o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第六話 制服のあの子が泣いてた

222 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:05:10 ID:G7xN1/5c

( -∀-)「ん……むう……」

けたたましいアラームの音で目を覚ます。
枕もとの時計に目をやると、ちょうど七時半。
どうやら、二学期の最初から遅刻はしなくて済みそうだ。

( ・∀-)「ふあ……」

二度寝してしまわないうちに、目をこすりながらベッドから降りる。
制服に着替え終わるころには、眠気もすっかり覚めていた。

( ・∀・)「よし、準備ばっちり」

夏休み中でも早寝早起きしたおかげだろうか。
体は以前とと変わらないバイオリズムを保っていた。
朝食の献立に思いを馳せながら、階段を降りてリビングへ向かう。

( ・∀・)「母さーん、今日の朝ご」

o川*゚ー゚)o「このトースト超おいしいです! さっすが専業主婦してるだけありますね!」

ζ(゚ー゚*ζ「あらあら、キューちゃんったら嬉しいこと言ってくれるじゃない」

( ^ω^)「女の子がいると家が賑やかになるおー」

( ・∀・)「」

リビングに入ると、なぜかキュートが我が家で朝食を食べていた。

223 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:10:09 ID:G7xN1/5c
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第六話 制服のあの子が泣いてた













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224 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:15:07 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「な、なんでいるんだよっ!?」

o川*゚〜゚)o「んーっとね、んぐんぐ……今日から二学期でしょ?
       夏休みの間に髪型変えた、とか髪染めた、とかあるじゃん?
       それが早く見たくて……あむっ……とりあえずモララーのとこに来たの。
       でも変わってないね、つまんない。あ、焼けた。バター取ってください」

キュートは説明しながらどんどんトーストを頬張っていく。
遠慮、という言葉を知らないのだろうか。

(#・∀・)「食べながら喋るな少しは遠慮しろその最後の一枚は僕に食べさせろおおお!」

o川#゚д゚)o「モララーのケチー!」

僕が皿ごとトーストを奪い取ると、頬を膨らませながらキュートが取り返そうとしてくる。
迫ってくるキュートの額を、すかさず空いた方の手で押さえた。
前に進めなくなったキュートの両手は、トーストに届くことなくむなしく空を切る。

o川*;д;)o「あーん! とーどーかーなーいー!」

(#・∀・)「僕が来る前にさんっざん食べただろうが!」

o川#;д;)o「全然食べてないもん! 三枚しか食べてないもん!」

(#・∀・)「六枚切りを三枚食べてが何が全然だあああ!」

225 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:20:56 ID:G7xN1/5c

(#・∀・)「ふんっ!」

o川;゚д゚)o「あぁーっ!!」

一瞬のすきをついてトーストを口に運ぶと、途端にキュートの力が弱まった。

o川*;д;)o「キューちゃんが大事に大事に育てたトースト……」

名残惜しそうに言いながら、キュートはその場に崩れ落ちた。
しかし、どんな理由があってもこの一枚だけは失うわけにはいかない。
ようやくありつけた朝食を、ゆっくりと噛みしめる。

(;‐∀‐)「……冷めてる」

長く小競り合いしすぎたんだろう。
ふわふわだったはずのトーストは、よく噛んで食べざるを得ない状態だった。

o川*;д;)o「キューちゃんにおいしく食べられるはずだったのに……」

(;・∀・)「そもそも僕の朝ご飯になるはずだったんだよ!」

キュートはいまだにトーストを諦めきれないらしい。
僕が仕方なく牛乳で胃に流し込んでいる間も、そんなことを言っていた。

226 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:25:28 ID:G7xN1/5c

ζ(゚ー゚*ζ「あらら、明日からふたつ買ってこないといけないわねぇ」

(;・∀・)「なんで毎日キュートが来る前提なの!?」

僕らの意思を差し置いて、母さんが当たり前のように言ってのける。
そのうちキュート専用の食器とか用意しそうで怖い。
そうなるとキュートも調子に乗って、遠慮なく家に来るようになりそう気がする。

( ・∀・)(キュートが毎日家に来るのは……まあ、うん。悪くは)

( ^ω^)「のんびりするのはいいけど……時間まずいんじゃないかお?」

( ・∀・)「え?」

ぼんやりしていると、父さんの気まずそうな声が聞こえた。
定まっていなかった視線を、壁にかけられた時計に向ける。

( ・∀・)「」

いつも家を出ている時間を、とっくに過ぎていた。

227 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:30:07 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「ああああああああ!!! まずいいいいいいいいいいい!!」

慌てて階段を駆け上がって、自分の部屋へ飛び込む。
机の上に置いてある鞄をひったくるように掴み、再びリビングへ戻った。

(;・∀・)「おい、キュート!! 早く行かないと遅刻するぞ!!」

いまだに床に座りこんでいるキュートの腕を引いて、立つように催促する。

o川*;д;)o「やだー! トーストもう一枚食べるまで動かないー!」

(#・∀・)「お前は子供かあああああああああああ!!」

o川*;д;)o「子供だもん! 永遠のティーンエイジャーだもん!」

駄目な意味で開き直ったキュートは、手足をじたばたさせて駄々をこねる。
トーストが食べたくて駄々をこねる女子高生なんて、全国探してもこいつくらいだろう。

(#・∀・)「ティーンエイジャーだってもっとしっかりしてるわああああああ!
        早く行かないと新学期早々遅刻するんだよおおお!
        早く行っても遅刻だろうけどさあああああああ!」

o川*;д;)o「キューちゃんは走れば今からでも間に合うもん!」

(;・∀・)「そういえばそうだったあああああああ!!!」

228 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:35:16 ID:G7xN1/5c

ζ(゚ー゚*ζ「あまりモララーを困らせないであげて、キューちゃん。
        今度はいっぱい買っておいてあげるから、ね?」

o川*゚ー゚)o「ほんとですかぁ!? じゃあ学校行ってきます!」

(;・∀・)(あっさり陥落したあああああああああ!)

母さんの話を聞いたキュートは、さっきまでのわがままっぷりが嘘のように態度を改めた。
そして、次の瞬間には立ち上がって、玄関まで駆けていくのだった。

「ねー、モララー置いてっちゃうよー?」

(;・∀・)(僕よりトーストの方が大事なのか!? そうなのか!?)

そう考えると、なんだか目の奥が熱くなってくる。
なんとも言えない胸のもやつきを抱えたまま、キュートのあとを追って玄関へ向かおうとした。

( ^ω^)「「モララー」」ζ(゚ー゚*ζ

( ・∀・)「ん?」

背後から父さんと母さんが僕を呼び止めた。
どこか変なところでもあるのか、と自分の体を見てみても、特に何もない。
不思議に思って顔を上げると、ふたりが真剣な面持ちで口を開いた。

229 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:41:48 ID:G7xN1/5c

( ^ω^)「大丈夫だお、お前は父さんと母さんの自慢の息子。
      気にしなくてもトーストなんかに負けちゃいないお」

ζ(゚ー゚*ζ「だからあまり気を落とさないで。もっと自信を持つのよ」

(;・∀・)「……あー、うん。それじゃいってきます」

なんだかよく分からない励ましを受けた。
どう反応したらいいのかも分からなかったので、無難に返事をして玄関へ向かう。

( ・∀・)「あれ? キュート?」

しかし、玄関にいたはずのキュートがどこにもいなかった。
靴もなかったので、たぶん外にいるんだろう。
さっさと靴を履いて、僕も外へ出る。

(;・∀-)「うおっ、まぶしっ!!」

出た途端にまばゆいな光が、僕の目に飛び込んできた。
思わず顔を腕で覆って、横へ逸らしてしまう。

「あははは、びっくりした!?」

230 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:45:15 ID:G7xN1/5c

声のした方へ視線を向けようとすると、また光が僕の目に飛び込んできた。
手のひらで光を遮りながら、なんとか声のする方に向く。

(;・∀-)「……おい、キュート」

o川*゚ー゚)o「遅いってばー、キューちゃん待ちくたびれちゃったよ!」

手鏡で僕の顔を照らして笑いながら、キュートはそう言った。

o川*゚ー゚)o「罰ゲームのキューちゃんシャイニングビームはどうだt」

(#・∀・)「トーストで駄々こねて人を待たせたやつの態度かあああああああ!!」

o川;゚д゚)o「モララーがわりと本気で怒ったー!」

キュートは踵を返すと、あっという間に残像を残してその場から消え去った。
逃げたといっても、どうせ行き先は学校以外にない。
僕は急いで自転車にまたがり、生ぬるい風を切って通学路を走りだした。

(#・∀・)(久しぶりにいっしょに学校行けるって思ったのに散々人を振り回しやがってええええ!!!!)

o川;゚д゚)o「うぇぇっ!? モララーはやっ! 追いつかれる!?」

これからの人生で、こんなに速く自転車を漕げる日はもう来ないだろう。
走って逃げるキュートにみるみる迫る自分を、どこか客観的に見ながらそう思った。

〜〜〜〜〜〜

231 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:50:17 ID:G7xN1/5c

(#・∀・)「いいか、社会に出ればいままで以上に周りに対して気を配らないといけなくなるんだ。
      そして僕たちはいま高校生。社会に出るまでの練習期間なわけだ。だけど、そんなもの呆けているとあっという間に終わる。
      いまからでも遅くはない、少しは自分の周りに目を向けてみろ。気を配ってみろ。そうすれば……」

o川;´д`)o「わかったよぉ、わかったからもうお説教はやめて……」

始業式が終わって、体育館からの帰り道。
弱り果てた顔でキュートが振り返って呟く。

(#・∀・)「都合よく男女に分かれて並んで出たのに、キュートが僕の前にいたからね。
      てっきり説教の続きが聞きたくて仕方ないと思ったんだよ」

o川;´д`)o「なんで近付いちゃったんだろ……キューちゃんのバカ……」

自分の頭を抱えて、アホの子だとでも言わんばかりのリアクションを取る。
ちなみにキュートに追いついたおかげか、僕は奇跡的に遅刻せずに済んだ。
そこだけは感謝すべきなのかもしれない。

(#・∀・)「バカなら仕方ない。また最初から言ってやろうか、理解できるまでな」

o川;´д`)o「誰か助けて……へるぷみー……」

遅刻の心配がなくなった僕は、溜まりに溜まった鬱憤を説教という形でぶつけた。
始業式で中断させられたけど、こうして再開していまに至っている。

232 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 20:55:08 ID:G7xN1/5c
  _
( ゚∀゚)「助けを求めるキューちゃんの声を聞いて参上!
      さあキューちゃんを離せ、怪人モララー!」

o川;゚д゚)o「ジョルくん助けてー! キューちゃん洗脳されそう!」

(;・∀・)「なんだこの小芝居……」

ぼそりと呟いたキュートの声を聞いたのか、ジョルジュがどこからともなく現れた。
そして、ヒーローショーのごとくポーズを決めて、僕を怪人呼ばわりする。
  _
( ゚∀゚)「安心しろキューちゃん! すでに手は打ってある!」

o川;゚д゚)o「な、なんだってー!?」

親指を突き立てたジョルジュに、キュートが棒読みもいいところの合いの手を入れる。
そして、キュートに爽やかに笑いかけながら、ジョルジュは力強く言い放った。
  _
( ゚∀゚)「実はこのあと、席替えがある! つまりキューちゃんはモララーと離れる!
     いくら怪人モララーとはいえ、離れた相手に説教など不可能!」

(;・∀・)「席替えって別にジョルジュが手を打ったわけじゃないだろ!?」

見事すぎるほどに勢いだけで、内容が伴っていなかった。

233 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:00:06 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「モララーに説教されなくなるよ! やったねジョルくん!」
  _
( ゚∀゚)「俺の手柄ってことで、ここは御褒美にキューちゃんのお」

(#・∀・)「おい」
  _
(;゚∀゚)「イエ、ナンデモナイデス」

肩を叩いてひと言、声をかける。
少しだけ僕の顔を見たジョルジュは、謝罪の言葉を最後に何も言わなくなった。

( ・∀・)(席替え、か)

説教はともかく、冷静に考えればあまり喜ばしいことじゃない。
席が離れれば当然、キュートと会話する機会も減るだろう。
そして、その間にキュートと親交を深めるクラスの男子。

(;・∀・)(やがてふたりは……いやいやまずいまずい)

o川*゚ー゚)o「ふたりともどうしたの?」
  _
(;゚∀゚)「ナンデモナイヨ……ハハハ……」

(;・∀・)「そ、そうそう……」

適当にはぐらかしている間も、生徒たちの列は教室へと進んでいく。
いまは周囲のクラスメイトが、羊の皮を被った狼に見えて仕方がなかった。

〜〜〜〜〜〜

234 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:05:17 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「結局前と変わらなかったね!」

振り返りながらキュートが話しかけてくる。
机の位置は変わったけど、キュートが僕の前の席というのは変わらなかった。

「またかよ……なんだよ……主人公補正でも働いてんのかよ……」

「せっかく隣になったのに……向いてくれるのは後ろばかり……」
  _
( ;∀;)「遠くだからイチャつかれてもよく見えないもんねー、わーい……」

(;・∀・)(一学期より居心地悪っ!!)

その代償、とでも言えばいいのだろうか。
僕への羨望というか、殺気というか、怨念のようなものは一層その強さを増していた。

(゚、゚;トソン「……席も変わって心機一転したところで、次へ進んでいいでしょうか」

暗い空気の漂う教室をぐるりと見渡してから、気まずそうに先生が口を開いた。
本当に問題ないのか、答える余裕がないのか分からないけど、反対の声は聞こえない。
確認するかのようにもう一度教室を見渡してから、先生は黒板に向かう。

235 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:10:14 ID:G7xN1/5c

(゚、゚トソン「はい、黒板にも書きましたが文化祭での出し物についてです。
      これを決めるまで今日は帰れません!」

綺麗な文字で「文化祭の出し物」と書いた先生が、振り返って言い放った。
えー、という不満げな声があちこちから聞こえてくる。

o川;゚д゚)o「えぇーっ!? キッズウォーの再放送をみるという大事な用事があるのにっ!」

(;・∀・)「いや、確かに夏休み終わっても続いてるから気になるけどさ!」

目の前にいるキュートも、そんな声の発信源のひとつだった。
教室がにわかに騒がしくなり始める。
それを遮るかのように、先生の凛とした声が響いた。

(゚、゚トソン「早く帰りたいなら早く決めればいいんですよ。
      食品を扱う出し物は一年時には禁止されていますので、それ以外でお願いします」

( ・∀・)「なんかいいのないかな……」

頬杖をついて文化祭の風景を思い浮かべる。
喫茶店、展示、劇、ゲーム。ぱっと浮かんだのはそれくらいだ。
喫茶店は無理だから、必然的に残り三つから選ぶことになる。

236 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:15:29 ID:G7xN1/5c
「劇とかどうですか!?」

「なんかゲームしましょうよ!」
  _
( ゚∀゚)「クラスの女子全員のおっぱいをかたどったオブジェをですね」

(゚、゚トソン「ジョルジュ君、あとで職員室に来てください」
  _
(;゚∀゚)「冗談ですごめんなさいすいませんでしたぁっ!」

思い浮かべたそばから、黒板は同じ意見で埋まっていった。
みんな考えることは大体いっしょ、ということだろう。

(゚、゚トソン「まだ他に意見があるという人はいませんか?」

手を上げる人が誰もいなくなって、教室が静かになる。
切り上げるために先生が最終確認を取ったときだった。

o川*゚ー゚)o「はい! はいっ!! はああい!!!」

キュートが勢いよく立ちあがり、ぴょんぴょんと跳ねながら手を挙げた。

237 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:20:19 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「キューちゃんは気付いたの、いままで挙がった案に足りないものに!」

「「「な、なんだってー!?」」」

台本でも用意されているかのように、教室中から驚きの声が上がった。
みんなの注目の視線を浴びながら、なぜかキュートは教卓に向かっていく。
そして、チョークを手に取ると黒板に大きく文字を書いた。

o川*゚ー゚)o「それはね……具体例だよっ!」

書かれた文字をばんばん、と叩きながらキュートはみんなの方へと向き直った。
勢いを重視し過ぎたのか、書かれた文字は言われなければと『具体例』とは読めない汚さだ。
しかし、それを気にすることなくキュートは話を続ける。

o川*゚ー゚)o「劇ならどんな劇をするのか。
       ゲームならどんなゲームをするのか。
       なにか作るならなにを作るのか。
       それを決めるために、これからさらに時間を取られるに決まっているんだよ!」

(;・∀・)「キュートがまともなことを言っている……だと……?」

想像すら出来なかった光景に、思考が口からそのまま出てしまう。
戸惑いを隠せずにいるとキュートは胸を張り、それから息を大きく吸い込むと、声高に宣言した。

238 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:25:12 ID:G7xN1/5c

o川*゚д゚)o「だからキューちゃんは……ここで具体例としておばけ屋敷を提案します!!!」

「灯台もと暗しだった……しかし、灯台の下にはキューちゃんがいたんだな」

「これがキュートさんの77の能力のひとつ……相手は死ぬ……」

周りの席から納得の意見が続々と僕の耳に入ってくる。
ざわつく喧騒の中を、キュートは颯爽と戻ってきた。
僕の気のせいだろうか、どことなく表情がいつもより凛々しく見えた。

(;・∀・)「どうしたんだキュート……こんなのお前のキャラじゃないだろ……?」

まるで、どこか遠くに行ってしまったかのような感覚すら覚える。
知らないものに初めて触れるみたいに、おそるおそる、その横顔に呼びかけてみる。

o川*゚ー゚)o「キッズウォーまでに家に帰りたいキューちゃんに死角はないっ!」

僕の心配を粉々に砕くようなどや顔で、キュートは右手の親指を天へと突き上げた。

(;‐∀‐)「なるほどね……」

さっきまでの自分があまりに馬鹿馬鹿しくて、頭を抱え込む。
僕はどうやら、キュートのことになると大げさに考えすぎてしまう傾向があるらしい。

239 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:30:15 ID:G7xN1/5c

(゚、゚;トソン「ええと……他に意見がある人はいませんか?
      なければこの中からひとつ選んで手を上げてください」

異様な空気の中、先生が本来の目的を思い出させるように問いかけた。
挙げられた順番に多数決を取っていくが、上げられる手はまばらだ。

(゚、゚トソン「おばけ屋敷がいい、という人」

一番最後の案が読み上げられる。
途端に、教室中の手が一斉に上げられた。

(゚、゚トソン「それでは、おばけ屋敷に決定ですね」

もはや数えるまでもない、といった調子で先生は結論付けた。

(゚、゚トソン「これでホームルームは終わりです。みなさん文化祭に向けて頑張りましょう」

先生がそう告げると、教室は一気に騒がしくなる。
みんな内心は早く帰りたくて仕方なかったんだろう。

o川*^ー^)o「わーい! やっと終わったよぉー!」

嬉しくてたまらないといった感じで、キュートが大きく伸びをした。
そして、すぐに鞄へ勉強道具を詰め込んでいく。

240 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:35:06 ID:G7xN1/5c
o川*゚ー゚)o「準備完了! じゃあねモララー、文化祭楽しみだねっ!」

(;・∀・)「ああ、じゃあなキュー……ってもういないし」

言い終わるより先に、キュートの姿は目の前から消えていた。
あそこまで急いで帰るあたり、相当楽しみにしているらしい。

( ・∀・)「僕も帰るか……」

午前で終わる予定だったから今日は弁当を持ってきていない。残るなら昼食は自腹になってしまう。
幸いそんな予定もないから、おとなしく帰って節約することにしようと思った。

〜〜〜〜〜〜

241 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:40:15 ID:G7xN1/5c

あっという間に月日は過ぎて、文化祭が目前に迫っていた。
ここ最近の放課後は、クラスみんなで残って小道具を作る日々が続いている。

「あ、そこのガムテープ取って」

( ・∀・)「ん……はい」

「サンキュー」

いまやっているのは背景作りだ。
順路の両側に置くための壁や、おどろおどろしいお墓といったところだ。
  _
( ゚∀゚)「モララー、これ倉庫に運ぶの手伝ってくれ」

ジョルジュが完成した壁を軽く叩きながら誘ってくる。

( ・∀・)「おお、分かった……せーのっ」
  _
( ゚∀゚)「よっし、行こうぜ」

息を合わせて壁を持ち上げる。
周りに気を付けながら教室を出て倉庫へと向かった。

242 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:45:13 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「いつ来てもほこりっぽいというか、こもってる……?」
  _
( ゚∀゚)「ささっと置いて戻ろうぜ。息苦しくてたまんねえ」

( ・∀・)「そうだな……ん?」

僕らのクラスの小道具を置く場所のすぐ脇。
影になっててよく見えないけど、何かが置かれてある。

(;・∀・)「うわっ!!」
  _
(;゚∀゚)「な、なんだよ!?」

(;・∀・)「だ、っだだだっだ誰かいる!!!」

目を凝らして見てみると、それからは乱れた長い黒髪が生えていた。
大きさはちょうど、人がうずくまったくらいの大きさ。
さらに、髪の色とは対照的に、新雪のように白い着物がかけられている。

243 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:50:15 ID:G7xN1/5c
  _
( ゚∀゚)「ん……?」

(;・∀・)「ちょっ、何してんだよ!? 逃げようよ!!」

心霊的なことをしていると本物が寄ってくると聞いたことがある。
鼓動が高鳴って、脳が警鐘を最大音量で鳴らしている。
僕は声を荒げて余裕の態度を見せるジョルジュに呼びかけた。
  _
( ゚∀゚)「ああ……大丈夫だよ。これ、うちのクラスで使う衣装だ」

(;・∀・)「……へ?」
  _
( ゚∀゚)「モララーってヘタレだったんだな……ははっ」

(;・∀・)「う、うるさいな!!」

さっきとは違って、今度は恥ずかしさで鼓動が高鳴る。
からかわれながらも、壁を他の小道具と一緒のところに置いた。

244 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 21:55:52 ID:G7xN1/5c
  _
( ゚∀゚)「ったく、よく見れば分かんだろこれぐらい」

( ・∀・)「そういえば……こういうの作ってるところ見た気がするな」

改めて近寄って眺めてみる。
正体さえ分かってしまえば、こんなの怖くもなんともない。

( ・∀・)「なんでこんなのにビビってたんだろう……」

じっくり眺めてみようと思い立って、カツラを手に取ろうとした。

(;・∀・)「えっ!?」
  _
(;゚∀゚)「はぁっ!?」

手が届こうとした瞬間、目の前からカツラが消え去った。
それだけじゃない、衣装も消えている。
いったい何が起こったのか。それを理解する前に。

「……うらめしや」

背後からぼそり、と低い声が聞こえた。

245 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:00:32 ID:G7xN1/5c

o川д゜川o「うらめしやあああああああああ!!!!」

(; ∀ )「」
  _
(; ∀ )「」

頭が真っ白になって、言葉も出せず足元からその場に崩れ落ちた。
動こうとするけど、体が言うことを聞いてくれる気配はない。
本当に恐ろしい体験をしたとき、人は何もできなくなるらしい。

o川д川o「……ぷっ」

(; ∀ )「……?」

o川*д川o「あっはははははは! あーおかしい!」

どれほど固まっていただろう。
静寂の中に、聞き慣れた笑い声がこだました。

(;・∀・)「あ……れ?」

ようやく強張っていた体が動き、後ろに振り返る。
広がる視界の先で、小道具もとい幽霊が笑い転げていた。

246 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:05:41 ID:G7xN1/5c

o川*д川o「ふたりとびびりすぎ……お腹痛いぃ……!」

( ・∀・)「……」

いまだにぷるぷると震える幽霊に近付いていく。
向こうが僕に気付く気配はない。

( ・∀・)「ていっ」

「あっ!」

振り乱された黒髪を掴んで取り払うと、

(;・∀・)「……やっぱりお前か」

o川;゚ー゚)o「あ、バレた?」

見慣れた顔が現れた。

247 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:10:31 ID:G7xN1/5c

( ・∀・)「……何やってんだ?」

o川*゚ー゚)o「いやね、せっかく衣装も小道具もできたから誰か驚かそうと思って。
        そしたらさ、モララーが倉庫へ行くっていうじゃん。
        だからキューちゃんは先回りしてスタンバイしておいたんだよ!」

両手の親指をグッと立てて、僕の眼前に突き付けてきた。
よほど思い通りにいったのか、キュートの表情はいきいきとしている。
日も暮れ始めて、薄暗い倉庫の中でも輝いて見えた。

(#・∀・)「そうか、それはよかったな」

o川*゚ー゚)o「うん! でも、まさかここまでうまくいくなん」

(#;∀;)「いきすぎなんだよバカ野郎がああああああああ!!!」

o川;゚д゚)o「うんにゃああああああっ!?」

大成功の余韻に浸ろうとするところを、ヘッドロックで阻止した。
僕の背後でキュートの体がじたばたと暴れる。

248 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:15:09 ID:G7xN1/5c

(#;∀;)「時と場所ってものがあるだろうがよおおおおおおおおお!!」

o川;゚д゚)o「え、選んだ結果がこれ……いひゃいー! やあー!」

弁解しようとするキュートの頬を、空いている方の手でつねる。
より強くキュートが暴れるが、体勢的には僕の方が有利だ。

(#;∀;)「見ろ、ジョルジュなんかまだ魂抜けたみたいになったままなんだぞ!!」
  _
(  ∀ )「」

o川;゚д゚)o「ろれんあひゃい! もえんあはい!」

こうして時に騒がしく、準備に追われる日々は矢のように過ぎていった。
ちなみに、このあと目覚めたジョルジュは
  _
( ゚∀゚)『おっぱいの大きい天使さんが手を引いて川へ連れてってくれたんだよ。
      そしたらさ、川の反対側で遺影でしか見たことないひいじいちゃんが手振ってたわ」』

ということを話してくれた。

〜〜〜〜〜〜

249 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:20:34 ID:G7xN1/5c

( -∀-)「ふあ……おはよう」

ζ(゚ー゚*ζ「おはようモララー。はい、朝ご飯」

まだ重力にあらがえない目を擦りながらテーブルに着く。
僕の前にことり、とトーストが置かれた。

(;・∀・)「またトースト?」

(;^ω^)「仕方ないお、母さんが大量に買ってきちゃったんだから……」

トーストを一口かじって、諦めたように父さんが呟いた。
大きくため息をついてから僕もトーストにかじりつく。
当たり前だけど、味は食べ飽きた食パンだった。

( ・∀・)「今日の天気はどうですか、っと」

牛乳でトーストを流し込みながら、テレビに目をやった。
ちょうど清楚な美人のキャスターが天気情報を読み上げていく。
今日も明日も、その先にも太陽のマークが並んでいた。

ζ(゚ー゚*ζ「あらぁ、よかったじゃない。ずっと晴れよ」

( ・∀・)「うん、たくさん人が来てくれた方がいいしね」

明日はいよいよ文化祭だ。

250 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:25:35 ID:G7xN1/5c
「えー、ただいま入ってきた情報です」

天気予報が終わると同時に、神妙な面持ちの初老のキャスターが映された。
手に持った原稿らしき紙に目を配りながら、それを読み上げ始める。

「筋ジストロフィーの特効薬、通称SNOCを開発し、
 2000年のノーベノレ医学・生理学賞を受賞した荒巻博士が、
 先ほどシベリア市内の病院で亡くなったとのことです」

画面が穏やかな顔をした老人の写真に切り替わる。
横に簡単なテロップが表示された。

「死因はまだ発表されていません。今後情報が入り次第……」

(;^ω^)「この人死んじゃったのかお……」

( ・∀・)「父さん知ってるの?」

( ^ω^)「モララーはまだ小さかったから覚えてないだろうけど、受賞当時はすごかったんだお。
      テレビを付けると、どこかのチャンネルには出ているくらいだったんだお」

( ・∀・)「ふーん……」

視線を父さんからテレビに戻すと、すでに画面は次のニュース番組に変わっていた。
そして、右上に表示されている時刻は八時ちょうど。

251 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:30:36 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「ああっ! やばい、遅刻する!」

慌てて立ち上がってトーストを無理矢理小さく折りたたむ。
大きく開けた口にねじ込み数回噛んで、牛乳で一気に流し込んだ。

(;・∀・)「行ってきまーす!」

「車に気を付けるのよー」

母さんの声を聞きながら、玄関を勢いよく飛び出した。
鞄を前かごへ乱暴に放り込んで、自転車にまたがる。

( ・∀・)「ひっく」

(;・∀・)「……食パン一気に食べたからか」

しゃっくりは学校に着くまでの間、止まることはなかった。

252 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:36:42 ID:G7xN1/5c
o川*゚ー゚)o「おはよ、モララー」

( ・∀・)「おはよう」

短い挨拶をかわして席に座る。
最近は殺気も弱まってきたので、ここにいるのが億劫じゃない。
こんな高校生活が続けばいい、そう思った。

(゚、゚トソン「ホームルームを始めます、みなさん席について下さい」

物思いにふけっていると、ドアを開けて先生が入ってきた。
いそいそとみんな自分の席に戻っていく。

(゚、゚トソン「明日は文化祭ですので、午後の授業はなしです。
      今日はみなさん怪我に気を付けて準備をしてください。
      文化祭実行委員は……」

( ・∀・)「なんか……わくわくしてきたな」

去年、志望校の候補の文化祭に行ったときを思い出す。
あのときは廊下ですれ違う生徒がみんな大人に見えていた。
今年は自分が大人に見られる番なのだろうか。

253 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:40:55 ID:G7xN1/5c

o川*゚ー゚)o「だよね、楽しみだよね!!!」

僕の呟いた独り言を聞いたのだろう。
キュートが体をこっちにひねって話しかけてきた。
僕を見つめる瞳は、綺羅綺羅としたビームが出そうなほど輝いている。

o川*゚ー゚)o「初めての文化祭だよ! 絶対今日寝れない!」

(;・∀・)「小学生かよ……」

思い返せば初めての体育祭も、海に行ったときもやたらはしゃいでいた。
小学生というのはあながち外れていないのかもしれない。

o川*^ー^)o「キューちゃんいっぱい驚かせるんだ!!
          家で怖い声を出す練習もたくさんやったんだよ!」

(;・∀・)「すごい念の入れようだな、おい」

o川*^ー^)o「それだけじゃないよ! たくさんホラー映画見てありとあらゆるパターンの……」

(;・∀・)「分かった分かった、キュートの努力は分かったから」

僕は、こうやって無邪気で、素直なところに惹かれたのかもしれない。

254 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:45:51 ID:G7xN1/5c

(゚、゚トソン「素直さん、素直さん」

o川*゚ー゚)o「はい?」

満面の笑みで喋っていたキュートに先生が呼びかけた。
キュートは顔だけ先生の方に向けて答える。

(゚、゚トソン「ホームルームが終わったら、私と一緒に校長室まで来てください」

o川;゚ー゚)o「先生、もしかしてキューちゃん……なにかまずいこと、しました?」

(゚、゚トソン「私も呼んでくるように言われただけなので……」

o川;゚ー゚)o「なんだろ……わかりました」

どうやらキュート自身に思い当たる節はないらしい。
しかし、身に覚えはなくても天然で何かやっていそうな気はする。

(゚、゚トソン「それではこれでホームルームを終わります。
      行きましょう、素直さん」

o川*゚ー゚)o「そういえば、一時間目移動なんですけど……」

(゚、゚トソン「それは事前に向こうの先生に連絡済みだそうです。
       遅れても問題ないですよ」

o川*゚ー゚)o「わかりました、じゃあ行きます。またあとでね、モララー」

255 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:50:22 ID:G7xN1/5c

僕に軽く手を振って席を立つと、キュートは先生といっしょに教室から出ていった。

( ・∀・)「しっかし、なんでなんだろうな……」

ふたりが出ていったドアを眺めながら、思案にふける。
当然だけど、答えは分からないままだった。

( ・∀・)「……移動するか」

キュートのことは気がかりだけど、僕があれこれ考えても仕方ない。
教科書を机を取り出すと、誰もいなくなった教室を出た。

( ・∀・)「LOVELETTER FROM HEART BEAT 今〜♪」

最近気にいった歌を口ずさみながら、無人の廊下を歩く。
人がいそうなところではなるべく小声だ。

( ・∀・)「心よりの恋便りあなたへ〜……あれ?」

移動先の教室が目前に迫ったとき、妙な違和感を覚えた。
なんだろう、と自分の体をぐるりと見渡してみる。

(;・∀・)「筆箱忘れた……」

ここに来るまでに気付かない自分に、我ながらあきれる。
ため息を漏らしながら、仕方なく教室への道を引き返し始めた。

256 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 22:55:33 ID:G7xN1/5c

(;・∀・)「やばいやばい、授業に遅れる!」

息を切らしながら廊下を駆けていく。
筆箱のせいで遅れました、なんて説明することだけはなんとしても避けたい。

(;・∀・)「よっし、着いた……」

開けっぱなしだった教室に、勢いのまま転がりこんだ、そのとき。



o川 − )o

誰もいないはずなのに、何故かキュートの姿があった。
俯いたまま机の上の鞄に勉強道具を詰めている。
前髪に隠されたその表情を、窺い知る事はできない。

(;・∀・)「ど、どうしたんだよ。早く移動し――」

o川 − )o

僕が言い終わるよりも早く、キュートの姿が消える。

(;・∀・)「っ!?」

次の瞬間、僕の体は見えない何かに突き飛ばされていた。
受け身を取る暇もなく、壁に思い切り頭をぶつけてしまった。

257 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 23:00:12 ID:G7xN1/5c
(;・∀・)「おい! いきなり……」

いきなりの暴力に対する文句は途中で途切れた。
それを聞く相手は、すでにこの場から消え去っていたからだ。

(;・∀-)「なんなんだよ……いつっ」

後頭部をさすりながら立ち上がった。
痛みからして、あきらかに手加減なしで突き飛ばされている。

( ・∀・)「ん……?」

ふと触れた自分の頬に、何かが付いていた。
手を見てみると、それは水のような無色の液体だった。

( ・∀・)「これ……何だろう」

僕しかいない教室に、チャイムの音が鳴り響く。
それでも僕はただただ、その場に立ち尽くしていた。

〜〜〜〜〜〜

258 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 23:05:12 ID:G7xN1/5c

「モララー、お疲れさん」

「ジョルジュ……ありがとう」

「文化祭、大盛況だったな」

「ああ」

「お客さん、たくさん来てたな」

「ああ」

「みんなすごい怖がってくれてたな」

「……ああ」

「……なあ、モララー」

「……」

「なんで……キューちゃん、来なかったんだろうな」

「……なんで、だろうな」

大盛況に終わった文化祭。
そこにキュートの姿は、なかった。

259 名前: ◆LemonEhoag[] 投稿日:2016/09/13(火) 23:07:16 ID:G7xN1/5c
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o川*゚ー゚)oは残像のようです ―2016 Remastered―

第六話 制服のあの子が泣いてた

おわり












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