2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
食欲の秋のようです



925 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:26:15 ID:ekN8OG7o0
食欲の秋のようです

927 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:27:03 ID:ekN8OG7o0
【食欲の秋】


(; ^ω^)「ふぃー、こんなもんかお?」

ξ゚听)ξ「そうね。この位あればまあ火は通るでしょう。」

向かい合う二人の間には、落ちていた枝木、落ち葉や枯葉、丸められた新聞紙等が山になるように置かれている。
そしてその山に突き刺さるように立つ二本の細い棒のような物。


(*^ω^)「ツン!ツン!火を付けても良いかお!?」

ξ ゚ー゚)ξ「…えぇ、良いわよ」

(*^ω^)「うおおおお!!燃えろおおおおおおお!!!」

ブーンは持っていたマッチを素早く擦り、新聞紙へ火を移す。
すると忽ち火は大きくなり、パチパチと軽快な音を立てながらブーン達お目当ての物を温めて行く。

928 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:27:57 ID:ekN8OG7o0
ξ゚听)ξ「あー、あったまるわぁ…。予想以上に外寒くなってるし。」

( ^ω^)「おっおっ、それでこそコレは食べがいが出るもんだお!寒いからこそ美味しくなるお!」

ξ ゚ー゚)ξ「そうね。肉まんみたいな。」

ξ゚听)ξ「…それにしてもブーンって本当に丸いわね。マシュマロみたい。」

(; ^ω^)「おっ?」

ξ゚听)ξ「一緒に焼いちゃう?」

(; ^ω^)「やめて!美味しくないお!」

929 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:28:42 ID:ekN8OG7o0
(; ^ω^)「んー、まだかおー?」

先程より少し小さくなった焚き火。
しかし音は変わらず小気味の良い音を鳴らしている。

そして、ほのかに香ってくる甘い匂い。

ξ゚听)ξ「そろそろ良いかもね。ブーン、私にも一本取ってくれる?」

(*^ω^)「合点だい!」

ブーンが火の粉を少し散らしてしまうくらい勢い良く抜いた棒の先には、アルミホイルに包まれたソレ
焼き芋である。

熱いのを我慢しながらアルミホイルを半分まで剥き、紫と少し焦げて黒ずんでしまった芋を取り出す。

930 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:29:23 ID:ekN8OG7o0
(*^ω^)「いただきまー」

(; ^ω^)「あっっっっつぁい!!!!!??」

ξ゚听)ξ「バカな子」

(*^ω^)「でも美味しいおー!」



ξ゚听)ξ「ちゃんとふーふーして冷ませば良いのよ。ふーふーて。やっぱダメだあっっっついわ。」

ξ゚听)ξ「…ん、でも美味し。」

一口だけでも分かる、中身まで火が通っておりホクホクとした食感。
かなり甘くなっており、高級なお菓子でも食べているかのような感覚になってくる。
皮にも蜜が溢れており、焦げてしまっている分更に甘く思えてくる。

( ´ω`)「幸せだお…本当に美味しいお…これのストックが後四つもあるなんて…」

あれ程勢いの良かったブーンでさえその味を噛み締めている。
焼き芋の力は絶大である。

931 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:30:37 ID:ekN8OG7o0
ξ゚听)ξ「そうね…何かもう二人だけで食べてるのが勿体無い位に思えてくるわ。」

( ^ω^)「だお。何かもうこう…自慢したいお。」

ξ゚听)ξ「何で自慢するの?」

( ^ω^)「んーと…こんな物を調達できたおー!みたいな?」

ξ゚听)ξ「疑問系…」

( ^ω^)「そういえば何故に学校でやってるんだお?」

ξ゚听)ξ「近いから。それだけやよ。」

( ^ω^)「それだけかお…」

「うおおおおおっっ!?」

( ^ω^)ビ クッ
ξ゚听)ξビ クッ

唐突のだれかの悲鳴に二人は肩を強張らせる。
声のした方向へ視線を向けると

よく顔の知った親友が、二階から身を乗り出していた。

ーーーーー

932 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:31:22 ID:ekN8OG7o0
夕暮れ
静かな校内、静かな室内に寝息一つ。
本を下敷きにして眠りに耽る男子、その隣にも、図書室のパイプ椅子座り読書を進める女子が居る。

一文字一文字を目に書き込み、脳で情景を写す。

ただひたすらに読み続けるが、隣で眠っているその寝息が煩わしく思えてくる。

更に言うと

(-<_- )ス-…ス-…
(-<_- )…ンガッ

たまにイビキかましてくる。

流石に我慢の限界である。



933 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:32:10 ID:ekN8OG7o0
川 ゚ -゚)「おい、弟者。」

(-<_- )ス-…ス-…

川 ゚ -゚)「起きろ」

弟者の肩を軽く揺するが反応は無し。
まあ、それは何時も通りだから構わない。

弟者がまるで枕代わりとでも言うように下敷きにしている本を掴む。
そして、躊躇せず思い切り引き抜く。

本が無くなった事により弟者の頭は机にゴンッと鈍い音を立てて落ちる。

934 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:33:05 ID:ekN8OG7o0
( <_  )「いったたたた…」

川 ゚ -゚)「起きたか?阿呆め。」

(´<_` )「…何?」

川 ゚ -゚)「何?じゃないわ馬鹿。何でお前は図書室で寝るんだ。そして本は枕では無い。頁に折れ目が入ったり跡が付くだろうが。」

(´<_` )「ああ…ごめん、クール」

川 ゚ -゚)「本当に分かって…」

(´<_` )「…?」

クールが言葉を詰まらせたのを不思議に思う弟者。
クールの見ているものに目線を移すと

(´<_` ;)「ゲッ」

下敷きにしていた本に、涎が垂れていた。

川 ゚ -゚)

935 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:34:14 ID:ekN8OG7o0
親友や、先生にもお前は本の虫だ、だのと散々言われる位に本を大事にしているクール。
クールはカタン、と静かにパイプ椅子から腰を浮かせる。
クールの長い髪が前に垂れたせいで、顔が見えない。

クールのお気に入りの本であったのが更に彼女の腹を立てた。

(´<_` ;)「ごごごごご、ごめんなさ」

川 ゚  )

弟者の襟を掴み、窓際まで引きずる。
そして手際良く窓を開けて

(´<_` ;)「うおおおおおっっ!?」

弟者の半身を窓の外へと押しやった。

936 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:34:55 ID:ekN8OG7o0
(´<_` )「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

(; ^ω^)「弟者ぁあああ!何してんだおおおお!?」

(´<_` )「お、ブーンじゃん。やっほ。」

(; ^ω^)「何かお前吹っ切れてね!?」

川 ゚  )ブツブツブツブツブツブツ

ξ;゚听)ξ「こわっ。何あの子怖過ぎ…弟者何しでかしたのよ…」

( ^ω^)「まあ、どうでもいいお。それよりも弟者ー、焼き芋食べないかおー?」

(´<_` )「うっわぁ…あいつマイペース過ぎる…こうしてる間にも地面へとダイビングキスかましそうなのに…」

ξ;゚听)ξ「二階からダイビングキスとか狂気しか感じられないわ…」

937 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:35:36 ID:ekN8OG7o0
(´<_` )「…クールさん、クールさん。」

川 ゚  )ブツブツブツブツブツブツ

(´<_` )「好きな本三冊」

川 ゚  )

川 ゚ -゚)「十冊」

(´<_` )「五冊」

川 ゚ -゚)「ふむ、まぁ許してやろう」

(´<_` )「今月の俺の小遣いはパアか…」

川 ゚ -゚)「ほら、焼き芋食いに行くぞ。」

(´<_` )「あ、はい…」

938 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:37:04 ID:ekN8OG7o0
先程のやり取りをあっさり終え、ブーン達が居た空き地へと向かう二人。
靴を下駄箱から取り出した後、少しずつ身体が冷えるのを感じながらに外へ踏み出す。

風が吹くと同時に、ブーン達の姿が見えた。

(´<_` )「今日は…少し風が騒がしいな。」

川 ゚ -゚)「でも少し…この風…泣いています。」

ξ゚听)ξ「急ぐぞ弟者!どうやらブーンが空き地においしいモノを運んできちまったようだ!」

(´<_` )「急ごう…風が止む前に。」

( ^ω^)

( ^ω^)「おいヤベーって!そこの焼き芋無料だってよ!!いこーぜ!!」

(´<_` )「良いから早く焼き芋寄越せ。」

川 ゚ -゚)「早くしてくれ。」

ξ゚听)ξ「早く落ち葉集めて燃やしなさい。」

(; ^ω^)「なんで!?」

939 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:37:55 ID:ekN8OG7o0
渋々とブーンは一回目のように、落ち葉や枯葉、枝木を集めて先程よりも少し大きめに山を作り出す。
四人分なので、と言う事だろう。

(; ^ω^)「ふぃー、こんなもんかお?」

ξ゚听)ξ「上出来よ。お疲れ様。」

( ^ω^)「それでは」

(*^ω^)「ファイアー!」

ポケットにしまいこんでいたマッチを使い、山に火を付ける。
山の高さが違うからだろうか、先程よりも格段に強い熱線が四人の身体を温めるように撫でて行く。

(´<_` )「あったけぇ…」

川 ゚ -゚)「焚き火とは良い物だな…炬燵並みに…」

( ^ω^)「あっ!そう言えば炬燵出してない!」

ξ゚听)ξ「炬燵ってなんであんなにも眠気を誘うのかしらね。」

(´<_` )「俺の家はストーブしか無いわ…」

川 ゚ -゚)「それはいかん。人生の半分位は絶対に損してるぞ。」

(´<_` )「マジか…」

940 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:38:36 ID:ekN8OG7o0
談笑してる間に、辺りには甘い匂いが漂い始める。
焼き芋が出来た合図である。
ブーンが即座に気付き、我先にと山から棒を引き抜いた。
そして、一本一本をそれぞれに渡して行く。

(*^ω^)「みんな!準備はいいかお!?」

ξ ゚ー゚)ξ「いいわよ。」

(´<_`*)「おう。」

川 ゚ー゚) 「良い香りだな。」

(*^ω^)「では、いっせーのーで!」

941 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 01:39:26 ID:ekN8OG7o0
「いただきます!」



焚き火を囲んで食べる四人。
美味しい、と言ってはしゃいで。
彼らの顔には、眩しい程の笑顔が浮かんでました。

おわり



支援イラスト 同スレ>>992より


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