■2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
└|゚ノ ^∀^)母子像のようです( ・∀・)
- 448 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:39:24 ID:DIsnwHsA0
スレタイ:|゚ノ ^∀^)母子像のようです( ・∀・)◆No.90
- 449 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:41:30 ID:DIsnwHsA0
(#・∀・)「くそっ! 」
俺はやるせない怒りを安っぽいテーブルにぶつけた。
勢いに任せて思い切り蹴飛ばしたので、派手な音をたてて床に倒れてしまった。
テーブルの上にほっぽり出していた油絵の具が一緒にバラバラと散らばる。
真下の部屋の住人が、今に俺の部屋へ怒鳴り込んでくるとちらと考えたが、構いやしない。
そんなことは、今は大した問題じゃなかった。
(;・∀・)「俺にどうしろって言うんだよ……」
さっきまであんなに興奮していたのに、へなへなと床に座り込んで、うなだれた。
- 450 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:42:37 ID:DIsnwHsA0
- 俺が怒り心頭していたわけは、つい一時間ほど前訪れた慇懃なウツダ侯の使いのせいだった。
ウツダ侯は最近では珍しい資産家で、有り余る金をもっぱら美術品を集めることで消費している酔狂な人物だ。
(;・∀・)そ「なんだと? 訳わかんねぇよ!? 」
/ ,' 3「ですから、先程申し上げた通りでございます。"一ヶ月後に、ウツダ邸で催すサロンに新作を持って来なければ、アルベール・モララーの援助を打ち切る。――ドクオ・ウツダ"とのことです」
持ってきた書状を丁寧に畳みジャケットの内側に収めると、爺さんはさっさと俺の部屋から出ていこうとしていた。
(;・∀・)「ちょっと待ってくれよ! いきなりやってきて、最後通告たぁ、酷すぎやしないか!? 大体、一ヶ月で絵が完成するわけないだろ! 」
爺さんと扉の間に体を滑り込ませると、必死で言い募った。
だってそうだろう? 俺の生命線が、今断たれんとしてるんだから。
パトロンを失った画家に明日はない。
上目遣いで顔色を伺う。
- 451 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:43:27 ID:DIsnwHsA0
- / ,' 3「……モララー様、貴方はここ一年絵を描いていらっしゃいませんね? 」
旦那様はそれを怠惰だとお考えのようです、そう言って、爺さんは本当に帰っていった。
ウツダ侯の言葉がグサリと突き刺さった。
畜生、そんなの俺が一番よくわかってる。
けれど、今の自分には描きたいものなんて何にもない。
胸からこみあげてくる、どす黒い不安を何とかやり過ごす。
やっと手に入れた安寧をみすみす手放すわけにはいかなかった。
とにかく何とかしなければ。
- 452 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:44:33 ID:DIsnwHsA0
- ( ・∀・)「取りあえず、酒飲みに行くか…」
部屋に籠もって悩むよりは、いくらかましだろう、そう理由をつけて、俺はボロボロの外套をつかんでバーへ向かった。
正直に言えば、昼間から飲んだくれるのが、後ろめたかっただけだ。
誰かに見られる事のないよう、足早に大通りまで歩いていった。
市場へと続く往来は、人で賑わっていた。
ウツダ侯がアトリエ代わりにと、与えてくれた住まいで唯一不満があるとすれば、酒を飲むにはこの通りを抜けないといけないところだった。
(#・∀・)「相っ変わらず混んでやがる」
- 453 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:45:46 ID:DIsnwHsA0
- ここを見ると、夢中で絵を描いていた頃の自分を嫌でも思い出す。
この一年で、すっかり人嫌いになっていた。
まだほんの小さなガキだった頃、俺は暇さえあれば絵を描いていた。
母親が仕事へ行くと、スケッチブックを携えて意気揚々と街へ出掛ける。
そして、できるだけ人の多い道を選んで道の端に座り込み、日がな一日スケッチをしていた。
あの頃から俺は、いっぱしの画家気取りだった。
まさか、大人になって描きたいものが無くなるなんて思わないだろう。
|゚ノ ^∀^)「今晩は何にしようか? 」
声を掛けられたのかと思って、はっとして顔を上げた。
追憶にぼやけた視界が、はっきりとした現実へ引き戻さる。
- 454 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:46:52 ID:DIsnwHsA0
- (* ´∀`)「お肉が良いモナ! 」
女は、俺の目の前にいたガキに向かって話し掛けていた。
三十台半ばくらいの美人とガキは三つかそこら。
二人は楽しそうに今晩の夕飯を考えていた。
|゚ノ *^∀^)「ふふふ。じゃあ、今日はシチューにしましょ。さっそく、お肉屋さんに行きましょうね」
(* ´∀`)「やったぁ。夕ご飯が楽しみモナ。」
早く飯が食いたいのか、母親の手を引いて急かす。
それは、ガキが好きじゃない俺が見ても、何とも愛らしい仕草だった。
女はやれやれといった調子で腰に手を当てて、にっこり笑ってみせると、息子と手をつないで市場の方へ歩いていった。
その一連の様子を、なぜか二人が見えなくなるまでぼんやり突っ立って眺めていた。
自分と比べ、幸せそうな親子の仲睦まじい様子が羨ましかったのかもしれない。
何より今は、思い切り酒を飲んで、全てを忘れてしまおう。
明日になれば、良い案も浮かんでいるかもしれない。
- 455 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:48:29 ID:DIsnwHsA0
- 昨日浴びるように飲んだ酒のせいで、最悪の目覚めだった。
窓から射し込む朝日が二日酔いに沁みて、思わず睨みつけるが、太陽は遠慮なく俺を照りつけていた。
( ;- Д-)「うえぇ、気持ちわりぃ」
唸りながら半身を起こす。
頭をがしがし掻き回してみても、けだるさは一向に抜けない。
いつもなら酒が抜けるまで、うだうだ寝っ転がっているのに、それがひどく勿体無い気がした。
( ・∀・)「スケッチブックと木炭だけでも買いにいくか……」
何となく落ち着かない気分で部屋の至る所に放り投げられた、衣服をかき集める。
手早く着替えて、いつものオンボロ外套を羽織ると、近所の画材屋へ向かった。
- 456 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:51:21 ID:DIsnwHsA0
- 画材屋は市場を抜けた、細い小道を行けばすぐ近くに店を構えていた。
ついでに露天に寄り道し、朝食を手に入れる。
(;・∀・)「うぅむ、やっぱし朝は人が少ないかぁ……」
通りをキョロキョロ見回して、独りごちた。
画材屋の親父をせっかく叩き起こしてスケッチブックを買ってきたのだから、描かなきゃ親父も浮かばれない。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなって、モデルになりそうなやつを探していた。
いきなり出鼻をくじかれたが、まぁ、いないものはしょうがない。
( ・∀・)「気を取り直して、場所の確保しますかね」
さっき彷徨いていたときに見つけた、小さな噴水の縁に座る。
ここに陣取っておけば、大体見渡せそうだった。
買ってきたサンドイッチをかじりつつ、通りを眺めてぼんやりしていた。
恨めしげな画材屋の顔がよぎって、ちょっと後ろめたい。
- 457 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:52:15 ID:DIsnwHsA0
- ( う∀`)「まだ、眠いモナー」
昨日のチビだった。眠たそうに目を擦っている。
|゚ノ ^∀^)「あらあら、寝ぼすけさんね。でも、今日はダメよ? 教会にお祈りしに行くんだから。」
女は頭をそっとなでて、チビを抱き上げると、教会のほうへ歩き出した。
何を唐突にとか、血迷ったのか? とか、太陽にあてられたのかだとか、どう考えても言われるだろうから、先に言い訳しておこう。
俺は女に邪な感情を抱いたわけでも、ガキを拐かそうとしたわけでもない。
自分でも、よくわからない何かに突き動かされたとしか言いようがない。
何だか妙に二人のことが気になって、少し距離をとると、後からついて行くことにした。
後少しだけ、あの親子と一緒にいたかった。
- 458 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:53:23 ID:DIsnwHsA0
- 教会は市場を抜けた先にある、小高い丘にあった。
街から少し離れた所にあるから、余程信心深い奴じゃない限りここに来る者はいない。
ご多分に漏れず、ここに来たことは一度もなかった。
( ・∀・)(意外に立派じゃねぇか…… )
こじんまりした外観とは裏腹に、中は意外にしっかりしていた。
薄暗い屋内にステンドグラスの光が差し込んでいて、とても綺麗だった。
静まり返った聖堂の中で、二人の足音だけが響いていた。
二人はそのまま、聖母マリア像の許へ向かう。
俺は何気なく訪れた風を装って、長椅子に腰掛けた。
椅子がひんやり冷たくて、声を上げそうになってしまった。
しかし、追跡がバレてしまっては元も子もないので、歯を食いしばって耐える。
- 459 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:54:36 ID:DIsnwHsA0
- |゚ノ -∀-)「……。」
女は聖母マリア像の前へ赴くと、跪き祈りを捧げた。
随分と長い間、祈りを捧げていた。
椅子が冷たいんだから、床はもっと冷えて辛いだろうに。
悲しげな横顔は、まるで、
何かを悔いているようだった。
救いを求めているようだった。
その真摯な後ろ姿から目が離せない。
( ・∀・)(なんだ、この感じ? )
あぁ、俺は今、すごく絵が描きたいんだ。
|゚ノ ^∀^)「さぁ、帰りましょうか」
顔を上げた時には、苦悩していた女はどこかへ消えて、優しい母親の顔になっていた。
ガキは駆け寄ると女の脚に絡みついて甘えた。
- 460 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:55:57 ID:DIsnwHsA0
( ´∀`)「お祈り終わったモナ? 」
|゚ノ ^∀^)「終わったわ。帰ったらご飯すぐ作るからね。お昼、何が食べたい? 」
( *´∀`)「お肉モナ! 」
|゚ノ *^∀^)「えーまたぁ? 」
二人はくすくす笑いあって、教会までの道のりを引き返して行った。
さっきの光景が嘘のように、穏やかな日常が戻っていた。
扉がパタリと閉まり、二人が家に入っていくのを見届けると、俺は踵を返して駆け出した。
- 461 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:56:56 ID:DIsnwHsA0
(;・∀・)「早く! 絵の具を買わねーとっ!」
足がもつれ、何回も転びそうになる。
気持ちだけが前へ前へと行こうとするのを、何とか抑えた。
早くしないとあの瞬間を忘れちまう。
画材屋の親父は、俺が一日に二回も、しかも二回目は息を切らしてやってきたから笑っていた。
- 462 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:58:07 ID:DIsnwHsA0
- 絵の具を手に入れてからは、もう夢中で描いた。
体力の限界まで描いて、ぶっ倒れて、ベットで死体みたいに寝た。
ウツダ侯との約束を、忘れたわけでもなかったが、とっくに日付の感覚なんてなかった。
そんな事すら忘れるくらい、俺は必死で描いていた。
( ・∀・)「できた……」
イエスを抱く聖母マリアの母子像――会心の出来だと思った。
きっと、俺は今後絵を描いても、これを超えるものを描くのは無理だろうと思うくらいに。
◆No.90
(* ・∀・)「描けた……。マジで完成したんだ! 」
嬉しくって、どうしたらいいかわからない。
俺は、馬鹿みたいにやった、やったって呟いて部屋の中をぐるぐる歩き回っていた。
(;・∀・)そ「あっ、ウツダ侯に見せねーと!」
俺の家にやってきたクソジジイにも見せてやろう。
絵に興味があるとは、とても思えないが。
――でも、その前にどうしても先に見せたい人がいた。
思いつくやいなや、部屋を飛び出した。
外套を忘れたが、そんなことを忘れるくらい気分が高揚していた。
俺はあの親子の家に向かって、大通りを一気に走り抜けた。
- 463 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 12:59:06 ID:DIsnwHsA0
- (;- ∀-)「はぁ、はぁ……」
急に走ったせいか、体は悲鳴をあげていた。絵を描いていた間、ほぼ不眠不休だったんだから無理もない。
扉の前で一呼吸おいて、息を整える。
(;・∀・)「っていうか、勢いで家の前までまで来ちまったけど……」
急に見ず知らずの人間が家までやってきて、挙げ句の果てに『絵が完成したんで、見にきてください。』って言われて、他人の家にほいほいついて行くだろうか?
俺なら行かない。
ここに来てしまったことが、急に恥ずかしくなってきた。
俺は一気に肌寒さを感じて、外套を持ってこなかったことを後悔し始めていた。
(( >∀<))「ぶえっくしょい! 」
|゚ノ ^∀^)「どなたかそこにいるの? 」
俺のでかいくしゃみのせいで、女が気づいてしまったらしい。
窓から顔を出して、こっちを覗いていた。
- 464 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:00:02 ID:DIsnwHsA0
- (;・∀・)「俺は……、その」
いざ話そうと思っても、どうやって切り出したらいいのかわからなくて、俺は黙り込んだ。
まず、信用してもらえるかどうかも怪しい。
|゚ノ *^∀^)「……? ああ! あなた大通りで絵を描いていた人でしょう? 教会にもいたわよね? 」
俺が誰だか知れると、ぱっと笑顔になった。
つけていたことが、ばれていたことに狼狽える。
一度か二度見掛けた人間を、よく覚えているもんだ。
彼女はそれには構わずに、ちょっと待って下さいね、そう言って玄関まで回って扉を開けた。
|゚ノ ^∀^)「うちに何かご用? 」
俺を見上げて首を傾げる。
こうなったら、用件を言うしかない。
- 466 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:01:06 ID:DIsnwHsA0
- (;・∀・)「あの、俺、アルベール・モララーって言います。あんたが知っての通り、しがない絵描きだよ。今日はお願いがあって来たんだ! 」
しどろもどろになりながら、俺は怪しい人間じゃないこと、絵が完成したこと、親子をモデルにしたこと、作品を見にきてほしいこと必死で伝えた。
彼女は時折うなずくだけで、終始黙って聞いていた。
|゚ノ ^∀^)「……。勿論行くわ。支度をするから少しだけ、待っていて下さいね。」
少し逡巡すると、頷いてにっこり笑った。
すぐに支度しますから、言い終わるとさっさと奥に引っ込んでいく。
( ・∀・)「あの! ガキ……いや、息子さんは? 」
できればあのチビにも見せてやりたかったので、俺は彼女がいる方へ声を掛けた。
|゚ノ ^∀^)「あぁ、今お昼寝してるの。きっと、たくさん遊んだから疲れたのね。……ごめんなさいね」
( ・∀・)「いや、寝ちまったんなら良いんだ。そのまんまにしといてくれよ。息子さんおいて、外へ出てしまって大丈夫かい? 」
|゚ノ ^∀^)「少しの間だけならね」
浅葱色のショールをさっと羽織ると、先に外へ出ていった。
俺もそれにならう。
|゚ノ* ^∀^)「早く行きましょう。絵が見たいわ」
- 467 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:02:15 ID:DIsnwHsA0
- 二人並んで道を歩いた。
俺も女も二人揃って黙りを決め込んで、ひたすら歩くもんだから、道行く人のちょっとした会話がやけにはっきり聞こえた。
さすがに気まずくなって、何か話題はないかと探してみるが、俺の空っぽの頭じゃ気の利いた言葉一つ思いつかなかった。
こういう時、己の不器用さが憎い。
気づいた頃には自分の家の目の前だった。
( ・∀・)「さぁ、俺の力作をとくと、ご覧あれ! 」
さっきの気まずさの挽回だと言わんばかりに、おどけた調子でお辞儀をして、扉を開ける。
女を中に招き入れ、カンバスに掛けていた布をぱっと捲った。
- 468 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:03:03 ID:DIsnwHsA0
- 彼女は一瞬目を見開くと、じっと絵を見つめた。
見開いた瞳は僅かに震えていた。
次第に色を失っていく頬は、教会で見た聖母像のように真っ白になっていた。
青ざめた唇が、言葉を紡ぎ出す。
- 469 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:03:51 ID:DIsnwHsA0
- |゚ノ ^∀^)「やっぱり、貴方は気づいていたのね。だって、この母親はこんなに醜いんだもの」
(;・∀・)「……は?」
俺は言ってる意味が分からなくて、呻き声ともとれるような呟きを漏らした。
彼女は俺のほうに向き直ると、次はこっちを見つめた。
顔にはあの、包み込むような微笑みを湛えて、じっと俺の言葉を待っていた。
言葉を反芻しているうちに、ようやく彼女が言いたいことがわかってきた。
絵の出来があんまりにも悪いから、怒っているんだ。
例え見当違いだとしても、そうであってほしいと、強く願った。
(;・∀・)「気を悪くしたんなら、ごめんよ。けど、俺には最高の出来だったんだ。」
- 470 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:04:42 ID:DIsnwHsA0
- 遮るように、女が口を開いた。
お願いだ、もう喋らないで。
嫌な予感がする。
この先の言葉を聞きたくない――。
|゚ノ ^∀^)「ねぇ、本当は知っていたんでしょ?ずっと私達のことを見ていたものね?間が良すぎるんだもの。
私ね、貴方がいらしたとき、絞めていたのよ。そう、力一杯、絞めたの。モナーの……息子の首を」
彼女が数歩、俺に近づいてきた。
((;・∀・))「あ、あ……あ」
俺は、ひきつけを起こしたみたいに震えていた。
唇が固まって、上手く言葉が出てこない。
いやいやをして彼女が近づいた分、後ずさった。
狭い部屋の中で、逃げ場なんてどこにもなかった。
|゚ノ ^∀^)「ぐったりしていたわ、あの子。きっともう、死んでいるわね?」
- 471 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2012/11/19(月) 13:05:48 ID:DIsnwHsA0
――――ほほほほほ……――――
女の笑い声がいつまでも、いつまでも、狭い部屋の中でこだましていた。
カーテンから漏れる夕日に照らされた彼女は、さながら俺が描いた母子像のようだった。
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