■2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
└( ´_ゝ`)双子は竜騎手のようです(´<_` )
└第五話
- 187 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:39:42 ID:bBMJZxKE0
負けてもいい
死んでもいい
忘れられてしまうことだけが
どうしようも無く耐え難い
.
- 188 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:40:42 ID:bBMJZxKE0
( ´_ゝ`)双子は竜騎手のようです(´<_` )
第五話: 見失う。
.
- 189 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:41:25 ID:bBMJZxKE0
竜騎武闘、二日目。
早めに街中へと訪れた兄弟は屋台を回り朝飯を済ましていた。
時間まではまだ一時間ほどあり、余裕だ。
( ´_ゝ`)「ステルス対策は、正直あの狭さならいらない気もするんだよな」
(´<_` )「だが、狭いからこそ一瞬でも見失うことが怖いぞ。メメメオンの火力なら、リュウジャを落とすことは可能だ」
人の多いメインの通りを避けて、下町の細い道を広場へと向かった。
表とは違い祭りの間であっても暗くどんよりとした空気が漂っている。
( ´_ゝ`)「大丈夫大丈夫、俺達は完全に格上のニダーにも勝ったんだぜ?」
(´<_` )「確かに、ドーペルゲーガに比べればメメメレオンは御しやすいがな……」
( ´_ゝ`)「それに、勝ち続きでリュウジャも調子がいいんだ。プギャーたちには悪いけど、余裕だよ」
(´<_` )「……」
串に刺さった豚肉の燻製を笑顔で頬張るアニジャをオトジャは不安気な顔で見つめた。
完全に調子に乗っている。
確かに、フォックスと戦って以来リュウジャとアニジャの調子は鰻上りだ。
それまで余裕を持って助手をこなしてきたオトジャも、最近のアニジャには置いていかれそうになる。
しかし、これに安心していいのだろうか。
- 190 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:42:05 ID:bBMJZxKE0
オトジャにもコツを掴んで爆発的に調子の良かった時期があった。
今まで出来なかったことが次々と出来るようになり、有り余る自信を自分では押さえ込めなくなってしまったことが。
無論アニジャの成長は嘘ではないだろう。
ギリギリとはいえ、格上に勝てるだけの能力を目覚めさせ始めている。
問題は、調子に乗り過ぎてこれまでしなかった些細なミスを犯す可能性が大きいということ。
強敵用に引き絞られた緊張は、同格以下に対して良くないだらけを生む。
ニダーやロマネスクではなく、プギャーだからこそ危険なのだ。
(´<_` )(……どうする。このままじゃ絶対に足を掬われる。だが)
アニジャたちが杉浦に勝つとすれば、今のこの勢いは絶対に必須だ。
下手に口を出して、それを失わせてしまったら、僅かに顔を覗かせている勝ちの可能性を失ってしまうのではないか。
オトジャはそれを畏れて強く注意できずにいるのだ。
とはいえミスをすれば、プギャーは絶対に見逃してはくれないだろう。
(´<_` )(こんな時、ジョルジュあたりならうまくやるんだろうが)
元来口の下手なオトジャには、勢いを損なわず油断だけを取り除く方法が分らない。
そもそも、他人にちょっと口を挟まれた程度で直せるものではないのだ。
フラフラしているように見えて、根底では頑固なアニジャのような人間は特に。
- 191 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:42:46 ID:bBMJZxKE0
(´<_` )「……アニジャ、くれぐれもつまらん油断はするなよ
( ´_ゝ`)「オトジャは心配性だな。大丈夫だよ、舐めたことしたらプギャーにぶん殴られる」
(´<_` )(……)
口ではいくらでも言える。
恐らく本人はちゃんと分っているつもりなのだ。
これでオトジャが更に強く言えば、アニジャは絶対に機嫌を損ねる。
(´<_` )(……いや、アニジャを疑いすぎだ。信じよう、これまでだってなんだかんだでやってきたじゃないか)
オトジャは頭を振って気を取り直した。
ここ数回の金星に調子を狂わせていたのはオトジャも同じだ。
負けて当然。アニジャが推薦を取れる程度に活躍できればそれでいいくらいに考えていたのに。
勝ちが現実味を帯びた途端に最も信頼すべき相棒を疑ってしまっている。
(´<_` )(最悪、俺がしっかり守ればいい。今までと同じだ)
( ´_ゝ`)「どうしたオトジャ、さっきからぼーっとして」
(´<_` )「いや、なんでもない」
( ´_ゝ`)「大丈夫だって。今の俺達なら、プギャー達に負けるようなヘマはしないよ」
- 192 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:43:58 ID:bBMJZxKE0
厩舎へ着き、そこから試合までの準備は流れるように進んだ。
リュウジャにつけた騎乗具を一ずつ確認して行く。
問題なし。
一応予備で持ってきていた道具を控えている係員に渡しておいた。
その後。騎乗衣に着替えるためテントに入る。
( ´_ゝ`)「さて、どうなるかな」
(´<_` )「……しつこいようだが、油断はするなよ」
( ´_ゝ`)「心配性だな、オトジャは」
この場にプギャーもまたんきもいない。
メメメオンがいたため既に来てはいるようだが、顔は見ていなかった。
恐らく既に逆側のテントで控えているのだろう。
もともと腐れ縁の如く親交を重ねてきただけあって、真剣勝負となると不思議な感覚だ。
試合前に顔を合わせずに済んだのは、幸なのか不幸なのか。
( ´_ゝ`)「申し訳ねえけど、勝つ」
独り言のように呟く。
アニジャの目には、既にロマネスクと、ボルトールと戦うビジョンしか見えていなかった。
- 193 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:45:04 ID:bBMJZxKE0
慣れない服にやや戸惑いながらも二人は着替えを終える。
アニジャはネル国の伝統的な民族衣装。
色とりどりの布を重ね合わせた服で、ふわりとした質感に反しフィット感があり動きやすい。
嫌味の無い程度に施された装飾が煌びやかさを演出し、竜騎武闘にふさわしい衣装である。
一方のオトジャはいつものような神官服。
ただし、いつものものとは少し違う。
刺繍は希少な藍染めと金糸を使い、豪華ながらも厳かに。
生地はシルクを利用しており肌触りが非常に良い。
これは、今は何処にいるかも分らない父、チチジャが残していったものだ。
( ´_ゝ`)「結構いい感じだな。仕立てが間に合ってよかった」
(´<_` )「全くだ。どこぞの馬鹿がギリギリまで悩んでたからな」
( ;´_ゝ`)「それは言わないで」
互いの服におかしなところが無いかを確かめ合い準備を終えると同時に、係員から声がかかる。
拳を軽く合わせ、二人はテントを出て行った。
- 194 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:46:15 ID:bBMJZxKE0
( ^ω^)「各種レーダー調整完了。対ステルスパルス安定。前よりは、見つけやすくなってるはずだお」
(´<_` )「メメメオンも成長期だ。より強力になっているつもりでかかれ」
( ^ω^)「了解」
(´<_` )「ドクオ、今回はブーンと同期して擬態解析に集中してくれ」
('A`) 「了解。開始までにこれまで解析したデータを解凍しておく。回線はどうする?」
(´<_` )「一応繋いでおけ。相手はクールだ、油断して乗っ取られるなよ」
('A`) 「あたぼうよ」
オトジャは先にリュウジャに乗りブーンとドクオに指示を与えていた。
メメメオンのような相手は事前の準備が肝心だ。
念入りに、やりすぎるくらいの打ち合わせを行う。
一方で、アニジャは軽いストレッチで身体を解していた。
時に力で飛竜を従わせなければならない竜騎手はこういった準備運動が重要なのだ。
「両騎手、竜に乗って」
審判の指示に従い、アニジャは滑るようにリュウジャの身体を登る。
- 195 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:46:58 ID:bBMJZxKE0
( ^Д^) 「GO」
先に飛び立ったのはメメメオン。
翼と魔法によって巻き起こされた突風が地面の砂埃を巻き上げる。
審判の支持と同時に、リュウジャもそれを追った。
「一分間スタンバイ!」
リュウジャがある程度の高度まで達した時点で審判の号令がかかった。
攻撃はまだ許されないが、実質の戦いはここから始まっている。
( ´_ゝ`)「……早速か」
メメメオンが姿を消した。
既に肉眼ではどこにいるか分らない。
(´<_` )「ブーン、レーダーは?」
( ^ω^)「……不安定。対ステルスパルスに大しても効果があるよう、改良されているお」
(;'A`) 「パターン解析不能。クールの妨害が激しい上に、複数のパターンを入れ替えながら発動してる」
(´<_` )「……成長したのは、こちらだけではないということか」
( ´_ゝ`)「いいよ、要は今までどおりだろ?」
- 196 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:47:39 ID:bBMJZxKE0
アニジャは少し間を置いて手綱をひいた。
左前下方、リュウジャは滑空する形で降りてゆく。
( ^ω^)「反応!見つけたお」
(´<_` )(……レーダーも無しに見破った?)
メメメオンはすぐさま見つかったことを悟り動き出す。
これを逃がさず追跡。
リュウジャは翼を広げ、アニジャの指示に忠実に従いながら飛んでいく。
しつこく逃げるメメメオンだったが、リュウジャはその姿を捉えて離さない。
二竜の距離は、擬態の光の歪みが肉眼で確認できるほどの距離まで来ていた。
( ´_ゝ`)(読める。風鳴りの音、フィールドの狭さ、訓練での傾向、これだけあればプギャーがどこへ行こうとするか手に取るように分る)
審判からの、開始の合図が響いた。
同時に、アニジャはリュウジャに火球を放つ指示を出す。
素早く放たれた火球をメメメオンは左へかわした。
追跡しながら一つ、二つと火球を放つ。
左右に揺れてかわされるもメメメオンを逃しきることは無い。
- 197 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:48:27 ID:bBMJZxKE0
( ^Д^) 「……どういうことだ」
川 ゚ -゚) 「擬態は問題なく発動中。パターンも特定されないようにランダムにしている」
(・∀ ・) 「となるとこっちの癖を読んでるのか……」
( ^Д^) 「……」
再び火球が一つ。
右へ大きく下降し避ける。
やはりリュウジャを引き離すことは出来ない。
(・∀ ・) 「ありえねえ話じゃねえか。エントリーのその日からほぼ毎日一緒に訓練してたんだ」
ξ゚听)ξ「それに、こんな狭いところなら風鳴りや気流の感触でわかっても変じゃない。どっちにしろ頭おかしいけど」
( ^Д^) 「……行くぞ、メメメオン」
火球を一つかわしたところで、メメメオンじゃ頭を支点に身体を横に滑らせる。
振り向いた先に突っ込んでくるリュウジャに対して火球を放った。
リュウジャは軽く身を捻ってロールし最小限の動きで回避する。
- 198 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:50:24 ID:bBMJZxKE0
そのままの勢いで突っ込んでくるリュウジャに、プギャーはあえて立ち向かった。
遠ざかるのがセオリーの擬態においては非常にイレギュラーな行為だ。
アニジャも少々驚いた様子で咄嗟に左へリュウジャをそらした。
かわそうとしたリュウジャにプギャーはあえてメメメオンを食いかからせる。
口の先が防壁を僅かに削るだけに終わったが、奇襲としては中々の成功だ。
( ´_ゝ`)「おお?!」
衝撃にアニジャは鞍の上で体勢を崩す。
完全に予想外であった。
プギャーは確かに短気な性格で、追い込まれると突っ込んでくるところがあったが、ここまで早い段階で行ってきたことは無い。
( ´_ゝ`)(まだまだ何でも読めるって訳にはいかないか)
(´<_` )「アニジャ、今の雑な攻撃を受けるなんてらしくないぞ」
( ´_ゝ`)「すまん、少し」
リュウジャが離脱しようとするところを、メメメオンはしっかりと追ってくる。
こうなると厄介だ。
この範囲では速度で引き離すのは少々苦しい。
- 200 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:51:47 ID:bBMJZxKE0
( ^Д^) 「気にいらねえ」
メメメオンの背中でプギャーは静かに呟く。
視線の先には高機動で振り払おうとするリュウジャの姿。
広い戦域ならばともかく、範囲の限られるここでなら十分についていける。
( ^Д^) 「気にいらねえ!」
リュウジャの動きがが一瞬鈍った。
この隙を全く見逃さず、メメメオンは火球を放つ。
(´<_` )「アニジャ!」
( ´_ゝ`)「え、あっ」
この時、一瞬意識を別のことにそらしていたアニジャの反応は、通常よりもはるかに遅れた。
火球は防壁をかすめ、衝撃波と紅の炎を撒き散らす。
(´<_` )「ッ!」
リュウジャの身体は吹き飛ばされ、あわや場外というところで踏み留まった。
オトジャが咄嗟に張り替えた防壁によってダメージはある程度軽減したものの、背中にいた兄弟も多少のダメージを受ける。
- 201 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:53:29 ID:bBMJZxKE0
(´<_`; )「兄者、一体何を……」
言いかけて、オトジャも気付いた。
遠い空域にではあるが、一頭の竜が飛んでいる。
色と形状からしてほぼ間違いなくボルトール。
彼が飛んでいるということは、背中には間違いなくロマネスクが乗っている。
アニジャはいち早くそれに気付き、意識を奪われたのだ。
彼を、敵手として意識するあまりに。
(´<_`# )「兄者、い『いい加減にしろ、アニジャ』
オトジャの声を塗りつぶしたのはドクオ越しに聞えたプギャーの声だった。
いつの間に接続されたのか、ドクオ自身も戸惑っている。
( ^Д^) 『てめーの相手は誰だ、言ってみろ』
( ;´_ゝ`)「プギャー……」
( ^Д^) 『いつからてめえは、敵の目の前でそんな情けねえ飛び方をするようになった』
( ;´_ゝ`)「……」
- 202 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:54:37 ID:bBMJZxKE0
( ^Д^) 『今のもそう、俺達の背中を取ってからの攻撃もそう』
( ^Д^) 『てめえは、一度見つけたチャンスには、どんな時でも無謀でも必ず飛び込む奴だったはずだ』
( ;´_ゝ`)「何が言いたい」
( ^Д^) 『お前、いつからチャンスに様子見するような腑抜けになっちまったんだ?なぜあんなやる気のねえ攻撃をしてきた』
( ^Д^) 『それとも、俺は本気を出すに値しない、肩慣らしに扱う雑魚に過ぎなかったか?』
( ;´_ゝ`)「……」
( ^Д^) 『お前になら、負けてもいいと思ってた。全力で戦って、文句も言えず叩きのめされてな。でも、止めだ』
( ^Д^) 『俺がお前を捻り潰す。二度と腑抜けた考えを起こさないよう、徹底的に』
それだけ残し、通信は一方的に切られた。
アニジャの視線の先でこちらを睨みつけていたメメメオンの体が空に溶けるように姿を消す。
レーダーからも完全にロストしていた。
( ;´_ゝ`)「俺は、別にプギャーを雑魚だなんて」
口では否定しながらも、思い当たるところはある。
頭の中はいつの間にかプギャーを唯の通過点として考えていたのだ。
これを、今は敵であり、友であるプギャー自らに見抜かれてしまった。
- 203 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:55:19 ID:bBMJZxKE0
( ^Д^) 「クール、ツン。例のやるぞ。急ピッチで準備しろ」
川 ゚ -゚)ξ゚听)ξ「了解」
(・∀ ・) 「少し、きつく言い過ぎたんじゃねえか」
( ^Д^) 「ケケケ。俺は策士だからな。これでアイツが落ち込んでもブチキレても儲けだ」
(・∀ ・) 「……」
しかし、ぶつけた言葉に一切の誇張も嘘も無い。
前日のニダー組との戦いを見た時点でプギャーは確信した。
アニジャは自分とは違うのだと。
まるで勝つことしか見えていないような迷いの無い飛行。
その姿を純粋に尊敬し、そして嫉妬した。
それでも良かったのだ。
アニジャよりも以前に、もっと大きな才覚の差に打ちひしがれたことは山ほどある。
だから、諦めたり投げ出したりせず、精一杯食らいついて勝負を決めてやろうと意気込んでこの時を迎えた
それが。
その先に待っていたのが。
自分を敵としても認識していないような、友のふざけた姿。
尊敬したのとも、嫉妬したのとも違う、情けない翼。
- 204 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:56:34 ID:bBMJZxKE0
川 ゚ -゚) 「全行程安定」
(・∀ ・) 「擬態補助魔法準備完了」
ξ゚听)ξ「デコイパルス発進準備完了」
( ^Д^) 「さーて、メランコリーな心情描写タイムは終わりだ」
( ^Д^)「高高度へ到達と同時にゴーストシステム起動。同時に、敵騎を強襲する」
メメメオンが上空へ昇ってゆく。
リュウジャは先ほどまでと違いメメメオンを完全に見失っているのか、警戒しながら空域を探っていた。
どうやら罵ったのが効いているようだと、複雑な感情を胸に溜める。
ξ゚听)ξ「目標高度到達」
( ^Д^) 「……相棒すまねえ。少しでいい、俺の意地に付き合ってくれ」
(・∀ ・) 「死なない限りは付き合ってやるよ、しかたねえ」
プギャーは手綱を短く持ち直した。
またんきもそれに倣い、姿勢を低くし鞍のハンドルにしがみ付く。
( ^Д^) 「ゴーストシステム、発動。あのむかつく鼻をへし折るぞ」
- 205 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:58:18 ID:bBMJZxKE0
一度見失ったメメメオンを探し出すのは困難であった。
相手が本気になれば羽音を抑えながら、リュウジャとの距離を取ることは十分に可能なのだから。
しかし、その膠着状態は、メメメオン本人によって破られた。
( ^ω^)「敵騎感知、上空に、お?!」
(´<_`; )「……これが、昨日牛頭荒王にかまそうとしてた技か」
ブーンの反応に、上空へ視線を向けた兄弟は額に汗を浮かべる。
確かにそこにはメメメオンがいた。
ただし、その数、三。
見た目も大きさも同じカメレオンのような竜が三頭、こちらを見下ろしていた。
(´<_`; )「恐らく擬態魔法を応用して実体のないゴーストを作り出してるんだ。ドクオ」
(;'A`) 「ダメだ、どれにも実体情報がある。俺とブーンじゃ見抜けない」
( ;´_ゝ`)「ッ来るぞ!」
三頭がやや距離をとりながらも、固まったまま突っ込んでくる。
どれかに実体があってどれかには無い。
空気の歪みまで再現されており、必死で目を凝らし見極めようとするが全くもって分らなかった。
( ;´_ゝ`)「いったん退避する!何とか対策を」
指示を出す前に、追ってくるメメメオンが三つの軌道に分かれた。
地面へ向かうアニジャを追うように一頭。
そして左右に開き範囲ギリギリに下降する二頭。
- 206 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/24(土) 23:59:40 ID:bBMJZxKE0
アニジャは意を決しリュウジャを反転させた。
そして真っ直ぐ直進してくるメメメオンに火球を放つ。
( ;´_ゝ`)「かわした!あれだ!」
真正面から火球を受けたメメメオンは身体を捻って火球をかわした。
見抜かれたと悟ったのか、軌道を変え上昇に転じる。
( ;´_ゝ`)「逃がすな!」
リュウジャの口に火球が蓄えられた。
三発を連続で、逃げるメメメオンに放つ。
しかし。
( ^Д^) 「はっずれー!」
真横から、偽者と判断したメメメオンの突進を食らった。
防壁が破られ、二竜の体がぶつかり合う。
僅かに残った視線の先、逃げていたメメメオンの身体を火球がすり抜けていくのが見えた。
騙された、火球をかわすまでがフェイクだったのだ。
突進を成功させたプギャーはすぐさまメメメオンを離脱させ、通常の擬態で姿を消した。
- 207 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:01:13 ID:Zjx4ZU4Y0
( ;´_ゝ`)「ブーン!」
( ^ω^)「ダメだお!ステルスが更に強力になってる、せめてもっと近づかないと!」
(´<_` )「またんきが擬態魔法に手を加えてるな……ちょっとやそっとじゃ破れんぞ」
( ;´_ゝ`)「くそっ!」
アニジャは一先ず地上付近へ向かって逃げた。
上よりも体力を消耗せずに済み、尚且つ相手が飛び込んでくる方角を限定できる。
しかし、これも。
( ^Д^) 「癖を知ってるのはそっちだけじゃねえよ」
そろそろ地上というところで目の前に突然メメメオンが現われた。
慌てて回転し、一気に頭を上に向け逃げようとするが、そこにもメメメオン。
咄嗟に咄嗟を重ねたアニジャの手綱による指示はリュウジャを混乱させ、左手への転換がやっとだ。
( ^ω^)「!?違う、本物は……」
一先ず安定を取り戻したリュウジャの顎が、真上へ跳ね上げられる。
僅かな光の歪み。
姿を消したままの本体が、ダミーを二つ使って自分の場所に誘導したのだ。
慌てさせることで咄嗟の癖を引き出されるため、奇抜な行動で何とかできることではない。
- 208 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:02:54 ID:Zjx4ZU4Y0
(´<_`; )「正直な感想を言う。今のメメメオンは今まで戦ったどれよりも厄介だ」
それこそ、犬神行部よりも。
アニジャたちの得意戦法を知っているというアドバンテージはもちろんのこと、騎手と騎竜の相性が合致しすぎている。
卑怯、もとい罠を仕掛けるなどの狩猟的な戦術に限れば、プギャーは群を抜いているのだ。
( ;´_ゝ`)「どうすりゃいい、何か手は無いのか!」
今度は上空へ一気に飛び去り何とか距離を取ろうともがく。
しかし、リュウジャは先の攻撃でいくらかダメージを負っており、最高の速度は出せない。
それなりの機動力を持つメメメオンを十分に引き離すことは出来ないだろう。
(´<_`; )「……向こうは恐らく、人も竜も総動員して今の状態を維持している。そう長くは使っていられないはずだ」
( ;´_ゝ`)「時間を稼げば、勝てる?」
(;'A`) 「殆ど予想の値だが、人間であるまたんきの魔力はもう10分も持たない」
(;'A`) 「更に言えば、妖精と直接リンクしてやっているなら更に数分は縮むと、思う」
( ;´_ゝ`)「……分った、こっちから仕掛けよう」
(´<_`; )「兄者?」
- 209 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:05:25 ID:Zjx4ZU4Y0
( ;´_ゝ`)「大丈夫。自棄になったわけでも、勝負を捨てたわけでもない」
( ;´_ゝ`)「俺は、プギャーにあんなことを言わせちまった。ここで逃げ回って勝つようなことはしたくない」
( ^Д^) 「……そいつは結構だが、そもそも俺が逃げ回るようなことを許すと思うか?」
メメメオンはすぐ傍に迫っていた。
口を開き、他の竜に比べれば控えめな牙で噛み付きにかかる。
リュウジャは体ごと翼を引き上げ、後転しそれをかわすが、直近を過ぎたはずの攻撃には音が無かった。
姿を消していた本体の、砲弾のようなタックル。
背に乗るオトジャたちを避け、腰のあたりを狙ったそれはリュウジャに痛烈なダメージを与えた。
完全に飛行を乱し落ちるリュウジャを、メメメオンは再び三体になって追う。
何とか意識を取り戻したリュウジャは、落下の勢いのまま地上へ向かって飛行を開始。
メメメオンを振りほどきにかかる。
( ;´_ゝ`)「これ以上やられて溜まるか、リュウジャ、オトジャ、行くぞ!」
アニジャが手綱を引き、リュウジャは身体を上へ向ける。
そして、落下の反動を振り払う様に飛行魔法を全開にし、同時に身体を炎で包み込んだ。
不死鳥が復活し飛び立つように、巨大な火の鳥が空へ向かって飛び上がる。
突進魔法の効果を全開、範囲を出来うる限りに広げ、翼を広げたまま、身体を螺旋回転させた。
- 210 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:06:23 ID:Zjx4ZU4Y0
流石に戦域の端から端には全く満たないものの、通常の三倍ほどまで広がった翼。
かわそうとしたメメメオンを巻き込み、弾き飛ばす。
またんきが擬態魔法に力を裂いていたため、防壁はいとも簡単に削れ、騎手を庇った右の翼手が焼け焦げた
体から細い煙を上げながらメメメオンは落ちてゆく。
賭けに近い攻撃ではあったが、功を奏した。
( ;´_ゝ`)「まだだ、畳み掛けろ!逃がすな!」
ダメージを受けただけあってメメメオンの擬態能力は大幅に下がっている。
ブーンはレーダーでメメメオンとそれに連結している妖精に二体とまたんきを捕捉。
ドクオはブーンを媒介に妖精に干渉、この場合はブーンのレーダーを乱しているツンへハッキングを仕掛けた。
リュウジャは火球を四発射線を散らしながら連続で放つ。
メメメオンはくるくると回転して切り替え、旋回降下する要領でかわしきった。
同時にブーン、ドクオの干渉も失敗。
回線を切られ、再びメメメオンは姿を眩ませる。
しかし、ここまではまだ予想の範囲内。
( ;´_ゝ`)「いっけぇ!リュウジャ!」
火球を放った後、間髪おかず魔力を溜めていたリュウジャは、地面へ向かって爆破魔法を放つ。
オトジャがドクオを通じサポートすることで、リュウジャ単体で放つよりも速度威力ともに向上。
数秒と待たず地面に到達した火の雫は波紋の代わりとばかりに空間を歪ませる。
両の耳孔が繋がってしまうかと思うほどの、轟音。
戦域を囲うように設けられた防壁がそのエネルギーを全て上へと誘導し、痺れる波動がアニジャたちを襲った。
- 211 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:09:11 ID:Zjx4ZU4Y0
(´<_`; )「おおおおおお!」
オトジャが全力の防壁魔法で衝撃波を軽減。
無論押さえきれるわけも無く、リュウジャの身体は木の葉のように空へ巻き上げられた。
( ;´_ゝ`)「……」
制御の追いつかない激しい回転の最中、アニジャはメメメオンを探す。
予想が正しければ……。
( ^ω^) 「敵騎反応!上にいるお!」
プギャーは、リュウジャが爆破魔法を使おうとした時点で、どうするのか気付いたはず。
そうすれば必然的に上へと逃げる。
擬態が解け、そのままの姿となっていたメメメオンは、意を決したのか落ちるように仕掛けてきた。
爆発の余波によって気流の乱れる中を、真っ直ぐにリュウジャを目指す。
リュウジャはそれを火球二発で迎え撃った。
しかし。
二発の火球は、メメメオンをすり抜ける。
- 212 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:10:27 ID:Zjx4ZU4Y0
( #^Д^) 「ッッッ!」
最後の最後で、ステルスが通常のものに戻った。
しかしここまでくれば関係ない。
構わず、プギャーはリュウジャへとメメメオンを突っ込ませる。
防壁もないため、強烈な風圧が顔の肉を波打たせた。
アニジャが、自分が上へ逃げると読むと信じていた。
だからこそダメージを受ける覚悟で高度を低めに保ち、上空にデコイを出現させ、本体はリュウジャの横腹を狙うことが出来た。
衝突の寸前、メメメオンとは逆の方向へリュウジャの体が倒れた。
意識を失った?
違う。
奇襲としてのタイミングも、速度も申し分なかった筈だ。
それなのに。
( ;´_ゝ`)「ッ!」
リュウジャの背中にいるアニジャの目は、間違いなくプギャーを捉えている。
( #^Д^) 「?!」
髪の一本、紙の一重すら入らない極僅かな時間の隙間。
食らいつきにいったメメメオンの顎を、リュウジャの尾の根元が跳ね上げる。
- 213 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:12:14 ID:Zjx4ZU4Y0
メメメオンの突っ込んだ慣性をそのまま、二竜は絡まりあって落ちる。
互いの騎手は手綱を引いて、なんとか竜同士を引き離した。
( #^Д^) 「まだだ、まだ負けてねえ!」
脳を酷使したまたんきは意識を失いかけ、辛うじて鞍にしがみ付いていた。
メメメオンもダメージの連続で擬態魔法を安定して使うだけの状態には無い。
川 ゚ -゚) 「プギャー、お前達はよくやった。もう、降参しろ」
( #^Д^) 「嫌だ。俺は、あいつら以外の誰にも負けたくない」
ξ゚听)ξ「ならいいじゃない、アニジャたちに負けるなら……」
( #^Д^) 「降参なんざ!自分に負けるのと一緒だろうが!」
それに。
( #^Д^) 「俺は誰よりもあいつらに勝ちてえんだよ!!」
(・∀ ;) 「よく言った、相棒。もう一発かますぞ」
( #^Д^) 「またんき、お前はもう無理だ、休んでろバカ」
(・∀ ;) 「うるせえ。負けてもいいだなんだ、らしくねえ強がりほざきやがってこのバカが。後一発くらい、俺にもやらせろ」
- 214 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:14:06 ID:Zjx4ZU4Y0
( ^ω^)「敵騎レーダーから喪失。再びステルスに!」
(´<_`; )「兄者!」
( ;´_ゝ`)「分ってる!」
落ちかけていたメメメオンから離れるため、上空へ。
完全ステルスは接近したところで簡単に見破れる物ではない。
ならば、距離を取って、こちらから範囲の広い攻撃をカウンターを合わせる。
限界高度でキープ。
下を見下ろすが、やはり姿は見えない。
だが、分る。
( ;´_ゝ`)「来るぞ!」
アニジャの叫びと同時、四頭のメメメオンが現われた。
戦域ほぼ中央に位置取るリュウジャに対し、四方から襲い掛かる。
( ;´_ゝ`)「決めるぞ、リュウジャ!オトジャ!」
リュウジャの身体を炎が飲み込んだ。
限界値まで魔力を注ぎ込み、再び巨大な炎の鳥となる。
- 215 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:15:11 ID:Zjx4ZU4Y0
( ;´_ゝ`)「……そこだ!」
四頭のメメメオンを無視し、リュウジャは真下へ向かって軌道を取った。
身体を激しくロール。
振り回される炎の翼は、四頭のメメメオンには掠りもしない。
しかしそれでいい。
本体はステルス状態で真下にいるはずだ。
より加速をし、回転を早める。
確かにそこには、メメメオンがいた。
( ;^Д^) 「くそが!!」
プギャーは、見切られても尚、突進を止めなかった。
巨大な火の鳥と化したリュウジャに正面から望む。
回転を見切り、回転に機動を合わせ、すり抜けるように回避した。
メメメオンの腰を掠める炎。
吹き飛ばされるも、すぐに身体を切り返しリュウジャを追った。
出来の悪いゴーストを量産。自身のステルスはまたんきの失神と同時に諦める。
川 ゚ -゚) 「プギャー!これで本当に最後だぞ!」
ξ゚听)ξ「男でしょ!意地見せるなら貫きなさいよね!」
( #^Д^) 「おらああああああああ!」
- 216 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:16:20 ID:Zjx4ZU4Y0
デコイに紛れ、リュウジャへ突進する。
リュウジャは炎を振りほどき向き直り、上昇。
正面衝突へと向かう。
( #^Д^) 「おおおおおおおお!」
( ;´_ゝ`)「ッ!!」
プギャーは防壁も無い状態で顔の肉を靡かせながら特攻。
反面リュウジャは防壁を強化し、体当たりの強行突破。
衝突の寸前リュウジャは防壁を捨てメメメオンの背後に回りこんだ。
しかし、これを読んでいたプギャーはリュウジャの捨てた防壁を足場に真正面に切り返す。
( #^Д^) 「決めろメメメオン!」
メメメオンが、全力の火球を放った。
リュウジャとの間合いは近い。
相手の奇襲に奇襲を合わせた今ならば、確実に当たる。
はずだったのだ。
- 217 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:17:14 ID:Zjx4ZU4Y0
( ;´_ゝ`)「おおおおお!」
リュウジャは防壁を消し、正に紙一重、火球をロールしてやり過ごした。
それと同時に、リュウジャが頭を振り上げる。
読んだ先を、更に読まれた。
プギャーにはもう手が無い。
( ;´_ゝ`)「らあ!」
放たれたのは、魔法もくそも無い、超原始的な頭突き攻撃。
かわし切れなかったメメメオンは頭同士のかち合いだけを避け、首元にそれを受けた。
三つの目が、ぐるりと白目を剥いた。
完全に意識を失い、戦闘不能。
( Д )
( _ゝ )
プギャーとアニジャの視線がかち合ったのと同時。
飛行魔法が解けたメメメオンは、ゆっくりと落下を始めた。
- 218 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:19:10 ID:Zjx4ZU4Y0
( ;´_ゝ`)「リュウジャ!」
落ちるメメメオンの身体に、リュウジャが必死で掴みかかる。
リュウジャもまた憔悴しきっており、メメメオンを支えたまま飛行を行うのは不可能だ
しかし地面はまだ、先ほどの爆破は魔法で燻っており着地は出来ない。
同じ理由で、係員が魔法で受け止めるというのも苦しいだろう。
( ;´_ゝ`)「くそ、耐えられない!」
二竜共々落ちそうだ、となったその時、リュウジャの足からメメメオンが離れた。
突然軽くなった感触にアニジャは背筋を寒くしたが、すぐに安心する。
目の前に浮かび上がったのは、気を失ったメメメオンを細くも頑強な前足で抱える黒竜。
剣のような一本角と、血のように赤い鬣を持つボルトールだ。
背中にはロマネスクとデレの姿も見える。
( ФωФ)「間に合ったようであるな」
( ;´_ゝ`)「す、杉浦」
( ФωФ)「問題かとも思ったが、勝負はついていたようだったのではせ参じたである。要らぬ世話だったか?」
( ;´_ゝ`)「いや、助かった。すまん」
( ФωФ)「構わぬ。こちらが勝手にやったことである」
** ** **
- 219 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:20:50 ID:Zjx4ZU4Y0
そこからしばらく空中待機が続き、やっと地面の消火が行われてからリュウジャとボルトールは地面へ降り立った。
メメメオンは失神。プギャーは無事だったが、またんきが鼻と目から出血していた。
妖精との連結、竜と同期した魔法の使用によって脳のキャパシティを越えてしまったのである。
プギャー共々すぐさま医療班に運ばれていった。
アニジャとオトジャも、その後に医療班に連れ去られた。
軽症ではあるが、怪我をしていたので一応甘える。
魔法による治療を受ければすぐに治るだろう。
そしてその、仮設で設けられた診療所のテント。
( ^Д^) 「チッ、バツが悪いな」
(´<_` )「そういうな。この状況で一番居心地が悪いのはウチの馬鹿だ」
( ;´_ゝ`)「ま、またんきはどうなんだ?」
( ^Д^) 「脳が自分を守るために自発的に意識を落としただけなんだそうだ」
( ^Д^) 「尋常じゃない負担がかかったせいでしばらくは眠りっぱなしにはなるらしいが死んだりはしないらしい」
( ;´_ゝ`)「そうか……」
- 220 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:21:41 ID:Zjx4ZU4Y0
アニジャは胸を撫で下ろす。
またんきも三人と同じテントに寝かされていた。
今は頭に色々な魔法の札を貼られながらも。息浅く眠っている。
他の全員も治療は終わっているのだが、念のためしばらく待機しろ、と医者に言われたので大人しくしていた。
うやむやになってしまったが、一応はアニジャたちの勝ちということで決着はついていた。
よって、次は決勝戦だ。
係員の話では午後からなのでゆっくりと身体を休めて欲しいとのことだった。
( ^Д^) 「あー、しかし、勝てると思ったんだけどなー」
( ;´_ゝ`)「ぷぎゃーその、なんだ。すまん」
( ^Д^) 「あ?勝ったこと謝ってどうすんだ」
( ;´_ゝ`)「そうじゃなくてな、その、試合中の……」
( ^Д^) 「ああ。あれ?別に気にすんなよ。マイクパフォーマンスみたいなもんだ」
( ;´_ゝ`)「でもさ」
( ^Д^) 「実際俺は、相棒をこんなに追い込んで、全部空っぽになるまで戦っても勝てなかった。それでいいじゃねえか」
( ^Д^)「ま、むかついたのは本当だけどな」
ハイハイこの話終わり、ハイやめ、とばかりにプギャーがアニジャの目の前に手を出す。
こういったところもこの男らしいといえば、らしい。
- 221 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:22:50 ID:Zjx4ZU4Y0
( ´_ゝ`)「でもちょっと、見直した」
( ^Д^) 「……おう。あんまり舐めると怒る系男子だから、扱いには気をつけろよ」
( ´_ゝ`)「うん、すまなかった」
( ^Д^) 「反省してるならチョコバナナ買ってこい。奢りな」
( ´_ゝ`)「それはまた別の話ではないだろうか」
微妙にあった気まずさが無くなり、和やかな雰囲気になったのとほぼ同時、試合開始の合図が聞えてきた。
にわかにそわそわし始めたアニジャに、
( ^Д^)「言ってこい」(´<_` )
と友人と弟は言い切った。
プギャーはまたんきの傍にいるため、オトジャは魔力を少しでも回復するため、出て行く気は無い。
アニジャは悩むような振りをしてすぐさまテントを出て行った。
( ^Д^) 「分りやすい奴だ」
(´<_` ) 「全くだな」
- 222 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:24:08 ID:Zjx4ZU4Y0
(´<_` )「さて、どうなるかね、ジョーンズと杉浦は」
( ^Д^) 「恐らく杉浦が勝つんだろうが、ジョーンズも意地は見せるだろうな」
(´<_` )「レーヴァンテイルか。単なる火力なら相当なんだがな」
( ^Д^) 「それいったらお前、ジョーンズもオワタもカーチャンも、間違いなくエース級の組だぞあそこ」
(´<_` )「不幸な天才とはよく言ったもんだ
( ^Д^)+「凡才であることに勝る幸福は無いな」
(´<_` )「お前はお前で凡才ではないと思うけどな」
( ^Д^)+「流石だなオトジャ。俺の秘めた天才オーラに気付くとは…」
(´<_` )(早く起きろまたんき)
二人が気だるい雑談に興じていると、アニジャが戻ってきてテントを開いた。
第一声が、「勝負がついた」。
二日目第二戦目。杉浦ロマネスクの勝利。
その時間、大会最速記録の3分24秒という、前代未聞の早さであった。
- 223 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 00:24:55 ID:Zjx4ZU4Y0
- 竜騎武闘組み合わせ表:決勝前
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牛 メ リ ド レ ヒ ■ ボ
頭 メ ュ l l ュ ■ ル
荒 メ ウ ペ ヴ ド ■ ト
王 オ ジ ル ァ ラ ■ l
ン ャ ゲ ン ル
l テ
ガ イ
ル
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