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1 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:06:48 ID:go6t1uI.0
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季節は夏。僕、内藤ホライゾンは日曜日の朝早くに、背中にべっとりと汗をかきながら
上り坂を、油がやや切れて耳障りな音を上げる自転車で漕いでいた。
（； ＾ω＾）「……あっつい」
ようやく坂道を上り終え、前かがみになってハンドルに体重を乗せると
ぼたりと額から玉のような汗が落ちた。どんどん垂れてくるそれを服で拭うと、
僕はもう一度自転車を漕ぎだした。目的地である『備府神社』はあともう少しだ。
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2 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:08:20 ID:go6t1uI.0
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『備府神社』は小さい神社だ。というか、神社と呼んでも良いのか分からない
くらいに小さい。ただ申し訳程度に鳥居もあるし、崩れた石碑にも神社という文字が
伺えることから、僕は小さいころから神社と呼んでいる。
そんな備府神社に僕が何をしに来たのかというと、
（ ＾ω＾）「彼女が出来ますように！！！！ 」
と、毎週の日課であるお参りをするためである。
いや、神社にこんな願い事をするのはどうなんだろうとは思うのだけど、僕は
どうしても彼女がほしいのだ。とってもほしいのだ。ほしいのである。
何故なら僕は花の高校２年生。青春真っ盛りで、今を楽しまなければいつ楽しむのだという
年齢なのだ。となれば当然、彼女がほしい。一緒にデートしたり、いちゃいちゃしたい。
甘酸っぱい青春を送りたい。というかモテたい。というか彼女が欲しいという気持ちに理由は必要であろうか？
いや、ない。
でも、出来ないのだ。彼女、出来ないのだ。全然、出来ないのだ。
だからこうして藁にもすがる思いで毎週神頼みをして居るわけである。
効果のほどは、今のところまだ分からない。
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3 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:10:21 ID:go6t1uI.0
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（ ＾ω＾）「よし！ お参り終了！ 神様頼んだお！ 」
そうして僕はお財布から５００円を取り出し、賽銭箱へと投げ入れる。
高校生にしてはおいそれと投げ入れられる額ではないが、僕は違う。
それだけ真剣なのだ。真剣に神頼みで彼女を作ろうとしているのだ。
（ ＾ω＾）「っと」
やることもやったので帰ろうと、僕は隅に置いていた自転車に跨る。
これだけのために僕はあのやたら長い坂道を、日曜日の朝から上ってきたのだ。
先ほどのお賽銭額と合わせて、僕がどれほど真剣なのかお分かりになるだろう。
（； ＾ω＾）「おわっち」
しかし自転車に跨りいざ帰らんとするその時、バランスを崩してしまい、咄嗟に
近くにあった長方形の大きな石を蹴るようにしてバ事なきを得た。
代わりに石はバランスを失い、ごとりと倒れて割れてしまった。
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4 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:11:04 ID:go6t1uI.0
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（ ＾ω＾）「……」
（＾ω＾ ）「……」
（ ＾ω＾）「……」
（ ＾ω＾）「……よし」
（ ＾ω＾）「帰るか！ 」
そうしてお参りを無事に済ませた僕は自転車に乗り直すと、
颯爽と備府神社を後にするのであった。
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5 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:11:29 ID:go6t1uI.0
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6 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:12:59 ID:go6t1uI.0
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7 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:13:27 ID:go6t1uI.0
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この日の事を、僕はとても後悔するのであった。
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8 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:13:49 ID:go6t1uI.0
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/ へ､ (´⌒''´｀´ (,,,,,´(⌒ヽ
／ ゝ ヽ ヘ (´~' （´( (⌒` （´⌒´
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（ ＾ω＾）「さーて、帰るおー！ 」
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9 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:14:10 ID:go6t1uI.0
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＼ ／ Υ -─ ￣ (´~
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/ へ､ (´⌒''´｀´ (,,,,,´(⌒ヽ
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┃ ┃
┃ （ ＾ω＾）はこの夏を駆け抜けるようです ┃
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t Υ ＼ ＼ 丶
.| ヽ .,ゝ､ ＼ ゝへ、
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| ＼ ｀ ´ ／＼＼ ヽヽ ／
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10 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:14:35 ID:go6t1uI.0
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＼ ／ Υ -─ ￣ (´~
ヽ -‐ ￣ (´⌒´"
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/ へ､ (´⌒''´｀´ (,,,,,´(⌒ヽ
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┃ ｶﾞｶﾞｶﾞｯ ┃
┃ （ ＾ω＾） |lil|ii!;|illi!!||;.:ijl 駆け抜けるようです ┃
┃ ｶﾞﾘｶﾞﾘｶﾞﾘｯ ┃
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t Υ ＼ ＼ 丶
.| ヽ .,ゝ､ ＼ ゝへ、
.| ＼ l l ＼ ＼ l l
| ＼ ｀ ´ ／＼＼ ヽヽ ／
| | ／ |＼＼ 丶 ／＼ ／＼
| ＼ ＼|／ | ＼ ／ ／＼ ＼
| ＼ ヾ ＼ ／ ＼ | | | |
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11 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:15:02 ID:go6t1uI.0
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/ へ､ (´⌒''´｀´ (,,,,,´(⌒ヽ
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┃ （ ＾ω＾）残機１００で駆け抜けるようです ┃
┃ ┃
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t Υ ＼ ＼ 丶
.| ヽ .,ゝ､ ＼ ゝへ、
.| ＼ l l ＼ ＼ l l
| ＼ ｀ ´ ／＼＼ ヽヽ ／
| | ／ |＼＼ 丶 ／＼ ／＼
| ＼ ＼|／ | ＼ ／ ／＼ ＼
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12 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:15:39 ID:go6t1uI.0
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時刻は２４時。
晩御飯をとうに食べ終え、お風呂にも入り綺麗になった僕はネットサーフィンや
宿題なんかをしていた。しかしそれもこの時間になると眠気の方が勝り、
僕はベッドの中に入ることにした。
（ -ω-）「もう食べられないよぉ……」
意識はどんどん沈んでいき、途切れる。
が、しかしそれはすぐに戻ってくることになる。
（； ＾ω＾）「重い」
何かが僕の上に乗っている気がしたのだ。
猫のような、犬のような、獣的匂いと重みがある。僕の家ではペットは飼っていないので、
一体何事かと視線を腹の方へと向けた。
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13 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:16:14 ID:go6t1uI.0
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_ ,.､
f r＼ ／ｨ､|
l ﾐヽ`､､ / ' 彡l
. ｌ ﾐ. ヽVｰ‐// 彡l
l :::／:::::::::ヽ ::::. !
ｌ:':.::::::::::::::::.:ﾞ:ー〈 おう、目が覚めたか
ｌ'てi. ,ｨこﾌ`::.:.:.ヽ.＿ _ ＿_ _＿
. ヽ/: ::ヽ .:.:.:.:.:.ｲ;;;;::::::::::::::::::.::.::.｀｀゛ﾞ ‐-､、
ニｷＣ_::メﾆ二:''´::;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.｀`ヽ、
t : :ヽ::;;;;::::':::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::. ヽ、
l.: : : ;;ゝ;;::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::.::.:;.'::.::.::.::.::.::.:.ヽ
ﾞ､: : : : : ､::.::.::.::.::.ヽ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::/;;.::.::.::.::.::.::.::.::.ト､
ヽ.: : ;;; : ､.:::.:::.:::.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／;;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,!::::｀ヽ
,!:.ﾞヽ :: ::.;;;:.::.::.::.::.:!､､:: :: :: :: :;; .::.::.::.::.::.::.::.::.::.::,1::::::::::::::＼
./:: :: ::ァ'‐-|::.::.::.::.::l ￣ ￣ヽ.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : / ｌ::::::::::::::::::.ヽ
/: : :／ l:: :: :: ::,′ ＼:: :: :: :: :.:.:.:ヽ､_ !::::::::::::::::::::ヽ
_,' ./ ｌ: : : : / ヽ､ ＿_ : : : : :.｀!､:::::::::::::::::::｀、
ｆ ｒ' ノ l / _/ f `ヽ: : : :l. ヽ::::::::::::::::;;丶
｀￣ ＿,! ./ ｆ_ｒ'__ノ ｌ ! ＼:::::::;;;;;;;;;`、
f_r' r' ,′ ＿,! ,′ ｀ヽ､:::::::::i
｀￣´ f_r' r' / ｀ﾞﾞﾞﾞﾞ
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狐。英語でFOX。
キツネ（狐）は、哺乳綱ネコ目（食肉目）イヌ科イヌ亜科の一部。
狭義にはキツネ属のことである。広義には、明確な定義はないがイヌ亜科の
数属を総称するが、これは互いに近縁でない属からなる多系統である。
最も狭義にはキツネ属の1種アカギツネのことである。古来、日本で「狐」といえば、
アカギツネの亜種ホンドギツネのことだったが、蝦夷地進出後は、北海道の別亜種
キタキツネも含むようになった。
以上、wikipediaより抜粋。
やや小さいそれが、僕のお腹の上に居た。
「目が覚めたか」と聞こえた気がするが、聞き間違いだろうか。
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14 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:17:07 ID:go6t1uI.0
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l ﾐヽ`､､ / ' 彡l
. ｌ ﾐ. ヽVｰ‐// 彡l
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ｌ:':.::::::::::::::::.:ﾞ:ー〈 ふむ、この姿だと都合が悪いかのう……
ｌ'てi. ,ｨこﾌ`::.:.:.ヽ.＿ _ ＿_ _＿
. ヽ/: ::ヽ .:.:.:.:.:.ｲ;;;;::::::::::::::::::.::.::.｀｀゛ﾞ ‐-､、
ニｷＣ_::メﾆ二:''´::;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.｀`ヽ、
t : :ヽ::;;;;::::':::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::. ヽ、
l.: : : ;;ゝ;;::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::.::.:;.'::.::.::.::.::.::.:.ヽ
ﾞ､: : : : : ､::.::.::.::.::.ヽ:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::/;;.::.::.::.::.::.::.::.::.ト､
ヽ.: : ;;; : ､.:::.:::.:::.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／;;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,!::::｀ヽ
,!:.ﾞヽ :: ::.;;;:.::.::.::.::.:!､､:: :: :: :: :;; .::.::.::.::.::.::.::.::.::.::,1::::::::::::::＼
./:: :: ::ァ'‐-|::.::.::.::.::l ￣ ￣ヽ.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : / ｌ::::::::::::::::::.ヽ
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f_r' r' ,′ ＿,! ,′ ｀ヽ､:::::::::i
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（； ＾ω＾）「おぉ！？ な、何で！？ 狐なんで！？ 」
完全に目の覚めた僕は慌てて起き上がると、狐から距離を取る。
先ほどまで僕のお腹にいた狐は、ピョンと飛び上がると器用に今度は机の上に着地する。
そして慌てふためき、ひとまず近くにあった虫取り網を手にした僕を前にした狐は、
狐「よし、姿を変えるか」
と、呟いた。
どうやらやはり、人の言葉を話すようだと僕は冷静に虫取り網を構えながら考えていた。
（； ＾ω＾）（エキノコーックス！！！！ ）
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15 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:18:17 ID:go6t1uI.0
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γ ⌒ ⌒ ｀ヘ
イ "" ⌒ ヾ ヾ
/ ( ⌒ ヽ ）ヽ
( ､ , ヾ ）
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ゝ､､ゝ ﾉ ノソ
ゝ､､ゝﾉ ,, ノ
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（； -ω＾）「ぶわ！？ 」
すると、狐がくるりと宙を一回転すると、同時に煙が一つ「ぼわむ」と起きる。
手で払いながら、何事かと、狐はどこに行ったかと辺りを見回すも、しかし狐の姿は見えない。
代わりに、狐が先ほどいた机の上、そこの気配が大きいものへと変わった。
そして煙が晴れると、その正体が分かった。
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「ふむ。久々だが上手くいったようじゃな」
（； ＾ω＾）（お、女の子……！？ ）
見覚えがあるその服装は、僕の学校の女子制服だった。
そしてそれを着ているのは、僕好みの金髪のふわっとしたツインテールに、
僕好みの気の強そうな眼差しを持った僕好みの女の子で、机の上で腕を組み、仁王立ちをしていたのだ。
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16 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:19:16 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「よし、これでどうじゃ。人の姿なら多少は落ち着いたじゃろ？」
（； ＾ω＾）「お、おん……おん！？ おんな！？ なんで！？ おんななんで！？ 」
確認するかのようにくるりとスカートを翻す、突如として現れた僕好みの女の子。
虫取り網を突き出すように構えて混乱する僕は、まるで女性を今まで見た事の
ない原住民のような様だった。
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「ふぅむ。せっかくお主好みの姿に化けてみせたが、あまり落ち着いてはくれんのぅ」
（； ＾ω＾）「ば、化け……？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「うむうむ。さっきの狐、あれは、ワシじゃ」
（； ＾ω＾）「は、はぁ！？ なんだおそれ！ どういう事なんだお、一体全体、どうなってんだお！ 」
ξ#ﾟ⊿ﾟ)ξ「ええい落ち着かんか。そしてわしの話を聞け！ 」
ぽかり、と頭を小突かれる。いや、ぽかりって擬音は相応しくなく、僕はその激痛に思わず手にしていた
虫取り網を放り投げて痛みに悶えるほどだった。
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17 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:20:22 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「結論から言う！ 」
ビシリ、と指をさす女の子（狐）。
いや、まだ何が何やら、頭も痛いしという状況だが、勢い良くそして鋭く指を差されて
僕は思わず姿勢を正した。
（； ＾ω＾）「は、はい！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「小僧。お前、呪われたぞ」
（； ＾ω＾）σ「……は？ 呪われたって……あなたに？」
ξ#ﾟ⊿ﾟ)ξ「たわけめ！ 」
（； ＾ω＾）「あだっ！ 」
もう一度彼女から拳骨を食らう。
頭を押さえ、今はとにかく彼女の話を聞こうと僕は痛みを堪えた。
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18 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:21:21 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「わしが呪う理由などなかろう。お前に呪いをかけたのは悪霊じゃ」
（； ＾ω＾）「あ、悪霊？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「うむ。呪いを振りまき、人を苦しめるとんでもない奴じゃった」
ξ#-⊿ﾟ)ξ「それがまぁ、お前によって封印していた石が粉々に砕かれてしまってな。
解き放たれた悪霊は、まず最初にお前に即死級の呪いをかけたのじゃ」
（； ＾ω＾）「即死！？ っていうかちょっと待ってお！？ 」
（； ＾ω＾）「まず悪霊って何なんだお！？ 何で僕が呪われるんだお！？ 封印！？
そしてそもそも君は何者なんだお！ 」
僕はこんこんと説教を捲し立てる彼女の言葉を遮り、質問をぶつけた。
彼女は誰で、呪いとは何か、何故僕が、という内容に対して、彼女は指を３つ立てて返した。
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19 名前： ◆/4Fw4AXCeI[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:24:03 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「まず一つ。呪いとは先ほど言ったように、悪霊がお前にかけたものじゃ。
普通なら、かけられた瞬間死ぬものじゃった」
（； ＾ω＾）「は！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「落ち着け。そして２つ。何故お前が呪われたか。それはお前、今日 備府神社に行ったじゃろ？」
（ ＾ω＾）「い、行きましたけど……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「そこで石のようなものを壊したじゃろ」
（ ＾ω＾）「え？ そ、そうですけど……」
（ ＾ω＾）
（； ＾ω＾）「え、ちょっと待って！？ まさかあれに！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「そうじゃ。アレに封印されておったんじゃよ」
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20 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:24:57 ID:go6t1uI.0
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（； ＾ω＾）「ちょ、ちょっと待ってお！ それが本当なら、なんでそんな大事なものがなんであんな場所に！？
もっと厳重に保管しておくとかしないのかお！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「いやだって、封印したのワシじゃし。人間はあそこに封印されてるとは知らんかったんじゃろ。どんまい」
（； ＾ω＾）「えぇーーーーーーーーーー！？ 」
（； ＾ω＾）「じゃ、じゃあ僕はどうなるんですかお！？ このまま呪いで死ぬのかお！？ 」
（； ＾ω＾）「まだ彼女も出来ていないんですお！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「じゃから落ち着け。３つめ。ワシはその備府神社で祀られてる狐じゃ」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「喜ぶがよい。お前が熱心にワシの神社に通っていたからのう。
仕方なく、仕方なーく！ 仕方なくじゃぞ！？ ワシがお前を助けてやることにしたんじゃ」
（； ＾ω＾）「は！？ 」
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21 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:27:42 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「現にお前が今生きているのは、ワシがその呪いから守ってやったおかげなんじゃよ」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「ま、まぁ多少弱める程度にしか出来なくてな。妥協案で対応した」
（； ＾ω＾）「妥協案……？と、というかもしその呪いが本当だとして、僕は一体
どうすれば良いんだお……？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「なぁに、簡単じゃよ。呪いをかけた本人を再び封印すれば良い」
（ ＾ω＾）「そ、そうなんですか？ それじゃ、封印の方頑張ってくださいお！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「たわけめ！ 」
（； ＾ω＾）「あいた！ 」
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23 名前： ◆/4Fw4AXCeI[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:28:45 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「ワシはお前を呪いから守るためにお前のそばを離れることが出来んのじゃ。
だから、やるんじゃよ」
（； ＾ω＾）「や、やるって……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξσ
（ ＾ω＾）
ξﾟ⊿ﾟ)ξσ
（ ＾ω＾）
（； ＾ω＾）「……え！？ 嘘でしょ！？ 」
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24 名前： ◆/4Fw4AXCeI[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:30:06 ID:go6t1uI.0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「馬鹿者。嘘などつかぬわ」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「お前が」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「悪霊を見つけて」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「封印して」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「呪いを」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「解くんじゃよ」
（； ＾ω＾）
自称備府神社に祀られている狐の彼女が、僕の胸を指で叩きながら説明をする。
しかし、僕は未だに彼女の言葉を、呪いだとか悪霊だとかを信じることが出来ないでいた。
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25 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:31:33 ID:go6t1uI.0
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（； ＾ω＾）「いやいやいや……いやいやいやいや！！！ 冗談でしょ！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「もう一度言う！ お前が、悪霊を見つけて、封印して、呪いを、解くんじゃ！ 」
（； ＾ω＾）「いやいやいや……いやいやいやいや！！！ 」
僕が？呪いを解くために？悪霊とやらを見つける？封印する？
いやいやいや。待て待て待て。なんだそれは。というかこれは夢か。夢だろうか。
そもそもこの子はなんなんだ。狐が化けた？確かにこの姿はとても僕好みだ。
毎週毎週お参りをして祈って、いつかこんなこと付き合いと願っていた、まさにその姿だ。
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26 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:32:48 ID:go6t1uI.0
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だがしかし、こんなことが現実に起こるだろうか。
僕は彼女がほしい。ただそれだけを願っていた。でも現実は、呪われて？
本当なら僕は死んでて？でも狐が助けてくれて？
しかも狐が人間に化けて？更にその上 僕好みで？
（ ＾ω＾）「あ！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「むっ」
（ ＾ω＾）「ははーん、これ夢か」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「おい！ 夢で済ますな！ 大マジなんじゃぞ！？ 」
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27 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:33:34 ID:go6t1uI.0
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（ ＾ω＾）「いや、むしろ夢なら……」ｺﾞｸﾘ
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「お、おい。なんじゃ！ その目はなんじゃ！ よさんか！ その目はよさんか！ いやらしい！ 」
（ ＾ω＾）「ぐふふふ！ 夢ならあんなことやこんなことも！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「やめろ！ 寄るな！ 夢じゃない！ これは夢じゃない！ 」
（ ＾ω＾）「えぇ！？ じゃあ僕もついに彼女が！？ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「おい落ち着け！ なにがどうしてそうなる！？ 」
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28 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:35:13 ID:go6t1uI.0
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（ ＾ω＾）「ええい！ とにかくこんな可愛い子がいるんだお！ まずは──！！！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「たわけめ！！！！！ 」
かつてないほどの衝撃。
彼女の拳骨、鉄拳ともいえる固いものが僕の頭蓋を砕く。
激痛を感じる間もなく、僕の意識は一瞬の内に途絶えた。
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「あわわわわ……つ、ついやってしもうた……」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「ま、まぁ大丈夫じゃろ。そのための力じゃしな。セーフセーフ」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「……うむ。ともあれ、よろしく頼むぞ。内藤ホライゾンよ」
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29 名前： ◆/4Fw4AXCeI[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:35:50 ID:go6t1uI.0
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30 名前： ◆/4Fw4AXCeI[] 投稿日：2017/08/19(土) 23:36:44 ID:go6t1uI.0
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（ ＾ω＾）「はっ！ 」
雀の声とカーテンの隙間から入る朝日に、目覚まし時計よりも早く目が覚めた。
（ ＾ω＾）「あれは……」
思い出すのは夜のこと。あの女の子と強烈な拳骨。
頭のてっぺんを触ってみると、しかしたんこぶも痛みも何もない。
綺麗にベッドの上で寝ていることもあり、やはり夢だったのかと僕は思った。
（ ＾ω＾）「夢、か……」
少し残念に思うのは、夢の中の彼女が可愛かったことと、僕も年頃なのだ、
ちょっとした非日常に憧れていたからかもしれない。
ベッドから起き上がると、僕は─────
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31 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/19(土) 23:38:44 ID:go6t1uI.0
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・ １と２の好きな数字を選んでください
１．急いでドアを開けた
２．落ち着いてドアを開けた
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（ ＾ω＾）「>>34」
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34 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:38:41 ID:vpT3tN5E0
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では2で！
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35 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:45:50 ID:EKPVPPDs0
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（ ＾ω＾）「どっこらしょっと」
僕はベッドから起き上がると、ゆっくりとドアを開け下の階のリビングへと向かう。
せっかく早く起きられたのだから、ゆっくりと余裕をもって学校へ行くとするとしよう。
そうだ、それに朝早くに行けばもしかしたら彼女が出来るかもしれない。
早朝散歩が趣味だったり、朝早くに学校へ行って読書がするのが趣味な、おしとやかな彼女が。
そう思えば、たまの早起きも良いものだ。
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36 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:46:26 ID:EKPVPPDs0
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ｉ |;:;|;:;|;:. . .:.:l 从 ガッ
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ｉ .j.;:;:;:/.;／:.:.:.:::::|. └ｰｭ r‐┘
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（ ＾ω＾）「」
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37 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:47:47 ID:EKPVPPDs0
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Ｅ Ｎ Ｄ Ｏ Ｆ Ｌ Ｉ Ｆ Ｅ
内藤ホライゾンは死んでしまった
死因：階段で足を踏み外したことによる転落死（段差２段）
残機：（ ＾ω＾）×９８
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38 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:49:28 ID:EKPVPPDs0
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（ ＾ω＾）「はっ！ 」
ふと気づく。
階段の下で僕はなぜ寝そべっているのか。
（； ＾ω＾）「……い、いや」
いや、違う。恐る恐る、心臓に手を当てる。ドクドクと脈を打っている。
生きている。僕は、生きている。だがしかし、先ほど死んだのだ。
階段から転げ落ちて死んだのだ。しかも２段から落ちてだ。
なんと酷い死因だろう。
（； ＾ω＾）「いや、だって……そんな、なんで」
信じたくはない。死んでしまっただなんて。死因がこれだなんて。
しかし、事実なのだ。記憶がある。実感もある。
転げ落ちたときに『あ、死んだ』という実感と、ふと先ほど気づいたときに
『あ、生き返った』という、理屈ではなく、どうしようもないほどの実感が、あったのだ。
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「これで分かったか？」
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39 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:50:57 ID:EKPVPPDs0
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リンビングから聞こえた声に振り向くと、そこには何故かパンを頬張った昨日の
彼女が居た。昨日のあれは、夢ではなかったのか？というかそのパンは
僕が朝ご飯用に買い置きしていたやつではないか？
（； ＾ω＾）「な、なんでここに……！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「ん？ 昨日も言ったじゃろう。呪いから守るため、じゃよ」
（； ＾ω＾）「呪い……」
やはり、昨日の出来事は夢ではなかったのか。
し、信じたくない……
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「さて、それで先ほど”死んで”分かったと思うが─────」
（； ＾ω＾）「そ、そうだお！ あれは一体何なんだお！？ 」
僕は彼女の言葉を遮り、先ほどの”死”を訪ねる。
信じたくはないが、僕は確実に死んだ。それはどうしようもないほど理解している。
だが、何故僕は生き返ったのだ。そして確かに見えた『残機９８』とは何なのか。
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40 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 00:59:59 ID:EKPVPPDs0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「それはな、ワシの力のおかげなんじゃよ」
（； ＾ω＾）「おかげ……？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「お前にかかった即死級の呪いを解くことが出来なかったのでな」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「しかしこのままお前が死んでしまうのも忍びない。と、いうわけでな」
（； ＾ω＾）「というわけで……？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「どうやっても死んじゃうなら死ぬたびに生き返らせれば良くない？とな」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「昨日言っていた妥協案じゃな」
（； ＾ω＾）「は！？ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「しかしなぁ、呪いの力が強すぎてお前、やけに死に易い体になってしもうたし」
（； ＾ω＾）「は！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「さらに言うとワシの力も弱まってたので１００回までしか生き返られんのじゃ」
（； ＾ω＾）「は！？ 」
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41 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:01:21 ID:EKPVPPDs0
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衝撃の事実３連発。昨日から驚いてばかりである。
どうやら僕はとんでもなく死にやすくなってて、だけど死ぬたびに生き返れるようで、
でもでもそれも１００回までしかできないようで。
（； ＾ω＾）「ど、どうすれば……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「だから昨日も言ったじゃろ？ 悪霊を探し出して、再び封印するのじゃ！ 」
（； ＾ω＾）「そん、な……」
（； ＾ω＾）「それじゃ、このまま呪いが解けなかったら……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「襲かれ早かれ、死ぬじゃろうな」
（； ＾ω＾）「そんな！ 」
やはり、そうなのか。
もはや呪いに関しても、彼女が狐という事に関してももはや疑いようのない事実である
のは間違いない。このままでは間違いない”死”が僕を待っている。
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42 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:03:02 ID:EKPVPPDs0
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（； ＾ω＾）「このままだと、僕は死ぬ……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「……」
（； ＾ω＾）「そんなのは絶対に嫌だお！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「うむ。では呪いを解くために共に頑張ろ────」
（； ＾ω＾）「このまま彼女が出来ずに死んでたまるかお！！！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「う……は？」
（； ＾ω＾）「い、いやだ！ まだデートもしたことないし手を繋ぐことだってキスだってまだなんだお！
一緒に登下校しちゃったり、胸がドキドキするような淡い思い出だってまだまだなんだお！ 」
（； ＾ω＾）「死んでたまるか……死んでたまるかお！！！！ 僕には夢がある！ 彼女を作ってｷｬｯｷｬｳﾌﾌな
エブリデイ！ ドクオとショボンに自慢して幸せを謳歌！！！ 彼女を作るという夢！！！！ 」
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43 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:06:58 ID:EKPVPPDs0
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（； ＾ω＾）「ねぇ、助けてお！ 僕、あんなにお参りしたんだお！？ 助けてお狐さん！ ねぇ！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「お、おい近い！ やめろ、鼻水が引っ付く！ 」
（ ；ω；）「死にたくねぇおーーー！！！ 死にたくねぇんだおーーーーー！！！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「やめい、近いのじゃ！ 圧が、圧がある！ 」
（ ；ω；）「もういっそ狐さんが恋人になってくださいお！！！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「おいどこ触ってる！ 離せ！ 離さんか！ 」
（ ；ω；）「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！！！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「こ、の……たわけめ！ 」
（ ；ω；）「おごっ」
強烈なボディーブロー。
捻じれる様に腹を抉られ、僕は膝をつく。一瞬、「死んだ」と思ったがどうやらまだ生きているようだ。
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44 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:10:30 ID:EKPVPPDs0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「死なないように加減はした」
（； ＾ω＾）「ご、ごめんなさい錯乱してましたお……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「いや、無理もない……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「だが、呪いは事実でありこのままでは死んでしまうというのも事実なのじゃ」
（； ＾ω＾）「……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「だから、呪いを解くために。立ち上がるのじゃ！ 内藤ホライゾン！！！ 」
（； ＾ω＾）「……」
彼女はそう息巻いて言うけれど、果たして僕にそんなことが出来るのだろうか。
そもそも、彼女は自分の事を祀られている狐だと言っていたけれど、何故狐が僕の呪いを
解こうとしてくれたのだろう。
呪いは分かった。その理由も分かった。
ではなぜ、彼女は助けてくれる？
僕は彼女におずおずと尋ねることにした。
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45 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:11:59 ID:EKPVPPDs0
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（； ＾ω＾）「……というか、あなた……狐さん？ はどうして僕を助けてくれるんだお？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「む？ そりゃ、まぁ流石にワシの神社でお前が呪いで死ぬのはあまりにも忍びないしのぅ」
ξ-⊿ﾟ)ξ「それに、一応ワシの神社に何度も参拝しておったし？ まぁ、そんなもんじゃよ」
う
（； ＾ω＾）「そ、そうなのかお！？ じゃ、じゃあ僕が毎週毎週、お参りに行っていたから……」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「あんな寂れた神社とも呼べるのか怪しいところ、よく通ったものよ。ワシが言うのもアレじゃがな」
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46 名前：名無しさん[] 投稿日：2017/08/20(日) 01:13:33 ID:EKPVPPDs0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「うむうむ。何度も通っていたおかげというわけじゃな」
（； ＾ω＾）「おぉ！ よ、よかったー何度も通ってて！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「うむうむ。何度も通っていて本当に良かったな。
おかげで悪霊に呪われてもワシが呪いから身を護ってやれたし」
（； ＾ω＾）「いや、ホント昨日もちゃんと通ってよかったお……」
（； ＾ω＾）
ξﾟ⊿ﾟ)ξ
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ（； ＾ω＾）「「……ん？」」
う う
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47 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:18:00 ID:EKPVPPDs0
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ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「と、とりあえず悪霊を再び封印すればお前の呪いは解ける！ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「昨日も言ったが、ワシはお前にかけられた呪いを抑えるのに近くに居る必要がある」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「悪霊を封印するしばしの間、よろしく頼むぞ」
そう言って手を差しだす狐さん。
これから呪いを解くまでの間、彼女と一緒にいなければならないようだ。
この死に易くなってしまった呪いを解くために、僕は生き抜かなければならない。
彼女を作れないまま、死んでたまるか。絶対に死なないぞ。死んでたまるか。
彼女を作るんだ。僕は。
彼女を作るぞ。僕は。
モテたいのだ。僕は。
強い思いを胸に、僕は目の前に差し出された手を握り返した。
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48 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:19:33 ID:EKPVPPDs0
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（ ＾ω＾）「よろしくだお。狐さん……狐さんで良いのかお？」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「ん？ あぁ、そうじゃな……うむ、ツンと呼ぶがよい。昔、そう言われておった」
（ ＾ω＾）「分かったお！ ツンさん！ 」
（ ＾ω＾）「ところで、死んだときに残機９８って見えたんだけど……」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「あぁ、残りの命の数じゃな」
（ ＾ω＾）「……９８ってことは、僕、少なくとも２回死んでるんだおね？」
ξ；ﾟ－ﾟ)ξ「……」
残機９８。それはつまり９８回分の命。
しかしツンさんの話曰く、僕は１００回の残機があったはず。
そして先ほど１回死んだのだから、９９回ではないのだろうか。
９８という数字に矛盾を感じる。
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49 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:25:15 ID:EKPVPPDs0
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ξ；-⊿-)ξ「……」
（； ＾ω＾）「え、何！？ 何で黙るの！？ 」
ξ；-⊿-)ξ「そ、そのぅ……じゃな……つい、な。うん」
（； ＾ω＾）「つい！？ 」
なんだ「つい」とは。どこか不穏な空気を感じ、僕は100回という上限にも関わらず
既に残りは98回（うち一回は先ほど）という矛盾を考える。
そしてまさか、という思いを震える口先から絞り出した。
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50 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:25:41 ID:EKPVPPDs0
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（； ＾ω＾）「き、昨日の夜の、最後の拳骨って……」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「ま、まさかあんなに死にやすくなってるとはのぅ……」
（； ＾ω＾）「うわぁあああああ！！！！ やっぱり！ やっぱり！！！ 人殺しめ！！！！ 」
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「う、うるさいうるさいうるさい！ 大丈夫残りはまだあるから大丈夫じゃって！ 」
なんてことを、人の命をなんだと思っているのだ。
僕の命はそんなにほいほい死んでも良いほど安くはないぞ。
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「毎回500円を賽銭箱に投げていてよかったのぅ」
（ ＾ω＾）「安かった」
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51 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:30:01 ID:EKPVPPDs0
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ξﾟ⊿ﾟ)ξ「まぁ、それでだな……」
ピピピピピピピピピピピ！
ξ；ﾟ⊿ﾟ)ξ「む！？ 」
（； ＾ω＾）「あぁ、目覚まし止めるの忘れてたお……どうかしたのかおツンさん」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「い、いやなんでもないわ……ビックリはしておらんぞ！？ 」
（； ＾ω＾）「そうですか……んあ！？ もうこんな時間！？ 急いで学校に行かないと！ 」
目覚ましが鳴ったという事は、せっかくの早起きが無駄になってしまったという事だ。
僕はもう一度自分の部屋に戻り目覚まし時計を止めると、いつものように制服の袖に
腕を通し、僕は部屋を飛び出た。今度は死なないように、慎重に階段を下りて。
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52 名前：名無しさん[sage] 投稿日：2017/08/20(日) 01:35:17 ID:EKPVPPDs0
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（； ＾ω＾）「あ、僕は学校に行きますけどツンさんは！？ 」
ξﾟ⊿ﾟ)ξ「む？ あぁ、ワシの事は気にするでないぞ」
（； ＾ω＾）「わかりましたお！ 」
不思議な彼女の言うことだ。
きっと霊体的なアレになったりで、そのあたりは上手くやってくれるのだろう。
僕はリビングで軽く朝食を取って学校に向かうのであった。
（； ＾ω＾）（親がしばらく出張で家に居なくてよかったお……）
もし親が居たら、僕が死んでいるところを見られていただろうか。
そして生き返るところを見られていただろうか。
事のあらましを説明する自分を想像するが、きっと病院に連れていかれることだろう。
やはり、親が居ないのは良かったと思う。
