■2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
└留守番をしていた、二人きりでの夜【無題】
- 724 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/20(火) 22:01:49 ID:KgMULCiY0
俺は物心つくかつかないかの頃から姉の奴隷として生きてきた。
使い走りにとどまらない姉のワガママさには困り果てていたが、俺は姉が好きだった。
狂っていた。
姉も俺に、家族には抱いてはならない思いを持っていた。
本当に、本当に好きで、愛していて、
奴隷として15年生きた頃、どちらともなく唇を重ねて、ひとつになろうとした。
留守番をしていた、二人きりでの夜だった。
- 725 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/20(火) 22:03:00 ID:KgMULCiY0
性的な遊びを覚えた俺たちは夜毎に互いの体をまさぐった。
自分のものとは違う柔らかな指先が皮膚の上を滑るたび、俺は夢見心地になった。
俺を虐げながら愛の言葉を囁く姉は何より綺麗だったし、俺も貰った言葉をそのまま繰り返した。
身体中いっぱいに、心の中いっぱいに、姉がつけた痕がある。
そんな関係が1年弱続いていたとき、姉は俺の目の前から消えた。交通事故だった。
仲の良かった姉が死んでも涙ひとつ流さない俺を周りは不思議がったが、実のところは姉の死を受け入れられなかっただけだ。
- 726 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/20(火) 22:04:11 ID:KgMULCiY0
それからまた少し経って、ツンというクラスメイトが俺に告白をしてきたのだ。人生で初めて、彼女ができた。
金髪の巻き毛を2つに結んでいて、パッチリとした目が魅力的だった。
姉とは正反対の女の子。
断る理由なんかもちろんなく、テンプレ通りな交際をして、ツンとセックスをしようというとき、俺の息子はピクリとも反応しなかったのだ。
姉との行為なんて何のトラウマにもなっていないし、その頃には姉の死も充分に受け入れていた。
なのに、ツンの胸を触っても、ツンに触ってもらっても、興奮はしているのに勃起できなかった。
ツンが、ちょっと気まずい顔をして、俺も焦った。
そして口をついたのが、
(; A )「ちょっと……さ、踏んでくれない?」
- 727 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/20(火) 22:05:14 ID:KgMULCiY0
無事に行為が終了して、俺は後で泣いた。
ツンは引いたりしなかった。悲しそうな表情をしていた気がする。
ある日、ツンと二人での帰り道で水溜まりを踏みそうになったツンの腕を掴んだとき、とっさに姉の名前を呼んでしまった。
ツンは、何を思っただろう。俺はツンの顔を見れなかった。
- 729 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/20(火) 22:06:55 ID:KgMULCiY0
姉に、「愛している」と言われたときの記憶がこびりついてる。
死してなお、姉は俺を縛り付ける。
('A`)「ツン」
ξ゚听)ξ「どうしたの」
(;A`)「好きなんだよ……」
俺は本当にツンが好きなんだ。
なのに心に空いた姉の形の穴が埋まらない。
抱き締めたい。踏まれたい。
頭を撫でたい。蹴られたい。
なんで俺の体は、思ったようにツンを愛さないんだ。
悲しくて、また泣いた。
おわり。
● 支援イラスト 同スレ>>785より
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