■2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
└(//‰ ゚)規制音のようです
- 2 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:48:22 ID:ynve7Vf.0
『ん?あれ?初めてみる顔だ。あんた誰?』
『……そちらカら、名乗るのガ、一般的な礼儀、じゃなイのか?』
『それもそうだ。ごめんごめん』
爪'ー`)『俺はフォックスって言うんだ。アサピー先生にお世話になってます』
爪'ー`)『で、あんたは誰?まさか、先生の娘…!?』
『違う、娘、なんカじゃ、ない』
(//‰ ゚)『私は、サイボーグの、横堀ダ』
それが一年前、彼と初めて会った時の会話。
- 3 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:49:06 ID:ynve7Vf.0
(//‰ ゚)「魔法の薬を、もラいに来た、とりあえず、ぼっち、タバコは最高、とにかく、いろいろ、お前のことは聞いタ」
(//‰ ゚)「他には、何を話したか。天気か、気温か、この国の空気の汚さか」
爪'ー`)
(//‰ ゚)「大した話ハ、していナいか」
爪'ー`)「=============」
(//‰ ゚)「駄目ダな、今日も、わカらんぞ」
私の聴覚機能が壊れて約三カ月。
今日も彼の声は聞こえない。
- 4 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:50:49 ID:ynve7Vf.0
(//‰ ゚)規制音のようです
- 5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:51:35 ID:ynve7Vf.0
爪'ー`)「=========」
(//‰ ゚)「今日は、いい天気ト、言っている、か?」
爪'ー`)b
(//‰ ゚)「ふム、当たッた」
身振り手振りを使いながら、フォックスは隣に座る私に話しかけていた。
だが、私の耳に聞こえてくるのはピーピーと甲高く鳴る機械のような音。
別に彼が、放送禁止用語を喋っていて規制がかかっている訳ではない。
このことに対して私は驚いたりなんだりはしない。今更だからだ。
それはなぜかと言うと
(//‰ ゚)『……聴覚が、壊れた』
爪;'ー`)『======』
ひとえにサイボーグである私の身体機能がおかしくなったことに起因する。
- 7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:52:18 ID:ynve7Vf.0
いつも通り、フォックスが私と一緒に住むアサピーという男に会いに来る。
それを私が待つ。やってきたらアサピーの元へ連れていく、アサピーがいなければ、彼が帰ってくるまでしばらく話す。
一年前から私の仕事であるそれを実行していたある日のことだ。
爪'ー`)『=========』
(//‰ ゚)
爪'ー`)『=========』
(//‰ ゚)『どういうことダ』
唐突にフォックスの言葉が聞こえなくなった。雑音にかき消され、全く声を判断することができない。
一体全体どうしたことだ。彼は何かいかがわしいことでもまくしたてているのか。
そう考え私が固まっている間にも、普段からよく話すフォックスが口を開くたびに、ピーピーピーピー音が耳に入り続ける。
(//‰ ゚)『待テ、フォックス、少し、待て』
爪'ー`)
私が彼を止めると、不思議そうに首をかしげながらフォックスは口を閉じた。同時に雑音も消える。
(//‰ ゚)『……フォックス、何か、話してクれ』
爪'ー`)『====== ==========』
フォックスが口を開くと再びピー音の嵐。それを聞いて私は確信する。
- 8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:53:04 ID:ynve7Vf.0
(//‰ ゚)『フォックス』
爪'ー`)『==』
(//‰ ゚)『……聴覚が、壊れた』
爪'ー`)
爪;'ー`)『====』
今までの彼の行動を考えて恐らく「マジで?」とでも言ったのだろう。
困ったようにフォックスは口を動かすが、やはり先程と変わらず、規制音だ。
(//‰ ゚)『聞こエん、全ク聞こえん』
爪'□`)『===========』
(//‰ ゚)『叫んデも、同じだ。むしろ、ウるさい』
爪;'ー`)
(//‰ ゚)『……まいッたナ』
- 9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:53:56 ID:ynve7Vf.0
結局アサピーが帰ってくるまで、二人で途方に暮れながら、コミュニケーションを取ろうとした。
その間に分かったことは二つ。
フォックスの声は例え口笛であろうと規制がかかること。
彼が書いた文字も黒塗りのように見えなくなること。
そしてアサピーが帰ってきてから分かったことが二つ。
私が聞こえなくなったり、見えなくなったりしたのはフォックスの声や文字だけだということ。
プログラムを見ても不備は無いため、直しようがないということだった。
(-@∀@)『うーん…なんでだろうね』
爪'ー`)『========』
(-@∀@)『僕も造った本人だから、不備がないのはわかるけど…』
爪;'ー`)『=========』
(//‰ ゚)『フォックス、熱くナるな、私は、別に、問題ナい』
爪;'Д`)『===========』
(-@∀@)『問題ありまくりだろうが!…だってさ』
(//‰ ゚)『とりあエずは、意思の交換に、不備があルだけ。私ハ、動ける』
爪'ー`)『=========』
納得いかないのか、フォックスは尚ぶつぶつと呟いた。私にはピーとしか聞こえないが。
- 10 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:54:39 ID:ynve7Vf.0
(-@∀@)『僕も、出来るだけ早く直せるように努力するけど…』
爪'ー`)『=======』
(-@∀@)『え、…うー』
(;-@∀@)『こればっかりはいつになるか、僕も検討がつかないや…』
爪'−`)『====』
どうやらフォックスはいつぐらいに私が直るのか聞いたようだだった。
アサピーの言葉を聞いてフォックスは極端に暗い顔になってしまった。
(//‰ ゚)『なぜ、お前ガ、暗くナる』
爪'ー`)『========』
(-@∀@)『ちゃんと話ができないのは、つまんないって』
(//‰ ゚)『子供カ』
爪'З`)『====』
ふてくされてフォックスが口をとがらせた。
そういえば明るそうにみえて、こいつはぼっちであると言っていた。
となると、確かに話をするのは私かアサピーぐらいなのだろう。
- 11 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:55:21 ID:ynve7Vf.0
念のため私は彼に言っておく。
(//‰ ゚)『一応、お前ノ、ジェスチャー、だケは、わかルぞ』
爪'З`)
爪'ー`)『=====』
(-@∀@)『あ、納得したね』
話しをかみ合わせることは難しいだろうが、今のところ、フォックスの表情と身振り手振りだけは確認できる。
それなら多少の意思伝達は可能だろう。フォックスもそれに気付いたのか、ふてくされた顔が元に戻った。
(//‰ ゚)『単純ナ奴だ』
爪ノシ'ー`)ノシ
(//‰ ゚)『何を、表しテるんだ』
爪ノシ'ー`)ノシ『====』
(-@∀@)『抗議の意だそうです』
(//‰ ゚)『わかるカ、そんナもの』
- 12 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:56:05 ID:ynve7Vf.0
それ以降フォックスとの会話は主に表情とジェスチャーだけで成り立っていた。
最初は私も理解ができなかったが、簡単なこと、たとえば天気がいいだとか、寒いだとか、そういうことはわかるようになった。
しかも何故だか私が故障してから、フォックスが私と話そうとする時間が増えた。
アサピーとの用事が終わった後も、しばらく私と話しをして、彼が満足したら帰っていく。
きちんとした受け答えができていないだろうに、私の言葉を熱心に聞くフォックスは不思議に思えた。
そんなやり取りをして三カ月。
爪'Д`)「====」
(//‰ ゚)「ため息ヲ、つくナ」
爪'Д`)「====」
(//‰ ゚)「博士も、やハり、わかラないと、言っていルんだ、どウしようも、ない」
爪'ー`)「== ===========」
未だに私の耳と目は壊れたままで、フォックスの声は規制にかかっている。
- 13 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:56:49 ID:ynve7Vf.0
心底がっかりしたのか、フォックスは膝から崩れ落ちた。
ジェスチャーでのやり取りになってからというもの、フォックスの動きは大げさなものになっていた。
私に分かりやすくするためなのだろうが、あまりに激しいときもあるので、やめてほしいと思うこともある。
口に出して言ったことはないが。
爪'ー`)「==========」
(//‰ ゚)「そこマで、落チ込むか」
爪'ー`)「========」
(//‰ ゚)「期待しテも、無駄ダと、思うガ」
爪ノシ'ー`)ノシ
フォックスが腕を地面にたたきつける動きをする。無駄ではないと言いたいのだろう。
だがそう言って三カ月が経ってしまった。
いつもなら遅くても二週間でプログラムの原因を見つけてくるアサピーが、三月もかかって尚、
私の故障の原因を見つけられていないのだ。これはもう直らないと思っていた方が賢明だ。
- 14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:57:32 ID:ynve7Vf.0
(//‰ ゚)「このまマでも、どうにかなっテるなら、別に、直らナくても、いい、気がすルがな」
爪ノシ'Д`)ノシ「========」
(//‰ ゚)「不満カ」
爪'ー`)=3
当たり前というように、フォックスは鼻を鳴らして私を見た。
そんな姿を見ると、こいつはずいぶん根気強いやつだと思う。
当の本人である私がもう直らないと思っているのに、フォックスは絶対直るはずだと信じているのだ。
しかも三カ月ずっと。
(//‰ ゚)「お前ハ、忍耐が、あルんだナ」
爪'ー`)「 === =======」
その言葉にフォックスは胸を張った。かなり誇らしげだった。
- 15 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:58:30 ID:ynve7Vf.0
(-@∀@)「あ!横堀!横堀!ちょっと聞いて!」
そうしていると、唐突にアサピーが私たちの間に入ってきた。
(*-@∀@)「今、言語プログラムの改善に成功したんだ!君ちょっと、片言気味でしょ?もっとなめらかに喋れるようになるよ!」
鼻息を荒くアサピーはまくしたてた。……待て待て。
(//‰ ゚)「お前、そレは、できルのに、私の故障ハ、直せないのカ」
爪'ー`)「=============」
(;-@∀@)「あ、…えーっと」
我に返ったのかアサピーは気まずそうに目線をそらした。フォックスも大概だが、こいつもずいぶんとわかりやすい男だ。
(;-@∀@)「だ、だって、こっちはやり方も見えてるから、簡単だし…結構前から横堀の話し方気になってたし…」
爪'ー`)「=====」
(;-@∀@)「うん、わかってるよ。頑張って原因探してるよ。でもどうしてもみつからないんだもの」
爪'−`)「==」
(;-@∀@)「ごめんちゃい」
- 16 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:59:13 ID:ynve7Vf.0
真面目な顔をしたフォックスに責められたのか、アサピーはシュンと肩を落とした。
もともと気になることがあったら、意地でも改善したがる男だった。彼の気持ちは理解できなくもない。
人間だったらここでため息をつくのだろうか。そんな状況だった。
(//‰ ゚)「まあいい、アサピー、今から、プログラム、書きかえルのか?」
(-@∀@)「!」
(*-@∀@)「うん!そうさせて!」
さっきまでの態度はどこへやら、急に顔を輝かせてアサピーは家へと走っていった。
(//‰ ゚)「…と、言うわけダから、今日ハ、ここまでだナ」
爪;'ー`)「========」
そう私が言うと、なんとも言えない表情をして、フォックスは帰って行った。
- 17 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/26(月) 00:00:53 ID:yQHUB4Wg0
*****
(-@∀@)「ねぇ」
(//‰ ゚)「なんだ博士」
(-@∀@)「横堀はまたフォックスくんの声を聞きたい?」
(//‰ ゚)「どうした?今まで聞きもしなかったくせに」
(*-@∀@)「あ、やっぱりいいね、なめらかに話してる。よかった改善できて」
(//‰ ゚)「お前の真意はどこにあるんだ。答えんぞ」
(;-@∀@)「すみません。…で、どう?聞きたい?」
(//‰ ゚)「そこまで差し迫ってないからな…別に今はどうでもいい」
(-@∀@)「そう」
(//‰ ゚)「なんだモチベーションでも下がったか」
(-@∀@)「んーんちょっとね」
(-@∀@)「君がそういうなら、いいんだ」
*****
- 18 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/26(月) 00:01:46 ID:yQHUB4Wg0
(//‰ ゚)「…うん?フォックスの奴もう来てるのか?」
言語プログラムを改善されて五日後。
スリープモードとなっていた私が目覚めると、玄関にフォックスの靴があるのが見えた。
ずいぶん朝早くにやってきたようだが、いったいどうしたのだろうか。
爪 − )
(//‰ ゚)「ん?フォックス」
ガチャリとアサピーの研究室からフォックスが出てきた。
だが彼の顔は今まで見たことないぐらいに深く沈んでいた。
(//‰ ゚)「どうした、フォックス」
声をかけてもいまいち反応が良くない。肩をかるくゆすってようやくフォックスは私の顔を見た。
爪'−`)
(//‰ ゚)「どうした、お前のそんな顔あまり見たことないぞ」
爪'−`)
爪'−`)「====」
不意に聞き取れないほど小さな規制音が聞こえた。
- 19 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/26(月) 00:02:29 ID:yQHUB4Wg0
爪'−`)「====== =========」
(//‰ ゚)「お?」
爪'−`)「========= ==========================」
(//‰ ゚)「おいフォックス?」
爪'−`)「======== ========== ===================
======= ===========================」
(//‰ ゚)「待て、おい待て」
無表情のままフォックスの口から、ものすごい量の規制音があふれだした。
普段は私が理解できないから、あえて長い文は喋ったりしなかった奴なのに。
今の私には彼から発せられる言葉を理解することはできない。
爪'−`)「=======================================
======== ==============================」
(//‰ ゚)「フォックス」
どうしたらいいかわからない。この大量の音をどうやれば止められるのかわからない。
私はお前の言いたいことが分からない。
爪'−`)「=================== =======================
======== ==================================
========================= =================」
(//‰ )「フォックス?」
- 20 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/26(月) 00:03:18 ID:yQHUB4Wg0
爪'−`)
爪'ー`)
不意に彼の顔に表情が戻る。泣き笑いのような表情だった。
- 29 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:48:13 ID:2Qg1ib560
そしてそのままフォックスがずるりと倒れこんだ。
.
- 30 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:49:43 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「…は?」
目の前の状況に対応できず、私は彼を支えることができなかった。
静かに音を立てながら、フォックスが床に横たわる。
(//‰ ゚)「フォックス…?おい、どうした」
爪 − )
(//‰ ゚)「ふざけた真似はよせ。勘違いするだろう」
彼の上半身を抱き上げ、私は彼に声をかけた。
だが、彼からの返事はなかった。
(//‰ ゚)「フォックス、起きろ、起きてくれ」
- 32 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:51:19 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「フォックスくん、さっきも言ったけど、まだ時間は…」
(;-@∀@)「!」
私がフォックスに話しかけていると、アサピーが研究室から出てきた。
倒れているフォックスを見て、アサピーの顔が青ざめたものになる。
(;-@∀@)「え、嘘。フォックスくん?」
(//‰ ゚)「……博士、こいつ、急に倒れて」
(;-@∀@)「あぁあああ!もう!馬鹿!」
- 33 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:52:26 ID:2Qg1ib560
私の言葉をきちんと聞く前にアサピーは慌てて、フォックスの側へと駆け寄った。
(;-@∀@)「もしもし!?フォックスくん?」
(//‰ ゚)「駄目なんだ。私もさっきから話しかけてみたが、返事がなくて…」
(;-@∀@)「ほんとに?…もー!!なんで君は我慢してるんだ!言うならさっき言ってよね!!」
怒りながらもアサピーはフォックスの頬を軽くたたいたり、脈を図ったりしながら、
彼の意識を目覚めさせようとしていた。
(;-@∀@)「脈はある…前と同じぐらいだから…大丈夫…だけど」
しまったな…と呟きアサピーは頭を抱える。
ぶつぶつと呟きながら、何かを必死に考えているようだった。
- 34 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:53:33 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「博士」
(-@∀@)
(;-@∀@)「あれ、横堀!?おおおおお起きてたの?」
(//‰ ゚)「気付いていなかったのか」
フォックスを見たときと同じぐらいに動揺して、アサピーは私を凝視した。
会話をしたはずだが、焦りで私だとわかっていなかったようだ。
少しの沈黙の後、アサピーはため息をついた。
(;-@∀@)「…言いたいことは分かり切ってるけど…」
(//‰ ゚)「だろうな」
私の返事にアサピーは困ったような顔をした。
(-@∀@)「とりあえずフォックスくんをベッドに運ぼう。そしたら、君の聞きたいこと話してあげるよ」
- 35 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:54:40 ID:2Qg1ib560
*****
フォックスを来客用のベッドへ寝かせて、私とアサピーはその傍らの椅子に座り込んだ。
しばらくどちらも黙っていたが、私がその空気を断ち切り話始めた。
(//‰ ゚)「ずっと、知りたかったことがある。
私は、フォックスが一体何のためにアサピーに会いに来ているか、全く知らないんだ」
初めてフォックスに会った時、ここへやって来た目的を聞いたら、私は『魔法の薬をもらいにきた』と言われた。
私が麻薬をもらいに来たのかと聞き返し、冗談だ、と結局そのままはぐらかされて話を終わらされた。
私は、彼が目的を話したがっていないのだと思い、それから一度も彼にそのことを聞かなかったのだ。
しばらく経って分かったのは、やってきたときは必ず、アサピーの研究室に数分こもってしまうということだけ。
(//‰ ゚)「彼を研究室に連れていくと、博士はいつも、私は外で待つようにと言ったから、
二人で何をしていたのかも知らない」
(//‰ ゚)「二人が私に教えたくなかったようだから、今まで、あえて知ろうとはしなかった」
(//‰ ゚)「でも、もう無理だ」
ちらりと私は気を失っているフォックスを確認する。
爪 − )
寝かせるときにアサピーは「ちゃんと起きるよ。大丈夫」と言ってくれた。
だが今になって、彼の顔が五日前に見たときより、青白くなっていることに気付いた。
こんなことがなければ、私はそのことを問題に思うことなく彼と接していただろう。
- 36 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:56:19 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「博士、教えてくれ。フォックスはなんでここに来ていたんだ。どうして…
どうして今フォックスはここで眠ってしまっているんだ」
私の言葉を聞いたアサピーは、うつむきながら意を決したように口を開いた。
(-@∀@)「…急性身体硬化症」
彼の口から出てきたのは、私が聞いたことのない単語だった。
察するに、病気か何かの名前のようだ。
(-@∀@)「横堀もここの土地の空気が汚いこと、知ってるでしょ?
僕たちが住んでるこの丘は、比較的空気もきれいで気にならない程度だけど」
(//‰ ゚)「あぁ知っている。工場から煙があがっているのを見ているからな」
外でフォックスを待っている間、いつも立ち上る黒い煙が町を覆い尽くしていたのを思い出した。
見ただけで体調を壊しそうなものだったので、町の人間は平気なのかとずっと疑問だった。
(-@∀@)「…その煙が原因なんだ」
苦しそうにアサピーは声を絞り出した。
- 37 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:57:27 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「あの工場何作ってるか知ってる?」
アサピーに言われ、私はぼんやりと工場に関しての記憶を掘り起こす。
(//‰ ゚)「……節操なく、色んな物を作っていたな。車、機械の部品、化粧品…」
あの工場は町で一番の大きさを誇る。町で売られている工業製品は九割方、あの工場で作られているはずだ。
(-@∀@)「君の言うとおり。あそこはなんでも作ってる。…作ることに力を注いで、人に及ぼす害は無視をしてね」
(//‰ ゚)「…その害がさっき言った」
(-@∀@)「そう、急性身体硬化症」
- 38 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:58:38 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「原因はさっきも言ったけど、あの工場から出てくる黒い煙。
昔話題にしてくれたことはあったんだけど…」
言いながらアサピーはベッドの側に置いてあった、古新聞紙を手にとり私に渡した。
それには彼が話したことが小さく記事に載っていた。読んでいくうちに私は違和感を覚える。
(//‰ ゚)「このようなことは、普通もっと大々的に報道されないか?
しかも…これ、かなり曖昧に書かれている。その工場から出る煙が原因だと、読んだだけでは分からない。」
小見出しには『新発見?謎の物質』と書かれていた。
内容は今まで発見されてこなかった化学物質が人体に悪影響を与えるといった、簡単なものだった。
だが、何に影響するのか、原因はなんなのか、そしてその対策の仕方。それが何も書いていなかった。
(//‰ ゚)「これは明らかに…」
(-@∀@)「国からの圧力だよ。…あの工場で作ってるもの全てが国の財政を賄ってるものだから、
デメリットなんて言って、工場を閉鎖されたらたまらないからね」
(-@∀@)「本当はみんなが煙のせいだって気付いてたよ」
(-@∀@)「でもあの病気になる人間はほんの一握り。感染症ってわけでもない。
そんなもんだから、みんな他人事だったんだ」
- 39 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 00:59:46 ID:2Qg1ib560
そこまで聞いて、私は嫌でも察する。
誰が聞いたって分かり切ったことを私は言葉にした。
(//‰ ゚)「……フォックスはその一握りの人間なのか」
(-@∀@)「そういうこと」
つらそうにアサピーは答えた。
(-@∀@)「彼は五年前から病気の保因者と宣告されたんだ。なんですぐ来なかったのかは知らないけど、
二年前…君が出来る一年前だね。そのころから僕の元にやってくるようになった」
アサピーがそう語り始めたところで私はすっかり忘れていた事柄に気付く。
(//‰ ゚)「そこだ、私はまだフォックスがどうしてお前のところに来るのか聞いていない」
(-@∀@)「…そうだった。いや、単純なことなんだ。僕が医者だからだよ」
(//‰ ゚)
(//‰ ゚)「なんだと」
- 40 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:00:50 ID:2Qg1ib560
(;-@∀@)「確かに横堀には言ってなかったけどね。研究室…というかあそこ医務室だから」
(//‰ ゚)「ただの変な発明家じゃ…」
(;-@∀@)「違います。だから君、博士って僕を呼んでたのか…。
フォックスくんは先生って僕のこと呼んでたじゃないか」
(//‰ ゚)「じゃあ私を造ったのはなんでだ」
(-@∀@)+「僕の趣味」
(//‰ ゚)「…そうか」
彼の本当の職業に多少驚いたが、彼の根性にもなんとも言えない思いが広がった。
気を削がれるとはこのことを言うのだろうか。
- 41 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:02:24 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「……ん?でもおかしいぞ。医者ならあの町にもいくらでもいるだろう。
なんでわざわざこんなところまでやってくる必要がある?」
私たちが住むこの丘は町からかなり外れたところに位置している。
ここまで来るぐらいなら、町で診察を受けたほうがよっぽど楽だろうに。
当然の疑問にアサピーは悲しそうに目を伏せ答える。
(-@∀@)「…薬をね、作れるのが僕しかいないんだよ」
(//‰ ゚)「薬」
(-@∀@)「みんなに広めたかったけど、おおっぴらに作るのを認めてもらえなくてね…」
(-@∀@)「だからここに住んで治療をしてるんだよ」
(//‰ ゚)「……『魔法の薬』…を渡してるのか」
(-@∀@)「…この子、冗談好きだよね。魔法でもなんでもないのに」
目を細めてアサピーはフォックスの顔を見た。
前にフォックスが『魔法の薬をもらいにきた』というのは、半分は正しい返答だったようだ。
- 42 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:03:30 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「僕が作る薬はあくまで、病気の進行を遅くするってだけ。
完璧には治すことはできないし、治せる薬や方法も、未だに発見できてない」
(//‰ ゚)「…その病気はそんなに深刻なものなのか」
その私の言葉にアサピーは言い淀む。ぱくぱくと口を動かした後、深くため息をついた。
(-@∀@)「…まず自覚症状はない。血液検査、CTスキャン、その他諸々の検査をして初めて気付く人ばかりだ。
普段は何も不自由なく暮らせる。運動だって、なんだってできる」
(-@∀@)「けど末期になると異変が起きる。スイッチが切れるみたいに、急に体が動かなくなるんだ」
(//‰ ゚)「…それは」
それはつまり今のフォックスみたいに。
(-@∀@)「こうなるともう薬を飲んでもほとんど意味がない。段々スイッチが切れる間隔が狭くなってしまう。
……それから、遠くない内に…」
アサピーは言いきることをしなかった。だがその態度だけで、十分だった。
- 43 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:04:45 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)
私は倒れる前のフォックスを思い出した。つまりあの時すでに彼は、自らの余命を聞かされていたのだ。
なら、彼がぶつぶつと吐き出していたのはなんなんだ。
自らの運命を怨む呪詛か、なにもすることのできない医者への苛立ちか。
何も知らずに話していた私への不満か。
爪'−`)
(//‰ )「…」
なんにせよ、私がそれを知ることはできない。
なぜなら、まだ私の体は直っていないからだ。彼の言葉を聴くことが出来ないからだ。
出来ないのはなんでだ、アサピーが直せないからだ。
…否。
(//‰ )
(//‰ ゚)
(//‰ ゚)「博士」
- 44 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:05:58 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「…なんだい」
(//‰ ゚)「前に話したこと、前言撤回だ」
(//‰ ゚)「今すぐにでも、フォックスの声を聞きたい。早急に私を直してくれ」
(-@∀@)「…急だね」
アサピーはそう言ったが、私の言葉は予想できていたようで、困惑した表情は浮かべていなかった。
(//‰ ゚)「あぁそうだな。だが、お前は私をもう直せるんだろう?」
(-@∀@)「直せるよ。お察しの通り」
(//‰ ゚)「…やっぱりな」
- 45 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:07:15 ID:2Qg1ib560
本来アサピーはバグなんてあったら、原因をとことんまで探して、処理しようとする男だ。
――――それこそ言語改善なんて、いつでもできるような作業、後回しにして。
(//‰ ゚)「妙だとは思っていたが、私を直さない理由がどうしてもわからなかった。故に確信は持てていなかった」
(//‰ ゚)「でも、気付いたよ。……このバグは元々お前が仕込んだものなんだな」
(-@∀@)「…そこまでわかっちゃったか」
そういってアサピーは私の推測を認めた。
バグを仕込んだのがアサピーであるのなら、私を直さないでいたのも理解できる。
わざわざ作りだした、彼にとって意味のあるプログラムだったから、直さなかったのだ。
(//‰ ゚)「相変わらず…というか、お前の行動はよくわからない」
(-@∀@)「そうかい」
(//‰ ゚)「慣れてはいるがな」
- 46 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:08:45 ID:2Qg1ib560
アサピーに言葉を返しながら、私は、防犯対策だよ!と、彼が私にブザーをつけてきたことを思い出す。
(所構わずブザーが鳴るものだから、結局取り外してもらったが)
彼曰く、私が誰かに襲われてしまっては大変だと考えたがための行動だったらしい。
それ以外にも、私が心配だからと言って怪我をしたら包帯が出せるようになるだの、
暗闇で車に轢かれないように全身が光るようになるだの、いらない機能をつけてきたことが多々あった。
私はサイボーグだ。そんなものをつけずともどうにかなる能力は持っている。
それでもアサピーは、私が思いもよらない考えで、私を守るために新しい機能をつけてこようとする。
こいつは、本当に、心配性なのだ。
だから、きっとこのバグも、このアサピーの悪い癖がでてしまったんだろう。
いつものことだ慣れている。
ただし、慣れてはいても、納得はしてないが。
- 47 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:10:20 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「…横堀、僕は」
(//‰ ゚)「あぁ、待てアサピー」
アサピーが何か話し始めようとしたが、私はそれを遮った。
(//‰ ゚)「今から、理由とかを説明するなら、私のプログラムを書き換えながらにしてくれ」
(-@∀@)「えっ」
(//‰ ゚)「どうせ、お前の心配性のせいだろうし、何より長くなりそうだ
フォックスが目覚める前に、私はこの耳を直してほしいんだ。時間が惜しい」
身も蓋もない私の言葉にアサピーは虚を突かれたのが間抜けな顔を晒した。
(;-@∀@)「書き換えの時、話、聞こえるんだっけ?」
(//‰ ゚)「やろうと思えば聞ける。というか、ちゃんと聞きたいから、書き換えの時に話してほしいんだ」
(//‰ ゚)「あまりに馬鹿な理由だったら、話の途中でお前を殴りかねない」
.
- 48 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:11:48 ID:2Qg1ib560
それを聞きアサピーは、あー…と声を漏らした。
(-@∀@)「そっか…殴っちゃうんだね」
(//‰ ゚)「そうだ」
それぐらいの代償、彼には覚悟してもらわなくてはいけない。
今までの改造だって、ちゃんと私に確認をとってからしていたのに、
今回のものは、彼が行った改造の中で一番迷惑極まりないものだった。
第一、人の言葉が聞こえなくなる、なんて、私の何を思ってつけたのやらわからない。
こんなものなければ、フォックスの話も聞けたというのに。
(-@∀@)「痛いのは嫌だなぁ…」
(//‰ ゚)「…馬鹿な理由なんだな」
アサピーのつぶやきに私は顔をしかめた。
本人でさえ自覚をしている程度の理由で、私はバグをつけられたのか。
そんな私の顔をみてアサピーは苦笑を浮かべた。
(-@∀@)「…ま、自業自得だね。わかった、プログラムを書き換えながら、話すよ」
- 49 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:12:56 ID:2Qg1ib560
椅子から立ち上がって、アサピーは部屋のドアに手をかけ、思い出したように私に言った。
(-@∀@)「ちなみに今からやっても、多分終わるのは夜になっちゃうよ」
(//‰ ゚)「なんだって?」
思いもよらない台詞に私は思わず聞き返してしまった。
(-@∀@)「君の活動機能の根本にプログラムしたものだから、いろいろ複雑なんだ」
そこまで面倒な真似をしてまで一体こいつは、私の何を心配したんだ。
(//‰ ゚)「…あ、それじゃあフォックスが先に目を覚ますじゃないか」
それではさっさと話を切り上げようとした意味がない。
そういうとアサピーは少しだけためらって
(-@∀@)「彼も起きるには、相当時間がかかるから…」
とだけ、返してきた。
- 50 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:14:06 ID:2Qg1ib560
*****
頭と背中に何本ものコードをつないで、私はアサピーの前に座った。
動くと簡単にコードが外れそうになるので、私は身動きが取れない。
(//‰ ゚)「ここまで大仰なのは初めてだな」
私が感想を述べるが、アサピーはパソコンに向かい、せっせと何やら打ち込み続け、まともに返事はしなかった。
声をかけても無駄だと判断し、私が黙ってしばらく待つと、彼がキーボードを打つ音が止まった。
(-@∀@)「はい!準備完了!今から、書き換え始めちゃうよ」
(//‰ ゚)「あぁ、いいぞ」
私が頷くとカチッとキーが押される音がした。直後、頭に大量の、記号が流れこんで、
- 51 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:15:21 ID:2Qg1ib560
(//‰ -)「…結構、負担がかかるな」
(;-@∀@)「そうだよね…ごめんよ」
予想していたよりも、受け止める情報が多かった。
これはかなり気合を入れないと、アサピーの話も聞けないみたいだ。
(//‰ -)「……しばらく身体機能諸々を停止する。聴覚だけは動かしておくから、話すなら、話せよ」
(-@∀@)「…うん」
そのアサピーの言葉を最後に、私は思考回路を停止させた。
(-@∀@)「止めたのかな?」
(-@∀@)「…じゃあ話そうかな」
- 52 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:16:50 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「まずこのプログラムはね、君がこれ以上人と仲良くならないようにつけたものなんだ」
(-@∀@)「いや、独占欲が強いとかそういう理由じゃないけど」
(-@∀@)フゥ…
(-@∀@)「僕はさ、君には出来るだけ悲しい思いをしてほしくなくなったんだ」
(-@∀@)「生まれて初めて造り出せた、サイボーグ横堀」
(-@∀@)「君には心をつけました。人と喜ぶこと、悲しむことを知ってほしかったから」
(-@∀@)「その思いだけが先行していて、僕はすっかり忘れていたことがあるんだ」
(-@∀@)「君が半永久的に生きていられることを」
- 53 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:18:19 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「電気があれば、君はずっと存在できる。そう僕が造ったから」
(-@∀@)「君が壊れちゃうのはいつだろう?僕も分からないよ。
ただかなり強化した金属とか、合成皮膚とかを君に使ったことは言っておく」
(-@∀@)「でも僕たちは違うよね」
(-@∀@)「人間がみんな死ぬのはわかりきったことでしょう?」
(-@∀@)「…当たり前なのにねー」
(-@∀@)「僕はこれも忘れてた」
(-@∀@)「つまりさ、これから先、君は出会った人達みんなを、見送ることになるんだ」
- 54 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:20:32 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「とにかく長い間、君はその悲しみに耐えなくちゃいけなくなる」
(-@∀@)「…悲しいことは知ってほしかった。だけど、そこまで望んだわけじゃなかったのに」
(-@∀@)「僕は君のことを大事な娘だと思ってる」
(-@∀@)「そんな君に悲しみを味あわせ続けるのは嫌だ」
(-@∀@)「でも今更君から感情を取ってしまうことも、できない」
(-@∀@)「…代わりに僕は、君が多くの人と親しくならないようにすればいいと思った。
それで出来たのが、このプログラムだよ」
(-@∀@)「僕を除いて『君が好意を持ちかけている人の声と筆跡が認識できなくなる』プログラム」
(-@∀@)「急いで考え付いて、三か月前に君に組み込んだんだ」
- 55 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:21:55 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「『好意』っていうのも基準が微妙だけど…友達以上家族以下…ぐらいの親密度だったかな…」
(-@∀@)「君が対象をそう判断した時から、このプログラムは作動するようにした」
(-@∀@)「だから、仲良くなってたフォックスくんの声と筆跡は認識出来なくなったんだろうね」
(-@∀@)「…同じ言葉を話してるのに、会話が出来ない。これ、人は精神的に疲れるんだよ」
(-@∀@)「出来るだけ、近づくのをやめちゃうんだ」
(-@∀@)「そうすれば横堀が『好意』を持つぐらいに話そうとする人は減ると思った」
(-@∀@)「君が友達だ、とか認識しなければ、その人の声は聞こえるから、普段人と関わる分には問題はない」
(-@∀@)「これで君が仲のいい人を見送るってつらい出来事は減ってくれる」
(-@∀@)「……と思ったんだけど」
- 56 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:23:26 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「フォックスくんは君と積極的に話そうとしたね」
(-@∀@)「むしろ君が声を聞こえなくなった時より、たくさん会話をしようとしていた」
(-@∀@)「それに『横堀と話すのは楽しいから』って言ってたよ」
(-@∀@)「…予想外だった」
(-@∀@)「正直に言うと、僕は、君がフォックスくんと仲良くし始めてたから、このプログラムをつけたんだ」
(-@∀@)
(-@∀@)「今のうちに、距離を置いてくれればいいなと願って、組み込んだ」
(-@∀@)「……僕も、希望は持ちたかったけど、彼の病状は楽観視出来なかったから」
- 57 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:25:36 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「それでも君たちは、プログラムが作動する前と同じように過ごしていたね」
(-@∀@)「君もフォックスくんの声や筆跡が聞こえないままだった」
(-@∀@)「…それを見て、無意味なことだったかなと思ったよ。でも僕はこれを解除しようとは思わなかった」
(-@∀@)「それに、君は直らないならそのままでもいい、みたいな態度だったし…」
(-@∀@)「僕は君の態度に乗っかった。君が直してほしいって言うまで、このままにしておくことにしたんだ」
(-@∀@)「少しでも、不安の種は減らして起きたかったから」
(-@∀@)「これが、プログラムを組み込んだ理由と、今まで黙っていた訳だよ」
(;-@∀@)「……今思うとなかなか酷いことしてたかな」
- 58 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:26:37 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「君の言うとおり、結構長くなっちゃった」
(//‰ -)
(-@∀@)「……よし。この調子なら、7時ぐらいには完了するかな」
(-@∀@)「終わったら勝手にコード外しちゃって平気だからね」
(-@∀@)「フォックスくんも同じぐらいに目が覚めるはずだよ」
(-@∀@)「僕は医務室にいるよ。フォックスくんのことも見ておくから」
(-@∀@)「じゃあまたあとで」
*****
- 59 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:27:43 ID:2Qg1ib560
(//‰ -)
(//‰ -)
(//‰ ゚)
(//‰ ゚)「……これでいいのか?」
流し込まれた情報の処理が終了したのか、いつものように思考ができるようになる。
それを合図に私は目を覚ました。
不具合が生じていないか確かめたが、発見はされなかった。
むしろ、今まで通りすぎて、本当にアサピーがバグを取り除いてくれたのかが不安になるぐらいだった。
(//‰ ゚)「まあ、フォックスの声を聞かないことには、確認しようがないか」
とりあえず私は取り付けられていたコードを外した。ようやく身動きが出来るようになり、しばしの解放感を味わう。
ついでにアサピーの語っていたことも記憶から呼び覚ましておく。
- 60 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:28:47 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「……悲しい、か」
案の定アサピーが暴走した結果だった、と私は認識する。
言いたいことが色々あるが、それは後できちんと伝えてやろう。
(//‰ ゚)「そういえばフォックスも目が覚めると言っていたか」
時計を見ると7時を少し過ぎた頃だった。
念のため玄関を見たが、フォックスの靴はまだあった。
(//‰ ゚)「……」
私は決心を固めて、フォックスの眠っている部屋へ向かった。
- 61 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:29:51 ID:2Qg1ib560
爪 − )
(//‰ ゚)「…まだ寝ているのか」
部屋をのぞくと、フォックスはまだ布団にくるまったままだった。
病気のせいとはいえ、もう半日は眠っているはずだ。
アサピーは大丈夫だと言っていたが、やはり不安になる。
(//‰ ゚)「はやく、起きろ」
爪 − )
(//‰ ゚)「……フォックス」
そっと彼の頬に触れる。眠っているだけのはずなのに、彼の体はどこか冷たかった。
- 62 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:30:59 ID:2Qg1ib560
爪 − )「…う」
(//‰ ゚)「!」
不意に彼の口から声が漏れた。
(//‰ ゚)「フォックス?」
爪; − )「…うう?」
私が声をかけるとうめきながら彼はゆっくりと目を開けた。
爪;'−`)「……あ、れ?」
むくりと起き上がり、瞬きをして彼は私を見つめる。
(//‰ ゚)「大丈夫か?」
爪;'−`)「…?」
うまく状況を把握できていないのか、フォックスは怪訝そうな顔をした。
だがすぐに思い至ったのか、ああ、と声を漏らし、そして
- 63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:31:46 ID:2Qg1ib560
爪'−`)「…もう死んだと思ったんだけどなぁ」
久しぶりに聞いた彼の声は諦めきった言葉を吐き出した。
.
- 64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:32:52 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「……」
爪;'ー`)「あ…」
しまったと言う顔をしてフォックスは首を横に振る。
爪;'ー`)「…違う。えーっと…あー」
爪'ー`)「俺、倒れたの?」
言いながら彼は自分を指し、続けて人が倒れるようなジェスチャーをした。
(//‰ ゚)「…もう半日は眠っていたぞ」
爪'ー`)「半日!?…半日もか」
本当だ外真っ暗だわー…と窓の外をみてフォックスは驚いていた。
- 65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:33:54 ID:2Qg1ib560
爪'ー`)「ごめんな、びっくりしたよな」
手を合わせ謝罪のポーズをして彼は私に言った。
(//‰ ゚)「…笑ってから急に倒れるんじゃない。柄にもなく混乱してしまった」
そう返してやると彼は罰が悪いと言った顔になる。
爪;'ー`)「……」
(//‰ ゚)「なんだどうした」
爪'ー`)「……ごめんなー」
そしてまた謝罪の言葉を発した。彼の行動が読めなかったが、すぐに思い当たる。
多分一方的に話しだしたあの事を謝っているのだろう。
- 66 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:35:14 ID:2Qg1ib560
私は口を開きかけたが、丁度そのときアサピーがやってきた。
(-@∀@)「横堀終わったのかい、フォックスくんは…あ、起きたんだね」
よかった起きて、と続けてフォックスに言うと、また彼は無表情になる。
爪'−`)「…先生」
(-@∀@)「半日寝てたよ。…君、病気の発作とか我慢する必要ないんだからね?」
爪;'ー`)「うわ!…あの、先生、横堀いるんですけど」
あわあわと私の耳をふさごうとするフォックスに、アサピーは、ん?と首をひねる。
(-@∀@)「眠ってる間に、君のこと横堀に教えたよ」
爪;'ー`)「!?」
(//‰ ゚)「すまん、言うタイミングが無かった」
- 68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:36:22 ID:2Qg1ib560
アサピーの言葉にフォックスがえー…とため息をもらした。
爪;'ー`)「言ったんすか」
(-@∀@)「ごめんね、もう隠してる場合じゃなかったから…」
爪'ー`)「……そう、ですね…」
彼は納得したのか私の耳をふさぎかけていた手を下ろした。
そっか、聞いたんだ…とぼそりと呟いていた。
爪'ー`)「じゃあ今の状態のことも…」
(//‰ ゚)「聞いた。全部聞いた」
私が答えると、フォックスは顔を歪めた。
爪 ー )「…そうか」
- 69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:37:32 ID:2Qg1ib560
その様子を見ながら、言いづらそうにアサピーがフォックスに声をかけた。
(-@∀@)「…無理しちゃ、だめだよ。あの発作で半日眠ったんだ。
今朝も言ったけど、時間はまだあるから、焦るのだけはだめだ」
爪'ー`)「…まだ、ですよね」
含みを持たせたフォックスの言い方にアサピーが苦しそうな顔をする。私も顔を強張らせた。
だがフォックスは私たちの顔を眺めてふ、と笑う。
爪'ー`)「そんな顔しないでくださいよ。わかってますって。散々言われてきたことだし」
(-@∀@)「…ごめん」
爪'ー`)「謝るのも無しですって」
(//‰ ゚)「……」
爪'ー`)「あんたもだよ」
フォックスにそう言われるが、私はすぐには顔を戻せなかった。
爪'ー`)「ほんと、気にすんなよ」
- 70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:38:40 ID:2Qg1ib560
いつものようにへらへらと笑ってから、フォックスはアサピーに向き直った。
爪'ー`)「先生、この後俺なんか検査とかします?」
ここまで長い間気を失っていたのは初めてだから、少し不安ですとフォックスが伝えると、アサピーは腕を組んで考え込む。
(-@∀@)「……そう、だね。眩暈がなければ大丈夫だよ。でも、悪いけど採血だけさせてもらおうかな」
爪'ー`)「わかりました」
(-@∀@)「あ、いいよ動かないで。注射器取ってくるから」
ベッドから立ち上がろうとしたフォックスを止め、アサピーは研究室…否医務室へ行ってしまった。
自然二人きりになったが、私は気まずい雰囲気を感じて、無言になってしまった。
爪'ー`)「…横堀、その顔まだ戻らねぇの?」
だがその空気に耐えかねたのかフォックスが明るい声の調子で話しかけてきた。
爪'ー`)「怖い顔やめてくれよ。笑ってくれたら尚オッケーなんだけど」
(//‰ ゚)「…馬鹿なことを言うな。今笑えるわけないだろう」
爪'ー`)「やっぱ駄目か」
- 71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:39:38 ID:2Qg1ib560
そこまで話してフォックスが首をかしげる。んー?と不思議そうに私を見た。
(//‰ ゚)「なんだ、言いたいことでもあるのか」
爪'ー`)「いや、なんていうか、うーん…」
爪;'ー`)「さっきから思ってたけど、前より話通じてる?気のせい?俺今ジェスチャーそんなしてないんだけど」
(//‰ ゚)「……あ」
そう彼に言われて私の耳が直っていることを、まだ伝えていなかったことに気がついた。
- 72 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:40:20 ID:2Qg1ib560
爪'ー`)「…え?直った?」
爪;'Д`)「直った!?嘘!いつ!?」
(//‰ ゚)「お前が目覚める直前だ。今朝は直ってなかった」
爪;'ー`)「おお…マジか…」
私が告げるとフォックスはかなりの動揺をみせた。
ここまで狼狽するのは私の耳が聞こえなくなった時以来だ。
(//‰ ゚)「お前きちんと私と会話してただろ」
爪;'ー`)「ここ三カ月ずっとあんな風に話してたから違和感なかったんだよ」
(//‰ ゚)「…そうなのか」
爪'ー`)「そうですよ」
- 73 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:41:24 ID:2Qg1ib560
(-@∀@)「はい、待たせてごめんね」
二人でごちゃごちゃ話をしている内にアサピーが戻ってきた。
手にはしっかり注射器とスピッツが握られていた。
(-@∀@)「…あれ、僕変なタイミングで帰ってきた?」
爪'ー`)「そうでもないです」
(//‰ ゚)「話していたのは確かだが」
(;-@∀@)「ありゃ、悪いことしたね。ならさっさとやっちゃおうか」
アサピーがフォックスの前に座り採血をする準備をし始めた。
それに応じてフォックスも袖をまくりアサピーの前に差し出す。
彼の腕には注射器の痕がいくつも残っていた。
爪'ー`)「…あらら、また怖い顔」
(//‰ ゚)「あ…いや、すまん」
爪'ー`)「うんにゃ、いいよ別に」
なんてことないとでも言うように、フォックスはまた笑った。
- 74 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:42:41 ID:2Qg1ib560
今まで夏であろうとなんであろうと、彼はずっと長い袖の服を着ていると思っていたが、
(//‰ ゚)「…それを隠すためか」
爪'ー`)「ん?服のこと?そうだよ。周りの人に色々聞かれるし、あんたみたいな顔しちゃうから」
(//‰ ゚)「………」
爪;'ー`)「え、何?さらに怖い顔になってますよ、戻してください」
フォックスが私の顔をみておどおどし出した。思わず敬語になっている。
…なんだろうな、これは。
実は先程からフォックスの言葉にすっきりしないものを感じている。
言葉に表せないなにかが喉の奥に引っ掛かり、私は顔をしかめた。
困ったようにフォックスは「まだ怖いままだぞ」と呟いていた。
- 75 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:44:05 ID:2Qg1ib560
*****
(-@∀@)「はい終わり」
爪'ー`)「どうも」
あっさりと採血が終わり、フォックスは素早く、まくった袖を下ろす。
(-@∀@)「今、眩暈や吐き気はあるかい?」
爪'ー`)「いえ、何も」
その返事にアサピーはほっと胸をなでおろした。
注射器の片づけをしながら彼はフォックスに微笑んだ。
(-@∀@)「だったら今日のところは帰っても平気だよ。他にしてほしいことがあったらするけど」
アサピーの言葉にフォックスは、なら…と続ける。
爪'ー`)「ちょっと横堀借りてもいいですか?」
(//‰ ゚)「は」
- 76 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:45:12 ID:2Qg1ib560
唐突なフォックスの言葉に私は一瞬固まってしまった。
アサピーはというとあっけらかんとしてフォックスに向かってにこりと笑った。
(-@∀@)「話の途中みたいだったしね。遠慮なくどうぞ」
爪'ー`)「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げて、フォックスがベッドから立ち上がった。
爪'ー`)「耳、直ったんだろ。久々に長話でもしない?」
そう言うとフォックスは私の手を引いて部屋から出て行こうとした。
急に言いだすので止まってしまったが、私もフォックスと話したいことがあったから、
彼の方からその提案をしてくれたのはありがたいことだった。
今すぐにでも話したいのはやまやまだが…
(//‰ ゚)「すまんフォックス。やらなきゃいけないことが一つ残ってるんだ。ちょっと待ってくれ」
爪'ー`)「へ?」
フォックスから手を離して私はアサピーの方へ振り返った。
どうかしたのかと彼は無防備に私に顔を向ける。
- 77 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:46:14 ID:2Qg1ib560
私はその顔を思い切り殴り飛ばした。
.
- 78 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:46:58 ID:2Qg1ib560
爪;'Д`)「!?」
ドゴンッと鈍い音がして、そのままアサピーが壁にたたきつけられる。そして床に倒れ伏した。
彼のメガネが割れたかもしれないが、まあ、予備があったはずだ大丈夫だろう。
爪;'Д`)「え!?は!?何してんだあんた!」
私の前後の脈絡がない暴力にフォックスがあたふたと叫ぶ。
…当たり前か。
(//‰ ゚)「大丈夫だ博士も事情は分かっている」
爪;'ー`)「どんな事情があってこんなこと…」
フォックスはひきつった顔で私とアサピーを交互に見た。
そうこうするうちにアサピーは起き上がってきた。
(#)∀@)「いたた…」
(//‰ ゚)「…よかったメガネ割れてないな」
爪;'ー`)「そこじゃねぇ、そこじゃねぇよ」
- 79 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:48:02 ID:2Qg1ib560
アサピーは若干涙目になりながら、頬をさすっていた。
だが私を非難するような目をしていなかった。きちんと私の言いたいことがわかったのだろう。
(#)∀@)「…確かに、『話の途中で』殴りそうだから、書き換え中に話してくれって言ってたね」
(//‰ ゚)「ああ。しかも本当に馬鹿な理由だった。起きぬけに殴るつもりだったが、
フォックスが起きたから気が動転して、出来ずじまいだった」
爪;'ー`)
私とアサピーの会話に、フォックスは疑問符を浮かべていた。
だが口をはさまずに傍観することにしたようだ、一歩引いて部屋の入り口で立ち止まっていた。
フォックスがいるので詳しくは話せない。私は手短にアサピーへと伝える。
(//‰ ゚)「まず、お前の心配していたことは、私もとっくに覚悟していた。
本当に阻止したかったなら、そもそも私を造るべきじゃなかった」
(#)∀@)「……そうかい」
(//‰ ゚)「もう私は人と一緒にいることを覚えてしまってるんだぞ」
(//‰ ゚)「だから私は声が聞こえなくなっても、同じぐらいつらい。…つらかったよ」
- 80 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:49:37 ID:2Qg1ib560
私の言葉を聞いてアサピーが目を見開く。そして乾いた笑いを漏らした。
(#)∀@)「…僕は君のことになると、とんでもない間違いを犯すみたいだね」
アサピーはため息をつく。今更気付いたのかこいつは。
あきれて私はアサピーに言葉を吐き出した。
(//‰ ゚)「それぐらい想像がつかなかったのか?考えてみろ。あのプログラムは今までの交友関係を崩すんだぞ?」
(//‰ ゚)「人と関わっていくことを考慮に入れると、どう考えたってお前が心配したことより、頻度が確実に高くなる」
(#)∀@)「まったくそのとおりです」」
(//‰ ゚)「だろう?頼むから、お前はもう少し冷静になることを覚えてくれ。私の身がもたない」
(//‰ ゚)「…子供扱いしないでも平気だから。言いたいことは以上だ」
(#)∀@)「はい肝に銘じます」
素直にアサピーは頷いた。
うん、これでいい。本当はまだ言い足りないが言いたいことは言った。満足して私はフォックスに声をかける。
(//‰ ゚)「待たせてすまん。それじゃあ外に出よう」
爪;'ー`)「え、いいのか?先生放置?」
フォックスがアサピーを指さして私を引き止める。
(//‰ ゚)「問題ない、ほっとけ」
爪;'ー`)「ええ…」
フォックスは痛そうにアサピーの顔を見る。アサピーの顔はかなり腫れあがってしまっていた。
…確かに強く殴りすぎたか。数日は腫れがひかないかもしれない。
- 81 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:51:13 ID:2Qg1ib560
だがアサピーは手をひらひらと振って笑った。
(#)∀@)「あ、いいです気にしないで。気にせず話してきてください」
(//‰ ゚)「…だそうだ」
爪;'ー`)「そうすか」
未だに心配そうな顔をしながらも、フォックスはドアを開ける。
案外アサピーは丈夫だから、気にしなくともいいと思うが。
爪;'ー`)「じゃあ失礼します」
(#)∀@)「はいはい、帰る時は言ってね」
先に出て行こうとするフォックスに私もついて行く。
(//‰ ゚)「ああそうだ、前に湿布切れていたんだが補充するの忘れていた。すまん」
(#)∀@)「え」
アサピーにそう言い残し、私はゆっくりとドアを閉めた。
- 82 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:52:27 ID:2Qg1ib560
*****
爪;'ー`)「…びっくりしたわ…さっきのは何?」
外に出るとすぐにフォックスが恐る恐る私にそう聞いてきた。
爪'ー`)「なんか、あんたの耳のこと話してた感じ…?」
…アサピーの言っていた理由をすべて伝えるのはさすがに嫌だった。
なので理由の根幹を話すことは避け私はざっくり答える。
(//‰ ゚)「博士が暴走したから、私が戒めた。それだけだ」
爪;'ー`)「大まかすぎる。…それにしても先生のダメージでかすぎじゃ…」
(//‰ ゚)「そうでもない、相応しいぐらいだ」
爪'ー`)「何したんだ先生…」
慄きながらフォックスはいつも私たちが会話をしていた場所まで歩いていく。私もそれについて行った。
いつも話をするのは緩やかに丘が隆起していて、丁度小さな椅子のようになっている所だ。
そこにたどりつくとふたりで並んで座った。
爪'ー`)「あ、そうだ。タバコ吸ってもいい?」
ごそごそとポケットからタバコを取りだして、フォックスが私に訪ねてきた。
(//‰ ゚)「別にいいぞ」
爪*'ー`)「やった!ありがとう!」
- 83 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:53:44 ID:2Qg1ib560
私が承諾すると嬉々としてフォックスはタバコに火をつけ吸い始めた。
爪*'ー`)y‐「うっひょー!久しぶりに吸うわ!」
満面の笑みを浮かべてタバコを吸うフォックスに、私はふとした疑問を感じる。
(//‰ ゚)「お前は未成年だろう…というのは、突っ込まないが、そういえばタバコが好きだと言ってたな」
爪'ー`)y‐「あ、言ったっけ」
(//‰ ゚)「言った。…だが、よく考えると、私は今までお前がタバコを吸ってるところを見てない」
ざっと思い返してみても彼のその姿を見つけることは出来なかった。
今日のようにフォックスが「吸いたい」とも言いだすのを見てもいなかった。
私の言葉にあー…とフォックスは言い淀むが答えてくれた。
爪'ー`)y‐「願かけ、してたんだよ」
(//‰ ゚)「…あ」
爪'ー`)y‐「でももう意味がないから、解禁」
爪'ー`)y‐「気休めみたいなもんだったけどな」
フォックスがタバコの煙を吐き出す。その煙は儚く空へと消えていった。
- 84 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:54:49 ID:2Qg1ib560
爪'ー`)y‐「まあ、し始めたの一年前からだし、やっぱ効果は薄かったか」
けらけらとフォックスは軽く笑った。その姿をみて私は眉根を寄せる。
(//‰ ゚)「…あまり笑えない台詞だな」
爪'ー`)y‐「だって本当ことだからな。あー、もっと前からやってりゃよかったかな」
(//‰ ゚)「そんなに前から吸ってるのか」
爪;'ー`)y‐「いやん。突っ込まないって言ったじゃん」
へにゃりと顔を崩して彼は困った顔をした。
その顔を見て私はまた違和感を覚える。
(//‰ ゚)「…?」
本当になんなんだ。彼はいつも通りに笑って話しているだけじゃないか。
私がどこに苛立ちを感じる要素があるというのか。
- 85 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:55:44 ID:2Qg1ib560
爪 − )
.
- 86 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:56:40 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「……ああそうか」
爪;'ー`)y‐「ん?まだ突っ込みくるの?」
不意に、このすっきりしない理由が理解できた。そうだった。そもそもあれがあったから、私はこの耳を直してもらったのに。
(//‰ ゚)「フォックス」
爪'ー`)y‐「はいはい?」
(//‰ ゚)「…とう」
爪;'Д`)y‐「おわ!?」
彼の額へ軽くデコピンを食らわせてやる。…うっかり、手ごたえを感じてしまったが、大丈夫だろうか。
軽く涙目になりながらフォックスが私をにらんだ。
爪;'ー`)y‐「何すんだよ急に…」
(//‰ ゚)「お前こそ、何やってるんだ」
爪;'ー`)y‐「…は?」
- 87 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:57:42 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「忘れたのか。私は今朝お前に会ってるんだぞ」
爪'ー`)y‐「それがどうかしたか?」
(//‰ ゚)「…お前なんで今笑ってるんだ」
爪'ー`)y‐
私の言葉にフォックスの動きが止まる。ああ、やっぱり、そうなのか。
(//‰ ゚)「今朝、お前あんな絶望した顔してたのに、今そんな素振りをかけらもみせてないだろ」
爪'ー`)y‐「…そんなことないけど?」
(//‰ ゚)「……起きたときにあんなこと言っておいて何を…」
爪;'ー`)y‐「あ……」
ひきつった顔をフォックスは浮かべる。
あの時私の耳は直っていた。だから彼がぽつりとこぼした言葉を完全に聞きとっていた。
生を諦めきっていたあの言葉を。
- 88 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:58:46 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「さっきからずっともやもやしてたんだ。いつものように…いや、いつも以上にか。
お前はずっと笑ってるんだ。…多分私や博士に心配をかけないようにか?」
爪'ー`)y‐「……」
(//‰ ゚)「私達も随分な顔をしてしまったが…でも、気遣わなくてもいい。何か吐き出したいなら吐き出してくれ」
(//‰ ゚)「お前が言いたいこと、わからないのは嫌なんだ」
(//‰ ゚)「何を言っても、私は精一杯受け止めるよ」
爪 ー )y‐「………ははっ」
私の声を黙って聞いていたフォックスは小さな笑い声を洩らす。
さっき嬉しそうにつけたばかりのタバコの火を消すと、彼は顔を手で覆うような仕草をした。
なので私からは彼の表情が伺えなくなってしまった。
爪 ー )「…そうだよな…あの時あんた、聞こえてたんだもんな」
(//‰ ゚)「…ああ」
爪 ー )「……気緩みすぎたなぁ」
- 89 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 01:59:56 ID:2Qg1ib560
爪 ー )「……病気の宣告されたのが五年ぐらい前」
ぽつりとフォックスが話を始める。それに私は黙って耳を傾ける。
爪 ー )「大したことないって言われてたから、病院には通ってなかった」
爪 ー )「でも俺の両親が不審に思って、先生のところに行けって言ったから、二年前からここに通うようになった」
爪 ー )「それから一年してあんたが出来た。話相手にどうかって先生に勧められたよ」
爪 ー )「普段引きこもりみたいなことをして、あんまり人と話さなかったから最初は不安だった」
爪 ー )「だけど、他愛ない話をしてるだけだったけど、あんたと色々話をするのが、本当に楽しくなった」
爪 ー )「……あんたと、会えることが、待ち遠しくなっていった」
(//‰ ゚)「…え?」
急に自分を指され呆けた声を出してしまった。
だがそれを気にせずにフォックスは話し続ける。
- 90 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:01:13 ID:2Qg1ib560
爪 ー )「最初は、あっさり死んだっていいって思ってた」
爪;ー )「でも、あんたと会ってから、それは嫌だと思うようになった」
爪;ー;)「もっとあんたと一緒にいたいって思うようになった。だから願掛けもはじめてみた」
爪;ー;)「表情が分かりにくいけど、あんたの笑った顔を見ると俺も笑えた」
爪;ー;)「だから心配かけないように、病気のことも話さないことに決めた」
爪;ー;)「あんたの耳が俺の声を通さなくなったけど、それでもあんたと話が出来て嬉しかった」
爪;ー;)「それにあんたの耳も直った!また前みたいに話ができるはずだった」
爪;ー;)「まだこれからもあんたと会って話が出来ると思ってた」
爪;ー;)「…なのに、俺、もうすぐ死ぬとかさぁ…!」
- 91 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:02:26 ID:2Qg1ib560
(//‰ )「…っ」
ぼろぼろと彼の目からは涙があふれ出ていた。何度も彼はぬぐおうとするが、それも意味を成していなかった。
結局意味がないと判断したのか、彼はぬぐおうとした手を止めた。
押さえられなくなった涙は、どんどん彼の服を濡らしていった。
爪;ー;)「発作が起きた後で、一番長く生きた人でも一カ月ぐらいだったって聞いて、今朝は呆然として…」
爪;ー;)「こんな病気にかかった自分を呪った。あの煙を排出してる工場を呪った」
爪;ー;)「でもそんなことしたって、全然意味ないんだよなぁ…」
そう言うとフォックスは膝に顔をうずめてしまう。
そして
爪;−;)「……怖い」
小さな子供が怯えているような声で呟いた。
- 92 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:03:33 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「……フォックス」
爪;−;)「…聞くだけで、いい。ただ言いたいだけだから」
爪;−;)「怖い。怖いんだよ、横堀。俺は死ぬのが怖い」
いやいやと首を振り、フォックスは言葉を絞り出す。
爪;−;)「どうしようもない、けど、怖いんだ」
だがそう言ってから、フォックスはふっきれたかのように、顔を上げる。
爪;ー;)「…受け入れなきゃいけないのは、わかってんだよ…」
彼は笑っていた。涙をこぼしながら、私にその笑顔を向ける。
爪;ー;)「…それでもさ」
爪;ー;)「もっと、生きたかったなぁ…」
それはきっと彼が今までずっと言わないでいた本音だったのだろう。
- 93 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:05:07 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)「…大丈夫か?」
『生きたかった』と呟いてから、顔を下に向けてしまったフォックスに、私は声をかける。
返事はないかと思ったが、小さく「多分」と答えてくれた。
爪;ー;)「…久しぶりに、あんなに喋ったわ」
(//‰ ゚)「……お前は、限界まで我慢をする奴なんだな」
爪;ー;)「忍耐は強いと自負してる。…あーくそ、涙本当に止まんねぇ…」
ぐしぐしと再び目をこするがやはり、彼の涙は止まらなかった。
爪;ー;)「うへぇ…無理…」
(//‰ ゚)「思う存分泣いても、いいと思うぞ」
爪;ー;)「体液無くならないかね」
(//‰ ゚)「平気に決まってるだろう」
私と話をするうちに、段々と落ち着いてきたようで、フォックスは軽い口調で話し始めていた。
爪;ー;)「ごめんな、聞いてるだけなのも、きつかっただろ」
(//‰ ゚)「なんで謝るんだ。私が吐き出せと言ったのに」
(//‰ -)「…むしろ、何もできない私の方が申し訳ない」
- 94 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:06:58 ID:2Qg1ib560
結局私ができるのは、彼の話を黙って聞くことだけだった。
情けない。
どうしようもなく自分が情けない。
彼の話を聞いても、私が彼にしてあげられることが全く考え付かない。
耳を直してもらって、彼の言いたいことがわかるようになったのに。
これじゃあ彼の声が聞こえない時と全く同じだ。
(//‰ )「……私は役立たずだ」
爪;ー;)「そんなことねぇよ」
うつむいた私の言葉に間髪入れず、フォックスが口をはさんだ。
爪;ー;)「俺の話、真剣に聞いてくれただろ?」
(//‰ ゚)「…それは、そうだが」
爪;ー;)「なら、あんたはちゃんと受け止めてくれたって訳だ。いいよ。それだけで俺は十分だって。
あんたが促さなかったら、さっきの話、誰にも言わなかっただろうし。すっきりしたよ」
(//‰ ゚)「…でも」
爪;ー;)「それに俺は、あんたと話が出来るだけで、満足」
(//‰ ゚)
爪;ー;)「俺の話をあんたが聞いてくれることが、一番嬉しいことだ」
- 95 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:08:08 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)
(//‰ ゚)
(//‰ ;)
不意に涙がこぼれおちた。
爪;ー;)「……なんで今」
(//‰ ;)「…なんでだろうな」
目じりに手を添えて、私は涙を必死に押さえた。
だが一粒涙が零れおちるとあとから、あふれてくる。
私と話すだけで彼が満足と言ってくれたのが嬉しかったのか。
それとも改めて、彼が死にゆく運命だということを実感してしまったのか。
私にもわからないが、とにかく涙がどんどん頬を伝っていった。
爪;ー;)「あんたまで泣いたら収集つかなくなるぞ」
(//‰ ;)「すまん、これは止まらない。無理だ。お前と同じだ」
- 96 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:09:15 ID:2Qg1ib560
爪;ー;)「…ふ、」
私の言葉にフォックスがおかしそうにふきだした。
爪;ー;)「そういえばあんたが泣くの初めて見た」
(//‰ ;)「ああ、私も初めて泣いた」
爪;ー;)「まじか。初泣きだ」
(//‰ ;)「そうだな」
二人して大粒の涙をこぼしながら話し続ける。
はたから見たら何事だろうと思われるに違いない。
黙って私たちは泣き続けた。
- 97 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:10:48 ID:2Qg1ib560
(//‰ ;)
博士は私が悲しむから、規制音で人の声が聞こえなくなるようにした。
人との関わりを極力減らそうとするために。
今みたいに私が泣いたりしないように。
確かにこれから先、何度も私は人の死に直面してしまうだろう。
親しい人を見送ることになるだろう。
いつか耐えきれないと感じる日も来てしまうのだろうか。
それでも私は、彼にプログラムを消去してもらってよかったと思えた。
私が感じているものは、そのつらさに値するぐらいに大事なものだと分かるから。
- 98 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:12:15 ID:2Qg1ib560
爪;ー;)「…そうだ」
しばらくしてフォックスが、思い出したように私に話しかけた。
爪;ー;)「泣きながら言うのもなんだけど、言っときたいことあるから言っていい?」
(//‰ ;)「む…」
私は首を縦に振った。それを見てフォックスは安心したように顔をほころばせた。
爪;ー;)「まあさっきから、似たようなことは言ってんだけどな」
(//‰ ;)「?」
爪;ー;)「告白」
- 99 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:13:27 ID:2Qg1ib560
最後のあがきでフォックスは涙をぬぐう。
すると少しだけ止まったのか、彼の頬に涙は伝ってこなかった。
爪'ー`)「…あと、何日かはあると思うけど、今言わなかったら後悔するから」
(//‰ ;)「……」
爪'ー`)「ん」
フォックスは私に手を差し伸べる。よくわからないながらも、私も手を出す。
その手をフォックスはきつく握りしめた。
(//‰ ;)
爪'ー`)「ちゃんと、聞いててな」
(//‰ ;)「ああ」
- 100 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:15:23 ID:2Qg1ib560
そして、フォックスはめったに見ない真面目な顔になる。
大きく息を吸い込んで、彼は言葉を紡ぎ出した。
爪'ー`)「俺と話をしてくれてありがとう」
爪'ー`)「俺の声が聞こえなくても、一緒にいてくれてありがとう」
(//‰ ;)「それは、私の方だって…」
爪'ー`)「俺の声が聞こえない分、あんたの方が大変だったと思うけど」
(//‰ ;)
爪'ー`)「それも含めての、感謝。言い足りないぐらいだけどな」
- 101 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:19:32 ID:2Qg1ib560
爪'ー`)「それから、本題」
爪'ー`)「…俺は、あと何日生きていられるか、わからない」
爪'ー`)「死ぬのは怖い。けど、今なら受け入れそうな気がするよ」
爪'ー`)「死んだら何にも残らないんだろうなぁ…きっと」
(//‰ ;)「…っ」
爪'ー`)「だけど」
爪;ー`)
爪;ー;)「これだけは言える」
爪;ー;)「俺は、死ぬ瞬間まで、ずっと、あんたのことが」
「 」
- 102 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:21:09 ID:2Qg1ib560
フォックスの口から出た声は
決して規制音でかき消されることなく、私はちゃん受け取ることができた。
- 103 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/12/20(木) 02:22:57 ID:2Qg1ib560
(//‰ ゚)規制音のようです
終わり
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