■2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
└布とおがくずのようです
- 5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 23:16:18 ID:WmohpwWg0
布とおがくずのようです
( ´_ゝ`)「……ん」
流石兄者は目を覚ました。
流石兄者にとてもよく似ていると思った。彼は私の恋人だ。
从 ゚∀从「おー、起きたか」
後ろから声をかける。ゆっくりと振り向くのも、兄者そっくりだ。
( ´_ゝ`)「おれ、お、おれは」
从 ゚∀从「どうした……?」
( ;_ゝ`)「おまえが、ころした、だろ」
- 6 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 23:17:00 ID:WmohpwWg0
( ;_ゝ;)「覚えてないのに、覚えてる、よくわからないけど体が拒絶してるんだ」
澱んだ色の眼球を濡らす涙が止めどなく溢れる。
( ;_ゝ;)「うっ……」
从;゚∀从「おい、やめっ……」
咽び泣く兄者は私の白衣に差してあるメスを奪い取ると迷いなく自らの喉に突き刺した。
- 7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 23:17:57 ID:WmohpwWg0
(;´_ゝ`)『おまえ、おかしいよ!』『狂ってる』『人間の在り方に反してるよ』
『考え直さないなら、俺はこの研究室を出る』
そう言った彼を地下に閉じ込めて、縛って、 ……殺してしまったのは私だ。
l从・∀・ノ!リ『おっきい兄者に会いにきたのじゃ』
兄に会いに来た妹。
从 ∀从『ここにはいない。帰っちゃったよ?』
l从・∀・ノ!リ『……?』
───あれ?妹者ちゃんどこ行った?
勝手に所内を散策し、兄を見つけてしまった妹。
兄と家に帰ろうとする妹をなぶり殺した。
それを目の当たりにし、心を壊した兄者は隠し持っていた毒で自分の命を絶った。
拒否されたくなかったから、離れたくなかったからそばに置いておいたのにいなくなってしまった。
( _ゝ )
从 ゚∀从
その死体を開き、脳ミソを取り出したんだ、製作段階の人工の肉体に。
- 8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 23:18:52 ID:WmohpwWg0
私が行っていた研究は、「人の手で人を造り出す」ことだ。
私の専用のラボで秘密裏に続けていたその研究を知った兄者は私をひどく非難した。
『子供なんか作らなくても、俺たちは夫婦になれる』
私は子供を作れない体だった。
それを知っていた兄者は、私の研究の意味をすぐに理解したのだ。
私にとって幸運なことに、試作品は、大人の体だった。
実のところ研究は本当に最終段階に差し掛かっていて、あとは命を吹き込むだけだった。その方法を模索していたところで、
恋人の死は都合のいいものだった。
気をおかしくして、研究の意味そのものを見失っていた。
でも、生き返らせたらどうしよう?
また、自殺するかも。
だから、少し手を加えよう。
- 9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/22(木) 23:20:54 ID:WmohpwWg0
从 ゚∀从「───記憶をいじってもいうこと聞かないのかー……」
从 ゚∀从「でも、離さないよ。お前は、ずっと私のものなんだ」
吹き出した液体は血ではない。赤がかった透明な水が白衣を濡らすが、構わない。
4体目の兄者の死体にキスをする。
何度死んでも、お前のおがくずと私の愛を人工皮膚に詰めて、いくらでも蘇らせてやる。
目を閉じて、記憶の中の彼につられて笑った。
おわり
● 支援イラスト 同スレ>>662より
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