ
実年齢はもっと上だが その振る舞いを見ると私と同程度の年齢に見える

その目を爛々と輝かせて喋る姿は最早子供のように見えるほどだ


私にはないもの・・・無邪気さか?

いや 違う

もっと別の・・・


.

32 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:25:45 ID:npACveK2O


川д川「すまない」


考えているうちに何故か話を遮る言葉が口から出てしまった

二人がこちらに振り向いている


・・・今日の私はどこかがおかしい


私は少し戸惑いながら何とか次の言葉を考えだし 背筋を伸ばす

粗相なくしなくてはいけない


川―川「ん、んん」

川д川「私は占い師のクールだ ショボンから君のことを聞いたんだが
    私は君のことに興味があ・・・」

( ・∀・)「おぉ!あんたがクーにゃんか!」


・・・だがジョルジュが吹き込んだであろう妙ちくりんな名前のせいでテンポを完全にずらされてしまう


川;д川「いや 確かにそうなんだがその呼び名はジョルジュが勝手に・・・」

( ・∀・)+「若くて綺麗な子が常連になったってアイツから聞いてたが
      確かにすげぇ美人だな〜!俺はモララーだ!よろしく!」

川;д川「あ ああ、よろしく」


相手をして初めて気付いたが物凄い勢いで喋る男だ
モララーは手をこちらに差し伸べると私が手を掴むや否やしっかりと握って握手する

旅人とはこういう人間なのだろうか


.

33 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:26:28 ID:npACveK2O


( ・∀・)「それで?クーにゃんは俺に何か聞きたいことでも?
     あっ、やっぱ旅人ってのに憧れるかな?やっぱそうだよな〜・・・」

川;д川「いや、あの」

ヾ( ・∀・)ノ"「旅人って自由人で気楽奔放ってイメージがあるじゃん?
     でも実際そんないいもんじゃなくてさ〜
     俺もそんなイメージ持って旅人になったから最初はすっげぇ大変で・・・」

川;д川「・・・」

( -∀-)「都市出てからいきなり蒸気機関振り回して襲ってくるやつに出くわしちゃって・・・」


思った以上に自由人だった

まるで高速でタイプされていくワープロを
息継ぎなしで朗読していくようにペラペラと喋り続けるモララー

そしてそこに大きな身振り手振りが加わる

相槌を打つどころか全く口を出すタイミングがない

名前のことは諦めることにした


.

34 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:27:23 ID:npACveK2O


川д川「・・・」


しかしマシンガントークはジャムを起こすこともなく止まらない

一度張り倒して止めようかと思い至った

ちょうどその時


( -∀・)「それで俺は・・・お?」

(´・ω・`)「どうぞ モララーの好きなお酒」


ショボンが良いタイミングで助け船を出してくれた


( ・∀・)「おぉ サンキュー」


ゆっくりと差し出されたグラス
そこでは氷とアルコールがゆったりと揺らめいている

そのグラスを手に取ると
モララーは先程までと違い 落ち着いた雰囲気で口に運んでいった

( -∀-)「懐かしい味だな」


グラスを置き 懐かしげにそのグラスを見つめる


お酒を前にすると静かになる人はあまり見たことがないが
モララーはそのタイプなのだろうか


ネオンには青色も円球を作り出していた
青色と赤色の円球が左右に停滞してジリジリと接触し
その接触点から紫色を発している

.

35 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:29:04 ID:npACveK2O


(´・ω・`)「久しぶりの帰郷に加えて 美人を相手に話をするんだから興奮するのもわかるけど」

(´・ω・`)「このお酒は帰還祝いのサービスだからまず飲んで落ち着いて欲しい」

(´・ω・`)「クールさんのお話も・・・ね」


ショボンはそんなモララーを優しく諭すと こちらに笑顔を向けて他の仕事に戻っていった

少し頭を下げてお礼をする


姿勢を戻すとモララーはグラスから私に視線を移していた


( ・∀・)「ゴメンね 興奮しちゃうと容易に止まらないタチでさ」


彼は微笑みながらそう言った

落ち着きを纏えば年相応にも見える

やはり不思議な人だ


川д川「いや構わない こちらは話を聞かせてもらう身分なんだから」


・・・少し困ったのは事実だが


.

36 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:30:28 ID:npACveK2O


川д川「それで聞きたいのは旅人のことで」

( ・∀・)「そうそう クーにゃんはそんなに旅人に興味あるわけ?」

川д川「いや そこまで多大な興味を寄せているわけではないんだが・・・変だろうか?」


モララーはかぶりを振る


( ・∀・)「変だなんて思わないよ ただ君みたいな人は旅人を毛嫌いするタイプかと思ってさ」

( -∀・)=3「旅人は嫌われることも多いから 特にお堅い人にはね」


半ば諦観を含んだ言い方なのが気になる

・・・それは少々心外だ


川д川「毛嫌いなんてことはしない それに君はちゃんと考えを持ってその生き方をしているように見える
    私はそんな人の生き方にケチなどつけない」


.

37 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:31:06 ID:npACveK2O


ふふっと笑みを添えるモララー


( ・∀・)「俺のことをそんな風に見てくれるなんて嬉しいね」

( ・∀・)「クーにゃんは悪い人じゃないみたいだ」

川д川「悪い人・・・」

川д川「人は善悪二元論で分けられるほど簡単な生き物ではないと思うが・・・」


グラスを触るモララーにそんなことを言うと
今度は隠そうともせず 身体を揺らしながら笑いを起こしていた


(( *-∀・))「プフッ!クックック・・・」

( ・∀・)「やっぱりお堅いね 面白い娘だなあ クーにゃんって
     俺は君みたいな娘好きだよ」


川―川「ど、どうも・・・」


嫌われてはいないようだが何となく気になる反応なのは何故だろうか
まあそれはいいが・・・


川д川「あ」


しまった


.

38 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:32:35 ID:npACveK2O


( ・∀・)「ん?」

川;―川「すまん・・・いや すみません
     初対面で それに年上の方なのに敬語を忘れてしまって」


性分なのか何なのかはわからないがどうしても敬語を忘れてしまう
仕事中は意識できているのだがOFFの時はどうしてもくだけた口調になってしまうのだ


私は頭を下げて謝った

しかし


( ・∀・)「別にそのままで大丈夫だよ 俺はそういうの気にしないから
     建前も大事だけどため口の方が気が楽でいいしね     」


元々問題なかったようで何のお咎めもなく許しをもらえた

絵に描いたような気さくさだなと今更だが感じる


お酒を飲みながらも程よく私の話に合わせ
スムーズに会話を進めていく


( ・∀・)「―‐―?‐―‐!」


気さくでかつ気配りの利く男だ


だがそれも一瞬で変わった


.

39 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:33:37 ID:npACveK2O


全体の雰囲気もそうだがその変化を如実に表すのはその目だ

子供のような好奇心の塊でありながら 人をストイックに評価しようとする大人のそれにも見える

モララーはそんな目をする


先程自分で言っておいて何だが ここまで複雑な人もそうはいないと思った


ネオンには赤色からふつふつと黄色が飛び出し 接触点が緑へ変化していく


( ・∀・)「それで最初に言ってた」


( ・∀・)「旅人に興味があるってのは何でかな?」


モララーは奇妙な目をしながらしっかりと私の目を見つめてくる


.

40 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:36:01 ID:npACveK2O


川д川「・・・」

川д川「それは・・・」


何でだろうか

以前から旅人という存在は知っていたが
それほど興味は持っていなかった

けれど今は興味を持っている

いや 旅人というより
私はモララーに興味がある


川д川「・・・君を見ていると何故だか興味が湧いてね」


何故興味がわいたのか

それは彼に『妬み』を持ったからだ

今までに持ったこともないような『妬み』

その『妬み』は私の持たないものを彼が持っていると思ったから生じたもの

私は・・・

そうだ 私はモララーの・・・


.

41 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:36:12 ID:npACveK2O
川д川「私は・・・」

( ・∀・)「何々?俺のファンになっちゃったのかな?」

川д川「いや そういわけではなく・・・」


モララーの・・・

  _
( ゚∀゚)「何ィ!?てめェ俺のクーにゃんに何しやがった!」

・・・

( ・∀・)「お前はいきなり出てくるんじゃねーよ!ちゃんと仕事してろ!」


・・・

  _
( ゚∀゚)「なんだとてめェ!そのままお持ち帰りかこの野郎!」


( ・∀・)「バカかお前は!」


・・・

・・・


.

42 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:37:39 ID:npACveK2O


―――――

・・・考えがまとまりかけたところで闖入者
そして少々の戯れ合いのあと

闖入者は店主によって店奥へ連れていかれ
野菜の皮剥き作業へ没入させられることとなった


ネオンに小さな乳白色の光が灯った
かと思うとすぐに消えていった


( ・∀・)「ごめんね あいつ面倒なやつで」

川д川「慣れているから大丈夫だ」


その後 再び落ち着きを取り戻すと
私はモララーから昔のことについて話を聞かせてもらった

彼が元々捨て子で
まだ若かったショボンに拾われ 育てられたということ

ジョルジュとの仲や この都市特有の荒んだ状況
その中で力強く生き残ってきた過去のことなど・・・


.

43 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:38:22 ID:npACveK2O


( ・∀・)「拾われたっつってもショボンもまだ20いってなかったからな〜」

( -∀-)「まだちいせぇガキだった俺と
     この都市に働き口を探しに来たショボンが出会って」

( ・∀・)「なんやかんや一緒に住むことになったんだ」

( ・∀・)「形的には俺とショボンが協力して生きてきたって感じだな」

( -∀-)「だからショボンは
     親で兄貴で親友 って感じなんだよな〜」


時折グラスを口に傾けながら話していくモララー
そして時折そのグラスにお酒を注ぎながら黙々と仕事をこなすショボン

この絶妙な間も その歴史があるからなのだろうか


川―川「二人は面白い関係なんだな・・・」


思えば私にはそこまで親密な関係はないかもしれない

親とももう何年も会っていない


.

44 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:39:04 ID:npACveK2O


そういえば とモララーが言った


( ・∀・)「君が俺に興味を持ってくれたのと同じように」


( ・∀・)「実は俺も君に興味を持ったんだよね」


気付くとまたあの目をしていた


ネオンにはまた大きな青色と赤色の円球が左右に灯り 赤色の円から黄色が飛び出して接触するたびチリチリと緑色を発している


川д川「私にか?」


( ・∀・)「そうだよ だって・・・」


間が空く 緊張してしまう

私が彼に違和感を感じたのと同じように
彼も私に違和感を感じたのだろうか・・・


.

45 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:39:45 ID:npACveK2O


しかし


( ・∀・)「こんな若くて占い師やってるんだろ?美人すぎる占い師ってすごいじゃん!」

川д川「え」

川;д川「あ ああ、ありがとう」


俗っぽいもので拍子抜けしてしまった


ヾ( ・∀・)ノ"「それに占い師といったら魔法!!興味ありまくりですとも!!」


( ・∀・)「そこらへんで使われまくってるちゃちな魔法じゃない
     本物の魔法だもん!すっごいよなぁ〜       」


ちゃちな魔法というのは都市にめぐる配管を通っている魔法のことだろう
確かに 蒸気の補助作用を果たすだけに留まる魔法の力は小さいものかもしれないが


川д川「私が使うものも理屈は同じ魔法なんだがな」

( ・∀・)「いやいや用途も規模も全然違うじゃん!その気になったら火とかも出せんでしょ!?」


川д川「まあ 出せるには出せるが・・・」

ヾ( ・∀・)ノ"「やっぱりすっげぇな!魔法!」


.

46 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:40:44 ID:npACveK2O


子供のようにはしゃぐモララー

少し見せてくれと言われたので指先に火を灯して見せる

それだけで大喜び

先程まで回顧しながら昔を懐かしんでいた雰囲気とはまるで違う
色んな意味で忙しい人だ


そして その雰囲気もまた唐突に変わる


( ・∀・)「本当すっごいよなぁ・・・それにクーにゃんは占い師をやってるんだろう?」

川д川「ああ」

( ・∀・)「ってことは未来を見ることもできるんだよね?」

川д川「未来を見ると言っても完璧な予知ではなく断片的で曖昧なものだ
    その対象の情報がより詳しくなればなるほどより詳しく見ることもできるが・・・」


そこまで言ってある考えが浮かんだ


( ・∀・)「それに幸不幸も見れるんだよね」


最初からこれを狙って喋っていたのだろうか と


.

47 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:41:23 ID:npACveK2O


今までと声色が違う

彼の目はまたあの目だ


ネオンの緑色が眩しい


川д川「・・・」


( ・∀・)「・・・」


何故こんなことを あるいはどこでこんなことを
ただの勘か あるいはあえて聞いているのか・・・

何にせよ

やはり気になる人物だ


川д川「いや 私は幸不幸を見ることが苦手で 見ることができないんだ」


( ・∀・)「あ そうなんだ
     なんかごめんね にわか知識でみんな出来るもんかと」

その返答と同時にその目は柔らかなものに戻っていく


川д川「いや構わない
    それにパターナリズムというものも考慮している
    こうすれば必ず幸せになるということは言えないし 言いたくないからだ」


( ・∀・)「へぇ 占い師もなかなか難しいんだねぇ」


そう
都合のいい言い訳なら用意してある
嘘ではないし特に問題はない

彼が話題を変えればだが


.

48 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:41:54 ID:npACveK2O


( -∀-)「・・・」


モララーは目を閉じ 何かを手繰るように頭をひねって考え込んでしまった

何となく気まずい空気が流れる

失礼なことをしたわけではないはずだ

彼はこのタイミングでそのような意味ありげなことをする


川д川「・・・」


『マズいことをした』と私に思わせたいのか


・・・そんな核心のことはペラペラと喋れるものではないぞ


天井と床の黒さがいやに目につく

見つめていると何だか逼迫感を感じる黒さだと思った


ネオンにはいつの間にか仄暗い藍色が戻っている


.

49 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:42:28 ID:npACveK2O


( ・∀・)「そういえばさ」


( ・∀・)「クーにゃんはお酒飲まないの?」


やっと話題が変わったと安心する
沈黙の時間はとても長く感じた・・・


それにしても酒か


川д川「私は未だに酒というものを飲んだことがないんだ」

( ・∀・)「え?マジ?」

川д川「ああ」


驚いたような顔をするモララーだが予想はしていた

今の世の中 特別な理由もなく18も越えているのに酒を飲まない人間は少ない

まあ私はその特別な理由を持ってしまっているわけだが



( ・∀・)「それは勿体ない!奢るから呑みなよ!」

川д川「え」

( ・∀・)「ショボーン!アルコール弱いやつお願い!」

川;д川


こちらの言い分は考慮してくれないのだろうか


.

50 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:43:04 ID:npACveK2O


(´・ω・`)「全く・・・持ってきても大丈夫かな?」


急な注文をつけるモララーをショボンは押さえて私の反応を待つ


川д川「まあ・・・せっかくだから試してみるよ」


正直心配もあるが物は試しだ

それに 話がぶり返す前に話題は移しやすくしたい


(´・ω・`)「わかりました ちょっと待ってて」


ネオンには仄かな藍色に赤色と青色が点々と灯っている


そして少し目を放せば 既にショボンは私に小さなグラスを差し出していた

この手際の良さはいつもながら感心する


(´・ω・`)「どうぞ 飲みやすいものを選んだから
      ゆっくり飲んでみて」

川д川「ありがとう」


.

51 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:44:01 ID:npACveK2O


淡い色が広がる液体 果実の香りがすぅーっと漂ってくる
これが酒というものか


川д川「それじゃ ありがたくいただく」

( ・∀・)「どうぞどうぞ」


ゆっくりと口をつけ 口内へ流し込む

嫌な感じはしないが何だか変な感じだ

飲み込むと少し喉に熱を感じた


( ・∀・)「人生初のお酒はどうですかな」

川д川「うん よくわからないな」

( ・∀・)「まっ最初はそんなもんだよ 飲んでるうちに徐々に慣れてきて良さがわかってくる」

川д川「そうなのか・・・」


しかしアルコールというのは身体に入れるとなかなか浮遊感がするものだな
それに顔が熱い


気付けばグラスには酒が入っていない

川ー川「うん・・・うん・・・もう一杯頼もう・・・」


( ・∀・)「お もう気に入ったか!俺も好きだからなそれ ショボン!」


.

52 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:45:19 ID:npACveK2O


(´・ω・`)「はいどうぞ」


また注がれる酒

そして それを飲む私


( ・∀・)「そういえば 占い師の仕事ってやっぱり忙しいの?」

川ー川「いやいや いつもやることは一緒だし複雑な手順もない
    客も何十人といるわけじゃないから忙しさもない   」

川ー川「退屈なものだよ」

( ・∀・)「そっか」


モララーが何かを喋っているから相槌を打とうと声を出すが
自分で何を言っているかよくわからなくなってきた


( ・∀・)「でも確か自分の未来は占えないんだよね?そんなに退屈ってわけじゃないんじゃない?」

川ー川「よく知っているな 確かにそうだ」

川ー川「だが占う必要もないさ 今日と同じことを明日も繰り返すだけだ」

( -∀・)「へーなるほどね・・・」


脊髄反射で口を動かしているようで喋った記憶があまりない

それでも何故か口が動く


川*剞「あはは・・・はは!」


とても良い気分だな これがお酒か
浮遊感が身体から噴出してそのまま身体を包み込んでいくようで・・・


.

53 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:45:49 ID:npACveK2O


(;・∀・)「あれ まさかもう酔った?」

(´・ω・`)「弱いお酒だしそんなに飲んでないから大丈夫だと思うけど・・・」


・・・しかし その言葉を最後に 私は全ての感覚を手放していき
浮遊感とは裏腹に 夢の中へと沈みこむように・・・



.

54 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:47:36 ID:npACveK2O


川*゚听)「もりゃりゃー!まだ飲み足りないし話足りない!」

( ・∀・)「わかったわかった」


俺 ショボン そして占い師の子は店を出て店前の通路にいた
軽く酒に溺れた彼女を肩にかけて何とか立たせる


思ったよりもお酒に弱い女の子だった

気に掛けるように髪で隠していた素敵な素顔も
気にすることなく晒して グワングワンと揺れている

俺みたいな男にヘッドロックなんかかけちゃって不用心極まりないぞ


(´・ω・`)「それじゃあ悪いけどモララー 頼んだよ」

( ・∀・)「おう 任せとけ」


このままでは家にちゃんと帰られるか心配
ということで唯一手が空いている俺に白羽の矢が立ち
一先ず荷物はバーボンハウスに置いて 彼女を家まで連れていくことになったのだ


場違いなバカが一名騒いだのは言うまでもない


.

55 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:48:37 ID:npACveK2O


(´・ω・`)「ちゃんと届けて来たら帰ってくるんだよ?」

( ・∀・)「・・・もしかしたらお泊まりしてくるかもしんねーな」

(´-ω-`)「・・・」

(´・ω・`)「くれぐれも彼女を襲わないようにね」

(;・∀・)「そんなつもりじゃないし そこまで飢えてねーっての」


酔いどれ娘を背中におぶると ショボンと店に別れを告げ
電灯に照らされ妙に明るすぎる通路を歩いていく


この都市もあまり変わらない

分厚く赤黒い雲だとか
気持ち悪いぐらい伸びまくってる配管だとか
都市を覆うような湿っぽく肌に触れる空気だとか


それでも変わるものもある


時折隙間から見える外観を見て物思いをしていると
暖かい息が耳をくすぐる

やめてくれよ その気になる


( ・∀・)「・・・」


・・・なんか俺気持ち悪いな 俺まで酔っちまったか?

美人だから仕方ないか


.

56 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:49:11 ID:npACveK2O


川*゚听)「おんぶされて何だか・・・家来が出来たみたいだ」

( ・∀・)「お姫様如何なさいますか?」

川*゚听)「おー!ではもりゃりゃー!旅人の話を聞かせろ!君の話は実に興味深い!」

( ・∀・)「はいはいかしこまりましたよお姫様」


ノンフィクションに軽くフィクションを交えて面白おかしく喋る

それを笑いながら聞くこの子


魔法使いというのは今の世のなか珍しい
しかもここまで年若い子はそうはいない
余程努力したんだろう

それこそ酒を嗜む余裕もないくらい

そうしてやっと手に入れたものに


どうして彼女は満足できていないんだろう


.

57 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:50:17 ID:npACveK2O


幾つか同じような形ばかりの角を抜け
チカチカと眩しい通路をひたすら進む

するとドアが並ぶ通路にたどり着いた


その中の一つ
《占い所》と書かれ《閉店》と書かれた木板が吊されている扉がある


川*゚听)「お!ここだ!入ってもいいぞ!」

( ・∀・)「はいよー お邪魔しますと」


許しをもらって扉を開ける

割と片付いた感じの広い部屋
ここが彼女の部屋らしい


川*゚听)「うおー!我が城よ!私は帰ってきた!」


俺の背中から無理やり降りていき
ライトもつけず部屋がまだ暗い状態なのも気にせず
大げさに手を振り回しながら台詞めいた言葉を口にしていく

まだお姫様設定続いてたのか


.

58 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:51:03 ID:npACveK2O


( ・∀・)「ここは仕事場じゃないのか?」


川*゚听)「仕事場兼住みかだ!仕事の時はわざわざ場を作って雰囲気を作るんだ!
     仕事に使う道具なんかほとんどないから用意するのは面倒だけどな! 」


半円をかたどった部屋のようだ
壁際の一点に物がまとめて置いてあるが それが商売道具らしい

カーテンが壁にかけられているところがあり その奥にはまた別の部屋があるみたいだ

こんな形の部屋はここら以外になかった気がするけどわざわざ作らせたのか
いや 魔法で弄ったのかな


( ・∀・)「占い師もそんなに楽じゃないんだなー」

川*゚听)「金なら余るほど手に入るから別段気にしてないけどな!」

( ・∀・)「俺も占い師始めようかな・・・」

川*゚听)「魔法使いになるのは厳しいぞ!まず魔法を覚えることが難しい!それに・・・」


.

59 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:52:16 ID:npACveK2O


お酒を飲むまではあまり喋らなかったが 酔ってからは本当によく喋る

無口だった人でも酔うと急に喋りだすということはよくあるけど
それが無口じゃない人なら尚更だ


川*゚听)「〜〜〜!‐‐‐!」


今まで一緒に飲んできたやつにもたくさんいたし
そういうやつは恐らく万国共通の如くどこにでもたくさんいるんだろう


( ・∀・)「そうなんだ それでクールはどうして魔法使いに?」


そして そういう人の中にたまにいるんだが・・・
心中にどでかい何かを抱え込んでいるやつがいる


川 ゚听)「私はな この仕事が嫌なんだ」

( ・∀・)「・・・」


そういう人は常に自分の中へ色んなものを溜め込んでいくタイプだ
だがあることをきっかけにその溜め込んでいくための流れが逆流すると

反動で『それ』は内から外へ吹き出そうとする・・・


.

60 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:53:21 ID:npACveK2O


気付けば彼女は一糸まとわぬ姿になっていた

それまで熱を持っていた彼女の顔から赤みは消えている


川 ゚ -゚)「いや この仕事が嫌いなんじゃない」


川 - -)「私が嫌いなんだ」


この都市には昼夜を問わず無神経に都市中を照らそうとする外のライトがある

俺がこの都市に定住していた時は眩しいの何のとうざったいことこの上なかったが

今夜はそのライトが一流アシスタントのように思える

外からガラスを通ってくる光は 彼女の白く透き通る肌を淡く照らしだし
その美しさは一層際立つ


川 ゚ -゚)「幸せになっていくあいつらを見ると嫌になる」


そして彼女の表情から零れる悲壮感もより際立っていく

彼女は確かに魅力的だ

だが未成熟にも見える

その理由はわかった




61 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:53:52 ID:npACveK2O


川 ゚ -゚)「私がこの都市で見る物の中で三番目に嫌いなものはあの像」

( ・∀・)「・・・」


赤黒い空を背景に場違いな金ぴか像がある
遠くでそれが静かに立っているのが見えた


川 ゚ -゚)「そして二番目に嫌いなものはバーボンハウスのピザ」

( ・∀・)「・・・」


シンプルな料理が特徴のショボンが得意な料理


川 ゚ -゚)「最後に一番嫌いなものは・・・」


彼女は 部屋の最も暗い場所に向かい そこにある全身を映すほど大きな鏡の前に立ち


川 ゚ -゚)「自分だ」


その綺麗な姿を嫌悪の目で見つめていた


.

62 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:54:20 ID:npACveK2O
〜〜〜〜〜〜


私は生まれた時から魔法使いとして教育された

14歳の頃には親元を離れ 本格的に魔女の弟子になり
それから4年の修行の後 魔法使いとして生きる許しを得た

魔法使いとして生きる術を与えられた

しかしそれは言い換えるなら 魔法使いとしてしか生きる術を与えられなかったとも言える

そこに選択はない


そのことを悪く言うつもりはない

ただその意向をバカのようにそのまま受け入れた自分に対しては
嫌なほどの苛立ちを覚える

あの時もっと違う選択をしていれば

いや

選択の重要性に気付いていれば


.

63 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:55:29 ID:npACveK2O


母はとても優しい人だった それゆえに私を溺愛した

父もとても優しい人だった だけどとても無口な人だった

いつだったか母は私を抱きかかえながら言っていた

『私があなたを幸せにしてあげるから』

その頃はまだ小さかったから
その言葉の意味も その言葉の示すこともわからなかった

だけど今なら少しわかる

魔法使いになれる環境を持てて「クールは幸せね」と言われ

魔法使いになるための修行をすることができて「クールは幸せね」と言われ

魔法使いとしてこの世で生きていくことができて「クールは幸せね」と言われた


私は常に幸せだった


.

64 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:56:36 ID:npACveK2O


母は魔法使いに憧れていた

その理由はわからないし それを知ることに大して意味はない

魔法が廃れたとはいえ

魔法使いはステータスのある職だ

母は魔法使いになれば幸せになれると考えていた

だから私を魔法使いにした

私は幸せだ

私は幸せだったんだ

私は母の幸せだった

母は魔法使いになれなかった

だから私を魔法使いにした

私はそれを幸せなことだと教えられた

だからわからなかった

幸せとはどんなものなのか


.

65 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:56:51 ID:npACveK2O

人が孤独に気付く時はどんな時か

それは人の群れから離れ 一人になった時だ

その時初めて孤独を知ると聞いた


私が幸せを知るのはいつか

幸も不幸も知らない私がそれを知る時は来るのだろうか

私の幸せはどんな形なのかを


私はそんなことを延々と考え続ける自分が嫌いだ

いつまでも変わらず殻に籠もり

言葉では取り繕っても結局周りに責任転嫁していく自分が

そして自己嫌悪に歯止めはかからず

硬直化していく


.

66 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:57:26 ID:npACveK2O


〜〜〜〜〜〜〜


川 ゚ -゚)「いつ見ても変わらない」

川 ゚ -゚)「だけど自分かわいさゆえにいつまでもその安寧に身を委ねる」

川 ゚ -゚)「安寧は良いものなのに 心のそこから安心することがない」

川 - -)「空疎なんだ そこには表面的な安心感しかない」

川 - -)「そうやってどんどん、鈍化していく」

川 - -)「それが一番、気に、食わない」


溜め込みすぎたものは互いに混ざり合って異物となり
吐き出される

間違いなく異物だ
頭でっかちの作り上げた異物

俺はそいつを目の当たりにしちまった


.

67 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:58:18 ID:npACveK2O


( ・∀・)「お前は・・・あ?」


川 - -)


彼女はそのまま床に臥していた
顔を伺うと安らかに眠っている


( ・∀・)「寝ちゃったか・・・」


やっぱり

前の俺と似てるな
だから興味湧いたんだ


先程までの話が嘘のように綺麗な顔をして眠る彼女
適当に置いてあった毛布を二枚 彼女に被せておく


( ・∀・)「・・・一晩床、借りるぞ」


正直 ショボンの警告を無視することになるかもしれないと
危惧していたが そうはならないようだ

そんな話を聞けば欲なんか湧いてこない
風情がなくなっちまったからな

それに やりたいことは他にある・・・


荷物からマントを取り出し 自身に包んで眠りに入った

多分明日は騒がしくなる


.

68 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:59:02 ID:npACveK2O


―――――――


意識が立ち上がる

外から差し込むライトが目に当り
私は身をよじった


川 - -)「ん・・・んー・・・」

川 ゚ -`)「ん?」


・・・部屋の中 私の家

床で寝ていたようだ

眠気のせいかはわからないが 少し意識がはっきりしない
昨日の記憶も曖昧で定かでない

淀む頭の中を 頭を振って整理する

私は確か昨日仕事を終えて
いつも通りバーボンハウスへ行き

そこで妙な男に会ったような・・・


そこでふと どこかからふんわりとした良い匂いがしてきた


.

69 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 22:59:58 ID:npACveK2O


( ・∀・)「おはよー 朝ごはん作っておいたよ」


そして匂いに続いて 覚えのない男の顔がカーテンから現れた
どうやらキッチンで朝ごはんを作っているらしいが


川 ゚ -゚)「君は・・・」

( ・∀・)「モララーだよ 忘れちゃった?
     って言っても あの酔いっぷりじゃ忘れてても仕方ないかな」


・・・そう
その気さくな喋り方には覚えがある
バーボンハウスで出会った男だ


川 ゚ -゚)「モララー・・・確か旅人の・・・」

( ・∀・)「そうそう それで楽しく会話してたんだけど
     クーにゃん酔い潰れちゃったから俺がここまで連れてきたわけ」


なるほど
意識があまりハッキリしないのはそのアルコールの影響か


川 ゚ -゚)「そうだったのか それはすまなかった」

( ・∀・)「別にいいって あと一応言っとくけど君の体にいかがわしいことはしてないから安心してね」


モララーは私の顔を真っ直ぐ見ながら言った

こちらの目をしっかり見てくるが こんな男だったか


.

70 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 23:00:32 ID:npACveK2O


それにしても何だか清々しい

二日酔いと言うほど悪い状態には何とかならずに済んだらしいと安堵した
毛布を取って立ち上がり 伸びをしながら答える


川 ゚ -゚)「ああ そこは大丈夫だ 何か私の身に起これば
     自分にかけてある自動魔法が作動するから」

川 ゚ -゚)「私の周りのものは一瞬で細切れになる」

( ・∀・)「・・・そうなんだ 間違い起こさなくてよかったよ」


複雑な表情を浮かべるモララーを横にテーブルにつく

しかし 先程から清々しすぎて違和感があるのは何だろうか


.

71 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 23:01:04 ID:npACveK2O


川 ゚ -゚)「それでは朝ごはんを・・・」

( ・∀・)「あとクーにゃんさ」

川 ゚ -゚)「ん?」

( ・∀・)「俺がわざわざ言うのも憚られるんだけど」

( ・∀・)「服 着たほうがいいと思うよ?」


川 - -)

川 ゚ -゚)


なるほど だから顔を凝視するしかなかったのか


川 ゚ -゚)「そうだな 着てくる」


( ・∀・)「・・・そういうのは無頓着なんだ」


.

72 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 23:01:50 ID:npACveK2O


―――――


食事の最中 収入の話になり
その具体的な額を聞いて若干引いていたモララーだったが

突拍子もないことを言ったのは そんな話の少ない朝ごはんを終えた時だった


( ・∀・)「それでさ」

( ・∀・)「君の嫌いなものBEST3を」

( ・∀・)「これからぶっ壊しに行こうよ」

川 ゚ -゚)「は?」


訳を聞く暇もないうちに モララーは飛び出していた


.



73 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/18(火) 23:05:20 ID:npACveK2O
というわけで時間かけまくってんのにまだ終わりません

俺と同じように遅れている人たちへ
がんばれ マジがんばれ

次はまだ未定ですが1ヶ月先とかいうことにはしたくない



管理人:良い所ですが、ここから先は投下待ちです。作者さんがんばって!


<<<その1 ◆ その3>>>

トップ2012秋ラノベ祭り投下作品一覧川 ゚ -゚)退廃都市の占い師だったようですその2
元スレ
inserted by FC2 system