2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
川 ゚ -゚)  忘失都市のようです
  その1



1 名前:名も無きラノベ祭のようです[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:30:13 ID:Li8TKnIc0








この街は、きっと全てを受け入れてきたのだろう

                           ――――とある学者の手記







                                                  .

2 名前:ラノベ祭名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:31:34 ID:Li8TKnIc0
(゚、゚トソン 「地図にない街」、ですか

私の言葉を反芻しながら、セーラー服の少女は学生鞄を左手に持ち替えた
右腕を真横に伸ばし、荒れ果てたアスファルト路面を指差しながら彼女は言葉を続ける

(゚、゚トソン ええ、確かにありますよ。この道をまっすぐ……そうですね、徒歩であれば2時間くらいでしょうか

(゚、゚トソン バスで近くまでなら行けますね。それでも30分ほどは歩かなければいけませんが

(゚、゚トソン バス停もこの先に……いえいえ、お礼をされるようなことではありませんので

(゚、゚トソン それでは私はこれで。どうかお気をつけて

(゚、゚トソン ……探し物、見つかるといいですね

お礼をしようと財布を取り出した私を手で制し、彼女は行ってしまった
この辺りに通う学生だったのだろうか。丁寧な口調といい、気配りの上手さといい、なんともよくできた子だ
――とにかく、求めていた情報は得ることができた。急ぎの旅ではないけれど、時間を無駄にするのも惜しい
彼女の指した方向に向き直り、私は歩きだした

3 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:32:24 ID:Li8TKnIc0
歩き始めて5分ほど、彼女の言葉通り、バス停に辿り着いた
程なくしてやってきたバスの車内はひどく閑散としていて、聞こえる音といえば、エンジンの回転音とノイズの混じった車内放送くらいのものだった

(’e’) 次は〜○○〜○○〜お降りのお客様はお忘れ物にご注意ください

私が乗車して4つ目のバス停で、若い男性がひとり乗り込んできた
彼はゆっくりと車内を見渡すと、私の方を見て少し驚いたような顔をした

( ・∀・) 失礼。このバスに乗っているということは、お嬢さん、もしかして「あの街」に行こうとしているのかな?

頷いて、肯定の意を示す

( ・∀・) ……やっぱりね

( ・∀・) あそこに行くのは初めてだろう?僕に案内をさせてくれないかな

所謂ナンパというものなのかと思ったが、そういうわけではないらしい
話を聞いたところによると彼はあの街の管理人のようなもので、こうやって案内をするのも仕事のうちだということだ
初対面の人間ということで多少警戒していたけれども、半信半疑でバスの運転手に確認してみると

(’e’) ああ、そうだね。確かに彼は「あの街」の管理人さ

ということだった
こちらとしても願ったりな話だったので、素直に案内をお願いすることにした

4 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:33:28 ID:Li8TKnIc0
「この国のどこかに、地図にない街がある」
そんな噂を聞いたのは去年の春、およそ一年半ほど前のことだ
その街を訪れた人間は、失われてしまった記憶を取り戻すことができるという

( ・∀・) やっぱり君も、その噂を聞きつけてやってきたんだね

( ・∀・) ひと月に一人か二人くらいかな。君みたいな若い子は珍しいけどね

( ・∀・) あの街は忘れ去られた「記憶」達が最後に辿り着く場所だ

( ・∀・) きっと君の求める記憶もそこにあるだろう。もっとも、それを見つけることができるかどうかは君次第だけどね

( ・∀・) 歓迎するよ。そこは言うなれば「記憶の窪地」、人呼んで――――

5 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:34:09 ID:Li8TKnIc0






           川 ゚ -゚)  忘失都市のようです






                                                  .

6 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:34:53 ID:Li8TKnIc0








継ぎ接ぎだらけの街である

              ――――とある老人の証言







                                                  .

7 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:36:12 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ

鈍色の空の下バスを降りると、辺りは深い霧に覆われていた
眼の前にいる彼――「モララーと呼んで欲しい」と彼は言った――の顔すら霞んで視えるほどに不明瞭な視界
開けた土地であるにも関わらず、「あの街」の影を見ることは叶わない

ζ(゚ー゚*ζ 本当にここで合ってるんですか?

( ・∀・) うん、間違いないよ。この先にあるのが忘失都市さ

ζ(゚ー゚*ζ そうですか……

( ・∀・) ちょっと歩くけど大丈夫かな?

ζ(゚ー゚*ζ はい

( ・∀・) この霧なら……そうだね、30分くらいかな

( ・∀・) 急がなくていいから、足元に気をつけて付いてきてね

そう言うと彼は私に背を向けて歩きだした
私は彼の言葉に倣い、視線を落としてその後を追う

8 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:43:32 ID:Li8TKnIc0
歩き始めて10分ほど。唐突に彼が口を開いた

( ・∀・) 黙って歩いてるのもなんだし、何か話でもしようか

ζ(゚ー゚*ζ 話ですか?

( ・∀・) そうだね……例えば君が、どのような記憶を求めてここに来たのか、なんてどうだい?

ζ(゚ー゚*ζ え……!?

( ・∀・) おっと、勘違いしないでほしいな。別に興味本位で聞いてるわけじゃない

( ・∀・) 記憶を探すための手がかりとして、どうしても聞かなきゃいけないことなんだ

( ・∀・) 言いづらいこともあるだろうけど、頼むよ

ζ(゚ー゚*ζ ……はい

ζ(゚ー゚*ζ 実は……探してるのは、私の記憶じゃないんです

( ・∀・) え?

ζ(゚ー゚*ζ 私は、私の父の記憶を探しに来ました

私は視線を下ろしたまま、彼の問いに答える
踏みつけた小石の感触が、鈍い痛みとなって伝わってくる
霧はますます深くなり、真っ白な世界の中で、機械的に前後する彼の両足だけが、ゆらゆらと、ゆらゆらと……

9 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:44:23 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ 私の両親は、娘である私の目から見ても非常に仲の良い夫婦でした

( ・∀・) ……それで?

ζ(゚ー゚*ζ 10年にも渡る大恋愛の末の結婚ということで、近所でもおしどり夫婦として評判だったらしいです

ζ(゚ー゚*ζ 小学生の頃はそれが原因でからかわれたりもしたけれど、それでも私はそんな両親が大好きでした

ζ( ー *ζ けれど……

( ・∀・) ……

ζ(゚ー゚*ζ 生まれつき病弱だった母は、2年前に……

( ・∀・) それは……大変だったろう?

ζ(゚ー゚*ζ いいえ、ほんとうに大変だったのはその後です

( ・∀・) え?

10 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:44:57 ID:Li8TKnIc0
母の死は――私にとってそうであった以上に――父にとって、あまりにも大きな出来事だった
あまりにも大きな……その悲しみに、母の存在を記憶から抹消してしまうほどの……

ζ(゚ー゚*ζ 母の死から一年ほど経ったある日、父は私にひとりの女性を紹介しました

( ・∀・) ……

ζ(゚ー゚*ζ 新しい母親、だそうです

ζ(゚ー゚*ζ きっと父はもう、母のことなんて欠片ほども覚えてないんでしょうね

ζ(゚ー゚*ζ そう思うと、私は……

( ・∀・) だから君のお父さんに、お母さんの記憶を返してあげたい

( ・∀・) そういうことかな?

ζ(゚ー゚*ζ はい

( ・∀・) なるほどね

11 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:47:05 ID:Li8TKnIc0
( ・∀・) わかった。そういう事情なら、僕もできる限り協力しよう

ζ(゚ー゚*ζ ありがとうございます

「でもね」と、彼は言葉を続ける
ざっ、ざっ、という規則的な足音が、頭の中にまで響いてくる

( ・∀・) ふたつだけ覚えておいてほしいことがある

ζ(゚ー゚*ζ ……?

( ・∀・) ひとつ。僕がどれだけ頑張っても、最終的に必要なのは君の力だ

( ・∀・) さっきも言ったけど、記憶を見つけることができるかどうかは君次第。いいね?

ζ(゚ー゚*ζ はい

( ・∀・) そしてもうひとつ。これは……おっと、意外と早かったね ピタッ

ζ(゚ー゚;ζ えっ!?

話を途中で切り上げて、彼は立ち止まった
あまりにも突然の出来事だったので、反応が遅れて、彼の背中に顔を強かにぶつけてしまう

12 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:53:50 ID:Li8TKnIc0
ζ(;ー;*ζ 痛い

( ・∀・) はは、ごめんね

( ・∀・) ……顔、上げてみて?

ζ(;ー;*ζ は、はい




ζ(゚ー゚*ζ え……!?

目の前に広がっていたのは、高層建築が立ち並ぶ一つの都市

ζ(゚ー゚;ζ いつの間に……

( ・∀・) 霧が深くて気づかなかったかな?無理もないね

( ・∀・) さて、改めて歓迎させてもらうよ

( ・∀・) ようこそ、忘失都市へ

14 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:54:41 ID:Li8TKnIc0








『入り口は、深い霧』

         ――――ソウサク市営バス 運転席側 手前から8枚目の窓







                                                     .

15 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:55:59 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ ここが、忘失都市……

私と彼を取り囲むようにして配置されている、随分と奇抜なオブジェ達
昭和の香り漂うアーケードや歪に増築された集合住宅、「国体出場」の垂れ幕を下げた校舎にひどく錆びた給水塔
その他様々な建築物が無造作に積み上げられ、摩天楼の形を成している
その高さといったら……

( ・∀・) 霧がなかったとしても、てっぺんを目視することはできないだろうね

( ・∀・) もっとも、霧がない日なんて無いんだけど

ζ(゚ー゚;ζ これは一体何なんですか?

( ・∀・) 何って言われてもねぇ……

「まあ、こういうものだと思ってほしいな」
そう言いながら彼は首を左右に向け、きょろきょろと辺りを見回している

ζ(゚ー゚*ζ 何を探しているんですか?

( ・∀・) うーん、この辺りに居ると思うんだけどね

彼はそのまま何かを探し続けたが、目当ての物は一向に見つからないらしい
数分後、呆れたような顔で私の方に向き直り、小さくため息を吐いた

16 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:56:52 ID:Li8TKnIc0
(;-∀-) はぁ、どうやらここにはいないみたいだ

ζ(゚ー゚*ζ ……え?

――ここにはいない
その言葉が意味するのは、彼が探しているものが「何か」ではなく「誰か」であるということ
彼にとっては何気ない一言だったのだろうが、その事実は少なからず私を驚かせた

( ・∀・) こっちから会いに行くしかないか。また少し歩くからついてきてね

ζ(゚、゚*ζ ここに住んでいる人がいるんですか?

「地図にない街」というのはつまり、ゴーストタウンのことなのだろう
この街の噂を聞いて私はそのように考えていたし、今でもその考えは変わらない
事実、この街に入ってから私達以外の人間は一人も見なかったし、今も周囲に人の気配はない
しかし彼は……

( ・∀・) ああ、居るよ。歩いていればそのうち会えるだろうさ

17 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:58:03 ID:Li8TKnIc0
彼に連れられて街を歩く
立ち並ぶビル群にはやはり人の気配など無く、路地裏ではボロボロの暖簾を掲げた赤提灯が悲しげに口を開けている

( ・∀・) 話がまだ途中だったね

ζ(゚、゚*ζ え?

( ・∀・) 覚えておいてほしいこと、ふたつめ

( ・∀・) 目の前にあるアレ、見えるかな?

彼の指差す先、つまり、私達の進む道の先に視線を向ける
そこにあったのは、真っ白な、壁――いや、壁と見紛うほどに濃密な霧の層

( ・∀・) 今からあの中に突っ込むけど、なるだけ僕から離れないようにしてね?

( ・∀・) それと、何があっても驚かないように心の準備をしておいてほしいな

( ・∀・) ……まあ、無駄だとは思うけどね

彼はにやりと笑い、私の手を握って走りだした

18 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:58:49 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚;ζ ちょっ……モララーさん!?

( ・∀・) 口は閉じておいた方がいい!咽ちゃうからね!

ζ(゚ー゚;ζ あの霧は尋常じゃないですよっ!?

( ・∀・) いいからいいから!

私の言葉などお構いなしに、「壁」に向かって突き進む
必死に抵抗も試みたがやはりそこは男と女、筋量の差はどうすることもできず……

( ・∀・) ほら!突入するよ、息止めて!

ζ(゚ー゚;ζ 待って!心の準備が……いやぁぁぁぁぁぁ!!

何が何だか分からないまま、私の体は霧に飲み込まれた

19 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 01:59:36 ID:Li8TKnIc0








長居はお勧めしませんね。最悪命に関わります

                            ――――近隣に住む女学生







                                         .

20 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:00:35 ID:Li8TKnIc0


21 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:01:29 ID:Li8TKnIc0
白い壁の向こう側で私達を待ち構えていたもの
晴れ渡った青空、一昔前の音楽、商店街の喧騒、思考をぐちゃぐちゃに掻き乱す、圧倒的な非日常

ζ(゚、゚;ζ ……

( ・∀・) 驚いた?ねえ、驚いた?

呆然と立ち尽くす私の横を、ワンレンヘアの女性が通り過ぎる
女性は訝しそうな目つきでこちらを眺めながら、私の背後にある白い壁の中へ消えていった
それを皮切りに、白い壁から続々と――または、壁に向かって続々と――老若男女様々な人が現れ、また消えていく

( ・∀・) ここはVIP商店街。隣県のVIP市にかつて実在した街だよ

( ・∀・) 現在は確か……住宅街になっちゃったのかな?

ζ(゚ー゚;ζ え?じゃあこれは……

今はもう存在しないはずの商店街が、私の目の前にある
彼の言葉が正しければ、そういうことだ

( ・∀・) うーん、あんまり詳しく説明することはできないんだよね

( ・∀・) ま、要点はふたつ

( ・∀・) 一つ、ここ「忘失都市」では誰かに忘れられてしまった「記憶」が形を持って存在できる

( ・∀・) この商店街も誰かの記憶が形になったものさ

( ・∀・) そしてもう一つ、記憶にも意思はある。これは追々わかるだろう

( ・∀・) 悪いけどこれ以上は言えない。あとは自分で調べて欲しい

23 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:02:27 ID:Li8TKnIc0
彼が話した二つの「要点」。記憶には意思があり、形がある
それは現代科学に唾を吐きかけるような内容ではあるけれど、目の前にあるこの商店街を見てしまうと……

ζ(゚ー゚;ζ 疑ってても、しょうがないですよね

わからないことばかりの街だ
父の記憶を手に入れるためには、もとより彼の言葉を信じる以外の方法など存在しない

( ・∀・) 理解がはやくて助かるよ。なかなか信じてくれない人もいるからね

( ・∀・) もっとも、そういう人のために最初にここに来るんだけど……

( ・∀・) うん、信じてくれたならこの場所に用はない。先を急ごう

( ・∀・) 10分も歩けば抜けられるはずさ

押し寄せる人波の隙間を縫うようにして、すいすいと彼は歩いて行く
一方私はというと、通行人に肩をぶつけ、足をぶつけ、それでも置いていかれないように必死になって追いかける
ぶつかった痛みも、衝撃も、本物の人間のそれと全く同じ感覚
彼の言葉を信じるしか無い。それはわかっているけれど……

( ・∀・) 不安になるのは分かるよ。少しづつ理解してくれればいい

24 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:03:37 ID:Li8TKnIc0
果たして、彼の言葉通り10分ほどで商店街の終わりが見えた
そこはやはり真っ白な霧の壁で……

( ・∀・) 着いたよ

ζ(゚ー゚*ζ ここは……

それを抜けた先にあったのは、元の奇妙な街並みと古びた教会
どうやら彼は、私をこの教会に連れてこようとしていたらしい

( ・∀・) 入って

ζ(゚ー゚*ζ ……はい

( ・∀・) きっと中で待ってるはずさ

「待っている」
それはきっと、先程彼が探していた「誰か」で、恐らくは私の記憶探しに必要な「誰か」

ζ(゚ー゚*ζ お邪魔します

思い切ってドアを開ける
ひんやりとした空気が頬を掠め、錆びた蝶番は耳障りな音を立てた

25 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:04:56 ID:Li8TKnIc0

川 ゚ -゚)

教会の中に居たのは髪の長い女性。年は……私と同じか少し上、といったところだろう
ステンドグラスによって着色された太陽光が、照明のないこの部屋で、彼女の整った顔をうっすらと照らしている

川 ゚ -゚) やあ、待ちくたびれたよ。退屈で死んでしまうかと思ったくらいだ

( ・∀・) だったら迎えに来てくれれば良かったのに

川 ゚ -゚) なんとなく、そういう気分になれなくてな

( ・∀・) ふうん

川 ゚ -゚) それはそうと、君の後ろにいるのは……

( ・∀・) ああ、そうだ。紹介しないといけないね

( ・∀・) 彼女はデレ。記憶を探しに来たらしい

川 ゚ -゚) ……ほう

ζ(゚ー゚;ζ は、はじめまして

川 ゚ -゚) はじめまして。そしてよろしく

川 ゚ -゚) 私のことはクールと呼んでくれ

川 ゚ -゚) 彼との関係は……そうだな、仕事仲間かな?

川 ゚ -゚) モララーが管理人だとすれば、私は経営者のようなものさ

ζ(゚、゚*ζ 経営者?

26 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:05:49 ID:Li8TKnIc0
川 ゚ -゚) うむ、経営者だ

川 ゚ -゚) 管理こそ彼に任せてはいるが、全ての決定権はこの私にある

川 ゚ -゚)-3 彼の上司といっても過言ではないな

( ・∀・) ……まあ、そういうところだね

川 ゚ -゚) この街はすべて私の思いのままだ

川 ゚ -゚) 君の求める記憶を探し出すことなど、息を吸うよりも簡単なことさ

ζ(゚ー゚*ζ それじゃあ……

川 ゚ -゚) まあ、やるかどうかはまた別の話だが

ζ(゚ー゚*ζ え?

川 ゚ -゚) 君のために記憶を探してやる気はない、と言ったのさ

27 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:06:36 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚;ζ そんな……

( ・∀・) ……

ζ(゚ー゚;ζ モララーさん……

( ・∀・) 意地悪は好きじゃないね、話はまだ終わってないはずだ

川 ゚ -゚) ……ふん、少しからかってみただけさ

ζ(゚ー゚*ζ え?

川 ゚ -゚) 記憶を探してやる気はない

川 ゚ -゚) 今のところは、だがな

ζ(゚ー゚*ζ どういうことですか?

川 ゚ -゚) 考えてもみたまえ

川 ゚ -゚) 突然やって来て、「記憶探しを手伝え」、用が済んだらはいさようなら

川 ゚ -゚) そんな話はないだろう?

ζ(゚ー゚*ζ あ、お金なら貯金が……

川 ゚ -゚) そういうことじゃない

28 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:07:40 ID:Li8TKnIc0
川 ゚ -゚) 経営者としては、この街のことをもっと知ってもらいたいのだよ

川 ゚ -゚) ついでに私たちのこともな。赤の他人に力を使うのは好きじゃない

ζ(゚ー゚*ζ ……なるほど

川 ゚ -゚) これから君に一つ問題を出す

川 ゚ -゚) 君にはその答えを見つけてきてほしい

川 ゚ -゚) 範囲は……そうだな、この街全体としよう

川 ゚ -゚) 私の問いに対する答えをこの街から探し出すことが出来れば、君のために力を使ってやろう

ζ(゚ー゚;ζ この街から、ですか?

川 ゚ -゚) それが嫌なら諦めることだ

( ・∀・) 僕も手伝うよ、安心して

川 ゚ -゚) ……随分とその子の肩を持つじゃないか

( ・∀・) 嫉妬してるのかい?

川 ゚ -゚) バカめ、好きにしろ

川 ゚ -゚) ……さて、それでは問題を出そう。よく聞きたまえ

29 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:08:23 ID:Li8TKnIc0







川 ゚ -゚) 私は、誰だ?







                                            .

30 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:09:52 ID:Li8TKnIc0








変人か、廃人か

       ――――「忘失都市」の住民についての証言








                                                  .

31 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:10:49 ID:Li8TKnIc0
手がかりを求めて、当てもなく街をさまよう
彼女の問いは、これ以上ないほど簡潔で……そして、難解な代物だった
クールと名乗った彼女。彼女はいったい、誰なのか

ζ(゚ー゚*ζ 本当にこの街にその答えがあるんですか?

( ・∀・) あるよ

自身に満ちた声色で彼が応える
ある、と言い切られてしまってはそれ以上追求することもできない

( ・∀・) 一応言っておくけど、僕から答えを聞き出そうとするのはやめておいた方がいい

( ・∀・) 君を応援する気持ちはあるけど、さすがにそれは時間の無駄ってやつさ

ζ(゚ー゚*ζ そう、ですか

( ・∀・) 彼女に不正は通じない。素直に探しまわることだね

( ・∀・) ……ところで、喉乾いてない?

ζ(゚ー゚*ζ あ、そういえば……

( ・∀・) 向こうに自販機がある。ついてきて?

32 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:12:13 ID:Li8TKnIc0

爪'ー`)y━・~ おーっす

彼に連れられて行った先には古びた自販機が二つ
ひとつは飲み物、もうひとつは煙草。並べて設置されている
更にその横に置かれた小さな椅子の上で、これまた小さな――小学校低学年くらいだろうか――男の子が膝を抱いていた

( ・∀・) やあ、いたのかい?

爪'ー`)y━・~ 毎日来てるの知ってるくせに

( ・∀・) ふふっ、そうだね

( ・∀・) 相変わらず元気そうで安心したよ

爪'ー`)y━・~ あんたもね。王女さまのご機嫌はどんな感じ?

( ・∀・) いつも通りってところかな

爪'ー`)y━・~ ふうん

彼と少年は顔見知りのようで、何やら親しげに話している
王女さま、というのはクールさんのことを言っているのだろうか
……いや、それよりも先に言わないといけないことがあるはずだ
未成年の、しかもこんな小さな子どもの喫煙を、大人として見過ごす訳にはいかない

爪'ー`)y━・~ それで、後ろのお嬢ちゃんはあれ?

ζ(゚、゚;ζ ひょえっ!?



33 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:13:34 ID:Li8TKnIc0
突然話題が私に移る
少年に声をかけようとした当にその瞬間の出来事だったので、変な声が出てしまった

(;・∀・) ひょえって……そんなに驚かなくても……

ζ(゚ー゚;ζ すいません……

爪'ー`)y━・~ 他のことで頭がいっぱいだったのかな?

爪'ー`)y━・~ ……たとえば、未成年の喫煙がどうこうとか

ζ(゚ー゚;ζ あ……

爪'ー`)y━・~ 図星ね

( ・∀・) ああ、なるほどね。そこには気が回らなかった

爪'ー`)y━・~ 安心しな、こんな見た目だけどあんたより年上だから

Σζ(゚、゚;ζ ええっ!?

34 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:14:12 ID:Li8TKnIc0
爪'ー`)y━・~ 証拠がほしい?

ζ(゚ー゚;ζ 正直、信じられません

爪'ー`)y━・~ ふー、わかった

爪'ー`)y━・~ あんた、名前は?

ζ(゚ー゚*ζ ……デレ、です

爪'ー`)y━・~ そうかい、それじゃあデレちゃんよーく見てな

爪'ー`)y━・~ ……『ちょっとだけ、どいてくれない?』

その瞬間、少年の体が霧に包まれた
いや、それでは語弊がある。正しくは、「少年の体が霧に変わっていった」と言うべきだろう
そして、霧が晴れた後に現れたものは……

~・━v('、`*川 なんと、大人のお姉さんでしたー

……大人のお姉さんでしたー

36 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:15:14 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚◇゚;ζ ……えええええええええええええ!?

~・━v('、`*川 うーんいいね、その反応!

( ・∀・) まあ、気持ちはわかるけどね

驚きの声を上げる私を見て、二人はけらけらと笑っている
その目はまるで、初めて海を見た子供に向けるような、過去の自分をそこに投影して懐かしむような、そんな視線だった

~・━v('、`*川 この街は初めて?

ζ(゚ー゚;ζ はい

~・━v('、`*川 それじゃあ驚くのも仕方ないわね。教えてあげる

~・━v('、`*川 あんたが初めに見た私の姿……多分小さい男の子だと思うけど、合ってる?

ζ(゚ー゚;ζ ええ、だから注意しないといけないって

~・━v('、`*川 うん、いい心がけだね

~・━v('、`*川 とにかく、その姿はこの街にある「記憶」によって作られたものよ

( ・∀・) さっきのVIP商店街みたいなものだね。大きさとか、色々違いはあるけど

~・━v('、`*川 私の体を覆うように張り付いた「記憶」が、あんたに少年の姿を見せていたの

~・━v('、`*川 ……お分かり?

37 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:16:22 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚;ζ うーん……

~・━v('、`*川 まあ、納得出来ないのもわかるわよ?大きさとか色々無視してるし

~・━v('、`*川 でもね……

短くなった煙草を置いて、彼女は椅子から立ち上がった
私よりも頭一つ大きい長身。どう見たってあの少年の姿に収まる大きさではない

a('、`*川 あんたの横にいる男、見てみ?

ζ(゚ー゚*ζ へ?

そう言われて、彼女の指す方へと目を向ける
彼女の指す方……つまり、私の横に立っているモラr……



爪'ー`) やあ


           「ひょわあああああああああああ!?」


                          .

38 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:17:41 ID:Li8TKnIc0
(;、;*川 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

爪'ー`) 彼女から離れた「記憶」が僕の方に乗り移ってきたみたいだね

(;、;*川 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

:爪 ー ): これでわかったろう?「記憶」は見た目の大きさなんて簡単に変えてしまうのさ

(;、;*川 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

::爪 ー ):: ……ところでペニサス

(;、;*川 wwwwwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwっうぇwっうぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

::爪; ー ):: ……笑いすぎじゃない? プルプル

(;、;*川 だってwwwwwwwwwひょわあってwwwwwwwwwwwwひょわあってwwwwwwwwwwwwwwwwwww

余程おかしな声を上げてしまったのだろうか
彼女は腹を抱えて……それどころか、地面を転げ回りながら笑っている





(;、;*川 そんなwwwwwwwwwwwwゴツイ顔でひょわあってwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 え?

爪 ー )・;' ブフッ

39 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:18:54 ID:Li8TKnIc0
(;、;*川 これwwwwwwwwwwww見てみwwwwwwwwwwwwwwwwwっうぇwwwっうぇwwwwww

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 ……鏡?これがどうかしたん……で……

彼女から渡された手鏡に写っていたのは、私ではなく、鬼のような形相の鎧武者

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 ええええええええええええええ!?

(;、;*川 やめてwwwwwwww喋るだけでwwwwwwww声とのギャップがwwwwwwwwwwwwwwwwwww

::爪 ー ):: どうやら……イタズラ好きな記おグフッ……が……君に取り憑いたらしいね……フッ……

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 取って!取ってくださいモララーさん!!ひえええええええ!!

::爪;ー;):: ……ごめ……ングフッ……もうwwwwwwwwwwwww無理wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ィ'ト―-イ、
以`;益;以  うええええええええええええええ!?

(;、;*川 wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

爪;ー;) wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

寒空の下、私の叫びと二人の笑い声はいつまでも止むことはなかった

40 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:19:34 ID:Li8TKnIc0



ζ(゚- ゚*ζ



(;・∀・)



('、`;川

.

41 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:20:32 ID:Li8TKnIc0
(;・∀・) ……ごめんね?

ζ(゚- ゚*ζ

('、`;川 さすがにちょっとやりすぎたというか、うん

ζ(゚- ゚*ζ

(;・∀・) ほ、ほら、喉乾いてたでしょ?これ、力水!

('、`;川 す、凄いわねー!まだ売ってたんだー!?

(;・∀・) …… ゴクリ

('、`;川 …… ゴクリ

ζ(゚- ゚*ζ

(- ゚*ζ プイッ

(;・∀・) ……どうしよう ボソッ

('、`;川 どうしようったって…… ボソボソ

('、`;川 ……!そ、そうだ、いいこと教えてあげる!

(- ゚*ζ

('、`;川 あんた、クーから問題出されてるでしょ!?

Σ(- ゚*ζ ピクッ

42 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:21:05 ID:Li8TKnIc0
('、`;川 この街で一番高い建物に登ってみな!?そこにヒントがあるから!

ζ(゚- ゚*ζ ……

ζ(゚- ゚*ζ ヒント?

('、`;川 うん、そりゃもう凄いヒント!モララー、あんた案内してあげなさい!

(;・∀・) う、うん!任せて!

('、`;川 …… ゴクリ

(;・∀・) …… ゴクリ

ζ(゚- ゚*ζ 

ζ(゚- ゚*ζ ……まあ、許してあげます

(;・∀・) ホッ

('、`;川 ホッ

43 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:22:01 ID:Li8TKnIc0
( ・∀・) それじゃあ行こうか。一番高い建物はええと……向こうだね

('、`*川 はぁ?今から行く気?

ζ(゚ー゚*ζ え?

a('、`*川 あんたらあれが見えないの?

彼女が指差したのは、大きな大きな柱時計
他の摩天楼と比べても遜色のない大きさのそれは、長針が天を指す度に、街中に響き渡るほど大きく鐘を鳴らす

('、`*川 現在の時刻は18時半、最終バスは21時、今から向かったんじゃあ置いてかれるよ?

('、`*川 悪いことは言わないから明日にしなさい

ζ(゚ー゚*ζ もうそんなに経ってたんですね……

( ・∀・) うーん、そうしようか?

ζ(゚ー゚*ζ はい

('、`*川 さ、帰りましょ。私も一緒に行くわ

44 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:23:50 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 『そういうことだから、今日はもう帰るわ。またね』

彼女がそう呟くと、周囲の霧が集まって二つの人型を作り出した

 . : : : : : . :
: : : : : : : : : :  : : : : : : : : :

 ,;,;,;,;,;,;,;,;,,;
,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,  ,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,;,

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以ノシ  爪'ー`)ノシ

ζ(゚ー゚*ζ あ……

('、`*川 可愛いもんでしょ?

ζ(゚ー゚*ζ ……はい!

( ・∀・) じゃ、行こうか

45 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:24:52 ID:Li8TKnIc0
バス停を目指して三人で街を歩く
途中、寂れた遊園地に迷い込んだり、高校野球の試合に参加したり、バナナボートに乗って海に落とされたり……
私は状況の変化にただ戸惑うばかりだったが、後の二人はというと慣れたもので、むしろその状況を楽しんでいるようだった

ζ(-、-;ζ まだ服が濡れてる気がします……

( ・∀・) 気のせい気のせい、ちゃんと乾いてるよ

('、`*川 いやーしかし、こうやって誰かと一緒に歩くってのも久しぶりねー

( ・∀・) ここに来る人はだいたい、一人で来て一人で帰ってくってのが多いからね

ζ(゚ー゚*ζ そういうものなんですか?

('、`*川 そうそう、まあそれが好きでやってるから寂しいってことはないんだけどね

('、`*川 ……そうだ

( ・∀・) ん?

('、`*川 バスまでまだ時間あるし、何か食べて行かない?

46 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:25:45 ID:Li8TKnIc0
【らぁめん内藤】

( ・∀・) おじゃまするよ

( ^ω^) いらっしゃいませだおー

('、`*川 やっほ、元気?

( ^ω^) お陰様で、だお

ζ(゚ー゚*ζ おじゃまします

( ^ω^) いらっしゃいませだ……お?この店は初めてだおね?

( ・∀・) 彼女、デレちゃん。記憶を探しに来たらしい

( ^ω^) おっおっ……初めましてだお

( ^ω^) 僕は店主の内藤。ブーンって呼んでほしいお

ζ(゚ー゚*ζ はい。よろしくお願いします

('、`*川 いつもの三つ。いいわよね?

ζ(゚ー゚*ζ はい

( ・∀・) どうぞどうぞ

( ^ω^) おー、かしこまりましたお

48 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:26:41 ID:Li8TKnIc0
ラーメンを作る手はそのままに、ブーンさんが口を開く

( ^ω^) 最近どんな調子だお?

( ・∀・) いつも通りだよ

('、`*川 いつも通りね

( ^ω^) おー……まあ、それならいいお

( ・∀・) ……何かあったのかい?

( ^ω^) 最近、毎日のように食べに来るお客さんが居るんだお

('、`*川 いいことじゃない

( ^ω^) うーん、味を気に入ってくれたのは確かに嬉しいお

( ^ω^) けど……

( ・∀・) けど、どうしたんだい?

( ^ω^) ここ何日かは、三食全部ここで済ましてるらしいんだお……

( ・∀・) ……あー

('、`;川 あちゃー

ζ(゚ー゚*ζ ?

49 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:27:44 ID:Li8TKnIc0
私を除く三人は、何やら深刻な顔をしている
確かに三食ラーメンというのはいかがなものかとは思うけれど、そこまで大きな問題なのだろうか?

( ^ω^) うちのラーメンは特別製だお

ζ(゚ー゚*ζ 特別製?

( ^ω^) 何日もこれだけを食べ続けたら、死んでもおかしくないお

ζ(゚、゚;ζ ええっ!?

('、`*川 ま、足繁く通ってます、程度だったら全然問題ないんだけどね

( ^ω^) 別に危ないものが入ってるって訳じゃないから、そこは安心してほしいお

ζ(゚ー゚;ζ そ、そうですか……

( ^ω^) そのお客さんはタカラっていう若い男の人だお

( ^ω^) ブーンはここを動けないから、見つけたら保護してあげてほしいお

( ・∀・) ああ、任せといて

( ^ω^) 確かに頼んだお?

( ^ω^) ……っと、出来上がりだお

50 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:28:40 ID:Li8TKnIc0
( ^ω^) おっおっおー

楽しそうに鼻歌(?)を歌いながら、私達の前に丼を並べていく
その中には、麺が隠れるほど大量の野菜が載せられた塩タンメン。私の好物だ

ζ(゚o ゚*ζ わぁ…… 

( ^ω^) 野菜は体にいいんだおー

( ・∀・) いただきます

('、`*川 あ、コショウ取って

ζ(゚ー゚*ζ ……いただきます

51 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:29:52 ID:Li8TKnIc0
麺を少しつまんで口に運ぶ
昔ながらの、という言葉が似合うあっさりとしたスープが細い麺によく絡んでいる
胡麻油の香ばしい風味とシャキシャキとした野菜の食感、ほのかな甘味が一層食欲を掻き立てる
優しく、どこか懐かしい味。気がつくと私の前には空になった丼が置かれていた

( ^ω^) 気に入ってもらえたかお?

ζ(゚ー゚*ζ はい、凄くおいしかったです

( ^ω^) うれしいこと言ってくれるじゃないの

('、`*川 あんな夢中になって食べられたら、ラーメン屋冥利に尽きるってもんでしょうよ

(*^ω^) おっおっ!

( ・∀・) ふぅ……ごちそうさま

( ・∀・) それじゃあ行こうか。お代は……

( ^ω^) ツケておくお。お嬢さん二人、遅くならないうちにしっかり送ってあげるお?

( ・∀・) ふふ、了解

53 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:35:29 ID:Li8TKnIc0
ソウサク市へ帰るバスの中、乗客は私達三人だけ
ブーンさんの店を出てからバス停までの間にも、どこぞの農村のお祭りだとか、数学の授業だとか、いろんな物に巻き込まれた
そうして時間を浪費しているうちに最終バスの時間も近くなって……最後は全員必死で走り、飛び込むように乗り込んだ

ζ(゚ー゚;ζ ……ギリギリセーフでしたね

(;・∀・) もっと余裕が有るはずだったんだけどね、今日はヤケに絡まれる

(;・∀・) デレちゃんもしかして、「記憶」に好かれる才能でもあるのかな?

('、`;川 まあ、あんだけ大袈裟に反応してくれたらあいつらも楽しいでしょうよ

('、`;川 はぁー、これだからこの街は……嫌んなっちゃう

( ・∀・) そんなこと言って、どうせ明日も来るんでしょ?

('、`*川 まあね

ζ(゚ー゚*ζ ……そういえば、ペニサスさんはどうしてこの街に来てるんですか?

ζ(゚ー゚*ζ 私みたいに記憶を探して?

('、`*川 私はもう見つけちゃったからね、そういうわけじゃないわ

ζ(゚ー゚*ζ もう見つけちゃった?それじゃあどうして……

('、`*川 今の世の中、健康害がどうだ、ポイ捨てがどうだって、喫煙者としてはいろいろ辛いのよ

('、`*川 その点ここは、誰に邪魔されることもなく好きなだけ煙草を楽しめる

('、`*川 ま、街の空気が好きってのもあるけどね

54 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:36:15 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 あー、煙草の話してたら吸いたくなってきた

('、`*川 あんたら、どっちか持ってない?

( ・∀・) 僕は吸わないからね

ζ(゚ー゚*ζ 私も、ごめんなさい

('、`*川 ふー、我慢するしかないか

(’e’) えー次は〜□□〜〜□□〜〜

('、`*川 ……まだまだ、10分くらいかかるわね

( ・∀・) そういえばデレちゃんはこの辺りの人じゃないよね?

( ・∀・) 今日はどこに泊まるつもり?

ζ(゚ー゚*ζ 駅前にビジネスホテルがあったので、そこで……

('、`*川 ちゃんと予約とった?あそこいつも満室だよ?

ζ(゚ー゚;ζ え!?

(;・∀・) ……あちゃー

55 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:37:16 ID:Li8TKnIc0
話を聞いたところによると、この辺りにホテルは一つだけで、他所から来た人はみんなそこに泊まるのだそうだ
そうとは知らず予約もなしに泊まろうとした人は皆、近くのガ○トで夜を明かす羽目になるのだという
私はというと勿論、そんなこととは露知らず、といったところで

ζ(゚ー゚;ζ ……

(;・∀・) ……

ζ(゚ー゚;ζ どうしよう

(;・∀・) ま、まあ、もしかしたらキャンセルとかあるかもしれないし

('、`*川 ……

('、`*川 仕方ないわね、うち来る?

ζ(゚ー゚*ζ え?

('、`*川 空いてる部屋ならあるから、掃除手伝ってくれるなら泊めてあげてもいいわよ

ζ(゚ー゚*ζ 本当ですか!?

('、`*川 嘘ついてどうするのよ

ζ(゚ー゚*ζ あ、ありがとうございます!

( ・∀・) ありがとう。僕からもお礼を言わせてもらうよ

('、`*川 はいはい、どういたしまして

56 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:38:21 ID:Li8TKnIc0
(’e’) 次は〜○○〜○○〜お降りのお客様は以下略ゥ〜

( ・∀・) じゃ、僕はここで降りるよ。デレちゃんをよろしくね

('、`*川 ほーい

( ・∀・) それじゃあデレちゃん、また明日

ζ(゚ー゚*ζ はい、よろしくお願いします

( ・∀・) またね

彼が降りて、残ったのは女二人
あの街についての話を聞こうとしたのだけれど、「難しい話は家で」とのことだったので他愛もない話をして時間を潰す

(’e’) 次は〜終点〜ソウサク〜ソウサク〜

('、`*川 さ、降りるわよ

ζ(゚ー゚*ζ はい

57 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:39:25 ID:Li8TKnIc0
(’e’) 本日のご乗車誠にありがとうございました〜

私達を降ろして、バスは走り去る
あの運転手も一日の仕事を終えて、家族の待つ家に帰るのだろう

('、`*川 ふー、あの固い座席にはいつになっても慣れないわねー

体を伸ばしながら彼女が言う
さっき沢山走ったせいだろうか、汗が冷えて少し寒い

('、`*川 さて、ラーメンでいい?

ζ(゚ー゚*ζ え?

('、`*川 夜食

ζ(゚ー゚;ζ ええっ!?

つい先程食べたばかりだというのに、この人は……

('、`*川 色々あって忙しかったからついさっきのことに感じるだろうけど、内藤のところで食べてから3時間くらい経ってるわよ?

('、`*川 結構動いたし、あんたもお腹空いてるはずだけど……

ζ(゚、゚*ζ ……あれ?そういえば……

('ー`*川 でしょ?おすすめの店があるの。麺屋庶煩っていうんだけどね……

58 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:40:05 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ ごちそうさまでした

(´・ω・`) また来てね

彼女のおすすめである分厚いチャーシューの入ったラーメンをぺろりと平らげて店を出る
どうやら自分で思っているよりもお腹が空いていたらしい

('、`*川 どう?おいしかったでしょ?

ζ(゚ー゚*ζ はい、すごく

('、`*川 あの店主、昔は居酒屋なんかもやってたらしいわ。まあ、閑古鳥だったみたいだけど

('、`*川 それがある時突然ラーメン作り始めて大繁盛、いつの間にか酒よりそっちがメインになったみたいね

('、`*川 味は今体験した通り、私の好みにドンピシャリ

('ー`*川 内藤の味噌から庶煩のチャーシュー麺は私の鉄板コースよ。自慢じゃないけど毎日通ってるわ!

ζ(゚、゚;ζ ……そうですか

59 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:41:26 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 さ、ここが私の家よ

('、`*川 遠慮は要らないわ、上がりなさい

ζ(゚ー゚;ζ ……おじゃまします

彼女に促されて入ったのは、駅前一等地にある一軒家
彼女はそこに一人で住んでいるという

('、`*川 親が金持ちでね、脛かじって生きてるの

ζ(゚ー゚;ζ へぇ……

('、`*川 さ、まずは寝床の準備しないとね

('、`*川 物置きにしてるからいろいろ荷物運び出さなくちゃ

('、`*川 私達の睡眠時間がかかってるんだから、気張りなさいよ?

ζ(゚ー゚*ζ はい!

60 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:42:41 ID:Li8TKnIc0
空き部屋の掃除は20分ほどで終わった
とりあえず落ち着いて眠れればいいということで、大きな荷物だけ運び出すことにしたのだ

('、`*川 お疲れ。コーヒー飲む?

ζ(゚ー゚*ζ あ、いただきます

('、`*川 ほーい、ちょっと待っててね

彼女は肩をぐるぐると回しながら、キッチンの奥へと消えていった
しばらくして再び現れたその手には、白い湯気を立てるコーヒーカップが二つ

('、`*川 座って

彼女に促され、木製のテーブルに向かい合うようにして座る
コーヒーカップがひとつ、私の前に置かれた

ζ(゚ー゚*ζ ありがとうございます

('、`*川 安物だけどね

61 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:43:31 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 えーっと、あの街について聞きたいんだっけ?

ζ(゚ー゚*ζ はい

('、`*川 まあ、私も全部知ってるわけじゃないんだけどね

('、`*川 あの街は「記憶の窪地」なの

ζ(゚ー゚*ζ あ……それ……

「記憶の窪地」
彼が最初に、あの街のことをそう表現していた

('、`*川 水が低いところに集まるように、宿主に忘れられた「記憶」があの街に集まるの

('、`*川 まるでそれが当然のように、自然の摂理としてね

('、`*川 私は知らないけど、世界中探せば何箇所かあるらしいわよ?

ζ(゚ー゚*ζ それで、窪地……

('、`*川 そういうこと

62 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:44:05 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 モララーが言うには、「記憶」ってのはどうも寂しがりやみたいでね

('、`*川 生身の人間を見ると構ってほしくて色々やっちゃうみたいよ?

ζ(゚ー゚*ζ それで、あんな不思議な事が起こるんですか?

('、`*川 私はよく知らないけどね

('、`*川 まあとにかく、そんなわけであの街に行くのはよっぽどの物好きか……

('、`*川 あんたみたいな「訳あり」くらいのものね

ζ(゚ー゚*ζ モララーさんは……

('、`*川 ああ、あいつはお仕事ね。もっとも、よっぽどの物好きじゃなきゃあんな仕事しないけど

63 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:44:49 ID:Li8TKnIc0
「ところで」と、彼女が言った
その表情には緊張と、ほんの少しの好奇心が見て取れた

('、`*川 あんたはどんな記憶を探してるの?

ζ(゚- ゚*ζ ……

('、`;川 あ、いや!言いたくなかったら別にいいのよ!?

ζ(゚- ゚*ζ ……いえ、大丈夫です

彼女に対する怒りはない
私が彼女と同じ立場だったら、間違いなく同じ事を聞いていたはずだ
私の表情が曇ったのは純粋に、それが思い出したくない出来事だったから

ζ(゚- ゚*ζ 私の両親は――――

私の話が終わるまで、彼女はじっと私の目を見て聞き続けた

64 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:46:33 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ 私の話は、これで終わりです

('、`*川 ふうん……

彼女はコーヒーを一口啜って眉を顰め、「大変だったわね」と呟いた

('、`*川 ……私の両親、貿易商だったの

('、`*川 毎日仕事で世界中を飛び回って、年に数回のお休みは沢山のお土産と一緒に帰ってきた

('、`*川 さっき運びだした荷物がそれね

ζ(゚ー゚;ζ トーテムポールとか、変な人形とか、おかしいなとは思ってました……

('ー`*川 うん、商売は上手いのに、それ以外のセンスは壊滅的だったわ

('ー`*川 「見たら死んでしまう呪いのお面」をダース単位で買って来たこともあったっけ

両親との思い出を楽しそうに語る彼女
柔らかな笑顔はそのままに、小さな瓶の蓋を開け、角砂糖をひとつ取り出した

65 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:47:23 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ 両親は今、何をしてるんですか?

彼女の手が、コーヒーカップの真上で止まる
こちらを見る笑顔に、ほんの少し、悲しみの色が注した

('ー`*川 今はもう居ないわ

ζ(゚ー゚*ζ え?

('ー`*川 飛行機事故で、ドカーン

彼女の手を離れた角砂糖が、ぽちゃりと音を立てた
飛び跳ねたコーヒーが彼女の袖に染みを作る

('ー`*川 私が高校生の頃に、二人揃ってね

ζ(゚- ゚;ζ ……すいません、嫌なこと聞いちゃって

('、`*川 いいのよ。そう聞かれたくてこの話をしたんだから

('、`*川 それに私は、もう寂しくないしね

ζ(゚ー゚*ζ 寂しくない?

('、`*川 私もあの街に救われたの

ζ(゚ー゚*ζ ……どういうことですか?

66 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:48:31 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 親が死んでから私は思ったの

('、`*川 「他の友達と比べて、私には両親との思い出が少なすぎる」ってね

('、`*川 楽しい思い出も、嫌な思い出も、数えるほどしかなかった……いいえ、思い出せなかった

('、`*川 そりゃそうよ。一緒にいる時間が、周りのみんなとは全然違うんだから

('、`*川 だから私は探し回った。両親との記憶を取り戻せる「何か」を

('、`*川 今から新しい思い出を作ることはできないけど、忘れたものは思い出すことができるはずだってね

('、`*川 幸い、お金はあったしそっちでは苦労しなくて済んだわ

('、`*川 何年も必死になって探して、そうして見つけたのが「忘失都市」ってわけ

ζ(゚ー゚*ζ そして、昔の記憶を取り戻したんですね

('、`*川 ま、そういうこと

('、`*川 両親と過ごした時間の全てが、私の中に刻まれている

再びコーヒーに口をつけ、満面の笑みで言葉を続ける

('ー`*川 20年足らずの記憶だけど、それだけで私は満たされているわ



67 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:51:17 ID:Li8TKnIc0
ζ(゚ー゚*ζ 素敵ですね

('、`*川 ふふ、ありがとね

('、`*川 でも、あんたは私みたいになっちゃ駄目よ?

ζ(゚ー゚*ζ え?

('、`*川 私と両親の記憶には、これ以上先は無い

('、`*川 だから私は今あるこの思い出を、残りの人生をかけて味わっていくの

('、`*川 それは私にとって幸せではあるけれど、そこには何の発展もない。言うなれば余白の無い手帳のようなもの

('、`*川 だけど、あんたと、あんたのお父さんは違うでしょ?

('、`*川 あんたのお父さんが元に戻って、お母さんのことを思い出して、それで終わりじゃない

('、`*川 これから何年、何十年も、あんたとお父さんは一緒にいて、いろんな思い出を作るの

('、`*川 先がある人間が、過去だけで満足しちゃいけないのよ

('、`*川 わかる?

ティースプーンで私を指しながら、片目を瞑ってこちら睨む
そのムッとした表情の内側は、きっと優しさで満たされているのだろう

ζ(゚ー゚*ζ ……はい

('ー`*川 よろしい

68 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:52:16 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 さ、明日もあそこに行くんでしょ?そろそろ寝ないとね

ζ(゚ー゚*ζ そうですね

('、`*川 それじゃ布団を……って、お風呂がまだだったわね

ζ(゚ー゚*ζ あ……

話に夢中になりすぎて完全に忘れていた
考えてみればあの街に行ってから、随分と汗もかいたし埃もかぶった。他人の布団でこのまま寝てしまうというのも失礼な話だ
……そして何より、一度そう思うと汗のべたつきが気になってしょうがない

('、`*川 案内するわ。着替え持った?

ζ(゚ー゚*ζ はい、それじゃあお言葉に甘えて

('、`*川 うちの自慢のお風呂よ?親が風呂好きだったから、馬鹿みたいに広く作っちゃってもう……

ζ(^ー^*ζ ふふっ

('、`*川 ……何よ

ζ(^ー^*ζ 楽しそうだな、と思って

('、`*川 ……ふん

69 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:53:01 ID:Li8TKnIc0





('、`*川 あ、私も一緒に入るから



ζ(゚ー゚;ζ ええっ!?



.

70 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:57:05 ID:Li8TKnIc0








見えぬけれどもあるんだよ、

見えぬものでもあるんだよ。

              ――――金子みすゞ『星とたんぽぽ』








                           .

71 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:58:23 ID:Li8TKnIc0
('、`*川 ふー、さっぱりした

ζ(゚ー゚;ζ 凄かったですねー

('、`*川 でしょ?

本当に凄かった。前々から凄いとは思ってたけど……
まさか彼女のアレがコレであんなことになってたなんて、恐ろしい
いったいどうすれば、あんなふうに……

('、`*川 それじゃあ私は寝るから、あんたもあんまり夜更かししちゃダメよ?

ζ(゚ー゚*ζ はい

('、`*川 冷蔵庫に入ってるものは好きに食べていいから

('、`*川 んじゃ、おやすみ

ζ(゚ー゚*ζ おやすみなさい

('、`*川 あ、最後に一つだけ

ζ(゚ー゚*ζ なんですか?

('、`*川 秘訣は腕立てと牛乳よ

ζ(゚ー゚ ζ

('、`*川 じゃ、今度こそおやすみ




ζ(゚ー゚ ζ

72 名前:同志名無しさん[sage] 投稿日:2012/11/23(金) 02:59:31 ID:Li8TKnIc0









腕が痛い

   ――とある乙女の嘆き








                .



支援イラスト 同スレ>>81より


その2>>>

トップ2012秋ラノベ祭り投下作品一覧川 ゚ -゚)  忘失都市のようですその1
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