■2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
└(#゚;;-゚)は作品に命を吹き込むようです
- 436 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 22:53:57 ID:eg4sEbdYO
(#゚;;-゚)
薄暗い部屋の真ん中で、一人の少女が人形を編んでいます。
彼女の名前はでぃ。
身体のところどころに傷があります。
布と綿を部屋いっぱいに広げて、チクチク、チクチク。
人形もそろそろ完成。
顔と胴体をつなげて、
(#゚;;-゚) 「……できた」
( ^Д^)
完成です。
出来た人形は四足歩行で、ちょっと歪んだ笑顔をしています。
(#゚;;-゚) 「……まぁいいや」
ちょっと出来に不満があったみたい。
ですが、特に気にならないみたいです。
(#゚;;-゚) 「……おはよう、プギャー」
でぃちゃんは、その人形にプギャーと名前をつけました。
そして、愛おしそうに頭を撫でます。
( ^Д^) 「……ふわぁ。おはよう、でぃ」
すると、人形が産声をあげました。
- 437 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 22:55:10 ID:eg4sEbdYO
(#゚;;-゚)は作品に命を吹き込むようです
- 438 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 22:57:23 ID:eg4sEbdYO
- 翌日。
(ノシ^Д^)ノシ 「でぃ、構え」
と、プギャーがうるさいので、でぃちゃんは遊び相手を作ることにしました。
(ノシ^Д^)ノシ 「でぃちゃーん」
プギャーがうるさいですが、無視することにしました。
( ^Д^) 「カマッテー」
でぃちゃんは反応しません。
しばらくすると、
( ;Д;) 「構えよお……構ってくれよお……」
遂に泣き出してしまいました。
ですが、人形の完成はもうすぐです。
(#゚;;-゚) 「もうすぐ出来るから、待ってて」
( ^Д^) 「何作ってるんだ?」
(#゚;;-゚) 「おたのしみ」
- 439 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 22:59:16 ID:eg4sEbdYO
- と、話しているうちに、
( ,,^Д^)
完成です。
前回の反省を生かし、同じようなものを作り直しました。
でも、布が少し汚れしまい、模様みたいになっています。
(#*゚;;-゚)
ですが、今回はでぃちゃんは満足そう。
(#゚;;-゚) 「おはよう、タカラ」
でぃちゃんは、その人形をタカラと名付けました。
( ,,^Д^) 「……んぅ、おはようございます。でぃさん」
タカラはどうやら礼儀正しい性格のようです。
(*^Д^) 「よっ、プギャーだ。よろしくな!」
( ,,^Д^) 「タカラです。よろしくお願いします、プギャーさん」
念願の遊び相手ができて、プギャーも嬉しそう。
それを見て、でぃちゃんも顔を綻ばせました。
- 440 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:01:16 ID:eg4sEbdYO
――――――――――――――――
チクチク、チクチク。
でぃちゃんはまだまだ人形を編みます。
( ^Д^) 「まだ増えるのか?」
(#゚;;-゚) 「人数多いほうが楽しいでしょ」
今度の仲間は二足歩行。
中に綿をつめて、チクチク、チクチク。
( ,,^Д^) 「僕にも後輩が出来るのですね。楽しみです」
タカラはわくわく。
プギャーもわくわく。
でぃちゃんはチクチク。
(#゚;;-゚) 「よし」
完成です。
でぃちゃんは嬉しそう。
(;^Д^) 「……」 (^Д^;, )
ですが、さっきまでわくわくしてた二人は、何故か冷や汗をかいています。
心なしか、顔も青ざめています。
- 441 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:03:35 ID:eg4sEbdYO
- お構いなしにでぃちゃんは、人形を床に置き、
(#゚;;-゚) 「おはよう、ショボン」
と、声をかけます。
「……ん? あぁ、おはよう、でぃちゃん」
それはとても野太い声で。
上半身には何も纏っていなくて。
ふんどし一丁で。
(´・ω・`) 「ウホッ、そこの二人、やらないか」
(;゚Д゚) 「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」」 (゚Д゚;, )
――筋肉隆々の男でした。
- 444 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:06:05 ID:eg4sEbdYO
―――――――――――――――
(;^Д^) 「女の子を作ってくれ」
プギャーが必死に頼んできたので、でぃちゃんはまた、布を広げます。
タカラはなぜか、お尻を押さえて泣いています。
チクチク、チクチク。
今度は猫のような耳をつけずに、糸で髪をつけました。
(#゚;;-゚) 「できた」
完成です。
出来たのは、二足歩行のセミロングで、
つぶらな瞳が可愛らしい女の子です。
(#゚;;-゚) 「おはよう、ナベちゃん」
この女の子には、ナベと名付けました。
从'ー'从 「……ふわぁ〜。おはよ〜、でぃちゃん」
ちょっぴり気の抜けた喋り方です。
癒し系、という言葉が似合います。
(*^Д^) 「おはよう! 俺、プギャーだ。よろしくな!」
( ,*^Д^) 「僕はタカラです。よろしくお願いします」
二人がナベちゃんにアピールします。
顔を見るだけで嬉しそうなのが丸わかりです。
从'ー'从 「うん、よろしく〜。プギャーくん、タカラくん」
ほんわかとした喋り方で、返事しました。
- 445 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:08:01 ID:eg4sEbdYO
- (´・ω・`) 「やぁ、僕はショボン。よろしく」
ショボンもナベちゃんに挨拶します。
从'ー'从 「よろしく、ショボ……」
言い終わらないうちに、ナベちゃんの顔が赤く染まりました。
从*'ー'从 「うわぁ! すごい筋肉だね! ちょっと触らせて〜」
(´・ω・`) 「はは、おやすいご用さ。どうぞ」
ナベちゃんは筋肉が好きなようです。
ショボンの鋼の肉体を、ぺたぺたと手で触ります。
从*'ー'从 「うわぁ……。すごいよぅ、固いよぅ……」
聞き様によって、とても卑猥に聞こえます。
(;^Д^) 「「(納得いかねええええええええ!!!)」」 (^Д^;, )
その光景を見て、二人は心の中で叫びました。
そしてその二人を見て、でぃちゃんは苦笑い。
- 446 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:10:17 ID:eg4sEbdYO
―――――――――――――――
そして少し月日がたち、色んな仲間が増えました。
( ´ー`)
ひねくれもののシラネーヨ。
( <●><●>)
とっても真面目なワカッテマス。
( ・3・)
お調子者のぼるじょあ。
/ ゚、。 /
ちょっぴり無口なダイオード。
皆は仲良く、幸せに暮らしていました。
ですが、その幸せも長くは続きません。
突然、でぃちゃんが倒れてしまったのです。
(;^Д^) 「しっかりしろよ、でぃ」
(;・3・) 「おぅわー、大丈夫かYO、でぃ」
( <●><●>) 「安静にしておくべきなのはわかってます」
( ,,^Д^) 「無理をしてはいけませんよ?」
(#゚;;-゚) 「うん、大丈夫。ありがとう」
しかし、でぃちゃんはわかっていました。
自分の命がもう長くないことに。
- 447 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:12:17 ID:eg4sEbdYO
( ´ー`) 「ったく、自分の体調くらい管理できねーのかヨ」
(´・ω・`) 「……おい」
( ´ー`) 「フン、事実だーヨ」
シラネーヨが悪態をつきました。
それをショボンが咎めます。
(#゚;;-゚) 「いいの。本当のことだから」
でぃちゃんは、最後の力を振り絞って、人形を一つ作ります。
ですが、身体が思うように動きません。
(#゚;;-゚) 「……ハサミ」
ハサミに手を伸ばしますが、届きません。
( ´ー`) 「……ほらヨ」
すると、さっきまで悪態をついていたシラネーヨが、ハサミを差し出しました。
(#゚;;-゚) 「……! ありがとう、シラネーヨ」
( ´ー`) 「フン、礼なんていらネーヨ。さっさと完成させろヨ」
ぷい、とシラネーヨはそっぽを向きました。
言葉は乱暴ですが、ところどころに優しさが感じられます。
- 448 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:14:46 ID:eg4sEbdYO
/ ゚、。 / 「……心配なら素直にそう言えばいいのに」
从'ー'从 「そうだよ〜」
( ・3・) 「おぅわー! シラネーヨったらツンデレだNE!」
( ´ー`) 「……そんなんじゃネーヨ」
ああ言ったシラネーヨですが、
心の中では自分に何が出来るか、と考えていたのです。
(#゚;;-゚) 「……優しい子たちばかりでよかった」
でぃちゃんは微笑みます。
そして、最後の人形が完成しました。
( ^ω^)
とても元気そうで、満面の笑顔。
今にも走り出しそうな人形です。
(#゚;;-゚) 「おはよう、ブーン」
でぃちゃんは、色んな所を走り回れるほど元気でいてほしいという願いをこめて、
ブーンと名付けました。
( ^ω^) 「……お。おはようだお、でぃちゃん!」
思った通り、元気いっぱいの人形です。
- 449 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:18:20 ID:eg4sEbdYO
―――――――――――――――
数日後、でぃちゃんは全く動けなくなってしまいました。
皆がでぃちゃんのそばに集まります。
/ ゚、。 / 「でぃ……」
( ω ) 「でぃちゃん起きてお。僕、まだ会ってちょっとしか経ってないお」
( ;Д;) 「……」
みんな表情は暗いです。
プギャーはもう既に泣いています。
(;・3・) 「おぅわー……」
ぼるじょあも、この時ばかりは黙っています。
(#゚;;-゚) 「みんな、もっと明るくしてて。私は平気だから」
口ではこう言っても、身体はいうことをききません。
でぃちゃんの顔が苦痛に歪みます。
( <●><●>) 「……無理をしていることはわかってます」
ワカッテマスの言葉に、みんな頷きます。
無理をしているのは、みんな分かっているみたいです。
- 450 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:20:36 ID:eg4sEbdYO
(#゚;;-゚) 「そんなことないよ。大丈夫」
( ー ) 「……大丈夫じゃネーだろうがヨ」
シラネーヨの声は震えています。
( ;ー;) 「嘘つくんじゃネーヨ!!」
从;'ー'从 「シラネーヨくん……」
(#゚;;-゚) 「……」
シラネーヨが叫びました。
それと同時に、目から涙がこぼれ落ちます。
(#゚;;-゚) 「……そうだね、ごめん。私、もうダメみたい」
( ,;^Д^) 「でぃさん……」
(´ ω `) 「やめてよ……でぃちゃん……」
でぃちゃんが一度、目をつぶります。
そして、呼吸を整えました。
- 452 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:22:24 ID:eg4sEbdYO
(#゚;;-゚) 「最期までみんなと一緒にいれて、楽しかったよ」
( ;Д;) 「やめろよ……最期とか言うなよ!!」
プギャーの涙が激しさを増しました。
頬を伝い落ちて、カーペットに染み込みます。
(#゚;;-゚) 「短い間だったけど、ありがとうね」
もう、誰も言葉を発せませんでした。
(#゚;;-゚) 「それじゃ」
(#-;; -) 「おやすみ、みんな」
- 453 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/25(日) 23:24:26 ID:eg4sEbdYO
―――――――――――――――
「ねぇママ、なにしてるの?」
「荒巻おじいちゃんの遺品を整理してるのよ」
「いひん?」
「うん。死んじゃった人が持っていた物のことよ」
「ふーん。あ! このおへや、お人形さんがいっぱい!」
「本当ね。……おじいちゃん、こんなに人形作るの好きだったんだ」
「ママ、みてみて! おっきいお人形さん!」
「あら……。それ、私が小さい頃に作って貰った人形よ」
「へぇ、だからこんなにボロボロなんだ!」
「いつも一緒に遊んでたからね。それにしても、懐かしいわ、でぃちゃん……」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚)もまた、命を吹き込まれた作品のようです
おしまい
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